※この記事は、7月20日【内容起こし】青木理×渡辺満久教授『原子炉の下に活断層?―原発の安全性について考える―』「活断層の事故が起きなかったのは、単なる偶然。運が良かっただけ」【前半】の続きです。

<33:55頃から>
(青木氏)うーん。これね、もう一つ伺いたいんですけど、大飯原発ですよね。大飯原発のことなんですけれど、これ、渡辺先生、大飯原発についても今回調べられてますよね。行かれて入られてますよね。僕、その観察結果っていうのは、まさに掘れたわけじゃないんでしょうから、あくまでも観察ってことなんですけど、大飯原発に関しては、保安員なんかは「念のためやるんだ」と言っているようですけれども、実際に現地でご覧になって、なかなか実際に掘れたわけじゃないので断定しにくいところはあると思うんですけれども、どんなふうにご覧になってますか?

(渡辺教授)私は大飯原発に関しては、もともと活断層があると言ってるわけではないんですよ。可能性が否定しきれないものがあるので、それをまずチェックして、その可能性をつぶしたならば、つぶしてから稼働してくださいというふうに申し上げてるんです。

(崎山氏)順番が間違ってる。まず再稼働がありきではなくて、まず調査をするべきだと。

(渡辺教授)私たちの専門の分野からいうと、とても活断層の分野で安全性は確認されていないと思ったんですけど、政治的な理由とかいろんなもので動き始めてしまってですね、「これはここでちょっと何か言わないと、日本全国なし崩し的にいく」と思ったので、敢えて声を挙げたんです。

(青木氏)志賀原発と同じ構図ですよね。要するに、崎山さんがおっしゃったとおり「ここにしか作れない」って決めたら、「活断層を見ない、見ない」みたいなのと一緒で、大飯を再稼働させると決めたら、「見ない、見ない」ってなっちゃうわけですよね。

(渡辺教授)僕は、それに対してはものすごく怒っていて、3.11の福島原発の事故はですね、国会の事故調でも出しましたけど、本来想定できたはずのものを想定しなかったから起きた人災なんですよ。また同じことやろうとしてる。もう判ってるわけですよね、可能性としては。
 それをつぶさずに、確認せずにまた起動させているわけですから、こんなに国民を馬鹿にした話は、私は無いと思います。


(江藤氏)だって、今ね、崎山さんもその北陸電力が関西電力に電力をあげてた、それは余裕があるって。それくらい切羽詰った状況じゃなければ、本当に調査してから再稼働でも別に遅くはないですよね?

(青木氏)志賀原発ね。しかしだけど、どうなんだろう?これ、さっきからメールとかでたくさん来ているんですけど、今渡辺先生もおっしゃったとおり、原発ってひとたび事故が起きれば、こんな悲惨になるってもし福島原発の事故で学んだとすれば、多分私たちが学んだのはそうなんですよね。
 この先、「それでも原発を動かす」という選択肢が仮にあるんだ、或いは「止めるんだ」とかいろいろな選択肢がある中でも、最低限守んなくちゃいけないのは、ひとたび起きちゃったらとんでもないことになるから、「できる安全のチェックだけはしようね」っていうのが、今回の福島の事故で僕たちが学んだ、これは原発賛成だろうが反対だろうが、全ての立場の人が学んだ唯一の教訓のはずなんだけれど、どうやら・・・全く逆で先に政治判断だったり、先にご都合アリということで進んでるということなんでしょうね・・・。
 なので、一回CM入れましょうか。

(江藤氏)それではここでお知らせを挟みます。

<CM>

(江藤氏)ニュース探究ラジオDig、今夜はジャーナリストの青木理さんと江藤愛でお送りしています。
 今日のテーマは、『原子炉の下に活断層?―原発の安全性について考える―』です。
 ゲストは引き続き東洋大学社会学部教授の渡部満久さん、そしてTBSの崎山敏也です。よろしくお願いします。

