※この記事は、2月21日 【内容起こし】原発輸出と外為法 後藤政志氏の解説@CNIC『日本が原発輸出する体制にあるのか』【前半】の続きです。

<35:00頃~>
(後藤氏)この時に日本ではこういう武器は第1項、それで第2項からずっと15項までありまして、1項から15項が全部リスト規制となってて、2項が原子力とか核兵器、核燃料とか原子炉とか真空ポンプとかそういうのがあるんですけど、これが50項目以上あります。さらにそれが細かく指標が書いてあって、このように化学兵器、生物兵器とあって、通常兵器があって、ここまでが規制されてる。
 これ以外のものをキャッチオール規制としてる。

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ここの15項までに属するものがあると、これは申請の対象になる。
 先ほど言いましたが工作機械とかそうですね。軸受なんかもそうですね。軸受っていうのは、軸が回転するベアリング軸受が規制されてる。
 これは、核兵器を例にとってます。原爆です。
 原爆を作るには、ウラン、プルトニウムが要りますが、それだけじゃなくて、こういう形とか形状を加工しなくちゃいけないんですね。高性能の爆薬のレンズとか中性子源、点火装置、こういうものが組み込まれてるわけですね。これに関わる周辺のものとか技術が規制対象。原子爆弾も。水素爆弾になると更にこういうものが関係してるということになります。
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 これを実験的に確かめるために計測装置とかセンサーとか解析装置とかこんなものまで規制対象になります。
 これは原子力プラントです。沸騰水型の例ですけど、核燃料、原子炉圧力容器、炉心構造物、制御棒、再循環ポンプ、燃料取扱装置、これが大体対象です。ほかの一般の配管とかは規制対象じゃないんですね。

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 これがPWR=加圧水型でも同じように規制される対象が決まっています。
 キャッチオールといってる、(リスト)規制対象の時は申請するってことになってしまうんですけど、キャッチオールのときは、相手、客観用件といって2つあるんですね。用途要件と需要者要件。需要者要件っていうのは、それを何に使うのか。
「軍事的に使わない?」
って確認を取る。それから相手は大丈夫か。
「いや、嘗て核兵器を制作してた企業だ」
ってことになると、これは規制対象になるわけですね。

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 国によって注意すべきことがありますけど、ホワイト国っていうのはここに書いてあるんですけどね。

ホワイト国


 つまり、外為法っていうのはどうやるかっていうと、リスト規制かどうか確認して、リスト規制だったら輸出許可必要!そうじゃなかったら、キャッチオール。キャッチオールで用途と需要者が大丈夫じゃなかったら、心配だったら、問題があったら許可申請。要らなかったらこっちへ。

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 こういう関係なんですね。細かい部分は省略します。
 これをリスト規制に該当するかどうかを該非判定と呼んでるんですね。リスト規制というのは、先ほど言いましたように、大量破壊兵器又は通常兵器に関わる貨物です。リスト規制技術というのも、これに関わる技術ですね。

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 ちょっと面倒くさいのは、調べていくと面倒くさいことがあるんですね。

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 例えばこういうシステムがあってね、これが半導体静電気破壊試験装置なるものがある。これを該当か非該当か判定するのは結構面倒くさくて、これをシステムとして全体としてまず判定する。その次にコンポネントで部位、部品に分かれる。例えばネットワークアナライザとしてけっこうの塊がある。それから直流の電源装置がある。それからパソコンがある。そうするとこのパソコンは該当するかしないか、この電源装置は該当するかしないか、こういうふうにしてるんです。しかも、この中にプログラムがある。このプログラムも判定します。そういう関係なんですね。
 これは判断がこういうふうにして該非判定をするときの注意事項があるんですけど、これも省略します。

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 ちょっとこっちは切れてますけど、技術とは何かっていう、これがちょっと面倒です。技術とは貨物の設計・製造・使用に必要な特定の情報をいいます。

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 物を作ったり設計・製造しようとするといずれかに当てはまる技術情報ということになります。データもこういう形は問われる。
 それから技術指導、技能訓練、作業知識の提供、コンサルティング、こういうものも問われるということになります。

