※この記事は、8月26日【内容起こし】朴勝俊氏講演会:原発廃炉後の地元経済について~【前半】の続きです。
【前半】
・福島第一原発事故と経済損失
・事故後の再稼働への経緯と現状
・原発立地地域とその依存性
・原発が止まると財政は困る?【固定資産税】
・危険を冒せば税収が増えていく【電源三法交付金】
・固定資産税と地方交付税交付金の関係
・その他の特例交付金と原発関連税
・原発で最も儲けている企業はなに?
【後半】
・原子力産業の観点から見た福井県の実態
・ドイツの脱原発への道
・ドイツの脱原発が生む雇用に関するグリーンピースの報告書
・廃炉ビジネス(費用と雇用)
・ガスコンバインド火力発電所とは?
・日本における再エネのポテンシャル
・なぜ日本で再エネの普及が進まないか
・日本とドイツの固定価格買取制度
・ドイツの再エネ比率の状況
・北海道・泊地域の強みは?
<40:25頃から>
じゃあこの福井県の話に戻りますが、この原発の毎年1500円で福井県の地元にある工業にどれだけ潤ったのかというと、実はですね、福井商工会議所の江守会議、2006年の話。つい最近の話ですが、
『福井県に原発が建って40年近くになるというのに、原子力関連産業は1社も育っていない。』

そういうようなお話なんですね。恐らく泊もそうだろうと、その周辺もそうだろうと思います。
『地場の参入企業の大半は、孫請け以下。業種も建設業が約6割で、製造業はわずか4%。そういう厳しい数字』

なんですね。福井県でも原発があるのは南側なんですね。そちらはほとんど製造業、工業というのは伸びていない。福井県は日本中ほとんどのめがねを作ってるようなそういう拠点が北部にあるんです。工業が発達する、原発が来ることによって工業が発達するという当ては外れてしまってですね。
『原発の定期検査に参入できる県内の元請企業はゼロだが、5年後に15社、10年後には30社にしたい』
やっぱり下請け、孫請けしか原発の定期検査の作業にも入っていけない。それほど高度な技術がいるというようなことが言われています。
これが福井県の実態です。
恐らく他の地域でも似たり寄ったりではないでしょうか。
泊村、泊原発でどれくらいの人が働いてるのかということを考えますと、北海道電力に電話をしまして聞いてみると、泊原発の職員は約400人。定期検査の時には関連会社の方々が1000数百人の方がいるということです。そのほかにも福井と同じようにタクシー、飲食店、宿泊業、民宿、そういったものがこの原発で働く人たちのお金によってなりたっているということですね。

泊村の住民、1900人弱。4町村合わせましても2万4000人ですから、その2万4000人に来比べると原発関連の雇用というのはやはり全くできてない。
「原発が無くなった後どのようにしていけばいいのか」
という問題がありますが、そこはね、発想の転換が求められる。
これ随分と有名な絵画で、私これを書いてる人知らないんですけど、有名なんですよね。

これ、お婆さんの顔に見えるという方、どれくらいいますか?
これ、お嬢さんだと、若い女性に見える方?
あの、これが鼻でこれが口だと思うとお婆さん。
これが耳だ、これが鼻だ。ネックレスかなんかだと思うと、お嬢さんなんですけど、私にはどうしてもお婆さんにしか…。だから何とかこれの見方を変えなきゃいけない。
経済も同じ。
この場所をご存じでしょうか?