(青木氏)僕は、なんかもう唖然としてるんですよね。すごいショックというかね、これ、渡辺さんは「責任は原子力安全保安院と原子力安全委員会にももちろんあるんだ」と。もちろん志賀原発の当時、最初の頃は通産省だったんですけれども、役所、国ですよね。それから、原子力安全委員会にもあるんだと。今になって、電力会社だけを「おかしいじゃないか」とやり玉に挙げるというのはおかしいと、今日、東京新聞の記事にコメントされているんですけれども、最後にもう一度聞きたいところもあるんですけど、最初に一言だけ伺いたいんですけれど、科学者とかの問題というよりは、人間の両親がどっか根本のところでメルトダウンしてるんじゃないかなという気がしてるんですけど、仮にまず一つやり玉に挙げるとするなら、最初に誰が見ても活断層なのに、本当の地形の専門家じゃなくても、「多少」知ってる人であれば、誰が見ても活断層であるのに、「そうじゃないですよ。知りませんよ。違うんじゃないですか」というふうに言った、その専門家の人たちですね。これは世に言う御用学者っていうことなんですか?

(渡辺教授)そのとおりですね。有名な方が何人かおられて、その方達がいろんなとこで間違いを犯してるんですね。私たちは2006年に島根で愕然と気づかされていって調べていくと、同じ方がいろんなとこで間違いをしてるんですよ。
 私たちはずーっとそれを指摘してきたんですよ。
「間違ってる、間違ってる」
 それに一切保安院と安全委員会は耳を貸さなかったわけですよ。

(青木氏)これ、同じ方々というのはもちろん、個人的な名前はどうでもいいんですけど、基本的に同じような・・・だからいろんな分野であるんですよね。僕なんかよく取材してるのは、刑事裁判なんかでもね、精神鑑定をするお医者さんでも、
「この人のところに持っていけば、基本的に検察の意味のままで鑑定してくれますから」
とかね。
 それから、それぞれの分野で、「ここに行けば大体思い通りの反応をしてくれますから」という人たちというのはいるんですけど、やっぱり原発の立地にかかる専門家の方々にもそういう方々がいるということですか?

(渡辺教授)そのとおりですね。

(青木氏)・・・絶望的だよね。

(江藤氏)ですね。でも、今回、その大飯と志賀原発のことが判ったじゃないですか。他の原発についても、活断層の危険性がどうなのか。
 例えばさっき『宮城県の女川原発はどうなんですか?』っていうメールが来てたんですが、他の原発についてはいかがですか?

(崎山氏)今は、日本原電・敦賀原発ですよね。一番大きく報じられているのは。断層の再調査が既に実施中です。
 これは敷地内にもともと活断層と判っていた浦底断層という断層があって、敦賀原発2号機の原子炉の直下にほぼ南北に走る破砕帯、活断層と言っていいんでしょうけど、活断層が引きずられて動く可能性、これを専門家会合の委員が4月の現地調査ではっきり指摘しているそうです。
 なので、現在、これは調査中です。

(江藤氏)調査中。他のところはこれからなんですか?

(崎山氏)他にもいろいろありますよね。

(渡辺教授)活断層があるかないかということに関しては、二つ分けて考えなきゃいけないことがあるんですよ。
 一つは、活断層があるとすぐ近くで大きな地震が起こって地面が揺れるということですね。揺れによって起こる被害というのが一つある。
 もう一つは、敷地とか建屋の真下に活断層がある場合に、揺れとは別に土地がずれてしまって起こる被害があるんですよ。
 それを厳密に分けないと、いろいろ混乱してくるんですよ。

(青木氏)要するに活断層の真上じゃなくても、活断層の近くというのは揺れが大きくなる?

(渡辺教授)近くにあれば、すぐ近くで大きな地震が起きますから。

(青木氏)あ、そうかそうか。活断層自身が震源になると。なるほど。

(崎山氏)当然耐震工事を厳密にやんなきゃいけなくなりますけれども、それをある程度、例えば今の日本原電の敦賀原発などでは、その浦底断層という断層自体は、昔から知られているので、一応敦賀原発、日本原電を信じるならば、そこで地震が起きても耐えられるだけの耐震構造をしてるはずなんですよね。

(青木氏)なるほど。今崎山さんがおっしゃってくれたので、敦賀原発の浦底断層に関しては、これ、先ほど僕が紹介した2008年の渡辺先生の論文・・・原稿の中で、写真の判読結果では、『敦賀原発の敷地を横切る浦底断層は、まぎれもない活断層であるということを確認した』と。
 それで、この判読結果はなるべく早期に公表するというのが、もうこれは公表されているわけですよね?

