後藤政志さんが非常に判りやすく、これまでの経緯となぜストレステストの一次評価で再稼働が不十分であるかを解説してくださっています。

技術的なところは判りにくい箇所もあるかと思いますが、勉強しながらご覧ください。

どうぞ。

ストレステスト意見聴取会に関する公開意見書 -保安院意見聴取会の終了にあたって-
http://www.ustream.tv/recorded/25520831 (49:55)


意見書はこちらの後藤政志さんのブログで読むことができます。
⇒9/18 ストレステスト意見聴取会に関する公開意見書 -保安院意見聴取会の終了にあたって-
http://gotomasashi.blogspot.com/2012/09/918.html

【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(桑原氏) 
 みなさん、こんばんは。
 原子力資料情報室の桑原です。今日はCNIC Ustream、ストレステスト意見聴取会に関する公開意見書について、ストレステスト意見聴取会の委員であった後藤政志さんにお話をいただきます。
 予定では??技術者の会のかわいさんにもお越しいただく予定だったんですけれども、ちょっと急きょ予定変更になりまして、後藤さんお1人のお話をいただきます。
 昨日で原子力安全保安院が廃止になり、今日から原子力規制委員会が発足しました。それで保安院が廃止になったことで、ストレステスト意見聴取会も終了になってしまいました。それでこの節目に意見聴取会の委員であった井野博光さんと後藤政志さんが、保安院の課長であるいちむらさん宛てに『ストレステスト意見聴取会に関する公開意見書』というのを昨日送られました。
 これはですね、締めにあたり
「公開意見を提示いたしますので、HP上に公開していただくとともに、今後の原子力安全規制に関連する原子力規制庁に申し送り頂きますよう、特に強く求めるものです」
というふうにあります。
 本日はこの意見書について後藤さんにお話いただきたいと思います。
 それでは後藤さん、よろしくお願いいたします。

(後藤氏)
 みなさん、こんばんは。後藤政志です。
 ただいま紹介いただきましたように、原子力安全保安院のストレステストといいますか、総合的安全評価と称してますけど、その意見聴取会が昨年の11月14日から今年の8月10日まで、合計21回開かれました。そこで一番最初からいろいろありましたけれども、一応途中なんですね。全部意見聴取会、ストレステスト終わってないんです。ですけど、保安員が閉じるということで、原子力規制庁の方に移るということがありますので、一旦この途中であるけれどもその報告内容が保安院から規制庁、或いは規制委員会になりますかね。そちらに申し送られる、そういう関係なんですね。
 それにあたりまして、今まで審議してきた内容と意味合いにつきまして、井野博光さんと後藤が意見聴取会の委員の立場で、是非申し送りをしたいと、そういうことなんですね。
 なぜそれを申しますかと言いますと、もともと考えてみますと、このストレステストというものは、再稼働をやるための一次評価、一次評価というのは、「炉心が溶融するまで」なんですね。炉心溶融させないために一次評価をやってるんですけど、その地震・津波に対して評価をするということでやってきまして、そこで確認されたプラントについては再稼働がありうると、そういう趣旨だったわけですね。
 もともと再稼働ということについての議論はあるんですけれども、技術的な意味から特に安全性をどう見るかという観点から意見を申し述べるということできたわけです。
 あくまで再稼働ありきという、そういう趣旨ではおかしいんではないかと、そういう基本的な姿勢を持ったまま意見を述べてきたわけです。

 資料として出しました内容はここにちょっとございますが、原子力規制委員会及び規制庁のあり方について、中立性と透明性を求めると、こういう趣旨です。これは少し保安院といいますか、ストレステスト意見聴取会の委員の枠を超えている話です。ただ、この間ずーっとありましたように、ここにも書いてありますけれども、
「審議にあたって独立した公正な原子力の安全規制をいかに実現するか」
という観点から見ますと、事業者と密接な関係がある・・・JNESっていうんですけど、これは保安院の外郭団体のような形で動いてきたんですけれども、それと委員の中に利益相反、つまり電力或いはメーカーの立場に近いといいますか、利害関係のある人が委員としていた。そういうことから、非常に中立性、或いは公正な運営を疑われていたわけですね。
 それについて、ここはきちんとしなくちゃいけないというのをここで申し述べていることです。是非中立性を確保願いたいと。
 それは、現在も議論になってます規制委員会のあり方ですね。規制委員会そのもの、人事も含めたことも関係すると思いますけれども、やはり中立性と透明性がないと、原子力の安全は保てないのは自明なんですね。これは国会事故調の中でも厳しく追及してるということでもあります。
 さらに、意見聴取会につきましてはもう一つ申し上げておきますと、今年の始めだと思いますね。意見聴取会に傍聴者が一部不規則発言ということをしました。それに対して、傍聴者を排除しまして別室でビデオカメラで見せるという、そういう間接的な傍聴・・・傍聴になってないんですね。そういうことになりまして。それは確かに議論があって「とてもこのままじゃ進められない」ということから一旦、一度締めだしたわけですね。ですけど、それをそのままずーっと行っているわけですね。これはですね、もともと原子力安全保安院に対する不信感、やり方に対する不信感から皆さんが声を挙げたんですね。確かに不規則発言は良いとは言えないですけれども、そこでちょっと声を挙げたからって締め出して、それ以降ずっとやるというのは、それによって逆に原子力安全保安院はますます不信感を募らされてしまう、そういう格好になったんです。
 これは非常に反省すべきことでありまして、中立性・公平性という観点から、是非そういうことのないようにお願いしたいという趣旨のことを申し述べております。