ドイツにあります遊園地なんです。この遊園地の名前は、『核と水のワンダーランド』。もとは原発関係の場所だったんですね。ここに何があった場所かというと、いわゆるドイツのもんじゅ。高速増殖炉、プルトニウムを増やしながら発電をするという、そういう研究開発をするためのカルカー高速増殖炉、そういう原発があった敷地なんです。でも、ここは火災事故が何度も起こったりとか住民の反対、そして地元政府の反対。それによりまして核燃料を入れる前に、もうこの計画は中止、ないということになったんです。そこをオランダの資本家がこの敷地を買い取って遊園地に改造するということをやったんです。この資本家のすごいところは、全部改装工事が終わってからではなくて、改装工事しながら開園した。だから私も1998年にここに行ったんですけど、まだ全然完成してない遊園地。ちょっと射撃ができますよとか、ちょっとゴーカートとかバギーとか運転できますよとか、レストランがありますよとか、中は全然できていなくて、解体中の非常に危ないところをヘルメットをかぶって解体されている。そんな状態の中を入っていきまして、そうすると、以前の中央制御室っていうのが本当に最近のとは全然違うんですよ。昔のアマチュア無線のラジオみたいな、そんなような機器でできたそういう制御室。そういうところが今こういう遊園地になりまして子供たちが遊んでいる。
もちろん日本の原発は核燃料が入ってしまって使っていますので、子供たちが遊ぶところは出来ないと思いますが、原発が無くなった後どうするのかというのはいろんな発想だと思うんですね。
このドイツは1998年に政権交代が起こりまして、その前はドイツは東ドイツと西ドイツの統一をしたゴール首相というのが16年間政権を握っていた。そこを社会民主党と緑の党が政権を奪取するという選挙に勝つ。

ここが新しい政権が行った環境政策は主に三つありまして、一つはもちろん脱原発。もう公約で脱原発をする。そして、再生可能エネルギーを支援。そして、環境税制改革を導入する。環境税制改革とは何かといいますと、要するにエネルギー政策です。エネルギーの税金をかけて無駄遣いを減らして消費を減らす。しかし、それだけでは経済が悪くなってしまうのではないか。でもその税収は全て他の税金を下げて返しますよ。特に労働者を雇った場合にかかってくる社会保険料を下げるので返しますよ。ですから企業の雇用は逆に増える。そういう政策。

これを三つ同時にやったんですね。
特にこの脱原発に関しましては、社会民主党と緑の党ではちょっと意見が違いまして、もちろん緑の党は「原発は即時廃止だ」社会民主党は「そうはいかないんだ」というふうに考えました。寿命30年なら30年使ったものはそれ以上許さないというので社会民主党は考えていた。しかも、これこれまで通り電力会社は原発を好きなだけ自分たちの事業として、民間の所有物として、自分たちの会社の持ち物としての原発をずっと使い続けていて良かったわけですが、急に変えるとそれは話が違うんだ、裁判になってしまうと逆に脱原発が遅れてしまうということで、その時の社会民主党の首相は電力会社と話し合い、交渉をして、どうしても脱原発をするんだけれども、原発の寿命を何年まで認めるかということを話し合いで決めるというようなことをやりました。結局の落としどころは原発の寿命は32年ということになりました。寿命を32年経ったやつは停止ですが、ドイツの脱原発は2022年前後ですね。
現在ドイツが脱原発したと言ってるんですけど、実は脱原発はこの時に決まった脱原発とほとんど一緒なんです。それをメルケル首相はもっと運転を延長しようとして、福島の事故が起こりましたので、じゃあ前の政権の決めた脱原発の方針でいきますということになったんですね。
でも、そうだとすると、やはり30何年も寿命を認めるということは、緑の党の立場とは立場が違う。だた環境保護団体の立場とは??ます。特にグリーンピースのような力のある環境保護団体。そんなに長い間運転を認めなくても、すぐに脱原発をしたとしても、ドイツの経済はやっていける、むしろ原発をすぐにやめて再生可能エネルギーにシフトしたほうが、ドイツ全体の経済は良くなるし、雇用も増えるんだということを申告書をしたんです。ある大学に??して出したんですね。

この報告書の非常に特徴的なところは、ドイツ全体でうまくいきますというだけじゃないんです。
「ドイツ全体うまくいったといって、原発が無くなっていく地域の経済はほっといてもうまくいくとは限りませんよ、そういう地域の経済と雇用について考えようじゃないか」
とそういう報告書になってるんです。2000年に出された報告書ですが、これが脱原発、
「政府はもうあと10年、20年原発を使うのを許そうとしてるけれども、私たちはもっと早くに脱原発をするべきだ。でもそのためには地元のことも考えてください」
ということですね。
ドイツはこういう形をしてまして、十何ヵ所原発があるんですけれども、このうち3か所をケーススタディとして取り上げました。

