是非ご覧になってみてください。

テレビ講座「福島で日常を暮すために」~#1.木村真三
放送日
 4月22日(日)深夜1時20分~1時50分

番組内容
震災と原発事故から1年余り。多くの人は放射線への不安を感じながらも、福島県内で「日常」を営み始めている。この時期に、多様な立場の専門家に改めてじっくり話を聞き、「福島で暮らすこと」の意味や注意点を問い直す不定期シリーズ番組。
1回目のゲストは、事故後いち早く福島県に入って「汚染地図」を作り、現在も二本松市を拠点に活動を続けている木村真三独協医大准教授。

【ゲスト】
木村真三 (独協医科大学 准教授)
【聞き手】
大森 真 (テレビユー福島 報道部長)
http://www.tuf.co.jp/channel/pg.cgi?id=95


【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

1(奥秋直人氏)こんばんは。
 奥秋直人です。
 震災と原発事故から1年以上が経った今、私たちテレビユー福島では、改めて福島で日常を暮らすとはどういうことかという課題に正面から取り組みたいと思っています。 そのためには、私たち自身がもっともっと放射線について勉強することが必要です。
 そこで、私たちは様々な立場の専門家の方に話を聞く勉強会をできるだけ多く開くことにしました。そして、その内容を福島に住む皆さんにも番組という形でお伝えすることにしました。番組である以上、意見の異なる専門家を複数集めるべきだと考える方もいらっしゃるかもしれません。また、一方で、一人の人にじっくり話を聞いてこそ理解できることもあると考えます。
 今後、番組を重ねていく上で、いろいろな立場の方をお招きするということでご理解いただければ幸いです。
 1回目のゲストは、獨協医科大学准教授の木村真三さん。聞き手はテレビユー福島・報道部長の大森真です。

(大森氏)木村さん、お忙しいところありがとうございます。

(木村氏)とんでもありません。

2(大森氏)木村さんは去年の3月15日、まさしく放射性物質が外部放出があった日に福島に入られて、まっさきに入られて、しばらく福島に何度も来ながら調査を続けて、もう途中からはこちらに住まわれて調査しているということなんですけれども。
 まず最初に、木村さんは原発についてはどのように考えているかということをちょっと教えていただけますか?





(木村氏)はい。原発自身というよりは、核というもの自身に対して、人がコントロールできないものであるという観点を今でも持っています。
 ということは、原発に対しても、今は使うべきではないというふうには考えております。

(大森氏)なるほど。
 先ほど申しましたように、福島に住んで今は住所不定・・・

(木村氏)住所不定<苦笑>、??です。

(大森氏)なんかもう皆さんの家をいろいろまわりながら、転々とされていると伺ってますけど、この福島に住んだからこそ見えてきたものっていうのはありますか?

3(木村氏)はい。えっと、まずその土地土地の地形であったり、天候・気候、また土壌の質であったり、または海であったら海の状況というものが川によって変わってくるとか、そういう様々なものが見えてきました。







(大森氏)やっぱりそれは住んでるからこそみえる?

(木村氏)うん・・・あの、住んでその住民の方々と対話をすることによって見えてくるっていうのはものすごく大きかったですね。

(大森氏)なるほど。
 そしてまた、木村さんはチェルノブイリにも既に何度も、18回ですか?

(木村氏)そうですね。

(大森氏)そういう意味では福島とチェルノブイリ両方をすごくよく見ておられると思うんですけれども、3月にもチェルノブイリに行かれたということですが、今回の行った目的というのはどういうことだったんですか?

(木村氏)実は、今問題の食の安全というところで、測定器に関して現地で開発されているキエフ工科大学の教授とともに、更に日本仕様に直してそれを導入できないかと思いまして、そちらを開発するということで。

(大森氏)その開発をする測定器というのはどういう特徴があるんですか?

(木村氏)最低感度が5ベクレルから測られて、約3分でその測定が終了するようなもの。

(大森氏)それができると本当に今一番重要なところですよね。

(木村氏)そうなんです。現地の方々は「それは可能だ」というんですが、それが本当にどこまで通用するかどうか、それを試験しながら、ダメだししながら作っていくということでやっています。

(大森氏)そのようにチェルノブイリと福島を両方よく見ている木村さんだからこそ、このチェルノブイリの事故と福島の事故の共通点とか違いというのは、かなり感じるところはあると思うんですが、どのように感じてらっしゃいますか?

