※この記事は、3月14日【内容起こし】第15回総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会『エネルギーミックスの選択肢等について』【その①】に関連しています。
大島先生、帰国されて参加されたようです。
それぞれの委員のカラーがくっきり・ばっちり出ています。
できるだけ資料もご紹介するように作りましたが、是非こういう重要な話がどんどん進んでいることを広く知っていただきたく内容を起こしてご紹介をしています。意見を送れば、一応事務方も委員の方々にも届いているようです。(私の意見が資料6-1に載っていましたので。)
どうか皆様もご覧になった感想や、ご意見をどんどん送ってほしいと思います。
では、どうぞ。
【動画】4月11日 第18回総合資源エネルギー調査会~基本問題委員会~
http://live.nicovideo.jp/watch/lv87899524?ref=top&zroute=index
第18回基本問題委員会 配付資料
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/18th.htm
議題 :エネルギー基本計画の見直しについて (※エネルギーミックスの選択肢について 等)
・阿南久 全国消費者団体連絡会事務局長
・飯田哲也 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長
・植田和弘 京都大学大学院経済学研究科教授
・槍田松瑩 三井物産(株)取締役会長
・枝廣淳子 ジャパン・フォー・サステナビリティ代表
幸せ経済社会研究所所長
・大島堅一 立命館大学国際関係学部教授
・柏木孝夫 東京工業大学特命教授
・金本良嗣 政策研究大学院大学教授・学長特別補佐
・北岡伸一 政策研究大学院大学教授
・橘川武郎 一橋大学大学院商学研究科教授
・河野龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト
・榊原定征 東レ(株)代表取締役会長
・崎田裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長
・菅家功 日本労働組合総連合会副事務局長
・高橋洋 (株)富士通総研主任研究員
・辰巳菊子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事
・田中知 東京大学大学院工学系研究科教授
・寺島実郎 (財)日本総合研究所理事長
・豊田正和 (財)日本エネルギー経済研究所理事長
・中上英俊 (株)住環境計画研究所代表取締役所長
東京工業大学統合研究院特任教授
・八田達夫 大阪大学招聘教授
・伴英幸 認定NPO法人原子力資料情報室共同代表
・松村敏弘 東京大学社会科学研究所教授
・三村明夫 新日本製鐵(株)代表取締役会長
・山地憲治 (財)地球環境産業技術研究機構理事・研究所長
委員長:三村明夫
(計25名・敬称略、五十音順)
【資料1】「エネルギーミックスの選択肢に関する整理(案)」(事務局提出資料)
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(三村委員長)それでは、総合資源エネルギー調査会第18回になりますが、基本問題委員会を開催いたします。
委員会の開催にあたりまして、枝野大臣からご挨拶をよろしくお願いします。
(枝野産業相)本日も委員の皆さんにはご多忙のところご出席をいただき、本当にありがとうございます。今日は前回に引き続きエネルギーミックスの選択肢についてご議論をいただくと承知をしております。選択肢は定量的なイメージとエネルギー需給からみたあるべき社会像や必要な政策のパッケージと整理をされていると承知しております。両者を並行して議論をする必要があると思っておりますので、是非よろしくお願いをいただきたいと思います。
特に、国民の皆さんに判りやすい選択肢を提示するためには、各選択肢の示す社会像や考え方の違いというものをできるだけ判りやすく整理していただきたいと思っています。また、それぞれの選択肢における数字の意味合いをどう考えるのか?と飯田委員や枝廣委員、大島委員などから
「原発依存度を導き出す際の考え方を整備すべき」
といった大変貴重な、重要な問題提起もいただいておりますので、こうした点のご議論も是非進めていただきたいというふうに思っております。
また更には再生可能エネルギーや火力発電含め、各選択肢のエネルギーミックスを実現するために克服すべき課題や、必要な政策についても今日をはじめ、今後議論をさらに深めていただければありがたいというふうに思っております。
それぞれ大変難しい課題でございますけれども、委員の皆様には引き続き忌憚のない意見と活発なご議論をお願い申し上げまして、冒頭のあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(三村委員長)はい。ありがとうございました。枝野大臣は次の用務がありますので、ここで退席されます。
本日、三つのテーマについて議論させていただきたいと思います。第一ですけれども、前回エネルギーミックスの選択肢について、現段階では5本に集約するということで合意いたしました。その際原子力比率は20%、25%とする選択肢のうち二つずつあったんですが、それを1本化するということは関係委員と相談させて、各々について1本化するということにさせていただきました。
また、例えば同じ原子力についても、同じ数字であっても、その先抑制なのか方向性があるという話もいただきました。これについては今後の議論の過程で深めていただきたいと思っております。
それから、合わせて各々のエネルギーミックスの選択肢のパッケージの定性的な部分について、今日は議論を深めていただきたいと思いますけれども、例えば「供給者主導か消費者選択か」、「計画経済的か市場メカニズムの活用か」といった対立軸にそくして整理させるべきという意見もございました一方で、「二者択一の関係にあるものではなく、その中で一つのバランスである」という意見も提起されたわけでございます。「事務局からも定性的な議論に関する資料、アジェンダをだしていただきたい」というご指摘もいただいたので、その論点整理も踏まえてエネルギー需給の観点から見て、新たな社会像やそれを実現する政策の基本方針に関わる議論の状況について、参考までに事務局に整理させました。まずこれに基づいてどうぞご議論をよろしくお願います。
