※この記事は、7月30日【内容起こし】みんなで話そう「原発」国民投票【山本太郎・福士敬子 vs 杉田敦・今井一】『脱原発の手法としての国民投票』【その①】の続きです。

<48:15頃~>
(岩上氏)弁論がつづいておりますけれども、杉田先生、是非ここでご発言願いたいと思います。基本的な考え、他の3人がそれぞれ10分間くらいですね。ほんとは5分という話が10分くらいに詰まった弁論が続いていますので、是非ご自身のお考えをご弁論いただければと思います。お願いします。

杉田氏(杉田氏)はい。ありがとうございます。
 さきほど岩上さんのほうで整理していただいた「勝てるかどうか」という話と、それからデモクラシーという点でどうかという、この二つの軸で、今井さんもそういうふうな論点からお話されたし、私もそういうふう考えで今日はまずまとめてみるといいと思うんですけれど、まず最初にはっきりさせておきたいことは、福士さん以外の都議はなぜ反対したのか?ということ。反対した人たちは、なぜ反対したかということをはっきり確認しておきたい。
 それは、「もし直接投票やれば脱原発が勝つから」ですよ。
 だから、直接投票に彼らは反対したんです。
 今、先ほど岩上さんのほうから、論理的には推進派で直接投票を支持するっていう人がいるという、これはそのことを想像することは私たちにも必要です。だけど、そういう人に会ったことはほとんどないです。
 あらゆる世論調査からいっても、世論調査というものが選挙に直接結びつくかどうかとか、或いはそれがどの程度・・・本来の意味で世論を代表しているかといろいろ問題があるにしても、去年の3月以降、脱原発の方向を支持する人は常に7割ですね。地域を問わず。立地地域であれ大都市部であれ。

