20120830 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の二木かずおさんと一緒にお話を伺います。
 まず先ほどのニュースでですね、福島第一原発の原子炉の注水している冷却水の量が一時低下したというものがあったんですけれども、これは小出さん、どうなんでしょう?危険・・・じゃないですかね?
(小出氏)私も今そのニュースを聞いたばかりで、正確なことがよく判りません。ただし、もともと判らないのです。原子炉が溶けてしまったということは判っているわけですが、溶けてしまったいわゆる炉心というものが、どこにあるのかすらが未だに判らないという状態で今日まで来てしまっています。
 今回は、冷却水の流量が減ったということで、東京電力が観測した場所での温度は変化がないということだそうですけれども、それはたまたまその場所で変化が無かっただけなのかもしれませんし、実際にどういう状況になってるかということは、実は私も判らないし、東京電力も判らないのです。
 ですから、できるかぎり原子炉を溶けないようにする冷却を続けなければいけないということで今日まできたわけですけれども、その流量が低下してしまうということは本当はあってはいけないことだと思います。それが起きたということであれば、どうしてそんなことになってしまったか、もちろん東京電力も十分配慮してきたはずだと思いますけれども、それが起きてしまったというならばなぜなのか、これから起こさないように十分にまた注意をしなければいけませんし、まずはきっちりと調べて原因を教えてほしいと願います。
(千葉氏)これ、午後4時半には元の量に戻ったと伝えられてるんですが、これ、もし戻らなくて冷却が不十分になった場合というのは、また燃料が溶け落ちたりとか・・・?
(小出氏)はい。冷却に不十分だということになれば、溶けた炉心の温度は上がっていってしまうわけですし、今現在、多分コンクリートと反応・・・接触して反応が進むか、或いは押しとどめるかという瀬戸際にあるのだと思いますけれども、その反応がますます進んでいってしまうということになりますし、そうなってしまうと放射能が外部へ漏れてきてしまうという可能性がますます高まってしまうと思います。
(千葉氏)となると、本当に事故から1年以上経ってるということなんですけれども、また事故直後の状態に近いところまで戻ってしまうというふうに考え・・・てもいいんでしょうか?
(小出氏)一番大切なことは、いわゆる放射能が外部に漏れてこないようにしなければいけないのです。その最後の防壁というものが原子炉格納容器と私たちが呼んでいる鋼鉄製の容器なのですが、それがとにかく壊れないように炉心を冷やし続けて頑張るということしか、今できなかったわけで、私はもうすでにひょっとしたらば格納容器が壊れてしまってるかもしれないと事故の直後から疑ってはきていました。でも、東京電力は「まだ大丈夫だ。コンクリートが持ちこたえている」と言ってきたわけですし、なんとかそれを持ちこたえるような努力を続けてきたんだと思いますけれども、今回のような冷却が失敗するというようなことになると、東京電力のシナリオによっても最後の防壁を失ってしまうということに繋がってしまいますので、大変重要な瀬戸際だと思います。
(千葉氏)はい。判りました。
 では、次の質問にまいります。
 これも先日ニュースで伝えられたんですけれども、福島県で子供の甲状腺検査をしたところ、今まで検査した3万8000人の35.8%にあたる1万3000人以上にしこりなどが見つかったということなんです。毎日新聞の記事によりますと、福島県は「良性の小さな嚢胞はしこりは通常でもよくある」というふうに説明をしてるということなんですが、この数字を聞いて、小出さんはどうお考えになりますか?
(小出氏)私は、大変驚きました。正直に言えば。そんなたくさんの子供たちにしこりが発見されたということは、これまでの医学の常識ではなかったと思います。福島県が「よくあることだ」というようなことを言ったそうですけれども、そんなによくあることなんていうことは医学の常識としては無かったはずだと思いますし、もし「よくあることだ」というのであれば、一体どれだけよくあることなのかということを数字でまずは示さなければいけませんし、福島県だけではなくて日本全体の問題としてこの問題をしっかりと調べなければいけません。
(千葉氏)はい。チェルノブイリの事故ではですね、子供の甲状腺ガンが増え始めたのは事故が発生してから4,5年後だったということなんですが、小出さんはチェルノブイリの現地にも行かれて調査もされたというふうに聞いたんですけれども、その経験からも例えばそれまでに何か子供たちに兆候があるとかいったようなことはなかったんでしょうか?
(小出氏)私は放射能が専門ではありますけれども、甲状腺の専門家ではありませんので、私自身が子供たちの甲状腺をしらべたということは申し訳ありませんがありません。
