※この記事は、
12月23日 アメリカNRC:新型原発建設を承認へ・・・【航空機の衝撃でも大丈夫な原発・・・?】
7月12日 広瀬隆氏×岩上安身氏インタビュー【即刻学童疎開を!】@IWJの内容起こし【その⑤】に関連しています。

Arnie Gundersen, Nuclear engineer
【動画】アーニー・ガンダーセン 原子力技術者  2012.2.20
http://www.youtube.com/watch?v=-5AFQ1I6XoU&feature=youtu.be (01:36:10)

会見で使用された資料
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/02/709cb5f939f98575ef2ea7df46455afa.pdf

Fairewinds Associates Inc. のホームページ
http://fairewinds.com/

司会:井田由美/日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)
通訳:長井鞠子(サイマル・インターナショナル)

【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
※今回は日本語のみの起こしとします。ご了承ください。

(司会)皆様こんにちは。著者と語るシリーズ、今日は『福島第一原発、真相と展望』お書きになったアメリカの原子力技術者でエネルギーアドバイザーのアーニー・ガンダーセンさんにお越しいただきました。
 ガンダーセンさんは、1949年生まれです。エンジニアとして全米で原子炉の設計、建設、運用、そして廃炉に携わってきました。
 福島の原発事故直後の去年3月18日にCNNに出演し、「メルトダウンは既に起きている」と指摘された方です。
 事故の原因や現状、そして今後の対処法などについて、今日は専門家の立場からお話しいただきます。
 通訳はサイマルの長井さんにお願いします。私は進行を務めます日本記者クラブ委員で日本テレビの井田でございます。
 まず、ガンダーセンさんに通訳を含めて1時間ほどお話をいただき、その後皆様からのご質問にお答えいただきます。
 それではどうぞよろしくお願いいたします。
(ガンダーセン氏)
 ありがとうございます。私はアーニー・ガンダーセンと申しまして、バーモントに住んでおります。私は自分の職業人生の間、完全に同一とまではいかないかもしれませんが、福島第一の原子炉と非常に似ておりますマークIと呼ばれております原子炉関係の仕事をずっとしてまいりました。皆様方には本日お運びいただきましたことに心より御礼申し上げます。それと同時に集英社にも御礼を申し上げたいと思います。私がこうして講演をするようなツアーをスポンサーいただきましたし、それから福島のこの事故と、それから今後の展望ということにつきましての私の意見をいろいろと説明・発表する機会を与えてくださいまして、感謝しています。
 私は、原子力工学に関しまして学士号と修士号を持っております。それから私は資格認可を持っております原子力発電所でのオペレータをする資格を持っておりまして、それからまた原子力安全に関する特許も保有しております。原子力産業界における上級副社長も務めております。
 私は福島第一発電所の1号機とほとんど同一であるというマークIの炉を手がけましたのが私の最初の仕事でありましたが、その後マークⅡ、マークⅢもするようになりまして、上級副社長でありましたときには私の下には400人ほどの人間が働いておりました。また私個人としましても、全部で70か所くらいの原子力発電所に足を運んでおります。
 まず私の話を始める前に申し上げておきたいのは、今回の事故で福島第一、それから福島第二発電所におきまして、まことに勇敢に事故に対応するために働かれました男性、女性の皆さん、主に男性だと思いますけれども、誠に勇敢なお仕事をしてくださった方々に感謝の気持ちをささげたいと思います。事故直後からの1週間、2週間、本当に見事な、勇敢な戦いぶりだったと思います。彼らが勇敢にも戦ってくれたということは、私個人の意見ですけれども、日本という国を救ったと思いますし、それだけではなく、世界全体をも救ったと言えるのではないかと思います。ですから、我々全員は、彼らに負うところ大であると、彼らに対する感謝の気持ちを本当に持たなければならないと思っておりますし、あのように本当に酷い条件の中で大変な仕事を成し遂げられた現場の人々に対しまして、私は個人的に本当に感謝をしたいと思います。
