※この記事は、8月8日【内容起こし】田中三彦×福島みずほ×木野龍逸×七尾功『福島第一原発 残された謎とリスク』-津波到達時刻と電源喪失時刻-【その①】の続きです。

<45:00頃~>
(福島氏)多分この国会事故調も全部ダウンロードしたらものすごい大変なので、私たち国会議員はもらえたんですが、普通の人が、普通っていうかの国会事故調の資料ってみんなの結集なんだから、みんなが読んで勉強したり、「これはどうなのよ」って話ができたらいいですよね。

(木野氏)ですよね。

(田中氏)今の津波の話はね、本文中にはさっき言ったように本文に最初はこんなにあった、それを全部バッサリととって参考資料として、「そういう難しい話は参考資料に持っていこう」ということで、あんまりここ(最終報告書本文)に入れると難しくなるのでね。エキスとここに書いて簡単な記述をここにして、参考資料で詳しいものを書くということになってて、そのほかに要約版っていうのもありますよね。大体こちらは読んでいただけてるんでしょうけど。
 だからね、SR弁の話なんていうのは、ちょっと私は淡泊に書きすぎたなと思うんだけれども、もっと大袈裟にというか詳しく書けばよかったかな。或いは「参考資料に」とも思ったんだけれども、参考資料にヒアリングのQ&Aですよね。私たちと運転員の方のやりとり全部書くっていうことは、ちょっとそれはできないんですね。

(福島氏)あと、「ここの部分はすごくわかったことなんだ」とかいうところとか、ユーザーの皆さんに話していただけることとかありますか?

(田中氏)まだまだいっぱいありますけどね。
 1号機なんかでいうと、何で1号機かというと1号機が非常に怪しいということですね。
 それで、簡単に言うと1号機ってもう、津波でもそうですけど、なんか地震の要素について見過ごしてる可能性があったら、2号、3号もあるかもしれないけども、1号ではっきりしてしまいますので、それは今後の他の原発の対策に関しても重要・・・

(福島氏)そうですよね。直結しますよね。

(木野氏)やっぱり最初のその爆発までの時間が短すぎるとかっていうことなんですかね?

(田中氏)そうですね。それで1号に関して言うと、「くさい」ですね。

(福島氏)何が「くさい」んですか?

(田中氏)やっぱりさっき言ったようにSR弁が動かない、あれはSR弁が動かないということは、どこかから漏れてるということ、圧力が思うように上がらないということ。

(福島氏)とっくの昔にどっかぶっ壊れてるということですよね?

(田中氏)ぶっ壊れてるというほどにぶっ壊れると、もっと早く水素爆発に多分いっちゃったと思うんですけど、でもあれはね、そんなに大きな傷じゃなくて、水道管の破裂みたいなね。

(福島氏)ただし割と最近の新聞で、『燃料棒が溶融している点ではなくて、格納容器が損傷していたことも当時わかっていた』なんていう記事も出ましたからね。

(田中氏)あのね、格納容器は難しいんですよ。格納容器って風船みたいなものだけど、あれはね、内側からバンっと内側から・・・丸いものってそうなんですけど、内側から膨れてくるものに対して結構強いんですよ。だけど間違ってこんなんなってると、間違ってボコッていっちゃうんですよ。ああいうのを『座屈』っていうんですけど、こういう球形のドライウェルとかはね、外側からの圧力に非常に弱いんです。だから、外から加わる力に弱いんです。
 だから水素爆発を一発ドカンっと起こした時に、外圧がかかるんですね。それで、例えば溶接部とかに亀裂が入ってるかもしれないし、っていうのもあるし、格納容器は今どうなってるかというと、これは原子炉圧力容器だとしますが、そうするとこれを今冷やすためにここに水を入れてるわけです。一生懸命。水をいれて循環なんとか方式ってやつね。

