※この記事は、
7月20日 原子力規制委員会の人事案・・・【元原子力委員会委員が初代委員長!?】
7月25日【内容起こし】小出裕章氏:大飯原発4号機の警報の意味、関西電力社長の「次の再稼働は高浜3,4号」発言、ストロンチウムの健康影響@たね蒔きジャーナルに関連しています。

【再掲】
保安院に代わり原子力発電所の安全性を規制するために作られる『原子力規制委員会』の人事について、その独立性を保つために、一度任命されてしまえば5年は罷免することができず、もし今後何かあったとしても政治が介入することができない立場となってしまうにもかかわらず、ある種確信犯的に原子力村の方をその地位に置こうとしています。
これに反対される方、是非署名をお願いします。
 ⇒ http://fs222.formasp.jp/k282/form2/

20120802 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の二木かずおさんと一緒にお話を伺います。
 まず、今日はこれをお聞きします。
 昨日、国会の議員運営委員会で新しくできる原子力規制委員会の初代の委員長候補となった田中俊一さんが、
「原子力は人類がコントロールできるか?」
という問いに対して、
「油断してはダメだが、原発はコントロールできると思う」
と答えていました。
 これを聞いて小出さんはどう思われますか?
※こちらで見ることができます。


または⇒
http://live.nicovideo.jp/gate/lv102377339
(小出氏)もちろん私は正反対の意見です。
 田中さんは、ずーっと原子力の旗を振ってきた人ですし、原子力発電所は事故を起こさないという立場で原子力学会の会長もした、原子力委員会の委員長代理もしたという人なのです。その彼が、福島第一原子力発電所の事故が起きたことを見て、謝罪の緊急提言という声明文を出しました。
 それはそれで結構です。
 ただし、原子力発電が抱える問題というのは、単に原子力発電が事故を起こすか・起こさないかといくだけではありません。もともとウランの核分裂を利用してしまえば、核分裂生成物という放射性物質を生み出してしまうことが避けられないのです。その核分裂生成物を無毒化する力も、私たちは持っていません。
 それもコントロールできるというふうにおっしゃるのだとすれば、あまりにも科学に対する楽観的、或いは傲慢な見方だと私は思います。
 その上、原子力規制委員会というものができるにあたって、法律が改正されたのですが、原子力基本法の中に原子力を進める理由として『我が国の安全保障に資する』という文言をいきなり滑り込ませるということがありました。
 『安全保障』というのは、いわうゆる『安保』と私たちがずっと呼んできたもので、いわゆる軍事の軍事用語なのです。もともと原子力というのは核と一体なもの、技術的にもそうなわけですし、政治的にも常に一体のものとして動いてきました。そういうことも含めて、「人間がコントロールできる」というふうに彼が言うのだとすれば、あまりに軽率かなと私は思います。
(千葉氏)日本は平和主義の国ですからね。核なんていうのが何で『安全保障に資する』のかということになるわけですけれども・・・。うーん、そういうお考えの方が原子力規制委員会の初代委員長候補となってるわけですね。
(小出氏)そうですね。彼は少なくとも福島の事故に対して、自分たちがやってきたことを謝罪するというふうに言ったわけですが、私は謝罪というのは行動が伴わなければ意味が無いと思います。福島の事故を受けて、ではこれから原子力発電所をどうやったらいいと思っているのかという、そのことをまず言わなければいけないと思うのですが、彼は「透明性を確保する」というようなことを言ったのですね。そんなこと当たり前のことなのであって、原子力発電所を本当に動かしていいのかどうなのかということこそ、彼は表明しなければいけなかったと思います。
(二木論説員)先生、田中さんはその時に今の大飯原発の安全基準、暫定的なものは「不十分だ」というふうにも指摘はしたんですけど・・・・
(小出氏)そうです。二木さんがおっしゃってくださったとおり、そう言ったんですね。それなら、不十分なまま動き出させてしまった大飯原発を停止させるのか、どうなのかという、その具体的なことを言わなければいけないと思います。
 私はもちろん「不十分だ」というのであれば、停止させると言わなければいけないと思うのですが、多分、彼はそれを言わないまま原子力規制員会の委員長を続けるということになるだろうと、私は今予測をしていまして、なかなか原子力村というのはしぶとい組織だなと思いました。
(千葉氏)・・・判りました。
 次の質問に参ります。スタジオにはたくさんリスナーの方から質問が寄せられていまして、こちら参りましょう。兵庫県にお住まいの方からです。
『先日、福島第一原発事故で大気中に放出された猛毒の放射性物質、ストロンチウムが関東・東北の10都県で検出されたと発表されました。去年、
「ストロンチウムは重いから遠くへ飛ばない」
と言っていた専門家の方も居たんですけれども、実際は300㎞近く飛散していたことになります。
 そこで小出さんに質問です。
 ます、事故から1年以上が経過しましたけれども、ストロンチウムの計測にはこんなに時間がかかるものなんでしょうか?またストロンチウムの毒性について、改めて教えていただけないでしょうか?』
という質問です。
(小出氏)まず、ストロンチウムの毒性からお答えします。