(渡辺教授)まだ学会発表したというところですね。

(青木氏)ってことは、それは原発の建屋の真下を通ってるわけじゃないですよね。

(渡辺教授)浦底断層自体は真下ではないんですよ。原子炉から200mくらい離れてるところ。

(青木氏)あ、でも200mしか離れてないんですか。

(渡辺教授)ものすごい近いですよ。だから、この浦底断層が確認された保安院もみんな政府も認めたのが2008年なんですよ。
 それまでは、『敷地内に活断層は無い』と言ってきたんですよね


(青木氏)そうかそうか。渡辺先生がこの論文を書かれた時点では、『無い』と言ってたわけですね?

(渡辺教授)それはでは『無い』と言ってたんですよ。『そういうところには作りません』と言ってきたんです。
 でも、「浦底断層が確実に活断層ですよ」と認めざるを得なくなって、この文言は消えてしまって、『その活断層で土地がずれる真上に無ければいいんだ』という言い方に変わってきたんです。

(崎山氏)実際に破砕帯が下にあるわけですよね?

(渡辺教授)そうです。

(崎山氏)それが引きずられて動く可能性が無いとは言えない。

(渡辺教授)そうです。

(青木氏)先ほど崎山さんがおっしゃった、揺れも大きくなる可能性があるから2008年まで無いって言ってたんだったら、その耐震性は大丈夫なのか?っていう話にもなってくるんですが。

(崎山氏)そうですね。耐震工事は当然、やってると思いますけれども、それはそう信じたいですけれども・・・。

(青木氏)福島とさっきの志賀の話を聞くと、・・・っていう感じ。

(崎山氏)そうですね。福島の場合、このあいだ国会の事故調の結果、報告書で結局津波で被害を受けたとされてますけど、もしかすると非常用電源はその前に地震で損傷を受けていたのではないかという結論も出てますし、地震の揺れというのを侮ってはいけない
 なんか今だと、「津波の対策さえしてれば何とかなるんだ」というふうに、最近ちょっと思われがちだと思うんですけれども、地震の方の揺れに対する対策というのもきちんと考えなきゃいけないんだってことですよね。

(江藤氏)渡辺さんが2008年にそういった文章を出して、今いろいろとそうやってやってるわけですけど、これって福島のことがなかったら、それこそこの4年間っていうのは何もしてこなかったってことなんですか?

(渡辺教授)多分そういうことなんだろうと思います。
 ちょっと話を戻しますけど、揺れによる被害というのは、どこにでも付きまとっていて、多分揺れによる被害が全く問題ないのは、九州の玄海だけなんですよ。そのほかは全部、活断層によって発生する地震も小さめに想定していて、耐震性に非常に大きな問題があるんじゃないかと思います
 その中でも私は、まともに敷地にある場合、それはずれによる被害が生じてしまって、どんなに強い建物を作っても建屋は壊れてしまって、非常に大きな被害が考えられる場所が、それがいくつかあるんです。その中の一つ、二つ。敦賀とか志賀とか、東通とか浜岡とか、六ケ所とかですね

(崎山氏)再処理工場ですね。

(青木氏)六ケ所の再処理工場も、敷地の中なんですか?それともすぐ近く?

(渡辺教授)敷地が大きく隆起して傾いてしまうような活断層があるんですよ、近くに。それも無視されてしまっています。

(青木氏)東通とおっしゃいましたけど、東通もやっぱりそうなんですか?

(渡辺教授)東通は恐らく原子炉直下に活断層があると思います。

(青木氏)東通も原子炉の直下にあるんですか?