(木野氏)循環注水・・・方式とかいってますけど。

(田中氏)循環注水冷却という、あの方式はどうなってるかというと、ここに入れますよね。そうするとなぜか知らないですけど、じゃじゃ漏れしてるんですね。ここ(圧力容器)からじゃじゃ漏れする。そうすると次にフラスコ(格納容器)が覆ってますよね。あのフラスコのどこかに穴が空いてるとそれも漏れるんですよね。それで結局建物もどこか漏れてて地下までいっちゃう。それが1,2,3とみんな合体してぐるっとまわってくる。
模式図 これ「循環」・・・循環っていうと普通は経路が判ってるんですけど、入れた水がどうしてじゃじゃ漏れ起こして、2カ所でじゃじゃ漏れをしてる。そのじゃじゃ漏れの場所が、特に格納容器に関しては確定できない。それから、もしかすると原子炉圧力容器も本当にみんな下ばっかり言ってるけれども、本当に下なのか?僕なんか横からも出てるんじゃないかっていう気もするしね。下はもちろん、これは2カ月後に書いた『世界』の5月号というところに、私はメルトダウンが起きてて、制御棒のメインコアモニターハウジングというところ、制御棒とかそういうとこから漏れたんじゃないかってことは、もうその時3月に書いた原稿で書いてるけど、それもあるんですけど、その後いろいろ考えると、シュラウドっていうのが溶けた可能性があるんだろうと。
 そうすると横に水が、燃料が行くと、配管なんかは損傷して、そうするとそこから非常な勢いで出た可能性があるなとか思っていますね。
 だから、原子炉圧力容器の損傷は特に1号はしてるんですけど、その箇所がよくわかんないですね。

(木野氏)圧力容器が損傷してるっていう話になると、随分前ですけど、東電が言うには、「横からもし損傷して漏れてるんだったら、下に水が溜まってるからいいじゃん」みたいな説明をたまにする、してましたね。

(田中氏)そんなに上の方じゃなくて、やっぱり下の方ですけどね。燃料域よりも下のところだと思うんですけど。再循環系出口配管とか入口配管とかあるんですけど、その辺のあたりがやられてないかなっていう気はちょっとするんだけどもね。
 下もやられてます、当然。
 だけど上もやられてる可能性もある。
 あとですね、判っていることで言うと、『非常用復水器』という問題ですよね。
 あれも、いろいろ検討しましたけれど・・・

(七尾氏)1号機のICですね。

(田中氏)そうそう。これもJNESに計算をやっていただいたんだけど、そのことをちょっと言わないといけないですかね。後で訪ねてくれればお話いたしますけど、あれはね、『非常用復水器をなぜ止めたか』っていう問題がありますよね。よくある「運転員がダメだ」っていう・・・

(木野氏)55℃/時・・・

(田中氏)政府事故調は、「さかんに運転員が判ってない」っていうふうに。
 あのね、それが無茶苦茶な話でね。東京電力の幹部の偉い人、僕はあんまり応援しないけど、現場の運転員の方の話を聞いていても、その場での真っ暗の中で最善を尽くされてると思うので、こうやって何か月も、半年も、1年もかけてみると、運転員は「ここを気づけばよかった」とか、「あれを気づけば良かった」って結論が出るんだけど、それは1年かかったことですよ。それをね、2時間、3時間で今目の前で何が進行してるか判断して、「これが起きてるからこうすべきだ」とかっていうことは、まず無理ですね。
 それはそういう訓練もしてなかったし、それから教育施設も無かったし、訓練施設もなかったし、


(木野氏)要するに(非常用復水器を)動かしたのを見たことがある人が居ない。


(田中氏)居ない。動かしたことは無いんです。だから、それはそういう教育の問題とかいわゆるシビアアクシデント対策とか、全交流電源喪失が起きた時の対応の仕方とか、長時間にね、そういうものを考えてないんだから、これは無理ですね。
 それでそれよりも、東京電力も政府事故調も、運転員がせっかく動いた非常用復水器を止めた理由として、『55℃/時』という温度変化率の制限っていうのがあるんですよ。難しいでしょ?