 彼らが日本を救ったと思っております。
 本当に勇敢な方々でした。
 マークIという沸騰水原子炉というのは長い問題を抱えたという歴史を持っております。このことはよく知られたことでありまして、私は1972年大学を卒業してすぐに関わった仕事というのは、このマークIの仕事でありましたけれども、まずNRC(アメリカの原子力規制委員会)がその時に言っておりましたのは、
「マークI というのは、この原子炉として格納があまりにも小さい」
ということでありました。この炉が出力するパワーに比べて、格納があのように小さいというのは、極めて原子炉の中でもユニークなものでありまして、他の原子炉というのは、このマークIよりは遥かに格納容器のサイズが大きいものであります。1972年当時にこのNRCのメモがあります。皆様方が必要とあらば、それをE-mailでお送りすることもできますけれども、1972年当時、NRCは
「このような問題を持ったマークIというのは、ライセンス=許可を与えるべきではなかった。しかしながら既に許可は与えてしまっているので、もしこの炉を止めるということになってしまったならば、アメリカの原子力産業全体の伸びを止めることになってしまう。だから、それはあまり好ましいことではない」
という趣旨のことが書かれたメモが、既に72年当時に出ています。
 1976年当時、私は今度はマークⅢの仕事を始めることになったんですけれども、このマークⅢというものに関しては、NRCはテストをすることが必要でありました。テストをしてみたところ判ったのは、圧力というのが下がるどころが上がるということが判ったわけです。その結果、マークIにしても、ひょっとして事故があった時には、あの原子炉自体が吹っ飛んでしまう、地上から浮き上がってしまって飛んでしまうというような設計上の問題があるだろうということが判ったわけであります。
 そのようなことに対応するために、NRCはマークIに関しては、ストラップ=ベルトのようなものを装着しまして、トーラスと呼ばれております円形の丸い部分というのが飛ばないように押さえつけるというようなデザインの変更をしたわけです。これが1976年でありまして、初めてマークIの設計に対して修正が加えられたのはこの時であります。
 1979年にスリーマイル島の事故が起こりました。あの時にはスリーマイル島の原子力発電所の格納容器の中で水素爆発があったのです。その時まで水素が発生するなどということは、原子力産業は全く推定はいたしておりませんでした。そこで10年くらい経ちまして、水素のベントをするという部分がマークIの設計に付け加えられました。
 従いましてベントが付け加えられたわけですが、『ベント』という発想は『格納』という発想のある意味で逆であります。格納というのは、できるだけ放射性物質を格納して中に閉じ込めておこうという発想なわけですけれども、『ベント』というのはそうではなくて、格納容器からそれを放出してやろうというものであります。そのために、エスケープバルブという放出弁のようなものが付け加えられまして、このマークIの格納では、格納がもしこのような水素が発生したようなときには、ホールドすることはできないということでこのようなバルブが設けられ、『ベント』というシステムが加えられたのです。
 私はバーモント州に住んでいるといいましたが、毎朝家内と散歩をするのを日課にしております。ある2月、本当に福島の事故が起こる3週間くらい前のことでしたけれども、いつものように散歩をしておりましたときに、
「これだけ原子力のコンサルをやっているわけだけれども、こんなに原子炉には問題が有るという中で、実際に次の事故が起こるとしたらどこだと思う?」
と聞きました。私はその時彼女に言ったんです。
「どこで起こるかは私にはわからないけれども、起こるとしたらマークIの原子炉で起こるだろう」
と言いました。
 ということで、まずマークIの原子炉に関する最初の問題というのは、設計的に、これは各種ある原子炉の中でも最も格納機能が弱い原子炉であるということが第一の問題であります。
 第二の問題というのは地震の問題であります。これは福島というところに限らず、日本というのは一般論といたしまして世界のどの国よりも最悪の地震に襲われやすい国であります。この福島の原子力発電所というのは1970年から1978年にかけて作られていくわけでありますけれども、その時にはもちろん地震ということに関しては、当時持つことができたベストな危険をもって設計されたのだろうと思いますけれども、しかしながら80年代から90年代になるにつれまして、実は福島の第一発電所が設計されていた時に想定されているよりも、もっと強い津波・地震があの地域に、或いは日本全体には起こりうるという地震学上の知見が増えてまいりました。
