※この記事は、4月5日 大飯原発、再稼働へ着々・・・【形式だけで進む再稼働手続き】に関連しています。

【動画】4月6日 後藤政志による大飯原発再稼働問題@APAST
http://www.ustream.tv/recorded/21630934 (42:26)

<追記>参考資料
【経産相HPより】
原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準

http://www.meti.go.jp/topic/data/120406-11.pdf

【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

 皆さん、こんばんは。後藤です。
 今、1年になりますAPASTの事務所から発信しております。
 今日は急なんですが、大飯原発の再稼働問題につきまして至急ちょっとメッセージを送らせていただきます。
 実は、今週の火曜日、ちょうど嵐があった日ですね。CNICでストレステストの話含めまして再稼働に関わることについてちょっとお話をしようという予定をしていたのですが、嵐で配信できませんでした。そのあと、私は昨日、おとといと福井県の小浜町のほうに呼ばれまして、特に昨日の夜、講演をしてまいりました。その時に、実は再稼働に関する新しい基準なるものを政府が出した、そういう経緯です。
 それがありますので、再稼働というのはストレステストとの関係とかいろいろございますので、できるだけ簡単にではありますけども、どういうふうに見るべきかということをお話させていただきたいというふうに思います。

【ストレステスト導入の経緯】
 まず、振り返ってみますと、福島の事故を受けまして、浜岡の原発を菅さんが止めるという話がございました。それは、「なんで浜岡だけなんだ」とかそういう議論がありましたね。その時に何を言ってたかというと、
「そもそもが福島の事故が起ころうと原発は安全審査を通ったものですから、法的には止めなきゃいけない理由はない」
という訳ですね。
「稼働は全部いつでもできるんだ」
と。それが法律的にはそうかもしれませんけど、内容的には全く酷い話であって、当然、福島の事故を受けたら原発稼働なんてできるはずないんですね。当たり前なんですね。
 ですけど、それを法的にはできる、再稼働しようとする考え方があって、それに対して流石に政府としてはそのままではまずいので、ストレステストということをヨーロッパでやってるのでそれを導入した、そういう経緯だと思います。
 ストレステストというのは、この間で出てますように、保安院が考えてるイメージは、『福島における地震、津波の規模のものに対して、各原子力発電所が耐えられるかどうかを評価をしなさい』そういう指示だったわけです。「耐えられる」という意味は、地震、或いは津波が来たときに、それによって炉心が溶融するところまでいかないという意味です。それがストレステストのやり方ということになったんですね。
 ただこの間にずっと出てますように、ストレステストには非常にいろんな問題点がありまして、そもそもが耐震設計、地震に対する指針というか安全設計も含めて、きちんと全て今まで不確定な部分をやりなおしゃなきゃいけないはずなんですけど、そういうことを置いたまま、いわばどこまで耐えられるか試してみようというレベルの話なんですね。それは設計のレベルとはだいぶ違うレベルの話なんですね
 そうすると、危うい状態になったときどこまでいけるかという一つの机上の評価なんですが、その中身たるは、非常に理想的な状態といいますか、もちろん想定してることもあるんですけど、例えば一例を言いますと、事故に至って対策をつけなきゃいけない。電源が足りないとか水が足りないとかそういうことになります。そういうときに外から電源車を持ってくるとか、そういう対策をとるということなんですが、そうすると原子力プラント自身は変わっていないわけですよね。外からそういう小手先の対策をやる、そういうことになってるんですね。それをもってやっていくと、ストレステストでどこまでもつという評価をしてるわけです
 そうするとその前提条件には、気象であるとか、夜間であることは考慮したとか言ってますけど、それはそれとしまして、例えば非常に、実は私、昨晩大飯のほうに行って来たんですけど、少し離れた小浜市の方から大飯の反対の方から大飯原発を見たんですけども、結局あそこの地域、若狭湾の地域というのは非常に入り組んだ、ちょうど三陸海岸と似たような海岸になってるんですね。非常に細い道路が繋がっていて、距離は近いんだけど非常に行きにくいんです。そうすると、あれは避難する場合にも大変だし、支援することも非常に難しいです。一つの道路が遮断されたらどうしようもないですね。