一つは北部にありますシュターデ原発という原発。
それから中部にありますビブリス原発という原発。
もう一つは南部にありますイザール原発という原発があります。エッセンバッハとも呼ばれています。
シュターデ原発は大きさが63万キロワット。これは実はもう2003年から停止をしています。動いてる時には正規の職員が350人。それ以外は協力会社100人が働いていました。そういう原発でした。

ビブリス原発は122.5万キロワットと130万キロワットで大きな原発が2つあるんですね。この原発はあの福島第一原発が事故が起こった後に停止を命じられまして、そのまま止まっている。動いているときには880人の職員が働いていました。

そしてエッセンバッハでは91.2万キロワットの原発、これも同じように福島の事故の後にすぐに停止。もう一つ148.5万キロワットという大きな原発があるんですが、これは新しいので2022年に停止になる予定。動いているときには約720人が働く。

こういった原発の雇用に代わる雇用。それはどういう分野で生まれてくるのでしょうか?
グリーンピースの報告は、
『新たな雇用は主に3つの分野に生まれる。一つ目は、原発の廃炉。解体する時の雇用である。もう一つは、脱火力発電所である。そしてもう一つが再生可能エネルギー関連の工場である』
と言ったわけです。
まず北部のシュターデ原発は、350人が働いていたといっています。廃炉作業に入りますと、最大で500人前後の人が必要になりますよ。廃炉作業は20年とか30年かかりますので、それだけの長きにわたってそういった人々に職場が生まれますよ。
そして、この付近にガス火力発電所、コンバインド火力発電所というのを建設すると、当然建設の時に人が必要になりますけれど、動き出した後も50人の職員が必要になる。
更にですね、この北部の地域ですから、誰かが海の上の風力発電もどんどん必要になる。ドイツも建てますしデンマークも建てます。イギリスも建てます。フランスも、ということでそういう海の上の風力発電、すっごく大きいんです。羽とかそういったものは陸上で運ぶのがすごく難しい。それをシュターデというところは大きな川のほとりにありますので、そこに工場を作れば、もうすぐに船に乗っけって黒海に運ぶことができる。そういう風力の設備を作る工場を作れば、1000人の雇用になるんじゃないか。
というんですね。これが今までの一つの考え方。

ビブリスの場合。
880人の方がおりますが、同じように廃炉で最大500人程度の雇用が生まれる。ガスコンバインド火力発電所を建てれば、ここは実はドイツ中部の工業地帯にあります。しかも、割と近くに有名なブラックロットという金融の中心街があって比較的豊かな場所なんですね。ここの工業地帯に電気を供給するためのガス火力発電所1基とはいわず複数建てることによって50人~150人の雇用が生まれるだろうと。
更にこれが太陽電池の向上を作ることによって60人の雇用。
更にガス火力の発電所を建てるときだけじゃなくて、ガス火力発電所の部品を作る工場、そういう生産拠点になることによって、全国各地からガス火力発電所が必要になればそこに部品が売れるじゃないか。そういう工場を作ることによって、500人~600人の雇用。
更に、ビブリス原発というのは、ドイツで最も一番広く使われている加圧水型軽水炉、加圧水型の原発の典型的な形をしているので、ここで廃炉の研究を進めれば、他の原発にも応用できる。そういう廃炉研究の拠点にすることによって100人の雇用。

そういう話。つまり地域によってどういうものが生まれてくるかは、少しずつ地域の事情によって違う。
南部イザール原発のエッセンバッハの場合も、ここは農業地帯です。しかも南部ですので風力発電はそんなに風がないということで、同じようには行かない。廃炉はいきます。でも農業地帯であれば、バイオマスの可能性がある。バイオマスは様々に小型の施設で発電をしたりとか熱を生み出したりするんですが、そういう施設を作る工場。そういうものを誘致することによって300人~400人の雇用ができます。
或いはデーエムベーが近い。有名な車の。そこで自動車用の燃料電池を研究するような拠点を作ると100人の雇用になります。

そんなようなことを3つの事例で、場所によって違う。それぞれがそれぞれの場所で強みを見つけていかなきゃいけない。でも可能性がありますよというのがこの報告書なんですね。