これが1の議題でございます。
第二ですけれども、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーん及び火力発電に関わる課題について、再生可能エネルギーについては必要な対策、その対策の実施に関わるコスト、そのコストを誰が負担するのかといったような課題があります。
また、火力発電については、火力電源の電源構成や政策面の課題などについて議論を深めていただきたいと思っております。
また、合わせて前回予告しましたエネルギーミックスの各選択肢の案に関する2030年の1次エネルギーの状況。電源といったら全体のエネルギーでいったら40%しか占めてないので、どうしても先のことを考えると1次エネルギーも含めて考えなきゃいけない、ということなので、これについてもちょっと試算させていただきましたので、これを是非ともご議論いただきたいと思っております。
それから前回お約束いたしましたけれども、経済影響分析モデルについては、もう少し課題だとか、それから問題点、いろんなものを判りやすく説明してほしいという意見がありまして、私もそれは必要だと思っておりますが、ちょっと今日は間に合っておりませんで、次回、これについては提示させていただきたいと思っております。
それでは、改めて整理した選択肢案と選択肢の定性的な部分に関する議論を行いたいと思いますが、ちょっと事務局の方から説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
<05:20頃まで>
(事務方の説明がありますが、割愛いたします。)
<16:15頃まで>
(三村委員長)はい。ありがとうございました。
今日は従って、選択肢については前回ここで進めるということで進めさせていただきますけれども、モデルケースを出させていただきましたが、今申し上げましたようにまだいろんな意見があると思います。従って定性的な意見も含めて、今日はどうぞいつものとおり札を立てていただいてご発言いただきたいと思います。
最初のあれは50分以内という形でやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
いかがでしょうか?じゃあ飯田委員、どうぞ。
16:50頃~
(飯田委員)はい。今日は前回の定性的な議論云々というところをもう少し超えて、やはりこのエネルギーミックスの選択肢におりてくる論理をどういうふうに考えるのかということ、先ほど枝野大臣も少し言及していただいてましたけれども、やはりそこをしっかり考える必要があるのではないかと。
改めて振り返って思い返してみると、この事務局案がどうやってできたのかというと、皆さんからアンケートをばらばらととって、それを事務局が整理しただけなわけですね。
これにははっきりいって全く何の意味もない。
つまり政策的な意味が無いので、私の意見は、今日資料10にださせていただいてますが、特にこの原子力については、ここで決めたことは原子力策定会議とか中間審とかあちこちに出ていくので、ここは安易に妥協せずしっかり議論しなければいけないと思っています。
そういうふうな形で委員がバラバラと出した任意アンケートの数字を事務局が束ねただけで、それを政策の選択肢、エネルギーミックスの選択肢というのはあまりにも無責任で、非論理的でいい加減だというふうに思います。
ですから、これは大きく大別すると、AはともかくBとC,D,Eの三つの違いは何かというと、基本的には原子力安全神話のまま、まだ原子力は残ると。しかも根拠なく、いわば原子炉はわずかに福島入れても54基、サイトとしては18か所しかないわけで、それの一個一個がこれからどうなるのかといい加減に考えずに適当に何%といって掲げた数字。その前提には、「福島みたいな事故はもう二度と起きないだろう」という原子力安全神話。
そのままでやるのか、「明日にでも、いや今にでもこういった事故が起きるかもしれない」という、やはり「原子力事故は起きるということを前提にこれから考えるのか」と、まず大きな分岐点があると思うんですね。
その上で、もうちょっと現実におりてくると、現実というか政府が実際に固めた数字でいうと、原子炉等規制法の改正の中で40年炉寿命というのが出ているわけで、そしてしかも「例外というのはほとんどないんだ」というのをあれだけ何度も議論されていると。
その上で『脱原子力依存』というのは、これは野田首相が何度も施政方針演説でおっしゃっておられる。この二つを組み合わせれば、必然的に最大限、私の資料の図の裏の下側に書いてありますが、40年廃炉で福島はちょっと誤差範囲だとしても、そのままスムーズに落ちたとしてもせいぜい15%。実際に地震でダメージ受けた原発を即座に廃炉して、浜岡も廃炉にして、それで40年廃炉で若干出来の悪い原発をその間に減らすとすると5%くらいまで落ちます。
中間点っていうのは、せいぜい今の政府の中心的な方策に従えば、せいぜい10%という数字がおのずから出てくるというのがまず一つ。
それ以外の20%以上の数字を出しておられる方は、前回、橘川先生が「ここは動かすんだ、ここは作るんだ」とおっしゃったのは非常に大胆・・・大胆というかそれは必要だと思うんですね。一個一個それが本当にどこのサイトにどういう根拠を持って、どの原発を増設し、どの原発を新設するのかって一個一個説明してほしいと思いますね。根拠を持ってです。
それをもって、20%なのか25%なのか、これははっきり言ってこのC以降はどれか一つです。つまり、「新増設ありだ。ただしそれは説明責任を伴う」ということです。
あとは、2030年はゼロ。これは即時ゼロかドイツのように10年程度でゼロか、或いは2030年時点でゼロか、とにかく可及的速やかにゼロにしていくという、この2030年断面ではせいぜい10%というのが中心になる・・・中心というか、ゼロと10%が中心になるということの流れで本来物事を考えていくというのが論理的な思考だと思うんですね。政策整合的な、論理的な思考であって、今回事務局が整理したのは全くナンセンスで小学生レベルでも判るようなことだと思いますので、ここはもう一度今日はしっかりと議論していただきたいというふうに思っております。
(三村委員長)はい。ありがとうございました。「小学生的」というふうな??、なかなか興味があるんですけれども、阿南さん次はいかがですか?