 人間はこれまで様々なことを行って、被曝ということを地球上にばら撒いてきたのですが、その最大のものは大気圏内の核実験でした。いわゆる空気中で原爆を爆発させる、水爆を爆発させるということをやって、出来てきた放射性物質を全てそのままばら撒いてしまったということをやったのです。
 その結果、地球上全てが既に放射能で汚れているのですが、人間がどの放射性物質から一番被曝を受けたかといえば、ストロンチウム90です。
 今回福島の事故が起きて、私は「セシウム137にだけ注意をしてください」とこれまで言ってきましたし、今もそう言っていますが、これまで人間に被曝を与えた最大の放射性物質はストロンチウム90なのです。なぜかというと、ストロンチウム90というのは、核分裂をしたときにセシウム137とほぼ同量できます。そして、それが人間に被曝を与えるという時には、ストロンチウムという放射性物質は、カルシウムと同じ挙動をとるために骨に溜まるのです。
(千葉氏)骨に溜まる?
(小出氏)はい。皆さん判っていただけると思いますが、骨というのはカルシウムでできているのですね。ストロンチウムはカルシウムと同じ挙動をとりますので、骨に溜まってしまいます。そうすると、もう抜けていかないのです。
(千葉氏)そのままずーっと溜まり続けるわけですか?
(小出氏)はい。長い間骨に溜まってしまうと、そういう性質を持っているので、被曝をずーっとしてしまうということになります。
 一方セシウムという放射性物質は、カリウムという元素と同じような挙動をとりまして、骨に溜まるのではなく全員に行き渡るという性質を持っています。
 私たちは常日頃カリウムを大量に摂取していて、カリウムをどんどん代謝していますし、セシウムも人間の代謝機能で排泄されていくと、そういう性質を持っています。
 今、一般の成人は70も待っていればセシウムは半分に減ってくれるだろうというのが基本的な科学の認識ですけれども、多くても少なくてもその程度には減っていってくれるというものです。
 でもストロンチウムというのは、一度骨に溜まってしまうと何十年も減ってくれないという、そういう性質をもっているがために、ストロンチウムは危険なのです。
(二木論説員)骨に溜まるとどうなってくるんでしょうか?
(小出氏)骨のガン、つまり白血病とかそういうようなものを引き起こしてしまうということになります。
(二木論説員)セシウムは全身に行き渡るだけで、骨の方には影響はないんですか?
(小出氏)はい。むしろ骨にはあまり行かないです。その代わり、全身に行ってしまいますので全身のあらゆるところで様々なガン、或いは他の病気を引き起こすということになっているはずだと思います。
(千葉氏)うーん・・・。そのストロンチウムも今回300㎞近く飛散していたということなんですけども・・・
(小出氏)それはですね、皆さんもともと誤解をしてるのですけれども、別に遠くに飛ぶことは当たり前なのです。ストロンチウムが特別重たいわけではありません。飛ぶ時には塵に付いて飛ぶわけですから、別にどんな放射性物質でも同じなのです。ですから、核実験で飛散したストロンチウムも遠くも何も全世界にもう既に汚染してしまっているわけですし、福島第一原子力発電所から空気中に出てきたストロンチウムが、遠くに飛んでも汚染を広げるというのは当たり前のことなのです。
 その当たり前のことが今回公表されたというか、あちこちでストロンチウムが出ましたと言ったわけですけれども、そんなの今更な・・・驚くことでもありません。
 そして、今回検出されたストロンチウムの濃度というのは、セシウムに比べれば圧倒的に少ないのです。だからこそ、私は
「ストロンチウムに注意をするよりは、セシウムにこそ、セシウムだけでもいいから注意をしてください」
と皆さんにお願いしてきました。
(千葉氏)もう一つ、ご質問の中で、『検出するのにこんなに時間がかかるものなのでしょうか?』と。
(小出氏)時間は別に1年半もかかりません。ただし、セシウム137を検出するのは大変容易なことで、資料さえあればもう即座に値がでてくるのですが、ストロンチウム90を分析しようと思いますと、測定資料を作るのに何日も・・・いってみれば1週間というくらいの長い時間がかかってしまうという面倒な操作が必要なのです。
 ですから、1年半という時間は全く意味の無いものなのですけれども、とにかく測定すること自身が大変なので、なかなかこれまで測定をしてこなかったということです。
 ただし、何度も聞いていただいてきましたけれども、大気中に出てきたストロンチウム90の量というのは、セシウム137の量に比べると、原則的には多分1000分の1くらいです。ですから、そんなものに注意をするくらいなら、セシウムに注意をしてくださいと私は言ってきました。
 ただし、ストロンチウムという放射能は水に溶けやすいという性質を持っていますので、大気中に出てこなかったとしても、海へは流れていっています。ですから、これから海産物の汚染というものを気にするときには、セシウムだけではダメです。ストロンチウム90というものの汚染も十分に気をつけなければいけませんし、ちゃんと測定をこれまで以上にやらなければいけないと思います。
(千葉氏)はい。判りました。小出さん、どうもありがとうございました。
(小出氏)はい。ありがとうございました。
【以上】

失礼します。
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