※この記事は、6月21日【内容起こし】木村真三氏:「原発事故、住民は守られたのか、住民は守られるのか。-避難と帰還、安全確保を考える-」【その①】@エネシフジャパンの続きです。

・福島事故での汚染拡散の様子

 続いて、これは本題に入って、今日のテーマに関わる話なんで、急きょこれをいろいろ付け加えました。昨年3月15日北西方向の風が吹いた。それまでは陸から海の方向に向かって風が吹いてたんですが、この風によって放射能雲が実際飯舘村を遅い、その先の福島市を襲った。さらに郡山市のほうにも行ってしまったというシミュレーションの放射能雲の図です。

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 この時、これは飯舘村や福島市を襲ったこの放射能雲は、実は有毒なんです。大体16時とか18時、そのくらいの時間帯が非常に濃い放射能雲が通過していたんです。でも、「じゃあ朝はどうだったの?」っていうと、実はですね、これは朝日新聞から抜粋してとってきたものなんですが、これは東京を襲った時の風を出してるので、二つの方向で大量放出がありましたというふうに出ています。そのうち3月14日の深夜から15日未明にかけてという風というのは、何と下の方向に向かって沿岸部を通って、実は東京の方に行っていたということです。これを見た時に、このいわき市には皆さん、新聞見てください。今日の新聞で0.10マイクロシーベルト/時というふうにいわき市はなっています。でも、この時ものすごい放射能雲が通過していきました。
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・昨年3月末に行われた保安院の子どもの甲状腺被曝検査(35mSvの意味)
 このいわき市で、実は表沙汰にされてませんが、昨年の3月23日から30日まで、原子力保安院が子供たち約1200名に対して甲状腺の被曝の検査をしました。その結果、一番高かったお子様が35ミリシーベルトだというふうに放影研では試算して出しています
 この35ミリシーベルト
 この部分出たのは、なんと飯舘や山木屋地区、川端町ではありません。
 一番高かったのは、実はいわき市なんです。いわき市の子供で35ミリシーベルト出たということです。でもあれも計算が間違いです。試算が間違いです。というのは、あれは
『爆発した3月12日から3月30日にかけて、ずーっと食事から汚染された食事を食べ続けたから内部被曝がこうなりました』
という計算
なんです。でも私が3000人以上を今二本松市でアドバイザーをしながらWBCで測ってます。この3000名を超える被災者の方々のデータからいうと、この事故直後は・・・吸入摂取、大量被ばくです。呼吸から入ってます。
 この呼吸から入ってるということを考えて計算すると、そのお子様は・・・80ミリシーベルトくらいになります。
 ということで、計算の違いで2倍以上になるんだということも、???願えればと思います。
 だから、その条件をきちんと設定してるということを出してるから、多分公表データでちゃんと出してます。僕も見ました。でも、それに対してなんら説明も入ってない。本来はその説明をせねばならないんですよ。


・内部被曝の認識のずれ


 僕は、多くの方々の内部被曝を見ていますが、この中で今現在は食品からです。食品から内部被曝は起きています。「食品中にはほとんど含まれてない」と言いますが、これは全品検査をしてるわけではないですし、自分のところで自給自足っていう畑で採れたもの。これがまたじっちゃやばっちゃ(じっちやばっぱ=お爺さん、お婆さん)が作ったものを「食え」というふうに出すわけです。
「俺たちゃ死なねぇんだから、子供に食わせてもいいんだ」
って、これ「違う」と僕ら言うんだけれども、判らないわけです。じっちゃやばっちゃは自分たちが作ったものが一番安全だと譲らないわけです。それは農薬に対しては安全です。でも、放射能にとっては安全ではないということは、じっちゃやばっちゃは判ってないんですよね。確かにじっちゃやばっちゃは食べていいんですよ。だって、その障害が出る前にじっちゃやばっちゃは天国に行きますから。それはいいんだけども、
「小さなお子様たちに対しては、それは大変なことだから」
っていうことで、我々のほうで基本的な教育レベルから変えていかなきゃいけないということです。
 ちなみに、そのじっちゃやばっちゃの話をしたのは何でかというと、福島っていうのは最高にいいとこなんです。何が最高かといいますと、福島は3世代家族。じっちゃやばっちゃ、お父さんとお母さん、子供たち。この3世代家族が日本で一番多い地域なんですね。これって今一番、ほら、労働教育にしても何にしても、労働管理にしても、一番大切なことじゃないですか。じっちゃやばっちゃのおかげで労働教育を学ぶという部分があるにも関わらず、これは今度の原発事故で(家族が)分散してるわけです。核家族化が進んでるという。これは社会的な現象になってくると思います。
 こういうことも実際に僕はずっと福島に住んでます。住んでるのも自分の家を置きません。住所不定、有職にしました。住所不定というのは、各地域全部ホームステイで住んでます。福島に行ったらホームステイします。ホームステイしていろんな方々から全部お話するし、
「今日は先生来るから、川内村から先生のお話聞きに行きたいんだけども、大丈夫っぺか?」
とか言われて、
「いいべ」
って言って、それで飯食いながら話をすると。こういうようなことを繰り返しながら、いろんなお話を聞いてくる。この中で集約していくというのが一番大切なことなんです。