 さらにですね、これは井野さんも私も申し上げていたんですが、第一回のストレステストの意見聴取会で協調してましたのは、あくまで審議にあたって是非実現してほしいということは、やはり審議にあたって客観的なデータの分析を中心とした専門家の議論がある程度必要なのですが、それと同時に、やはり市民を交えて意見を聴取するという方式がないと、これはいけないんだと考えています。
 なぜかと申しますと、原子力の安全性を議論するうえで、私たち、原子力の技術の関わる人間は、この原子力のプラントの特性はどうであって、地震とか津波にあったらどうなるんだ、その時に事故はどういうふうになりうるか、なったときに何が起こるか、どうなるか、被害の大きさ、そこまでは考え得るわけですね。そうしましたら、そこから先は「だから良い」とか「悪い」とかは、国民が、皆さんが考えるべき内容なんですね。専門家がそれを勝手にどうこうできる問題じゃないわけです。
 ですから、そこにきちんと・・・審議過程がわかって、それで意見を聞いていると言ってるんですけど、それよりもダイレクトに一旦??しながら、更に市民として、いや国民として皆さんが発言できる、聞ける、市民が参加してできる方式、これは非常に重要なんですね。このプロセスがないとですね、逆に言うと、なかったから今信頼されてないんですね。このプロセスを組み込んでなかったのは、非常に大きな問題だと私は思います。
 また同時に、原発再稼働の是非を判断するときに、科学的な検討をしていますね。その時に、もう一つの趣旨は、意見聴取会という中にも私もその中の一員として参加していたわけですけれども、専門の領域が狭すぎるんですね。議論をしていくと、津波・地震はもちろんありますけど、例えば建物に水がこう来たときに、原子力の専門家と言ってる人たちは、今まで建物が水に浸かるなんてことは考えたことがないわけですね。そうすると、それはそれまで建築、或いは船舶とかそういう分野の専門領域とか、いろんな他分野に渡ります。そうすると、そういうことの意見も聞いていく必要があるんじゃないかということを申しております。

 二番目に参ります。
 二番目は、「原子力の安全に関係する法律上の抜本的な見直しと、安全審査のやり直しを求める」ということです。
 これもですね、少しタイトルというのをもうちょっと上位なんですね。一番法律上の一番大事なところは、原子力基本法の第一条です。ここに、
『この法律は原子力の研究開発、及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源・・・国民の福祉・・』
というふうになってるんですね。あくまで『原子力の研究開発、及び利用を推進する』ということが基本法で明記されてる。ということは、今原発ゼロに向かって考えようというときに、これは間違っていますね。矛盾してますね。ここのところをきちんと変えないといけないということで、今いろんな法的な措置をとるという動きがあるわけです。
 これは非常に重要です。この部分が変わりませんと、これ以降の技術的な話っていうのは全部すっとんでしまうという関係になります。その上で、それを元にしますと、福島事故でこの原子力の推進自身を見直すべきだとってことが今明らかになって、世論がそういう方向になってるわけですから、ここのところを見直す。
 それと同時に、これから今回でてきました、今日立ち上がりました原子力規制委員会、或いはその下にできる規制庁ですかね、そういうところがやるべきことは何かというと、省令第62号って書いてあるんですけれども、これは既にここの部分は実質生きてないかもしれないですけど、省令62号と言われている部分、嘗て言われていた部分の中に、技術基準がいっぱいあります。その中に「安全設計審査指針」とか「耐震設計審査指針」とか「安全評価指針」とかこういうものがいくつもあります。そこが具体的に技術的な基準、或いは審査の内容を表してるんですね。その部分を今回の事故をもとに何がいけなかったかということは、単に「このプラントのここがいけなかった」というのではなくて、こういう指針に書いてあるところの何が弱かったのか、何を変えなきゃいけないかということを抜本的に考えなければ、問題の解決にはなりません。
 そういうふうにしないと、ひとつの「これは何がいけなかったか」という小手先の話になってしまうんですね。そういうレベルの事故じゃないんですね、福島の事故は。これは、事故の規模もあれですけど、事故のあり方として未曽有の事故になってるんですね。三つのプラントが1号機から3号機まで炉心溶融を起こしてる。4号機については、使用済燃料プールが露出。まぁ水素爆発があったわけですけど、そういうふうにしますと、基本的なところに戻る必要があるというのが自明だというふうに考えます。
 その上で、これらの抜本的対策をして、この事故で判ったさまざまな欠陥を審査に反映させる。その上で初めて「ではストレステストはどうか」とかそういう審査が入る。ということになります。
 もちろんストレステストだけではなくて、変わった部分の指針類を受けて、いろんな耐震上の問題とか他のプラント上のものがあります。