 そういう数字を見たら、もちろんやってみなければ判らないという最終的に絶対に勝てるとかいうことは誰にも判らないんですけれども、しかし、じゃあなぜ自民党、公明党をはじめとする方々は、直接投票に絶対反対してるのか?
 それは「やったら負けるから」です。
 そういうことははっきりと確認しておく必要がある。
 ですから、「やったら負けるんじゃないか」と過剰におっしゃってる方々は、そこのところをまず考えていただきたい。
 それともう一つ考えつくんですけど、こういうふうに、一応ここはほぼ脱原発の方向で統一されている方々が討論会をやってるわけですが、同じようなことを推進派でやってるかというと、絶対やってないんです。推進派の中で討論なんかやってません。いろんな枠でそれぞれ推進に賛成してるだけです。
 常にこの手の社会運動で現状を変えたいと思ってる人たちは、まず真面目だということと、それからこれまで既得権を持ってないわけですから、当然戦術的に慎重になるということは判りますけども、従来、たとえば原水爆禁止に関係する問題にしても、これは最近良い兆候が表れてますけど、かつて分裂の歴史は持っているし、一方??とか??の問題にしてもいろいろな分裂、或いは中で対立を繰り広げてきたということがあります。
 一方で、既得権というかものごとを守ってる側がそんな論争はしてないんですよ。みんなそれぞれの思惑で勝手に指示してる。
 このことをどう捉えるか。私は論争するということはは必要だと思うし、だから今日参加しているんですけれども、ただ大きな政治の捉え方として、原発を維持し、今後も或いは増やしていくと考えている人たちも存在しているわけです。
 一方で減らしていこうと、或いは止めていこうとこういう考えの人々も存在している。
 この対立構造の中で、どっちに賛同するのかというときに、もしも後者-減らしていく方に賛同するのであれば、お互いに足を引っ張る必要はどこにあります?いろんなことをいろんなとこでやればいいじゃないですか。
 それはお互いに、決してマイナスにはならないですよ。
 推進の方に立つのか、それともそうじゃないほうに立つのかっていう、これが一番基本的な対立軸。
 そこの中でやはり物事は考えなければいけない。
 ですから、例えば、直接投票と選挙、どっちかを優先しなければ行けない理由は特にあるんですか?直接投票もやって、選挙でもやる。或いはデモもやるということで、差支えない。
 じゃあその中で、先ほどからいろいろ議論があるところは、「負けたらどうするのか?」と。しかし、そのことは今井さんがおっしゃったように選挙だって負けるかもしれない、っていうか多分負けるんですよ。この問題に関してずっと負けてきたし、今選挙やって、選挙ならばこの問題について必ず勝てるという方がいたら、是非そのご意見は展開していただきたいと思いますけども、そういう保証は特にない。
 そういうふうなことを言っていけば、じゃあ『ほかに何があるか』ということです。
 それは、『デモ』とおっしゃるかもしれない。しかし、デモに関しても既にそういう意見をネット上で展開してる方もいるでしょうけども、
「デモをやっても何も変わらなかっただどうするの?」
 そういう議論だってできるんですよ。
「デモをやっても止められなかったらどうするのか?」
 それは脱原発を遅らせてしまう。じゃあデモもやらない。
 こういうふうな論理というのは、結局『何もしない』ということに繋がっていくわけですよね。
 何をやっても却って悪影響が出るかもしれないということになると、民主的な手段で、直接投票も選挙もデモもやないほうがいいという話になるわけで、じゃあ一体何をやるんですかということになる。
 もちろん、一つ考えるポイントとして、「もう少し時間を掛けてやろう」、これは戦略とか戦術的に考えられるオプションではあります。
 多分先ほど山本さん、福士さんがおっしゃってることも、ややとしてはそういう面がありますね。もう少し時間を掛けようと。
 ただ、ここで時間を掛けることが良いのかどうかについて、まず一つの大きな問題として、普通はこういう問題というのは時間を掛けると風化するということがあります。
 福島であれだけ大きなことがあって、いろいろなことが明らかになりました。
 それは単に人々がショックを受けたということだけじゃなくて、初めていろんなことが人々の意識に上ったわけです。原発について何も知らなかった人々が、去年以降は一般の人々もかなり知っているわけです。
 それはじゃあずっとそういう意識がこれから更に高まっていく、2年、3年、5年、10年かけてその意識がどんどん高まっていくと思ったら、そういうことは普通は起きないです。
 ですから、風化する速度というものを考えれば、私はこの、今1年半たちましたけども、これでもかなり風化したというふうに思っています。
 もしも「いろんなとこで広がらないじゃないですか」というお話が先ほどありましたが、それは広がらないのではなくて風化してるんです。
 ですから、そういう戦術的な観点で勝てる、勝つための戦術的な観点からしても、時間を稼ぐことは決して得策ではないです。
 で、もう少し原則的な話をしておけば、先ほど質問を求められましたが、
「なぜ国民投票なのか?」
 私はこの点については、当初からここで去年夏に討論会の時にはっきり言いましたけど、今井さんと比べると、国民投票というのはいつもやればいいというふうには思っておりません。今井さんはかなりいろんな幅広い問題について国民投票の活用を考えてるんですけど、私は必ずしもそうではない。
 ただ、恐らくこの原発の問題というのは、国民投票以外ではなかなか扱いづらい問題だということですね。
 実際、だからこそ、ヨーロッパの各国もやってるわけです。
 最近のバルト三国のリトアニアでしたっけ、で10月。ヨーロッパでは原発だったらオーストリアとか全て国民投票やらざるを得ないということになってるんですね。
 なぜなのか?
 ヨーロッパの人々がおかしいとかそういうことじゃなくて、これは政党政治の中に非常に乗りにくい問題だからですね。政党政治の中で従来は、普通は日本はきっちりそうはなってませんけど、政党政治は大体は経済成長、市場重視の党と、それから社会民主主義というかそういう采配部、福祉国家重視の党派の間で争われるわけなんですけど、この対立軸の中にうまく乗ってこないものだと。だからこそドイツなどで緑の党が力を持って、それが今回の動きにつながったわけです。今回の動きというのは10年後には原発を無くすと。今はまだ無くなってはいませんけど、ちなみにですね、半減してるわけですけども。
 その動きにつながったわけなんですが、こういう従来の政党政治の中でうまく選択ができない可能性がある問題だから、直接投票でやらなければならないし、やったほうがむしろ政党政治にとってもいいということもあります。
 というのは、もしも国論を二分されるような選挙になるべく政党政治のAとBの争いの中に乗らないとすれば、A党でも賛否が居てB党でも賛否が居たら、政党が割れちゃうわけですね。政党が分裂しちゃうわけです。
 だから、ヨーロッパの政党は、政党政治を守るためにも、要するにこういう面倒な問題は国民に投げてるわけです、ある意味。
 だから、日本の政党もそれくらいの感覚があれば、この問題は国民投票とか住民投票に投げた方がいいんですよ。
 ところが、そのくらいの知恵もないために、今日までその転換をきっちりしてないわけです。そして、「負けたら」ということが先ほどからの議論になってますけども、これはきっちり原発の是非ということだけで争点化して、それでも負けたというなら、私たちは深刻に受け止めなければならないけども、まずそうではないというふうに、今のところ、もっと分析はこれからもしなければならないですけれども、昨日からの動きを見てる限りでは、それだけが争点に完全になってるわけではなさそうですし、またあそこ(山口県)は原発はもちろん計画があって凍結中なわけですけど、直接に原発の問題で今回選挙がされたわけではないということも考えると、この争点化ということからして、つまりこのことについてはっきり決めるということが、いつまで政党政治に期待していても決してできないだろう。
 ですから、その意味で、私が申し上げたことは、いま原則論で言ったことは、他のやり方が無いということ。そして、この問題については、一番これが適したやり方だと。
 それから、先ほど前提として申し上げたことは、決して負けないということ。この二点についてははっきり申し上げておきたいと思います。

