※この記事は、9月23日【内容起こし】木村真三氏:市民科学者養成講座『福島県の放射能汚染の実状』@静岡【その①】の続きです。

<2-3開始>
  ・ベクレルという単位は何を表すか
  ・自然放射線(カリウム40)と人口放射線の違いと注意点
  ・シーベルトという単位は何を表すか
  ・α線はβ線/γ線の20倍!
  ・ラドンガスと肺がんの関係
  ・臓器に対する放射線の影響の違い
  ・被ばくによる遺伝的影響
  ・チェルノブイリと福島第一事故の違い
  ・長崎の放射能到達状況
  ・放射能汚染時代
  ・2011年3月15日の汚染の広がり
  ・2011年3月に保安院が行った簡易の甲状腺被曝検査
    『最大35mSv評価は経口吸入評価だと80mSv』
(木村真三氏)
 今回は、放射線の単位。また放射線の種類と人体影響というものを知っていただいた上で、今現在の放射能の広がり。また、その放射能によって汚染された人々は、一体どれくらいの被曝をしたか、外部と内部についてお話をしていきたいと思っております。
 こういったことを中心にお話をしていきたいと思います。
 では、気持ちを新たに勉強会ということでやっていきましょう。
3 まず皆さんに知っていただきたいのは、二つです。
 『シーベルト=Sv』と『ベクレル=Bq』です。
 簡単な方から行きます。このベクレルと言っているものは、放射能を表す単位。この放射能というのは一体どういうことなの?っていうと、これは『1秒間に何個の放射線を出すか』でベクレルという単位になるわけです。だから、それに重さで割ってやるというと、放射能濃度という言葉になるんですが、この放射能濃度というのは、例えば食の安全基準である厚生労働省の食の基準値、これは大人で100ベクレル/㎏、というふうになってますが、これは
「1㎏の食品中に1秒間に放射線が100個放出される量。これ以上は食べては危険ですよ」
というふうになっているわけです。
 子供の場合はというと50ベクレル/㎏です。これは逆に半分になったというふうに考えてください。1㎏の食べ物の中に1秒間で50個の放射線が出てるもの、これを50ベクレル/㎏というふうに言うわけです。
 だから、放射線の量だというふうに思ってください。
 『1秒間に何個の放射線が出てるか=ベクレル』ということです。


 身長167㎝で体重60㎏sの成人男性をイメージしてください。この成人男性の身体の中には、平均値ではありますが約4000ベクレルの放射能が出てるんです。1秒間に4000個の放射線が我々の身体の中から出てきています。これは体重の筋肉量に依存します。女性の場合は、もちろん男性よりも筋肉量が少ないです。そのため3000ベクレルから3500ベクレルくらいの放出量だというふうに言われていますが、逆にふくよかな体をお持ちの方々というのは、やはりそれなりの線量が上がるわけなんです。
 ちなみにこの放射線の大元はセシウムではございません。天然中に存在するカリウム40というものです。このカリウム40というのは、半減期が12.7億年というふうに言われているものですから、もうこれは我々人類というか、生命が誕生する前からずーっと放射能とお付き合いをしてるわけです。だからこそ、我々の中に放射能として存在するけれども、我々の人体に影響はほとんど無いんだというのがこのレベルなんです。
 このカリウム40というものが天然中には多く含まれております。そういったものの中で、今回は人口放射線核種ですね。ヨウ素131や、ストロンチウム90・・・はほとんどないんですが、セシウム137と134といった放射性物質が新たな放射性物質として加わり、食品の中に入ってるわけです。
 ちなみに、じゃあお米でどのくらいかといいますと、大体㎏あたり50ベクレルから150ベクレルくらいのカリウム40の放射能があるというふうに、実測値が出ております
 このカリウム40というのはエネルギーが非常に高いのですが、セシウムに比べて反応性が弱いんです。だから、セシウムに比べてその影響というのは、同じ量があったとしてもその量的関係でいいますと、約8分の1か9分の1程度のレベルなんです。
 でも、これを多く摂りすぎれば、やはり8分の1であろうが9分の1であろうが、影響は出てきます。だから、カリウムの摂取のし過ぎ。通常食べられているのは大丈夫なんですよ。でも、福島県内なんかは
「食品汚染を軽減するためにカリウムを撒きなさい」
っていうふうに農水省が推奨してます。
そのため、土壌100gに対して25㎎から30㎎のカリウムを撒いています。このカリウムを撒くことによって、セシウムは吸収されにくいけれども、選択的にカリウムは吸収されるわけです。その吸収されやすさというものによって、セシウムの影響を軽減させるというふうにやってるんですが、実はカリウム量がぐんと上がるわけです。上がってしまったら、実は同じことが起きてしまう。カリウムによる被ばく影響も増加されるということは、実は農水省に大臣に僕は言っています。言ってるんですが無視され続けています。この危険性はテレビでも言ってるんですが、あの有名な公共放送機関で解説員が
