※この記事は、
★9月13日【内容起こし】小出裕章氏:日本学術会議の高レベル放射性廃棄物処理方法の提言と福島第一原発の失われゆく温度計について@たね蒔きジャーナル、
★5月16日 原発・核燃サイクル技術等検討小委員会:核燃サイクル政策決定を「保留」へ、当面直接処分・再処理の両方を進める併存案へ【国としての方針無しでは当然の結果】などに関連しています。
以前の記事、9月13日【内容起こし】小出裕章氏:日本学術会議の高レベル放射性廃棄物処理方法の提言と福島第一原発の失われゆく温度計について@たね蒔きジャーナルでご紹介したことがある日本学術会議の提言に深く関係しているパブリックコメントが募集されていることをご存知でしょうか?
原子力発電所から生み出される高レベル放射性廃棄物(再処理後のガラス固化体含む)の処理方法については、基本的に原子力委員会とNUMO(原子力発電環境整備機構)が中心となって進めてきた経緯があるようなのですが、今回は、原子力委員会が日本学術会議からの「回答」と今までの経緯を踏まえて、この高レベル放射性廃棄物の地層処分方針についての見解を出すにあたり、パブリックコメントを募集しています。
というわけで、例のごとくパブリックコメント提出に向けて関係書類を読みだしたのですが、やっぱり原子力委員会の文章は読みにくい・・・。これは本当に正直に申し上げて、意味が分かりづらい。
「That's 霞が関文学!」
と自分を説得しながら、なんとか読みましたが、それに対して日本学術会議の「回答」は、文章が長いのですが判りやすい。専門用語などももちろん含まれるのですが、素人の私が読んでも「こういうことが言いたいんだな」ということは最低限理解できます。
いや~、ほんとお役所の出してくる文章は、『頭の良い方』に判るように書いてあるんだな・・・と、また改めて思いました・・・。
これからこのパブリックコメントに挑戦する方のためにアドバイスを申し上げますと、先に参考(学術会議報告)を読んでください。それから今回の原子力委員会の見解案をご覧になると判りよいかと思います。
原子力委員会
「今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について(見解案)」に対する御意見の募集
案の公示日 2012年11月28日
意見・情報受付開始日 2012年11月29日
意見・情報受付締切日 2012年12月10日
意見提出が30日未満の場合その理由
12月下旬までに取りまとめを行う必要があり、逆算すると、12月中旬までに意見募集を終える必要があるため。
意見公募要領(提出先を含む)、命令等の案
・御意見募集プレス文
・見解案
関連資料、その他
・ご意見提出様式
・参考(処分懇報告)
・参考(学術会議報告)
インターネット上ではこちらから直接送付できます。
⇒ https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0031.html
参考までに、私が提出した内容を載せておきます。
くれぐれも、パブコメはご自身の言葉でお書きください。
* * * * *
【意見内容】
3ページ14行目~22行目
ここで言われている「大局的政策」とは、「原子力政策の今後の行方」を指しているのであり、日本学術会議からの「回答」の意図するところは、『今後の原子力政策がどうなるかもわからない(=原子力発電を続けていくかどうかの決定がなされないことや核燃サイクルの方針が今後変更される可能性があることによって、高レベル放射性廃棄物の総量が予測できない)状態で、先に最終処分地の選定を行うのは順序が逆である』という指摘だと思われる。
原子力委員会の方で意味を取り違えてはいないか?
日本における原子力政策の今後は、議論の真っただ中なのであって、今回の選挙の争点の一つのはず。
4ページ11行目
「相互裨益」の意味合いについて、明文化すべき。
日本学術会議の「回答」には、『最終処分の立地にも適用されている電源三法の精度は、多額の交付金をあらかじめ示して誘致を促す…』などと指摘されており、従来の「裨益」のイメージからすると、立地地域へ交付金を与えることによってその地域が潤うという構図が浮かび上がる。「回答」では、それは好ましくないとはっきり指摘しており、立地地域と事業者の関係が金銭によるものではなく、『安定な地層が防災上有利であることを活かし、政府・電力会社等の機能の一部を移転する、重要データの保管機能を持った施設を建設する、あるいは原子力・放射性廃棄物関係の大型研究拠点を設置するなど…』の多角的相互裨益となるよう指摘している。原子力委員会として、この部分をどのように理解しているか見解を明記すべき。
※参考までに日本学術会議の「回答」の該当部分をご紹介しておきます。
4ページ31行目
日本学術会議の「回答」がこの交付金について言及していることについて、原子力委員会がこの程度の理解では問題がある。
最終処分地もしくは暫定保管施設立地地域を公募するにあたり、交付金でなんとかしようとする姿勢・手続きに大きな問題があると指摘しているのであり、見解案文中にあるようなぼんやりしたものではない。
今後、この交付金についてどうしていくべきか、原子力委員会としての見解を明記すべき。
5ページ17行目~29行目
「高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体~(中略)共有されていない。」
この文脈でこの部分は不要。
6ページ3行目・4行目
再処理事業については、青森県や福井県への配慮などもあり、閣議決定では当面は再処理事業を続けることとされたが、革新的エネルギー・環境戦略(p.5)においては「直接処分の研究に着手」も盛り込まれている点を考えると、この表現は誤りではないか。
6ページ14行目
今ある技術では、放射性廃棄物量の最小化は、原子力発電所の利用をいかに減らしていくかによってしか為し得ない。原子力をやめることが決定されれば、廃棄物の総量はおのずと決まり、ひいては必要な処分場の規模もそれに応じて小規模化するはず。この段落の意図がよく判らない。不要ではないか。
6ページ19行目~7ページ10行目
この項目では、今までの経緯の反省を述べるだけではなく、現行の地層処分方針について、日本学術会議の「回答」の指摘をどのように取り入れていくのかを原子力委員会として明確に表記すべき。
7ページ21行目~30行目
原子力委員会が、地層処分について、将来の技術的進化に柔軟に対応できるよう国に提言していたという内容だが、日本学術会議の「暫定保管」のように高レベル放射性廃棄物を取り出して移動させることができるようなレベルで考えていたのかを明記しておく必要がある。そうでなければ、ただの愚痴のように読めてしまう。
7ページ23行目
「まれではあっても」は不適切。要削除。
8ページ4行目~29行目
日本学術会議の「回答」では、暫定保管の施設立地に関しても、住民投票を経て決定がなされるよう制度化すべきという見解を出している。原子力委員会として、住民投票の実施が必要と考えるか、明言すべき。
また、電源三法交付金による誘致という方法を今後も放置するつもりかどうかも併せて明言すべき。
もっと言うと、このパブリックコメントすら国民に認知されていない現状に対し、国に「何とかせよ」というのではなく、原子力委員会として取り組むべきではないか?
※参考までに日本学術会議の「回答」の該当部分をご紹介しておきます。
9ページ6行目
「立地候補地選定基準」と表記するだけでなく、「立地候補地の地理的安全性の確保が大前提である」ことを明記すべき
* * * * *
以上です。ご参考になれば幸いです。
失礼します。
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