 ですから、二つ目の問題というのは、ここは少なくとも過去20年くらいの間に、十分な情報がだいたい上がってきまして、第一・第二発電所というのは、当初設計されていたものに対して、より大きな地震・津波が来るかもしれないということがわかってきたわけでありますので、設計には手直し・修正がなされるべきであったのに、それがなされなかったという問題であります。
 三つ目、このパズルの中の三つ目のピースというのは、この規制当局と東電の間の関係が密接過ぎたということであります。これに関しては、日本の皆様にいろいろ申し上げる必要はないかと思います。
 今申し上げましたとおり、三つのピースがあいまって、3.11になったということであります。すなわち第一はマークIというものがもつデザイン上の問題、それから二つ目は地震に関する情報があったにも関わらず、その知見が利用されなかった、或いは無視された。三つ目は規制当局と東電との間の関係が密接過ぎたということであります。
<19:30頃>
 しかしながら、この問題というのはなにも日本だけに限った問題ではありません。この問題、すなわち規制当局と事業者があまりにも近い関係を持っているということは、アメリカでもまた、ヨーロッパでも私は散見してまいりました。
 ただ一番懸念しておりますのは、途上国というのは、これから原子力をやっていこうという緒に就いているわけでありますけれども、そういう時に規制当局と原子力発電所を所有している事業者との間の関係があまりにもぬくぬくとした近い関係になりすぎるのではないかという懸念であります。
 私はこれを『やまびこ効果』と呼んでおります。ご存じのように、残響質といいますか、エコーチェンバーというところに人々を入れ、そこでみんなの意見が一致しますと、みんなが同じ意見しか持ってないということになりますと、同じことしか言いませんので、そこではやまびこのようにどんどん声が大きくなっているというような現象があります。この問題というのはなにも、日本の問題というのはアメリカよりは大きいだろうと思いますけれども、しかし日本だけの問題ではありません。これは、エコーのようにみんなが同じ意見を持つということによって増幅され、そして原子力に関する神話がどんどん広がっていったのであります。
 私は今回の事故を振り返りますと、世界の原子力界がこれからまた新たに原発を作っていこうということを決める前には、もうちょっと理解しなければいけないことがあると考えます。
 まず最初、なかなか理解できない、そして定量化できない問題でありますけれども、デザインベースが的確であったかという問題であります。どういうことかと申しますと、エンジニアとか科学者というのは、設計をするときには、当該発電所が最も高いところで耐えうるレベルのイベントはこれであろうと、そのイベントに対してこの設計は大丈夫であろうということで同意して定めるわけです。
 私が仕事しております原子力の世界におきましては、一旦事故が起これば、その事故というのはものすごく重大な事故になるわけですけれども、しかしその事故が起こる蓋然性、或いは確率というのはとても低いわけであります。普通の日常生活をやっておりますと、100年に1回ということを言われてもなかなか理解はできないわけでありますが、それでも閾値としては十分ではないと言われますと、例えば2万分の1と2万年に1回というようなことを言われますと、それはなかなか理解をしがたいわけであります。福島のような事故が世界のどこかで起こらないということを担保するためには、そのような数字での確立を考えなければいけないというのは、なかなか定量化、理解するのは難しいことです。
 次の問題は地震に関わる問題であります。
 どうやら福島第一の2号機と3号機というのは、地震には耐えたらしいと、ただし津波によってやられてしまったということは言えそうでありますけれども、1号機に関しましては本当に地震に耐えたのかということは明らかではありません。ですから今後数年間かけまして、1号機は本当に地震に耐えたのかどうかということに関する教訓は学んでいかなければなりません。
 東電、それから原子力規制委員会というのは外部電源喪失というところに注目をしているようであります。確かに津波が襲ったということで、1号機から4号機、それから5号機に関するディーゼル発電機というのは、全く機能を喪失してしまったということがありました。6号機に関しましては、1機だけディーゼル発電機は生き延びたようであります。