「先生、農水省で私もこの話は聞いている。確認しましたら、農水省は大丈夫だと言っております。」
「お前は学者が調べた話と、農水の机にしか座ってない人間の話、どっちを信じるの?僕は実態調査の中で得られてるんだよ」
っていうことを生放送で言いました。こういったことを平気で言う御用のマスメディアの人間がいるわけです。だからこそ誤魔化されるんです。
 こういったことが実際に平気で横行してます。「自分の身は自分で守らなくちゃいけない」って福島の人たちに言ってるんですが、要するに国が言ったり県がやってること自身に、信用できるかどうかっていうのは、情報公開をきちんとしていれば信用できるんです。その情報公開がしてないからこそ、不信につながるわけです。だからこそ、こういった情報をきちんと出せば、行政に対してだって「良くしてくれてるな、ありがとう」という気持ちを持てるんですが、持てないのはそういったことなんです。
 こういうことで、ベクレルというのは放射能というものの単位を表すもので、放射能濃度というのは、『Bq/kg』重さで割り算してるものが1㎏中にどのくらい放射能が含まれているかっていうので、このベクレルを使うものだということです。
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 続きまして、この『シーベルト=Sv』。
 このシーベルトは更に難しいです。これは一筋縄ではいきません。これは人体に影響を及ぼす単位としてシーベルトというものがあるわけなんですが、このシーベルトは実は放射線の種類によっても違うわけなんです。α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線、そのほか中性子線とか中間子とかμ粒子とかあるんですが、代表的なα・β・γについてお話をしていきたいと思います。
 このα線というのは皆さんもお手持ちの紙切れ1枚で、実は遮蔽することができるんです。だから、この紙1枚、服を着ていれば放射線はここで遮られる。服で遮られてしまうものなんですが、実はこのα線が人体に対して影響というのが一番強いというふうに言われています。
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 じゃあなぜそういったことが起きるのか?
 それは紙1枚に対して、この紙切れにα線というものが一気にすべてのエネルギーの受け渡しをしてしまう、だからこそ、受けた側の影響は一番大きくなるわけです。
 ヘビー級のハードパンチャーがどんとやってしまえば、人の命は失われるというのは判りますよね?でも、子供がじゃれ合って殴っても、その力は弱いですよね。だから、その人体の影響っていうのは同じパンチだけれども、影響は違うわけです。これと一緒のことがこのα線でも起きているわけです。
 実はγ線・β線に比べて、1とした場合、基準とした場合、このα線はその影響力は20倍だというふうに言われています。
 だから、発がん影響が20倍になっています。
 ここで説明しますと、ICRP=国際放射線防護委員会の90年勧告と2007年勧告というのを表にしてますが、基本的にこの光子というのが1です。これはγ線やX線を表しています。電子・μ粒子、この電子というのは、現在もこの蛍光灯なんかで使われている電気の流れ、これを作ったのが電子なのですが、この電子がポンと飛び出してきたものがなんとβ線というふうな名前に変わるわけです。このβ線も1なわけです。これが90年度でも07年度でも同じなんですが、このα線は20というふうに重みづけされているわけです。同じエネルギーでもその影響たるや、相手に及ぼす影響は20倍なんだよというのがα線なんです。
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 このα線というのは、欧米諸国、特にアメリカの統計データなんですが、アメリカ人の肺がん患者の4人に1人はこのα線によって肺がんになってるんだというふうに言われています。じゃあその由来はというと、これは食べ物や地面から出てきているラドンガスというガス。このガスっていうのはα線放出核種なんですね。α線を出すからそれを吸ってしまう。ガス状ですので知らず知らずに吸ってしまう。そのことによってDNAが壊されてしまう。そのDNAが壊されたものの修復がうまくいかずに、そのまま遺伝的に受け継がれていく。そのうちに突然変異としてガン細胞が出来上がるというのが、ガンのメカニズムなんですが、こういったことが実際に肺の中で起きてるわけです。じゃあなぜ欧米諸国はこういったことが少なくないのかと申しますと、これは石造りの家や地下室が多いんですね。だからこそ、ラドンガスというのは実はウランという核燃料物質、これは天然中でもほんのちょびっとですが存在します。それらが原子核崩壊をしながら出てきた物質が、このラドンガスなんです。だから、石の中にも含まれてるし、土の中にも入ってる。もちろんコンクリの中にも入ってるわけです。