 ストレステストに話が入ってまいりますと、ストレステストは先ほど申しましたように一次評価と二次評価というのがありました。これは政治的な意味で、意図的に一次評価=炉心が溶融するまでですが、その一次評価に関してを再稼働の条件にすると。二次評価はそれ以降の話になっているということなんですが、そこは非常に問題があるということです。
 ここで言ってるのは、「一次評価と二次評価は一体のものとして実施すべきである」ということをストレステストの意見聴取会の中でも強く主張しておりましたし、これは意見の中では、むしろ意見の取りまとめ役をやっていた岡本委員、東大の先生ですが、岡本委員もそういうことを主張されていた。ですけど、
「この部分は政治的にもう決まって決定してて、一次評価をするというのは与えられた条件であるから、それ以上議論しない」
と、そういう形で進んできたんですね。

 それが何で問題あるかということをちょっと申し上げます。
 福島の第一原発の事故の経緯は、明らかに炉心溶融を起こして、更にその後に溶融物が下に落ちて、格納容器の圧力温度が上がり、水素が出て、爆発を起こしている。こういうプロセスを経てるわけです。しかも、1号から3号、みんな逝ってるわけですね。
 先ほど申しました使用済燃料プールのところですね。4号機は原子炉建屋が水素爆発を起こしてますから。今でも使用済燃料プールはむきだしですよね。こんな危険な状態になってるわけですよね。そうすると、この炉心溶融する手前の水素爆発っていうのは、炉心溶融しなければこんなもの絶対に起こりませんからね。そうすると、たまたま1基起こったんじゃないんですね。稼働してたものは3基全滅する形でいってるんです。
 というような大規模な、こういう複合的な事故の時に、一次評価をもっておしまいにするというのは、全く意味がわからないんですね。止められるわけないわけですから。その炉心溶融を起こした後も全部一緒にして評価していくのが当然なんですね。
 そうしますと、炉心溶融までの一次評価を対象として、二次評価を無視したまま再稼働の条件が整ったとすることは、福島事故から全く学んでいないと言わざるを得ない。これはもう前からずーっと申し上げていることです。
 こういう状態になっているということは、再稼働を強行したという中には、一次評価・二次評価の考え方、これが根底に非常にあります。
 技術的には、安全委員会もこれを否定してるわけです。否定というのは、
「一次だけで安全証明はできない」
ということは、元原子力安全委員会委員長の斑目委員長が言ってたわけです。それはもう、つまり技術者のほうでこの問題は共通してるんです

 こういうふうに共通してる問題を政治の立場で押し切ったのが、野田政権なんです。
 それは明確にしておかなきゃいけない。
 しかも、現在自民党の党首になろうと立候補されてる方達は、全部原子力に対してゼロということは考えないということをおっしゃってるわけですね。
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それはどのようにものを考えていらっしゃるのかということになります。
 少なくとも、私は技術的な問題で申し上げますけれども、判断の元になる技術的な評価についてきちんとした後でなければ、それを「安全である」とか「稼働していい」という議論にならないはずなんですね。そこは政治として決めることはおかしい。つまり、ここで言ってますのは、
「一次評価だけで再稼働に結びつけたのは、政府が決めた絶対方針」
なんですね。保安院はそれで審議を進めたわけですけれども、安全性に関して何をどこまで確認すべきか、政治ではなくて原子力安全規制側が決める問題なんですね、この問題は。
 ですから、その枠組みを政府が決めたこととして議論してはいけないということなんですね。政治が決めるということは、安全性の議論を放棄したことになってます。
 これが一番問題です。
 これは安全性の問題であると同時に、国際的に見た時に信用問題です。
「日本というのは、そういうレベルの国である」
と見られます。あきらかにこれは政治としておかしいことになってます
。科学技術の問題をどうやってコントロールするかということは、現代国家において最も重要な問題の一つなんですね。にもかからわずそれに対して、科学技術的に詰めないまま政治的に決着をするという、非常に信じられない状態になってる。
 これはよく言われますように、いわゆる太平洋戦争、第二次世界大戦の時の状態と今の状態を比較する方がよくいます。私もそういうことをアナロジカルに感じます。アナロジカルというのは、似たような形態とちょっと感じます。雰囲気が
 それは国策としてやるんだったら、客観的な問題を封殺していくわけですね。経済的・・・戦争でいえば、戦争の具体的な力関係はどうだとか、経済分析とかそういうことを無視して進んでいってしまうということになります。
 これが全く原子力について今、似たような構造にあるということが一つの考え方であります。

