※この記事は、5月8日 新大綱策定会議:原子力推進側だけに開示、意向により議案を外していた「地元地域の定義の論争をしたくない」などに関連しています。

原子力政策大綱の策定中止へ 政府のエネルギー戦略受け
共同通信(2012年10月 1日)
 国の原子力委員会(近藤駿介委員長)が、原子力利用の基本方針となる「原子力政策大綱」を今後策定しない方針を固めたことが1日、分かった。早ければ2日の定例会議で正式決定する。

 大綱の策定は原子力委の最大の任務だったが、政府が9月にまとめた新たなエネルギー・環境戦略で「新たな原子力政策はエネルギー・環境会議の場を中心として確立する」との方針が示されたことを受け、策定作業を中止する

 戦略は原子力委そのものについても「その在り方に関する検討の場を設け、組織の廃止・改編も含めて抜本的に見直す」としている。

 大綱は、前身の原子力研究開発利用長期計画(1956年~)と同様に5年をめどに改定してきた。2005年に定められた現在の大綱は、原子力が30年以後も総発電電力量の30~40%程度以上を担うことや、50年ごろの高速増殖炉の商業化をうたっていた。

 現大綱の見直しは10年末から策定会議で議論を開始したが、東京電力福島第1原発事故で中断。昨年9月に再開したが、原子力委が電力業界など推進側だけを集めた勉強会を開いていた問題などを受け、今年6月に再度中断に追い込まれていた

 原子力委の近藤委員長は、新戦略決定を受けた9月の定例会議で「大綱策定会議は店じまいしていいかなと思う」と発言。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/10/post-6810.html

原子力策定大綱の会議がストップしているのは知っていたのですが、まさか策定を止めることになるとは思っていなかったので、少々びっくりしております。

この新大綱策定会議というのは、日本でいかに原子力を進めていくかという趣で政策を作っているという認識でした。
以下のような記事も出ていたため、無理やりにでも形にするんだろうと思っていたのです。

原子力政策大綱:原子力委だけでの策定を検討
毎日新聞 2012年08月29日 15時00分(最終更新 08月29日 15時05分)

 原子力政策の基本方針となる「原子力政策大綱」の改定を巡り、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長含め5人)が、審議途中で中断している有識者会議「新大綱策定会議」を再開させず、原子力委員だけで新大綱を取りまとめる方向で検討していることが分かった。委員の任期が満了する12月までに十分な審議時間が取れないことを主な理由にあげている。策定会議には原子力政策に批判的な有識者も含まれており、核燃料サイクル政策を巡る「秘密会議」問題で原子力委の公正性が疑問視される中、中止はさらなる批判を招きそうだ。

 新大綱策定会議は近藤委員長を議長に10年12月、原発立地自治体の首長や財界関係者のほか、原子力政策に批判的な識者を含む計26人で発足した(現在は27人)。東京電力福島第1原発事故による中断後、昨年9月に再開し、1年後の今年9月をめどに新大綱をまとめる予定だった。
http://mainichi.jp/select/news/20120829k0000e040226000c.html
 ところが、核燃サイクル政策を議論する原子力委の小委員会が原発推進側だけを集めた「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題が発覚。策定会議メンバーから原子力委の議事運営自体に批判が噴出し、5月29日の会合を最後に審議が中断された。その際、近藤委員長は、電力会社や研究機関など推進組織を代表する委員を策定会議の正式メンバーから外し、人選をやり直すことを明言していた。

 一転、策定会議の中止を検討している理由について、近藤委員長は毎日新聞の取材に対し
▽将来の原発比率や核燃サイクル政策を決める政府の「エネルギー・環境会議」の決定が遅れており、原子力委員の任期満了までに審議時間が足りない
▽大綱に必要な主要論点は5月までの会議で各委員の意見を聞いた
−−ことなどを挙げた。ただし、公正さを保つため、新大綱策定後に有識者の評価を受けることも検討しているという。
http://mainichi.jp/select/news/20120829k0000e040226000c2.html
 策定会議委員の浅岡美恵弁護士は「福島第1原発事故で原子力委員会の役割そのものが問われている中、秘密会議問題で信頼を失っている現原子力委員が、将来にわたる政策決定の中核を担うべきではない。原子力に批判的な委員がいない状況では、この間の国民的な議論が反映される保証もない」と批判している。【阿部周一】

 ◇原子力政策大綱

 内閣府原子力委員会が今後10年間程度の原子力政策の基本方針を定めるもので、約5年ごとに改定、閣議決定される。改定にあたっては従来、広く意見を聞くため原子力委の下に有識者会議「新大綱策定会議」を設置し、議論を踏まえてきた。05年に策定された現在の大綱は原発比率を30〜40%以上とし、原発の使用済み核燃料をすべて再利用する「全量再処理」路線継続も盛り込んだ。
http://mainichi.jp/select/news/20120829k0000e040226000c3.html

しかし、ここにきて策定そのものを止めるということになった・・・ということは、実質的に総合資源エネルギー庁の基本問題部会がより重要になったということです。そこでの話し合いが今後のエネルギー政策をより具体化していく中で、いわゆる『専門家』によってい議論・討論される機会になり、政治家がエネルギー・環境会議でその結果を吸い上げて、政策という名の政局に利用していく構図になります。
さらにしかしながら、総合資源エネ庁の基本問題部会(専門家)の討議がエネルギー・環境会議(政治家)でちゃんと吸い上げられているかというと、私は全く同意できません。

原発比率のパーセンテージに重点を置かれた選択肢の提示、国民的議論の結果に対する処遇、その後の『2030年』から『2030年代』への目標期間変更、その革新的エネルギー戦略(案)すら閣議決定せずという流れを見るに、どういう流れで何を決めるのか、どこまでの権限でどこまで制約するのか、いち国民の目にはより一層判りずらくなりました。

せめて革新的エネルギー戦略(案)を閣議決定してくれていれば、新大綱と同等なのかなと思えたはずが、現在の民主党政権はそれすら出来なかったのですから、事実上の先延ばし、棚上げといってよいと思います。

要するに、今の日本では『決めるためのプロセスすら決まっていない』ということ。

確実に迷走していると思います。

失礼します。
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