・昨年3月15日の台東区での測定と日本各地への放射能雲の広がり
 そろそろ時間が迫ってきました。大丈夫ですか?
 ちなみに、これ、僕は東京都で、これはその時の再現シーンですけど、NHKでやったやつなんですが、ハイボリュームエアサプラーといって、掃除機のようなもので、掃除機の大きなものに、表面にフィルタをつけて、そのフィルタの大気中の塵をあつめて、その塵にくっついた放射能を分析するということで、ハイボリュームエアサプラーというものなんですが、これを使ったのが3月15日です。
 3月15日の11時から12時の間。実は一番東京都に多くの放射能雲が通過していったときに、偶然にも測りました。その時の分析は、京大原子炉実験所の小出さんに分析してもらいました。

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 これがそれぞれの放射性物質を表してるんですが、セシウム137はちょっと切れちゃってこの一番高いところ、このところに137があるんですが、様々な放射性物質が飛んできています。でも、この後、岡野先生にこのデータを見ていただいたんですが、元理化学研究所の岡野眞治先生いわく、
「これはテルル132というものの放射線を出すエネルギーが、実はものすごく高かった。だから、ほとんどのものはこのテルル132が原因で多くの線が出てるんだ」
という解説をいただきましたが、小出先生が分析されたのは手計算で全部やっているので、これは多分間違いないというふうに私は思っています。
 それで私の家が台東区にありますので、その台東区でとったとき、成人の呼吸量、これが???のようにこの放射能が24時間ずっと吹き続いたとして仮定して計算したときに、1日あたりの被曝線量というのは、甲状腺で約1.3ミリシーベルトになるというふうに言われております。

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 このような結果からも、放射能雲というのは、実は福島のみならずこの東京都にも来てる。これは皆さんさっきも言ったように、葛飾区の方で非常に高い線量が見られたというような話からもお判りになるかと思います。
 でも、これはこれだけじゃないんです。実際にこれを伸ばしていきますと、実は長崎市でもこの放射能雲は4月6日から13日に高濃度の放射能雲として検出されてます。これを多くの人、皆、特に西日本の人は他人事に考えてるわけです。
「いやー、原発大変だね」
と。
「大変じゃねぇよ。あんたのとこにも降ってるよ。」
というのが僕のいつも話してた内容なんですが、これは私の親友である長崎大学の高辻俊宏先生が分析されたものなんですが、

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この4月6日から13日の一週間に降り積もった塵、さっきのハイボリュームエアサプラーで集めた塵なんですが、塵なんで㎏なんてありえません。でも㎏あたりに換算し直すと、なんとこのセシウム134・137の合算値は『飯舘村の蕨平の表層0~5㎝の土壌に相当する、匹敵する』くらいの高濃度の放射能雲が、実は長崎市を通過していっております。(セシウム134=11.3kBq/kg セシウム137=12.4kBq/kg)