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 これは先ほどのね、居住者・非居住者の欄がありますけれども、これが結構問題になるんですね、今。非常に難しいというか、仕方がないんですけど、「あなたは居住者なのか、非居住者なのか」って一人一人定義してもらわないと、法的に違反になるかどうかの瀬戸際ですから非常に重要なんですね。これきちっと理解しとかないと大変なんことになります。
 それから、例外事項があります。

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 規制許可を要さないものがあります。例えば基礎科学分野の技術内容は関係ないんです。例えば、ある新しい発見的なものがあって、科学的な知識とかそういうのだったら、別にそれ自体は規制対象にならないということがあります。
 それから、公知の技術。公知っていうのは、皆が知ってるときには、不特定多数の人が公開されてる技術情報は、それは誰でも見られるわけですから、規制の対象にはならない。そういう関係になります。

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 それから、特許の取得。特許のための情報も関係ありません。特許は公開されますからね。
 つまり何を言ってるかというと、核兵器の作り方というのを仮に本に書いたとします。これは本で売ってますから、皆読めますよね。そしたら、核兵器の作り方を私が例えば外国人に情報を出しても、それは逮捕されません。ですけども、本には書いてない情報で、ちょっと原子力の原子炉に関わるところの情報があって、それを気が付かないで向こうに外国人に渡したとすると、これは外為法違反になります。そういう関係なんですね。
 ですから本当は、外為法っていうのはちょっと変な法律で、変なっていうとおかしいんですけど、実は多くの人たちはあまり意識してない。知らないんですけど、知らないで例えば海外にものを送ったり自分が行ったり、そういう情報提供したりすると、外為法違反にひっかかる危険性があるんですね。だから、大きな枠は知っておいた方が良いです。そういうものが規制されてるかどうか、ざっとざっくり。

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 コンピュータなんか、普通のコンピュータは大丈夫です。ですけど、特殊なものは気を付けた方が良いですね。
 管理対象っていうかいわゆる展示会とか海外出張とかこういう研修生の受け入れとか、こういうものを含めて、こういうのがあるとそこで非居住者、日本人じゃない人に情報提供する格好になることがある。だからその時には規制対象になるので気を付けないといけないんですね。
 ひとつ、外為法っていう枠は外れますけど、先ほど言いましたように、外為法っていうのは国際レジームの枠の中にあります。枠というのは国際レジームで決まってる約束事を日本に持ってきて法律化してる。米国も当然同じようにやっています。というか、米国の方が先なんですね。

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 米国の輸出管理法はちょっと違う。これはEARっていうんですけど、米国輸出管理は、米国の法律ですよね。だから、日本にいる我々は守る必要はないです。守る必要はないっていうか、守らなかったからといって、米国が我々に米国管理法違反を問うことは・・・問うたとしてもわざわざ捕まえに来ることはできませんね。そういう意味では米国管理法は、我々は守る義務があるわけではない。
 だけど、米国はこう言ってるんです。米国の輸出管理は、国籍で管理してる。もう一つは域外適用。国籍は、さっき言ったいわゆる居住者か非居住者か、そういう考え方ではなくて、どこの国の人間かで決まってしまう。
 例えば、さっき管理対象として問題になる、イランならイラン。イランの国籍の人が日本に来た。その日本に来たイランの人に私がたとえば原子炉の図面を渡したとする。そうすると、それはまず日本の場合には、イランの人が日本に来て長期にわたっているとか、契約関係があるとかなんとかで問題なくて、居住者扱いになってしまえばいいんですけれども、アメリカは国籍管理ですから、どこに居ようと国籍は決まってるわけです。イラン人でしょ。だからイランの人に私が勝手に渡したら、これは米国管理法では問われる。しかもこれが問題です。『域外適用』、アメリカの国土だけじゃない。アメリカは北極だって南極だって、世界中どこでだってやると言ってるんです。これがすごい。
 だから怖いのは、こういうことです。米国管理法違反をしたときには、どこでもやるということは、日本で例えば今米国管理法違反するでしょ?そのときはアメリカも捕まえに来られない。でも、いろんな情報から察知しておいて、いろんな網を張っておいて、日本で「あ、後藤のやつが輸出した」ということを知っておいたら、私は気をつけなきゃいけないのは、日本から出てハワイに遊びに行ったときは危ないんです。ハワイの土を踏んで米国の管理下に入った途端に、逮捕される可能性を持つ。あるいは、拒絶される。
「お前は米国管理法違反してるから入れない」
とかそういうことがあり得る。そういう構造を持ってるということですね。
 これはすごい構造なんですよ。
 それで、ちなみに言っておきますけど、こんなことを言ってる国はアメリカだけ。他の国は一切やってません。『域外適用』とんでもないでしょ。
 そうすると、もしこれが「こんなの平等性から考えるとおかしいじゃないか」と考えると、日本もこういう管理をしたらいいじゃないかと考えるわけですね。それはとても難しいんですけど、例えば日本も同じように米国管理法と同じように『域外適用』を適用するとどうなるかというと、日本の持ってる技術、日本が開発した技術を海外でやりとりした時には、日本の了解が取れている、そういうことを世界中であらゆる国を始めたらとんでもない話になります。そういう関係。
 ちなみに、米国管理法はこういうふうなECCNというのがあって、5ケタの番号があるんですね。5ケタの番号、アルファベットと数字の組み合わせになってるんですけど、それをもってどういう対象であるかがわかるようになってるんですね。
 ですからアメリカからモノを輸入するときに、これが規制対象になってるかどうかは、このECCNを調べるといい。ECCNがわかれば、これが核技術であるとか何々のコンピュータ技術であるとそういうことがわかります。それによって管理の仕方が決まってるんですね。
<48:20頃~>
 ここからが原発の輸出に関係します。
 そもそも外為法の問題点といいますと、私の気になるところは、原子力を輸出する立場に立った場合の課題、原子力を輸出することは、私は好ましいとは思っていません。それは後程私の個人的理論を申し上げますけど、そうじゃなくて、原子力を輸出するとした場合にこういう問題があるんですね。