21:50頃~
(阿南委員)はい。私もペーパーで意見を出しております。ペーパーの資料の8-2のほうは3月30日に事故に対する政府の施策と、そして電力料金の値上げ、それから再稼働に対する消費者団体の連名の意見書になっております。ここでも述べていることですが、今度の選択肢の提示については消費者団体も「これから議論する」ということで、大変期待をしているところです。全国各地の消費者団体ですが、原発問題を最大課題ということで、学習も既に続けてきておりますし、議論も続けてきております。
ですので、この選択肢がどのようなものが示されるのかということで、そこに期待をし、この議論を更に消費者の幅広い参加の元に全国各地で展開しようというふうにして考えているところです。
ですので、この期待に応える選択肢を出すことが私は必要だと認識しております。その上で8-1に意見を述べておりますけども、二つの意見を述べたいと思います。
まず、この整理案の中に出されております選択肢E案のことですが、前回の委員会でも私は申し上げておりますけども、やはりこのE案は選択肢にならないと思いますし、すべきではないという人もいます。こうした選択肢を残すことは、この委員会の見識が問われるものだというふうに思っています。なぜならば、ただ一人の委員が可能性の一つとして挙げていたものでありまして、何よりも昨年の12月にまとめられております論点整理に明確に反しているというふうに思います。論点整理の方は、『原子力発電への依存度をできる限り低減させることを基本方向として、今後さらに議論を深めていくこととする』というふうに指定されております。この点について、12月12日の第7回委員会でも、枝野大臣より
「野田政権としては、原発への依存度をできる限り低減させるという明確な意思を国会内外でも示しています」
とのご発言があったということだと思います。
既にご破算になっている「この基本計画より下がっているから低減ということもできるんだ」ということは、これは一般の人々にとっては大変理解しがたい、私は詭弁だというふうに思います。
2010年度の実績である26.4%を基本として、そこからこれから18年かけてどこまで低減できるかということを考えるのが常識だというふうに思います。
もう一つの意見です。
C案とD案ですが、ここも原子力発電の構成比をそれぞれ20%、25%想定しておりますが、それぞれ具体的な原発の稼働数ですとか、新増設計画の見通しを示していただいて、低減の実効性があるのか?ということを明確にしていただかないと消費者は理解できないと思います。既に野田政権が打ち出しております「既存の原発についても40年を原則」として方針が出ておりますけれども、それに従えば、今ある54基の原発のうち2030年には36基が40年経過のものというふうになります。全体の3分の2の原発が寿命ということになります。さらに福島県では脱原発ということを宣言されて、静岡県の浜岡原発も新しい地震を想定した場合に稼働させて安全なのかどうかということで疑問符がついています。新増設計画も全部ストップしているという中で、どうしたらこの20%になるのか、或いは25%になるのでしょうか?
それらについて、本当に現実的なリアリティのある説明が必要なのではないかというふうに考えております。以上でございます。
(三村委員長)はい。次は寺島委員、よろしくお願いします。
26:00頃~
(寺島委員)資料12ということで、総合エネルギー調査会の意見書NO.4というのは、私にとって4番目の意見書ということです。
今回さらにちょっと熟慮してですね、原子力に関する日本の選択肢ということで、これも私の役割だと思うから「熟慮すべき視座」というメモを作ってみました。今回、欧州方面に新たにいろいろ意見を聞いてみて、「ドイツはなぜ脱原発に踏み込めたのか」というメモがここに書かれてます。
事実認識のところは、現在ドイツで17基、これくらいのものが1990年代以降は1基の新設も無しというメモのところから書いて、歴史的経緯、今回メルケルが2022年までに全廃するといった流れが書いてあります。
そういう中で、さてドイツがどうして脱原発に踏み込めたのかという時にですね、こういうアングルからも見方も必要だという意味なんですけど、『軍事・外交』というこということが書いてありますが、一つはですね、ドイツ自身が冷戦期に核の脅威の真っただ中に置かれて、いつ戦場になるかもしれないっていう状況下で過ごした。そういう中で冷戦が終わった後、1993年に米軍基地の縮小と地位協定の改定、NATOの東方拡大というのを通じて、ロシアの核の脅威をそぎ落とした。EU統合への努力というのは、近隣と大変な相互信頼を醸成して、エネルギー戦略における選択の幅を広げた。それが国境を越えた送電網で、ドイツの安定基盤を築いた。さらに、地方分権というのがやはり大変大きな意味があったんだなといろいろ調べていると感じます。地方の権限が強くて、原子炉立地に関して合意形成が困難だということが、ドイツの一つの特色として考えられる。もう一つ今回付け加えて、この『産業の事情』ということで、日本がいつの間にか東芝がウェスチンハウスを買収し、日立・GEのジョイントベンチャー、三菱寿行とアレバのジョイントベンチャー、日本がいつのまにか世界の原子力産業の中核になってしまっているということを認識しなきゃいけないということを申し上げましたけども、シーメンスはどうしたんだ?ということですね。