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 この蕨平というのは、僕は3月28日にこの地域を見つけまして、この地域で調べた時に40マイクロシーベルト/時くらいの放射能がありましたので、非常に高いところです。そこと同じレベルのものが長崎市に到達している。
17 これちょっと小さいんですいませんが、後ろの方申し訳ございません。日本地図があって、これはアメリカの海洋研究所から持ってきたものなんですが、この海洋研究所の雲の流れというのをその日に合わせて計算すると、放射能のが流れが見えてきますので、その結果、福島第一原発を起点としたものは一回太平洋に出ているわけです。一回太平洋に出たものが、太平洋高気圧に押されてぐるっと回ってきて、ピンポイントで長崎市の方に行ってるんだと。大気の流れというのは、たばこの煙と違います。たばこの煙は拡散しますよね?でも放射能雲っていうのは一つの塊となって動くんです。だから、この固まりとなった放射能雲が、ゆっくりゆっくりとではありますが流れて長崎まで行ってる。
 逆に、これちょっと小さくて申し訳ございませんが、こっち側。反対方向にも言ってるわけです。北海道にも行ってます。今年の2月、2日、3日と北海道教育大学の釧路校というところで、放射線教育ということで依頼されて、2日間市民と学生と対象に実習を行ってきましたが、最後の時間に生徒に文科省なんかが使ってる線量計を持たせて、
「じゃあ釧路市で線量の高いところがあるかもしれません。調べてください」
と調べるわけですよ。やっぱ出るんです。
「先生、やっぱりありました。」
っていう訳です。
 ということは、結局、長崎市でも見られたような汚染というのは、真反対側の釧路市でもあるわけです。
 このように放射能雲というのは、広く薄くではありますが、全国の土地を汚染してしまったということです。
 だから、
「五山の送り火で震災地域の陸前高田市のものを焚かない。焚いたら琵琶湖が汚染される。」
「その前に琵琶湖はもう汚染されてます。」
というのが僕の結論です。
 こういうようなことが実際にある。こういうことも、実際に公表しなければならない。これがマスコミに対しても言っていかないといけない部分ではあると思います。
 なぜならば、この地域限定にしてしまう、福島だけの話にしてしまう、これは全く持って間違いです。「一行政機関のこの県境で放射能が消えるか?」ってこれは止まりません。これは絶対に広がってます。隣の那須塩原市に今月も行かないといけないんですが、那須塩原市の方でも比較的高い線量が見受けられます。これは栃木県のほうですかね。いろんな地域で高いところが出てくるわけです。
 これは、東日本だけの話にしてしまうのもおかしいし、日本全体がこういうふうな状況になったんだということを考えていかねばならない。僕がよく言ってるのは、『事故後の世の中』。事故前は本当に1ミリシーベルト守らないといけないと思います。でも、事故が一回起きてしまって、この現状をどうしようもない。この状況の中に陥っては、そのどうしようもない状況の中で、最善のレベルっていうのを考えて見つけていかねばならないというのが私の考えです。


・ネットワークで作る放射能汚染地図の様子(赤宇木の方々の様子)

 ちなみに、避難の話なんですが、一応5000㎞走った僕の放射能汚染地図なんですが、この5000㎞の放射能汚染地図の中で、これ、3月16日に原発から2.4㎞のところで120マイクロシーベルト/時くらいでしたが、ちょうど??橋が分断されてしまって、先に行けないということで、これ以上調査ができないっていうか、裏道があったんで「あ、行けるって!」と指を差そうとしたら、ディレクターが鬼のような形相で僕を睨んできて、「これは行けない」と。僕は原発のところまで行こうと思ってました。

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行こうと思ってたんですが、さすがにテレビクルーを連れてはいけないなということで、諦めて帰ってきた時なんですが、これの時にもこれは随分後なんですが、26日くらいから実はこの汚染地図を作り始めたので、それは岡野眞治先生が作られた世界に1台しかないリアルタイムで放射能が測れるもの、スペクトルデータが見られるというようなものを使って汚染地図を作っていたわけです。

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その中で3月26日、僕が汚染地図を作ってる最中にNHKのディレクターさんが偶然この赤宇木を発見したのです。

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 この赤宇木の話を聞いて、「これはダメだ」ということで、汚染地図作りをやめて、翌日僕はこの人たちに避難をするということでこの日直接乗り込んだ。これ直接のリアルタイムで、撮ったシーンです。これ一発勝負で申し合わせも何もなくて突然入って、後ろにディレクターさんが小さなハンディカムを回してるという状況だったんですが。