 こういったものがあるために、その濃度が濃い状況で生活をしてしまうから、肺がんが起きてしまうんだというふうに言われています。
 では日本ではといって、日本で調べてみました。これは2009年、2010年ですが、厚生労働省のお金をもって、実はラドン調査の??になりました。全国4200か所の加盟に対して、このα線量を調べた。ラドン濃度を調べた結果ですが、大体1時間あたり100ベクレル以下です。でも、100ベクレル前後はあるわけです。高いところで200ベクレルを超えています。欧米諸国では、250ベクレルとか400ベクレルというところがあるわけです。そういったものをWHOが今規制をかけようとしております。

 というわけで、このラドンガスが壊れるときに放出されるα線というものが肺がんリスクにかなり寄与してるんだということです。こういった天然中の放射性物質があるわけです。放射線の種類によって、その影響は同じエネルギーであったとしても、影響の度合いは全然違ってくるということが言われております。
 その一覧表がさきほどのこの表になるわけです。
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 でも、最新データをお伝えしますと、このβ線というものは、実は皮膚の表面にくっついたり体内に取り込まれた場合、これはストロンチウムの場合と考えてください。ストロンチウムというのはβ線を100%放出する準β各種といわれるんですが、ストロンチウムなどのβ線放出核種では、なんとγ線に比べて影響が大きく出ているという実験が、ねずみさんの実験なんですがもう言われております。今WHOやICRPでは、このβ線に対する基準を考え直さなければならないというふうに検討に入ってるところなんです。
 これを見つけたのは、大阪大学の今名誉教授をされている野村大成先生というお医者さんです。この野村先生は、様々なお医者さんがいらっしゃる中で一番僕が尊敬している、最も信用のおける先生なんですが、この先生は実験的に全部調べてくださった。
 こういったようなことで、実はβ線についても危機感を持たなければならないというふうに解しております。
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 ちなみにセシウム137、134というのは、実はβ線放出核種です。γ線はちょびっとしか出しません。ほとんどγ線だというふうに言われてるのは、セシウムが壊れてすぐにバリウムというものになります。バリウム134、137という物質になるんですが、これがわずか2分ちょっとで崩壊して、違う物質に変わるわけです。その時にγ線をドーンと出すんです。セシウム137は半減期が30年、134は2年というふうに言われております。
 これが半分の量になるっていうのが30年や2年というわけなんですが、かたや、バリウムになるとわずか2分程度でγ線を放出して違う物質に変わるということで、ほとんど平衡状態になってるわけです。バリウムの量=セシウム量と一緒になってしまうから、ここから出てくるバリウムの量と出てくるγ線は、セシウムから出てきたとみなすことができるので、γ線放出核種のようにいわれてるんですが、実はβ線です。実はβ線放出核種です。
 これらのβ線の影響というのが、もしかしたら効いてくる可能性も今後あるわけです。


 続いて、もう一つ。放射線の種類によって違うシーベルトなんですが、もっと大変なのは、実は臓器の中でも放射線の種類によって、実は影響が異なるということです。
 それをちょっとご紹介しますと、例えばこの結腸、肺、胃っていうのは、0.12というふうに出てますよね。これはICRPの2007年度版でも同じです。生殖腺は0.20~0.08に落ちました。組織荷重係数というものがあります。全く影響を示さないものとしては、他の臓器がありまして、これらも何らかの影響があるかもしれないということで、全部足し合わせて1になるようになっています。だから、実は臓器ごとの被曝線量を求めて、その臓器ごとに被曝線量を出して足し合わせたものがシーベルトという単位になるわけです。