日本より遥かに先行して、シーメンスは原子力の技術基盤を自立して、蓄積してきていた。自立志向が強くて、アメリカとの産業協力体制、つまりアメリカと協力するなんていうのはむしろドイツの技術に対する確信といいますか、信念があった。21世紀に入ってアレバと組んだ。海外展開を共同で狙ったけれども、受注がが少なくて頓挫したというのが現実的な話だろうと思います。国内に展開基盤の無いような産業の海外転換っていうのは、実際問題として困難なんだなということを認識します。
しかも、ドイツで蓄積してきていたシーメンスの原子炉技術者がEUの他の国々の原子力技術を支える形で活かされているという状況があります。
そういうことを認識におきながら、原子力に関する日本の現実的な選択肢っていうのは一体何なんだろうかと考えてみた時に、意見書No.3で述べたわけですけれども、日本は軍事という意味では、アメリカの核の傘の中で冷戦期の安全保障の柱として生きて生きた。一方米国の原子力資本のマーケット、市場として原子炉及び核燃料を受け入れてきた。受け身でこの問題を考えてきていた。ところが、スリーマイル以来30年間アメリカは1基も商業用原発を作れないうちに、日本自身がアメリカと原子力共同体ともいうべきくらいのしゃむそうせいじ(?)のように絡みあった、要するに原子力共同体の真っただ中にはまってしまっている。
そういう中で日本が取りうる選択肢を冷静に考えたら、3.11を踏まえて電源の5割を原子力でやると言っていた現行のエネルギー基本計画はリアリティを失ったということは間違いないわけですけど、ここからなんですね。
前回の議論を聞いていても、「そんな程度の問題意識で脱原発ができると思ってんのか?」っていうくらいの気持ちが私の中にあるわけですけども。
アメリカの核の傘の外に出て脱原発を追及するというのであれば、まだロジックとしてはconsistentなんですね。要するに、核の傘とか核抑止力という概念自体が、もう既に冷戦期の産物であって、日本国民の中にそこから出ようという意思でもあれば別ですけれども、現実に現下の北朝鮮の脅威だとか中国だとかっていうことにいら立ってる状況の中で、アメリカの抑止力に期待していこうという思考から依然として脱却できてないわけですね、現実問題として。
核抑止という思考自体が、本当は非常に非人道的な考え方で、つまり「核で攻撃してきたら、核で反撃してみせるぞ」という考え方なわけですから、だから抑止が働くと考えてるわけです。
だけど前提として大量殺戮を想定しているわけですね。「やられたらやりかえす」という意味で。
理論的には脱原発に人道に基づく倫理性を求める論理の延長線上に核抑止という考え方っていうのは、要するに整合性が取れないわけで、本来的には非核と脱原発は一帯でなければ論理的には辻褄が合わないというところが、じゃあ核の外に出るという選択肢が、日米同盟の再設計を意味するわけでして、そんなことが言いだせるような局面なのか?
そこで選択肢2、米国の核の傘に留まりながら脱原発を進めると。
日本人の多くがこの路線も可能だと漠然と考えてて、そんなことと脱原発が関係ないというふうに思ってるわけですが、私、この間ワシントンで本気で議論してみて感じたことですけども、なぜ米国が日本の今原子炉政策に沈黙を守ってるかというときに、2基の原発の新増設を認めたという背景にですね、この日米原子力共同体というものを前提として、
「まさか日本は核の傘に留まりながら、脱原発なんていう選択が成り立つとは思ってないでしょうね」
っていうニュアンスが伝わってきます。
従って、自国民の安全が大事だからということで脱原発っていうことを非常に大事な考え方なんですけれども、であるならば、そことの整合性において「核の傘に留まって」という選択肢が果たしてどこまで意味があるのかっていうのをよく考えなきゃいけない。
そこでなんですね、そのギリギリの考え方の中から、もちろん核の傘の段階的相対化というものを目指すためにも、『非核のための原子力』っていう考え方を敢えて申し上げたいと思いますけれども。
オバマの「核なき世界」に呼応して、この間ソウルで行われた各サミットにおける日本の存在感の低さに対して衝撃を受けると思いますけれども、平和利用に徹した専門性の高い技術基盤を維持することは、国際社会でのこの方向への発言基盤として大事なんだという考え方について、どこまで理解が得られるかわかりませんけども、私は大事にすべきだというふうに思います。
そういう中で、具体的に私は電源供給の2割という意見を出してるわけですけども、それの中身をブレイクダウンすると、先ほども議論になってましたけども、概念的には1990年以降に稼働させた原発20基プラス新設2基、さらに一部小型原発の可能性、更には原子炉技術の進化等を視界に入れながら、技術基盤を維持して2割前後かなという考え方です。
もう一点だけ申し上げさせていただくと、そういう中でできるだけ日本のような先進国、技術を持った国は、多様な選択肢を持ったエネルギーミックスを組み立てた方がいい。「化石燃料だけ引っ張って来れればいい」という話ではない。そうなると、電源ソースを組み合わせて、国民に選択させるといいますか、要するに料金体系を二つ以上提示して、例えば今日出てるエネルギーミックスの考え方に沿って、そのコストに見合って、そのコストが透明でなきゃいけないですけども、国民に提示して、例えばA型、B型、C型があってもいいかもしれませんけども、例えば原子力、再生可能エネルギーを最大限重視した形の料金体系。それから原子力を一定比重維持した料金体系。国民が考えて選択する。そういう考え方が提示することが供給者と消費者の対立なんていう構図でモノを捉えていくということを克服していく考え方ではないかなというふうに思います。以上です。
(三村委員長)はい。ありがとうございます。次は、枝廣委員、よろしく。
36:00頃~