(木村氏)チェルノブイリと福島は、共通点としては多くの土地や人々を被曝させたという事実は全く同じものです。
 ただし、チェルノブイリと福島の大きな違いという放射性核種の放出というもので種類が違うということですね。福島の場合は大部分がセシウム汚染、被曝ということですが、チェルノブイリの場合はセシウム、ストロンチウム、プルトニウム、様々な放射性核種によっての汚染というものが深刻化しているということです。

(大森氏)ストロンチウム、プルトニウムのことを今でも問題に、この福島についてですね、される方もいるわけですけれども・・・

(木村氏)いますね。

(大森氏)木村さんはこの二つについてはあまり問題にしないと?

(木村氏)いえ、プルトニウムに関しては、僕はほとんど関係ないかな、大丈夫かなと思ってるんですが、ストロンチウムについては、私自身が測ってないので、それだけは自分でも確かめてみるということを今後やっていきたいというくらいで、まだ危険性はゼロではないと僕は思ってます。

(大森氏)なるほど。
 チェルノブイリの場合、事故の後土壌汚染の度合いによって区域を分けて、それによって強制移住をさせたり避難の権利を認めたりと、そういうゾーニングということをやったわけですね。このゾーニングについては、今チェルノブイリの周辺ではどのような総括をされているんでしょうか?

(木村氏)はい。今年の4月26日で26年目の春を迎えようとしてるんですが、そこでもう25年以上経った中でそのゾーニング自身もどんどん汚染レベルは下がってきています。その中で暮らしていく、暮らさざるを得ない方々というのがいらっしゃいまして、その方々に対してどう受け止めてよいのか、今まで1990年代にゾーニングが設定されたものが、今もそれを設定してよいものなのかというものに対して、非常に地域問題になっております。

(大森氏)あの頃、強制移住も含めてですね、かなり思い切った政策はとったわけですけれども、その結果というのはどうだったんでしょう?

(木村氏)その結果というのは、地域の人々に対しては、僕はまず避難できたというのは正しいことではないかと思います。ただし、それはほとんど強制なわけなんですね。有無を言わさず強制として連れていかれたということに対しては、メンタルの部分でかなり大きな傷を受けたということがありまして、その方々に対するメンタルケアまでは行き届いてない、それは重要な問題の一つになっていますね。

(大森氏)木村さんは、もしこの場合は土壌汚染ということでゾーニングしたわけですけれども、土壌汚染じゃない形で、もしそういうような政策を考えるなら、何で?

(木村氏)それは空間線量率でしょうね。
 空間線量率によって人が住める部分、これは段階的に返って来れる部分、というものが随時作っていけば、より汚染レベルというよりは健康に直接影響がある、指標となるかと思うんですよね。

(大森氏)やはり結局はどれだけ被曝するかという事実の数字ということですよね。

(木村氏)はい。そうです。

(大森氏)現在の福島県に住む人たちの被曝の状況というのについて、どんなふうに見ているかということをまずお伺いしたいんですが、一言で全体をまとめるとどんな傾向だと思われますか?

(木村氏)思った以上に影響は少なかった。これは嬉しいことであるけれども、でもその全体一言でいうと、意外なほど低かったという感じがします。

(大森氏)あの、木村さんは二本松においでで、それでガラスバッチの分析なんかもデータで分析なさってますけれども、その数値を見るとどんな感じですか?

(木村氏)これは私どもは、18歳未満の方々、それと任意ではありますが40歳以下の妊娠可能な女性に対して1万1300人に対しての調査を行ってきました。
 その調査の期間というのも3か月。これはわずかな線量の違いによってもきちんとデータが出るためには3か月は必要だろうということで、3か月の追跡調査をしました。
 その結果で申しますと、平均的なレベルは、3か月で大体1.1ミリシーベルト以下。

(大森氏)3か月が1ミリシーベルト?

(木村氏)そうです。だから1年になおすと、平均的には3.6ミリシーベルトとかそのくらいが平均値。3.6から3.8だったと思うんですがそれくらいの線量になるという結果になりました。

(大森氏)いわゆる空間線量に時間を掛ける、室内にはそれをいれて考えるとか、そういうもので机上で計算したものと比べて、実際に受ける被曝っていうのはどういう感じ?

(木村氏)逆に言うと、机上の計算値より低い値になりますね。
 というのは、もちろん小さなお子様をお持ちのお母さんたちは、できるだけ外に出してませんから、その分は家の遮蔽が効いてますから、より低い線量になります。外に出ない分だけ被曝は小さいものとなってきます。

(大森氏)うーん、あの、昨年ですか、二本松市のマンションで3か月で1.6ミリという中学生がいたということで、ちょっとニュースになったわけですけれども・・・。あのお子さんはもう引っ越されたんですかね?

