※この記事は、
5月23日 【再掲】必ず見てください。『真実はどこに?―WHOとIAEA 放射能汚染を巡って 』
5月22日 WHOが福島事故の被ばく線量推計を発表。【あのWHOでさえ・・・】などに関連しています。


20120524 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の池田あきらさんと一緒にお話を伺います。
 まず、最初の質問なんですけれども、さっきニュースでも伝えましたが、核燃料サイクル政策の今後のあり方を検討している内閣府の原子力委員会の小委員会というところが、使用済核燃料の処理方法を議論する中で、全量再処理など三つの選択肢を作ったんですけれども、それが電力会社など核燃料サイクルの推進側に有利になるように選択肢の案の総合評価を書き変えていたことが判ったということなんですね。
 小委員会に提出する前に、実は核燃料サイクルの推進側だけで事前に非公開で集まって、勉強会と称して資料の検討をしていたらしいんですけれども、小出さん、政府の会議というのは、こういうもんなんですかね?
(小出氏)まぁ、昔からそういうものでしたし、未だにやってるんだなぁというのが私の正直な感想です。
(千葉氏)うーん。
(池田論説員)まさに原子力村の談合・・・ですよね。
(小出氏)そうですね。全く変わっていないのですね。
(千葉氏)当然結論ありきと思われても仕方ないなという感じがするんですけれども、そんな中ですね、高速増殖炉原型炉もんじゅについて、文部科学省が廃炉を含めた4つの選択肢を示したというニュースも入っております。
 その中の一つにですね、『実用化を断念し、国際的な増殖炉研究施設として活用』という選択肢があるんですけれども、これ、よく読んでみると、実用化できない高速増殖炉をこれから研究する意義っていうのはあるんでしょうか?
(小出氏)不思議ですね。はい。どういう日本語なのか、私には理解できませんでした。
(千葉氏)ねぇ・・・?もう一つの選択肢としましては『廃炉として基礎研究のみ継続』というものもあるんですけれども、研究し続ける限りは施設はありつづけるということなのかなと思うんですが・・・。
(小出氏)しかし、廃炉にしたらばもう動かないじゃないですか。どうするんですかね?
(千葉氏)ですよね?ですよね。だからこの選択肢としての日本語自体が・・・、なんかよく判らないというか適切でないという感じですよね。
(池田論説員)なんか、さっきの核燃料サイクルの推進の話、勉強会と同じように、なんかそういう推進派の当事者が自分たちの利害のために残してる文言としか思えないですね。
(小出氏)<苦笑>はい。池田さんが読み取られたとおりに私も思いますし、本当に困った人たちだし、全然変わらないんですね、彼らは。
(千葉氏)そんなようなニュースが入っていまして、ここにリスナーの方から小出さんにたくさん質問がきてますので、こちらのほうをお聞きしていきたいと思うんですけれども、まず最初は東京都の方。
『福島第一原発では、汚染された冷却水の処理を長いパイプを張り巡らせて行っているんですが、処理された放射性物質を入れた棟が既に無数に置かれていました。この棟が壊れたら??が漏れますよね』
ということなんですが、こちらが調べたところ、鉄とコンクリートでできている棟のようなものがたくさんあるようなんですが、これ、雨ざらしでは鉄とコンクリートでできていると言っても、長持ちするものではないですよね。
(小出氏)長くは持ちません。その中には、汚染した水の中に含まれているセシウムという放射性物質を吸着させたゼオライトであるとか、或いは水処理してできた沈殿であるとかというものが詰めてあるのだと私は思います。猛烈なその放射能濃度になっているはずですので、むきだしには置いておけない。ですからコンクリートや鉄の容器のようなものに入れて、遮蔽をしながらとにかく置いてあるということだと思いますが、いずれにしても長くは持ちません。これからそれをどうするのか、地面に埋めるのか、或いはどうするのか本当に私はどうしていいのかよく判りませんが、もっと別の専用の置き場を新たにしっかりしたものを作ってそこに移すとか、何がしかのことを近い将来のうちにやらなければいけなくなります。
(千葉氏)ここ、それこそ何年かのうちにやらなければいけないですよね。
(小出氏)多分数年のうちにはやらなければいけません。
(千葉氏)ですよね。でも、使用済核燃料ですら捨てる場所というのが無いのに、こんなゴミ、どこに置いておいたら・・・ということですよね。
(小出氏)まぁ、もともと原子力発電所から出てくるゴミをどうしたらいいのか判らないままここまできているわけですから、その一部がにわかに問題になって、私たちの前に立ち現われてきたというわけですね。
(千葉氏)また同じように冷却水の処理を長いパイプで張り巡らせてし続ける限り、このゴミは増え続けるということですよね?
(小出氏)どんどん増えていきます。
