20120227 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)まずですね、福島第一原発の周囲、半径20㎞圏というのは飛行禁止区域だったんですね。飛ぶことができなかったんですが、それが3㎞にまで縮小されました。それで空から見た3㎞圏内の非常に接近したところからの空からの映像というのが公開されたんですが、これを小出さんご覧になったかと思いますが・・・

(小出氏)すいません、私週末ずっとあわただしく過ごしていて、実は新聞記事の写真くらいしか見ていないので、申し訳ありません。
(水野氏)記事でも非常に近いところから撮った映像ありましたよね。
(小出氏)1枚だけ見ました。
(水野氏)これは何か小出さんから見られて、印象というのはございますか?
(小出氏)私が見た1枚に関しては特にありません。私が思っていたとおりというか、破壊も酷いし、今現在雪も降り積もっているというような写真で、「あぁ、作業員の人たち大変だろうな」と、その写真を見た限りではそう思っただけでした。
(水野氏)うーん、汚水のタンクらしきものがものすごい数になってるようなんですね。

タンク


(小出氏)そうですか。私が見た写真ではそれはありませんでしたが、当然のことであって、これからもどんどんタンクを作っていかなければ間に合いません。
(平野氏)先生、これは汚水処理というのは、その場ではもうなかなかできにくいんですか?
(小出氏)できますけれども、今現在もどんどん水を入れなければいけないということになっているわけですね。原子炉を冷やさなければいけませんので、減ることは無いわけだし、必ず増えていってしまう。そして、放射能で汚れているわけですから、できる限り食い止めなければいけない。もちろん食い止められずに今でも海にどんどん流れていっているわけですけれども、できる限りやはり安全な場所に移さなければいけませんので、今現在できることは、私自身、タンカーをとにかく、巨大タンカーがいいと言っているのですけれども、それをやらない限りは、タンクを増設する以外は逃げ道はありません。
(水野氏)ただ、このような現状は、しっかりとした情報として言葉で伝えられるということが本当に無くなってきていると思うんですよ。
(小出氏)そうですね。
(水野氏)今、小出さんがおっしゃった「汚染水が海に流れている」という話もね、以前だったら、まぁ・・・わずかな数字であっても出てくるときがありましたけど、もうそんな数字すらも全く出ない、汚染水が海に流れ出してるということ、皆さん全く頭に無い方が多くなってるのではないかと思いますが。
(小出氏)と、思いますけれども、でも皆さん、ただ普通に考えていただければいいのです。
 汚染水は原子炉建屋とかタービン建屋とかトレンチ・ピット・立坑というところに溜まっているのです。ジャージャー入れてるわけですから、そういうところに溜まるしかない。
 でも、コンクリートでできてるものなのです。必ずひび割れているし、必ず漏れる以外に無いのです。
(水野氏)以前の立坑のひび割れだとか、いろんな話一杯出てましたよね?漏れてたって。それがどうなったかっていう後の話は出てこないまま・・・
(小出氏)ピットで例えば漏れていたのが、ジャージャー漏れてるのが見えたから、そこを止めたと言ってるわけですけれども、ほとんどは地下に、要するに原子炉建屋の地下もタービン建屋の地下も、漏れたって見えないのです。だからただただ放置されているだけであって・・・
(水野氏)見に行くこともできないんですね。
(小出氏)できないのです。
(水野氏)危なくて。
(小出氏)そうです。
(水野氏)『見えないこと』は『無いこと』になってるという恐ろしさですね。
(小出氏)そうですね。当然そんなことは誰にでもわかるはずだけれども、『言わない』ということなんです。
(水野氏)うーん。『言われないと想像しない』と。『無かったことにする』と、こんな悪循環に入ってるような気がいたします。
 それから、この週末二日間、政府の事故調査検証委員会というところが、海外から専門家を招いて意見を聞いたんだそうです。
 その海外から来た人たちの意見というのは、いくつかご紹介したいと思います。
 小出さん、どう思われるか感想を教えてください。
 一つ、アメリカの原子力規制委員会の元委員長さんです。リチャード・メザーブさんという方、こう言ってます。
「事故現場で線量計が作業員に行き渡るまで、3週間もかかった。これについては、信じられない対応だ。もっと早く揃えられたはずだ」
とおっしゃっています。これはどうですか?
(小出氏)はい。私もそう思います。当時は、私はそんなことを発言したことがありますけれども、線量計自身は、例えば東電の福島第二にもあったわけですし、柏崎刈羽にもあったわけですし、もちろんメーカーの在庫もあったわけですし、そんなものはすぐにでも掻き集めてきて作業しなければいけなかったのです。
 それが足りないから渡さないまま仕事をさせていたということですから、言い逃れ自身することはもちろんできないし、信じられないことだと私も思います。
 ただ、福島の第一原発は、本当に悲惨な状況だったのです。あの事故後は。もう吉田所長という人が、今はもう辞めてますけれども、彼も「死ぬかと思った」ということを彼自身が言ってるわけですし、「持ちこたえることができないから全員撤退する」というところまで彼らは追い込まれていたのです。
 それほどひどい状況の中で事故が進行していたわけですから、確かに私も信じられないという気持ちはあるけれども、原子力発電所の事故というのは、それほど悲惨なものなんだということを改めて示したということだと思います。
(平野氏)こういうことを判断する、例えば線量計の話でも、やっぱり現場だけではなくて国とか原子力安全委員会とか、司令塔が機能してなかったということが改めて浮き彫りになってますよね?
(小出氏)そうです。平野さんのおっしゃるとおりで、司令塔自身が、もう何の機能も果たさなかった。官邸と保安院、そして原子力安全委員会の連絡自身がほとんど何もないまま、指揮命令系統も何もないまま、ただただ事故が過ぎていったしまったという、その問題は大変大きいと思います。
(水野氏)フランスの原子力安全局長のアンドレ・ラコストさんという方は、
「日本では5年に1度、原子力関係の事故が起きていた。大事故があるなら日本だと思っていた」
 そんなこと今言われて、私大変ショックを受けましたが、それくらい日本は外国から見たらそうみえるんですか?
(小出氏)もちろんですね。日本の皆さんは、何か『日本というのはすごい知的レベルの高い国で、科学技術が進歩している国』と、皆さんそう思ってるかもしれませんけれども、もちろんそんなことは初めから無いし、こと原子力に関する限りは、米国から全部教えてもらって米国につき従ってきた、ただそれだけのことなのであって、日本が原子力の先進国だなんていうのは、ほんと世界の物笑いになってしまう・・・
(水野氏)そうなんですか?
(小出氏)わけです。ただし、私はフランスがそういうふうに言うということに関しては、ちょっと意義もありまして、これまで原子力を進めてきた国、イギリス、米国、ロシア、フランス、日本というような国ですけれども、イギリスでもウィンズケールの再処理工場というのが膨大な汚染を引き起こしたし、ウィンズケールの原子炉の事故も起きたし、ロシアのチェルノブイリでも起きたし、米国のスリーマイルでも起きたし、残ってるのはフランスと日本なわけで、どっちかで事故が次に起きると私は思っていました。
 幸か不幸か、日本で起きたということなのであって、フランスが安全だなんていうのであれば、多分次はフランスです。
(水野氏)なるほど。ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】