 で、保安院のところのストレステストでは何を言ってるかというと、
いや、確かに道路は遮断されるかもしれない。その時には、船とかヘリコプターでやります
とこういうふうに言ってるんですね。これは皆さんも福島の時の事故を思い出していただくとよく判ると思うんですが、ヘリコプターとかそういうものの限界とか環境とか考えた時に、そういうものがあるから対策はできるというのは、すごく楽天的なんですね。もちろん、ヘリコプターによって解決できる場合もありますけど、解決できるとは限らないんですね。
 そうしますと、非常にひとつのアクセス、つまりそこに行くこと自身が難しいものに対して、安全の対策を立てたということ自身がそもそもおこがましいと私は思います。
 ですから、基本的にはプラントの中でガードできる、そういうふうに設計を変えるべきだ。
 例えば飛行機でいうと、外からの力によって結果としては耐えられなくなって墜落したとします。同じことが起こる可能性があるんでしたら、飛行機の設計を変えます。帰るまでは絶対に飛ばしません。これは当たり前ですね。
 ところが原発は、プラント自身を変えてないにも関わらず、
「いや、もしこうなったときにそれを支援することをやるからいい」
という、そういう考え方をとってるんですね。
 それでストレステストというのは、こういうふうにして問題が有るということが一つあったんですが、それに加えて特に一次評価という、一次評価というのは炉心溶融までなんですが、それ以降の例えば水素が出て爆発してしまうとか、それから格納容器からベントしなけりゃ漏れてしまうとか爆発してしまうとか、そういうことについては評価の対象外なんです。一次評価というのは。
 そうすると、そういうことも考えずにどこまでもつかということ自身が安全性とは程遠い議論なんですね。これは、私は他の委員会に井野さんとかも同じようなことをおっしゃてましたけど、基本的にはそういうことに対して安全委員会がそもそも一次評価で不十分であることをはっきり言ってるわけですね。安全性の保証として意味を成さないといいますか、意味を成さないまでは言いませんけど、「それでは不十分である」ということははっきり言ってるわけです。
 そうしますと、保安院がそこまで一次評価でとりあえず中身においてはこうなってることを認めた。その認めたということは、「安全なんですか?」質問に対してどういう答えになるかなんですね。
「大飯3,4号はこれこれの地震に耐えられます。これこれの津波に対して耐えられます」
というシミュレーションをやったと。
 そうするとですね、これは委員会の意見聴取会の中でも私は最初から言って保安院に聞いてるんですけども、
「ストレステストをやることによって何が確認できるのか?安全だということが確認できるのか?」
と、これはかなり厳しく話をしました。その結果、委員のだいたいの合意として、
『ストレステストをもって安全だということを言うのは無理がある』
というのは大体の共通の認識になった。
あるのは、そうはいっても意味が無いという話をいったならば、
「意味がないことはないだろう。あれをやったことによって弱点がわかる。その弱点を改良していくのがストレステストの意味だ」
と、こういう話になってます。そういう意見がほかの委員から出て、私もそれ自身は合意しました。つまり、弱点を見つけてそれを改良していく行為だと、それ自身はまずいことであるとは言わない。
 ただ、そうやって努力していく動きはそれで安全が確保できることとは全く別問題なんですね。
 つまり、
「一生懸命やります。努力しますから判ってください」
っていう主観的には、気持ちとしてはいい。だけども、結果は伴ってない。安全が確保できてるとはとても言えない。
 そういう関係になります。
 ですから、そうしますとストレステストの結果を受けて、保安院が「安全だ」とはいってないんだけども、「福島並のものに耐えられる」と言ったわけですね。それをもってマスコミに出るときには『OKが出た』と、そういう表現になるんですね。それで安全委員会に回っていく、そういう構造になっています
 安全委員会の場合は、そこに対して少なくともいくつかのコメントをしながら、特に
「2次評価までしないといけないんだ」
ということを言っています。安全に対して少なくとも、現在の再稼働という意味の背景にある原子力の安全について、「これでもう安全だ」ということは原子力安全委員会は一切言ってないわけです。
 言ってるのは、保安院がさきほどいいました「福島並の地震、津波に対して一定耐えられるというのを確認した」というのを言っている。