 さて、このディーゼル発電機というのは、地下に置かれておりました。これは非常に重量が重いものでありますので、日本のように地震多発国においては重いものは上の方に置きたくないということはあるでしょう。ですから、1970年当時には、論理的な帰結として、ディーゼルのような非常に重いものは地下に装着するという判断がありました。
 しかし、結局はあそこにそういうことが判っていなかったために、間違ったところに置かれてしまったということだろうと思います。しかしながら、20年くらい前にこのように大きな津波が襲うかもしれないという情報・知識が有り得たとすれば、高いところにディーゼル発電機を置くということは有り得たと思います。そして高いところに置いたからといって、発電所の機能・性能になんら影響を及ぼすということは無かったでありましょう。
 ただし、それをするためには、米ドルで1億ドルのお金がかかったということなのです。
 あと次の問題ですけれども、福島でどうなったかということについて、やっと今わかりつつあったということですけれども、これは外部電源の喪失ということではなくて、究極的な冷却機能の喪失、究極的な冷却能力がどうであったかという問題であります。
 あの福島の事故の直後の写真を見ていただくと判りますけれども、あの福島の現場では、冷却用のポンプというのが設置されています。それが海沿いに置かれています。このポンプの役割というのは、炉を冷却するということが役目であります。ディーゼルがそのような指令を得て、そしてその冷却水を炉の中に運ぶことを動力としてやるわけですが、しかしながら、ポンプそのものが機能しなかったということがあの事故の時に起こってしまいました。
 しかしディーゼルの電源があれば良かったではないかと言われるかもしれませんが、もし、ディーゼルの電源が生きていたとしても、私はメルトダウンというのは避けられなかったと思っております。
 なぜならば、海沿いに置かれていたポンプが、結局は津波によって冠水してしまって、機能を果たさなかったからであります。
 事故が起こって4週間くらい経ったときに、日本人の退職なさったポンプエンジニアの方から連絡をいただきました。この方は、
「福島第二のポンプを見てみろ」
と言いました。
「第一ではダメだったんだけれども、第二はちゃんとポンプは機能を果たしている。それはなぜかというと、設計が違うからだ」
というふうに彼は言っていました。
 ですから、第二の場合にはちゃんと教訓を学んで、その違う設計でポンプを置いたにも関わらず、そこで獲得された知見というのは、第一に活かされることは無かったわけです。
 二つ目の問題、これはなかなか手ごわい、対応するのが難しい問題でありますけれども、冷却を目的としたポンプをどうやって防護するかという問題です。
 これは、海沿いに置かれているわけですけれども、ディーゼルだったら別にほかのところに置いてもいいということはあるかもしれませんけれども、ポンプというのは冷却水を吸い上げるためのポンプであり、冷却水というのは海にあるわけですから、海沿いのところからうんと遠いところに動かすということは出来ないわけであります。ですから、今後の対策としてより難しい問題として考えなければならないのは、この海沿いに置かれているポンプをどのように防護するかという問題です。
 次はバッテリーが充分ではなかったという問題であります。バッテリーというのは何も原子力発電所の例えばディーゼル電源のような巨大な動力を動かすのに使われるためのものではありません。せいぜい小さなバルブを動かしたりするための数時間もてばいいというためのものであります。ですから、そのうちディーゼル発電が復旧すれば、それまでの間持てばいいというのがバッテリーであります。ですから、今回の事故におきましても、バッテリーの存在というのは全く不適切でありました。これは世界的にも言えることでありますので、世界的にこれからバッテリーの量を増やしていかなければいけないということもありますし、それと同時に「4時間持てばいい」ではなくて、「最長2日間くらい持つ」くらいの発想のバッテリーの準備が必要だと思います。
<34:30頃>
 福島では1号機と3号機の間で二つの爆発が違っております。
 エンジニア的観点からいいますと、1号機と3号機の爆発は違います。
 この話は格納が不適切であるという話なんですけれども、爆発が違うということで、1号機の場合には、ショックウェーブ=衝撃波は音速よりも少ないところで伝わってきております。これをエンジニア的言葉で言いますと、"Defragration"と呼びます。このようなDefragrationというのは、当然損傷と伴うようなものでありまして、1号機もそれなりの損害を受けております。
