※この記事は、
6月6日 保安院:美浜原発2号機40年超10年運転延長認可へ・・・【大飯原発敷地内の断層によって地表がずれる指摘も無視】
6月8日 野田首相:福井知事の要請を受けて「大飯原発は夏場限定ではなく動かす。安全は確保されている」に関連しています。

20120613 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)東京に近藤さんがいらっしゃいます。
 小出さん、再稼働への動きと並行してなんでしょうか。3.11以前の原子力の状況に戻そうという動きがいろいろ目立っているように思います。
 まず福井県にあります美浜原発2号機。これは7月に運転40年を迎えるんですよね?
(小出氏)42年になると思います。
(水野氏)あ、42年になるんですか!はぁ・・・。一応民主党が言ってるのは、原発の寿命原則40年としようと、そういう法案が国会で審議されているのですが、保安院は、10年間延長することを了承したそうです。
 これ、どう受け取ったらいいんですか?
(小出氏)随分長い間、日本というこの国では、国、政治、企業、マスコミ、学者等が一体になって原子力を進めてきました。自民党がずっとやってきたわけですし、民主党に代わっても全く変わらない・・・ように私には見えます。もうこの国は、いわゆる政治の中心に居る人たち、或いは経済を握っている人たちは、原子力から足を洗う気はさらさらないということが・・・少しずつまた判ってきているということだと思います。
(水野氏)今お話に出ました自民党は、この改正案についてなんて言ってるかと言いますと、ここへきて
「『原則40年で廃炉』という案にさえ反対だ」
 という声が出ているんだそうです。
 ・・・改正案でも原則40年だけど例外的に20年延長を認めようというような例外措置もついてるんですよね?60年まで行ける。しかしながら、自民党は原則40年で廃炉というこれも反対だと。
 これはいかがですか?
(小出氏)私から見れば呆れた人たちだというしかありません。
(水野氏)これ、中にね、細田元官房長官がこういうことをおっしゃっていまして、
「部品は定期的に交換されており、40年経ったものを技術的に劣化しているとは断じがたい」
 まぁ、部品を交換してるんだから、40年経っても大丈夫かもしれないということだとおもいます。
(小出氏)そうではないのです。確かにポンプとか弁とか配管とか交換できるところは交換してきたのですが、原子炉圧力容器という容器自身は決して交換できない。
(水野氏)決して交換できない?
(小出氏)はい。それが原子炉の寿命を決めるということで、私たちは寿命は40年、60年ということでやってきたのです。でも、寿命を延ばせば延ばすだけ、原子炉圧力容器という鋼鉄が脆くなっていくということ自身は、もう避けることはできないのです。ですから、なるべく早めにガラスのような状態になる前に、本来であれば止めるべきなのだと私は思います。
(水野氏)しかしながら、延長だというようなね・・・保安院の存在があるわけですが。
 今度、もんじゅについて伺いたいと思います。福井県にあります高速増殖炉、これはもう小出先生がおっしゃってたみたいに、どんなに長い間お金をかけてやってもうまくいかないということが判ったんですよね?だから廃炉にしましょうという方向なんですよね?
(小出氏)いずれにしても長くは動かないのですが、日本というこの国はメンツというものがあるのかもしれませんし、一度でも動かしてしまいますと超優秀な核兵器材料のプルトニウムが手に入りますので、とにかく何としてもやりたいのだと思います。
(水野氏)はぁ・・・。これ廃炉も含めて研究開発を見直すとされているはずなんですが、なんかですね、試験運転できるかもしれない、その日のために備えて日本原子力研究開発機構が契約をプラントメーカーと1億円ほどで結んでいた。試験計画を作成するなどもう契約を結んでいたという話です。
 やる気満々ということじゃないですか?