(渡辺教授)敦賀とか志賀と同じレベルのものがあると思います。
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(崎山氏)今保安院は、東北電力に再調査を指示中ですね。今「再調査をするように」ということで。

(青木氏)うーん・・・、でも確かちょっと場所違ったんでしたっけ?東京電力もあそこに作ろうって計画がありますよね。

(崎山氏)東京電力も東通原発を今建設中です。

(青木氏)そうですよね。ということは、東北電力が持っていて、直下に活断層が恐らくあるところに、東京電力もまたそこにノコノコ行って、原発を新しく建設してるってことですよね。

(渡辺教授)そうなんです。だから、ラジオだから図をお見せできないんですけれど、東電が原子炉を作ろうとしていた地盤に、いかにたくさん断層があるかという図を見ていただければいいんです。ものすごいたくさんあるんです。

(青木氏)今度東電が作ろうとしているところの敷地にも、また活断層があるんですか?その上に作ってるってことなんですか?今作ってるのは。

(渡辺教授)まだ作ってはいないですけど。

(崎山氏)今はまだ10%くらいしか工事が進んでないです。東電の東通原発は。

(渡辺教授)その原子炉を置くところに、ものすごくたくさん断層があるんですよ。そこにある断層のデータはちょっと判らないんですけど、すぐ横の断層を見てると、それは恐らく活断層なんですよ。

(江藤氏)なんでそんなとこ選ぶんですかね?

(渡辺教授)『場所が最初にある』・・・

(崎山氏)『場所が最初にある』んです。そこの用地が取得できたからですよね

(江藤氏)それありきで結局作っちゃってる?

(渡辺教授)場所が決まると、そこが安全ですよって作文が始まってしまうんです

(青木氏)もう一か所、柏崎刈羽、嘗て先ほど申し上げた渡辺先生の故郷にも近いということで調べられた、これもやっぱり相当危ないんですか?活断層があるんですか?そういうわけじゃないんですか?

(渡辺教授)敷地直下にあるかどうかというのは、ちょっとまだ判りませんけども、とにかく近くの海底の活断層がこの間地震を起こしたんですよ。

(青木氏)中越沖地震というやつですか?

(渡辺教授)中越沖地震。その活断層の過小評価が依然として続いていて、全く認めてくれなかったですね。

(青木氏)これを見ると、渡辺先生は「値切り」とおっしゃってますよね。すなわち、本来はもっと長い活断層なのに、短めにして影響を過小評価しているということですね。
 もう一回教えてください。
 東通ですよね。東通は直下に活断層がある可能性が高い。
 それから志賀は直下。
 敦賀。
 六ヶ所?

(渡辺教授)いや、同じレベルでいうと、疑い濃厚なのは、美浜、もんじゅ、大飯ですね。

(青木氏)美浜、もんじゅ、大飯。

(江藤氏)福井県辺りが多いというわけですね。

(渡辺教授)ちょっとさっきは六ケ所のことはちょっと次元が違うんですけど、土地がズレるという意味では、六ケ所と浜岡ですね。

(青木氏)ラジオで地図をお見せできないのは残念ですけれども、敦賀、もんじゅ、美浜っていうのは全部福井ですね。
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(渡辺教授)同じ半島の中にあります。

(青木氏)それから志賀が石川県ですね。それから、東通っていうのは、青森県ですね。
 ということは、日本の原発の1,2,3,4,5,6,7・・・六ケ所村も入れれば7か所?

(渡辺教授)8か所。

(青木氏)8か所は、限りなく活断層が疑われるか、或いは活断層そのものの上とか密接して建てられている疑いが強いと。

(渡辺教授)そうです。揺れではなくて、土地がずれてしまって被害が起こる可能性が高い。
 それで、一番申し上げたいのは、今申し上げたところに全てに共通に絡んでる専門家が居るわけです。

(青木氏)要するに、先ほどおっしゃったいわゆる御用学者という・・・。
 ってことは、どうなんですか?誰かを見つけ出してつるし上げるという意味ではなくて、誰が悪いんですか?それは皆悪いんですけど、電力会社が御用学者なりを便利に使ってるのか、規制機関である通産省なりを安全保安院なりが便利に使ってきたのか、それとも三者が一体となって、活断層の上なのに「OKですよ」みたいなことを共演してやってきたのか?

(渡辺教授)まぁ、共演してやってきたんだと思います。

(崎山氏)そうですね。共演でしょうね。まさに原子力村の構造そのものですよね。だから、これが原子力村というものの正体と言ってもいいかもしれないですよね。

(青木氏)渡辺先生ね、ちょっと関係の無い質問かもしれないんですけど、僕ちょっと個人的に少し興味があって渡辺先生にお伺いしたいんですけど、渡辺先生は原子力発電というシステムについては、どんなふうにお考えなんですか?