(木村氏)恐らくですよ、恐らく引越しされたと思ってます。

(大森氏)ある意味あの時点で1.6ミリ、という状況だったということについては、木村さんはどのように感じてらっしゃいますか?

(木村氏)それは、そのお子様個人に対しては非常に胸の痛むことではありましたが、こういう事象というのは起きるであろうと。
 それは3月15日から入った時、復旧工事等を見た時に、「建設資材も汚染されてるのにいいのかな」というのはずーっと気になってたんですよね。その建設資材を使って新築マンションを建てるということで、恐らくそういう汚染マンションというのは出てくるかもしれない、それを想定した上での実はガラス線量バッチの計測でした。

(大森氏)そういう意味では早い目に見つかったという見方もできる?

(木村氏)できますね。

(大森氏)木村さんご自分のところでもホールボディカウンタも持たれて、今度は内部被曝のことですが、測られているわけですけれども、この内部被曝を実際測ってみての数字というのはいかがでしょうか?

(木村氏)これも思いの外、低かったというのが総括ですが、それはまず私どもは10分間の計測で10分間の計測の間に事前にアンケートを配りまして、3月15日から3月31日までの行動記録を取らせていただく。これが一つ。もう一つは、食品については近3か月の食品の、どういう購入経路だとか摂取経路というものを聞いていくわけなんですが、10分間の計測の中で問診をもう一度やります。3月11日の震災以降の話をずーっと事細かに聞いていくわけですね。そうすることによって記憶をたどるという捜査ができます。その捜査によって実際の、どこにどのくらいの時間外にいたのかということは見積もれる。それと、実際の被曝線量というもの、内部被曝の線量というものが密接な関係を示すということまで見つかってきました。

(大森氏)全体の量としては?

(木村氏)全体の量としては、優位に、これは明らかに高いであろうと思われる方は、1月15日の時点では約19名出てます。疑わしいという方々を含めても80名未満。

(大森氏)これは今まで全部で何人くらいやられてる?

(木村氏)今現在は2000人を越えてますが、それまででは1300人くらいの検査なんですが、その中で優位に超えられたというのは80名未満ということです。

(大森氏)最近こういう数値を見ていると、いわゆる全体のレベルとしてはかなり低めに抑えられてるけれども、本当に個人個人で、ひょっと??が入ってるような。

(木村氏)そうなんですよ。だから先ほどから言った総括という話であれば、全体的には低いんですよ。でも、ぽつぽつと個人的なレベルでいえば非常に高い人もでてくるわけですね。だから、個人レベルの対応を今後していかなければいけないということが調査の上では明らかになってきたことです。

(大森氏)そうですね。
 こういった状況の中で、我々はこれからどうやって暮らしていけるのかということなんですが。うーん、まず、端的に言うとやっぱり福島の人たちが一番心配してるのは、「福島って住めるの?」どうでしょう?

(木村氏)うんうんうん。はい。
 私のこれは、全国でも同じことを常に繰り返していますが、自分の、私自身の基準値というのがありまして、それが1年間で5ミリシーベルト以内であれば住めますよ。これは我慢レベルですよ。もちろん被曝をしないことに越したことはありません。だから、年間1ミリシーベルト未満というのは守りたいですが、ただ、今のこの事故状況の中で人々が比較的安全な生活が送れるレベルというのは、私の経験則を含めても年間5ミリシーベルト未満であればいけるのではないか、住めるのではないかと。

(大森氏)この年間5ミリシーベルトっていうのは、さっき言った机上の計算ではなくて、実際にバッチであるとかWBCで測られたものとか、実際に受けている外部・内部被曝を集めて、実際の数値が5ミリということですね?

(木村氏)そうですね。だから家の中であれば0.5マイクロシーベルト/時。それを計算すると、1年で約4.5ミリシーベルトくらいになるんですが、そのプラス。5ミリシーベルトくらいを内部被曝と見積もっても大丈夫なくらいの安全基準として考えております。

(大森氏)この5ミリシーベルトっていうのは、ある意味木村さん自身が考えている数字なんだと思うんですが、これ・・・自体の安全マージンというのはかなり考えての数字だと?

(木村氏)もちろんそれは考えているんですが、実はこの1ミリシーベルト自身でいうこの概念も、交通事故に出会う確率よりも低いレベルのガン死亡率という計算をした上で、1ミリシーベルト以下であれば交通事故の確率よりも低いんだよと設定されてるわけなんです。それよりも上がってしまいますよ、もちろん。ただその交通事故と同じような土俵に上げるというよりは、今現在ここに住まなければいけない方々がいらっしゃる。その中でどこまで我慢ができるかということを考えた上では、5ミリシーベルトというのは、何とかやっていける数字ではないかと思っております。

(大森氏)その5ミリシーベルトを守るために、これから福島で日常を送っていくために注意する点ということなんですが、まず例えばお子さん、小さいお子さんを外で遊ばせていないご家族とか・・・

(木村氏)多くいらっしゃいますね。

(大森氏)ああいうのを見ていて、どうお感じになりますか?