岩上氏(岩上氏)ありがとうございます。
 議論の争点が既にかなり出てきました。
 特に杉田先生がおっしゃったことは、多様な争点を持っていると思うんですけれども、今井さんのおっしゃっられたこと、それから杉田さんがおっしゃられたこと、この中からちょっとピックアップさせていただいて。
 まず今井さんはですね、「選挙はやらない、繰り延べするなんてことはできない。国民投票だって同じじゃないか」という疑問を投げかけられた。
 そして、杉田さんは、現実的、実測的側面から「世論調査で脱原発は7割支持をとってるんだ」そして、私が冒頭で「ここの会場には存在しないけど、来ていないけど、国民投票という制度を推進のための口実として使えると考えるような理屈もあり得る」と。「ただそれは現実的に存在しない」
 こうおっしゃられたんですね。
 この点をピックアップしながら、福士さん、ちょっとお話をしていただきたいと思うんですが、冒頭の福士さんのお話、選挙というものの理念的な話というよりも、日々選挙活動をやって、現実の民主主義といったものですね、実はとても大変だという現実の経験に裏打ちされている。世論調査はどうであれ、現実の選挙だとまた違う結果がでることもある。そういうようなご体験を持った中でですね、今、今井さん、杉田さんがおしゃられたことに対して、ご自身どんなふうにお考えなのか。
 あと一点。
 選挙は繰り返せるわけです。例えば4年後ごとに。今回負けても次こそ頑張れば。国民投票というのは、「じゃあ4年後にやろうよ」というふうに制度化されているものかといえばそうではない。もう一回できるのか。できないかもしれない。
 つまり国民投票と選挙の最大の違いは、この『1回性』にあるいと思うんですね。1回やってしまって、ある種の結論が出てしまうと、それはずーっと尾を引く可能性がある。これはいろんな人に躊躇やとまどいを引き起こさせる原因ともなるんだろうと思うんです。
 そうした選挙との共通点と選挙との相違点を踏まえて、このお二人の話に対してご自身の考えを述べていただけたらなと思います。

福士氏(福士氏)国民投票のほうも何回もやろうと思えば、やってやれないことはないわけですけれども、選挙は4年に1回、巡り巡ってくるわけですね。私は先ほど現実のお話として、みんながまだ自立してるかどうかとう疑問も含めて申し上げましたけれども、日本の場合は議論をする風土ができてないと、今でも確信をしております。
 ドイツの場合は、メルケル首相は3.11の後。4日後にもう脱原発の宣言をしました。私は87年にドイツの緑の党にチェルノブイリの事故の後ですね、1週間ほど一緒に過ごしたことがあります。その緑の党の中でも、人々はものすごい議論をしていて、脱原発に対してじゃないんですよ。選挙に対しても、何に対しても、いろんな物事に対して議論をしていて、そして自分で悩みつつ判断をしている、そういう人たちを見てきたものですから、それと比べると日本の人たちは自分で判断してるのかな?という疑問が私はずーっと30年議員をしながら、未だに思っております。
 それが先ほどお話した、前は「福士さんがんばってね」って言った人が、今度は「会社から言われたから福士さんごめんね、今度はあっちの人に入れるわ」みたいな話になっていくわけです。
 そんな中で、国民投票をやって、やった結果がまずく出た場合でも、それは何らかの形になるかもしれないけど、逆に言うと私たちを全部使われてしまうかもしれないなという思いがあります。
「お前たちが出した結果なんだから、その路線で走っていいだろう。原発は推進してもいだろう」
と。
 これ以上日本に54基以上原発が建つのかどうかすら、私は判りませんけれども、「それでも原発はOKよ」ということを私たちがきちんと思ってもいないのに、突きつけてしまっていいのかなという思いがあって、国民投票は嫌だなという思いがあります。
 そして、選挙のほうなんですけれども、選挙もやっぱり日本の場合は感情的に流れてしまって、本当はいい人もいるのかもしれないけど、私が知ってる限りはやっぱり落ちている。さっきの向原さんの話もそうですし、飯田哲也さんも。向原さんも素晴らしく良い人なんですよ。なのにやはり落ちてしまう。或いは落としてしまう人たちが居る。そんな中で国民投票で何がやれるのかなというふうに思っちゃうわけです。
 先ほど、杉田先生は「7割の人が脱原発派」とおっしゃいましたけど、私はちょうどこの都民投票に反対するころに出てた世論調査では、5割ちょっとの人が、「やっぱり節電もするけれども、だけれども仕事ができなくなったら嫌だ。やっぱり原発を動かしてもいいんじゃない」というデータが確かにあったと思うんですよね。
 そうすると、必ずしも皆が投票に行ってくれるかどうかもわからないし、私が最初一番・・・ちょっと後戻りして申し訳ないんですが、選挙に出た時、そして今もそうですが、選挙に出るとき「福士よしこをよろしく」って言ったことないんですよ。杉並はいつも投票率42%前後だったんですね。半分以下の50%にもならない人たちの投票で議会に人を出して、その人たちが私たちの町の暮らしを勝手に作っちゃっていいの?っていうのが私が一番最初に出た時の想いだったんです。
 未だに私はそういう思いで「福士よしこによろしく」と言わずに、「こんな問題がありますよ」と言っているので、今の政治の中で本当に自分たちが政治を自分のものとして考えて、国民投票、或いは選挙に行ったりということが、きちんと仕分けしながらやれるんだろうかという疑問が大きくあります。