(福島氏)はい。でも続けてください。<笑>今日はちゃんとこういうことを理解するということで頑張ります!どうぞ。


(木野氏)「1時間に55℃を上回る温度変化をすると危ないから止めなきゃいけませんよ」っていうのが手順書に書いてあるんですよね。


(田中氏)そうです。例えばね、福島さんがなんか大事にしてる機械があって、それが温度変化する機械だったとしましょうか。非常に生活に役に立って、そういう機械があったとして、これを何十年ともたせたいと思ったらですね、「こういうことに注意しろ」とマニュアルがあったとしますね。そこに「あんまり急激に水を入れないでください」とかね、それから「温度を変化させないでください」とか。それはコップに急にお湯を入れると割れるというのは体験的にわかりますよね。
 それと同じことで、それも急激なのは当然なんだけど、「できるだけ温度の変化はゆっくりしてください」『その変化を1時間当たり55℃以上上げたり下げたりしないでください』
 だから、『55℃/h』って言うんですね。
 例えば1時間100℃にすると寿命が縮まるので、そういう話ですね。
 それで長持ちさせようという考え方です。

(木野氏)要するに40年も50年も使い古すという・・・

(田中氏)『熱疲労』っていうんですけど、あんまり温度の上げ下げが急激に何度も行われると、金属が参るということですね。
 それをマニュアルには東京電力の保安規定というものなんですけど、これは自主的。その中に『55℃/時の変化はいつも考えなさい。以内に抑えろ』というのはあるんですね、確かに。
 あるんだけれど、運転員の方がこれで止めたはずはないんです。
 なぜかというと、簡単なことを言うと、運転のパネルに「今原子炉の冷却材の温度変化率は何℃です」っていうのは出ないんですよ、別に。そういうのは出ないです。電車の「今何キロで走ってます」ってああいうようなメーターはないんです。
 やりたかったら圧力から計算をしなくちゃいけないんです。そんな暇はもちろんないわけ。
 それから運転員の方は誰だって知ってるんです。『55℃/時以内、ソフトに運転する』ということは知ってるんですよ。そんなことは設計家の僕も、彼らも体に染みついてるんですけど、設計屋もしみついてます。

(木野氏)原子炉に限った話じゃなかった・・・

(田中氏)全然ちがう。もともとは、火力発電とかね、化学プラントとか似たようなものですよね。ああいうところでもそれがあったんですね。それは一世紀以上前から、『経験則』っていうやつ。
 なんかね、『55』っていうとすごく格好よさそうですよね。

(木野氏・七尾氏)<笑>

(福島氏)はい。

(田中氏)「なんで56じゃないんだ?」とかね。

(木野氏)根拠ないんかんじらしいですよね。

(田中氏)だけどね、なんかすごく技術さんが精密に計算して出した・・・

(七尾氏)100年も経験則で語られる・・・

(田中氏)それでこれは何になってるかというと、華氏を摂氏に直しただけなんですよ。
 100F/時を1.8で割ると55℃になるんですよ。

(七尾氏)そうなんです?

(田中氏)そうそうそう。だから大して意味はない。如何におおざっぱにできてるかというと、100Fというのは、ボイラーを立ち上げたり止めたりする起動停止に主に温度変化はでますので、その時の水とか蒸気の温度変化を『55℃・100F/時』という経験則があるわけ。それは19世紀の終わりか20世紀の始めの方からあるわけです。

(福島氏)そうすると、東電内では「55℃/時っていうマニュアルに従った」というのは嘘っぱちであって・・・だって現場で計算できないんだから、別の理由があるってことですよね?

(田中氏)そうです。だから僕は「それで止めた」と言ったから、そんなことは有り得ないと思ったんですよ。
「緊急の際にせっかく立ち上がったものを止める理由にならない」
と僕はずっと言ってたわけです。
 だから、何か隠してて、逆に言うとその時に僕書いてますけど、
「運転員の方は、配管がICが動き出したら、圧力が急激に落ちてるものですから、その落ちが早いので、それにびっくりして止めようとしたんじゃないか」
ってことを僕はずーっと言ってるんです。

(木野氏)その圧力の変化は見られるんですか?

(田中氏)圧力の変化は見ることはできます。温度の変化は見えない。

(福島氏)そして結果どうだったんですか?