(木村氏)僕はやっぱりリスクとして同じ土俵に上げた場合、放射線の被曝リスクによって受けるガン発生率、死亡率と、それを出さなくてそのままフラストレーションがたまったままの状況を維持しながらお子様たちの心が病んでいく、そのリスクを考えて上では、僕は外に出すべきだと考えてます。

(大森氏)外で遊んでいい?

(木村氏)はい。思いっきり汗をかくくらいまで遊ばせてくださいと僕は言っています。ただし、時間制限をしてくださいね。1時間なら1時間、2時間なら2時間、いいんです。自主規制でやりましょう。その中で精一杯汗をかきながら走らせてください。遊ばせてください。そうすることによって、子供たちはリセットされるわけなんですね。心のフラストレーションというものが。それを大切にする方が却ってこの状況が何年も続くということになるほうが、お子様たちの異常行動に繋がっていくと私は考えてます。

(大森氏)マスクは今必要でしょうか?

(木村氏)ええ。これもよく聞かれるんですが、これは風の強い日、冬場、それはやってください。それはあくまでも自己防衛です。この一つには、単なる公衆衛生学的な考え方でインフルエンザが蔓延してる時の空気感染、飛沫感染というものをふせぐことができますよということも含めて、安全側に考えていきましょうねと。
 じゃあ、ほかはどうなの?って言われたときには、夏場は避けてください。夏場にマスクをしてください。息苦しさでやられてしまいます。熱中症になるでしょ。熱中症の死亡率を考えた場合そちらのリスクの方が遥かに高いんです。だからこそ、敢えての被曝も仕方なしと。それはどちらが命につながっているかということのリスクを考えていくことが大切なんじゃないかと考えております。

(大森氏)洗濯物は外干ししても大丈夫でしょうか?

(木村氏)これも時々ですが、今空気の捕集をしながら、捕集というのは集めて分析をしてるんですが、空気中に含まれてる放射性物質の濃度はほとんどゼロに近いんです。虫ができるくらい。そうなった場合、もちろんお日様の光に当てた洗濯物、ずっと体にも良いわけですよ。お日様の匂いがかげる洗濯物を着て、元気に登校する子供たちっていうのは、やっぱり理想的でしょうね。だからこそ、洗濯物も布団も干してください。心配だったらちゃんと叩いてください。ほこりを払ってください。それで十分じゃないですかと僕は言っています。

(大森氏)なるほど。これは少し難しい問題だと思いますが、食事についてはどのようにしていけばいいでしょう?

(木村氏)これは本当になかなか言いづらいことを敢えて言いますが、今、全品検査ができない状況。各市場に出回ってるのも数値が提示されてるものもあればないものもある。そういう状況の中で、安全をどうやって自分たちが求めるかというと、できるだけ汚染地ではないもの、新鮮な野菜をお子様にはとってください。ただし、大人、30歳以上の方々に対して、少なくともですね、40歳以上の方々は無視してもいいですと。どうぞ食べてくださいと。
 それで身体に害が出てくるかどうかというと、ほとんど無視できるでしょうと私は思っています。
 ただ、放射線弱者であるお子様たちに対しては、できるだけ親の努力は必要でしょうと。その気遣いというのがお子様たちにも繋がっていく、心の安定を結びつけるものではないかと思っております。

(大森氏)案外、今ちょっとおっしゃったまるごと調査、全部ミキシングして測る、それで測ると、4月から規制値100ということにはなりましたが、500の時ですら実際まるごと調査やると、かなり低い。ちょっとびっくりするくらい低かったんです。

(木村氏)逆に喜ばしいことですよね。私も福島県人を考えて上でいいますと、非常に嬉しいです。ただそれを鵜呑みにしてもいけないでしょ。例えば、それは種類によっては高いものもある。これは果物とか野菜の種類によっては濃縮しやすいものもある。例えばキノコ類などは濃縮しやすい。柿もそうだしっていうのもさまざまなものが出ています。それをきちんと逆に危険なものだけを言うじゃなくて、こういうものは比較的低いんですよっていうのを、やはりこういうメディアの中で伝えていってくだされば、市民の方々に対する安心に結びつくんじゃないかと考えています。