岩上氏(岩上氏)福士さん、一点だけ確認のためもう一度お聞きしますけれども、先ほど冒頭のところでも、「組織票というものに阻まれてきた」という話がありました。私が投げかけたのは、もし国民投票をいざやろうとなった時に、その組織票のいわばマシンというものが稼働しはじめるか?ということなんですね。
 杉田先生がおっしゃったのは、今見渡す限り、国民投票を是とし、且つ原発推進派であるという人、僕はそういう4つの表現に分けたけれども、
「そういう人間は存在しない。見当たらない。会ったことが無い」
ということだったんですけども、今例えば普通に会話して出会うことがなくても、いざそういう制度が俎上に載った、土俵にあがることになりました、国民投票が実施されることになったとすれば、原発推進派のそういった組織というのは、多くの動員をかけて、国民投票で原発推進へという票を投じさせるべく動くと、こういうふうにお考えでしょうか?

(福士氏)はい。それは自分の仕事が立ち行かなくなるからとか、そういうことも含めて、自分たちが生きていくためには食っていかなきゃいけないんだから、やはり必要じゃないかというものの言い方で、多分プレッシャーをかけていくんじゃないかと思っています。

(今井氏)福士さん、一つだけ。「ドイツに比べて日本人は議論ができていない、できないんだ」というふうにおっしゃいました。一つだけ質問したいんですけど、福士さんはドイツの例を出されましたけれども、新潟県の巻町以降402件の住民投票が行われました。原発の問題、基地の問題、産廃の問題、市町村合併の問題、こっちは???の問題でも行われました。どこか住民投票の現場に足を運んで、現場を見に行ったことはありますか?

(福士氏)住民投票をやってる最中には行ったことはありませんけれども、それは存じております。私が今住民投票を・・・

(今井氏)ということは、ちゃんと議論が深まったということを存じてるのか、全然議論がなされなかったのかどうか・・・

(福士氏)いやいや、なされたと思います。私も確かにね。
 でもそれは、自分のこととして考えることができる地域だからだろうというふうに思ってます。

今井氏(今井氏)それで、実は福士さんのお考えは僕は半分正しいと思ってるんです。例えば、家のご近所のおばさんたち、「原発のことについて普段議論してますか、勉強してますか?」っていったらしてませんし、「日米安保条約について知ってますか?」っていったらしてません。
 でもそれは、巻町の人も刈羽村の人も県民投票をやった沖縄も、ヘリ基地の問題をやった名護市民投票の時もみんなそうだったんです。日常的に基地の問題や原発のことを
例え???の人でも勉強してたごくわずかの人だったんです。そして神話がはびこってたんです。
 もし、彼らが「議論を普段してないから、情報をちゃんと掴んでないから住民投票は止めたほうがいいんだ。とんでもない結果になる」というふうなことを言ったら、巻も海山町も刈羽村も徳島も名護もやらないほうが良かったんです。
 宮台真司さんが、いつもここで言ってます。
『「日本は愚民だ。ちゃんと勉強しないと。愚かしいんだ。愚かしいから国民投票をやってはいけない。愚かしいから住民投票をやってはいけない」というのではなくて、逆なんだ。賢くなるためにやるんだ』
と言ってるんです。
 だから僕は、ほんとに福士さんや山本太郎さんがおっしゃるように「今日本国民はきちっとこのことについて関心を持っていない、勉強してない」というのは事実だと思います。
 だからこそやりたいと思うんです。やることによって、ある程度情報を引っ張り出したり、神話をぶち壊したりできるし。
 それは今までやったところの現場を僕は知ってるからです。普段そのテーマについて全然関心が無かった人が、住民投票をやることによって、ものすごくよく議論して、ものすごくよく勉強することになった現場を全部見てきています。
 だからこそやりたいんです。
 もし、今、馬鹿かどうか愚かしいかどうかで論争するんだったら、それは不毛だからやめて、「逆に国民投票や住民投票をやったら皆が勉強するようになるから、議論するようになるから」という点でお二人に話を伺いたいなと思います。