【『福島並み』の耐震とはどういう意味か】
 そこでいくつか問題が有ります。 
 まず『福島並みの地震』というのは何なのかということですね。
 『福島並みの地震』というのは、設計基準地震動の福島においては1割程度を越えた程度だと言ってるんですね。
 それに対して、
大飯3,4号では、設計基準地震動の1.8倍くらいまで耐えられるということが判った。だから1.1より1.8倍のほうがずっと大きいので十分余裕がある」
と、こういうことを言いたいわけですね。
 ところが、もとになる設計基準地震動というのは、大飯でも今回わかったように、二つ考えていた活断層、それが繋がって同時に連動するということ、それまでなかなか言わなかったけど連動することを考慮するということになって、二つの断層が動いて700ガルのオーダーの地震が来るということだった。
 今回はそれにもう一つ繋がって活断層がありまして「それも連動する可能性があるんではないか」ということを以前から言ってたんですけど、なかなか認められなかった。
 最近になって、やっと地震、津波の評価の意見聴取会のほうでそれが通って、「当然全部連動させるべきである」ということを大飯の3,4号機のストレステストの結果が出した後で言ってる。それで、保安院はやっとこれで重い腰を上げて指示を出したんです。
「三つとも全部連動してやることを考えてやりなさい」
 そしたら760ガル程度ですか?1割程度上がるだろうというふうに言ってる。ただし、
「1割程度だから1.8倍あったんで、それよりも1割程度減ってもまだ大丈夫だ」
と、そういうものの言い方で保安院はGOをかけてるんですね。
 これはですね、そもそもどのくらいの規模の地震がくるかということを特定することが非常に難しい状況にあるわけですね。これは今の地震学の方の状態から考えても、もちろんある部分は科学的に判る場合があるんですけど、全てが判ってるわけじゃないんですね。
 そうすると、「ある地震より大きなものは絶対来ないか」とか「この津波より大きいのは絶対来ない」とかそういうのは言えないんですね。誰も言えない。
 そうすると、見つかったことに関して評価をすると判る。例えば活断層は活断層によって???判るかもしれないけど、「活断層が見つからなかったらどうなのか」とか「違った現象が起こったらどうなのか」とか、そういうことを考えると、最大規模の津波とか地震ということを我々が特定できない状況になる。専門家としてその分野の専門家ができないんです。
 そういう状態において、1.8倍が安全であるとか安全でないとか、1.8倍というのは具体的には1,300ガル弱、1,266でしたかね、ちょっと数字間違ってたらごめんなさい。1,2数十ガル、そのくらいの値ですね。それだけの加速度に対して耐えられると言ってる。
 では、柏崎でどういう地震が来て、柏崎刈羽の発電所を襲ったかというと、あそこで少なくとも考えなきゃいけない地震動って1,699とか、そういうオーダーの地震は来てるんですね。想定されてるというか、実際にあった。そうするとそういうものをとっくに超えてるわけですね。1,2数十ガルなんていうのは。
 そうすると、それだけの規模のことがありうるというのは、
「いや、あそこは地層がどうだった」
とかいろんな条件言うんですけど、そういうものの細かい評価をもって特定できるほど、今の科学の方法と、特に調べるという行為、それにおいて確実であるとは私は思えないんですね。
 それが証拠には、津波の話にまた話が飛びますけども、どれだけの津波が来るかということ、歴史的な津波を見て「何mだ。10m来た、20m来た」ってやってるんですけど、それは一つの指標ではありますけど、それだけでは判らないわけですね。太平洋側の今回シミュレーションをやった結果、太平洋側の厳しいとこでは30数m、30mを越える津波が来るとシミュレーションをやってるわけですね。それは、さらに入り江があったりそれぞれに変わりますので、浜岡では15,6m、15m単位ですか、すいません、細かい数字を覚えてないんで、福島並のものに対して今防潮堤を作ろうとしてる。だけど、今回のシミュレーションをやったら21mの津波がくるということがわかったと。だから、保安院は今度は「21mで対策をすべきだ」ということを浜岡に言ってると、そういう状況にあるんです。
 そうすると、ついこの間まで「14,5mでいい」と言っていたものがシミュレーション1個やっただけで21mになったんです。今度シミュレーションをやってもっと大きな値が出たらどうするんでしょうかね?21mの防潮堤を作った。だけど25m来ないと誰が言えるんでしょう?自然現象ですからね、そう簡単に言えないんですね。
 そうすると、そういう外的な、外部事象といいます。外的な地震・津波というようなものを想定するときに、今まで決定的にそこが間違ってたわけですから、その反省がないままに「これで安全」なんてことは絶対言えないんです。
 それを考えると、『福島並』というのは全く意味を成していない。これが一点です。