そこで挙げられていました廃炉ビジネスというのはどういうものなのかといいますと、既に海外ではアメリカ、ドイツ、フランスでは既に100基の原発が営業運転を終えて、既に約10基が廃炉作業を終えた。これは今年の1月1日の日経新聞。
この解体費用を見ますと、1基あたり5億ドル。これは2001年の記事ですので当時のレートでは450億円くらいです。世界中では450基もの原発がありますので、いずれこれが全部廃炉作業になるとすると、20兆円の費用になるんですね。

日本でももう閉鎖されている原発がいくつか解体に入っていますけれど、一番最初に廃炉になったのは、一番最初に動き出した東海一号という16.6万キロワットと非常に現在の標準と比べますと小さいものですが、2020年くらいまで廃炉に時間がかかります。その作業に必要な総額は、930億円、解体で350億、廃棄物を処理処分するのに580億かかる。

これ、電力会社側から見れば費用なんですけれども、これを請け負う側にとっては収入になる。
ふげん、ふげんも2028年までかかりますよ。その間750億円のお金がかかります。
本格的な大型の商業用原発で最初に廃炉になりますのが、浜岡1号、2号。合わせて138万キロワット。いつまでかかるかわかりませんけど、当初はこの2基を解体するのに『2基で900億円』と言われていたのが、これら(東海一号、ふげん)と比べて随分と規模が大きいわけですから、今では『1基当たり1000億円はいくんじゃないか』というようなことが言われています。

これから廃炉のノウハウが蓄積されても、1基当たり500億円くらいはかかるのではないか。それだけの商機であるということですね。これが廃炉の話。

もう一つが、何度か出てきました天然の火力発電所。
この中でもガスコンバインド火力発電所という話をしました。ややこしい名前が出てきたので説明しないと難しい。百聞は一見にしかずということで、ちょっとこちらのニュースのビデオをご覧ください。
<59:45頃~VTR>
猪瀬副知事 天然ガス発電所を視察
東京MX NEWS 2011年5月23日
東京の近くにあるさまざまな発電所の現場を知るため、猪瀬副知事はきょう、神奈川県川崎市にある天然ガス発電所を視察しました。
この発電所は天然ガスを燃料とするガスタービンとその熱を使った蒸気タービンを組み合わせたものです。出力は85万キロワットと原子力発電1基分と同じで28万世帯分の供給能力を持ちます。通常の火力発電のおよそ1.5倍に当たる60%の高い発電効率を持ち、排出される窒素酸化物の濃度が低く環境負担に配慮されています。東京ガスの村木茂副社長は「系統間の電気も非常に重要ですが、自立で分散型の発電システムを持って何かあったとしても一定の電気を供給できるようにすることもこれから必要になってくるのではないか」と話します。
震災発生以降先月中旬までは電力不足を補うため稼働時間を10時間延ばし24時間稼動していました。猪瀬副知事は「電力は遠くからもらうのが当たり前になっているが、もっと身近にこういう発電所があることをまず認識するところから始めないといけない。そうすると新しい考え方もできるのではないか」と話しました。猪瀬副知事は今後もさまざまな発電所を視察するということです。
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201105236.html
(朴勝俊氏)
いかがでしたでしょうか?
ちょっと可能性感じませんか?
ガスコンバインド火力発電所。コンバインドというのは、組み合わせてますよという意味ですね。何を組み合わせるのかというと、ガスタービンという発電と、もう一つは普通の蒸気タービンを組み合わせます。
これがガスタービン。

飛行機のジェットエンジンとよく似てるでしょ?ガスを吹き込んで燃やして回す、発電をする。このガスタービンで発電をした時に、熱を出した時に、発生する排熱をガスタービンで回収してお湯を沸かす、お湯を沸かして、その蒸気でもう一度蒸気タービンを回して発電をする。そうすると非常に効率がいい発電になるんです。

先ほどのテレビでは60%と言ってました。燃料に入っている熱の6割が電気に代わる。普通の火力発電所では4割くらいですからね。それよりも遥かに効率が高い。
しかも、ガスですから環境にやさしいということですね。
しかも、コストも高くない。