<18:00頃~>
 次に四番目に参ります。
 四番目は
評価基準がないまま実施するストレステストは安全性の証明にはならない。判断基準や指標を明確にすべきである
 これも最初から申し上げています。
 何かと申しますと、これはここに今書いてありますけど、津波とか地震にどれだけもつかわからないので、地震を設計基準地震動っていうんですけど、加速度で表しますね。例えば600ガル。600ガルというのは、大体980ガルが一次重力加速度なんでそれの3分の2とかそういうことですね。そのくらいの加速度、力を受けるような地震という意味です。それで設計してるわけです。ところが、それをどんどん上げていったらどこまでもつかを検討しました。
 という話なんですが、それを『福島並み』、福島並みの事故でもつかどうかという表現をしてまして、津波については特に『福島並み』っていう表現をとってまして、地震動についても、基準動の何倍負荷というのを厳密に特定できないものですから、1.8倍までもつとか2倍までもつとか、そういう評価をして、どこまでもつかというのまで示してるんですね。ですけどそれは、では「そこの地震動に来ることが無いのか、津波はそこまで来ることがないのか?」っていう議論に対しては、何もしていないわけなんですね。そこが問題なんです。
 そうすると、基準として単に「もちます」って言ってるんですけど、これは設計上の問題じゃありませんからね。あるストレステストで抽出して評価をしただけですから、最初にものを設計するときにここまでもつって保証があるわけじゃないんです。あくまで「重要だと思われるところをピックアップしてやっていったら、この辺までうまくいけば・・・理想的な状態ならばもつはずだ」とそういう議論なんですね。
 それをそのままストレステストの評価をして、地震だったら基準地震動の何倍、津波だったらそれを何m超えるとかそういうレベルだけでものを言ってるわけです。
 そうすると、明確な判断基準がないままにストレステストをして評価をしてるわけですから、それで判断のしようがないわけですね。
 ちなみに、私はどういうことを主張してたかと申しますと、判断基準としては津波とか地震の大きさではなくて、被害。最悪の事故が起きた時にどのような被害を受けるかということを示すべきであろうと。それをもって、例えば
「大飯3,4号機でこういう事故が起こったら、どういう規模の事故になって、半径何㎞くらいどういう影響を受けて、それは許容できますか?できませんか?」
という議論なんですね。そういうふうに与えるべきだというのが判断基準
なんです。
 ???ところで、ある面で技術的に一見見えるんですけど、技術的にもとじてないし、逃げてもいる。そういうことになります。
 ストレステストにおいては、こういう形式的な数字ではなくて、実質的な判断、基準、指標を使うべきだ。
 これは今私は、被曝というか被害の大きさのところにちょっと飛躍しますけど、直接お話しますけど、その前にそもそもが技術的な問題もいっぱいあるわけです。 
 例えば、技術的知見に関する意見聴取会というのがありまして、それが認めたのが30項目あります。その中には、後で詳しく載せますけど、既に確実に対策を実施する必要があるにも拘らず、そのまま実施しないまま再稼働した大飯3,4号機があります。
 例えば、格納容器ベント。格納容器の圧力が上がった時に、フィルタが無いと放射能が今回のように出てしまいますから、フィルタをつけるべきである。これは当然なんですね。今は各電力会社もフィルタをつけることを検討すると明記してます。ですけど、未だについてません
 それから免震重要棟というのは、事故が起こった時に地震、或いは事故の影響を受けて対策本部が無くなるわけです。本当はプラントの中にあるんです。それが使えなくなる。そうした時には、免震重要棟が非常に重要になる。そこが対策本部になるわけですから、その対策本部がなければいけない。これは福島の事故の反省なんですけど、にもかかわらず免震重要棟に相当するものは無い状態で再稼働してるんですね。
 つまり、これは二つだけ申し上げてますけど、①フィルタがないこと、②免震重要棟がない。これはわかっていて「やる必要がある」と言っておきながらやっていない。
 というのが1点。
 ただ、30項目の中を見ていきますと、実はこれだけではないんです。
 外部電源の問題。
 それから冷却系統の問題。これはアイソレーションコンデンサ=隔離復水器といいますけど。
 それから、逃がし安全弁。あとで少し説明します。
 それから水位計が効かなかった問題。
 こういう問題がいっぱいあります。この件は少し絵を元にお話をいたします。
 まずプラントの中の前に、地震動についてちょっと補足します。
 柏崎刈羽原発で、実は設計基準地震動というのは450ガルだったんです。ところが、実際の2007年中越沖地震では、1700ガル出てる。何倍もいってます。3,4倍。こんなことがあるのかってくらい大きくなってる。今見直して2300ガルにするとか言ってるんですけども、これは何か?ってことなんですね。
 それは、普通は活断層といって断層が見つかったら、その長さから計算して地震波が伝わってきて揺れがどれくらいある?加速度がどれくらいある?っていうのを計算して、設計してるんです。その時に、ここの震源、ここから上がってくるときに、普通は減衰する、つまり小さくなると言ってたのが、実は増幅してた。これは地層が変わって特殊な地層だったわけですね。それをもとに増幅して何倍にもなった。3倍にも4倍にもなったと言われています。これは非常に大きな問題です。
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 これがなぜわかったかというと、
「実際に地震がきて想定したのより遥かに何倍も大きいのが来たものですから、調べてみたら地層がこうなってた」
っていうんです。そうすると、柏崎でそうだとすると他はどうなんですかね?他のプラントでこういうことが無いと言えるんでしょうか?そうすると今設定したものよりも遥かに大きいものになりうるということを示してるんですね。地面の下ですから判るわけないです。そんな簡単に。
 結果を見て、揺れが大きいのを見て、初めて調べた実態なんですからね。
 そうすると、これは明らかに『後出しじゃんけん』なわけですね。
 これが問題です。

