※この記事は、
12月1日 東電:作業員522人の甲状腺被曝検査結果をWHOへ報告【最大は1万1800ミリシーベルト】に関連しています。

10代で最大56ミリシーベルト=作業員被ばく、最高齢は84歳-福島第1
時事通信(2012/12/06-21:17)
 東京電力は6日、福島第1原発事故の対応に当たった現場作業員の被ばく線量について、世界保健機関(WHO)に提出した年代別のデータを公表した。最も若い10代の作業員のうち最大の被ばく量は累積で56.89ミリシーベルト。最高齢の作業員は84歳だった。
 東電が公表したデータによると、事故対応で被ばくした作業員は約2万人。40代が最も多く5893人で、平均被ばく量は11.64ミリシーベルト。平均被ばく量が最も大きいのは20代で15.86ミリシーベルトだった。
 18~19歳は64人で、平均被ばく量は8.26ミリシーベルト。最大の56ミリシーベルト超は東電社員で、協力企業の最大値は44.34ミリシーベルトだった。

 一方、70代以上の作業員は26人。最高齢は協力企業所属の84歳で、東電社員の最高齢は73歳。高齢者の作業内容について、東電は「分からない」としている。
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012120600889

年間被曝百ミリSv超、20代1.2% 福島第一作業員
朝日新聞 2012年12月7日0時33分
 東京電力は6日、福島第一原発事故後1年間の作業員の年代別被曝(ひばく)量を明らかにした。発がんリスクが上がる100ミリシーベルトを超えて被曝した割合が最も高いのは、20代で1.22%だった。30~50代もそれぞれ1%近くが、100ミリより多く被曝していた。

 東電が世界保健機関(WHO)に報告したデータを公表した。作業員の人数や被曝量の年代別分布が明らかになるのは初めて

 100ミリを超えて被曝した作業員は20代が25人(全作業員2057人)、30代が40人(同4179人)、40代が49人(同5893人)、50代が46人(同5409人)、60代は5人(同1858人)。10代(同64人)、70代~80代(同26人)は100ミリを超えて被曝した人はいなかった。また、20代では250ミリを超えて被曝した人が3人、30代、40代、50代ではそれぞれ1人ずついた。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201212060958.html


【東京電力HPより】2012年12月6日
世界保健機構(WHO)へ提供した福島第一原子力発電所事故の復旧作業に携わった作業員の被ばく線量に関するデータについて(PDF 65.2KB)
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_121206_01-j.pdf

まず、こういうデータを見るとき、私たちはついついその数字に驚いてしまうのですが、この数字には『顔』があります。私たちはその方々に直接お会いすることはありませんが、この数字一つ一つに顔があり、一人ひとりに人生があるということを決して忘れてはいけないと思います。

内部・外部被曝合算の線量分布を一つ一つ見ていきましょう。

2012年1月末時点での総作業員数は20,103名。

1

年齢分布としては、最高齢が84歳の協力企業の方と73歳の東電社員の方ということで報道もそちらにフォーカスしていますが、それにしても東電社員の人数が3,339人に対し、協力企業は16,764人と5倍ほどになっています。現場において、主に作業を行うのは東電社員ではなく、下請け企業の方々が圧倒的に多いということが見て取れます。

2


10代で最大56ミリシーベルト以上、20代で最大477ミリシーベルトというとんでもない数字が報告されています。
協力企業の方々の大半は、50ミリシーベルト以下で抑えられていますが、20代東電社員の中にも100ミリシーベルト以上浴びられている方が結構いらっしゃるのが心配です。

3


ここにきて、30代の東電社員の方で678.8ミリシーベルトという恐ろしい数字になっています。緊急時の被曝線量限度が250ミリシーベルト/年であることを考えると、事故から1年9ヶ月を目前にこの被ばく線量ではもう作業には復帰できないはずです。
・・・厳しいですね。

4


ここでも40代の東電社員の方が645.54ミリシーベルトの被ばく。
恐らくですが、この30代と40代の東電社員の方は、6月3日東電:被ばく線量580mSVと570mSVの記事でご紹介した、3・4号機の中央制御室で作業された方々だろうと思います・・・。
6月13日 東電:作業員の方々の被曝状況が・・・でご紹介した方々も、この表のどこかにいらっしゃるはずです。

5


下請けの作業員の方々から「『被曝要員』として現場で使い捨てにされる」という証言が漏れ伝わってきていたため、東電社員よりも協力企業の方の方が線量が高いのではないかと想像したのですが、このデータから見ると、高線量被ばくをしている人は東電社員に多い傾向ですね。
もちろん、どの時期にどのような作業をしていたかは、この表からは読み取れません。もしかしたら、協力企業の方が入れ替わっていくのに対して、東電社員の方は、事故当時からずーっと現場にいらっしゃる方もいるかもしれませんし・・・。

6


この甲状腺等価線量の分布がこの記事のソースになっているんですね。
ヨウ素131による被曝のみの測定値なので、事故初期に計測されたもので間違いないでしょう。
1シーベルトを超える甲状腺等価線量の方々が44人・・・。

7

さらに、これは内部被曝限定の線量分布の表です。
上の内部・外部合算で30代の東電社員の方の678.8ミリシーベルト、40代の東電社員の方の645.54ミリシーベルトとは別に、内部被曝だけで250ミリシーベルトを超えた方が3人はいらっしゃるということですね。

安定ヨウ素剤を指示通り飲まなかったという事例もありますし、マスクの装着に不備、或いは現場でマスクを外して煙草を・・・なんていう話もありました。高線量の結果が出ている方に関しては、そういうことが原因になったのでしょうか・・・。

8

この外部被曝線量の積算値を見ても、やはり東電社員の方のほうが高線量の被曝をされているように思います。
上で書いたとおり、事故当初からずっと現場にいらっしゃる方が多く、協力企業の方々は入れ替わっていくことが原因なのかもしれませんが、やはりこの表だけでは判らないことです。
  
   * * * * *

私見として、特に20代以下の方々が2000人以上現場作業に入ってくださっていることが心配です。
150ミリシーベルトの急性被曝で一時不妊になると言われていることを考えると、若い世代に福島第一原発の収束作業で被曝をさせてしまうことに関して、なんとかならないかと考え込んでしまいます・・・。

最後に、東電が選挙真っ只中にこのような大事なデータを出してきたのは、単なる偶然(?)なのかもしれませんが、このデータをちゃんと出すように言ってくれたフリージャーナリストの木野龍逸さんに感謝を込めて、ご紹介しました。

失礼します。
にほんブログ村 環境ブログ 原発・放射能へ
にほんブログ村

人気ブログランキング