【多重防護への姿勢】
 更に、その上で、では、津波・地震が起因事象、つまり原因となって電源が失われたり、冷却系統が駄目になったり、或いは格納容器の圧力があがってきてベントしなきゃいけないとか、そういうことが諸々判ったわけです。
 そうすると、その一つ一つに対して対策を当然考えなきゃいけない。なぜかといいますと、例えば「防潮堤が高くて津波が来ない、だから後は安全です」ということが言えるならばいいですけど、前からお話してますとおり、原子力プラントというのは、想定してその想定どおりにならない、想定外まで起こるということを考えると、安全装置が突破される可能性がある。確率が小さくても。それを突破されたら次のところでガードする。つまり多層防護というのをやるんです。その多層防護の論理で津波に対して、今度浸水したらどうで、電源が無くなったら、冷却がどうなるか、格納容器が・・・これは多層防護してるんですよ。それで安全性を議論してるのに、後ろ側の多層防護をやらなかったり、これは「中長期的な課題です」、具体例でいいますと、例えば「格納容器からベントしなければいけない。その時にはやはりフィルタがいるでしょう」という話になっていた。そこまではいいですね。
 では、フィルタはなぜいるかというと、多層防護の最後のところで一番重要なファクター、重要なものだ。福島の事故の一番、帰結なんです、結論の一つなんです。そのことの対策を「これは中長期的な課題として、あとでやればいい」というふうにあとに送ってるんですね。
 これが非常に安全性の「あ」の字もない議論何です。
 これは、繰り返しますが多層防護ということではないといったら別なんですよ。ロジックで一つの、これだけは守れば安全装備が働くんだったらいいんです。
 原発はそう設計されてないんです。
 そうすると多層防護で最後まで頑張ってやるというのが意味なのに、その多層防護のあちこち主要な部分において欠落してる。「これは将来やればいい」ということにしてるんですね。

【30項目の意味】
 これが実は、技術的な知見として今まで評価してきた30項目あります。30項目というのは、それなりに例えば、外部電源の話、それから所内の電気設備、冷却注水設備の話、格納容器の破損とか水素の爆発の話、管理、計測系、だいたいそういう項目に分けて30項目ある。
 私はこれをどう見てるかといいますと、個々に於いて指摘としては、こういうものだろう、必要であろうと認めるところもあります。
 ですけど、『対策』という面においては、全然抜本的じゃないんです。『できそうなこと』をやってます。明らかに。
 これは、もう少し基本的に考え直さなきゃいけないと私は思ってたんですが、それでも一応今申し上げた冷却の話とか、それから電源の話とか格納容器の問題とか計測とか、それなりに項目として出してるわけです。それはそのことを対策すればいいということに関していえば、若干の対策としての不十分さはあるにしても、それなりにやるべきことを言ってるなという印象がある。そうすると、少なくともこれで全部とは思えませんけど、少なくともそれを保安院側から「これをやる」と言ってるんですね。「やるべきである」と自分たちで言ってる。

【政府の指示した『新安全基準』】
 「その30項目を条件にするか」という話になったときに、その後の政府の発表ですね。なにをいったか『新基準を作る』と。『新基準』っていうのは新しい安全の基準を作るそうです。
 私には、意味不明なんですがね。「安全の基準を作る」というのはどういうことか。
 なぜかといったら、福島以降に未だに福島の事故はなんであったかというのは、きちんと詰め切れてない段階で、その中で30項目が出ていて、これだって不十分なんだけど、その不十分な30項目をさらに「これは表現が判りにくいので、判りやすい基準を作る」ということを野田首相が指示を出したんですね。それを受けて、『新基準』なるものはどうかと開いてみたら、今言われてることは30項目のうち13項目。ほとんどこれは何もしないでもできてるものです。しかもできてるといっても、プラントの中にあるものじゃない。外にあるシビアアクシデント対策なるもの。
 繰り返しますが、シビアアクシデント対策というものは、プラントそのものの設計を変えてるわけではない。そうすると、もともとその見解を持ってるプラント、具体的には、メルトダウン、つまり炉心溶融してしまうような特性をもともと持ってる。
 