(小出氏)ということですね。大体そんなことが許されること自身がおかしいと思いますけど。勝手に契約までしてしまうという原子力村というものの体質なのだと思います。
(水野氏)ではもう一つ。SPEEDIについてなんですが、新しいことがわかってきました。 これは、事故すぐ後から小出さんは皆さん住民の避難のために公表するべきだとおっしゃっていたんですが、実際には4月25日まで全容は明らかにされませんでした。文部科学省の言い訳はですね、
「これはあくまで予測だから、現実とは違うんだ。だから当時の状況では公表しなかったのもしょうがないんだ」
ということを言っていたんですが、ここへきまして、事故直後に文部科学省は職員を派遣して福島で放射線量を測定していたんですが、その時どこに行って測定したらいいかということをSPEEDIに基づいて職員に指示を与えていたんだそうです。つまり、SPEEDIには意味があるということを判ってたんですね?
(小出氏)もちろんです。そのために何年かな、もう30年近い歳月をかけて開発してきたわけですし、もちろんあくまでも予測ですけれども、その予測を時々刻々やりながら住民を被曝から守ると、そういうシステムだったのです。SPEEDIの担当者たちは、不眠不休で計算を続けていたはずですし、その結果はもちろん使えるはずの結果だったし、実際に一部は使ったのですね。それでも住民には知らせないで隠したということです。
(水野氏)そんなことがようやく判ってきた今なんですが、近藤さん?もう再稼働へのこの道のりは止められないんですか?
(近藤氏)・・・なんかもう逆戻りし始めたですね。僕この間の大飯再稼働の野田さんの言葉には、もう本当に・・・先生?あの、僕の直感なんですけどね、野田さんはアメリカへ行ってオバマ大統領とそのほかいろいろ話をして帰ってきているわけですよね。ここまで僕、逆戻りするとは思ってなかったんだけど、アメリカ側から見てね?日本のこの原発再稼働っていうのは極めてOKであるという説明っていうのはつきますか?
(小出氏)そうだと思います。要するに日本というのは、米国から手取り足取り教えてきてもらったわけですし、米国が日本に原子力を売り込んで利益を吸い上げてきたという、そういう関係ですので、これからも日本が原子力を進めるということは米国は金儲けができるということですから、やらせたいのだろうと思います。
(近藤氏)僕は、一番いうことを聞くのは民主党政権は自民党よりもアメリカだと思ってるんですけどね。沖縄の対応見た時にもそうなんだけど、なるほど、わかりました。
(水野氏)今のを裏返しに言うと、再稼働は極めてOKというアメリカは、再稼働しなければ極めてNGということですかね?
(小出氏)そうですね。日本で原子力がつぶれるようなことになれば、日本から吸い上げてきた原子力関連の利益というものが失われるということになります。
(近藤氏)つまり80㎞圏内でバタバタアメリカもしてたわけですよね。しかし、そういうことは覚えてるわけだけど、要するに全てアメリカも経済の原則というか、金儲けの形で動いていると?
(小出氏)はい。私よりも近藤さんのほうがこういうことはよくご覧になってるんだと思いますが、今の世界はどうも『お金』が最高の価値基準になってる・・・
(近藤氏)そう思いますね。僕は政治よりやっぱり経済がすべてを動かしてるなということが本当に最近よく感じるんです。
(水野氏)小出さんは野田総理のあの時の再稼働を説明する会見をお聞きになっていかがでしたか?
(小出氏)「国民の生活を守るためだ」というようなことを野田さんが言ったのですけど、余計なお世話だと私は思いました。
(近藤氏)先生?「福島の地震のようなことが起きても津波が起きても、大丈夫だ」っていうことを自信たっぷり言ったんですよ。僕はその・・・神経がわからないんだけど・・・
(小出氏)私もです。
(近藤氏)要するにその「生活を守る」っていう以前に、『生命を守る』っていう観点が必要ですよね?
(小出氏)そうです。
(近藤氏)だからその『生命を守る』ということについての言葉は一つもないわけでね。うーん・・・。
(水野氏)『生命を守る』っていったら、小出さんどうなんですか?だってあの・・・
「福島のようなことがあっても大丈夫だ。安全は確認されています」
って野田総理はおっしゃいましたよね。これを科学的に言うとなんか意味のある言葉なんでしょうか?
