小出先生が出演されるたね蒔きジャーナルは、今日が最終回です。

20120927 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章



【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の二木かずおさんと一緒にお話を伺います。
 今日は、小出さんのこの番組へのご出演が最後の日になりますので、リスナーの皆さんからの質問をできるだけ伺っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
(小出氏)よろしくお願いします。
(千葉氏)早速参ります。リスナーからのFAXの質問です。
『9月25日の新聞で、東京電力は24日、福島第一原発から大気中へ放出されている放射性セシウムの量が、9月も1時間あたり1000万ベクレルと推定されると発表したとあります。この数字はどのように見たらいいんでしょうか。教えてもらえませんか?』
という質問です。
(小出氏)1000万という数字を聞くと、皆さん、それが膨大な量だと多分受け止められると思いますが、事故直後はそれのまた10億倍というような放射能が流れてきていました。2週間くらいのトータルですけれども。 
 今現在でいうなら、事故直後に出ていた量の多分100万分の1とかそのくらいまで低減しているということだと思います。
(千葉氏)100万分の1まで低減しても、1000万ベクレルですか?
(小出氏)そうです。1時間あたりですね。
(千葉氏)これは本来大気中に放出されてはいけないものですよね、もちろん?
(小出氏)もちろんいけません。1000万ベクレルというような放射能を毎日毎日・・・四六時中出すなんていうことは、通常は有り得なかったことですけれども、今現在は残念なことに、福島第一原子力発電所がもうボロボロに破壊されてしまっていますので、この程度の放射性物質が出てくることは、もうやむを得ないと思うしかありません。
(千葉氏)うーん・・・。もうこれを止めるすべというのは、今のところ・・・
(小出氏)今のところはありません。事故当時に比べれば随分減ってくれていますので、なんとかこれ以上また劇的に出るようなことを防ぐということができることの精一杯です。
(二木論説員)人の身体への影響というのはどうなんでしょうか?
(小出氏)もちろん放射能ですから、影響は必ずあります。
 ただし、今聞いていただきましたように事故直後には猛烈な放射能が既に出てきてしまっていて、その出てきた放射能が大地そのものを全部汚してしまっているのです。それから受ける被曝に比べれば、今現在福島原子力発電所から出てきている放射性物質の量は、随分少ないと思いますし、そちらを心配するよりは既に自分たちの周りを汚染してしまっている放射性物質を心配したほうがいいだろうと思います。
(千葉氏)もうそれくらいたくさんのものが出てしまっているということですね?
(小出氏)そうです。
(千葉氏)・・・わかりました。
 じゃあ次の質問参ります。こちらのリスナーから。
『ウランの原料の産出の寿命は、厳しい評価であと17年、日本の電気事業連合会ではあと70年、平均でおよそ30年程度で終わりというのが専門家の評価だと聞きました。ウランという原料が非常に少ない原料で、あと30年程度で生産できないということは、いずれにせよ原子力発電はやめなければならないということですよね。「2030年にゼロにする」のではなくて、「ゼロになる」というのは必然だということになりませんでしょうか?』
という質問です。
(小出氏)「ゼロになる」のは必然です。それは何年後に来るかということで、日本の原子力関係者は70年という数字を出してるわけですし、もっと小さな数字を出している世界の団体もあります。いずれにしても、数十年という期間が経てば原子力発電の燃料であるウランは無くなってしまいます。地球上にあるウランは、なかなか貴重な資源であって、かって考えられたように「石油や石炭が無くなってしまうから次は原子力だ」というのは全くの間違いでして、ウランは石油や石炭が無くなるもっとずっと早く前に無くなってしまいます。
(千葉氏)そしたらば、その後にはもう膨大な放射性廃棄物・・・何万年も付き合わなくちゃいけないような放射性廃棄物が残るだけということになるわけですか?
(小出氏)そうです。私たちの世代・・・次の世代も何がしかそうかもしれませんが、何十年かという期間の間だけ原子力発電を利用するわけですが、それが過ぎた後の何十万年、何百万年の世代は、私たちの世代が生み出したゴミだけを押し付けられて過ごさなければならなくなります。
(千葉氏)未来の人たちに、その重荷を負わせ続けるということになるわけですね。
(小出氏)そうです。たいへん倫理的な問題ですし、そんなことでいいのかということを今の世代がしっかりと考えなければいけません。
(千葉氏)はい・・・。
 では次参ります。次は千葉県にお住まいの方です。
『もし原子力規制委員会への参加を打診されたら、小出さんはお受けになりますか?できればお受けしてほしいと私は思っています。』
という質問なんですが、いかがですか?
(小出氏)すいませんが、絶対にお受けしません。
(千葉氏)あぁ・・・。それは・・・やはり・・・日本の政府というものが信用できないからですかね?
(小出氏)はい。もちろん政府は全く信用できませんし、議会すら私は信用していません。もともと日本の議会が原子力基本法というものを作って、
「これからは平和利用に限るけれども、とにかくどんどん原子力をやるんだ」
ということにしてしまったのです。そのもとで原子力委員会、原子力安全委員会、様々な組織が作られてきましたし、今度新しく原子力規制委員会というものになろうとしているわけですけれども、全ては原子力基本法のもとで「原子力発電を進める」という大前提のもとに置かれている組織です。いずれにしても原子力を推進するという方針に逆らうことは許されませんし、そのための手助けをしてしまうことになってしまいます。