【『フェールセーフの破綻』】
 特に、マークI型の格納容器に弱点があることは明らかだし、沸騰水型はもしかすると格納容器が小さい、圧力抑制プールが働かないとそうなるという問題がわかってる。それから、多様性・多重性から考えると、冷却系でも電源が無いときに働くはずのアイソレーションコンデンサは蒸気駆動で電源が無くても働くはずだったんですね。ところが働かなかった。その時には、アイソレーションコンデンサは格納容器のところを貫通して、突き抜けて配管が出てますから、そこのところで電源が落ちた途端に隔離機能が働いて格納容器を隔離する。これは安全上重要なことなんですが、隔離機能が働いたことによって冷却が自らできなくなっちゃったんです。
 これは、本来設計では考えたつもりだけど、つまり電気が来なくなった。そしたら自動的にバルブが閉まって隔離をすると、格納容器から漏れないように。これは一つのフェールセーフというって安全側と取ろうとする考え方です。ですけど、閉じ込めてしまうけども、だけどある部分は水を流さなきゃいけないわけです。それは隔離機能よりも冷却機能を優先しなきゃいけないんです。フェールセーフといって閉じちゃいけないんです。開いておかなきゃいけないんです。これは、設計上の基本的な問題なんです。
 私はそのときに「なんで閉じてしまってる、開いておけばいいでしょ」と言ってるわけじゃないんです。じゃあ開く状態で冷却系を働かせたら、その時に格納容器が大量に放射能が出てきて、それをあるところの配管切れちゃってた。そしたらバルブは閉めなきゃいけないんですよ。そうすると、隔離機能を優先するか、冷却機能を優先するかというのは、事故のあり方によって変わるんです。つまり、フェールセーフが成立してない。
 これを私は『フェールセーフの破綻』というふうに言ってるんですけどね。それが今回起こってるんです。そういう基本的な問題に関して、設計の基本にまで戻って議論してない。せいぜいバルブが壊れた時にオープンにするかクローズにするかってそういう議論だけを委員会の中でやってるんです。
 私はものすごくそれは技術の事故と特に原発の事故に関する問題を矮小化しすぎ。そんなレベルの話をしてたんでは、また再発するのは目に見えてるんですね。
 そういう観点から私はこの30項目に対して批判的なんですが、それでもかなり場当たり的と言えどそういう問題を出してきてるわけですよ。

【計測系について本当に改善すべきことは】
 計測系でいえば、水位計が駄目だったとか、いろんな状態把握するための温度計とか圧力計とか、そういう状態を把握することのシステムが電源が無かったためにダメだったんですね。ですけど、電源がなかっただけじゃないんですよ。炉心が溶けてきていたら、それに対して計測系が耐えられないんです。圧力、温度。
 そうすると、「そもそも今ついてる計測系はこれでいいのか」という、そういう議論なんですよ
 ところがそのことは全く触れないままに、「電気が落ちたから計測ができなかった」、これは本当に技術者が考えることか?と私は思うんですね。技術者が考えるべきことは、確かに「電源がないと計測系はダメだから、電源を多重化して多層化して、今度は測れるようにしよう」という努力はいいです。ですけどそれだけじゃダメで、今回の水位計であったように、温度が上がったのに水位計が全く機能しないまま、しかもその水位計が間違ってるということが、つまりメルトダウンしてると・・・5月まで「してない」って言ってたんですよ?電力は認めなかったんですよ。それはなぜかというと、「水位が正しいと思ったから」なんですよ。一つには。
 そうするとね、水位計問題っていうのはものすごくでっかい問題で、水位計そのものだけでプラント止まっちゃうんですよ。そういうことに対する反省が全く見えないでしょ?
 それでもって、なんかワイワイと外から電源車だとか、放水がどうだとかポンプだとか、このレベルをしてるのでは、原子力の安全性を議論してるとは全く見えません。
 これが非常に技術的な意味で、私はこれら対策は全く対策になってないと思います。特に、30項目あるうちのいくつかを選んだというのはどういうことかといいますと、事故のシーケンス、事故のプロセスの中のある一つの「こうなって、こうなって、これが壊れてこうだね」って、これに対して対策するんです。他の対策については対策にならないんです。