 さて、最近話題の志賀原発とか大飯始め、いくつかの敦賀もそうですけど、いわゆる活断層、断層がプラントの敷地内にあると、こういう例がいっぱい出てきています。そうすると、この断層はもともと・・・活断層のあるところにはプラント作らないはずだったんですけど、当時ちゃんと調べてなかった、或いはこれが活断層だと認められないという判断で作ってきてしまったんですね。ですけど、現状調べていくと、どうも怪しいのが一杯でてきたというのが実情です。
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 そうすると、万一プラントの下にあるときには、これは地震で揺れるだけじゃなくて、建物自身がそのまま損傷したり、或いは燃料の制御棒が入らなかったりする可能性がある。冷却もできなくなるという心配があります。
 ですから、この活断層というのは、全部判ってるとは限らないということなんですね。それが非常に大事なことです。
 また、津波の話になりますと、これは今年の2月頃東北大の教授が試算したんですけれども、いろいろ調べていくとシミュレーションで津波何メートルって出しますよね。その時に湾の中とかいろんな地形によって増幅する部分が、波高が周辺に比べて2,3倍になりうると、そういう評価をしたんです。これ当然なんですけれどもね。そうすると、平均的に何メートルって出たのが場所によってどんどん溯上していって上がっていくというのは、ありうるわけです。それをどこまで評価すればいいか。
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 例えば浜岡で19メートルでしたかね?設定したけどそれを越えることもありうるってシミュレーションで出てきます。そうすると、それはシミュレーションやり直したっていいますけど、それ以上本当に超えないと言えるのか?っていう問題があります。それは厳密には「これ以上絶対超えない」というのは非常に難しいわけですね。そういう種類の問題です。それは自然現象であるということと、そういう振動現象、つまり共振というんですけど。例えば、二方向から来る波が共振して一緒になったら、ものすごく増幅したりするわけですね。そういうことを意味しています。

 さて、先ほど電源の話が問題だと言いました。これ30項目の中に実は入ってるんですけど、外部電源は、今回地震で壊れたので、その後非常用ディーゼルが立ち上がって、非常用ディーゼルが津波でやられたと、こういうふうに事故調査委員会の大部分の委員会はそういうふうに言ってるんですね。
 でも元は、地震で壊れたんですね、まず。特に一番最初は送電線です。送電線は、このように地滑りとかで鉄塔が崩壊してる。或いは碍子が壊れたりしてる。送電線は非常に長いですから、ずーっと何十km、100㎞も200㎞もありますよね。そうすると、この長い送電線の全部評価するってことは現実的には不可能に近いですね。ですから、評価してるというけれども、まぁスポットでここは弱そうだと思うところを補強する、増強するだけであって、必ずしもこれで確実とは言えないわけですね。
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 それから、この外部から電気を貰ってプラント制御してますから、その時にプラントの中に入る、或いは出るところで変電所とか開閉所というのがあります。これは実は変電所の被害の例ですけれども、こういうふうに遮断機という電源を止めたりするのがあるんですけど、その部分、これ健全でこういうふうに立ち上がってるんですね。これがこのように地震でこういうふうに全部倒壊してるんです。つまり、変電所も非常に耐震性弱いんです。それから、遮断機もですね。それが随所にある。
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 そうすると、この話はここの送電部分で壊れたり、ここの開閉所で壊れてるということがあって、碍子も弱いということになった。それぞれ補強するって言ってるんですけど、本当に確実にできるかどうかって問題なんですね。もちろん技術的な問題なので、できるかぎりのことはやるんでしょうけど、本当にそれがこういうシステム全体で外部電源の信頼性が確実に上がると言い切れるのかというと、私は非常に難しいと思います。プラントの中をやるのと違って非常に難しい、そういうふうに考えます。
 そうすると外部電源の喪失はこれからもありうると考えておくことが妥当だということになります。

 さて、少し話が飛びまして、これは格納容器の部分を意味しています。
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格納容器から漏れたという話がありまして、細かい話は今日は時間の関係でやめますけども、また改めますけども、やはり上のフランジ部分から漏れたとかありまして、最近のあれでしますと、圧力温度のうち、温度によって非常に漏れたと。格納容器からやはり漏れたこと、貫通部から漏れたことが非常に放射能の汚染を酷くしてるのは明らかであって、そうすると格納容器のここの部分がそれを改良すべき、検討すべきだというふうに指摘があります。ただ、私は格納容器をやってきた立場から申しますと、簡単ではありません。格納容器を増強しようとするんだったら、かなりの部分が作り直しになります。そんなことは現実的には、ほとんどのプラントはできないと思います。もしそれをやるなら、ずっと先の話になります。
 それから、過酷事故対策という意味合いで考えますと、非常に・・・もともと自主的な対策だったんで、対策が規制要件ではなかったんですね。やはり工学的な安全設備っていうんですけど、ECCS=非常用の冷却設備、格納容器とか、こういう安全系の設備に比べて、過酷事故対策っていうのはなかなか信頼性がない。結果として作動しなかったものが多数あるということですね。こういうふうに見れます。
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 これはいいとして・・・
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 例えば、ちょっと見にくいんですが、これは例の格納容器ベントと言っているものです。
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格納容器の圧力温度が上がったら、こちらからベントラインをつけて外に逃がすということをやったわけなんですが、実際にそれがなかなか作動しなかった。バルブを開こうとしても開けなかった。それから開いたらまた閉じてしまうとか、そういうことまで。
 そうすると、「きちんとした設計になってるんですか?」ということが問題なんですね。ベントができる設計になってない。これからはベントをちゃんとできるようにするとか、また水素爆発を起こしたのは他の系統、これSGTSって書いてますけど、非常用ガス処理系なんですけど、ガスを処理する設備なんですけど、他の通常よく使ってる装置があるんですね。そこに過酷事故時のものをくっつけたのがいけないとか、そういうことまで言われてます。
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これは当然なんですが、そういうもろもろがあって、或いはラプチャーデスクというのがあって、圧力が上がった時にバルブを開いたんだけど、ラプチャーデスクっていうのは間違って開くと放射能を出しちゃいますから、ベント用のバルブを開いたら、その圧力で後はそこのある一定の圧力を越えないと漏れないようにする=破壊弁っていうんですかね。ある一定の圧力を壊れる弁=ラプチャーデスク=破壊弁なんですね。そいつがついてて、ところが
「それが機能しなかった、働かなかったから出なかった」
って言ってるんですね。
 何を言ってるか判ります?
 つまり、格納容器を守るべきラプチャーデスクも、ちゃんと機能してない。バルブは開けない。
 滅茶苦茶でしょ?
 私も関わってて、嫌になっちゃうんですけど、本当に嫌になってしまうんですけど、それくらいメタメタなんです。 
 そんなシステムが成立してないのは明らかですよね。
 これで計装も変なのになってる。
 そうすると、ここのことだけ見ても、4つも5つも技術的な問題が出てきますよね。それも解決しないままに、再稼働という話が出るというのは、本当におかしな話ですよね。それはお判りになると思います。

