※この記事は、
8月28日 保安院:「原発直下に断層があってもOK」の評価基準を導入検討、志賀原発:「活断層連動試算で基準地震動を一部上回る」けどOK
7月20日【内容起こし】青木理×渡辺満久教授『原子炉の下に活断層?―原発の安全性について考える―』「活断層の事故が起きなかったのは、単なる偶然。運が良かっただけ」【前半】
7月17日 大飯・志賀原発の断層再調査へ【第19回地震・津波に関わる意見聴取会の様子とその報道】などに関連しています。

志賀原発「文献なく見落とし」 「断層」審議外しで保安院
共同通信(2012年9月14日)
 経済産業省原子力安全・保安院は14日、北陸電力志賀原発1号機(石川県)の直下にある「S―1断層」を、既存原発の耐震安全性評価(バックチェック)で検討しなかった経緯の調査結果を発表、「活断層が存在する可能性を示す文献がなく審議のポイントから外された」などとした

 北陸電力は2008年3月、06年改定の原発耐震指針に志賀原発が適合するかを検討したバックチェックの中間報告を国に提出。周辺の活断層を見直し、想定する最大の地震動(基準地震動)を引き上げた。その上で2号機の原子炉建屋の基礎地盤は「十分な安全性がある」としたが、地盤をずらす活断層の疑いは検討しなかった。

 保安院によると、志賀原発の報告を専門家会議で審議したが、能登半島地震(07年)の震源断層などに重点が置かれ、敷地内の断層は除外。S―1断層を調査した図面は報告書に含まれていたが、審議では北陸電力が作った概要版を使ったため注目されなかった

 同時期に審議した日本原子力発電敦賀原発(福井県)は敷地内の断層が問題となったが、同様の観点での問題意識は志賀原発の審議で共有されないまま、保安院は中間報告を妥当としていた
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/09/post-6708.html

【動画】IWJ ch3より

※片山企画調整課長の会見です。
 「グループが分かれていたために、情報の共有ができなかった。わざとではない。当時の担当者が敷地内の破砕帯スケッチを見て審議が必要という意識にいっていなかった」というのが主な言い訳です。

【保安院HPより】
耐震バックチェックにおける北陸電力志賀原子力発電所
S-1 破砕帯の取り扱いに関する調査結果(pdf)
http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2012/09/240914-1-1.pdf

これの意味するところは、「志賀原発のS-1断層だけの問題ではない」ということです。
こういう機関がOKと言った他の原発の審査も疑われる、そういうことです。

ほかの原発の審査時に『抜け、漏れ』は無いと言えますか?

また、この調査結果や会見では、志賀原発をどうするかということは一切触れされません。分析はしたけれど、今後具体的にこの原発をどうするかまでは踏み込まないので、非常にフラストレーションが溜まります。

原子力規制委員会へ引き継がれるとは思いますが、『首と服装』がすげ変わっただけで、中身は経産省からの移動人員で構成される委員会です。しかも、不可侵です。
再稼働された大飯原発については、田中委員長が「断層があれば運転停止する」との発言があったようですが、どこまで信じられる調査がなされるのかは不透明です。

保安院が解体されるタイミングでこういう会見をするのも、規制委員会へ丸投げ、或いはうやむやを狙っているとしか思えないのですが・・・。

こんないい加減なところに原発の審査を任せてきたことは恐ろしい事態だと思いますが、それ以上に、福島事故を経てもそれが変えられないことに恐怖を感じます。

・・・失礼します。
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【参考記事】
大飯原発、活断層あれば運転停止 衆院運営委で田中俊一氏
2012/08/01 18:10 【共同通信】
 原子力規制を担う新組織「原子力規制委員会」の委員長候補の田中俊一・前原子力委員会委員長代理(67)は1日、再稼働した関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)をめぐり「活断層があれば当然止めてもらうことになるのではないか」と指摘した。
 衆院議院運営委員会での所信聴取後の質疑で述べた。田中氏は、大飯原発の活断層について「できるだけ早くトレンチ(試掘溝)等を掘って調査し、判断する必要がある。これまでのように事業者任せでなく自ら調査に加わり判断する」と述べ、規制委が直接調査に関わる必要性を訴えた。
http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012080101001834.html

原子力規制委:原発敷地内の断層、自ら調査
毎日新聞 2012年09月06日 02時31分
 原発敷地内の断層が活断層の可能性があると指摘され、電力事業者による再調査が相次いでいる問題で、政府は5日、月内に発足する原子力規制委員会が自ら調査できるようにする方針を固めた。13年度予算の概算要求に約10億円を計上する。
 従来は事業者が断層を掘削調査するなどして「活断層ではない」と報告。審議で疑義が生じると経済産業省原子力安全・保安院が事業者に追加で調査や説明を求め、国自らは調査しなかった。このため「電力会社任せ」と批判が上がっていた。
 約12万〜13万年前以降に動いた断層は活断層とみなされるが、判定の鍵となる年代測定の手法は確立されていないものもある。このため、事業者の手法や説明に疑義があると規制委が判断した場合、現場で土を直接採取して別の調査会社に分析させるなど主体的に調査に乗り出す。手法の研究、開発にも取り組む。【岡田英】
http://mainichi.jp/select/news/20120906k0000m010121000c.html

原発再稼働基準は緊急課題 規制委発足へ準備会合
共同通信(2012年9月14日)
 原子力の規制行政を一元化する「原子力規制委員会」の発足に向けた準備会合が14日開かれ、緊急時の体制や、委員会の透明性確保のルールなど、発足後すぐに必要になる運営方針について意見交換した。原発再稼働に関する安全性の判断基準の策定が、発足直後に取り組むべき緊急課題だとする意見が相次いだ。

 これまで政府が示していた原発再稼働の判断基準については、規制委が慎重に確認し、再評価する方針が示された。この関連で、複数の委員が「当初与えられる最も重要な課題」「発足後すぐに検討を始めなければいけない」と指摘した。

 再稼働した関西電力大飯原発3、4号機(福井県)は、従来通りの監視、広報体制を継続することを確認した。

 また規制に対する国民の信頼回復が、最大の課題との認識で一致。委員長候補の田中俊一・前原子力委員会委員長代理は「(信頼回復に)特効薬があるとは思わない。大変な課題だが、常に忘れないで取り組みたい」と決意を述べた。

 東京電力福島第1原発事故の対応については、規制委で継続的に事故原因を究明する体制を構築し、住民の放射線被ばくに関する健康管理の方針を検討する。事故現場の状況把握は不可欠として、委員長らが15日に視察することも決めた。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/09/post-6714.html