(田中氏)それで、実際に止めた人の運転員にお話を聞いたわけです。そしたら聞いた方は3人関係してた。3人にチームプレーで止めてるんですよ。

(木野氏)ほう・・・

(田中氏)それで事故調の報告書にきちんと書いてますけど、まず運転中央制御室とか中央操作室はこれですね。そこに居る人は、普通は11人居てね、一番上は当直長、主技操作員とか??操作員とか階層性になってる。
 それで、一番偉い当直長さんから、っていうそういう格好になってる。 
 ここの人の名前を言うと人の名前がはっきりしちゃうので、職場の中で。だからちょっとそれは言えない。
 ある運転員の方がね、「イソコン」っていうんですけど「IC=アイソレーションコンデンサ=非常用復水器」のことをね。
「イソコンが立ち上がったみたいですよ。立ち上がりましたよ。」
ってある運転員の方が言うんですよね。それを言われた人がですね、その目の前にある圧力計をずーっと見てたら、圧力がどんどん下がっていくんですよ。それで、普通の原発の通常運転圧力っていうのは、70気圧前後です。パスカルとかメガパスカルという・・・慣れないでしょ?気圧の方がいいですかね?

(福島氏)いや、なんでもいいです。

(田中氏)そうですか?

(福島氏)<笑>大丈夫です。

(田中氏)それを70気圧くらいのところなんだけど、それを11分したら、なんと46気圧まで落ちちゃったんですよ。

(福島氏)「壊れている、おかしい」と?

(田中氏)「これは圧力かなんかが抜けてるんじゃないか」と。
 それで、それはICが立ち上がったらいきなりスーッと下がっちゃっていっちゃったものだから・・・

(木野氏)立ち上げてから下がったのは明確・・・

(田中氏)そう。地震が来て6分後に動き出すんですけど、それで動き出して11分後にはもう46まで来ちゃった。
 それで、それを見ていて効果が激しいので、
「漏れている可能性がある。どこかが漏れてるかもしれないので、一回止めたい」
というふうに別の運転員の方に、しかるべき権威を持った方ですけど、その方にいう訳ですね。
 そしたら、その人も
「圧力を手のうちに収めたい。あんまり勝手にそんなに下がられると困るので、制御したいということで止めたい」
というんですね。だから「いいですよ」って言うんです。そしたら最初に圧力が下がってて止めたいと言った人が、その人が圧力を見てるだけで操作はしないんですね。今度ここに、また是非・・・208ページにICの動かすレバーの写真。これは私が現地に行って写真を撮って・・・

IC弁


(木野氏)これは田中さんが撮ったんですか?

(田中氏)これ、レバーがあるんですけど、このレバーをポッとひねると、そうするとICが止まるんです。それを操作する人に
「○○さん、非常用復水器のA系とB系を止めてください」
と言ったら、
「はい、わかりました」
って、そういうふうに言って止めてるんです。 
 そうすると、最初に何が動機だったかというと、
『圧力の下がりが激しい。どこかが漏れてる可能性がある』
 やっぱり誰でも思いますよ、運転する人だったら。
「こんなに早く落ちるはずがない」

(福島氏)確かに。ということは、非常用冷却装置が壊れている?

(田中氏)と思ったんです。それで止めたんです。
 それでここがずーっと争点になってくるわけで、それに対して東京電力と政府事故調は、一貫して『55℃/時の運転規則に反するから、それで止めた』とこう言ってるわけです。

(福島氏)でも実際は違うわけですよね。

(田中氏)そんなこと考えてないというより、そんなことは良く知ってるけれども、ここを止めたのはその話で止めてるわけじゃないと。その最初に3人の一番最初の方が「あ、早い。漏れてる可能性がある」と。
 考えてみれば当たり前のことで、この問題は、『動き出すとそういう性能で圧力が落ちるのかどうか』ですよね。そうでしょ?

(木野氏)温度がそれだけ下がって圧力がそんなに・・・

(田中氏)それが正常なのか異常なのかっていう。普通、機械装置っていうのは、そういうものが動き出したら、自動車だってちょっとアクセル踏んだらどのくらいスピードでるかなんて、計算わかるわけだから、そういうのは運転性能線図として最初にあるはずですよね。だけど
「設計したGEがこの性能線図を残してるはずだから、それをご覧になったことありますか?」
ということを聞いたら、
「あることは知ってるけど、よくは見たことない。見たことはあるけど」
という程度なんですね。
 結局、その下がり方が異常なのかどうかっていうのが判らないわけですよ。
 もしそれが正常だったとしたらね、止める必要はないわけで、例えそれで『55℃/時』を上回るようなスピードで温度変化しても、もともとそういう性能を持ったんだったら、それはしょうがないわけで。
 だから、矛盾してるんですよ、彼らは。