昨年に政府の『コスト等検証委員会』で、原発のコストは本当は一体なんぼなのか、再生可能エネルギーのコストは一体なんぼなのか。これ非常に重要な資料ですので、原発問題に関わってる方は是非押さえていただきたいのですが、今回のところは化石燃料と原発だけ注目しまして。
2010年のコスト。石油火力は1キロワット時あたり22.2円です。石油高いです。
それに比べますと、LNG火力はキロワット時あたり10.9円。石炭火力は10.3円。LNGと石炭は大体同じくらい。
原子力は最低8.9円。以前5.なんぼって言われてたのがここまできた。しかし、これでも原発の危険性、原発の事故の場合の損害というのが充分に考慮されているとは言えませんので、まだまだ(上がる)可能性がありますよということがある。この部分なんかもやもやっとして、『最低』8.9円という、上は判りませんよと、そういう報告になっています。

つまり、ガス火力発電所は採算性もある。
猪瀬副知事は、具体的に東京でこのガス火力発電所を作ったらどうなるかという検討をしたんですね。実際に作ろうと具体的な検討。それが今年の3月に出ています。100万キロワットのガス火力発電所を作るのに1000億円から1600億円の建設費がかかります。そして維持費、燃料費も含めて、毎年350億円かかりますよ。これでも1キロワット時当たりの電気が13円で売れれば十分利益が出ますよということです。

しかもこのガス火力発電所というのは、場所をとらないんですね。東京都の評価によりますと、6ヘクタール。100m×600m。それくらいの土地があれば100万キロワット時発電できるというんです。
あの泊原発、代替全部合わせて200万キロくらい、それくらいある原発。207万キロ。あれがどれくらいの敷地をもってるかというと、135ヘクタール。ですから、この泊の原発が止まりましたよと、そのすみっこちょっと土地があればできる可能性がある。
これが火力です。
ただですね、そういう可能性があっても地元がうかうかしていると、どっかほかのところにもっていかれますよ。もう既に北海道電力は、昨日初めて聞いた話ですが、石狩地域にガス火力発電所を作るんだという話ですね。地元がうかうかしていると、どこかにもっていかれます。
次は再生可能エネルギーの話をしましょう。

太陽が毎年地球に降り注いでいるエネルギーは、人類が毎年使っているエネルギーの1万倍あると言われています。信じられないかもしれませんが。でも、ほとんどが宇宙空間に出ていってるんですね。それでも1万倍。そのごく一部でも使えれば、大変なエネルギーなんです。ですから日本周辺にも再生可能エネルギーの可能性がたくさんあるんです。

ポテンシャルという言葉がありますが、それは使える潜在力。そのうち立地条件を考慮して使っても大丈夫な場所での資源力なんです。たとえば国立公園の中は、ここは風車もダメ、地熱も駄目ですよ。そういうのを除いた上で使える量と考えてください。
風力ですが、左側が陸上、右側が洋上ですが、一番すごいのは北海道です。

北海道に太陽の潜在性がある。ポテンシャルがある。陸上での風力ではこの北海道がダントツにトップで、1億5000万キロワットくらい。つまり、普通の原発が100万キロワットとしますと、原発150基くらいの設備容量は北海道で陸上風力でいける、これは環境省です。
もっと可能性があるのが、海の上の風力。ドイツでもそうでしたが、北海道でもそうなんです。洋上風力で海底にしっかりと根をはるやつ。着床式の場合は、こちらが1億2280万キロワット。



しかし、洋上風力でも海に浮かべてやるやつで3倍と、深い面で広がってますから、それは2億8000、北海道だけですよ。洋上の浮体式の場合は、九州のほうが多いと言われております。

日本全体でこの再生可能エネルギーのポテンシャルがどれくらいあるかというのを、今の原発、福島の第一原発が倒れた後の設備容量3974万キロワット。およそ4000万キロワットと比べますと、こんなにたくさんあるんです。