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 リスト規制の項目が全く不規則に無前提に決まっている。つまり大量破壊兵器等に必要なものと技術は決まってるんです。これがなかなか判りにくいっていうことですね。非常に。
 そもそも該非判定することが難しい。技術の専門家と外為の規制内容をよく理解いsた人が共同でやっと判定ができるようなもの。そういうものが少なくない。
 そうすると規制当局が規制内容を必ずしも理解しているとは限らない。
 これも問題なんです。規制当局がどこまで法律を理解してるかといいますか、法律の枠は理解してるかもしれないけど、ここにありますが、技術の側が、例えば原子力の中身を規制当局は知らないんですよ。それで法的には縛ってるわけですね。そうするといろんな問題が起きます。内容と法的な問題。一応法律ですから、正確にやろうと書いてあるはずなんですけど、適用においては非常に難しい問題があります。
 ですから、相談に行っても明確な答えがもらえない、こんなことがどうしても起こります。
 意図的な違法輸出はともかく、グレーゾーンの判断ミスによる外為法違反が厳しく処罰される可能性があります。実際に輸出国でそれはやってる。
 それから懲役のある強制法規で、これほど恣意的に運用される、そういう危険性がある法律はないんじゃないか。
 そういう失敗をこの間何年か輸出産業等をやってきた立場からは、そういう心配を私はしております。

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 それから輸出許可や役務提供、これは技術の提供なんですけどその審査(安全保障貿易審査課)に時間がかかるんですね、どうしても。通常早くて2週間から内容によっては数カ月。今はもうちょっと早く出来ると思いますけど、申請するとそういう関係がある。
 それから、もう一つ大事なのは、原子力に関わるところは、ここの役所の経済産業省の輸出許可審査の請求をする前に、NSG=ロンドンガイドラインっていうんですけど、この規制されているものに対しては、あらかじめ外務省で2国間で外交手続きをします。外交手続きで「これからこういうものを輸出しますよ」って相手の国と了解をとって、外交文書を交わさない限り、経済産業省は輸出許可を受け付けません。ですから、原子力、核の技術とかそういうものを輸出しようとすると、事前に2国間の協定、つまり外交手続きを必要とします。それは何か月もかかるわけですね。
 つまり、簡単に輸出しようとして「よろしく」といって出すわけにはいかないんです。外交手続きまでいるんです。だから、より手続きがむずかしい。
 それと、外務省で相手の国に行くわけですけど、相手の国の許可がでて初めて輸出の許可申請ができますから、非常に時間がかかる。ものによっては年単位でかかる。
 これでは国際共同原子力研究所や原子力プラントの輸出が時間的な制約から問題になる。特に原子力プラントの国際入札では決定的に不利になる可能性がある。こういう関係になっています。
 それで、安全保障貿易管理が一番問題になるのは、私は原子力事故の時の災害援助のネックになるということなんです。
 これは、輸出・役務許可不要となる例外の中にこういうことが入ってます。
『原子力事故の緊急支援』の項目がありますが、ただし、これは『無償で輸出し無償で持ち帰ること』の条件がついています。