(木野氏)二つの意味で矛盾してますね。

(田中氏)じゃあ使えないでしょ?<苦笑>

(木野氏)そうですよね<苦笑>

(田中氏)動かすと『55℃/時』を上回るような機械がついてたと。そういうものなのか、それとも本当にどこかに穴が空いていたのかと、その二つを冷静に判断しないといけない。それを判断したいというので、是非聞いていただきたいのは、川内さんの委員会の時、そういうところで我々が川内博史議員というところを通して、保安員に
「これはおかしいのかおかしくないのかということを計算で示してください」
ということを頼んだんですね。

(木野氏)それで出てきたのがJNESの試算、原子力安全基盤機構が・・・

(福島氏)あれですよね、東京新聞なんかにも載っていたり、これに入られる前の話ですよね?

(田中氏)そうなんですよ。国会事故調に入る前から。

(七尾氏)委員になられる前のお話。

(田中氏)実をいうとね、僕は12月8日・・・

(福島氏)だから手順書のことも大変問題になりましたよね。

(田中氏)そうなんですよね。それも全部ここで。

(七尾氏)これ、手順書には温度変化による操作の記載はないんですよね?

(木野氏)いや、55℃ってある。

(七尾氏)あ、そうですか。

(田中氏)あのね、これはね、言うと・・・これは守秘義務は無いんですけど、黒塗りのマニュアルが出てきたでしょ?

(福島氏)そうですね、有名な話ですね。

(田中氏)あれは結局、私たちが・・・川内博史議員は当時科学技術イノベーションの委員長をやってて、その関係で東電を呼んだり、それから保安院を呼んだりして、去年の夏くらいからそういう活動をされてたんですね。
 私たちはそれを勝手に「川内ヒアリング」と内々で呼んでたんですけど、そこへ去年の7月頃に私が呼ばれて、「サポートしろ」ということで行ったんです。私と一人じゃ寂しいので後藤政志さんと、それから東芝の格納容器を作ってた、当時の第一線の人ですよね、渡辺敦夫さんという、その3人と、原子力資料情報室の上澤さんという人がいらっしゃいます。その4人で大体でてたんですよ。【参照:10月26日 【動画・内容起こし】福島第一原発設計技師(田中三彦氏、渡辺敦雄氏、後藤政志氏):地震の揺れで機能喪失を指摘【その①】
 補佐というか、補佐がよくしゃべりまくってたわけだけれど<苦笑>
 その中で「ICの挙動を55℃かなんかで止めたっていうのはおかしい」し、「もしかすると配管壊れてるんじゃないか。」
 「55℃」「55℃」って言うから、もう怪しくてしょうがないから、別な理由で止まってる可能性があって、それはもしかすると運転員の方が「漏れた」と思って止めたんじゃないかと。漏れたかどうかを計算してくださいということを言って。
 そういうのをFTA解析、FTAって言うんですよ。A=Analysis、F=はFault。Faultっていうのは「間違い」もあるし、「故障」ですね。T=Treeっていうのは樹上、木の枝に分れて。
 Fault Tree Analysis=FTAで日本語訳では『故障の木』、変でしょ?『故障の木解析』っていうんですけど、FTAをやってくださいっていうのを保安院に一生懸命頼んだんですよ。 
 そしたらようやく保安員の下部組織といっちゃいけないんだけど・・・

(木野氏)保安院を支える・・・保安院の所管する法人。

(田中氏)保安院を支える外郭・・・正式名称は、

(木野氏)原子力安全基盤機構=JNES

(田中氏)そのJNESの研究者の方がすごくいい人でしたけど<笑>、お二人来ていただいて、我々のくずみたいな注文を聞いてくれてね、それでやってくれたんですよ。
 そしたら最初やっていただいた時には不満でね。それはなぜかというと、ちゃんとした寸法のものを使って計算してくれてなかったとか、大雑把なもの。だから、そういうのをやり直しをしてもらったり、いろいろインプットデータに注文をつけながらやっていただいたんです。
 それの結果、結論は出ませんけれど、「穴は開いてないかもしれな。穴は開いていない」というのが彼らの結論です。
 それで我々はそれを「はい」と言ったわけじゃなくて、「穴の大きさをもうちょっと変えてくれ」ととか、「穴をICに限らないで、他のところでもいいかやらってみて」、それだって(圧力が)落ちるわけでしょ?だから、それを合計12ケースくらい、あっちに穴開けたりこっちに穴開けたり。

