20120718 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)東京には近藤さんです。
 まず、福島第一原発4号機のプールから燃料棒1体が初めて取り出されたという話で伺いたいんですけれども、これ、今回は試験的にまだ使用していない核燃料が取り出されています。
 ただ、この使用していない核燃料というのは、比較的安全・・・だということですが、どれくらいのものなのか、放射線量というのはゼロなんですか?
(小出氏)ゼロではありません。使用前、燃やす前の燃料というのはもちろんウランなのですが、ウランというのは放射性物質ですから、もともと放射線を出します。ですから安全ということは無いのですが、ガンマ線という放射線が透過性が高いのですが、ウランという原子核はガンマ線に関しては、大変微弱なガンマ線しか出さないのです。ですから、それを身体の中に取り込んだりしない限りは、ほとんど危険がありませんし、燃料棒という形で既に金属のパイプの中に閉じ込められていますので、大きな危険があるというものではありません。
(水野氏)なるほど。だから今回はまず試験的に、この未使用の核燃料を取り出したわけで、誤って使用済の核燃料をクレーンで釣り上げないようにと注意しているということなんですが、もし誤って使用済を釣り上げるとどうなるんですか?
(小出氏)周辺の人がバタバタと死ぬと思います。
(水野氏)今日公開されている映像ですと、30人ほどの作業員の方が、もうすぐそばで作業したり見守ったりしてるわけですけれども、そういうところにいるとお1人ではなく次々に・・・?
(小出氏)はい。ただすぐに判ると思います。釣り上げてくる途中で周辺の放射線の線量がどんどん上がってきてしまいますので、使用済燃料プールは10m以上の深いプールなのですが、そこからどんどん水面近くに引き上げてくるに従って、もしそれが使用済の燃料であれば、プールの上の空間線量率が上がってきてしまいますので、容易にわかります。
(水野氏)水の外に出す前に、水の中で(水面に)近づいただけでもう線量は上がるんですか?
(小出氏)はい。もう簡単に上がってしまいます。
(水野氏)じゃあ、それほどの線量のキツイ使用済核燃料を、これから先どんなふうに釣り上げて、どこへ出して、どうするんですか?
(小出氏)これからは、今回やったようなやり方ではもちろん釣り出すことができません。まずは、使用済燃料を収納するための巨大な、私たちがキャスクと呼んでいる金属製の容器、鋼鉄と鉛でできている容器ですが、それをプールの底に沈めます。
(水野氏)まずプールの中に沈めます?
(小出氏)はい。その容器の中に使用済の燃料を、水の中で釣り上げてまた容器の中に格納します。そして、ふたを閉めます。
 そうして、キャスク全体、100トンを超えるような巨大な容器なのですが、それを水の中から空気中に引き上げるということをやります。
(水野氏)決して空気には触れさせないで、水の中で作業をしてキャスクに入れて、そしてその客巣を釣り上げて、それをどうするんですか?
(小出氏)それからが難しいのですが・・・東京電力もそれをどうするか多分考えてるはずですが、すぐ隣に共用の使用済燃料プールというのがありまして、既に6000体か7000体くらい入っている大きなプールがあるのですが、そこにとりあえず移すのかもしれませんし、或いはそのキャスクをこれからたくさん作ってですね、キャスクのまま保管するという方法もあると思います。
(水野氏)はぁ・・・。ただ、こうした作業はですね、今4号機のプールに1535体あるんだそうで、やっと1本取り出しただけでしょ?これからものすごい時間がかかるんでしょうな。
 作業中に大きな地震があったら、どういうリスクがありうるんですか?
(小出氏)1535体の燃料集合体のうち、204体は未使用です。そのうちの1体、2体を今日、或いは数日のうちに試験的に取り出してみようとしているわけですが、1331体は既に核分裂をさせてしまった燃料集合体なのです。
 それを1体の損傷もないようにしながら、全てを出さなければいけないのです。
 大変困難な作業ですし、既に建屋が壊れてしまっていまして、建屋をこれからもう一度作って、その建屋に巨大なクレーンを設置して、そして使用済燃料の交換機というような精密作業ができるようなものをまた設置して、作業をしなければいけないのです。
 その準備のために、東京電力は「来年の12月まで時間がかかる」と言っているわけですが、多分そうだろうと思います。その後も、今聞いていただいたように1331体すべてを完璧に移動させなければいけませんので、大変難しい作業になるだろうと思います。
 もし、しくじったらどうなるかということですけれども、例えば釣り上げている途中に使用済燃料を落としたりするという可能性があるのですね。そうなりますと、どうなるかと予測をたてるのはとても難しいのですが、落ちていった使用済の燃料がどこかにぶつかって、燃料棒が折れるとかそういうことは十分ありうるだろうと思います。そうすると、燃料棒の中に閉じ込められていた放射性物質が外に出てきてしまうことになります。
 ただし、燃料全体がプールの中にある状態であれば、まだ私はましだと思います。冷えているわけですから、燃料が溶けてしまうということは無いはずですし、閉じ込められていた放射性物質のうち、希ガスと私たちが呼んでいるガス状の放射性物質だけは吹き出してくると、そういうことになると思います。
(近藤氏)先生?要するに、今日の作業で「腐食状況を調べる」と言ってるでしょ?その腐食があるということになると、何が言えるんですか?
(小出氏)燃料棒というものはジルコニウムという金属でできているのですが、それを腐食をしてるということになると、要するに破損しやすくなっているわけですね。そうすると、使用済燃料集合体を釣り出そうという作業の途中で、燃料棒が壊れやすくなっているわけですから、特に落としたりしないうちに燃料棒が壊れてですね、中から希ガスが噴出してくる、そうすると作業自身ができなくなるという可能性も出てくると思います。
(近藤氏)それを調べてるわけですね?
(小出氏)そうです。
(水野氏)本当に地震がないことを祈らずにはいられませんが、もう一つ。
 大飯原発4号機、今夜再起動ということなんですが、その一方で大飯原発の敷地の中を走る断層が活断層である可能性も指摘されています。
 このお話はたね蒔きジャーナルでも既に専門家からお話を聞いている話なんですが、今度保安院が再調査を求めると指示するということになりました。
 国の基準では、『原発の重要施設は活断層の上には設置できない』というふうにあるんですよね、小出さん?
(小出氏)そうです。
(水野氏)大飯原発の場合どうなのかということなんですけど、これ、2号機と3号機の間を断層は走っているんだそうで、原子炉そのものが活断層の真上にあるということではない。断層の真上にあるわけではないようですが、非常時の冷却水を通す非常用の主水路は、この断層を横切る格好になっているんだそうです。つまり、真上に非常用主水路があるわけですね、断層の上に。 これって重要施設ですか?どういう施設ですか?
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6月13日【内容起こし】渡辺満久教授:大飯原発、安全性はどこへ? 見逃された破砕帯問題【原発の地下に10本もの活断層の可能性・・・】@院内集会より