 さて、同じくベントの話ですね。先ほどのラプチャーデスクってあります。
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破壊設定圧力を何倍・・・最高使用圧力っていうのは設計圧ですけど、これの1倍にしてるはずだとかなんとかって議論があるんですけど、これ技術的には非常に難しいんです。なぜかというと、圧力が上がってきて漏れますよね?それで、ある一定の圧力だったら漏れるようにして、だけど間違っちゃいけないから止めておかなきゃいけないでしょ?そうすると、ある圧力まではもってくれて、それからある一定の圧力を越えたら必ず漏れる、出るというそういう両側から設計上の要求がある。非常に難しいんです。幅が出る。ばらつくんです。そうすると、どちらかが確実にできるけど、片方は確実にできないんです。だから、この圧力を越えてからって話でやると、今回もこれで出てほしいなと思ったのに壊れなかった、作動しなかった。これはある面では当たり前なんです。もちろん、きちんとラプチャーデスクの設計をやればっていうことはありますけどね、ですけど技術的にはそういう問題なんです。非常に難しいんです。これをもって設定がまずかったとかいう単純な問題じゃないんですね。これは同じような問題を繰り返します。
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 それから、ベントするならフィルタは必ず必要ですよね。ですけど、もともと沸騰水型格納容器は小さくて、圧力抑制プールといって水の中に蒸気を入れる、それで圧力抑制機能を持ってるんですけど、それが阻害された可能性がある。
 それから炉心が溶け始めた後、格納容器ベントをすれば大量の放射性物質、或いは水素が出るわけですから、そうすると水素対策も非常に重要。
 こういう関係になります。

 ですけど、問題になるのは、やはり本来は格納容器というのは、いつも私申し上げてるんですけど、格納容器が放射能を閉じ込める容器ですから、ベントするってことは自己矛盾なんですね。本来放射能出しちゃいけない。ですから、ベントしなくていい格納容器を設計して、初めて胸を張って「これは格納容器が閉じ込め機能を持った」というふうに言えるんです。ベントするとなった途端にフィルタをつけたといっても、フィルタが機能しない可能性があるとか、或いは格納容器は他の壊れ方をするとか、そういうことを考えるととてもこれをもって「ただちにフィルタをつけて全て安全になった」というのは間違いなんですね。
 特に酷い話は、格納容器は事故時に放射性物質を防止する安全の最後の壁なんですけど、今まで燃料ペレットといいますね。ここから始まって被覆管があって、圧力容器があって、格納容器があって建物がある=『五重の壁』って言ってるんですけど、これ『五重の壁』ってどういう意味かというと、非常に放射能の少ないときです。あんまり大規模に出てない時には五重の壁になります。ですけど、事故になって特に過酷事故なんてなった時には話の外で、格納容器だって漏れちゃう。ほかのところなんかつーつーと同じです。ほとんど突破される。格納容器がこういうふうな状態になったときに、建物の外側は閉じ込め機能というのは全く持ってないと思っていいです。本当に圧力差でいったら、ほんの0.0何気圧くらいの差だけしかもたないです。格納容器は4気圧くらいもちますけどね。そうすると建物の方は出た途端にダーッと出ちゃう。当たり前なんですね。そういうふうに考えます。
 ですから、『五重の壁』っていうのは全くのデタラメです。
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 さて、もう一つ、時間の関係で残ったところを話しますと、ここの溶融物が圧力容器から溶けて格納容器の下に落ちました。これ、圧直容器の下はペデスタルといいますけど、そこに溶融物があったときに冷却はどうするかって、格納容器の上のほうからスプレイといって吹かすんですね。じゅーっと。ですけど、スプレイを吹かしても温度がどんどん上がってますから、ここのところに溶融物なんて滅茶苦茶温度が高いものですから、これに水が届かない。冷却なんかできない可能性が高い。今回はそれが起こった可能性がある。本来ここの中にちゃんと注水機能を持ってないとおかしい。それが一つの重要なポイントです。これは単にポンプを用意したとかってことじゃないです。システムとしてそうなってなかったら意味が無いというのが重要なポイントです。
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 ところがこれについては何ら触れてないんですね。というのがオカシイということです。
 それから、ベントについては先ほど申し上げましたからいいですね。
 あとここにありますように30項目というのは、外部電源、所内の電源、冷却機能、閉じ込め機能、計装関係とこういうふうになってます。