(福島氏)これですね。

220


(田中氏)そうですね。220ページ。これであちこちに穴を空けてくれて、いろいろやってくれたんです。穴の大きさが最初大きく開けるから、「そんな大きく開けたら、あっという間に水がなくなっちゃうから、そんなに開けないでくれ」って言ったりね。
 できるだけちょろちょろ漏れさせてですね、地震が来た直後は、まだデータがありますのでね、それと合うかどうか。水位とか圧力が合うかどうかを計算してもらったんですよ。そしたらそのJNESの一応の結論は、
「穴が空いていても、小さい場合には、原子炉の水圧・水位ともそう狂いはない。それだけでは何とも判断できない」
ということになったんですよ。

(木野氏)ただ、それが長い時間続くと漏れると。

(田中氏)そうですね。これの穴の開き方は・・・はじめ3㎝なんてかなり大きい穴、3平方㎝、0.1とか0.3平方cmっていう、細い亀裂ですね。そういうものが入ると、大体そういう場合にはあんまり矛盾が出ない。だけど、水が1時間で7.2トンくらいそこから出ます。10時間もほったらかしておけば、何十トンと出てしまう。 
 だけど、そう簡単な計算ではなくて、穴の大きさで小さかったのがもっと大きくなっていく。それから圧力が減ると、穴の大きさによってどのときどういうふうに出るかわからないわけですから、実態がよくわからないので、あまりこういう計算っていうのは参考にはならないけれども、大事なことは、漏れてても簡単に・・・僕が最初、去年の3月か4月に「漏れてる」とか「地震で破損してる」と言ったときに、多くの専門家の方がね、
「そんなことしたら水がどんどん落ちるし圧力が落ちる。そう落ちてないからそんなことない」
ってずーっと言い続けてた人に対して、そうではないということがこれで一応判った。
 ただし、これはあくまでも一般的な話で、こういうふうに事故推移したかどうかは判らないです。

JNES


(木野氏)ただ可能性の一つとして、あると。

(田中氏)それで重要だったのは、こうやって事故が起きた時に設計的な解析の仕方じゃなくて、
「ここにこんな穴が空いたんじゃないか、あんな穴が空いたんじゃないか、こっちが壊れたんじゃないか」
ということをやって解析していく自己解析手法というのがあるんですよ。そういうのがFTAっていわれるものですね。

(七尾氏)TMI《スリーマイルアイランド》でもやってましたね。

(田中氏)はい。これをTMIでもやってるんですけど、FTAっていう方法でやらないとだめだよっていうことを言い続けたんですね。もちろん、向こうのJNESの方も専門家だからそうは思ってたと思うんですけど、判ってはいるんだけど、「やれ」という人が居ないからやらないというのがあるのかもしれないけど。
 だから、これは川内先生のところを通して、そういうことをやれたということですね。
 事故調としては、これをなんかJNESの結果をここで披露してですね、「まるで自分もしないくせにこんな人のふんどしで」って見えるけれども、実をいうとここに乗っかってるのは、これは僕らのオリジナルとは言いませんけれど、かなり川内先生を通して実現した最初の解析例なんだということですね。

(木野氏)それはJNESに言いだしたのは8月とか9月とか夏くらいだったんですかね?

(田中氏)去年の7月頃から「あれもやってくれ、これもやってくれ」っていうのは大体9月ころまで掛かってましたね。10月頃まで。
 そういう結果を今度は技術的知見の意見聴取会とかいう保安院主催の会がありますよね。あそこにこれがそのまま出されるわけですよ。そこに僕らが呼ばれたかというと呼ばれないわけね。
 そうするとJNESが何のあれもなくこういうふうにやったように見える。またそれの委員をされてる方も、昨日、おととい僕のところに文句を言ってきた専門家の方はその意見聴取会の方の良いんです。