上空から福島第一原発周辺を撮影
NHKニュース2月26日 17時3分
東京電力福島第一原子力発電所上空の飛行禁止区域が半径3キロに縮小されたことから、26日、NHKのヘリコプターが原発近くの上空を事故後初めて飛行し、上空から、水素爆発で骨組みがむきだしになった原子炉建屋や作業員の様子がはっきりと確認できました。一方、原発周辺の立ち入りが制限されている警戒区域では、住宅などがそのまま残されていますが、住民の姿はなく、暮らしが消えた町並みが続いていました。
福島第一原発上空の飛行禁止区域は、これまで半径20キロとされていましたが、国土交通省が上空の放射線量を測定した結果、飛行の安全性に問題はないと判断し、25日から半径3キロに縮小されました。NHKのヘリコプターは、26日午前、福島第一原発からおよそ4キロの高度700メートル付近を事故後、初めて飛行しました。
上空からは、水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋の骨組みがぐにゃりと曲がっている様子や、爆発で壁が崩れ落ちた4号機の原子炉建屋の中から、格納容器の黄色い上ぶたがむきだしになっているのがはっきりと見え、建屋の5階付近を防護服を着た作業員が歩いている姿も確認できました。また、原発の専用港では、クレーンがついた作業船の上に白い防護服を着た10人ほどの作業員が乗り込み、海底の泥に含まれる放射性物質が沖合に広がるのを防ぐため、海底をセメントや粘土で覆う工事が進められていました。福島第一原発は、去年12月に政府が「冷温停止状態」を宣言したあとも、原子炉の注水ポンプや配管などで水漏れが相次いでいますが、原発の敷地西側には汚染水を保管する灰色や青色の鋼鉄製のタンクおよそ1000基が立ち並び、大量の汚染水を処理する困難な作業の一端が伺えました。
一方、原発周辺の、立ち入りが制限されている半径20キロの警戒区域では、住宅や店舗などがそのまま残されていますが、住民や働く人の姿はなく、暮らしが消えた町並みが広い範囲で続いていました。このうち、福島第一原発がある大熊町の町営の野球場は、国の事業で行った除染で発生した土などを保管する仮置き場になっていて、シートを引いた地面の上で、作業員が土を積み上げる作業を続けていました。また、原発の南側の富岡町では、住宅や大型店舗それに学校などが無人のまま使われない状態で残れていたほか、JR常磐線の富岡駅の周辺でも、崩れた建物や草に覆われた状態の線路が、放置されていました。さらに、原発の北側の浪江町の請戸漁港周辺では、津波の被害を受けた施設や陸に乗り上げた船がそのままになっていて、原発事故の被害の大きさを改めて感じさせていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120226/t10013292101000.html