(千葉氏)はぁ・・・。どうなっていくのか、そういう感じですけれども、もう一つゴミに関する質問が来てまして、リスナーの方。
『核廃棄物の処理についての質問ですが、私が学生の頃、30年前の原子力討論会では、「そんなものロケットに大量に積んで遠くに捨てればいいさ」で意見が一致していました。コスト的な問題、技術的な問題あると思いますが、基本的に宇宙へ捨てるという考え方は批判されるものでしょうか?』
という質問で・・・
(小出氏)そのリスナーの方がおっしゃったとおり、宇宙に捨てるという方策は考えられたことがあります。
(千葉氏)本当にそれが論議されたことがあるんですか?
(小出氏)あります。宇宙処分という名前で私たちはそれを呼んでいましたが、議論されたことがありました。
(千葉氏)えぇ!
(小出氏)しかしですが、皆さんお分かりいただけるかと思いますが、ロケットというものは、時々失敗して落ちてくる。
(千葉氏)そうですよね。
(小出氏)スペースシャトルだって打ち上げた途端に、みんなが見てる目の前でバラバラになって落ちてきたりしたわけですから、もし失敗したら取り返しがつかないということで、これはもう技術的にやはりできないということになって、選択肢からもう既にはずれてしまっています。
(千葉氏)はぁ・・・。でも、私たちが普通に考えても、それはまぁ無理じゃないかなと思うような話なんですけれども、それが専門家の間できちっと論議されたことがあったということなですね。
(小出氏)はい。要するの放射性物質を消す力を持っていませんので、私たちの居る世界からどこか別の世界に持っていくか、或いはどこかに隔離するか、もうそれしか選択肢が無いのです。ですから、苦し紛れにあれこれとは考えてきたのですけれども、どれも現実的な選択肢になりえないで、今は地面にとにかく埋めようというのが唯一残っている選択肢になってしまっています。
(千葉氏)はぁ・・・・・・。そんな中、放射性廃棄物は増え続けている状況が続いているということですね。
(小出氏)そうです。これからもし、再稼働というようなことになれば、またそれをどんどん作ってしまうと、その選択をするということなのです。
(千葉氏)はぁ・・・。
(池田論説員)もう私たちの生き方の問題ですよね。こうなってくるとね。
(小出氏)そうですよね。自分で始末のできないようなゴミを作るか?と、そういうことだと思います。
(千葉氏)はい。続いてはまたニュースに関する質問なんですけれども、福島原発事故による、外部・内部被曝の推計値というのをWHO=世界保健機関がまとめました。それによりますと、全身の被曝線量は、原発周辺の浪江町などの住民の全身被曝が10ミリシーベルトから50ミリシーベルト、千葉県や茨城県などは0.1ミリシーベルトから10ミリシーベルト、そして、大阪府などは0.1ミリシーベルトから1ミリシーベルトとなっていまして、日本政府は「この数字は現実より明らかに高い」と言ってるんですけれども、小出さんは高いと思いますか?
(小出氏)高いかどうかは私には判りません。大阪などは1ミリシーベルトにならないというのは、多分そうだと思いますけれども、事故直後の政府の対応が大変混乱したがために、放射能の雲に巻き込まれてしまった人たちが居たりしたわけで、そういう人たちの被曝量というものをどうやったら正確に評価できるのかということが、未だによく判らないという状態になっているのです。考えていただければ、これも良いと思うのですが、本来ちゃんとしたデータがあるのであれば、日本政府がやればいいのです。
(千葉氏)そうですよね。
(小出氏)やって、「こうだった」と報告すればいいのですが、日本の国内でそれをやることができなかったがために、WHOにやってもらったというような、そういう言ってみれば恥ずかしい形になっているのです。
(千葉氏)そうですね。あの、WHOは食品による内部被曝量の推計では、全食品が検査されているわけではなくて、規制値を超えた食品が流通した可能性が否定できないというスタンスで、規制値越えの食品も少量食べたという前提で推計をしてるんですけれども、この計算方法についてはどう思われます?
(小出氏)当然そうだろうと思いますし、現地の人たちはむしろ、そんな測定もしないまま自分で作ってるものを食べてる方々もやはりいらっしゃるだろうし・・・、単純に計算ができるようなことではないと私は思います。
(千葉氏)はい。わかりました。
 先ほど、私福島県の浪江町を「なみえちょう」と読んでしまいました。失礼しました。
 小出さん、どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】

核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い
毎日新聞 2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 18時52分)
 扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】