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 ちなみになぜこの0.12という高い数字になるかというと、これは細胞増殖回数、細胞分裂回数が大きい組織ほど放射線の影響が大きいというふうに言われています。また、未分化細胞、肝細胞ですよね。よくiPS細胞というのが最近言われてますが、このなんにでも変わる万能細胞は、実は放射線の影響が強いんだというふうに言われています。これは1906年にフランス人の研究者であるベルモニーさんとプリモンドさんという方が、ねずみの精子に放射線を当てて実験をした結果導き出された実験則なんですが、この実験則でいうと、骨髄や結腸というのは細胞分裂が非常に大きいんです。東海村臨界事故の時にお亡くなりになられた方は、輸血が始まります。これは直腸や結腸というものが???が壊されて、もう表面がズルズルにずる剥けになってしまって、そこから血液が漏れ出てる症状というので輸血が始まるわけです。こういったことで、白血病の話がありますね。広島・長崎では白血病が出ました。それは赤色骨髄細胞というものが背中のあたりにあるんですが、主には白血球ですが白血球を作る細胞というのが骨髄になります。この細胞がやられてしまいやすいということで影響が大きいんだというふうに言われています。
 ではなぜ2007年度勧告では生殖腺が下がってきたかといいますと、これは遺伝的な影響がほとんどない、確認されてないから、生殖腺の影響はほとんどないんだ、あまり大きくみなすことはないんだということで下げられました。
 これは僕は異論を呈します。というのは、これ、実は広島・長崎で被爆者から生まれた子供というもの、これは第2世代。第3世代というのは、この被爆者の子供から生まれた子供が第3世代ですが、彼らは実はほとんど遺伝的な影響というのはありません。出てないです。これは自然発生率の中で出てくる遺伝的な影響はもちろんあります。その中から明らかに超える数字が出ていない。だからこそ、遺伝的な影響はほとんど無いんだということで下げられたわけですが、でもこれは、僕はICRPは間違いだと思っています。なぜならば、これは放射線遺伝学という学問があるんです。この放射線遺伝学の中では、既にもう結論が出てるんです。被曝をした人たちというのは、実は遺伝的な影響が出るのは普通に被曝をすれば数十世代後に出るというふうに言われています。数十世代ですよ?だから、何千年も後に出て来る可能性があるんです。
 だから、第1世代、第2世代、第3世代では出ないということを知っているけれども、知っているから大したこと無いんだといわんばかりに、こうやってリスクを下げてるんです。
 今回のような福島第一原発やチェルノブイリの事故。こういった場合には、遺伝的な影響が出るのは早くて5世代以降だと思います。でも普通に考えて10世代以降だと我々は考えています。
 実際に遺伝的な影響が出るといっても、目に見えないとか手がないとか、身体の部分の一部が欠損してるというようなものではありません。本人すらも、周りの人すらも全然気づかないレベル、ほんのちょっとした・・・例えば、かけっこでいえばちょっとだけ足が遅かったり、ちょっとだけ??が遅かったり、ほとんど自分自身も影響がなく健常人とほとんど変わらない状況でまずは出現するだろうというのが、1970年代に遺伝学の大家、日本では遺伝学の父と言われている木村??先生という先生がいらっしゃるんですが、その先生が本の中で言われています。こういった遺伝というものは、実は長い長い年月を経て出てくることです。


 ちなみに、つい最近、今年の8月ですが、NHKの子供科学ラジオ電話相談に出たんですが、その中で虫の質問が出たんです。
『ノコギリクワガタとコクワガタを飼ってます。これが交尾をしてノコギリコクワガタはできますか?』
っていう問題だったんです。
「う~・・・きっち~!」
と思って僕は放射能で良かったと思いながら聞いてたんですが、実は僕も答えが「できない」です。これは「できません」。残念ながら、これは交配ができません。でも、よくよく似た近縁種、ライオンと虎が交配すると、レオポンというものになります。(これは間違いで、正しくはライガー。ライオンとヒョウの交配がレオポンだそうです)例えばジャガイモとトマトをかけあわせてもポマトというものになるという話があります。こういった交配では第一世代しか残せないです。種の存続はできないです。だから第2世代ができないというふうに言われています。かけあわせた交配によっては子供はできるんですが、その次に遺伝的にずっと持ち合わすことはできないです。これが種の保存というものなんです。固有種というものは、きちんとその種の存続をしなければならないということで、突然変異はほとんど好みません。でもその中で突然変異ができて、その突然変異が遺伝的に伝わるということになれば、それはものすごい弱い影響でしか遺伝的影響としては出てこない。でも、それが出始めると弱い種族が出てくるわけです。この弱い種族が出会う確率が今度出てくるというのは、交配が続くとどんどん弱い遺伝を持った人たちが増えていきます。そうすると、数十世代以降、数百世代後には、ものすごい弱い影響が顕著に表れた人類が出てくることになります。だから人類の滅亡というのは、もしかしたらそういうところから始まるかもしれないと。