(小出氏)全く意味の無い言葉です。彼らは福島事故が起きるまでも、「すべての原子力発電所は安全で事故を起こさない」と言ってきたのですね。ところが、事実として起きてしまっているのです。どんなに配慮しようと予想をしてあれこれ手を尽くそうと、やはり事故というものはいつか起きると思っておかなければいけないということを今度の事故は教えてくれたのです。それから何の教訓も学ばないというのは、本当に困った人たちだというふうに思います。
(近藤氏)「再稼働反対は精神論だ」というような意味のことも言ったんですよ。
(小出氏)そうみたいですね。
(近藤氏)「精神論」っていうのは、それこそ『安全神話=精神論』でね。うーん。まぁ・・・ね・・・。
(小出氏)そうです。<ため息>
(水野氏)はい。ため息が思わず小出さんから漏れました。どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】

もんじゅ:試験計画1億円発注 存廃論議中に原子力機構
毎日新聞 2012年06月08日 15時00分
 廃炉も視野に研究開発計画の見直しが進められている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の試験運転再開が可能になった場合に備え、日本原子力研究開発機構が今年3月下旬、試験計画作成などの契約を計約1億円で複数のプラントメーカーと結んでいたことが分かった。東京電力福島第1原発事故後の原子力政策見直しに伴い、もんじゅの試験運転再開は今年度予算への計上が見送られたが、今回の契約は昨年度予算を使って駆け込みで行われていた。
 もんじゅは10年8月、燃料交換用の炉内中継装置が原子炉内に落下するトラブルで試験運転を停止。今年3月に再開予定だったが、福島の事故を受けて延期となり、文部科学省は昨年12月、国の原子力政策が示されるまでは維持管理や安全対策のみを行うとの方針を示した。
http://mainichi.jp/select/news/20120608k0000e040218000c.html
 運転が再開されれば、40%の電気出力で発電に必要なタービンなどの性能を確認する「40%出力試験」に入る。原子力機構は今年3月、40%出力試験のうちタービンを動かすための水・蒸気系設備の性能試験などについて、計画書の作成をプラントメーカーの東芝と三菱重工業に計約1億円で発注していた。原子力機構の担当者は「原子力政策が決定された後、速やかに運転を開始するため計画書を作成している。政策決定前でも可能な範囲で試験運転の準備を進めた」と説明している。
 文科省は先月23日、原子力委員会新大綱策定会議で廃炉を含む四つの選択肢を提示し、もんじゅ存廃の本格的な検討が始まった。一方、もんじゅは同28日、落下して損傷した炉内中継装置が原子炉容器に据え付けられ、今月中旬に完全復旧する見込み。文科省の担当者は計画書作成の発注に「試運転再開ありきのものではないと考えている」と話している。
 NPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸・共同代表は「存廃論議がある今の段階で、40%出力試験に向けた支出は無駄で言語道断だ」と指摘している。【柳楽未来】
http://mainichi.jp/select/news/20120608k0000e040218000c2.html


SPEEDI 住民に公表前、測定活用 浪江の高線量地把握
東京新聞 2012年6月12日 朝刊
 福島第一原発事故が発生した4日後の昨年3月15日、文部科学省が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測結果を基に、原発の北西約20キロの福島県浪江町に職員を派遣し、実際に高い放射線量を測定していたことが11日、分かった
 SPEEDIによる放射性物質の拡散予測が事故後初めて公表されたのは昨年3月23日で、住民避難に役立てられなかった予測を、政府は公表前から活用していたことになる。
 政府の住民軽視の姿勢があらためて浮き彫りになった。
 文科省によると、同15日夕に福島県入りした同省職員から測定地点の指示を求められ、文科省はSPEEDIの試算結果を基に場所を指定。同日午後9九時前、毎時330マイクロシーベルトと高い数値を実際に測定し、翌16日未明に公表した。
 同省は原発から1ベクレルが放出したと仮定し、風向きなどの気象条件から、どの方角に放射性物質が拡散しているか把握する試算を同11日夕に開始。同15日は、原発から南向きに流れていた風が昼ごろから夕方にかけて時計回りに回転し、北西向きに変化していたことが判明しており、この予測を基に職員に測定地点を指示したという。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061202000090.html

失礼します。
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