 ◇反対派批判、一斉に笑い
 4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。
 青のワイシャツ姿の男が脇に書類の束を抱えて入室してきた。机にどんとおろす。一山にすると崩れるからか二山に分けて置いた。高さは片方が20センチ、もう片方が10センチぐらいだろうか。後に判明した事実によると、文書は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報告案の原案。実際に審議されたのは14日も先だ。
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c.html
 2人の内閣府職員が「ロ」の字に並べられた机の上に1部ずつ原案を配布していく。電事連幹部らが笑顔で受け取る。扉のすぐそばに座っている高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」幹部は熟読していた。やがて雑談が始まり、1人が反対派の論客である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らの名前を挙げ批判すると、一斉に笑い声が起こった。
 午後5時10分、開けっ放しだった会議室のドアが静かに閉まり、秘密会議が始まった。関係者によると、青森県六ケ所村の再処理工場を運営する「日本原燃」幹部が再処理事業の生き残りを意味する「再処理・直接処分併存(併用)」政策で小委員会の議論をまとめるよう依頼した。「六ケ所をやめて直接処分にするとあちこちが大変になる」と強調する幹部。再処理事業が破綻すると、六ケ所村に貯蔵中の約2919トンの使用済み核燃料は施設外に搬出しなければならないとされる。
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c2.html
 小委員会は今月23日、新大綱策定会議に併存に有利な表現の並んだ「総合評価」を盛り込んだ取りまとめを報告した。経産省関係者は「再処理しても最後はごみを捨てなければならない。政府と役人が一体となって最終処分場を造るために汗を流さなければならない時に、時間稼ぎに過ぎない政策を推進している」と嘆いた。

 ◇「うっかり」は通用しない
 長期的な原子力政策を論議する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案が原発再稼働の妨げになるとして隠蔽(いんぺい)された問題を毎日新聞が報じた(8日朝刊)際、近藤氏は主に二つの理由から「問題ない」との見解を示した。しかし、秘密会議問題で発覚した経緯に照らすと、今度は同じ弁明は通用しない。
 議案隠蔽問題は4月19日、事務局の内閣府職員が「(原子力と)地域社会との共生」と題した同24日の策定会議の議案を経済産業省・資源エネルギー庁や電気事業連合会に渡したところ「『(地域には再稼働に慎重な)滋賀県は含むのか』と追及され策定会議が紛糾する」と言われ、この議案をとりやめたというもの。
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c3.html
 近藤氏は電気事業者に渡った点を不適切としながらも「議案ではなくメモ。議案なら(パソコンのプレゼンテーションソフトである)パワーポイント形式にする」「事務局がメモをうっかり電子メールで流してしまった」などと釈明した。

 しかし今回発覚した秘密会議疑惑で配られた原案はパワーポイント形式。さらにメールではなく会議室で事業者に手渡している。所管大臣である細野豪志原発事故担当相は議案隠蔽発覚時、近藤氏擁護論を展開した。対応が注目される。【核燃サイクル取材班】

 【ことば】原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会

 東京電力福島第1原発事故を受け、使用済み核燃料の再処理政策を見直すために内閣府原子力委員会が設置した有識者会議。原子力委員長代理の鈴木達治郎座長と大学教授ら計7人が昨年10月〜今月16日、計15回議論した。政府のエネルギー・環境会議は夏にも革新的エネルギー・環境戦略を打ち出す方針で、小委員会の取りまとめは経済産業省の総合資源エネルギー調査会や環境省の中央環境審議会の議論などとともに反映される。
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c4.html

もんじゅ廃炉も選択肢 高速増殖炉で4案 文科省が提示
産経ニュース 2012.5.23 11:39
高速増殖炉原型炉もんじゅ=2011年11月、福井県敦賀市
 文部科学省は23日、今後の高速増殖炉の研究開発について、「実用化に向け推進」、原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を含め「開発を中止」など四つの選択肢を原子力委員会の会議で示した。もんじゅ廃炉の可能性を本格検討するのは初めて。

 選択肢は
(1)もんじゅを10年程度運転して高速増殖炉実用化を目指す従来路線
(2)もんじゅは運転するが、成果を踏まえて開発を続けるか判断
(3)増殖炉の実用化は目指さず、国際協力の中で廃棄物を燃やす炉として研究開発を継続
(4)もんじゅを含めて研究開発中止
-の四つ。

 原子力委員会の小委員会は、東京電力福島第1原発事故を受け、原発の使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策を再検討。プルトニウムを取り出して燃料に使う再処理や地中廃棄などの燃料処理方法と、将来の原発依存度を4段階に設定して選択肢をまとめた。
http://sankei.jp.msn.com/science/news/120523/scn12052311400001-n1.htm