 遺伝的はお話はこういったことなんです。だから、こういったことを正しく理解せねば、広島・長崎のときのように奇形が生まれるというような話が出てくるわけです。ほとんど奇形が生まれてくるとしても、これはゼロではありません。出てくるのはあります。チェルノブイリでもでてきたという報告は受けてますが、この中ではほとんどは、出てきても生命維持が出来ないような形で、1週間後には死んでしまうような状況が多いわけです。そのほかには、直接的に非常に大きな遺伝を持った人が出てきましたっていう話をしますが、その自然発生率がいったい何%かっていうのは、事故前から調べなければいけないのですが、調べられてない。ほとんど判らないわけなんですよ。あたかも見てきたかのようなことを言いますが、科学的に言えば実は、実験的に実証された遺伝学の中では、直接そうやった遺伝的欠損を持った方々が生きながらえるくらいのレベルで出てくることは、ほとんど・・・ごくごくわずかだと思います。中にはいらっしゃると思いますよ。ゼロではないと思いますが、数学的にゼロでないというだけなんです。
 じゃあ実際にはどうなのかというと、ほとんどが被曝をされた場合生き残れないと判断すると、流産になってしまうというのが我々の身体なんです。
 そういったことをきちんと理解しなければいけないなと思います。


 ということで、実際にシーベルト、この一つ一つをとっても、放射線の種類によってもその影響は違う。また臓器によっても影響は全然違うんだということで、放射線の種類を掛け合わし、さらに組織の影響する感受性の違いというものを掛けあわせて、初めてもともとの放射線のエネルギーを掛けあわせることでシーベルトというものが出てくるわけです。それを全ての臓器を足し合わせて出したものが、この実行線量、シーベルトという単位になるわけです。だから、簡単にシーベルトというふうに使われるんですが、実は大変な計算をしなければならないということなんです。
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 今回の場合、より複雑にしてるのは、チェルノブイリほどではありませんが、β線の影響の寄与率を考えて、更にγ線の寄与率も考える。それからそれぞれの組織の寄与率も考えた上で出してくるっていうのが、本当の正確な値なので、実際に???されてるのは簡潔に簡略化された計算式から求められたもので、きちんとした精度の良いものではないということを皆さんも理解してください。
 ということで、ちょっと話がだいぶ長くなってしまいましたが、もう一つは、放射能というのは実はこの地域を含めて、広く薄くではありますが、一度は汚染され被曝をしましたよっていうことを理解してください。
 皆さんにお配りしたレジュメですが、この中で一つだけ今日文書をさっきちらっと見てたら間違いがありました。
『燃料棒を覆う金属の一部から水素が発生する』
というふうに書いておりますが、それは間違いです。訂正して線を引いておいてください。 実際はどういったものかというと、燃料棒を覆うジルコニウムという金属が通常原子炉っていうのは加圧された状態、圧力容器によって中で冷却されてます。だからその水というのは100℃以上で水の状態を保っています。通常240℃だというふうにいわれていますが、この240℃ではジルコニウムに触れても水素は発生しないんですが、ジルコニウムが900℃を越えた場合、水と反応して水が酸素と水素に分れるらしいです。この水素濃度が4%を超えた時に、大気中の酸素と触れ合うことで大爆発が起きる。これが水素爆発なんだということです。
 ちょっと誤りがありましたので訂正しておきますが、これは『ジルコニウムという金属と900℃以上になった水が触れ合った場合、水素が発生する。その水素によって大爆発を起こすのが水素爆発なんだ』ということです。


 不幸にして、これは皆さんご存知のように全交流電源喪失という事態になりました。冷却水を冷やすための外部電源が全部津波によってショートしてしまいました。そのおかげで、冷やす能力がなくなって、どんどん空焚きの状態になって、わずか十数時間後にはメルトダウンが起きたと言われています。メルトダウンが起きたんですが、チェルノブイリと全然違うのは、チェルノブイリは原発の構造が違うというのがまず一つ。もう一つは、その構造の中に圧力容器という安全構造を持っておりません。だから、チェルノブイリの場合は一気に水素爆発じゃなくて水蒸気爆発。水とメルトダウンしたドロドロに溶けた燃料が触れ合った瞬間に、一気に水の体積が膨張し、水蒸気になってその水蒸気が150トンもの重さがある蓋、原子炉釜を取り付けてある蓋、ちょうどイメージはこの白いぼんぼりみたいなものですね。こうやってぶら下がってたんですよ。このぶら下がってるこの状況、蓋が150トンあるのですが水蒸気が持ち上げたんです。グーッと持ち上げて、大気と触れた瞬間に今度は大爆発をしたということで、水素爆発じゃなくて水蒸気爆発であるというふうに言われています。そのためにこのぶら下がってたのは燃料棒だと思ってください。これが大気中に大量放出されたのがチェルノブイリです。