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この方々は初対面です。それでこの方々に対して、
「今非常に高い。赤宇木でさっきいた皆さんが駐車場にしていたグランドは、80マイクロシーベルト/時。この部屋の中でも実は30マイクロシーベルト/時近くある。こんなところに住んではいけない。とにかく早く避難してください。」
というような話をして、避難をしていただいたということなんですが、この方々も今ネット上では亡くなってることになってます。この人たちがもう既に3人は亡くなってるというのがまことしやかに出てるわけですよ。こういうふうな流布するような風評被害、これ、たくさんあるわけです。この風評被害に対しても、なんとか正しい情報を出さなきゃいけないというのも、また僕らの仕事なのかもしれません。
 亡くなったと言われてる方々、おかしいね~。僕、今年の4月5日にこの方々、実は「浪江町にはまだWBC、内部被曝検査やってないんです。」というのを聞いてびっくりして、
「4月5日に僕の部屋の測定室に来てください。測りましょう。」
と皆測ったんです。測ってるんで、死んでいませんし、
「私が死んだことになってますが?私は生きてんだけども?」
とこのおばちゃんに言われたんですよ。これ、吉田さんっていうおばちゃんなんですが、吉田さんの奥さんに言われたの、今でも覚えてるんです。
「大丈夫です。僕が見てますから。」
っていって。この時に調べた結果、もうだいぶ減衰してます、
やっぱり。事故があって1年以上経った中でもやっぱ放射能は検出されます。それで一番高い中で、21ミリシーベルト。意外に少ないんです。100ミリシーベルトを超えるかなと思ったんですが、21ミリシーベルトしかなかったです。
 これ、今まで言ってた半減期100日というのはどうも違うということに、もう一つ気づきました。ようは、この吉田さんのおばさん、一緒に全部共同生活してるのにもかかわらず、このおばさんは検出下限値以下です。で、横のご主人が
「おめぇなんで俺が出てるよりもおめぇ出てねぇんだ?」
って夫婦げんかになって
「まぁまぁ・・・」
と言って。その原因をお聞きしたんです。いつも問診するんですが、その結果、実は奥さんはね、
「奥さん、バナナとかそういうのお好きですか?」
「私、大好きで。毎日毎日食べるんです。1本以上食べるんです」
って。
「あぁ~。判りました。」
 バナナっていうのはカリウム非常に多いんです。だから、このカリウムを摂取することによって、身体の中のセシウムに置換されるわけです。『ちかん』っていっても痴漢行為の痴漢じゃないですよ?入れ替わるわけですよ。こんなくだらないギャグで申し訳ございません。<笑>
<会場ざわざわ【苦笑】>
 あの~、入れ替わるわけです。入れ替わった結果ですが、セシウムが抜けちゃうんです。でも、吉田さんのご主人に、
「安心してください。奥様は皆さんの倍以上カリウム濃度があります。ということは、放射性カリウムの濃度は皆さんの倍以上ありますので、被曝の量は同じです。ご安心ください。」
って言ったら、????
「バナナも気を付けて食べましょう」
っていう話をしたわけなんですが、実はカリウムが多く含まれてるバナナというのは、皆さんはマラソンの中継を見られたことはあると思いますが、このマラソンね、皆さんは知ってる人たちはバナナの補給をしてますよね。とか、あとこむら返りになって棄権する選手見たことありますよね。あれっていうのは、実は汗とともにカリウムが放出されるんです。そのカリウムとナトリウムのこのイオンバランスで筋肉を動かされてるんです。このカリウム濃度が低下することによって起こるのがこむら返り。だから60歳を過ぎると、高齢化社会を迎えると辛いんですね。寝てると急にこむら返りが起こるときあるでしょ。そのこむら返りはカリウムバランスが落ちてる。その時はバナナを食べれば大丈夫です。
 だから逆に言えば、この「カリウムを多く取り入れることでセシウムが抜けるんだ」ということも判ってきました。だから、本当に今内部被曝調査をしても、本当に当時の被曝が判らないから、食生活によって随分違ってくると。特に福島県、僕ずっとホームステイしながら判ったんですが、非常にからい、しょっぱいです。塩分濃度が多く含むんです。だから「意外に早めに抜けてる可能性はあるのかもしれない。」というような食品中の塩分濃度調査も必要になってくるのかもしれないというようなことを感じました。