(渡辺教授)私は今の日本の生活レベルとか産業界を支えるためには、これ(原子力発電所)は止められないと思いますね。だから、必要なものだと思うんですよ。
 だけど、あまりにずさん。
 こんなものをほったらかしておくと、日本が駄目になる。
 必要であれば、ちゃんと安全なとこに作ればいいんですよ。それをしないで、危険性を全部見逃して「大丈夫、大丈夫」って作ってるところが大問題なんですよ。

(青木氏)これしかし、日本中に活断層が2000か所くらい。ちゃんと探してやれば、活断層じゃないところとか大丈夫なところとか、それだけの敷地をとれるところっていうのは、あるのはあるんですか?

(渡辺教授)活断層が無いところはあると思いますよ。それはありますよ。
 例えば、先ほど申し上げたように北九州の玄海原発。

(崎山氏)玄海原発は老朽化の問題を抱えている原発なんですけども、それはちょっとまた別の問題であるんですけれども、活断層の問題でいえば問題が少ない原発です。

(渡辺教授)そうです。

(青木氏)他のところはどうなですか?例えば浜岡なんかも結構問題になってましたですけど。

(渡辺教授)だから、活断層の観点から問題がないのは玄海だけだと。

(青木氏)うーん、なるほど。ということは・・・

(江藤氏)日本に向いてないということですかね。合ってないと。

(青木氏)どうなんですか、向いてないっていうのは?

(渡辺教授)いや、向いてないというか、だから、私たちが恐れてるのは、土地がずれてしまう被害は防ぎようがないので、そこに建ててはいけないと言ってるんですよ。活断層が無くて、揺れのことを考えていればいいところはあるわけですよ。そこはちょっとお金かかるけども、丈夫に作れば私は大丈夫だと思っています。

(崎山氏)結局1960年代に、今の原子力発電所を立地した地点っていうのはほとんど決められてるんですよ。
 その中でダメだった地点の中に、実は活断層とかが無い地点もあったかもしれないけど、それは反対運動とかあったり、或いは地元の漁業を守る運動とかのほうが強かったりして諦めていって、かろうじて残った地点にほそぼそと作ってきたのが日本の原発なんですよ。要するに。
 1960何年に既に決まってるんですね。1960年代に決めた地点がいくつかあって、今より少し多い地点がいくつかあって、その中から原発が建てられたところに建てるしかないという、非常に追い込まれた状況で建ててきた、原発を立地させてきた責任があるんだと思いますね。

(青木氏)ただ、渡辺先生の話によると、それでも近くに活断層が、近くっていっても100mなのか1㎞なのかで違いますけど、仮にあったとしても、直下でなければ多少ね、とにかく揺れ、耐震工事なり耐震性能を高めていけば、なんとか持つかもしれない。
 しかし、真下にあったら、もうずれちゃったら建屋自体がその瞬間に壊れちゃうっていうことなわけですよね。
 それくらいは、ちょっとね、ずらすとか、例えば志賀原発の敷地ってちょっと見たんですけど、何もそんな上に作んなくたって、少しずらせばいいじゃんと思うんだけど、駄目なんですかね?

(渡辺教授)全くそのとおりなんですよ。私たちからも「どうしてこれを作るんですか?もう少しずらせばいいじゃないですか?」っていうのはいっぱいあるんですよ

(青木氏)ということになってくると、崎山さんのおっしゃったのは全くその通りだと思うんですよ。
 恐らく反対運動もあっただろうし、漁業権の問題とかその他の問題とかもあって・・・

(崎山氏)追い込まれていたんだと思います。
 やっぱりそこに建つ必然性があったんだと思います。時の買取とか、そういった利点で、どこに原子炉を置くかっていうのが一番重要なことですから、その時点でそこにしか原子炉を置けない理由があったんだと思います。
 これは成立しなかった原発ですけど巻原発、東北電力の。途中で住民投票でなくなりましたけど、この巻原発は無名の人たちが入っているお墓があって、そのお墓の位置の関係で原子炉の位置がなかなか決められなくて、結局それが決められないためにいつの間にか時間がたって、住民投票が行われて、結局計画自体が無しになってしまったというものなんですけど、原子炉の立地っていうのは、ちょっとした地元の細かい事情で動かされてるところが多いので、念密にやっていけば志賀原発もそこにしか決められなかった理由はあると思います。それは。

