20120627 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)東京には近藤さんです。
 今日は電力会社9つ、一斉に株主総会でした。小出さん、北陸電力の株主総会でこういう意見が出たので聞いていただきたいんですが、
「北陸電力の株価は今低迷しておりますが、その一方で原発を持っていない沖縄電力の株価、ここが今一番高い。原発は無い方がいいんじゃないですか?」
という意見が出たそうです。
 こうした考え方をどんなふうにご覧になりますか?
(小出氏)すいません。私は原子力の専門家ですけども株の専門家ではありませんので、正確に判断できませんが、ただ、原子力の発電単価は他のどんな発電単価よりも高いということが既に判っているわけですし、事故が無くてもですよ?
(水野氏)事故が無くてもですね?除染の費用だとか賠償の費用だとか抜きでも、高いんですか?
(小出氏)高い。おまけに福島のような事故が起きてしまえば、もう東京電力は実質的には国有化されたわけですけれども、要するに会社自身が成り立たなくなると、それほどの危険を持っているものなのです。当然、原子力をやめたほうが株主としては安全、安心でしょうし、そういうところの株価が上がるのではないかと私は思います。
(水野氏)ただ、原発を持っている電力会社はですね、
「火力発電のための燃料代がかさんで経営が苦しくなるんだ」
って言いますよね。
(小出氏)だから、愚かな選択をこれまでしてきた経営者の責任なんですね、これは。これまで高いにも関わらず原子力が儲かるということでやってきてしまった。その挙句に事故が起きて原子力発電所が不良債権になってしまえば、経営が困難になるということは当たり前のことなんですけど、本当はそれは経営者が愚かな選択をしたというツケなんですね。しっかりと株主も考えなければいけないと思います。
(水野氏)はい。
 じゃあ、もう一つ。
 再稼働の準備が進んでいる大飯原発についてなんですが、異常を示す警報が今日も鳴ったんだそうです。大飯原発3号機、4号機の中央制御室というところで、外部電源を受け取る発電所の中にある特別高圧送電線開閉所というところで異常が発生したことを示す警報が作動いたしました。
 小出さん、この「特別高圧送電線開閉所」っていうのは、意味のある場所ですか?
(小出氏)原子炉の本体とは違いますけれども、発電所というそういう施設にとっては、大変重要な場所だと思います。
(水野氏)ほう。電気を送り出す施設?
(小出氏)はい、送ったり或いは受電をしたりするためにも使います。たいへん高圧の電気を扱いますので、トラブルも多いと思います。
(水野氏)ここで漏電があったと関電は見ているんだそうです。その漏電の原因は何かと言いますと、火災やショートによる焦げ跡は無くて、どうやら結露、結露などの影響と考えられているという発表なんですね。
 結露っていったら、私の家でもありうることなんですけど、私から見たら「たかが結露」でね、原発の中で警報機が鳴るなんていうのはびっくりするような話なんですが、そんなもんなんですか?
(小出氏)私のところにも、もちろん大量の電気を流すような施設がありますし、そういうところは・・・設置している、まぁ漏電しているかどうかということがですね、かなり重要なことになりまして、定期的に毎日のように漏電が有るか無いかということを調べているのですが、私のところでも時に漏電に近い状態にだんだん近づいているというようなことを見つけて、原因を調べてそれを取り除くというようなことをやりますので、特に原子力発電所というような大量の電気を送ったり、或いは受けたりするという、そういうところでは、時にやはり起こりうるだろうと思います。
(水野氏)はぁ。それで「およそ1時間鳴ってた」っていうんですよ、警報が。
(小出氏)警報というのはですね、一度鳴ってしまった場合には、原因が判るまで止めてはいけないのです。
(水野氏)そりゃそうですよ。
(小出氏)はい。鳴り続けてるのは嫌なんですけど、でも原因が突き止められるまでは警報は消してはいけないということになっていますので、原因を突き止める、「結露だろう」という判断までに時間がかかったということだと思います。
(水野氏)ただですね、大飯原発につながる送電線の監視システムでは、6月23日から、それも深夜から24日の朝にかけて、警報が鳴ったのは26回!
 ね?一晩で26回っていうんですけど、こんなにしょっちゅう警報が鳴るっていうのが原発なんですか?
