※この記事は、5月9日【内容起こし】小出裕章氏:アメリカ訪問のお話、大阪府・市の舞洲焼却灰埋め立てについて「どんな形でも焼却灰を引き受けてはいけません」@たね蒔きジャーナルに関連しています。

620120620 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)東京には近藤さんです。
 まずですね、ニュースでお伝えいたしました、この大飯の3号機、警報が鳴ったという話なんですが、これについて小出さんはどんな感想をお持ちでしょう?
(小出氏)はい。まだよく私自身、どういう経過で警報がなったというのを得心できるほどに理解していないのですが・・・
(水野氏)はい。情報がそこまでありませんよね。
(小出氏)はい。小さなトラブルというのは日常的にあちこちで起きるわけで、警報が鳴るというようなことは、多分よくあることだと思います。問題は、それが本当に重要なことで鳴ったのか、或いはそうではない、単なる誤動作であったとかですね、比較的軽微と判断できるようなものであったかと、それをもう少し私は知りたいと思います。
(水野氏)これ、発電機の冷却水の水のレベルが低下をしたということを示す警報機が一時的に作動したという話なんですよね。この発電機の冷却タンクというのは、原子炉を冷やす水とはまた違うんですか?
(小出氏)はい。全く違います。
(水野氏)ほう・・・。それがもし、発電機の冷却タンクンの水が減っていたとしたらどうなるんですか?
(小出氏)多分発電機が動かなくなりますので、自動的にインターロックというのがかかっているはずだと思いますし、原子炉を停止させることになると思います。
(水野氏)あ、そんなに重大なことなんですか?発電機の冷却は?
(小出氏)はい。発電機の冷却器が動かなければ、もちろん原子炉は停止しなければいけません。ですから発電機を停止しなければいけないほどに、その冷却水が減ってしまうとか冷却に支障を及ぼすかと、その辺の判断が分かれ道になると思います。
(水野氏)今入ってきている情報では、作業員が目でみて点検したら、水位が基準に比べておよそ5㎝低かったというんですね。この警報機が鳴る設定はですね、基準よりも10㎝低ければ警報機が鳴る設定になっていた。10㎝と5㎝の違いが私には全くわからないわけですけれども、これは10㎝の水のラインが低下するということで警報機がもしなっているということであればですね、それはやはり問題なことなんですね?
(小出氏)もちろんですね。警報というのは正常な動作ができなくなるからこそ警報が鳴るわけですから、本当に10㎝減ってしまって警報が出るべくして出たのだとすれば、なんでそれが減ってしまったのかという原因をきちっと突き止めなければいけません。
(水野氏)今のところ作業員が目で見ておよそ5㎝低くなっていたという話は、・・・本当にそれ何センチって目で見て判るのかどうか私にはわからないんですが、この辺りのところでどれくらい大丈夫なんだというふうに、全体を見ていいんですか?
(小出氏)すいません。私には今の情報の範囲でいうとよく判りません。
(水野氏)関西電力はね、「タンク内の水の流れで一時的に水面が上下して警報機が作動したんだ」というようなことで・・・
(小出氏)それは有り得ないと思います。
(水野氏)有り得ない?
(小出氏)はい。もしそれだとすれば、これまでにもたびたびそういうことが起きたはずですし、これまでは多分警報がならなかったということだから、そこで警報点を設定したのだと思います。
(水野氏)あ、警報点を10㎝下がるというふうに設定したということは、しょっちゅう鳴ったら困るから、10cmに設定しているであろうと。ということは、他に事実はある可能性が高いと?
(小出氏)はい。私はそう思っていますし、それを知りたいと思います。
(水野氏)例えばどんな可能性があるというふうに思いますか?
(小出氏)タンク自身の水位が本当に減っていて、作業員の方が5㎝と見たのが、実はもう警報点に達していたということもありうると思います。
 それであれば、なぜタンクの水が減ったのかをきちっと調べなければいけません。
(水野氏)そうですね。本当に警報機がどう潰れていたのか、潰れていなかったのかということが判らなければ、ここのところは明らかにならないんですね。
 もしも警報機が鳴るような実態であったとしたならば、これは・・・最終的にはもう原子炉が止まる、そういうことにもなりうる可能性があるんですね?
(小出氏)はい。ただ、発電機の冷却水ですから、そのタンクさえ水を溜められる構造が保てるのであれば、それでいいはずだと私は思いますので、もしどこかに漏れがあるというなら、その漏れをふさぐための工事が必要になると思います。それにどれくらいの日数が掛かるのかで再稼働がそれにつれて遅れるのだと思います。
(水野氏)じゃあ、本来だったら、やっぱり今回のことは全部調べ上げないと次へ進んじゃいけないということですか?
(小出氏)もちろんそうですけれども、すぐに関電は調べるでしょうし、そんなに難しい調査が必要だとは思いません。
(水野氏)あ、そうですか?すぐに発表してもらわないと困りますが。
(小出氏)そうですね。多分明日とか明後日のうちには発表されるはずだと私は期待しています。
(水野氏)その期待どおりに行くかどうかは見ておかなきゃいけないということですね。