洋上風力、15億8000万キロワット。
陸上でも3万キロワット。
太陽光発電でも1万5000キロワット。
もちろん原発がずーっと働き続けるというのに比べますと、風が強くなったり弱くなったりますので、1年間の発電量という意味ではもちろん減ることもあるわけですが、大まかな話、風力だと原発の3分の1くらいの費用で済む。太陽光だと6分の1くらいの費用というふうに考えますと、原発1基にかなうかぎりは原発3基分の設備容量の風力がある。6倍の太陽光があります。そういうような計算なんです。
十分にあるんですよね、原発にとって代わるだけの再生可能エネルギーというのは。十分にあるんですけども、そうであるのになぜヨーロッパではどんどん再生可能エネルギー・・・しかも中国ではもっともっとどんどんと再生可能エネルギーが増えているのに、日本では再生可能エネルギーの普及が進んでいないのでしょうか?
なぜだかということ。こちらのビデオを見ていただくと判ります。
<01:09:30頃~NHK・VTR開始>
(ナレーション)その量は電気供給量の1%程度です。わずかな量を巡って発電企業同士の競争が激化。電力会社の買取価格は年々下落しています。買い取ってもらった価格は、当初1kwあたり9円台。3年前には6円台にまで下がり、赤字が続いています。
(松島社長)構造として収益を上げづらい仕組みになってしまいまして、我々ベンチャー企業ですけど、ついていけない状態になっている。
(ナレーション)自然エネルギーの拡大を国として目指しながら、なぜ1%程度となったのか、その方向性を決めたのは、経済産業省の審議会での議論です。(新エネルギー部会2001年5月)
会議のメンバーはおよそ40人。経済界や地方自治体の代表、そして大学教授などです。当時委員会を取りまとめていた大学教授の柏木孝夫さんです。議論をリードしたのは、電力関連の出席者だったと言います。
(新エネルギー部会長・柏木孝夫氏)電力会社系っていうのはね、4人、5人くらいいらっしゃいます。やはり発言力がどうしても強くなると思いますね。決して弱くは無い。無視はできない。
(ナレーション)審議会で自然エネルギーがどう位置づけられていったのか、象徴的な議論がありました。
報告書に盛り込もうとした『新エネルギーは我が国のエネルギーの一翼を担うことも可能』という一文が問題視されたのです。電力関係者から発言が相次ぎました。
(東京電力・勝俣恒久副社長《当時》)『一翼』というのは一体何なのだと申し上げたくなる。
(電力総連・妻木紀雄会長《当時》)補完的エネルギー源が『一翼を担う』という意味合いはよく判らない。過度な期待を抱かせないような文面を始めに書くべきだ。
(電事連・殿塚猷一理事《当時》)自然エネルギーは主食ではない。餅に撒く海苔みたいなものだ。<笑>
(ナレーション)一方で、積極的に自然エネルギーの運用を進めるべきだという意見もありました。
(東京農工大学・黒川浩助氏)長い目で見たら再生可能エネルギーというのはきっと頼っていかざるを得ない時代が来る。
(ナレーション)それに対し電力関係者は、
『自然エネルギーは不安定で、コスト高く、電気料金の引き上げにつながる』
と主張しました。
(東京電力・勝俣恒久副社長《当時》)新エネだけを考えていて、経済性、電気料金が安いとか高いとか、そういうものが全く入っていないのはおかしい。消費者にツケを回すのは極めて安易な方策だ。
(ナレーション)導入の拡大に抵抗する電力業界。その主張の根底にあったのは、原子力政策です。既に全国では50基以上の原子力発電所が始動していました。原子力を中心とした供給システムも、国とともに築き上げてきた電力業界にとって、自然エネルギーの拡大は考えられなかったといいます。
(東京電力・桝本晃章副社長《当時》)<自然エネルギーの拡大に>反対しないほうがむしろおかしいのではないかと私は思いますね。国も電力会社も原子力にはお金をたくさん投入してきました。それはもう他の自然エネルギーに比べれば、額としてはべらぼうにならないほどに大きい額を投入してきています。突き返すコストが非常に高いということが現実として出てきて、それで(原子力)路線を続けるという判断になったということがあったと思います。
【参考】ニコブログさんより
NHKスペシャル「“どう選ぶ?わたしたちのエネルギー”」 メモ&感想
http://nikonikositaine.blog49.fc2.com/blog-entry-1914.html
(朴勝俊氏)『国民にツケを回すのは極めて安易な選択』ツケまわってますけどね、今ね。
まぁまぁ、あんまりに露骨に判りましたでしょ?要するに、原発をやろうとしている電力会社が再生可能エネルギーの普及を阻んできたという、そういうお話なわけです。 初めてビデオを見られた方ね、これNHKの番組だったんですけれども、本になってまして、今出てきた概要をはっきり書いてますので、『エネルギーを選ぶ時代は来るのか』という本です。今のビデオ、実はNHKに無断で使ってますので、本を大いに宣伝しておきたいと思います。『エネルギーを選ぶ時代は来るのか』よろしくお願いします。
先に進みますが、『Electric Power』という言葉がございますよね。これ皆さん、どういうふうにこの言葉を日本語に訳さはりますでしょうか?