 しかしながら、3号機の爆発は、これは全く違った種類の爆発です。
 私はこの3号機の爆発の場合の衝撃波を測定してみました。まず、建物をスケーリングして、それから実際にその建物が実際に動いたかということから測定をしたわけですけれども、3号機の場合には音速よりも早い速度で衝撃波が走っております。エンジニア的言葉で言いますと、音速よりも早いスピードで衝撃波が走ることを"起爆=Detonation"と言います。そして音速よりも遅い速度で衝撃波が走った時を、こうやって"Defragration"と言います。
 例えばどういう違いがあるかと言いますと、もし"Defragration"だった場合、この部屋でそれが起こったとすると、窓は吹っ飛ぶでしょうし、この部屋にいる私たちはミンナ怪我をするでしょうが、しかしながら、"起爆=Detonation"ということになりますと、この部屋全体が構造的に破壊されてしまうという種類の爆発です。
 従いまして、原子力産業界というのは、3号機の爆発というのはどういうものであったかということはよりよく理解しなければなりません。これはスリーマイル島とも違います。それから1号機とも違います。それはそれぞれ"Defragration"的な爆発だったんですが、3号機の場合には、格納そのものを構造的に破壊してしまうような種類の爆発であったということですので、このことをよく原子力産業界は理解し、把握しなければなりません。
 最後に書いてありますベントにつきましてはもう既に申しましたので、これは言いません。
<38:20頃>
 次にお話したいのは避難です。
 事故が起こりまして二日目には、この事故というのはレベル7の、7段階目の事故であるということはこれは明白でありました。これはチェルノブイリの事故に相当する7段階のものであることは判っていました。
 私は3月15日にCNNに出た時に、
「これはもう既にレベル7の事故だ」
ということを申していましたが、その同じころにアメリカのエネルギー省のチュー長官は、
「いや、あれはレベル5である」
という発言をしていました。
 この5と7の違いは非常に大事でありまして、緊急時避難計画にも重大な意味で影響してきますし、どれくらい早く個々人が避難しなければいけないかということにも影響してくるし、また原発からどれくらい離れた距離まで避難しなければいけないかということにも関係してくるので、この違いは非常に大きなものです。
 私はスリーマイル島の事故の時にまさにそれに携わっていた専門家として、福島の事故においても、あのTMIのときに我々が犯した同じアメリカのミスが福島においても繰り返されたなと思いました。
 スリーマイルの時にも福島の時にも、現場で実際に原発を動かしていた人たちは、あの事故が如何に重大なものであったかという事故の重大性につきましては、非常によく認識していました。
 ところが、スリーマイル島の時にも福島におきましても、事故自体は30年という年限の差はありますけど、結局その重大だと気が付いた現場が、本部に連絡をした時には、アメリカの場合にはジェネラルパブリックユーティリティというところでしたし、福島の場合は東電ですけれども、現場から実際の本部にコンタクトが行ったときに、全体のプロセスのスピードが落ち始めました。スリーマイルの事故時は、本社側というのはどうしても会社の資産を守りたいという発想になっていまいます。そして現場は「これは避難をさせなければいけない」ということを望んでいたにも関わらず、本社側からは「避難をするということはさせないように」という指令を出しています。
 私は福島では全く同じことだったと思っております。現場のマネージメント、原発を担当していた人たちは、初日から最初の1週間、如何にこの事故が酷いものであるかを認識しておりました。ところがその情報が命令系統の上に行けばいくほど、動機付けはどういうところにあったかわかりませんけれども、情報が上に行けばいくほど、『早く行動する』ということができなくなってしまいました。
 この二つの事故の間で、機械的な意味での安全性というのは相当改善するための努力がなされたということは言えるだろうと思いますけれども、しかしながら体質的な問題といいましょうか、制度的な問題といいましょうか。本社の人たち、本社の役員たち、或いは本社機能というのは、どうしてもその部分で早く行動するという教訓は学んでいないように思われます。
<44:30頃>