【水素爆発のシーケンスと原子炉型による問題点】
 例えば一例申し上げましょうか?
 格納容器はベントしなきゃいけない。だから、ベントできるようにシステムを考えましょうってなってますね。それでベントした時にフィルタをつけましょう。ロジックとしてはいいですよ。ですけど、それはですね、それをやったら格納容器は大丈夫かというのは全然意味が違います。もし炉心が溶融してきたときに、ベントすればいいんだったら簡単なんです。大した話じゃない。
 だけどそうじゃなくて、その時水素が出てきたら、水素に対して爆発をどう防御するか、非常に重要な問題になります。窒素を封入してたから今回は中で爆発しなかった。だけど外で爆発しちゃった。そしたら、これは長期にこういう状態が続くと、中の窒素も出てきますから、だんだん水素爆発の危険性が、現に今そうです。そうすると水素に対する長期的な対策もできてない。
 大飯原発でいうならば、大飯は加圧水型の大きな格納容器ですから、中には窒素封入してません。「容器が大きいので、水素が出ても爆発しない。爆発限界までいかない」と言ってるんです。
 本当ですか?
 私はそれはすごく楽観的すぎると思います。水素が大量に出るんですよ?
「空気があってその中で爆発することは、大規模な爆発は起こりえない」
って言ってるんです。
 私はそれはね、非常に危険な評価だと思います。きちんとそれは本当にきちんと評価しなきゃいけない。
 なぜかというと、事故のシーケンス、事故のあり方によるんですよ。例えば容器全体に本当に拡散してうまく広がる、理想的な状態でいくとは限らない。あるところでこうくという形もあるわけです。そうすると予測できないような事態が重なって、水素爆発を起こしたらどうか、その時にそういうことを考えて沸騰水型では窒素が入ってるんです。小型で。だけど加圧水型は入ってないでしょ?そしたら、水素爆発のリスク、危険性はものっすごく高いです。ケタ違い。そのことを理解しなきゃいけない。
 意見聴取会でも私はそれを指摘してるんですけど、「水素の問題、どうなのか?」って言ったときに、
「大飯3,4号のように大きな容器では大丈夫です」
 他のタイプもあるんですけど、アイスコンデンサ型っていう、氷を入れて冷却しながら、ちょっとコンパクトにした加圧水型の容器があるんですね。そういうタイプもあります。
 そうするとその場合には、これは沸騰水型では水で圧力抑制したんですけど、アイソレーションコンデンサで格納容器の容器を小さくしてる場合には、これはまたそれが働かなかった場合、いろいろ生じうるんですね。そうすると水素対策も非常に問題があるんです。
 これは現にアメリカなんかでも、これは問題になって悩んでるところがあった。
 そういうことを引きずっている、今でも引きずっています。
 そういう対策について正面から議論なされて、徹底的に対策がとられてるかというと、まともな議論さえしてない。
 私はそういう中で、原発の再稼働っていうのは、本当に信じられないといいますか、なぜそういうことになるのか、技術的な意味でそういうふうに思います。