岩上氏(岩上氏)今井さんからですね、重要な指摘があったと思うんです。
 例えば「デモ」ひとつとっても、デモの呼びかけをすることによってデモっていうのは膨らんでいくわけですね。官邸前抗議行動というのは3月29日だったと思うんですけど、IWJで一番最初から中継してますけど、最初数百もいかなかったかもしれません。
 それが呼びかけ続け、人々がコールし続け、それを報じつづけるうちに、もちろんマスメディアは一切報じない。だけど小さな独立メディアである我々のようなものが報じることによって気づいて、来る人が増えていった。
「原発国民投票というものも、これを通じて議論が深まっていくのではないか?」
 こういう考え方もありうると思うんですね。
 ここでちょっと山本さん、ご発言いただきたいんですけど、お二人の中に「選挙はやらないとか繰り延べということはできないじゃないか」と、先ほど私から投げかけたのと同じことなんですが、それと同様に「国民投票を逃げるという必要性はないんじゃないか。」或いは実勢的に考えて、世論の7割はついていく。つまり潜在的なポテンシャルを持ってる。それを如何に有効にさせないかっていうのが、これまでの体制派が考えてきたことなのかもしれないけど、「その票の掘り起こしというのをちゃんとできれば、それは民意というものが反映されるんじゃないか」、砕いて言えばそういうことになると思うんですが、改めてお二人のお話を聞いてどのようにお感じになったか、やはりこれは引き伸ばした方がいいのか。しかし、引き伸ばしていたら風化してしまうよ?という杉田さんのご指摘もある。どのあたりが自分の判断での落としどころになるのか、ちょっとお考えを聞きたいと思います。

(山本氏)正直ですけど、お二人の話を聞いて、より国民投票はヤバいなというふうに思ってしまったっていうのが現実、正直に<笑>

(岩上氏)それはどういうこと?