 ただし、チェルノブイリ原子力発電所の事故の時に、ウクライナやベラルーシのお医者さんたちが子供たちの甲状腺に異常があるということと度々訴えてきたのですけれども、国際的な原子力を推進してきた人たちは、「そんなことはない。統計的に優位でない」ということで、ずーっと無視を決め込むという歴史が長い間続きました。そして、何年も経ってから「やはりこれは統計的にも意味がある」ということで、初めて原子力の推進側も
『チェルノブイリ原子力発電所によって甲状腺ガンが優位に発生した』
と認めるようになりました。
 そういうことから見ると、今回も原子力を進めてきた人たちは、福島で今観測されている事実を「なんでもない」というふうに言いたがるだろうし、そう言っているのだと思いますけれども、気が付いた時には被害がもっと広がってしまうということになりかねませんので、早いうちに調査をしてきちっと事実というものを認めることが必要だと思います。
(千葉氏)うーん。はい。
 では、次の質問にまいります。
 静岡県の浜岡原発5号機の原子炉圧力容器に5トンの海の水が流れ込んだという事故が去年5月にありました。その影響なんですけれども、原子炉の中の燃料集合体を覆っている金属製カバーの内側に入っている水に、高い濃度の鉄分が含まれているということが判ったということです。
 ということは、鉄のさびが炉の中に浮かんでいる可能性があるということだと思うんですが、これが圧力容器内に例えばサビを作ったりとかって影響はないんですかね?
(小出氏)えー、福島原子力発電所の事故が起きた時に、とにかく炉心を冷やさなければいけないということが一番の重要事項でした。それでその時に、炉心を冷やすためには水をいれなければいけなかったのですけれども、真水が無かったという時期が一時期ありまして、その時に福島第一原子力発電所の人たちは、仕方がないから海水でもいいから入れようとしたのです。しかし、東京電力の本社では、
「一度海水を原子炉の中に入れてしまうと、原子炉が二度と使い物にならなくなるので、海水を入れるのをなんとか辞めることができないか」
といって、福島第一原子力発電の現場で苦闘している人たちにそういう指示を出したことがありました。
 それほど原子炉の中に海水を入れるということは、原子炉という機械にとって致命的なことになってしまいます。
 今回浜岡の場合には、意図的に入れたのではなくて、事故によって入ってしまったわけですけれども、もちろんそれによって原子炉の中の腐食ということが進むことは避けられませんし、今回鉄分が多かったということはもちろんそのことを示していると思います。
 原子炉という大変キビな機械ですけれども、そういうものに腐食が生じるということは大きな事故を誘発する原因になってしまいますので、何よりも避けなければいけませんでした。
 その上にもう一つ重要なことがあるのですが、サビというものができてしまいますと、そのサビが今度放射能を持ったサビになってしまいまして、原子炉冷却材の中に溶けてくるわけですし、それが原子炉全体に流れていってしまって、そこらじゅうで放射能による汚れというものを広げていってしまうことになります。そうしますと、原子力発電所をメンテナンスする労働者たちがそれによってまた被曝をしてしまうということにもなってしまいまして、これまでも原子力発電所では労働者の被曝をなんとか少しでも減らすためにということで、私たちが水質管理ということを細心の注意を払ってやってきて、錆びないように、錆びないようにということでやってきたのです。そういう努力が一挙にもう水の泡に帰してしまったわけですし、このまま運転再開をするということになれば、労働者の被曝がまたケタで上がってしまうということになると思います。
(千葉氏)はい。
(二木論説員)そうすると、浜岡の場合は再稼働はもうちょっと難しい状況なんでしょうか?
(小出氏)私としてはもちろんやってはいけないと思いますけれども、日本で原子力を進めてきた人たちというのは、浜岡という東海地震の予想震源域の中心にあるような原子力発電所でも「まだ安全だ」といってきた人たちがやってきたわけですし、今回は大飯原子力発電所という、ひょっとしたら活断層があるかもしれないというところでも再稼働OKを出しているわけですし、浜岡というところで労働者が少しくらい被曝をしても、そんなことはなんてことないという判断を下す人たちが、今原子力の中枢にいるということだと思います。
(千葉氏)はい。判りました。小出さん、どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【参考記事】
福島1~3号機注水量が一時低下 第1原発
共同通信(2012年8月30日)
 東京電力は30日、福島第1原発1~3号機の原子炉への注水が、保安規定に定められた冷却に必要な量より一時低下したと発表した。原子炉圧力容器の温度に変化はなかったが、原因を調べている。