(青木氏)しかし、活断層の上っていうのは、「勘弁してくださいよ」としか言いようがないですよね。

(崎山氏)そうですね。

(青木氏)巻原発の住民投票っていうのは、僕も現地で取材を97年でしたかね。現地の反対運動っていうのはもちろんあったんだけれども、確かにでもね、反対運動があったからとか漁業権の問題だからというのは、一つそういうふうに言えるのもあるんだけど、例えば柏崎刈羽原発なんかの設置の経過を考えるとね、これはハッキリ言えば政治力ですよ。

(崎山氏)そうですね。田中角栄の政治力ですね。

(青木氏)田中角栄さんが自分のところに持っていった。その中でどこに決めるかという問題であったりとかね、成田空港なんかもそうですけど、政治力で持っていってその中で一生懸命探していって「ここしかないから」って言って、それが活断層の上だった。そんな馬鹿なっていう話じゃないですかね。今更25年も経って、今更なんだ?って思うんですけどね。
 渡辺さんに改めてもう一回聞きたいんですけど、科学者っていうのはね、こんなもんなんですかね?

(渡辺教授)いや、そうではないと思います。そうではない科学者もたくさんいるんですよ。だけど、ごく一部の、そういう・・・妙なことを考えてる人が、やっぱり科学の信頼性を落としてると思うんですね。
 ちょっと脇に逸れるかもしれないですけど、
私が一番言いたいのは、例えば福島の原発事故で、誰も責任をとってないっていうのはどういうことなんですか?責任の所在は明らかなんですよ。想定すべきことを想定しなかったという人たちがいるわけで、それを、その責任を問うのを日本人って嫌いますよね?
 それをしないので、皆平気なわけですよ。
 志賀原発だって、これで何も問わなければ
専門家は何やっても大丈夫と。責任も問われない。結局間違った専門家がずーっと居座って、同じように誤った審査を続けていって、同じことが繰り返される。

(青木氏)あの、先ほど僕ね、例えば刑事司法の世界でも警察に都合のいい鑑定をする、例えば精神科医の方がいらっしゃるという話をしましたけれど、今回、福島の事故があって以降つくづく思うんですけど、先ほど崎山さんが「原子力村」という言葉を使われましたけど、原子力の世界っていうのはね、やっぱり特にその気が強いような気がするんですよ。

(崎山氏)強いですね。
 今回の場合も、原子力保安院は「2006年にやった再審査は一度チェックしてみよう。志賀原発でなぜ見落としがあったのか」とは言ってるんですけれども、1988年の第1号機の原子炉立地許可申請の時と2号機を作った時、この2回、ダブルチェックは2回、4回チェックがあったはずなんですね。このとき4回まさに専門家が関わってるはずなんだけど、「もうそこまでは遡らなくていい」って言ってるんですね。
「そこまで遡って、責任をとらせる必要はない」
と言ってるのに等しい
と思うんですよね。そういう体質がまさに「原子力村」だと思います。

(青木氏)あともう一つ、特に技家系のところなんかは多かれ少なかれあるんでしょうけど、企業だったりとか国だったりとかから、最近特に大学はお金が無いものだから、スポンサーつけて研究するみたいなことをやりはじめると、特に原発のように何千億円というプロジェクトですよね。だから・・・

(崎山氏)巨大な金額が動きますからね。

(青木氏)だから、そういう御用学者と言われてる人たちが増えたっていうことなんでしょうかね。

(渡辺教授)まぁそういうことだろうと思います。

(青木氏)しかしそれでも・・・。僕ね、皆さんどう思うか知らないけど、渡辺先生が「誰なのか?」っていうことをもちろん同業者でいらっしゃるし、なかなかおっしゃりにくいけれど、これを崎山さんもそうですけど、僕らメディアの人間がきちんと・・・