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 ところが、ここは圧力容器というもので守られてたものが、圧力容器はメルトダウンによって溶かされました。でも、水素爆発はしたけれども水蒸気爆発を起こさなかったために、圧力容器はそのままの形で残っています。だから、原子炉の内部の核燃料というものが大量に放出されることが無かったということで、実はチェルノブイリと福島の事故というのは大きく違うんだということをご理解ください。
 ただ、原子炉建屋、格納容器は大爆発をして壊れました。そのため、大量の放射能が出てきて、家々を汚染し、また山々を汚染していきました。家を汚染したことで帰ることができないような方々を生み、また食品の汚染にも繋がっていったわけですが、更に不幸な出来事は、山を汚染した放射性物質が表面にくっついた状態になったんですね。これが雨によって洗い流されて、川を汚染し、更には河口を汚染し、海を汚染してしまったんだという事実を理解してください。


 これから見せる衝撃的なお話ですが、実は早い時期にもう放射能は長崎に到達してるんです。静岡じゃないですよ。静岡は300㎞、400㎞くらいの圏内だと思うんですが、遥かに超えた2000㎞くらい離れた長崎で、もう既に3月の時点で放射能は到達しています。これを計測したのは、長崎大学の僕の親友で、常に僕のデータを分析して未だにずっと二人羽織で調査をしている高辻俊宏先生が解析してくださったんですが、彼は事故前からずっとエアロゾル、大気中に浮遊してる粉じんを集めて、その粉じん中の放射能を測るという仕事をしてました。更に、これは中国大陸から飛んでくる環境汚染物質をしらべるということもやってたんですが、この放射能が長崎に到達しているんではないかということで、彼が分析した結果、ただこれを指導していた大学院生の仕事だったんですが、出来が悪くて・・・事故直後から測っていればヨウ素が判ったんですが、ヨウ素が未検出のままだったんです。
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ヨウ素が全部飛んでしまった後に見てしまった残念な結果なんですが、この赤い部分がセシウム134で、青いのが新たな放射性核種ですが銀の110Mというものです。Mというのはメタステーブル、準安定状態というものなんですが、銀の110Mというものが出てる。更にはセシウム134が緑色で出ているわけです。後の紫色の鉛の210というのは天然中に常に存在するもので、それはほとんど差が無い。でも人口放射性核種は、量の最大値が昨年4月6日から13日のこの1週間で長崎市が最大ピークを迎えました。この有り得ない話をしますと、この塵、1㎏に換算して計算すると、飯舘村の蕨平、僕が3月28日に入った時は40マイクロシーベルト/時を越えている地域です。この飯舘村の蕨平の0~5㎝の土壌とほぼ匹敵するくらいの放射能が飛んできているということになりました。
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 ということはですよ?これは皆さんのこの地域でさえも一度は汚染されてしまったんだということを認識してください。
 なぜなら、京都の五山の送り火、大文字焼きですよね。あそこで岩手県の陸前高田市の薪が「放射能で汚染されてるから焼かない、燃やさない」と言ってやらなかった京都市の判断がありますよね。こういったことっていうのは、実は愚の骨頂で、実際にはそれ以上の放射能は既に到達してるんだから、ほんのわずかしかでてない放射性物質を怖がって、
「琵琶湖の水が汚染される」
「もう既に汚染はされております」
というのが僕の結論なんです。こういったことが風評被害として、明らかに風評被害として出てしまうというのが胸の痛むところなんです。これをきちんと科学を持って否定をせねばならない。当初からずっと言っていたんですが、やはり伝えるということっていうのは、なかなか難しいことで、全国的には伝わらないからそういうことが起こるんですが、こういったことは言ってました。
 実際に、どこの地域でもきちんと測れば、今回の原発事故由来の放射能っていうのは検出されるわけです。こういったことが実際にはありました。
