※この記事は、
2月27日 民間事故調報告書:各紙の報道の様子をご紹介【会見は本日15:00から】
2月27日 保安院:1号機の非常用復水器(IC)の許可設計とは違う設計だった・・・【田中三彦氏の指摘どおり】
2月25日 文科省地震調査委:電力会社からの依頼で巨大津波・地震への対応表現を修正【これで指針や安全性を信用できますか?】に関連しています。


20120228 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)まず、先ほどトップでお伝えしましたニュース、民間の事故調査委員会の事故報告書がまとまりました。
 福島の原発事故に関しての事故報告書なんですが、これがですね、政府首脳を含む300人ほどの人から事情聴取したとしているんですが、リスナーがくださいました。
「東京電力は聞き取り調査を拒否したようですね。」
というふうにいただいたんですね。
 これ、再三にわたって東電に対しては協力要請があったんだそうですが、東電の清水社長や吉田所長ら関係者の聴取は東電側から拒否されたという話です。
 一番の当事者の話を聞かないで出てきた報告書なんですけど、小出さんはどう感じられますか?
(小出氏)すいませんが、私は民間の事故調査委員会というものの性格すら知らないのです。一体どういう民間の方々なのかなと、申し訳ないんですが知りません。
 ただし、東京電力という会社は、事故を起こした一番責任がある会社なわけですから、誰から問われても答える責任があると私は思うのですが、東京電力自身が問われたことに答えないということ、それはだから、民間であって本当に力の弱い方が聞いたとしても、私は答えなければいけないと思うのですが、それすら応じないというのは、恥ずかしい会社だなと思いました。
(水野氏)このリスナーはもう一つくださってるのは、
「原子力安全保安院という組織も調査の対象にしてほしいんですが」
っておっしゃるんですよ。
(小出氏)もちろんですね。
(水野氏)そうですよね。
(小出氏)これまで「原子力発電所は絶対安全だ」と言い続けてきて、そして昨年の暮れになって明らかになったやらせまでやりながら、原子力を支えてきた保安院という組織があったわけですし、その保安院が今また「ストレステストの安全性を再確認した」とか言って、原発のGOサインを出そうとしているのですね。
 そういう人たちに対して、何を考えてるのか、そしてどういう責任があるのかをしっかりと明らかにしてほしいと私は願います。
(水野氏)その保安院に関してまた新しい話が出てきましてね、福島第一原発の1号機で非常用復水器という部分、これまで工事をされて形が変わった時期があるんですが、その図面がですね、新しくされることは無く、取りつけられた40年間そのままだったというんですよ。
 これ、非常用復水器っていうのは大切な部分なんですかね?
(小出氏)私は事故というものが起きると警告してきましたし、その私から見れば大切な装置ですが、保安院にしても保安院より前の・・・安全委員会だったんだろうか、原子力委員会の直属だったのか知りませんけど、そういう人からみれば、こういう事故は絶対起きないとした事故だったわけですから、非常用復水器なんてものはむしろ余分なものだという認識しかなかったのだと思います。
(水野氏)つまり、いざという時に原子炉を冷やすためのものですよね。非常用復水器って。だから、事故は起きないという大前提であれば、別に意味のないものなんですね。
(小出氏)そうです。そんなものをまともに考える気持ちも無かった、そういうまま原子力というのは来てしまったんです。
(水野氏)そういう歴史ですか!
