20120725 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)東京には近藤さんです。
 今日はまず、大飯原発について伺いたいんです。
 大飯原発4号機が、今日未明にフル稼働となったばかりなんですが、午前5時半ころに中央制御室で警報が鳴りました。どういうことかといいますと、原子炉の中の一次冷却水の温度が上がりすぎたということを示す警報が鳴ったというんですね。
 この原因について、関西電力はこういっています。
「冷却水の流れの影響で、局所的に温度が上下したのが原因だ」
ということなんです。この説明は、小出さんからご覧になると納得がいくものですか?
(小出氏)おかしいと思います。
(水野氏)ほう。どういうことでしょう?
(小出氏)「局所的に」そういう流れがどこかで、例えば滞ってしまうというようなことになると温度が上がってしまうわけで、そんなことはあってはいけないことなのです。
(水野氏)あ、「あってはいけないこと」なんですか?
(小出氏)はい。そのために温度を測っているわけで、「局所的な流れの影響で」なんていうようなことは全く理由にならないで、もし「局所的な流れの影響で」温度で上がったんだとすれば、それこそ問題なのです。
(水野氏)あ、そうなんですか!
 これ、温度計って50ほどついてるんですよね。
「その一つだけの温度が上がったんだから、局所的だから気にしなくていいのか」
と素人考えで思ってたんですけど、逆に言うと「局所的」に流れがもしおかしいんだったら、それこそが問題だということなんですね。
(小出氏)そうです。その部分だけに水流が減少しているというようなことになると、そこの燃料が痛んでしまいますので、それがないようにわざわざ監視をしているわけです。
 その温度が上がったということは重要なことなわけで、簡単に切り捨てるようなことはしてはいけません。
(水野氏)あ、そうなんですか・・・。
 またですね、お昼になりましたら、今度は2時40分頃のことです。この大飯原発4号機の中央制御室で、今度は非常用ディーゼル発電機の補助のモーターが異常であるということを示す警報がまた鳴ったんですよ。
 これ、16日にも同じ警報が鳴ったんですけれども、これはどうですか?ほっといていいことですか?
(小出氏)非常用ディーゼル発電機が動かないということになれば、福島原発事故の二の舞になってしまうわけですね。
(水野氏)いざという時に発電できるかどうかが、水で冷やせるかどうかですよね。
(小出氏)そうです。たいへん重要な機器なわけですし、福島原発事故を受けて、一層注意をしなければいけない装置なはずなのですが、そこで警報が頻発するということは、やはりそれも・・・大切に考えなければいけないと思います。
(水野氏)はぁ・・・。この水の温度についてはですね、関西電力は
「温度の揺らぎが原因で、安全運転に影響はない」
と言っているんです。
(小出氏)<苦笑>
(水野氏)これ、どう考えたらいいんですか?
(小出氏)「揺らぎ」というのはもちろんありますけれども、通常あるような「揺らぎ」で警報が出ては困るわけで、警報というのは揺らぎを考慮した上で決めているのですね。
 ですから、「通常ではない揺らぎ」があったからこそ警報が鳴っているわけですから、どうしてなのかという原因をまずしっかりと究明すべきだと思います。
(水野氏)近藤さん?警報が鳴っても問題ないんだっていわれるということを、私たちはどう受け止めるかですよね。
(近藤氏)なんかね・・・、要するに「本当にちゃんと説明する気があって言ってるのか?」っていう感じがずっとしてるんですね。例のその下を走ってる活断層の話にしたって何にしたって、もうずーっと・・・動かして当たり前なんだということが前段階にあるものだから、そういう返事になるのかなと思うんですけれども・・・いろいろと不信感が多いです。
(水野氏)その活断層に関連して言いますとね、今度、次に再稼働させる原発について、関西電力の社長が取材に応じまして、
「高浜原発3号機、4号機が次の再稼働の対象として最有力である」」
というふうに答えたんですが、この高浜3号機、4号機というのは、小出さん、どういう原発なんでしょうか?
(小出氏)関西電力は、三カ所に原子力発電所を持っています。一番始めに作ったのは美浜というところで、そこに3基原子炉が動いてきました。そして次に作ったところが高浜で、1号機、2号機を作り、そして3号機、4号機を作りとして4基高浜に作りました。それの次に作ったのが大飯というところで、1号機、2号機を作り、そして3号機、4号機を作りということをやったのです。
 今、大飯3号機、4号機というのが無理やり動かし始めたわけですが、関西電力の持っている原子炉で一番新しいのが大飯3号機、4号機だったのです。
 次に新しいのが高浜3号機、4号機なのです。
 出力も87万キロワットということで、関西電力が持っている原子炉の中では比較的大きい方ですし、比較的新しいということで・・・動かしはじめるとすれば、まぁ順当な選択だろうと私は思いますけれども、なんでこの時期にそんなことを社長が発言するのかな?と、私は意外というか、不信感を持って聞きました。
(水野氏)ストレステストの1次評価の手続きを、もう保安院は始めているわけですよね。
 ただ、断層のことで言いますとね、下の地層の部分に破砕帯というものがあって、活断層が動いた時に連動するのではないか?と、そういう恐れはないのか?というところを調査することが必要だと保安院も言ってるんですよね。
 しかしながら、やはりこの再稼働の話が出てきているのかと思います。
 こういう地層との関係については、小出先生はどう見られましたか?
(小出氏)私は地層の専門家ではありませんので、どこまで破砕帯が重要かとかそのことの判断は控えたいと思うのですけれども、でも、いずれにしても福島の原発事故の原因すらが判らない。そして各種いくつもできた事故調査委員会が
「これまでのやり方ではダメだ。これまでの組織ではダメだ」
と異口同音に指摘をしてきているのですね。
 それなのに今まで通りの組織が今まで通りのやり方で動かすという判断が、一体どこから出てくるのか、私にはそれがまず判らないのです。
(水野氏)はい。
 それともう少しひとことだけ伺いたいんですが、ストロンチウムについて、福島・宮城県以外の10の都県で確認されたという報道がございますけれども、文部科学省は
「健康への影響はほとんどないと考えられる」
と言っています。
 これについて、リスナーの方から
『そうなのか?政府の言うことが信じられない。』
というご意見も来ているんです。
 どうお考えですか?
(小出氏)何度もこの番組でも聞いていただきましたけど、放射線に被曝をするということは、どんなに微量でも危険を伴いますので、安全ということはありません。
 ただし、今回検出されたストロンチウムは、同じ場所で検出されてきたセシウムに比べると、圧倒的に少ないです。1000分の1以下だと思います。
 ですから、健康への影響ということで言うなら、圧倒的にセシウムが重要なので、やはりセシウムに注目すべきだと私は思います。
(水野氏)はい。どうもありがとうございました。
【以上】