(木野氏)<笑>

(田中氏)「こういう計算をお前らやってない。それをどう思ってるんだ?」って、実は全部僕ら知ってるので、そのことをここにものっかってない計算について彼は言ってきましたけど、そういう経緯でやっててね、ずさんではないと僕らは思ってるんですけど。
 そんなことがありました。
 その『55℃/時』っていうのは、全然東京電力も政府事故調も絶対引き下げない。

(木野氏)下げないですね。言い続けてますね。

(田中氏)だけど、現場でやった3人の方がどうやって止めたかっていうのをちゃんと言って、それはここに書いてあるわけだから、『55℃/時』というのは無関係だというのは、早くもうやめてもらいたいわけ。
 それをね、逆に死守すると、勘ぐりたくなりますよね。何か別のことがあったんじゃないか。

(七尾氏)もうそのパターン、非常に多いです。

(福島氏)でも運転員のミスにしたいわけでしょ?

(田中氏)そういうこともあるでしょうね。

(福島氏)マニュアル的な問題みたいに。

(木野氏)人のせいにしとけば原子炉は間違えなければ大丈夫みたいな。

(田中氏)そういうことはありでしょうね。そういう蟻の一徹じゃないけれども、配管なんかも弱っていて、更に圧力上がってきたときに遂に耐え切れなくなってそこから壊れるということはあるんでね、その辺についてあんまり甘く見ないほうがいいだろうというふうに僕らは思う。
 それで計算も参考にするのはいいと思うんだけど、当然計算をした人は、合わせて運転員の方に直によく話を聞くことですね。それをしてないでしょ?それで、運転員の方にこれくらい言っても守秘義務にならないと思うけど、こういう話、
「音の話なんかは政府事故調のヒアリングの時されましたか?」
って聞いたら
「聞かれなかった」
と言ってますね。
 だから、基本的に・・・関心のもち方が違うっていうのかな。

(木野氏)国会事故調の報告書で一番「おぉ!これは良くやってるな」と思ったのは、本当にヒアリングの数をやって、運転員の話からいろんなことが判るわけじゃないですか。一番良く知ってて、現場で見てて、音も聞いて、五感で感じてるのを良く拾ってるなっていうのを思ったんですけど。

(福島氏)そうね、それから私もこの国会事故調の最中は、よく菅さん呼んだり誰呼んだりっていう華やかなインタビュー、政治家のミスがどうかとか、政局的なこと、とにかくそういうことがとても指示がどうだったかということがとても問題になったけれども、こういう地道なところで国会事故調がやっぱり事故の原因に肉薄して、それはやっぱり問題を矮小化しないためにすごく科学的に努力してるというのは、是非もっともっと皆さんに知ってもらいたいなと思うんですよ。

(田中氏)そうですね・・・僕らもね、委員会ってあったでしょ。

(福島氏)毎回世界中に配信されてましたよね。国会議員も私たちもはぁ!っていう感じで・・・

(七尾氏)田中さんがいつしゃべってくれるかなって、ずっと注目してて・・・

(福島氏)田中さんと石橋克彦さん入ってるんだから・・・

(七尾氏)でも少なかったですよね。

(田中氏)しゃべるとね、「ちょっと長いから短くしてくれ」とかね。

<一同苦笑>

(木野氏)あれは難しいと思うんですよね。

(福島氏)今日、ちょっとせっかくなので、いろんなことが判ったという面と、ここは判らないとか、それからこの国会事故調の報告書とはちょっと違うけれど、割といろんな人に会うと「4号機心配なんです」とかね。でも4号機のこととかまだ判らないんですよね?すいません、話が飛んで。

(田中氏)当然、そこへ話が飛びますよね。
 あの4号機っていうのは、僕が一番感慨が深いというか。4号機の原子炉の設計をしたから。

(福島氏)そうでしたね。

(七尾氏)そうか・・・。

(田中氏)あれは製作中にちょっとゆがんじゃったんですけど・・・。それで本書いてますけど、岩波でね。『原発はなぜ危険か』

(福島氏)そうでしたね。読みました。

(田中氏)だから日立の人から脅迫も受けたし。東電から脅迫は受けなかったですけど、苦しい想いをしたことはありますけどね。
 そういう原発が今度壊れちゃったから、悩むことは僕個人的には無くなったけど、問題は非常に怖いですよね。

(福島氏)今どうなってるかっていうのは、また建築の補強の問題だから、ちょっとまた田中さんの専門とは違うんですかね?