(近藤氏)このニュースっていうのは、やっぱり僕はひっかかるのは、要するに再稼働を決めて、その時に総理が「責任を持つ」って言ったんだけども、そういう責任は持ちようがないわけですから、いずれにしても情報の公開を前提として責任というのはあると思うんですが、その情報の公開性においたら、これ「法令に抵触するようなレベルじゃなかった」とか、「深夜に発表する内容ではなかった」とかつべこべ言ってるわけですよ。
 僕は、「法令に抵触するようなトラブルではない」という言い方も、その段階でなんでわかるんだ?と思うし、「深夜に発表する内容」というのは、深夜だから発表せないかんということもあるわけでね。
 要するに情報の公開性ということについて、ものすごい疑問を持ちますね。
(小出氏)はい。関電の自覚が足りないということだと思います。
(近藤氏)うーん。
(水野氏)これは、「安全上問題はない」というふうに関電は言っています。この文言をどういうふうに小出さんは捉えますか?
(小出氏)それは私としては先ほどから申し上げているように、情報が不足しているので、どこまで重要かということが今の時点で判断できませんので、場合によっては関電が言ってるように本当に大したことなかったのかもしれないと思います。
(水野氏)それでは、今度は大阪市の瓦礫処理が正式に決定したということについて伺いたいと思うんです。
 これまで小出さんは、「瓦礫は焼却は致し方ないとしたとしても、焼却した灰を海に埋め立てては絶対にいけない」とおっしゃっていたかと思います。
 しかしながら、今回の大阪市の決定は、結局大阪湾にある夢洲の北港処分場に埋め立て処分するということですね。
 小出さんのおっしゃった案が全く通らなかったということになりますか。
(小出氏)そうですね。放射能を取り扱うときの原則というものを知らないのですね。橋下さんを含めて。
(水野氏)だけど維新の会の方々は、何十人と小出さんのところにいらして、話を聞かれたと聞きましたが?
(小出氏)そうです。一番始めに36人だったでしょうか。府議団の方がいらっしゃいましたし、その後もまた訪ねて来てくれた方もいらした。
(水野氏)何度かいらした人もいるんですね?
(小出氏)そうです。
(水野氏)それで「海に埋め立てちゃいけない」と小出さんはおっしゃったんですよね?
(小出氏)私は「そういうやり方は放射能に向き合う原則を逸脱しているので、やってはいけない。放射能で汚れたものというのは、専用に保管をして隔離できるような保管の仕方をしなければいけない」と何度も言いました。
 残念ながらそうはいかなかったようです。
(水野氏)環境省はですね、安全性についてこう言っています。
『処分地の中の海面や整備していない陸地に埋め立てても安全性は確保できる』
と言っているようです。
(小出氏)ずーっと今回の事故からそうなんですけど、『安全性が確保できる』というような表現がしきりに出てくるわけですけれども、放射能の関する限りは、どんなに微量でも危険なのです。『安全性』というような言葉は本来使うべきではないし、どれだけの危険があるということをむしろ言わなければいけないと思います。
(水野氏)うーん。そのリスクについて、例えばですね、海の産物、魚介や海産物への影響というのは、将来的にどうでしょう?
(小出氏)えー・・・、予測をすることは大変難しいのですが、多分海面に埋め立ててしまうということにすれば、いずれにしても海へ溶けだしてくると思います。ですから、私は海に放射性物質を埋め立てに使うということはやるべきではないと思います。もっと陸でそれなりに環境に漏れないような管理型の処分場というものを作って、そこにまとめて保管すべきだと思います。
(近藤氏)水野さん?これ、地元っていうのは此花区ですか?
(水野氏)そうですね。
(近藤氏)この大抵この瓦礫の問題っていうのは、各所で住民がいろいろ運動を起こしてますけど、橋下さんは市民に説明会を開くようにとか言ってるけど、住民の動きというのは今のところないんですか?
(水野氏)住民のいろいろな反対の声というのはありますけど、橋下さんとしては「此花区民に住民説明会をこれから3回開く。それで理解を求める」とそういう形ですね。
(近藤氏)いろいろすったもんだが起きているという雰囲気じゃないわけですね?
(水野氏)今のところ・・・その大きなすったもんだにはなっていないのではないかと私は思うんですけれども、どれくらい大きな動きにまた皆さんがなるかというのは注目しておかなきゃ、もちろんいけないんでしょうね。
 どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】
大飯3号機、発電機冷却系で警報=作業への影響なし-公表10時間遅れ・関西電
時事通信(2012/06/20-13:09)
 関西電力は20日、再起動に向けて準備中の大飯原発3号機で19日夜、発電機用冷却水をためるタンクの水位低下を示す警報が鳴ったと発表した。同社は、水漏れなどはなく、作業工程への影響もないとした上で、国や地元自治体への通報はすぐに行ったとしているが、公表は10時間以上たった20日朝になってからだった。
 関西電と経済産業省原子力安全・保安院によると、19日午後9時50分ごろ、タンクの水位が基準より10センチ以上低下したとの警報が鳴った。配管にわずかなにじみが見つかったほかに水漏れはなく、タンク内の実際の水位も基準以内だったことから、同社は水面の一時的変動で警報が鳴ったとみて、念のためタンクに水を補給する方針。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201206/2012062000252