 更にですよ、これ、今年の2月2日、3日と釧路にある北海道教育大学釧路校というところで、放射線教育を二日間やりました。そこで最終日の最後の時間に、
「皆さん、じゃあこの地域が放射能で汚染されてるかどうか調べてみましょう」
っていうことで放射能を測定したんです。そしたら、やっぱり線量計上がるんですよ。しかも、足ふきマットや思わぬところで上がるっていうことは、これは放出されたものがやっぱり浮遊してきてるってことなんですね。
『釧路でも起きてる。長崎でも起きてるということは、これは広く薄くではありますが、全国で放射能に汚染されたんだということを認識せねばならない時代に来たんだ。放射能汚染時代だ』
ということを理解してください。


 だから、この静岡。実際にちょうど海側を通る風によって、実はお茶が汚染されましたよね。あれはただの付着じゃありませんよ。汚染も吸収もされてるはずです。だからこそ、実はこの静岡だって同じことなんだと。一緒に考えて、同朋のために考えていかねばならないと思います。
 これ3月15日、北西方向に吹いた風っていうのは、飯舘村を襲って、更には僕が避難させた浪江町の赤宇木集会所に居た人たちも被曝しました。そしてさらには福島市や郡山市も汚染されたんですが、この汚染状況というのは、3月15日の夕刻です。「じゃあ朝はどうだったの?」っていう疑問が出てくるじゃないですか。その答えをちょっとお見せします。
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 これは実は海沿いの風が吹いたんです。南側の風がグイッと吹いて、なんと海を通過して千葉県を経由して、ずーっと流れて静岡県の方に実は流れてるんです。これは一例です。風の流れも当然皆さんお分かりのように、様々な方向に吹きますよね。だから、この風の一部、しかも一番濃い放射能が含まれた風がこちらにも到達したんだと思います。ここは3月15日の午前10時、東京に最大の放射能が到達したとき、たまたまそれを検出しました。それをさっき言った大気中の塵を集めるハイボリュームエアサプラというもので集めて、それを京都大学原子炉実験所の小出さんの方に送って、小出さんによって発表してもらいました。
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 その時は、東京都でも1マイクロシーベルト/時を超えてるわけです。実際に朝早く、放射能はいわきを通過したんです。昨年3月の23日から30日にかけて、原子力保安院は子供たち1200名に対しての甲状腺の簡易検査をしたんです。その中で、最大が35ミリシーベルトのお嬢さんが見つかりました。これは小学校4年生のお嬢さんなんですが、なんと飯舘村や浪江町とかそういったところではございません。最大の放射線被ばくをしたお嬢さんは、いわき市です。いわきは今現在、空間線量率0.1くらいです。非常に低いんです。なんでこういったことが起きたか、皆さんも3月15日から3月30日まで思い起こしてください。これは絶対皆さんには大切なことです。ここ汚染地域なので思い出してください。思い出す方法は、震災が会った時からずーっと遡って計算していくんです。そうすると、震災の時は絶対覚えてますから、震災直後からどうだった、ああだったという話をみんなとお友達と一緒に話していけば、その時の3月15日の状況が出てきます。そういったことで思い出して書き留めておくっていうことが大切なことですが、実は、この日の気象条件が左右するんです。この日、雨が降った地域、雪が降った地域は、飯舘村、福島市、郡山市です。これらが汚染を拡大しました。土壌を汚染させた原因です。更に、いわき市はその時間帯雨も雪も降らなかった。表面を通過していったんです。だからこそ、土壌汚染が少なかったから、空間線量率が今のように0.1なわけなんです。こういったような状況で、この静岡市が静岡県が気象条件がその時どうだったかということで汚染レベルが決定されるわけなんです。
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 だから、実はこのいわき市で見つかったお嬢さん。放医研がこのデータをもとに計算した結果は35ミリシーベルト。これは3月12日から爆発が起きた事故が起きた時点から、3月30日まで、食品が汚染されたとして毎日経口摂取をしたときの計算でやったら、35ミリシーベルトです。でも、私は二本松市で今5000人を越える人の内部被曝調査をしました。その結果で、事故から早い時期の段階の方々は、外に居た時間に比例して内部被曝量が変わる。ということは、これは食べ物じゃなくて呼吸から入ってる。肺による吸入摂取被曝=呼吸からなんです。だから、吸入によって摂取したときの被曝線量でお嬢さんを計算しなおしました。その結果、甲状腺部分での被曝量は80ミリシーベルトです。