【再稼働プロセスの異常さ】
 さて、技術的にはそういう背景があるわけなんですが、そうすると手続き上考えてみましょう。
 福島の事故がありまして、では安全をどう考えるかっていう議論が今なされているにあたって、一つには事故調査。それからそれをもとに分析して検討していくことになるわけですね。そこの議論の中に、例えば30項目も入ってくるかもしれません。ですけど、少なくともそういうことに対して、全部それを総合化して、ストレステストも含めて、今のプラントに対策も含めて安全なのかどうかという議論を今やってるわけですが、少なくとも厳密な意味で安全だということは保安院も言ってないわけです。さきほどいいましたように。「福島レベルではこうだ」というのを言ってるだけ。
 そうすると、せいぜいあるのは「福島並のものに対して大丈夫だと思うんで、このくらいだったら安全だと思ってくださいよ」と保安院が言った。安全委員会はさきほどいいました「2次評価もやってないし、このままではあまりに安全性の評価としては不十分である。ただし、安全委員会は自分たちは再稼働ということについてのコメントをする立場にない。安全とは言ってない。」安全の確認はしてないんです。ですけど、「コメントを差し挟まない」ということを言ってるんです。
 そうしますとですね、日本で今、技術の分野から、誰が原子力、今の現状、福島以降の日本の原発を安全だと言ってるんでしょうか?どなたでしょうか?
 責任をもって、それを「安全だ」と言い切る方がいらっしゃるんでしょうか?
 ということです。少なくともそれはオフィシャルには無いですよね。
 そういう中で『新基準』ですか?13項目のことを受けていて、それで3つくらい基準を出してるみたいですけど、
全電源の対応してる、すでにやってることと、更にストレステストでやってる内容と、更に今後の取り組みも含めてそういう姿勢を見せればいい、将来的な計画を出せばいい
とそういうことを言ってるんですけど、それを『新基準』として出すということは、技術的な判断、技術的に安全だということを誰も言ってくれないので、それを勝手に新しい基準、「これが安全だ」というものを作って、それを元に評価をしようという姿勢なんですね。
 これですね、いくらなんでも、ここ2,3日でそれをやると言ってるわけですね。2,3日でやって「これで安全だ」と言おうとしてる。
 これは無茶苦茶なわけですね。
 なぜかといいますと、1年経っても未だに福島の基本的な事故に関する問題、いろいろなところでの技術的な問題は解決してないし、いろんな問題が推測されるんですね。そういう状態の中で、しかも誰も安全だと言ってない中で、少なくとも政府、政治的な判断をするとおっしゃっている4大臣ですか、大臣がそれを自分たちのほうから、今まで下から上がって来たんじゃないですよ。上から指示をして「新しい基準を作れ」と保安院に言って、それを作らせてそれでいいことにしようと言ってるわけです。
 言われてるほうの保安院というのは、旧態依然と福島の事故の原因を作った、むしろ原因を作った方の立場の役所ですね。つまり規制庁としての、原子力規制としての役割を果たしてこれなかったところなんです。そこにそういう指示をだしてださせて、本来福島の事故で反省したところの原子力規制庁を立ち上げようとしてるんだけども、それすら立ち上がってない状態で、これで安全ということを政府は言おうとしてるんでしょうか。
 もし仮にそれを言うと、どういうことになるかということを考えてみてください。
 自ら言った『原子力規制庁』ができてない。
 耐震設計・安全設計審査指針も安全委員会としては「改定すべきだ」といってても何もしてないまま。
 ストレステストという、それでは安全性の評価もできてないということも言ってる。それをただやってるだけ。しかも2次評価もやってない。1次評価だけで。
 それをもって、「安全だ」と言おうとしてる。
 こうすると、先ほど申し上げました、日本では原子力の専門家、或いはそこを規制する立場、或いはそれを評価する側としては一切安全だと言ってないままに、『政治的にGO』をかけようとしてるわけです。
 これは、非常に危険だということが一点ですね。

【異常なプロセスでの再稼働が何をもたらすか】
 それと同時に、もう少し違った側面でインパクトがあります。
 日本は、福島の原発事故で世界中、世界中から少なくとも技術の先進国としての観点から見た時に、非常に信頼を落としたわけです。特に技術的な内容と同時に、ものごとの発信、日本からどういう情報を出すか、その観点からものすごくマイナスになってるんです。
 その状態の中で、今回こういうことで再稼働しようとしたとき、私は世界からつまはじきにされると思います。
 それは賛成とか反対とか、そういう意味じゃないんですね。
 こういう状態の中で、安全が確認されない中で、政治的に再稼働しようとする日本という国。或いは、そういう形でしか動かせない日本の科学技術を管理する、それに携わる人間、その総体、日本総体が世界から、これは馬鹿にされると私は思います。
 バカにされるし、信用されない。
 そんなもの信用する人いません。世界中で。
 これ推進するとか反対するとか、そんな意味じゃない。中身においてそうなんですね。
 そうしますと、
「一体日本という国はどういう国なんだ。安全に関してそういう・・・全く安全というものを考えてない国なんだ」
 そういうふうに見えるわけですね。