 どういうことかというと、原子力の事故が起こった時に、<音声不良>
 ちょっとすいません、途中で切れちゃいましたけど、重要なポイントなんでもう一度お話しますと、例えば原子力プラントを輸出したとします。そうすると、その時に向こうで輸出先で、トラブルが起こったり或いは事故が起こった。そうすると事故が起こった時にどうするかというと、緊急支援ですぐこちらから専門家が行ったり、機械を輸出したりします。その時に例えば機械を持ち出すときに、
「緊急だから原子力事故時の災害救援ということで、緊急に無償で輸出して無償で持ち帰る」
と特別条項を使って許可を要さないで出そうとします。そうすると、それで持ち出したいんですけど、問題は『無償で持ち帰る』ということです。
 『持ち帰る』ということは、原子炉の中に事故の時に持ち込んで、ロボットでも入れて、放射能で汚染するでしょ?そんなものを持ち帰るなんて考えられない。原子力事故の時に軽微なものならとにかく、持ち帰るなんてありえない。そうすると、これは何の役にも立たない条項なんですね。
 ということはどうなるかというと、手続きをしましょう。はい。外交手続きからです。アメリカに対しても外交手続きですよ。もちろん東南アジアに対しても。そうなると、その国で
「緊急事態です。事故です。あと24時間以内に持ってきてください。」
ってなったときに、
「ちょっと待ってください。許可申請しますから」
「どのくらいかかりますか?」
「2週間」
「勘弁して、1日でやって」
 まぁやるかもしれません。
 でもちょっと待ってください。
 経済産業省としては、頑張れば1日2日でやるかもしれない。頑張れば。ですけど、その前に『外交手続きをして下さい』。
 外交手続きをして、無効の了解を得て、2国間の協定が結ばれて、それからこの手続きに入る。
 これはとんでもない時間がかかるんですね。
 こういうことが、私が申し上げたことは何かというと、これから本気で日本は原発を輸出しようとしてるかというと、そんな環境は整ってない。外為法上。そういうことを申し上げてるんです。
 これは本当に1条項で小さく見えますけど、実は非常に重たいんですね。

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 つまりですね、原子力災害の時には、緊急で貨物や人を送り込み、事故の影響緩和(ミチゲーション)に力をいれる。それは当然ですよね。原子炉内に持ち込むような計測装置や機器は汚染する可能性が高く、持ち帰ることなど考えられない!
 更に、そもそも事故に至るトラブル発生時に、緊急でモノや人を送らなければ本当に大事故になってしまう。
 そうすると、こういうことが担保されない状態だったら、きわめて危ない。国内でも私も原子力プラントやった経験ですけど、トラブルが発生したら夜中でも、例えば柏崎まで計測器を持って、タクシーに乗って行くんです。どれくらい時間が掛かろうと。とにかく行って、事故の収束にあたる。トラブル収束にあたる。これは原則で常識なんです。
 そうすると、海外でトラブル起こった時どうするのか?
 外為法のために極めて深刻なものになる。
 ましてやそれが外為法で事故が拡大したとなれば大問題になります。
 そもそもがね、原子力プラントを輸出しようとしますよね。例えばベトナムにしましょう。では、ベトナム側がどういうと思います?
「当然、事故があったら全面サポートしてください」
 これは当然やりますよね。契約だってそうなるでしょ?その時に今の外為法でいったら、それが実行できないようになってしまう。
 これは私が現役時代にこれに関わってたんです。私はこの専門委員会の委員長の役をやってたんですけど、役所に対しても申請してるんです。
「このままじゃ危ないから、さっきの条項なんとかしないと原発の輸出の関して問題あり」
と。
 私は個人的には原発を輸出するのは是とは思ってませんけれども、そうではなくて、
「法的な枠組みだったら、このままでしたら輸出はできませんよ」
ということを言ってたわけです。これはかなり厳しい正式の文章で出ています。
 ですけど、未だに私は変わったという話を聞いてないです。法律の範囲に出ても、完全に綺麗になってないように見えます。
 そうすると、原子力プラントを供給することは電力会社としてメンテナンスやトラブル・事故対応の質は、国際的な信用にかかわるため、こうした対応ができてない日本は、国際入札では不利になるというか、契約なんかできません。基本的には。私はそういうふうに思います。