普通はこれ、『電力』と訳しますね。

でも、私はこれを『電気権力』と訳すんです。電気権力。この企業は北海道電気権力株式会社というふうになるわけなんですね。

ここがやっぱり北海道での再生可能エネルギーの普及を阻んできた、或いは、先ほどご覧いただきましたように北海道には風力のポテンシャルが陸上風力で1億5000万キロワット、洋上浮力で3億キロワット。

もちろんこれが全部使われるかは別の話ですけれども、北海道電力が受け入れるとしてきたのは、わずか36万キロワットだけなんです。「これ以上はいくら北海道で風が吹こうと駄目ですよ。」ということなんですね。
こういうことをしているうちに、日本は再生可能エネルギーの普及では、ドイツ、スペイン、アメリカ、中国、そういうような国に置いていかれてきたわけなんです。世界ではどんどん風力、太陽光が毎年新しく設置が進んでいます。この毎年の設置量がこれです。

原子力の方は新しく動き出す原発よりも止まっていく原発のほうが多い、そういう事態に入ってきています。原子力はもう斜陽産業なんですね。
世界の太陽光発電所は、このように急速に、2010年ですから、もう今これくらいまで来ていますが、2010年で40ギガワット。原発40基分の設備容量がある。

風力の方も同じように2010年までに原発200基分の設備容量まで来ているんです。この風力のほとんどは日本にはないということなんですね。

しかし、これから再生可能エネルギーの普及を進めていくのはどこかというと、私はそこは日本だと思います。なぜならば、昨年再生可能エネルギー特別措置法というのができまして、遂に固定価格買取制度=FIT、フィットとか言いますけど、固定価格買取制度が実現をして、今年の7月から実施をされているんですね。

このために日本ではあちこちで大型のメガソーラーという発電所が各地で建設が進んでいます。建てるとすぐに動き出すんですね、ほとんど。うちにも実はつけました。そういうような家庭もどんどん増えていく。

この固定価格買取制度はどういう仕組みなのかといいますと、これは
『太陽光、風力、小水力、そしてバイオマスといった再生可能エネルギーによる電気の電力会社は無制限に買い取りなさい。『無制限に』買い取りなさい。しかも政府が決めた高い値段で買い取りなさいよ』
と、そういう仕組みなんです。

でも大事なのは、『買いなさいよ』だけでは電力会社の負担になりますから、その部分を電力消費者がみんなで支えましょうという・・・だから電気代に上乗せして、この費用を回収する。この部分に対する批判を最近よく見かけますが、実はこれは非常に重要なポイントなんですね。ドイツのアーヘンという町で初めて再生可能エネルギー、特にソーラーを普及するためにできた仕組みなんです。当時、もう十何年も前ですけれども、
「ソーラーパネルはまだまだ高い。でも私たちで普及をさせて量産化を含めて、大量生産によって値段を下げよう」
とアーヘンの市民はそう考えた。ですから、みんなで電気代を少し上げてもいいので、そのお金で太陽光発電を設置しようではないか。そういう発想から始まったのがこの仕組みなんですね。
日本のこの現在の固定価格買取制度の仕組みも、ドイツを元にしていますから、電力消費者みんなで少しずつ負担をして、再生可能エネルギーの普及を進める、そういう仕組みになっている。これが重要なポイントなんですね。
それをやってきたドイツは、現在どのくらい再生可能エネルギーが普及しているのか、ご存じでしょうか?最近のドイツの電気に占める再生可能エネルギー発電の比率。