山本氏(山本氏)例えば、選挙に関してヤバいからと言ってそれを延期したりだとか阻止したりだとかできないだろ。それは当然ですよね。4年に1回という周期でそれは行われるっていう現実があるから。それには勝っても負けてもどっちみちやらなきゃいけない。
 けど、この住民投票だったり国民投票っていうのは、住民側から、国民側からのアクションによって為されるものですよね。だから、その時期っていうのは僕たちである程度選べるわけですよね。それを「今するっていうのはどうか?」ってことですよね。
 先ほどからずっといろんなお話がありましたけど、とにかく投票率が低すぎる。ここに居らっしゃる皆さんがこのことについてすごく考えて、自分たちでアクションを起こされている方々の周りでさえも、その周辺ではどうですか?っていうことですよね。このことに関して、どれくらい周辺の方が自分たちと同じように共有できている人が何人いるのか?
 それだけでも本当に厳しい。それが直接、多分全国で行われている首長選挙とかで『現状維持』、言葉を替えたら『原発維持』っていうような結果がずっと出されてるんだと思います。
 このように原発反対派だったりとかの意識のある、ここはもう両方織り交ぜてということになるんですが、「原発推進というところでのこういう開かれた場所でのトークっていうのは、あんまりないだろう」というお話をされてましたけど、それはそうですよね。風当り強いですもんね。しかもその人たちは、別にこんな集会開く必要ないんですよ。トップダウンだから。その首脳が決めたことに従うのみなんですよ。だからわざわざそんなお話会を設ける必要はないと思うんですね。
 それで、とにかく選挙だとかそういうことで外堀を埋めていってからの国民投票じゃないと、あまりにも危険すぎるんですよね。それが何時なのかというと、僕はもっともっと先の話になると思うんです。
 例えばリコールだったりとか、市民側の意識を汲んだ人たちがたくさん当選するような選挙。
 例えば全国で行われた住民投票っていうお話、さきほど今井さんがされたように、今井さんが書かれた本の中に『原発国民投票』っていう本があって、その中に巻町という話があって、そこでもまず最初に原発推進というか、原発建設凍結解除を掲げた町長が3選したと、要は現職がそのまま当選したんだと。その後に原発建設の是非を問う自主管理投票=プレ投票みたいなものを住民側でやりました、そこで圧勝しましたと。次のステップに進みますよね。その次に町議会選挙で住民投票の実施賛成派というのが多数当選した。
 こうしてステップを確実に踏んでいってるんですよ。外堀を確実に埋めていきながら、そのメインとなるもの。いきなり皆で署名をさせて、それを通過させていきなり選挙。その間にはいろいろ皆で勉強する機会はあるんでしょうけど、でも確実に外堀から順番に埋めていってるというところがあるんですね。
 その後に行われたのは何か。自分たち市民側に立ってくれている人たちを多数当選させた後に何があったかといったら、その物事の推進の町長のリコール運動が行われた。その後に住民投票が実施された。投票率は88.29%。
 すごくないですか?
 今行われてる選挙の倍ですよ?
 当然ですよね。この住民投票というのは、「自分たちの町に危険がやってきますよ」。これ全然、東京だったりとか全国でやりますっていう時の意識とは全然違うんですね。
「え!?あの3丁目の奥に原発ができるのか?」
みたいな感覚ですよ。自分たちの背中に、自分たちの斜めに原発ができるんだという意識を持ってると持ってないでは、この運動の広がり方っていうのは全然違うと思うんですね。
 だからその場所その場所、原発立地に関する住民投票ってことになると、意識を一つにまとめやすいんですよ。その中でも意見は分かれるけれども、そのことに対してすごく興味を持つ、勉強するっていう状況は、僕は当然なのかなと思うんです。
 先日、官邸前で子供の疎開を求めるデモをやったときに、僕参加したんですけど、そしたら静岡の方に声をかけられたんですよ。
「今静岡で署名が集まった。次は議会を通過させるために運動をしたいので、太郎さん、来てもらえないですか?」
 でも、僕、今、自分の中で「どうやねん」と思ってる時期だったので、
「今どういう状況なの?静岡で」
って。そしたら世論では7,8割反対なんだと。
「だったら、住民投票という形じゃなくても、県議会に原発を稼働させないという議決をさせるというような運動をしてくれ」
って言ったんですよね。
 ほんで皆さん、申し訳ないです。皆さんが住民投票だったり国民投票だったりを盛り上げようとしてるときだったんですけど。
 というのは、どうして7,8割の世論がNOだというか、静岡に関しては浜岡がありますよね。日本で最初に止めた原発ですよね。何が何でも止めろっていうことになった。危険度NO.1というところ。ってことは、住民の間の中では共通の認識だったんですよね。
「これは絶対に動かしてはいけない」
「ほかのとこは知らんよ」
っていう人もいるかもしれない。でも「ここだけは動かしてくれるな」っていう共通の認識が7,8割ある。
 それやったらわざわざ住民投票しなくても、議会に対してプレッシャーをかけるとか、政治家に対してプレッシャーをかけるっていう運動をしていけば、それは変えられると思うんですね。
 逆に、静岡でも変わったんだという雰囲気。
「住民投票で、住民投票で全てか変えられるんだ」
という雰囲気を他の地域にまで電波させていくことになっても、今そこからリスクがある結果しか生まれないんじゃないかというふうに思うんです。
 要はそのまま7,8割が嫌だと言ってることに対して、わざわざ住民投票しなくても、その空気を判らせる、その空気を読ませるような活動、ロビー活動みたいなものをどんどんしていくことによって変えられるという現実があるのに、わざわざそこを住民投票っていう形にしていくのは、すごく危険だなというふうに思う。
「やっぱり変えられたじゃないか。みんなそう思ってるんだよ」
っていうことで踏み込むことによって、そうでない地域があるってことですね。自分たちの町に、自分たちの住んでる地域に危険があるということに対して、みんな神経をとがらせるのはそこですよね。

(岩上氏)とすると、山本さん、一つ確認したいんですけど、国民投票に対して懐疑的になったということは、脱原発という面では揺らいでないけれども、国民投票というものをやめてしまおうということではなくて、段階的に住民、国民に対して意識付けを行ってからやるべきだと、外堀を埋めてからやるべきなんだと。
 段階論。
 もうちょっと先に繰り延べして、いずれは最終的な本丸で原発国民投票をするべきなんだということなんですか?
 それとも、原発国民投票は最終的に想定していないという話なんですか?
 どういうふうな感じなんですか?