 このように、現場と東電本社との内部的な問題ということに付け加えて、今度は東電と日本国政府の間の問題というのもありました。
 この地球の中で緊急時対応ということに関して、誰が一番備えが出来ているかといえば日本人以外に無いでしょう。なぜならば、日本は地震国でありますので、緊急事態が起こった時には対応なければいけないという必要性については、誰よりも理解している国民であります。
 しかしながら、そのような日本でこのような問題が起こったということは、世界の他の国もこのようなことが起こった時には、あまり芳しくないような対応しかできないのではないかということが想像されます。
 私は事故が起こってから1週間以内にCNNに出たんですけれども、その時には私はこう言っております。
「少なくとも女性と子供たちは、少なくとも50㎞圏外まで避難をするべきである」
と。ですから、このスライドの1行目に書いてあります所、すなわちあの事故はレベル7であったということを認識するということと、だったら女性や子供たちは早めに避難させなければならないという間には、非常に深い関係があるわけです。
 ですから政府も東電本社も、あれが如何に重大な事故であったかということが理解できていたかどうかということと、不適切な、少なくとも女性や子供たちを早めに避難させることができなかったということとは、繋がっているわけです。
 CNNで私が発言した発言録というのは、全てフェアウィンズのHPに載っておりますので、私はデタラメを言っているのではなくて、ちゃんとこういうことを言ってるんだということは確かめていただけます。
<47:30頃>
 次に、長期的な問題を考えなければならないのは、現場の廃炉、それから日本全体の除染というかクリーンアップをどうするかということです。
 廃炉に関してアメリカで初めてハンドブックが出た時に、一つの章を私は書いております。一つの章の著者でありますので、廃炉ということに関しては、ある程度の知見を有している人間だと自負しております。
 これまでの解体作業、或いは廃炉作業として、福島に一番近く似ているものがあるかといえば、それはスリーマイル島しかありません。
 スリーマイル島の事故に関しては、アメリカは20億ドルを使っていますが、これはただ単に炉の中から燃料を取り出すということだけのために20億ドルが使われています。建物はまだ解体もされておりませんで、まだそこにあります。ほかのユニットが停止になるまで建物の解体はまだだろうと思いますけれども、メルトダウンした原子炉の中から燃料を取り出すというだけで20億ドルかかっております。
 スリーマイル島の場合には、溶けた燃料棒が炉の底部のところに重なっているとか横たわっている状態になっているわけですが、福島の場合にはメルトダウンしたものが、実際の炉の底部から外に流れ出してしまっている、格納容器の方にまで流れ出しているという問題がありまして、これによって廃炉の問題というのはTMIに比べて10倍複雑になっています。
 スリーマイルと福島の場合、二つのケースでは違うことがあります。
 一つはスリーマイルの場合には、まだ運転を始めてから3か月しか経っておりませんでしたので、そこで蓄積された排熱というのはそんなに高い熱ではありませんでした。
 もう一つは炉のシステムの違いであります。福島の場合は沸騰水型ですが、スリーマイルの場合は加圧水型の炉でした。
 沸騰水型炉の場合には、だいたい70くらいの開口部、穴が開いております。その原子炉の底に至るまでに全体で70の穴が開いております。ところが加圧水型炉の場合には、開口部というのは、その炉の上部、上の方にしか空いておりません。
 ですから、福島の場合は溶けた燃料というのは、炉から出ていきまして、格納容器の方にまで移動するということが極たやすく行われる状況にありました。穴がなにしろたくさんあいていますので。
 今では、この溶けた燃料というのは原子炉を出ていってしまって、今床のフロアに溜まっている状態でありますので、一体炉から出てしまった燃料を取り出すなどということは、全然サイエンスはこの世に存在していないわけです。ですから、今から20年くらい掛けまして、例えばロボット工学を発展させて、床に落ちてしまった溶けた燃料を撤去する、運び出すというような新しい学問が開発されて行かなければ、そういう学問が出来ない限り、燃料を取り出すことすら考えることもできないわけです。
 私の予測によると、福島第一原子力発電所の現場のクリーンアップをするというだけで、600億ドルの経費が掛かるだろうと私は予想しています。