・棄民状態のチェルノブイリ・ナロジチ地区と志田名地区
 ということで、こういう雑談を含めながらの話なんですが、実際、先ほど僕が言ったチェルノブイリのナロジチのもの、棄民状態が26年続いてる地域と全く同じ状況が、実はいわきの志田名地区というところで起きているんです

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 これはいろんなところで話をしてるんですが、いわきの志田名地区は、いわきが昨年4月21日に安全宣言を出したがために、避難準備区域・・・これ30㎞圏なんですよ?30㎞圏で27㎞から30㎞ぎりぎりのところまでの地域なんですが、この地域、僕らの放射能汚染地図の放送があった翌日、朝6時に起こされてそのまま僕一人で行ったんですけど、測定器1台持ってずーっと走って、2日間かけて約500㎞。もう汚染地図を作ったんですが、その時に志田名地区を再発見しました。一番高いところで10マイクロ超えてるとこが志田名地区にあるわけです。昨年の11月30日に市の放射能アドバイザーと一緒に入って調べた結果では、普通の民家の庭先、雨樋とかそういうとこじゃありません。そこの空間線量率で13マイクロシーベルト/時ありました。一番高い。そういう地域なんですが、これ、全く補償を受けないままに棄民状態で暮らされてる地域というので、この志田名地区があるわけです。
 この日、3月15日、午後12時。ちょうど正午の風向きなんですが、これは原発から吹く風というのがちょうど下からなんですね。この風によって志田名地区というのが汚染されてます。

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 この地域の人たちは、最初はもうほとんど投げやりです。
「俺たち、何を言ってもよ~。テレビで言ったって、朝ズバでみのもんたさんに言ったけど、何もしてくんねぇ。口だけだ」
って。
「いろんなとこに言ったけど、なんも相手にしてくれねぇ」
って。自暴自棄でした。そこで、
「いや、大丈夫です。やりましょう」
と。自分たちが自分たちだけで解決しなきゃならん。指をくわえて・・・僕ははっきりチェルノブイリでも同じことを言ってるんですが、
「自分たちの状況に怯えるだけじゃなくて、自分たちが自分たちの主義主張をきちんと言うためには、データ・結果を出さなきゃいけない。その結果を出すために何をすべきかというと、まずは汚染地図作りをしましょう」
ということで、作ったのがこれ。50mメッシュサイズの汚染地図です。

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 これは、この方々が、
「俺たちは百姓だ。百姓だったら、田んぼや畑に命を与えられてる。だから田んぼ一枚、畑一枚、全部測りてぇんだ」
っていって、658か所の田畑測って、民家の40か所、さらにそのほか15か所測ってるので、713地点を測定して、それの高さ1mと10㎝、民家は家の庭先と家の中。家の中は福島は仏間があります。その仏間の真ん中にあるんです。だから仏間を測ればいい。仏間やって2階があるなら2階の真ん中を測る。ということでやった数というのは、3倍、4倍にもなりますが、非常に多くの測定地点をとった結果、こういうふうな汚染地図ができてるんです。この地図を見た時にね、これを持って行政に訴えかけましたが、それでも動かない。それで結局、11月18日に文部科学大臣の森ゆう子さんに来ていただいて、視察していただいたけども、この時に県も市も、誰一人随行者ゼロです。有り得ないでしょ?
 ちょうどその時に原発に細野さんが来ました。「その対応に追われてましたので」っていうけれども、「じゃあ150人、140人しか住んでないこの地域は、対象外なのか?」ということですよね。人の命っていうのは、重さは変わらないわけですよ。なのにね?大臣が何人も来たからって、そっちに顔出して、・・・何もやってないのに、実際にこの実態というものを掴んでない。そういうことが起きてるんですよね。
 だから、本当に見ていかないといけないのは、福島県内でもこういうところは点在してるんだということです。

 こういう点在してることも含めて、あとは日本全体的にこの福島の話にとどまらず、全体を見渡していかねばならないということが必要になってくるんじゃないかと思います。だからこそ、実際、政治家にしても行政にしても、科学者にしても、「基本は誰にあるのか?」っていうのを求めていきたいわけです。
 ここにあるのは、もちろん、『国民』ですよ。『国民』を中心に考えていかないと、結局は成り立たないわけでしょ?まぁね、政局が変わって、今度総選挙があるかもしれないと躍起になる先生がいらっしゃるかと思えば、ここに出てきた人たちは、やっぱり真っ当に考えてる先生だと思いますよ。
 だから、そういうのも明らかに考えていかないといけないということです。