【大切なことは】
 ですから、私は少なくともストレステストに関して、もし仮にストレステストということで判断の一つにしようとするならば、前から申し上げてますように2次評価までして、2次評価というのは放射能が出てくるものがありますから、その時にどのくらいの範囲まで被害が出てくるかということを示すわけですね。半径何㎞くらいどうなるか。
 その最悪の事態を住民に示して、そこでそこの人たちが自らそれを判断する。
 それ以外に判断の基準はありません。安全の基準に関しては。
 その時に、大切なことは、『最悪のシナリオ』をきちんと出すことです。
 なぜかというと、原発に於いては多層防護、多重防護してますけど、確率は落ちても突破される可能性があることを認めてるわけです。ということは、最悪の事態があることも認めてる。最悪とは何かということをきちんと出して、つまり最悪というのは炉心にある、或いは使用済燃料にある放射性物質がほとんど大量にバッと出てしまうということなんですね。しかもその現象の中には、今回は免れたような水蒸気爆発であるとか、爆発的な現象がいっぱいありうるんです。
 そういうことを考えますと、最悪のシナリオというのが単に絵空事ではなくて現実にある。前にもお話しましたとおり、もし1,2,3号機メルトダウンしましたけど、そのどれか一つが水蒸気爆発とか他の要因によって爆発的現象を起こして、格納容器が大破する。そうすると、プラント全体に近づけなくなりますから、その周囲は全滅していく。例えば仮に2号が駄目になったら、それによって格納容器が駄目になると、1号、3号、4号も近づけなくなる。冷却もできなくなる。全部そのままメルトダウンして、更に格納容器もダメになっていく。こういうシナリオが見えるんですね。
 これは一つのプラントが逝ったらそうなる。集中立地では。
 そうするとその最悪の時に放射能がどこまで降るかというと、これ30㎞とか40㎞とか50㎞じゃない。100㎞じゃ済まない。もっと行くかもしれない。
 こういう関係なんです。
 なのに、現在安全委員会では30㎞圏を影響の範囲として見てる。
 これは過小評価もいいところなんですね。福島の事故から何も学んでないということになります。
 そうすると、大飯原発3,4号で見ると、若狭湾のあの辺を見ますと、もう30㎞圏だってそうですけど、50㎞くらいになってくると琵琶湖も入ってくるし大変な影響あります。ですから関西圏の人たちは「これは地元である」ということで主張してるわけです。大阪府の人たちも反対だと言ってる。それから地元でも、大飯そのものだけじゃなくて、隣にある小浜市であるとか他の地域も影響あるわけです。
 ですから、滋賀県、琵琶湖を抱えてる滋賀県は非常に心配してるわけです。
 それに対して政府は何を言ってるかというと、「再稼働への安全基準」、これ安全基準じゃなくて「不安全基準」なんですけどね、不安全基準を出しまして、更にその旨『地元の同意はいらない』と言ってるです。
 これは何事ですか?
 『地元の同意をいらない」 というのは、『意見は聞くけど同意はいらない』というのは何かというと、
「このことは政府が勝手に決めることである。専権事項である」
と言ってるんです。
 ということは何かといいますと、政府は何を言ってるかということを本当に自覚してるかということなんですが、
「最悪の事故になったときに、今言ってる政府は全面責任を負うんですね?」
ということなんです。
 それを覚悟でそういうことを言ってるんでしょうか?ということなんですね。
 これは、安全委員会が例えばですね、「全部安全であるから、これはこうだ」と言った後に評価するんだったら、まだ少し判ります。「技術的なことは政府は判りませんからこうだ」ということでいい。
 ですけど、技術が全く不透明で判らないといった状態で政府が責任を負うということは、これは野田さんね、枝野さん、それぞれの国の政治家のトップの人が、
「私が技術的なことに対して、責任を負う」
ということを言ってるわけですから、その構造がおかしいし、そんなことは私はとても信じられないことなんですね

 菅首相はあそこでいろんな技術的なことで、コメントしたといわれています。それは細かい是非はわかりませんけど、ベントのことにしろ海水注入とかいろんなこと言ったといってますよ。そのときに、散々外から批判してるんですね。「そういうことを言うのはおかしい」とか。
 現政府はそんなものじゃない。実はあれ(菅首相の件)はそれほど影響あったわけじゃないんです。関係ないんです。議論としてあっただけ。
 現政府は何をやろうとしてるかというと、全てのことを全部、全責任を持って稼働に向けてるわけです。
 ちょっと長くなってすいません。一応私も少し、本件については非常に気にしておりますので、そういうことで今日はお話をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
 また、CNICでもきちんとまたお話する機会があるかと思いますので、よろしくお願いします。
【以上】

失礼します。
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