(小出氏)多分それは原発とは関係なくて、送電線の異常をチェックするための確か無線の信号にトラブルがあったと私は聞きましたけれども・・・
(水野氏)そうですね。監視システムの中心回路の電波が大気の状態で乱れたということですね。
(小出氏)・・・今どきになってそんなことがそんなに度々起こるのかな?と。私は電気の専門家ではありませんので正確には判りませんけど、ちょっと意外な気がしました。
(水野氏)はぁ・・・。近藤さん?前回19日に警報機が鳴った時に、公表が半日遅れて問題になったので、これからは速やかに公表すると言ってましたよね?
 だけど保安院は、
「こんなふうにもうしょっちゅう鳴るような類の警報については、もう即座に公表しない方針だ」
って言いだしてるんだそうですよ。
(近藤氏)うーん。それもおかしな話だよね。それは1回鳴る度に言うてもらう必要はないかもわからんけど、5回鳴ったくらいの時に言ってもらうとかね<苦笑>
(水野氏)それ、私たちには事の重大さが判りませんやん!?どれは重大でどれは大丈夫なのか?って。
(近藤氏)勝手にやっぱり保安院の感覚で判断されると困るんじゃないですか?
(水野氏)それを今までの判断を間違いに間違ってる保安院が判断するんですよ?
(近藤氏)そうだね。
(水野氏)小出さん、どう思われます?
(小出氏)今水野さんがおっしゃるとおりです。これまでずーっと判断を間違えてきた保安院なわけですから、その保安院がまた重要かどうかを判断するというようなことは、私は認めてはいけないと思います。
(水野氏)そうですよね。判断基準を保安院が決めてるんですからね。その人たちを信用で来てるのかってところですよね。
(小出氏)はい。まずはこれまで誤ってきた責任を明らかにしてからにしてほしいと思います。
(水野氏)ただ、こうしたしょっちゅう警報が鳴るというのは、
『特別な監視体制をしいている。副大臣も行っている。』
っていう大飯原発でもこれだけあるっていうのは、これは大飯原発の今の状態に限るものなんですか?それとも・・・?
(小出氏)送電線の信号なんていうのは、もちろん大飯に限らないと思いますので、ほかの、本当にきちっと調べていけばきっと他の原発でも起きているということだと思います。
(水野氏)はぁ・・・。それでも何の問題もないと私たち思っていて大丈夫なんですか?
(小出氏)もちろん大丈夫ではありません。事故というのは小さなトラブルが集まった時に中くらいの事故が起きる。中くらいの事故がいくつか起きているうちに、また大事故が起きるということになりますので、小さな故障でもしっかりと監視をして、次の故障が起きないようにという手を打たなければいけません。
(近藤氏)それとあれだよね、先生。その警報慣れっていうのはあるよね?
(小出氏)はい。そうですね。
(水野氏)「本当に重大なことがまた隠されはしないか」というところ、非常に危惧されますね。
 どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】
大飯原発で警報鳴る 高圧送電線の開閉所で漏電か
朝日新聞 2012年6月27日11時48分
 経済産業省原子力安全・保安院は27日、再稼働の準備が進む関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)で同日未明、高圧送電線の開閉所で電流が地面に漏れる地絡(ちらく)が起き、警報が鳴ったと発表した。約1時間後に回復した。原子炉の安全性や再稼働の準備作業に影響はないという。
 保安院や関電によると、警報は同日午前4時17分ごろに鳴り、同5時26分に止まった。開閉所は3号機の原子炉建屋から約300メートル南東にあり、発電所と高圧送電線をつなぐスイッチの役割を果たす施設。直流電源2系統のうち1系統で地絡が起きた。ケーブル端子など金属部分が結露し、地面に漏電した可能性があるという。
http://www.asahi.com/national/update/0627/OSK201206270044.html


大飯原発:送電線の警報が26回作動…異常なし
毎日新聞 2012年06月24日 22時35分
 関西電力は24日、再稼働準備中の大飯原発(福井県おおい町)につながる50万ボルト送電線の監視システムで、23日深夜から24日朝にかけて警報が断続的に計26回作動したと発表した。送電線に異常はなく、監視システムの通信回路の電波(マイクロ波)が大気の状態で乱れる「フェージング現象」が原因という。通電や3、4号機の再稼働準備に影響はなかった
 監視システムは、送電線両端の発電・送電施設に設置。短絡や断線を検知すると、影響を最小限にとどめるため送電線の通電を断つ仕組みになっている。関電によると、24日午前中までに同社管内で計58回、同様に警報が作動した。【松野和生】
http://mainichi.jp/select/news/20120625k0000m040107000c.html