(大森氏)努力します。

(木村氏)是非お願いします。

(大森氏)実際にいわゆる地方紙、地元紙なんかですと小さい欄ですけれども、全ての食品のモニタリング結果が出ていて、なかなかあれに気づく方がいらっしゃらなくて、本当に大体ニュースになるのっていうのは、規制値超えた時にしかニュースにならないものですから・・・

(木村氏)そうなんですよ。だから、それは例えばテレビと新聞との協力によってメディアで同じように伝えていく。で、「詳しくはこちらで見てください」。例えばネット環境が無いおじいちゃんおばあちゃんでも、お孫さんの健康を知りたい、健康維持を考えてる場合がたくさんありますよね。そういうときに、携帯も使えない、インターネットも使えない、そういう中で「実は新聞のここに出てますよ。詳しい数字はこちらを見てください」ということをやれば、それはおじいちゃんおばあちゃんでも見られますしね。ネット環境のない人たちもわかるということで、そういう試みっていうのが今後報道の中でも重要になってくるんじゃないかと思ってます。

(大森氏)今ですね、放射線というのは本当に目の前の敵として我々が勉強して、それに向かっていかないといけないものなんだけど、それと同時に精神的なストレスっていうのが非常に福島の人を蝕んでるような気がしてならないんですね。

(木村氏)そうなんですよ。これは数値化なかなかできないでしょ。この中で今、私が二本松という中通りの比較的線量の高い地域を受け持ってみた中で、それでも人体に影響が出るというのは非常に少ない確率ではないかと今思っています。でも、それを心配するがあまりに、心を病んでくるという方々、例えば自主的避難地域の方々ですね、そういう方々の中には、もう本当に真剣に考えすぎて少し・・・心を病まれている方々っていうのは、実は何人も見てますし電話もかかってきます。そういう方々に対していつも言ってますのは、やっぱりそのリスクというものをきちんと判断しなければならない。ただ
「誰に聞けばいいのか、誰にどこを調べればいいのか、どれを信じていいのか、国を信じていいのかマスコミを信じていいのか全然わかりません」
というのがよく言われることなんです。もちろん僕ら、研究者の立場、学者でもそういうところを「誰々先生のことが正しい」というようなことを一概には言えないわけですよね。だからこそ、私自身だってわからないとこあります。そういうところを考えた上で、正しく判断してもらうためにはきちんとした情報を入手して、どういうところでこうなんだよという、ちゃんとした理解ができる説明が必要になってきますよね。
 だから、こういうような、第一回目ですがこういう番組を作るというのも非常に重要なものになってくると考えてます。

(大森氏)私どもとしても、本当に少しでも、やっぱり結果的には福島県の人たちの健康被害とか生命とか、健康とか、そういうものを少しでもやっぱり守っていきたいっていう思いはあるわけで、そのためにどうすればいいかっていうことを模索してるわけですけどもね。

(木村氏)そうですね。だからこそ、直接的な放射線の影響っていうよりも、間接的に放射線の影響によってメンタルストレスが生じてしまう、こちらの部分もきちんと脚光を浴びさせて、それをちゃんとしたデータベースにしていかないと今後いけないんじゃないかという・・・

(大森氏)そういう方法っていうのはあるんでしょうか?

(木村氏)実はあるんです。これは生理心理学という分野の中では、生理現象を追いながら、その生理現象の中でどういうストレスになっているかというのは、脈拍数であったり交感神経のほうだったと思うんですが、ようは自分の意識の中でコントロールできないようなものの数値を測ることによって、今ストレス状況なのかそうでないのかというのはわかるわけです。それとうまくアンケートを組み合わせれば、どういう問題がその原因になってるかっていうのは明らかになると思うんですよ。

(大森氏)段々番組も残り、あっという間に過ぎてしまうんですけれどもね、本当に福島の人たちに向かって一言だけ今これを強調したいというのがあったらば、最後にお願いできますか?

(木村氏)うーん・・・、今この起きてる現状というものは、今後10年、20年続きます。その中で、常に意識をしながら・・・精神的に持たないとかではなくて、生きるために、常に気をつけながら生きていかなければ、いつ何時何が起こるかわからない、と思います。
 だからこそ、諦めない。
 諦めてては先に進めない。だからこそ、皆さん、一生懸命それを情報を収集するなり、自分で自己防衛するなり、常に人に頼るんではなくて自分でやっていく。その努力を怠らないでくださいというのが私の最後のメッセージでしょうかね。

(大森氏)では本日は本当にありがとうございました。

(木村氏)とんでもありません。またよろしくお願いします。
【以上】

失礼します。
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