(枝廣委員)はい。ありがとうございます。
私の方も資料を出させていただいております。資料番号降っていないんですが、阿南委員の次に置いてあると思います。パワーポイント2枚組の資料になります。
前回出張で出られなくて申し訳ありませんでした。議論に主する選択肢ということでいくつか意見を述べたいと思います。
めくっていただいて一つ目は、省エネ10%一律でということで、今回の選択肢作られつつあるんですが、そこに行く前にやはりもう一度、電源構成の前に需給サイド、需要サイドを重視、省エネを進めるというのは、大臣も繰り返しおっしゃっている、委員長もおっしゃっている、私たちの共通認識だと思いますので、前回委員提案ということで需要予測、GDPの成長率は慎重ケースよりも低いのを一つ分析に加えましょうということを決めていただいて非常に嬉しく思っておりますが、それに加えて、省エネの度合いも、今出ている10%に加えて20%というのも加えて分析をしていただきたい、選択肢に含めていただきたいというふうに思っております。
理由はいくつかありますが、理由①というところに書いてあります。慎重ケースと委員提案ケースを比べた場合、例えば節電10%の場合と20%の場合と、かなり供給しなくてはならない量に違いが出てきます。ですから、もう10でおいてしまって、供給の方を頑張りますというところだけでやるのではなくて、供給で頑張る、その頑張る力の入れ方を節電の方にももう少し政策を作って、こちらも頑張っていきましょうということで選択肢の幅を広げたいというのが一つ目の理由です。
次のページ、2番目の理由として、昨年の夏に節電を大きく私たちはやったわけですが、もちろん産業界を中心に無理のあった節電だった部分もあるかと思います。しかし、無理ではなくこれからも続けていけると言っている一般の生活者86%という世論調査がありますし、まだまだ節電できると答えている世論調査、55%の人がそう答えているというものもあります。ですから、昨年例えば家庭部門ですと17%程度節電していたと思いますが、それを10で決めてしまうんではなくて、深堀して政策でもサポートしながら節電する、省エネするという選択肢を是非入れていただきたい。
そして現在の省エネ10%に入っていない施策がまだまだたくさんあります。今回私たちが議論しているエネルギー基本計画は、できた後実際に今度は各省庁が政策を詰めていくことになると思います。その時に2030年まで睨んでいるわけですから、大胆に大きく政策を作れるような形で、選択肢を是非、もうひと頑張りしたものを作っていただきたい。
特に日本の場合は、既築住宅の対策が遅れています。これは7ページに書いてありますが、新築に関しては建築基準法の義務付けということでこれから進んでいくんだと思いますが、8ページにありますように、日本の住宅を見ると、この新築ではなくて既築の部分も非常に大きくて、こちらの方も同様に対策していかないと、これはなかなかエネルギーの需要、もしくはCO2の点でも難しい流れになってしまうと。
海外を見ても、新築だけではなくて既築についても省エネ義務化が進んでおりますので、この辺りまで2030年を見込んで、踏み込んでいただきたいなと思っています。
そして捲っていただいて12枚目になりますが理由の4、生活者が省エネということでいうと、自分もできるということでエネルギー政策を一緒に考えていくことができます。なかなか供給部分の話だけですと、それは任せざるを得ないという部分が出てきますが、我が家でもできるというところで、エネルギー問題をそれぞれが引き受けて考えて行動するものにしていくためにも、ここ一律10で置くのではなくて、もう少し深堀して20だったらどうなるかということを是非置いていただきたいと思います。
二番目の選択肢の作り方のポイントの話が(2)ですが、原子力発電、今も話になっていますが、パーセントだけではなくて新増設の実際の数として提示をする必要があると、これは国民が議論するうえでという意味です。14枚目にありますが、例えば慎重ケース、提案ケースの場合、ここに書いてある「40年で廃炉にした場合、70%の稼働率」ということで計算すると、慎重ケースで10%の節電ですと13%というのが原子力発電の割合になります。もし、選択肢で20%ということを出すのであれば、それは単にパーセントではなくて、そのためには次のページにありますが、9基新増設、リプレイス、または寿命延長が必要になると。25%というのは16基。35%というのは30基そういった対策が必要になるんだと。
やっぱりパーセントと言われてもなかなかピンと来ないので、実際に「何基新しく作るんですか?」「何基もたないといけないんですか?」ということを中心に議論が多分なされると思いますので、数字としてパーセントだけではなくて、これを出して行く必要があると思っています。
3番目は先ほどから話が出ていますが、選択肢Eですね。原発35%。これはこれまで繰り返し「依存度を下げる」と言われてきていて、「今の計画よりも下がっているから35%も選択肢だ」と、これはこちら側の作り手側の論理化もしれませんが、普通の人たちにはなかなか通じないと思っています。
250円のバナナがあったとして、「安くするよ」と言われて350円になっていました。これは普通安くなったとは言わないわけで、聞いてみたら「500円に値上げするつもりだったんで、だから3割引きで安いんです」と言われても、なかなかこれは庶民の感覚では納得できない。「それは違う。信用できない」という話になってしまいますので、この私たちの委員会からどういう選択肢を出すかという時に、これをやはり入れるべきではないですし、どうしてもこれを入れる必要があるんでしたら、「原発依存度を挙げるんだ」という選択肢として出すべきだというふうに思っています。