 私が申し上げたように、どの部分についても抜本的な対策はやってないんです。酷いのは項目すらやってない。例えば水蒸気爆発っていうのは、もし溶融物ができた時にそれに水が接触したら水蒸気爆発を起こしやすいっていうのは、物理的にはありうるわけですね。それが起こった時はどうなるかって非常に心配なんですが、そういうものに関しては一切触れてない。単に冷却する=水をいれることだけを考えている
 これが現状における技術的な意味なんですね。全く過酷事故に対して対策をやってません。というのは明白です。

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 それともう一つは、先ほど水位計ってありましたけど、圧力容器がそもそも冷却に失敗して炉心溶融を起こしてしまった一番の原因の一つは、圧力容器に水位計ってあるんですけど、当然圧力容器だから水がどこまで入ってるか調べます。そこの圧力容器の中から出した水を外に出して、そこの水位を測ってるんですけど、温度が変わってくるとダメなんですね。高温になってくると蒸発しちゃって全然機能しなかった。今回それが3基とも起こっています。
 つまり、圧力容器の中で炉心は水の中に浸かってるなと思ったら、とっくにもう炉心がむきだしになってる。この状態がわからないまま・・・しかも酷いことに、私なんかすぐ12日から13日、14,5日になったら、かなりいろんなところでヤバくなってるという状態=つまり炉心溶融を起こしてメルトスルーすら疑われる段階の時に、全く「一部炉心損傷」と。つまり「水位が保ってるから」とかそう言ってたんですね。炉心溶融を初めて認めたのは5月ですよ?5月になって初めて東京電力は「炉心溶融」という言葉を使います。
 一体なんですか!?これは?

 技術的に全く判ってない。もしそれが本当に判ってないとしたら、相当ひどい話ですね。有り得ないことです。原子力の専門家の領域だったら、確実とは私も言わないけども、かなりの角度をもってそういう可能性が高いと、放射能の量とかいろいろ見た時にね。それはもう自明なんですね。そういうこと、つまり水位計がたかだか壊れただけで、駄目だったんですね。判ってなかった

 ということは、水位計が全部ちゃんと改良して新しいものにならない限りは、運転なんかしちゃいけないですよね?
 そう思いませんか?
 少なくとも沸騰水型は全部そうです。同じ水位計ですからね。水位計をそのままでやって、事故を起こしたらそのままメルトダウンいくのは見えてるわけですよ。そういうことも議論の対象になってないストレステストっていうのは、全く意味が無いっていうのはよくお判りになると思います。

 それから、アイソレーションコンデンサって1号機ですね。これは、隔離時復水器といいますけど、本来はプラントの中にはいっぱい冷却するポンプと動力ももってこのポンプが動いて、モーターポンプがあって循環するようになってるんですけど、今回は外部電源が失われてしまった。そうすると、非常用ディーゼルも駄目になったんですね。そうするとアイソレーションコンデンサ、これは電気がなくても蒸気で駆動するものだったんですが、これすらも機能しなかった。機能してると思ったら実は機能してなかったっていう話なんですね。だから、そのバルブの開閉の話もあるし、或いは水素はここに出て機能しなかったという話もあります。そうすると、細かいことはぬかしますけど、これも本来ならそこでもし働いてくれてれば助かるはずの非常用復水器という電源に依存しないシステムすらも、動かなかった。こういうことになります。
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 こういうことがいっぱいあるんです。
 ほかにも逃がし安全弁が作動しないためにうまく動かなくて、圧力容器の圧力を落とせない。落とせないから外から水を入れようとしても入らない
 そういうことがもうダーッと並んでる。これが福島の事故なんです。
 系統的に全てわかったとは今申しませんけども、少なくとも断片的にもそういうことが判ってるわけですね。そうすると、とてもではないですけど
「同じようなことが起きた時にどこで事故が止まるんですか?」
って言われたら、全く見通しがない。事故がどこで収束させるか、私には全く見えません。
 そういう原子力プラントであるということを・・・考えなきゃいけない。
 ですから、私は再稼働というのはとんでもない話だと言ってる。

 その時に一番あるのはMark-Ⅰ型が心配。次に沸騰水型。また、加圧水型は良いかっていったら、やはり水素とかそういう問題は出る。大丈夫か。ベントせざるをえなくなることも時間の問題なんですね。加圧水型の方が格納容器の容器が大きいんですが、それでも時間が長くなれば当然難しくなります。