 東電によると、同日午後3時に注水量を監視していた社員が低下に気付いた。1号機には毎時4・9トン、2、3号機には7・0トンを注水していたが、1号機は4・0トン、2号機は5・5トン、3号機は5・6トンに低下していた。原子炉の冷却に最低限必要な量を0・3~0・6トン下回った。バルブの調整で水量を増加させ、間もなく回復した。

 1~3号機の注水はこれまでも低下したことがあり、その都度、バルブを微調整して流量を確保していたが、必要量を下回ったのは初めて。漏えいなどは確認されていないという。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「冷却に一番大事なシステムなので、注水量が極端に下がってしまった原因を慎重に調べたい」と話している。

 保安院の森山善範原子力災害対策監は記者会見で「これだけ流量が下がったのは今までなかった」と話した。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/08/post-6585.html


福島県内の子供36%にしこり 福島以外でも甲状腺検査へ 
産経ニュース 2012.8.27 11:24
 政府は27日までに、福島県以外の全国3カ所で、18歳以下の4500人を対象に甲状腺超音波検査の実施を決めた。東京電力福島第1原発事故を受け、福島県内の18歳以下の子供を対象に行っている検査では約36%の子供の甲状腺にしこりなどが見つかり、これらが事故による影響かどうかを見極めるためデータを集める。

 内閣府原子力被災者生活支援チーム医療班は「良性のしこりは健康な人にもよく見られるものだが、疫学的な調査がこれまでにない。福島県からできるだけ遠く、放射線の影響がない場所で調べる」と話している。

 同チームによると、福島県内で行っている検査と同様の方法で、来年3月まで実施。日本甲状腺学会などの専門医が担当し、疫学の専門家も加えて結果を検討する。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120827/trd12082711260006-n1.htm


福島以外でも子どもの甲状腺検査
NHKニュース 8月27日 5時21分
原発事故を受けて福島県が行っている子どもの甲状腺の検査で、3人に1人の割合でしこりなどが見つかっていることから、国は、事故の影響かどうか見極めるため、ほかの複数の地域で同じ検査を実施する方針を決めました。

原発事故で放出された放射性ヨウ素は、子どもの甲状腺に蓄積してがんを引き起こすおそれがあり、福島県は、18歳以下のすべての子どもを対象に甲状腺の検査を行っています。
ことし3月末までに検査を受けた3万8000人にがんはありませんでしたが、3人に1人に当たる36%にしこりなどが見つかり、県は「通常でもしこりなどは一定程度できるので特別な対応は必要ない」と説明しています。
これに対し、保護者らから不安の声が上がっているため、内閣府の原子力被災者生活支援チームは、事故の影響かどうか見極め、保護者や子どもたちに安心してもらう必要があるとして、ほかの地域でも同じ検査を実施する方針を決めました。
福島以外の3つの地域で、今年度中に、専門医の協力を得て18歳以下の合わせて4500人の甲状腺を検査し、福島県の子どもたちの検査結果と比較する計画です。
内閣府では、原発事故で放出された放射性物質に影響されない地域で甲状腺のしこりなどの発生率を把握し、不安の解消に役立つ科学的データを集めるとともに、万一、事故の影響があった場合も、異常を早期に察知できるようにしたいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120827/k10014551361000.html

【福島県HPより】

8%

http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyosen-ketuka2403.pdf

浜岡5号機、炉内流入の海水は約5トンに
(2011年5月19日03時04分 読売新聞)
 静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所5号機で、運転停止作業中に原子炉に流入した海水量が約5トンに上ることが18日、分かった。
 タービンを回す水蒸気を水に戻す「復水器」の配管が何らかの理由で破損し、配管内の海水が流入した疑いが強く、経済産業省原子力安全・保安院は配管の傷が予想以上に大きいとみて、中部電に詳しい原因調査を求める方針だ。
 復水器内に漏れ出た海水量は400トンに上ることが判明しているが、中部電が原子炉内の冷却水に混入した不純物の量を分析した結果、炉内に流入した海水は5トンに達する可能性が高いことが分かった。同社は異常に気づいた14日夕、復水器から原子炉へ給水するポンプを停止したが、それ以前に原子炉内に海水が浸入してしまったらしい。
 復水器内の古くなった配管に傷が生じた例は、過去にも他の原発であるが、浜岡原発5号機は2005年に運転を始めた比較的新しい原発だ。中部電は配管計約2万1000本を対象に破損部を特定する調査を始めたが、破損の詳しい原因はわかっていない。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110518-OYT1T01302.htm

失礼します。
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