(小出氏)重要だと思います。
 皆さん、まだご存じの無い方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば大飯の原子力発電所は118万キロワットという出力ですが、それは電気になるものが118万キロワットなのであって、通常はその倍の熱が使えないまま海へ捨てるという、そういう機械なのです。
(水野氏)半分しか使えないんですか?
(小出氏)はい。半分というか3分の1しか使えないのです。
(水野氏)そんなに効率悪いんですね。
(小出氏)電気になる分の倍を海に捨てるということになっていまして、そのために1秒間に大井の場合には80トンというような海水を冷却用に原子炉建屋の中、まぁタービン建屋ですけれども、に引き込んで、それをまた海に戻すということをやっているのです。
(水野氏)すいません、1秒間に80トンですね?
(小出氏)そうです。もう日本にはそんな大河は20か30しかないというくらいの巨大な大河を作っているのです。
 そのためには巨大なポンプを動かしてぐるぐる回しているわけですが、事故になった時には、原子炉の運転を止めなければいけませんし、その巨大なポンプを動かすこともできませんので、非常時のためのまた別の冷却回路というのがあるのです。
 ただし、それは非常時のためにわざわざあるわけですから、非常時には必ず動かなければならない回路なのです。
 それが壊れてしまえば、要するに非常時に用をなさなくなってしまいますので、大変重要な施設だと言っていいと思います。
(水野氏)つまり冷却ができなくなる恐れに繋がるということですね?
(小出氏)そうです。
(水野氏)ということは、福島のようなメルトダウンにもつながるという意味ですよね?
(小出氏)そうです。
(水野氏)それが断層のところにあると・・・いうことですよね。横切っていると、そういう意味なんですか?
(小出氏)そうです。
(水野氏)はぁ・・・。
 はい、ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】
福島原発4号機燃料を容器に収納 東電、19日にもう1体
共同通信(2012年7月18日)
 東京電力は18日、福島第1原発4号機の燃料プールから取り出した未使用燃料1体を、専用の輸送容器に収納する作業を終えた。東電は核物質防護を理由に作業状況を一切明らかにしていないが、関係者によると、放射線量を測定しながら慎重にプールから取り出した。燃料の外観や線量に大きな異常はなかったという。

 容器には2体の燃料が入るため、19日に取り出すもう1体を収納した後、プールのある原子炉建屋5階部分からクレーンで地上に降ろし、同原発敷地内の共用プールがある建物まで車両で運ぶとみられる。

 東電は8月から取り出した未使用燃料2体の調査を始める。未使用燃料の方が、使用済み燃料より燃料集合体表面の金属が腐食しやすいとされるため、今回取り出した未使用燃料に腐食がなければ、その他の燃料も問題がない可能性が高いという。来年末ごろにもプールに収められた約1500体の燃料の取り出しに着手する計画。

 これまでの水中カメラなどでの調査では、プール内には建屋の水素爆発によるとみられる多くのがれきが散乱しているが、保管中の燃料に大きな損傷は確認されていない。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/07/post-6247.html
 

敷地内断層の再調査指示 志賀、大飯両原発で
共同通信(2012年7月18日)
 経済産業省原子力安全・保安院は18日、関西電力大飯原発(福井県)と北陸電力志賀原発(石川県)の敷地内の断層について、関電と北陸電に対し、現地で再調査するよう指示した。調査計画を北陸電は今月25日までに、関電は速やかに報告するよう求めた。
 国は原子炉など安全上重要な施設を活断層の上に設置することを認めていない。志賀原発1号機の原子炉建屋直下にある「S―1断層」が活断層の可能性があると指摘されており、現地調査で確認されれば運転継続は困難となり、北陸電は廃炉を迫られる可能性も出てくる。
 大飯原発で問題となっているのは1、2号機と3、4号機の間をほぼ南北方向に走る「F―6断層(破砕帯)」。経産省の牧野聖修副大臣は18日記者会見し、破砕帯について「少しでも活断層の疑いがある以上、速やかに再調査したい」と述べた。一方で「再稼働を中止するほどの危険性があるとは認識していない」とした。
 両原発の敷地内断層をめぐり、17日に開かれた保安院の専門家会議で、委員から現地での再調査を求める意見が続出したことを受け、保安院は再調査が必要と判断した。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/07/post-6249.html

失礼します。

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