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 なぜかというと、原子力プラントっていうのは、安いだけ??はない、安全で品質が良くてメンテナンスが全部ね、場合によっては保険まで含めて丸裸にしないと出来ないんです。
 その中から考えたら、この体たらくでね、外為法のレベルでこんなことになってる国のプラントなんて輸入したいとも思いません。全然だって、補償の限りじゃない。売りっぱなしで助けに来てくんない。そんなプラントなんて有り得ないです。
 アメリカだって絶対そんなことしなかったです。日本に対して。
 そういう関係になります。
 つまり、日本は建前はそういうことを言うんだけど、原発輸出するとか言ってるけど、実務レベルでは絶対そういうことは、全くやってない。それが日本のダラしないとこですね。
 私は極めていい加減だと思います。
 それは安全規制も感じるし、こういう貿易管理、こういうとこにも輸出することの是非を抜きにそういうことが問題なわけですね。
 それは私は是非指摘したかったので今日お話ししてるんですね。

 さて、ちょっと話を変えます。
 では、原発の輸出についてどう思ってるかというと、これはちょっと別次元です。法的な枠組み話はさっきのとおりで、「なってなかったらできるはずないだろ」って言う話と、それとは別途に、やはり原発は私が思うのは、単なるプラントの輸出ではない。ですから、もし特にアジア向けであれば、法的な枠組みとか安全管理、運転・保守技術、トラブル対応、事故対応まで全て、日本側が提供することになると思います。
 そうすると、こういうものをやるというのは、相当、単なるものの輸出だけじゃ済まない支援が必要なわけですね。
 更に、非常に厳しい管理を要求されますから、そうすると、現地は『現地の文化の違い』がものすごく起こります。摩擦が。
 これが気を付けないと事故になるんですね。
 その国が良いとか悪いとかじゃなくて、慣習が違うんですね。
 例えばインドにボパールという地域があって、そこで化学プラントの酷い大事故がありました。
 何万人もの人が亡くなった。
 あの事故は、毒ガスが出たんですけど、その時には管理の在り方と文化の違いがあるんですね。
「こんな言い方しなくても」
と思うかもしれませんけど、プラントを運営してる時にタンクの圧力がどんどん上がり始めた。制御が難しくなってきた。その時に「大変だ」といって担当者が当直の技術者のとこに行ったんです。管理者のところに。管理者は、お茶を飲んでて、
「いや、まぁまぁ待ちたまえ。」
 15分くらいお茶の時間にしちゃったわけですね。これで事故に発展してる。
 そういうことがあるんです。
「そんなことは日本ではないだろう」
って言うんですけどね、それは『文化の違い』なんです。そういうカルチャーが違っていて、そういうことも含めて管理ができますか?って言ったら、私はそんな簡単だとは思いません。
 ルールを決めたらできるというのは、それはそんな単純じゃない。特にカルチャーの違いは大きいです。同じような文面に書いて同じ管理をするとして、国によって全然違うと私は思います。
 その時原子力に、はっきりいって向いてる国と向いてない国があるかもしれません
。そのくらい。それがどっちがいいのか私にはわかりません。
 そうすると、万一大事故を起こすと、日本は半永久的に、日本で事故を起こすことを私は心配していろいろ申し上げてますけど、それだけじゃなくて、万一海外で輸出したものが大事故を起こすと、その日本側は半永久的にその事故の補償をしなければいけない。
 これは第二次大戦の補償問題っていえばお分かりになるでしょう。未だに第二次大戦に対して補償問題は言ってくるんです、アジアは。そういう関係になってしまう。
 一旦そういうことを生じてしまうと、国際関係の中で非常に難しい問題になる。責任問題になります。
 原子力に於いては、私は確実になると思います。
 特に、対等な関係で原子力について対等な関係だったらいいんですけど、対等ではない。日本と東南アジアの関係だったら、東南アジアの側では、
「よく判らないけど、日本だから」