・瓦礫受け入れについて(新潟県三条市のアドバイザーの経緯)
 あとはいっぱいあるんですが、あと一つ瓦礫について。
 これ最後に瓦礫について言わせてください。
 これ、今新潟の三条市で僕、テクニカルアドバイザーになっています。三条市のテクニカルアドバイザーは、まず、相談を受けたのは実は震災瓦礫を受け入れると同意した後だったんです。僕知らずに行って、「意見を聞きたい」と言われたので、もし瓦礫を受け入れるのであればという前提のもとで話をしたんですね。
「受け入れるんであれば、これは今までの公害問題と一緒で、汚染の拡大をさせてはならない。飲み水や土壌を汚染させてはならない。それをきちんとすれば、受け入れは可能でしょうね。しかもそれは線量が非常に低い、放射能濃度が非常に低いものですよ。」
というような話をしました。
「まぁ、結果はきちんとは判らないんで、国に対してきちんと実証実験をさせた上で受け入れたほうがいいんじゃないでしょうか。まだ時期尚早ですよ」
と新潟三条市の市長には言ったんですが、
「すいません、先生。実はもう受け入れ表明してしまいました。」
「やっちゃったのね・・・。」
というところで仕方ないので、
「じゃあこれは拡大しないように」
という方法で話を進めていて、今瓦礫処理の問題をやってるんですが、もう・・・市を二分するというのか判らないけれども、大騒ぎです。新潟県全体も大騒ぎです。
 今、ウクライナに行ってる間にメールが来まして、
「兵庫県でも受け入れの話、100ベクレル/㎏以下であるものを受け入れようという話があるし、大阪府は2000ベクレル/㎏以下であれば受け入れるというふうに言ってるんですが、この辺はどうなんでしょうか?」
というような話が出てきました。というのであれば、ついでにここを教えておこうと思いまして。

 まず、そもそも論がおかしいんだということに原理で考えてください。
 これは、文部科学省のもってる放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律というものです。この法律の中で、
『第一条 放射性同位元素等により放射線障害の防止に関する法律として、第二条第二項の放射性同位元素は・・・』
というふうにこの文言は書いてますよね。

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この第二条第二項というのは、これは法律施行令なんですが、
『この法律において「放射性同位元素」とは、リン32、コバルト60等放射線を放出する同位元素及びその化合物並びにこれらの含有物』
 ゴミも一緒ですよね?入ってるわけです。
『(危機に装備されてるこれらのものを含む)で政令で定めるものを言う』
というふうに言われてます。

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 で、もう少し、じゃあ第二条第二項というのはどういうものかというと、この青で書かれてるところ。
『放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令、第一条に規定する放射線を放出する同位元素の数量』
 『数量』と書いてあります。『濃度』、濃度というのは㎏あたりのベクレル数です。『数量』・・・。それで
『(以下「下限数量」という)及び濃度は、その各号に掲げる区分に応じ、該当各号に定める数量及び濃度とする。』
というふうになってます。

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 ちょっと判らないので、もう少し説明しますと・・・。
 こういう別表1というのがあります。この別表1で放射線を出すもの、これを数量と濃度で出してるわけですね。数量はこういうふうに出てます。

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この割合というものをそれぞれ2種類以上に対しては、その2種類に対してその濃度の割合の和が1である。また、濃度の割合が数量の和が1の時、且つ濃度の和が1を超える場合、これを放射性物質とみなすというふうになっておりますが、なんとこれの法律上の放射性物質とみなすというところ、これをうまく数量の和というのを1に満たさないようにしてるのが8000ベクレル以下という話なんです。だからこれは、必要十分条件。「数量の割合の和が1を超えるというものと、濃度の割合の和が1を超える。この両方を満たさないと、放射性物質にならない。」必要十分条件なんです。この必要十分条件を満たさないと放射性物質にはならないというのが法の抜け目なんです。これによって、今の震災瓦礫の受け入れ問題というのが発生しているんだと。
 これは、でも例えば1万ベクレルでも10万ベクレルでも、水で溶けてるものであったら相当の水を大量に入れて薄めてドンドン放出していったら、放射性物質にみなされないんです。こういう解釈なんです。
 だったら、それは詭弁ですよね。
 これは大量薄めてもそれは濃縮する可能性があるか・ないかで話が決まってくるんですが、濃縮するかどうかというのは、する可能性が高いんですね。なぜならば、生体濃縮というのが起こります。この生体濃縮というものの一例をちょっとお見せします。