大飯原発、冷却水低下と警報作動 再稼働決定後、初トラブル
共同通信(2012年6月20日)
 関西電力と経済産業省原子力安全・保安院は20日、福井県おおい町で記者会見し、再稼働準備中の大飯原発3号機(おおい町、118万キロワット、加圧水型軽水炉)で19日夜、発電機の冷却タンクの水位低下を示す警報器が作動したと発表した。

 外部への水漏れなどはなく、環境への影響はないという。政府が16日に大飯原発3、4号機の再稼働を決定した後、トラブルが明らかになるのは初めて。

 関電と保安院は20日未明、県とおおい町に通報したが、報道機関への一報は午前8時半すぎ。記者会見は発生半日後の午前11時からとなった。

 関電は「本来は公表基準に当たらない軽微な事象なので公表が遅れたとは考えていない」と説明。経産省で会見した担当者は、今後同じ程度のトラブルがあっても即座に公表しない方針を明らかにした。

 保安院の森下泰・地域原子力安全統括管理官は「特別な監視体制の中、国民への理解を得るためには県や町への連絡と同じタイミングで発表すべきだった」と陳謝した。

 警報器は19日午後9時51分に作動。タンク内の水位が基準値より10センチ下がると検知する設定だった。作業員が目視で点検したところ水位は基準値より約5センチ低い状態だった。同55分に警報を解除した。

 関電は「安全上問題はなく、法令上の異常事象ではない」としている。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/06/post-6003.html


震災がれき受け入れ正式決定 ゼオライトを使用 大阪市
朝日新聞関西 2012年6月20日
 大阪市は20日、戦略会議を開き、東日本大震災のがれき受け入れ場所を北港処分地(同市此花区、夢洲(ゆめしま))とし、セシウムを吸着する鉱物ゼオライトを20センチ敷き詰めて埋め立てると正式決定した。11月に試験焼却し、来年2月に本格的に受け入れる。今月下旬以降、橋下徹市長も出席して此花区民説明会を3回開く予定。

 がれきは大阪府が岩手県から船で運び、市の舞洲工場(同区)で焼却。灰を北港処分地に埋める。処理量は今年度は6千トン、来年度は3万トン。市は補正予算案に経費約9500万円を計上する。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201206200056.html

失礼します。
にほんブログ村 環境ブログ 原発・放射能へ
にほんブログ村

人気ブログランキング