山本氏(山本氏)これは原発国民投票というものを・・・結局世の中どう変わっていくのかっていう部分において、絶対に一人一人が目覚めないといけない時期じゃないですか。それを選挙を通して変えていくってことでしょ?
 それで、選挙でもそれくらいの得票率なのに、今国民投票をやっても良い結果を得られない。
 というか、「もう負けてもしょうがないやん」。僕最初思ってました。
「負けてもいいいやん。またやればいいねんから。勝っても負けてもやり続けるっていうことが大事なんじゃないか」
って最初思ってたんですけど、だけど今のこの世の中の流れを見ていたりすると、あまりにもごり押しで簡単に物事を決められてしまう。民意全く無視っていうところを考えると、この国民投票をした結果、僕は即時廃炉なんですけど、原発が嫌だという人たちの意にそぐわない結果、要は原発に賛成でいいじゃないか。原発維持すればいいじゃないかという意見が多数派を占めた場合、それは政治利用される可能性がすっごくでかい。それが例えば法的な拘束力がないとかいろんなことがあるかもしれないけど、原発反対派が勝った場合に、
「いや、法的拘束力がないから、残念でした。良かったね、大きなアンケートが取れて」
みたいな感覚でしかとりあげられない。
 逆に原発賛成派が勝った場合には、それが
「ほら、民意でしょ。」
「でも法的拘束力は・・・」
「いやいや、でも皆さん投票したでしょ。結果これなんですよね」
っていうふうに絶対使われるだろうなと。これから多分民主から自民に変わってみたいなより闇の深い部分に入っていくときに、今そのギフトを、そのお土産を渡す必要はないんじゃないかな。
 でも、これね、例えば先ほど先生言われてましたけども、「時間を掛ければ掛けるほど風化していくんじゃないか」という話がありましたけど、これ、もちろん今メディアがそれだけのコントロールしていろんな情報流してるけども、やっぱり節目節目には市民は怒りがこみあげてきてるわけですよね。市民側から。
 だってこの再稼働問題に関しても、だって去年は6万人7万人集まるのがやっとだったのに、官邸前に10万人を越える人が集まった。代々木にも17万人を越える人が集まった。
 何かをきっかけに怒りっていうのは絶対盛り上がっていくものだから、このままだと恐らく・・・こんなことは絶対にあってほしくないけど・・・健康被害が出たりとか、
判らないけど、そういうどこかで、ここまでじゃないかもしれないけど事故が起きたりだとか・・・。
「それを食い止めるための国民投票なんだ」
っていう話はわかるんですけど、今それをしてしまうと、勝てる気が全くしない。

(岩上氏)具体的には繰り延べなんですか?それとも無期延期なんですか?つまりキャンセルというものなのか、それとも1年延ばそうとか、具体的にはありますか?それともそこはまだ不明?

(山本氏)はっきり言っちゃうと、1年じゃ無理かもしれない。ひょっとしたら10年後かもしれない。20年後かもしれない。
 ただ、この民意、いや民度みたいなもの。みんな目が開いてその意識が高まった時に最後の一押しとしてやるという手段は、僕はありだと思っています。

今井氏(今井氏)あの、具体的な事実の問題として、例えば神戸空港という空港ができました。大変な大赤字です。市営空港です。市民が税金につぐ税金で支払いをさせられています。これが15年前に計画が持ち上がった時に、市民のほとんど、75%から8割が、
「伊丹空港と関空があるのに、なんでまたその真ん中に神戸空港を作らなくちゃいけないんだ?」
ということを言ったけども、市長と議員の4分の3が賛成しました。
 住民投票運動が起きて、結局住民投票させませんでした。「させなかった。」しかし、たくさんの人が署名をして、住民投票をやるべきだと30万筆以上の署名を集めました。神戸市内だけで。さっきも言ったけど世論調査でも75%以上の人が空港いらないと言いました。
 じゃあ、この75%の人たちは、条例制定が住民投票に反対する人たち、住民投票を葬り去ったあとに、住民投票を葬り去った議員たちに対して投票しなかったかといったら・・・、これ我々の調査でも、地元の??の調査でも投票しちゃってるんです。直接請求に署名、この中にも署名簿がありますけども、東京都民投票条例の制定請求に署名した人っていうのは、署名した人全員が請求者なんです。山本太郎さんや千葉麗子さんだけが請求者じゃなくて、署名した人全員が請求者なんです。自分たちが請求したものを議員が否決した。普通、常識で考えたら、それを否決した議員に投票するはずがないんですね。
 ところが、半分以上の人が投票してるんです。
 それは徳島でもそうなんです。東京はたった3%弱しか署名集められませんでした。徳島は49%も署名を集めました。法廷署名です。議会がこれを否決しました。じゃあその直後の徳島市会議員選挙で徳島市議に投票しなかったかといったら、署名した人の半分以上が投票してるんです。
 何がいいたいかといったら、選挙ってそんなもんなんです。
 今回の飯田哲也さん、なんとか原発をいくつかの争点の中のひとつとして盛り込みたかったと彼は思ってました。だけども、山本繁太郎さんのほうは、最初に一回だけ原発について触れました。だけどそれは一回きりで、一回言ったら選挙参謀にえらい叱られて、
「これから二度と原発のこと言うな!相手の土俵に乗る必要はない!」
 それから一回も原発について言ってくれなかった。
 争点化されるわけがないんですよね。
 今私が話をしたことは、徳島や名護や巻や神戸だけじゃないです。
 全部そうなんです。
「ワンイシューでやったらきっと勝てる。」
 ところが選挙になったら政策のパッケージですから、あれだけ神戸空港に反対してた人、あれだけ原発に反対してた人、あれだけ基地に反対してた人がですね、選挙になったら入れちゃうんですよ。
 だから太郎ちゃんが言うのは、本当に理想で、住民投票の前に選挙でそうやってたくさん議席を固めて、首長も首を挿げ替えて、とそうなったら一番いいんですけど、残念ながら海山町にしたって刈羽村にしたって、選挙ではそういう結果にしかならないと。
 だから、徳島で投票した人の95%が「ダムはいらない」と答えてるにも関わらず、その後の市長選挙ではダム推進派が通って、住民投票のリーダーだった姫野まさよしさんが惨敗するというようなことが起きちゃうんです。
 だから、これまでの経験からいうとそうなんです。
 ただし、「これまでそうだったから、これからもそうなる」とは言い切れない。だから太郎ちゃんがおっしゃるとおりになるかもしれないけれども、それを待つのはかなり可能性としては薄いような気がするんですね。