4番目のステップは先ほど飯田委員のおっしゃったことと、もう少しそれを素人っぽい言い方になりますが、考え方として「減らす」か「同じ」か「増やす」かというのがまずあって、「増やす」というのは有り得ないというのは一番最初の基本的なスタンスですし、「減らす」ことを大前提としているわけです。「減らす」としたらゼロまで減らすので、あるところまで残すのか、最終地点がどこかということと、それからそこまで行くペースはすぐなのか、それともある時間を置いてなのか。そういった選択肢で前にもお話しましたが、2030年のスナップショットだけではそこは判りえませんので、どこに向かってどういうペースで動いていくか、その時2030年はどうなのかという形で選択肢を作っていく必要があると思います。
少し細かい点ですので説明はしませんが、事務局、委員長にこれからの選択肢の作り方、もしくは議論で少し整合性、もしくは資料、数字等、見ていただきたいというところがありますので、後で事務局の方で補っていただければと思います。以上です。
(三村委員長)はい。ありがとうございました。次は河野委員、よろしく。
44:00頃~
(河野委員)はい。2点話をさせていただきたいと思います。
まず1点目は資料を出しておりまして、資料15です。ちょうど枝廣委員が指摘されたことと同じなんですが、まず1点目です。
現在のエネルギーミックスの選択肢の省電力の前提ですが、2010年度対比でマイナス10%とされています。前々回ですか、20%は検討できないのかという意見がありましたが、私はやはりマイナス20%のケースも分析の前提に加えるべきであろうというふうに思います。この場合、もし10%だけでなくて20%の省電のケースも加わるということであれば、今出ている各シナリオの電源構成ではどういうふうになるかということなんですが、これは人によって多分違うと思いますが、変更してもいいし変更しなくてもいいということだと思います。
なぜそういうふうに考えるかという根拠なんですが、仮に10%ということの省電を2010年度対比で考えた場合、東京電力管内では2011年に比べて電力需要量が増加するということにするんですね。もちろん昨年の夏場の電力需要の落ち込みというのは、もちろん電力使用制限がありましたし、前年との気温差も相当影響していると思いますが、すでにその東京電力管内では、ある程度省電力が多くの経済主体の前提になっているというふうに思われます。現実に2010年対比で2011年はどうだったかといいますと、8月の最大電力量を比べますと、2010年8月対比では17%減少しています。もちろん2010年は非常に熱かったですけれども、2007年から2008年、2009年の平均をとっても、15%減なんですね。そういった意味では、繰り返しですが2010年対比で10%の省電というのは、東京電力管内では2011年に比べて電力需要が増えちゃうよということなので、これは減らすべきではないかというふうに思います。
2点目なんですけど、もう一つそういうふうな意見をいうことの理由は、散々私がこの席で言ってきました成長率の見通しとも関係してます。成長率は結局3通りのシナリオになりました。1%、政府が掲げてる大体平均の1%が中心値で、政府の成長戦略シナリオ2%が高めの数字。三つ目がゼロ成長のシナリオ。ただ私自身は本当を言うと、経済分析の認識からいうと、ゼロに近い成長が中心で、1%が成長戦略シナリオで、むしろゼロよりも低いシナリオというのも2000年代の状況から考えると下がってる可能性もあると。
ただ、それはいろいろ難しいという議論もこの席でもよく判りましたので、であれば、高い成長を前提としていることによる需要の課題推計を抑えるという意味でも、それを暗に盛り込むという意味でも、最大のケースとして省電20%を入れていいんではないかというふうに思います。
ここから若干、この点について補足をさせていただきたいんですけど、裏のページに例えば皆さんよくご案内のとおりでありますが、 1991年から見ると、まず一番低いものの推移が1991年を100としました鉱工業生産の推移を書いておりますが、基本的におほとんど横ばい、ないし91年を100とすると2011年は平均で90ということで10%減でありました。GDPを見ますと、この間、1991年が100だったわけですが、2011年、20年間で114,115くらいということであります。この間主に家庭用の電灯というのは、100だったものが161.6倍になり、主に企業向けの電灯以外のものは100だったものが120という状況になっております。
要は、家庭用の電力というのは、基本的に3.11以前というのは民生用については省電の努力はほとんど行われていなかったということです。電力制約がなかったので、家電メーカーをはじめ多くの企業は結果的に、電力消費量の増加を助長するような家電とかそういったものを提供してきましたが、今後家計部門の省電力思考が高まれば、それに対応したサービスを企業が行っていくということになるので、かなり省電が期待できるのではないかというふうに思います。
もちろん産業界の方は非常にご苦労されているのは判りますが、たまたま今日いらっしゃったこのメンバーでもいらっしゃいますが、電力消費量の大きいセクターっていうのは、鉄鋼であり化学ということなんですが、この部門については大きなコストということで相当なご努力をされているということはよく判っておりますが、製造業含め他の部門については、恐らく皆様がやられている努力に比べると、まだまだ絞る余地があるということなので、10%だけでなくて20%も入れてもいいのではないかというふうに思います。是非これはご検討いただければと思います。