 これは1200人という簡易検査で、ちょっとした簡易検査です。氷山の一角であって、もっともっとたくさんの人が被曝をしてる可能性があります。そういった状況というものがまだ見えてこない。これで、
「じゃあ影響があるかどうか?」
「ほとんどないでしょう」
とは言えないんす。「ある」と僕は思っています。出てくるかもしれません。
 実はおととい、双葉町の井戸川町長と3時間ほど対談してきました。双葉町は帰りません。原発の敷地を持ってる町ですから、汚染が高いです。福島弁でお話すると、
「先生、俺ん家は、庭先で60マイクロまだあるんだ。でもよ、墓はよ、200マイクロ超えてんだよね」
「有り得ない」
「先生、これは帰れるのけ?」
「帰れるわけねぇやないか」
とはっきり答えています。
「無理です。帰還困難です。」
っていうふうに言ってるんですが、この双葉町の方々や町長は、実はもうまことしやかに町長は胃の一番に逃げて、住民を置き去りにしたんだと言っていたんですが、実はそうではなくて、彼は最後まで残ったんです。残った状況の話を聞いていきました。

 なんと、あの建屋を覆ってる断熱してるブラスウール、ふわふわの黄色いやつですね。このふわふわのやつが、音もなく深々と降るさまを見たそうです。これは原発から8㎞離れたところ。それが雪のように深々と降るさまを見ながら、全員が呆然と立ち尽くしながら、町民も役場の職員も逃げてるんですが、残った人、警察や自衛隊、町の残ってる人たちや病院の先生方は、その風景を見たらしいです。
「この中でどれだけ放射能が飛び出たかわかんねぇんだよね。俺もちょっとおかしいんだ」
って言ってます。
 ということはですよ、本人に言ってません。許可も得てません。でもね、これは事実です。こういったことが直近ではあったわけです。こういったところで、もしかしたらまだまだお子さんでも見つからないけど、これから出てくる可能性はあります。
 通常であれば、チェルノブイリのほうでは4年後に甲状腺ガンが基準値・平均値を越えて優位になったということで、放射線の影響が4年後から出たというふうに言われています。でも、これは事故当時の検査技術が発達してなかったということも含めて考えますと、もうちょっとしてから出てくるんじゃないかと。今現在調べたものは、ちょっと影響が出るのが早すぎるんじゃないか。もし出るとすると、よっぽどの影響がないと出てこないです。更に、チェルノブイリで甲状腺ガンになったり、甲状腺の良性腫瘍になった方々というのは、実はヨウ素欠乏症の地域なんですね。これは海から遠いから、ヨウ素が入ってこない。ところが日本は海洋国家です。要素がたくさん含まれてるんで、もともとヨウ素は多く含まれてる上に、放射性ヨウ素が取り込まれるということで、取り込み量が違うんじゃないかというふうに見てる学者さんが結構多いです。僕もそれはあるかもしれないなと思いますが、ただ可能性を捨ててはないし、もし影響が出た時の対応はせねばならんと思って、甲状腺検査というのをこれからいわき市でやろうとしています。いわき市で僕は放射能測定所のジェネラルアドバイザーっていうのをやってますので、放射能汚染による甲状腺検査への指導をしてやっていこうかというような話をしてるんですが、そういった地域ではまだ出る可能性があります。だから、今出てる方々っていうのは、自然発生率の中に含まれるかもしれません。でも36%、甲状腺になんらかの障害があるのは、これは今まで調べてないから判らないけど・・・多いのかな・・・ちょっと怖いかなっていうのが正直なとこなんですが、放射線によってガンになるっていうのは、かなり時間が経って出てくる晩発性障害だというふうに僕らは習ってたんですよね。だから、この中で出てくるというふうになると僕はあんまり考えてないんですが、これは今までの学問と、これから新しく調べていって判るものには違いがあります。だから、「学問上ではこう考えられます。でも出てくる可能性はゼロではない。だから出てくるんだったら、証拠をきちんと出さないといけない」というのが学者の務め、役割じゃないかなというふうに思っております。
<2-3終了>

この後非公開で二本松市の状況のお話があったあとに質疑応答があるのですが、割愛させていただきます。
ただ、その中で「甲状腺検査を断られた場合、どこに行けばいいか?」という親御さんの切実な質問に対し、木村先生は、
「医者ではないし、僕の範疇ではないが、聞いたことがあるのは民医連(共産党系)では検査を受けてくれる
という趣旨で回答されていました。詳しくは、9月23日【内容起こし】木村真三氏:市民科学者養成講座『福島県の放射能汚染の実状』@静岡【その①】の三つ目の動画をごらんください。

お役に立てれば幸いです。

失礼します。
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