 これが過酷事故対策といってるものなんですけれども、これはPWRといってますけど、ここに格納容器があって、冷却のためのシステムがあります。これが全部例えば電源とか或いは他のものが原因でダメになったとしますと、外から持ってくるわけですね。本来持ってる中にあるシステムでダメなときには、外に非常用の発電装置を置いたり、ポンプを或いは用意したり水を用意したり、そういうことをやってる。発電装置を動かすためには重油がいりますから重油があったり、こういう形になってる。
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 それが長い時間やって足りなくなると、外からタンクローリーとか、場合によってはヘリコプターで運ぶとか、こういうことを言ってる。この外回りのところを「緊急対策」或いは「過酷事故対策」と称してるんですね。
 これは確実にできるかどうかは判らないというのは問題です。いろんな失点がありますからそこは言ってます。
 一応そこは技術的な意味の問題点になります。


 お話を戻します。
 以上のような技術的な細かい部分をお話をしましたけど、ここに列挙してる事柄、今申し上げたことがいろいろ関係します。こういうことは列挙してるだけで、もっと詳しく本当は検討する必要があるんですけど、少なくともこういう項目は課題であるのは明らかであって、そういうことを無視したまま進めるのはいけないと言ってるんですね。
 また使用済燃料プールについても、考えなければいけない。今もまだ危険な状態。更に従来考えてこなかった問題、例えば航空機の落下、人的な破壊工作、地震・津波、それによる複合的な災害、船舶の事故や特に私が気になるのは大規模な火災があった場合、原子力プラントがどうなるのか非常に心配です。
 そうすると、それに機器の多重故障や人為ミスなどをこういう事故と重ねあわせて考えると、そういうことを考えて改善を行う必要があるんですけど、それすら先ほど申し上げましたとおり、基本的なところをやってないですし、気が付いているところに関しても、未だにやってない。その状態で(再稼働)というのはおかしい話で。
 つまりこれらの抜本的対策ができないプラントは廃炉にすべきだということになります
 6番目と最後のところになりますが、最も確実な安全対策は、原発を稼働しないことです。これは自明です。
 ただし、使用済燃料プールがありますと、それだけで冷却できなくなると、またそれで放射性物質が出る可能性があるので危険はあるんですが、プラントを運転してる危険ほどの危険ではないんですね。プラントを運転してると、圧力温度があってエネルギーがありますから、制御に失敗したらいっぺんに大事故になるんですね。その規模の大きさは計り知れない。そこは忘れてはいけません。
 ですから、少なくとも原発の一番安全な状態は稼働しないこと。当たり前ですね。
 そうすると、福島事故以来、地震・津波に関する専門家の警告を見ますと、先ほどもお話しましたように、最大規模の地震や津波が特定できない。例えば太平洋側ですと「M9が最高か?」と言われると、そうとは限らない。M9.いくつとかM10に近いものが無いとは言えないというふうに地震学者は言ってるわけですね。
 活断層についても同じようなことがあります。どこまでの規模になるのか。
 そういう特定できない、更にこれ以上・・・先ほどの新潟中越沖地震での地震の波の地下の構造による増幅といいますか、大きくなるような現象とかそういうことまで考えますと、地形による津波の複数波の重なりとか考えますと、一体どこまで大きくなるか予測ができないわけですね。そういう中で先ほどのプラントの過酷事故対策を含めたプラントがああいう状態にある。
 ということになりますと、そもそもがもう震源特定できない、震源を特定しないで最大規模の地震或いは津波として与えるしかないということになります。それをやってない。少なくともそれは最低限やらないと無理なんじゃないかというふうに思われているんですね。
 それから、老朽化、古くなった原発については40年廃炉ルールというのを作ったわけですから、これは例外抜きに適用されるべき。特に原子炉圧力容器の照射脆化。中性子があたりますと圧力容器の横の壁が、特に劣化します。劣化すると金属というのは普通は力を加えるとぐにゅーっと延びていくんですけど、脆化というのはもろくなりまして、バリンとガラスのように割れます。そうしますと、圧力容器が一気に破壊して、この福島のような事故の形態じゃない。そのまま炉心がボーンと吹っ飛びます。そうしますと、格納容器もまずもちません。
 そうすると全部中のものが出てしまうんですね。
 これは時間的にも厳しいです。避難する時間がありません。
 今回の福島の事故は、それでもいろいろ問題ありましたけど、それでも時間的にはまだゆっくりしてる。この事故の時は、もう即半径何キロ以内一気に。下手をするとその部分の人はそのまま全滅しちゃいます。
 そういう過酷対処になります。
 ですから、原発の安全性を最も確立することは、稼働しないことということになってしまうんですね。
 ですから、再稼働判断が必要になった場合であっても、完璧な安全対策ができないということを共通の認識とすべきであるというのが意見です。

 その上で、ただし、では他のことをやらなくていいかというと、もちろん再稼働というものについてはしないほうがいいというふうに思いますが、でももしそういうことが条件として出てきた、必要になったという条件があった場合には、放射線防護とか事故時におけるプラント内外の放射線の測定システムを強化するとか、SPEEDIによる放射性物質の拡散予測の公開の具体的な方法を示す、それから防災対策を徹底する、こういうことに繋がってくるというふうに思います。
 以上、少し時間が長くなりましたが、井野博光さんと私から、ストレステストの意見聴取会に関しまして、保安院宛てですけど、実際申し上げたいのは保安院というよりも原子力規制庁、原子力規制委員会のほうに是非これを踏まえていただきたいということで、今日は発表させていただきました。
 どうもありがとうございました。
【以上】

失礼します。
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