(崎山氏)個人攻撃ではなくね。

(青木氏)だってこれ、全部に共通している専門家っていうのが居るわけじゃないですか?僕らがきちんと・・・、
「一体誰なの?一体なんでこの先生はこんなことばっかりやったのか?」
っていうのを、いい加減追及したほうがいいですね。

(崎山氏)そうですね。1987年の志賀原発を最初から同じ図面、一つの図面見ただけで、「あれ?こえは違うじゃない。どう見ても活断層じゃない」というその図面をまさに作った人がいるはずで、それを調べることはできるはずですので、それを政府はやらなければ、ジャーナリズムがやらないといけないですね、確かに。

(青木氏)だって、志賀原発の活断層に関して、これね、僕らメディアの責任も大きいと思うんだけれど、最初に地図、図を見るだけで、ちゃんとした専門家、例えば渡辺先生がご覧になれば、
「あ、これ活断層」
っていう活断層なわけですよね?

(渡辺教授)私が最初見た時にはびっくりしました。

(青木氏)ってことは、だから一種メディアの責任も逃れられないし、ただ、「みんな責任があるから引っ込んでましょうね」ってことじゃ、また今までの繰り返しなので・・・

(渡辺教授)それをやってはいけない。

(青木氏)だから、ある程度責任追及すべきは、この専門家の先生もね。

(江藤氏)あと、今後チェックするときに、そういう人はもう使わないというふうに決めないと。それは政府が言うことなのか判んないけど。

(崎山氏)それをまさに原子力規制委員会がそれをどう考えてやっていけるかどうかですよね。
 つまり、原子力規制委員会が今後もいろいろな審議会とか意見聴取会とか作っていくときに、そういうことを透明性をもってできるかどうかですよね。それに懸ってると思いますね。

(江藤氏)あと、最後なんですけど、例えば再調査をして立地不適格となった場合は、例えばどうなるのか?例えば廃炉にするのか?っていうのはどうでしょうか?

(渡辺教授)私は待ったなしで廃炉だと思いますね。
 廃炉にした上で、本当に必要であれば、別の安全なところに作り直せばいいと思います。

(青木氏)先ほどおっしゃったように、東通、志賀、敦賀、もんじゅ、美浜なんかは渡辺さんなんかは基本的に廃炉にすべきだろうという考えですね。

(渡辺教授)一部チェック必要なところが入ってましたけど、確実に判ったところは廃炉にしなければいけない。

(江藤氏)崎山さん、これ法的にはどうですか?

(崎山氏)法的にはですね、原子炉規制法ではそういうのは想定してないんですね。実は困ったことに。
 一度国が認可したものを地盤が悪かったからといって、途中で運転停止を命じたりするってことはできないということになっていて、今のままでは要請指導で電力会社にお願いをするという形に。
 ただこれはさすがに電力会社も拒否はしないとは、私は思いますけれども。
 法的に命令することはできないんですよ。
 原子炉等規制法の欠陥だと思うんですけれども。
 そういうことを想定してなかったんですよね。

(青木氏)ホント、今日は困りましたね<苦笑>
 困りましたねっていうか、聞けば聞くほど、なんかちょっと暗澹たる気持ちになってくるし・・・こういうものを見逃してきたというのは、もちろん原子力村の世界の問題でもあるんだけれども、やっぱり科学者とは何かとか、僕らみたいなメディア人もそうだけど、科学者とは何かとか、人間の良心は何かみたいなことを考えなくちゃいけないような気がしました。
 こんなもの見逃しておいて、志賀原発の、だって直下に活断層があるのを25年間見逃してきて平気でいた。
 最初にメールにもあったじゃないですか。
『なんで今更?なんで今更?』
 みんなそう思うと思うんだけれども、それは見逃され続けてきた・・・

(江藤氏)目先のことばっかり見てきたって感じですね。

(崎山氏)志賀原発は臨界事故を起こして十数年隠してきたという前例がありますからね。はい。非常に問題の多かったのに、それを監視できなかったメディアも問題だと思います。

(青木氏)判りました。

(江藤氏)ということで、今日のゲストは東洋大学社会学部教授の渡部満久さんでした。
 ありがとうございました。崎山さんもありがとうございました。
【以上】

失礼します。
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