岩上氏(岩上氏)だんだんいろんなことが見えてきたなと。福士さん、山本太郎さん、反対派というような区分なんですけど、そうじゃなくて反対派というよりも慎重派なんですね。
 原発国民投票という理念そのものに全く真っ向から反対するというよりも、「環境が整っていない。条件が整っていない。そして時間がかかる。手順を踏んでいくべきだ」という少し慎重にということで、もう少し先に行けばより良い環境が整えられるのではないかというお考え。
 それに対して、杉田さんのお話では、「いや、風化をしていく」と、ここはっきり現状認識が違うんだということが明らかになってきた。
 山本太郎さんは、「デモを見ていれば判るとおり、去年よりも今年の方が人は増えている。風化しているどころか、人々はますます関心を持ち、足を運ぶ、行動をするようになった」こういう認識も示されたわけですね。重要な点かと思います。
 それから、今、今井さんが言われた『選挙と国民投票の相違点』というのは、シングルイシューであるかマルチイシューであるか。
 最近「シングルイシュー」という言葉が流行りなんですけど、これは官邸前抗議行動で、たくさんのことを訴えたい人がいる。脱原発派の中でもたくさんのことを訴えたい。放射能の危険性を訴えたい人もいれば、即廃炉ということを訴えたい人もいれば、野田内閣がとにかく倒れればいいんだということを訴えたい人もいる。プラカードだって多種多様です。でも、それだとまとまらないから、ただ一点『再稼働反対』という言葉を唱え続けようと、これシングルイシューにしたんですね。
 それの縛りをかけて、多様な団体が足並みを揃えたら、あれだけの人が集まるようになった。
 これが「シングルイシュー」の成果。
 毎回毎回、私は主催者の方とお話をしてるんですけど、いつもこれだけは崩さないというふうに言ってるんです。
 しかし、選挙というのは、たった一点だけを争うわけではありませんから、家の近所の道路、或いは下水をちゃんとやってくれるかどうかっていうの重要だよね。ゴミ問題どうなるかなとか、それだって重要だよね。
 いろんな要因が集まったあげく、
「原発のことや何かでは思い通りにならないことを言ってる人だけど、こっち側の実績からいうとこの人に投じるしかないよね」
っていうふうになったりする。
 これは先ほど杉田さんのお話の中にもあったように、そもそもシングルイシューを政党政治にかけるというのは、合わない。対立軸が鮮明になりすぎちゃう。だから国民にはかる。そのときに国民投票という制度はいいんじゃないかということに繋がっていくんだろうと思いますが、これ、杉田さんに是非ちょっとお話願いたいんですけれども、今、一方で現実的なものは、国民に投げる、国民にはかるということではなく、原子力規制委員会のような機関というものを作ってしまって、国民の手の届かないところ、内閣も政府も全く関係ない、影響を与えられない機関に丸投げしようというたくらみなんですね。
 そんな日本的な状況などを踏まえて、また山本さん、或いは福士さんの反論を踏まえてどのようにお考えになるか、ちょっとお話願えますか。
<01:32:10頃まで>

【その③】に続きます。
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