あともう一点なんですが、2点目、今の指摘された部分なんですけども、原発の比率を2割、或いはそれ以上の数字を挙げられている方は、実際新規の増設等についてどう考えられているかという指摘がありました。私の立場はAの立場でありますから、基本的に数字としては私は、実際の社会的コストを消費者に正しく負担していただくという制度を作るべきだというコンセプトなので、直接原発どのくらいにすべきだという認識はないんですが、是非この意見を寺島委員がお話されたように話を全員からちょっと聞いてみたいと思います。
ちなみに私が前回一番始めの段階で予測として数字を作っていた時に、原発の比率はゼロから10ということでした。これは決して10%にすべきと言ったわけではなくて、要は老朽化の問題であるとか、新増設が難しいと想定すると「MAXは10%くらいしか有り得ないだろうな」という私の予測値から出たものだったわけですが、さきほど飯田委員がおっしゃったとおり、多分10%超えてるということは新増設するということなんですが、それはそういうことなんでしょうか?更にどのくらい作られるかということをちょっとお聞きしたい。ひょっとしたら私が計算間違ってる可能性があるので、そうではないということであれば、それはそうだと思います。
あと、これはこれまでも散々議論出てきましたけれども、私自身はきちんとさまざまな事業者がコストを負担するということで、負担をしないんであれば本来的にはその電源によって発電をすべきでないという立場ですが、ただそうはいっても別の理由によって・・・例えば原発をやる可能性がある、それは今日寺島委員がおっしゃられたようなことだと思うんですが、それを明確にした上で政府がそのコストをいくらかかるということであれば、それは検討の余地はあり得るんじゃないかという気はいたしました。以上です。
(三村委員長)はい。ありがとうございました。今日良い意見、皆さんに出していただいて非常にいいと思いますけど、ただ時間もありますので、できれば次以降、まだ十何人札が立ってますから、できるだけ簡単に簡潔にお願いします。次高橋委員、よろしくお願いします。
52:15頃~
(高橋委員)はい。選択肢についてと、それから自分の定性的な意見と二つ述べさせてもらいます。
まず、資料1の選択肢ですが、前回も申し上げましたが、非常に偏った選択肢であって、数字を中心に分けただけですので、なかなかこれに国民の皆さんに「選択して下さい」といっても無理だろうというふうに思います。
先ほどからもう議論は出てきてますので、あまり繰り返しませんが、特にC,D,Eの差がさっぱりわからない。Eは論外として、CとDについても何が違うのかよくわからない。敢えて言うと、C-1がちょっと解釈がよく判らないんですが、「減らしていくんだけども2030年は20%なり残ってますよ」ということで、あとC-1とDは同じで20%か25%か、どちらでも結構ですが一定数値を確実に維持していくということであれば、二つくらいの違いは出てくるかもしれませんが、この結局書いてある内容がほとんど一緒なんですね。C,D,Eのは。ですので、非常に偏った選択肢である。
やはりこの問題とも関連して、資料の6-1ですよね。国民からのご意見ということで、「やっぱりこういう議論の進め方はおかしい。数字ばっかりの選択肢はおかしい」という意見が資料の6-1に載せられておりますので、是非皆さん、事務局も含めて読んでいただきたいと思います。このままでは定性的な議論と定量的な分析は、本当にちゃんと組み合った、ちゃんとした政策パッケージにならない、選択肢にならないというふうに危惧しています。自分の意見がどうのこうのというよりも、良い選択肢にならない、国民にとってよく理解できない選択肢になる危険性を感じますので、もう少し、この前も申し上げましたけど「スナップショットじゃなくて、2020年、例えば2040年の状況を皆さんどう思ってるんですか?」ということを事務局側がアンケートすれば、一週間で答えが出てくると思いますので、2030年の数字で経済モデルを回るのは結構ですけれども、本当の意味で選択肢として減っていくのか維持なのか、或いはもしかしたら増えるのか、その辺がちゃんとまさに定性的に判るような選択肢にしていただきたいと思います。
もう一つが、じゃあ定性的に議論するのはどういうことなのかということで、資料13について、簡単に説明させていただきたいと思います。
植田委員も似たようなご意見をお持ちだと思いますけども、私がかねてから申し上げていたのは、システムを選択するんだということです。システム選択ということが今回の選択肢の基本になるべきではないかということです。赤いべったりと塗られた資料です。
1ページ目のほうからいきますけども、その基本というのはやはり二つの選択肢、二つのシステムを選ぶというところがあるのかなと思っています。私はそれを以前から「集中管理型」と「自律分散型」と呼んでいます。別の言葉を使えば「現状維持」と「構造改革」ということで、現状維持とかに私、連名の方が勝手に分類してしまった方々はご不満をお持ちのようですが、現状維持とかインクリメンタリズムっていうのも非常に大事なわけですよね。全ての政策は、構造改革を毎年やってたら、市民は混乱してしまうわけでありまして、むしろ多くの政策は現状維持なわけで、それは胸を張ってそう言えばいいわけですね。
ただ今回の3.11の事故を踏まえて、我々はどちらを選ぶんですかということを決めるべきであって、別にインクリメンタリズムが悪いということではないんです。