(田中氏)違いますね。事故調査としても調べて事故調の報告書を書いた方がいいという考え方もあったけど、ちょっと時間も無かったのと、原因は調査とはちょっと違うので、その辺は書けなかったですけど。

(木野氏)個人的にも4号機がどうして建屋があんなことになっちゃったのかっていうのがすごく・・・

(田中氏)それがすごく謎で、実をいうとそれが公開委員会の時に、もしかすると20回近く開かれてる中で僕が目立った瞬間というのはそこだけだと思うんだけど、4号機は一体どうして爆発したのか。一番悲惨ですよね。爆発の仕方がね。変でしょ?

(木野氏)変な形なんですよね。

(田中氏)あれがどうしてなのかと。それでテレビ会議というものを見させていただけるということになったので、半日くらいかけてビデオを一生懸命見たんですよ。

(木野氏)話題のテレビ会議を。

(田中氏)見ようと思って、会話がどういうことがあるのかなと思って、

(福島氏)今話題の東電テレビ会議のビデオですね。

(田中氏)あれを見させてもらえるということは判ってたんだけど、あれ何日分見るということになると、あれずーっと見てなきゃいけなくなるので、その暇がないので、とりあえずポイントの一つとして、僕がたまたま興味を持ってた4号機の爆発の前後で運転員の方とか吉田さんとか、そういう人たちがどういう会話をするのかな、してたのかなというのを見ようと思ってDVDを回すんですけど、6時でしょ?6時10分ころですよね。朝ボカーンって。

(木野氏)15日の朝6時すぎですね。

(田中氏)それで何枚もDVDのセットがあるんですよね。東電のその方が、「この辺りです」って親切に一緒にやってくれてロードするでしょ。送っていくと、ぱっぱっと見ると、だんだん6時に近づいてきたはいいんだけど、5時半くらいから「あれ?」と思ったら、その菅さんが演説してるのが出てくる。

(木野氏)こうやって手を動かしてる<苦笑>

(田中氏)「なんだ?これは!」と思って<苦笑>

(福島氏)あれ、音声が無いでしょ?変なのって。

(田中氏)そうなんですよ。その時に「音声が無いのは何でですか?」って聞いたら、担当者の方が「たまたまその時音声が」って言うから、その時は僕はそれはそれであんまりそういうことに瞬間的に頭がひらめかないから。
 確かにそこだけ瞬間的に切れてる。
 だけど、そう言われたからそうだと思ってた。
 だからそこがちょっと僕は人を疑わないから<笑>
 そしたら、その指揮者みたいに後ろ姿なんですよね。こうやってるんですよ。こっち側に斑目さんだとか座ってる。それで細野さんも居たかな。変なものを見ちゃったわけね。でも面白いからこうやって見てたら、20分くらいしたらば、場所が変わるんですよ。部屋に。その前は大部屋のところ。あれ、降りて・・・あんまりこんなこと言っちゃいけないのかな?

(七尾氏)大丈夫です。それはちゃんと公開されてます。

(田中氏)降りて、一人ひとりまたしゃべるんですよ。その後今度部屋が変わるんですね。それも言っていいんですかね。委員会の時に言ってますのでね。
 そうしたら、僕は知りたいのは6時10分なんだけれども、会議をやって説教してるんで、みんな止まってるわけですよ。それで免震重要棟のところに詰めてるいっぱいの人、大勢の人たちもその演説を聞いてるんですよ。みんなこうやって。
 そうしたら、ちょっと画面が揺れるんですよ。
 それで問題の時間に、多分12分くらいだったかな。
 そしたら、ざわつくんですね。そのうちに吉田さんがこうやってヘルメットをかぶりだすわけ。それで結局、免震重要棟ではどこかで異常が起きたということで、吉田さんは思わずヘルメットをこうやってかぶるんですね。みんなあわただしくなって、それでその後は関連はわかんないんだけど、それを見てたのか菅首相がね、見てて「これはまずいことになったな」と思ったのか、みんなに「戻れ」みたいな・・・。

(七尾氏)なるほど。

(田中氏)みんなに「仕事場に戻れ」みたいな合図をして、それで話が終わるんですね。
<01:25:30頃まで>

【その③】に続きます。

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