といって安心してると思うんですね。頼って輸入するかもしれない。
 そうすると日本が丸抱えで責任を負う。そうすると、そこで起こった、例えばベトナムとかインドネシアとかそういうとこに仮に日本の原子力プラントができたとして、それが事故を起こした時には、その国の面倒を半永久的に見るんですよ。
 そんなことは経済的に見たら大変なんです。とても信じられないです。
 そうしますと、たかだか1基3000億か4000億のプラントをそれを輸出するために、そういう本当に国がね、どうこうなるレベルのリスク、危険性を抱えたいんですか?っていうことを申し上げたい。
 そういうことを輸出対象にするっていうのは、経営陣としてもね、全く理解できません。経営者のリスク管理上。これは、怖くてできないです、こんなことは。
 これは「やれる」って言う人は、非常に無責任な人です。
「自分がもうその時には居ないだろう」
とかそういうレベルの人たちですね。
 私はそういうのはとても道義的にも許されざることだと思います。
 我々の子孫、或いは子供、孫、さらにその先の人たち、そういう人たちが安心して安全に、しかも経済的にもちゃんと自立していけるためにはどうするかというと、そういうリスクを抱えるというのは、輸出も含めて原発の問題だとそういうふうに思っています。
 どうもご静聴ありがとうございました。
(澤井氏)今日、いつもの原子炉の話ではなくて、貿易管理ということでこのようなお話を私たちも初めて聞いて、大変びっくりしています。
 それで、やはり日本は武器とか技術、やっぱり簡単に出せないようにずっとしてきたんですね。
(後藤氏)それは日本だけじゃなくて国際的にそういうふうにしていて、特に日本は海外へのよく言われるのは、厳しくきちんとっていうか、ある意味できちんと貿易管理をやっていると言われています。
(澤井氏)そうですね。ですから、これは政策的に原発輸出ということが言われているわけですけど、やっぱり全く違う社会構造を作ってから・・・
(後藤氏)そうなんです。だから、私はこの原子力を見てね、思ったのは、原発の輸出の問題から考えた時に、
「核っていうのは違うな。特殊だ」
 ここのところで、これまで気が付かなかったんだけれども、
『民生用の原発っていうのと原爆は違うじゃないですか』
っていう議論がずっとありますよね。外為法を見てると、くっついてるんです。同じなんです。同じ枠のものの中なんです。
 結局そこのところが、根っこなんです。
 原爆から来てるわけですから、そのことを外為法を見たら、改めて感じるんですね。
(澤井氏)そうですね。
(後藤氏)それまでは、ちょっと私はプラントメンバーにいましたからね、
「原発の技術は民生用であって、核兵器技術とは違う、一線を画してる」
とみんなそういうふうに言ってきたし、そういうふうに思いたいと来たんですけど、外為法を見てるとはっきりわかる。
 やっぱり核の技術なんですよ。そうするともとは同じ根っこなんですね。そういうふうに見ざるを得ない。それで外からもそう見られる。
 だから、何かあった時にいわゆるMOX燃料がそうですよね。なんでMOX燃料やってるかというとプルトニウムが溜まるからですよね。あれはまずいのは、プルトニウムっていうのは原爆・水爆の材料になるでしょ。その材料をいっぱい抱えるのは国際的に問題がある。
 北朝鮮下で核の問題になるのと同じように、日本でもプルトニウムをどんどん溜めてたら、日本は核的な準備をしてると見られても仕方がない。それでそれをIAEAから査察が入って、透明性を見せて、
「日本はそんなことやってませんよ」
っていうふうにしてるんだけど、本質的にはそういう構造になってるわけです。そうするとそれが溜まるのが困るから、核燃料の中に入れてMOX燃料にしてるわけですね。それはすごく矛盾した問題を抱えているわけですね。
 そんな関係になってると思います。
(澤井氏)それからやはり輸出問題に関して、経済性だけではなくて、私たちがもっといろいろな問題を考えていかなければならないと思います。
【以下割愛・・・】

原発、輸出したいですか?

失礼します。
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