【関連記事】
大飯4号機で冷却水温上昇し警報 一時的変動と発表
共同通信(2012年7月25日)
 25日午前5時半ごろ、関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)の中央制御室で、原子炉内の1次冷却水の温度が上がりすぎていることを示す警報が作動した。関電は、冷却水の流れによる一時的な温度の変動が原因だと発表した。

 関電によると、作動した警報は、原子炉内に50個ある温度計の一つ。原子炉内の冷却水の流れの影響で局所的に温度が上下し、警報の設定を超えたとみられる。

 保安規定で監視対象になっている原子炉出口の温度計に異常はなく、経済産業省原子力安全・保安院は、放射性物質による外部への影響はないとしている。大飯4号機は同日未明にフル稼働に達したばかり。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/07/post-6317.html


関電社長、次の原発再稼働に言及 「国は早く審査を」
共同通信(2012年7月25日)
 大飯原発4号機がフル稼働に達した25日、関西電力の八木誠社長が、“次の再稼働”について「高浜3、4号機が最有力」と発言した。時期は明言しないものの「(国には)できるだけ審査を早くしてもらいたい」とも口にし、電力会社トップの前のめりな姿勢を見せた。

 関電は、大飯原発3、4号機を含め八つの原発の安全評価(ストレステスト)の1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出している。

 福井県おおい町で25日午前に取材に応じた八木社長は「電力需給ではなく、わが国のエネルギーセキュリティーを考え、安全性を確認できたプラントはできるだけ早く動かしていきたい」と強調。出力規模などから次の再稼働は高浜3、4号機が有力と判断したとみられる。

 再稼働に慎重な立場を取ってきた、おおい町の旅館業の50代の男性は「このまま福井県内の原発は、なし崩し的に再稼働していくのではないか」と心配そうに話した。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/07/post-6320.html


福島原発事故由来のストロンチウム、10都県で初確認
朝日新聞社 2012年7月24日21時49分
7月24日ストロンチウム 東京電力福島第一原発の事故後、大気中に放出された放射性ストロンチウム90が福島、宮城両県以外の10都県で確認された。文部科学省が24日発表した。茨城県では、2000年から事故前までの国内の最大値を20倍上回る1平方メートルあたり6ベクレルが検出された。これは大気圏内核実験が盛んだった1960年代に国内で観測された最大値の60分の1程度になる。

 原発事故が原因と確認されたのは岩手、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の10都県。いずれも昨年3~4月に観測された。事故で放射性セシウムが広範囲に拡散したことから、ストロンチウム90についても拡散が予想されていたが、国の調査で、宮城、福島両県以外で原発事故によるストロンチウム90が確認されたのは初めて。

 文科省が発表したのは、1カ月間に屋外の容器に降下してたまったちりに含まれるストロンチウム90の量。2010年4月から11年12月にかけ、47都道府県の測定所で月ごとに調べた。

 1平方メートルあたりの降下量が最も多かったのは茨城県(測定所・ひたちなか市)で6.0ベクレル。群馬県(前橋市)の1.9ベクレル、山形県(山形市)の1.6ベクレルと続いた。10都県で原発から最も遠い神奈川県(茅ケ崎市)は0.47ベクレルだった。

 00年から原発事故までの最大値は06年2月に北海道で観測された0.30ベクレルで、茨城県の観測値はその20倍。10都県の値はいずれも0.30ベクレルを上回り、事故直後に観測されたため、原発から放出されたものと判断した。

 過去のストロンチウム90の観測値は、1963年の仙台市での358ベクレルが最高。核実験の実施回数が減り、その後は減少を続けたが、86年、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の影響で一時上昇し、秋田県で6.1ベクレルを観測した。今回の茨城県もほぼ同じ値で、健康への影響はほぼないと専門家はみている。

 文科省によると、宮城県は津波の影響で測定施設のデータが修復できず、福島県は施設が警戒区域内にあって分析環境が整わず、いずれも公表できなかった。ただ、福島県分は今後集計する。両県では、昨年6月の文科省の土壌調査で原発から放出されたストロンチウムが確認されている

 文科省はこれまで、ストロンチウム90の降下量をほぼ1年遅れで発表しており、昨年3月の観測値は今年1~3月ごろに公表されるはずだった。公表が遅れた理由について、文科省の担当者は「事故の影響でセシウムやヨウ素など主要な核種の検査を優先したため、ストロンチウムの分析が遅れた」と説明している。(石塚広志)
http://www.asahi.com/national/update/0724/TKY201207240365.html

【文科省】
都道府県別環境放射能水準調査(月間降下物)におけるストロンチウム90 の分析結果について(pdf)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/6000/5808/24/194_Sr_0724.pdf