空からの福島原発3キロ圏の惨状 原子炉建屋と周辺
共同通信(2012年2月26日)
 元の形をとどめない原子炉建屋。海際の一帯は、津波で大きな被害を受けた惨状のまま放置されていた。東日本大震災の発生から間もなく1年。飛行禁止区域が半径20キロから3キロに縮小された東京電力福島第1原発とその周辺を26日、ヘリコプターから見た。
 初めて見た第1原発の壊れ方に、あらためて驚かされた。かつて整然と並ぶサイコロのように見えた原子炉建屋は、鉄骨がむき出し。海側のガードレールはひしゃげ、タンク類も変形していた。
 周囲には汚染水を貯蔵するタンクが山のように積まれている。がれきや放射線の影響で、復旧作業は順調に進まない様子だ。
 3キロ圏に近づいても、すぐに放射線測定器の針が振れることはない。第1原発の北西側を回った時だけ、針が毎時1・7マイクロシーベルトから2・6マイクロシーベルトの間を行き来した。
 途中通過した福島県の広野町、楢葉町、富岡町では、動く人影はなく、さまよう家畜の姿が見えた。浪江町には、打ち上げられたままの漁船が複数あった。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/02/post-4872.html


福島第1原発:政府事故調の国際会議 改善の必要性指摘も
毎日新聞 2012年2月25日 19時23分
 東京電力福島第1原発事故の原因などを調べている政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)が東京都内で開いた国際会議は25日、閉幕した。海外の専門家は、日本の原子力規制や政策を改善する必要性を指摘した。
 会議は米国、フランス、スウェーデン、韓国、中国の専門家が昨年12月に公表された中間報告書を踏まえ、24日から討議した。
 このうち、米原子力規制委員会のメザーブ元委員長は、日本の原子力行政について「国際的な不信感があり透明性、公開性がないと人々から信頼されない」と述べた。
 また仏原子力安全庁のラコステ長官は「事業者として国のルールを守っていればいいというわけではない。考えうる対策をしなければいけない」と述べ、安全の責任は事業者にあると強調。スウェーデンのホルム元国際放射線防護委員長は「日本で起きた過去の原発トラブルをどう学び生かしてきたかなど、安全文化も検証してほしい」と指摘した。
 韓国原子力協会の張舜興会長は昨年12月の日本政府による「冷温停止状態」宣言に言及。「原子炉の中で何が起きているか分からず、人々が不安になっている。実態把握のためにシミュレーションをすべきだ」と提案した。
 調査委は、これらの意見を踏まえ、今年7月末に最終報告書をまとめる方針。【奥山智己】
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20120226k0000m040038000c.html

失礼します。
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