具体的にどういうことかというと、そこに大きくまとめてありますけれども、結局「政府とか既存事業者が大きな役割を今後も果たし続ける」のか、「そうではない。ここで大きく方向性を変えましょう」ということなのかということです。
もちろんこちらには移行コストが大きいか小さいかという大きな違いがあります。そこはしっかりと留意すべきだと思います。
したがって、そうなってくると競争が起きるのか、それともあまり起きずに独占ということでこのままいくのかという変化、違いも出てくるわけです。
電力システムについていうと、三つ目の点線のところですけれども、やはり原発とか集中型電源ということを今後も主軸に据えていくのか、そうでないのかというような差も出てきますし、当然システム運用の方もやっぱり発送電一貫でやったほうが原発の推進は明らかに進むわけですね。既存の一般電気事業者に頑張ってもらって、国策でもって30%とか決めて「何基作るんだ」とか決めたほうが、明らかにこれは原発の推進は進む。逆にいえばそうしないと進まないわけですね。アメリカで別に脱原発を決めているわけでもないのに、どうして原発がさっぱり増えないのかというと、結局市場にかなり任せてしまって、政府が原発の推進に力を貸していないから、あの国では原発が増えないわけです。その結果、日本のようなシステムをやった場合には、需要家にはほとんど「迷惑は掛かりません、安心してください。停電も起きません」というメリットも確かにあったわけです。今後はしかしながらそうはいかなくて、国民の方にも一定の責任を持ってください、その結果一番下のところに評価軸ということで、安全性・経済性・エネルギー安全保障・地球環境対応というところで示してましたが、このような差異が、特に時間軸上で違いが出てくるということです。
2ページ目に行っていただいて、重要なのは残念ながら『二者択一』だということです。先ほどの事務局の説明によれば「二者択一ではない」というご指摘だったんですけど、私の意見では残念ながらこれは『二者択一』です。
結局、国役割を大きく求めて一般電気事業者にしっかりと頑張ってもらうような仕組みにおいては、なかなか競争メカニズムは働かないわけですね。「やっぱり発送電一貫でやったほうがいいじゃない」ということになるわけです。
ところが自律分散型システム、この2ページ目のところを選択すれば、1番目にやっぱり需要量が明らかに変わります。前回、委員長から
「省エネの努力とか自家発、コジェネについては、これは共通だ。共通にさせてほしい」
というご意見がありました。私はそれは同意いたしません。やはり自律分散型を選択したほうが、明らかにデマンド・レスポンスの導入が進むわけです。インセンティブが与えらえれるわけですので、ここは大きく異なってきます。
2番目のところもそうでありまして、自家発・コジェネのほうもしっかりと競争原理が働いて、コジェネをすれば儲かる、たくさん発電すれば売って儲かるということになれば、これは進むわけです。或いは、小売りの市場まで自由化をして、需要家に本当の意味で選択肢を与えれば、やはり「原発よりも再エネをちょっとくらい高くても買おう」という人も増えてくるわけです。
したがって、このどちらのシステムを選択するかによって、完全に結果は異なってくるわけです。
結果、3番目の経済モデルの有効性も異なるんだということになるわけだということは、私が申し上げてきたとおりです。
最後のページですけれども、じゃあどうするのかということは、やはりこういうことをもっとちゃんと定性的に議論をすべきだろうと思うわけです。やはり、この委員会というのは3.11を経てできているわけですから、これは何度も言ってることなんですけど、「3.11の結果何を我々は学んだのか?何を変えるのか」というところから出発すべきではないかということです。
1番目にはやはり原発の安全性の問題なわけですよね。前回辰巳委員も指摘されましたけど、原発推進の方は「安全性を確保した上で」と、必ずこの接頭句をつけられるんですが、じゃあそれは何なんだ?と言われたら、残念ながらちゃんと説明できている方がいらっしゃらない。「技術力を確信してる!」とかですね、そういうご説明はありましたけど、まさに客観的、定量的にそれを示した方はいらっしゃらないと思っています。
同じことが原発のコストについても言えるわけでありまして、結局原発の安全対策も含めたコストっていうのはいくらになっているのか、よく判らない。その反面、自律分散型のほうも、まさに今日も資料出てますけど、じゃあ再エネを導入したらどのくらいコストがかかるのか、それはしっかりと定量的に議論すべきだと思っています。
同じことがその他「集中型電源の偏重」の話とか「地域独占による融通の無さ」についても言えるわけです。「発送電一貫のまま、公益連携をすすめるべきだ」と言ってる方もいらっしゃいますけど、それはやっぱり無理なわけでありまして、それはじゃあどうやってすすめるんですか?
逆に構造改革派のほうは、よく言われるとおり「発送電分離をすればデメリットがあるんじゃないか」というところをしっかりと議論をすべきだと思っています。
このように、やっぱり何が本当に定性的な議論なのかということをしっかりと分析した上で、定量的な数字と組み合わせるということが重要だと思っております。
以上、超過して失礼しました。
<01:01:15頃まで>
2012.04.13 06:47 @aokikuchan
長文おつかれさまでした。あんまし無理しないようにね・・。
>>@aokikuchan
ありがと~
そちらも夜更かし上等な様子がうかがえますので、あおきくちゃんも無理しないでね。