 ですから、今回じゃあなんで図面を工事した時に変更しなかったか、その理由を東電に対して「報告しなさい」と言ってるのが保安院なんですけどね、でも私も思ったのは、保安院って監督するとこですよね?チェックするとこだから、なんでその保安院がその図面が変わってるのにそのままにしていたようなものをOKしてたのか、その原発OKしていたのかと思ったんですが、小出さんの説明で判りました。そういうことですね。
 重視する歴史ではなかったと・・・。
(小出氏)はい。要するに保安院自身が、そんなこと想定もしなかったわけでずーっときてしまったと。ですからそれが今回の事故に結びついているわけですから、保安院自身に私は責任があるはずだし、まずは自分たちの責任を明らかにしてから、もしこれから原子力をやるというならやるということにしてほしいのですが、何の責任も取らないまま、相変わらず彼らが「ストレステストで安全を確認した」とか言ってるわけですね。
 ほんと、どうしてこんなことが成り立つのか、私にはさっぱりわかりません。
(平野氏)この1号機はですね、もともとアメリカのGEですよね。これ、アメリカの原子力規制委員会は、非常用復水器の重要性っていうのをかなり前から指摘して、アメリカの同型の原子炉については、やっぱりその部分について、すごい目を光らせてたというふうなドキュメンタリー番組をちょっと見たんですけども、日本に対しても、日本のこの福島の1号機に対しても「非常に危ういんだ」みたいなこと、これは後付けのアレかもわかりませんけど、そういう意味でも非常に重要な部分について、全く関心外っていうか、何も手当をしてなかったということは、全部出てしまったということですよね。
(小出氏)少なくとも福島第一原子力発電所に関する限りはそうだったのですね。何の・・・何の注意もしないままきてしまったということですし、今平野さんがご指摘くださった、米国の原子力安全規制委員会がどこまで本気でそれをやっていたのかって、私今初めて伺いましたけど、あまり本気でなかったはずだなと思います。
(水野氏)じゃあもう一つお役所の話をさせてください。
 文部科学省です。これは、宮城・福島沖での巨大な津波の危険を指摘する報告書を文部科学省の地震調査委員会事務局というところが作っていたんです。それは、東日本大震災のわずか8日前のことでした。 
 巨大な津波が来るという危険についての報告書です。
 それを作っている最中に、東京電力など、原発を持つ三つの会社と非公式な会合をしました。そうすると電力会社から求められたことがあります。
「巨大な津波や地震への警戒をもうちょっと変えてくれ」
と。警戒を促すような表現を文部科学省は考えていたわけですね。でも、それを「ちょっと変えてくれ」というふうに求められて、この文部科学省側の事務局は
「工夫しましょう」
ということで、修正することを受け入れていたということです。
 ・・・あの、つまり・・・なんていうんですか?こういうの。手心を加えるっていうんですか、いわゆる・・・。
 文部科学省「も」ですか?
(小出氏)意外ですか?水野さん。
(水野氏)いや、私は原子力村っていうのは、経済産業省が中心だと思っていたんです。お役所としては。文部科学省って「科学」ってついてるんだから、科学的にものを言ってるところだと思ってたんです!
(小出氏)はい。
(水野氏)あほですね、私が。
(小出氏)そうですね。
<一同笑い>
(水野氏)私、ほんまにあほやなって思いましたわ。そういうことなんですか?原子力村ってそんなに裾野広いんですか?
(小出氏)もちろんです。だって、国そのもの自身が原子力発電を進めると決めたわけですから、国の組織である経産省も文部科学省も全部一体です。それが一体になって、進めてきたわけですし、東京電力ほか電力会社、原子力メーカーを全部巻き込んでこれが進んできているわけですから、その中で手心を加えるというのは当たり前のことなのであって、そういう歴史でやってきたわけです。
(水野氏)はぁ・・・
(平野氏)まぁ文科省はSPEEDIへの問題がですね、やっぱり今回も運用をきちんと・・・もちろん官邸のせいもあるんですけど、きちんと伝えてないという、データも国民に公表しなかったという、これも犯罪的なことを文科省はしてますよね。
(小出氏)そうです。
(水野氏)そうですか・・・。「信じるべき役所はどこなのか?」と私は聞きたいです。
(小出氏)私も知りたいです。<苦笑>
(水野氏)「あったら教えてください、皆さん」と申し上げたいです。
 どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】

失礼します。
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