三つの選択肢がございます。
5%と思う人、いらっしゃいますか?
15%?
25%?
恐らく挙げなかった方は20%と思ってる方かもしれないですけど、実は今年の上半期は、遂に4分の1まで来ました。すごいでしょ?去年が20だったんです。去年が20%で、今年はもう風力は9、バイオマスは5.7、太陽光5.3、水力は4.3、その他の0.9を合わせてついに4分の1まで来ました。原発を遥かに超えています。

ドイツでこの固定価格買取制度によって、風力・バイオマス・太陽光はこんなに普及をしてきました。現在の制度が確立されたのは2000年なんです。この2000年から始まって、2000年以前にも実は元になるような法律はあったんです。ドイツはこの固定価格買取制度は、このように長い歴史の中で、再生可能エネルギーというものをドイツの重要な産業にのし上げました。

この再生可能エネルギーの部分での雇用は、38万人となっています。原子力関係は、3万5000人にすぎません。

このように人がたくさん必要な、そういう産業。だから雇用をたくさん産む産業なんですね。
雇用のカギになるのは再生可能エネルギー。そしてそれが特に日本の中ではハマるのではないか。
最後になりますが、こちらの風景をご覧ください。ドイツの農村風景です。

今日北海道に来まして、初めて農村あたりを自動車で案内してもらったんですけど、北海道の風景によく似てるんですね。広い農地がありまして、そこに風車が建っている。実はこの風車は農場の農家の方の持ち物なんです。ですから、農家の方は現在農業と発電業を兼業している。そうやって両方の収入を得ているということになっているんですね。
「しかしまぁ北海道とドイツはよく似ているな」
と思いながら、でも違うのは、ほとんどこの風車をお見かけしなかったということです。先ほどの北海道電力さんがほとんど受け入れないということの結果なんだと思うんですが。
ドイツでこの再生可能エネルギーが脱原発の切り札ということになりました。そしてうまい仕組みができまして、このような形でどんどんと今進んでいる。このようなドイツでうまくいった方法をそのまま日本に持ってきたからといって、もちろんそのままにうまくいくかどうかは判りません。そうは限りませんけど、ヒントになるところはたくさんあると思うんですね。
その話をきっかけに、プラスアルファ北海道の強みは何か?泊周辺地域の強みは何か?自分たちで考える。これが大事なんですね。
泊村は何が強みなのかなとホームページを見させていただきました。そうすると、いろいろね、このIT、インターネットのネットワークが普及してますよ。安心して住めるような仕組みになってますよ。「原発のお金のおかげだ」と言ってしまえばそれまでなんですけれども、そういう暮らしができる街づくりをしてきましたよと。原発が残した遺産も強みなのかもしれません。

この泊のHPですね、第4次泊村総合計画というのを読ませていただきました。そうするとこんな言葉が書いています。
『原子力発電所の立地に伴う交付金等の財源に頼らない村づくりを進めます。』
本当は内心そうだと思うんです、私も。原発にいつまでも頼っていていいのだろうか?と思ってると思うんですよ。ちょっとこれ読んで切なくなったんですけどね。本当はそうだと思うんですよ。

しかも、また別のページには、
『新エネルギーや自然エネルギーを活用した産業を創出することにより、新たな雇用が創出されます』

私がさっき申し上げたことと同じことなんですね。
こういうことを地元の方々が知恵を出しあって、本当に自分たちの未来。本当に住みたい町。ずっと暮らしていきたい。子供たちを産み育ててずっと受け継いでいってほしい。そういう地域を作っていただけたらと思います。
何かのヒントに私の話が少しでもなりましたら、本当に光栄です。
どうもありがとうございました。

<01:25:30頃 会場拍手>
【質疑応答がありますが、割愛させていただきました。朴先生の資料のみUPさせていただきます。】







以上、失礼します。

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