・いわき市久ノ浜での海洋汚染の様子(生体濃縮)
 これは私が昨年、8月末くらいから、いわき市の30㎞圏にある、ちょうど30㎞圏をちょっと出たところなんですが、久ノ浜というところにあるんですが、この久ノ浜の海に入って、そこの海水を採ったり、ウニ・アワビをとったり、それはもちろん漁師さんに取ってもらうんですよ?獲ってもらって、さらにそのウニ・アワビが食べるアラメという海藻を獲って、全部分析しました。
 その分析結果、海水中にはこの青いのがセシウム134、赤いのが137です。これは数十ベクレルくらいは当時はまだありました。この数十ベクレルくらいある海水の中で、今度はアラメというのが濃縮すると、数百ベクレルに上がるわけです。この数百ベクレルのこのアラメを食べるウニやアワビというのが1000ベクレルを越えるレベルの放射能になってる。

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これが生体濃縮というものですね。明らかに生体濃縮が起きてる実態なんですが、このように実際そういう生体濃縮が起きる場合については、これを考えていかねばならないということで、ある基準を設けなければいけない。その基準値はどこなのか?というのは、これは実証実験をもってやるしかないんです。

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 瓦礫の問題というものも、基本的には、これ私事の仮設ですよ。これ、原子力村というところの分断政策です。反原発・脱原発、そういう考え方を持った人たちが、ようやく一つにまとまって一つの民意として動こうとして数万人規模のデモを行ったりする。ここに、「1ベクレルも許さない」という人と、「いやいや、これ事故後だから仕方ないよ」という人たち、この考え方で二つに分けてしまう。これ、あっさり分断政策なんです。
 この分断政策を、皆さん感じてください。この分断政策があるから、もう瓦礫問題も大騒ぎするわけなんです。

 このように、基準を決めるためには、僕は測る。燃焼実験をせねばならぬというのが僕の考えです。燃焼実験をして、そこで出るか出ないか、バグフィルタが99.99%のセシウムを抑えるという、それが本当かどうか、今度59m、三条市の煙突に上って僕が測ります。そこまできちんとやるわけですよ。実証実験というのはそういうものなんです。だんだん灰がどのくらいになるか、もちろん今の瓦礫のベクレル数、これは受け入れが大槌町です。岩手県の大槌町というのは、町長さんがお亡くなりになられたあの大槌町なんですが、環境省はND、としてますが、今ゲルマニウム半導体検出器で???で調べてるんですが、どれも10ベクレル以下ですが出てます。この違いが明らかにこのNDか出てるか。これはもちろん報告はしていかなきゃいけないし、こういうことをやりながら燃焼実験をやりますよと。やらないと結局ダメだと。しかも、それに対しての基準を設けるための指針くらいは考えられるでしょ?と。いくらまでなら許せるかというのを決めてしまえば話は進んでいくんじゃないかと思います。
 でも、新潟県も「100ベクレル以上、低濃度廃棄物以外は新潟県は別の県に出してます」というのを私は念書を読んでます。ということは、震災の瓦礫は持ち込まないと言っているにも関わらず、自分たちが汚染されたところに自分たちも汚染されてますから、その汚染された焼却灰は自分のところには置かずに、他県に持っていく。これっておかしいでしょ?
 そもそもの間違いは、みんなやり方おかしいんです。そもそも論で考えてやっていくって、原点に立ってやらないといけないものを、「自分のとこだけ持ち込まなかったらいいんだ」って、「それが身勝手なんだ」と、そういういい加減なことやって意味が無いです。
 だから、こういう瓦礫問題についても、もっと本質をついたことを考えていかねばならぬというのが私のお話です。
 ということで、今日はだいぶ時間が過ぎてしまいましたが、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
<01:14:00頃まで>

【その③】へ続きます。
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