(千葉氏)うーん・・・。
(二木論説員)そうすると、政府の方が「2030年代に原発をゼロに」という方針を示しましたが、それについてはどのようにお考えですか?
(小出氏)「2030年」・・・もともとは政府がパブリックコメントを求めて、「2030年」という時点でゼロにするのがいいのか、15(%)にするのがいいのか、25(%)にするのがいいのか、意見を言えと国民に求めたのですね。その結果、ゼロにするというのが圧倒的に多かった。それも2030年ではなくて、「即刻ゼロにする」のがいいという意見が大変多かったのですが、政府は思惑が外れたのでしょうが、「2030」というその数字をまた使いながら、それは今度は「2030年代」と言い始めたのですね。「2030年代」というのは、2039年の末までということですから、数字に直すなら2040年までということに、言葉の詐術だと私は思いますけれども、時間を更に流してゼロを目指すと言い出したのです。
 それも「閣議決定を始めはする」と言っていたわけですけれども、米国と財界からの横やりを受けて、閣議決定すらができないということになりましたし、次の総選挙でもし自民党が返り咲くようなことになれば、またまた「原子力をどんどんやるんだ」ということに結局なってしまいます。
(千葉氏)ではもう一つ質問参ります。リスナーの方からの質問です。
『放射線測定器を最近購入していろいろ測っているんですが、小出さんの「騙されたあなたにも責任がある」という本の中で、
「測定器を買って、例えば『1時間あたりここで1マイクロシーベルトという数字が出た、大変だ』というような使い方をしてほしくない」
とあるのですが、それはどんな意味からなのか答えが書かれていなくて気になっています。放射能は値が低いから安全だという測定器を持つことによる間違った認識をしてほしくないという小出さんの考えが込められているのかなと予想しています。
 実際のところどうなんでしょうか?』
という質問です。
(小出氏)はい。どうも言葉足らずの書き方になってしまっていたようで、大変失礼しました。
 ただ、私自身は放射線を測定するということを自分の仕事にしている人間ですが、その私が言うのは大変傲慢に聞こえるかもしれませんが、放射線を測定するということは大変難しい仕事です。それなりの知識も必要ですし、測る放射線の種類に合わせて、また特殊な測定器も必要です。
 最近皆さんがたくさんの放射線測定器というものをそれぞれに勝ってくださって、それぞれに測定してくださっているわけですが、あまり測定した値というもの自身が正しいと思ってほしくないという意味で、私はそこに書きました。
 例えば、10台の測定器を一つの場所に並べてスイッチを入れてみると、その10台は全て違う値を示すはずだと思います。それをまた別の場所に持っていってみれば、きっとまた全部別の値を示すはずです。
 始めの場所で一番高かった測定器が、今度は一番低くなってしまうかもしれないという、そのくらい大きな誤差のあるものです。
 ですから、出てきた数値が「0.5であった」、或いは「1であった」、その数値の絶対値をあまり気にしないでほしいと私は思います。
 ですから、お持ちの測定器を今この場所で測った、それを別の場所でまた測ってみた。さらにまた別の場所で測ってみたということをやって、どっちの場所が高いのか、どっちが低いのかというような測定の仕方は、多分何がしかの役に立つと思います。
 そういうことをたくさんの皆さんで、様々な測定器を使いながら、「どこが汚染が高そうだ、低そうだ」そういうことに使っていただくのが一番いいと思います。
(千葉氏)はい。判りました。
 小出さん、まだまだお伺いしたいことがあるんですけれども、ここで時間となってしまいました。
 これまでほんっとにどうもありがとうございました。
(小出氏)とんでもありません。千葉さん、長い間本当にありがとうございました。
(千葉氏)いえ、こちらこそ。本当に小出さんの話で、ほんっとうに大切なことを知ることができました。ラジオの向こうでも多くのお聞きの方々がそう感じていらっしゃると思うんですが、実はこんなメールも来ておりますので、これを最後の読ませていただきたいと思います。徳島県のリスナーから。
『不幸な出来事との引き換えにはなりましたが、あの日の前と後では、原発に対しての知識が大きく増えました。小出先生の解説はすごくわかりやすかったです。また、無念さからか、時折言葉に詰まってしまうところも印象的でした。
 知った以上は責任を持って行動したいと思っています。
 小出さん、本当にありがとうございました。』
というメールをいただいております。
 小出さん、最後にリスナーの皆さんに何か一言お願いします。
(小出氏)はい。ありがとうございました。
 こういうリスナーの方々に巡り合えただけでも、私は嬉しいです。今日で私はたね蒔きジャーナルという番組からはさようならをすることになりますし、たね蒔きジャーナルそのものも明日を最後に無くなってしまうということになるそうです。
 大変長い間、良い番組を守ってきてくださったスタッフの皆さんにお礼を申し上げたいと思いますし、お付き合いくださったリスナーの皆さんにも感謝したいと思います。
 これからも皆さんのご活躍をお祈りしております。
(千葉氏)あの、小出さん、今後も情報を発信していってくださいね、本当に。
(小出氏)はい。ありがとうございます。
(千葉氏)何度お礼を言っても言いつくせない気持ちですが、ほんっとにありがとうございました。
(小出氏)こちらこそありがとうございました。
(千葉氏)京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお話を伺いました。
【以上】

失礼します。
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