 それからそれ以外に、トータルでクリーンアップをするためには、2500億ドルかかるであろうという数字も出ております。福島県だけで大体、1900億ドルということが言われておりますし、先ほど言いました600億ドルということを足しますと、大体1兆ドルの4分の1くらいの経費がトータルのクリーンアップに必要だということが予想されます。
<55:00頃>
 次の点に書いてありますのは、福島の事故があったことの影響、結果として、追加的に向こう20年間の間に100万人の癌の発症があるであろうということがあります。
 私の20年間で100万件のガン発症というのは、原子力産業界でよく言われてます数字よりは高いということは承知しています。しかし、私のこのような意見というのは、スリーマイルでの治験に立脚した上での数字であります。
 ノースカロライナ大学のスティーブ・ウィングという先生がおられるんですけれども、この人はスリーマイル島の後どうなったかという、広範囲にわたる疫学的な研究をされました。このウィング先生がスリーマイルの後でどれだけのガンの発症があったかという分析をなさった。それと同じ手法、同じ考えで延長して福島に当てはめますと、20年間で100万のガンの発症という数字に私は到達しました。
 原子力規制委員会は「スリーマイル島の事故の結果誰も死んでいない」ということを言っていますけれども、今いろいろな分析が始まっておりまして、それによりますと肺がんに関しては、発症が10%増えた、またほかのガンについても同じようなことが言われるという分析が示されています。こういったStudyというのは、まさにスリーマイル島が起こってから30年くらい経ってやっと分析結果が出てくるようになったのです。
 次に書いてあることでありますが、放射能或いは放射線というものをいろんなものと混ぜて、薄めていくというような方向というのは、私は日本にとって適切な方法ではないと
思います。
 例えば東京の学校の例なんですけれども、ビニールで何かを覆った布に非常に高い線量が検知されたということがありました。その処理をどうしたかといいますと、ビニールシートの1㎏あたり1000キログラムに相当する、すなわち1対1000という割合でクリーンなものをそこに混ぜて、その割合で燃やした、焼却したということであります。このような形で放射線量の濃度を下げてこれを埋め立ての材料に使うことにできるようにする、そういう処理の仕方がなされました。
 私はこのようなやり方というのは間違っていると思います。
 これまで歴史的に廃棄物をどういうふうに処理したかというと、大体が穴に埋めるということをしてるわけですが、その穴からは漏出するということがあったりいたします。ですから、非常に高濃度の放射線を含んだものをまとめて、量は少ない形にして発電所の非常に近いところに貯蔵するということの代わりに、低濃度のものを大体日本のいろんなところに薄くそれをばら撒いていって、濃度が低いということで発電所のところの集中させるのではなく、いろんなところに貯蔵しようというか、そこで処理しようとされています。
 この戦略が取られる理由というのは、このように何かと混ぜて低くして貯蔵するというのは、金額がまず安く済むということがあるでしょう。しかしながら、その時忘れてならないのは、そのようなピットというのはいずれ漏れ出すということであります。放射能というのは300年くらいは続くということを忘れてはいけません。ですから、そういったものを埋めた穴からは、今年は何も漏れ出さないでしょうけれども、未来、どこかの時点では漏れ出すという可能性は必ずあるわけでありまして、その時には安く済んだということよりは遥かに大きなコストが必要になってくるでしょう。
 この問題を解決するためには、日本国政府がまず事故或いはこの状態が如何に重大なものであるかということを理解し、それを認めるということであります。
 私の意見では、今の日本の政府というのは、東電を守るということが第一でありまして、国民を守るということが第二になっているように思われます。
 もちろん原発が無ければ電気が作れないということではない、代替的な方法があるわけです。私は日本はまさにそういう分岐点というか、今どちらに行くかということが決められなければならない状況に差し掛かっていると思います。そして、日本だけではなくて、世界全体にとって、新しい電力というのはどうやって作るかということを探し出す、一つのチャンスでもあると思います。
 分散型ではなくて集中型で発電をするということは、これは絶対的に20世紀には必要な夏電の方法でありました。このように集中型の発電所を立てるというのは、ちょうど第一次世界大戦の時にフランスがマジノラインにこだわったということに似ている気がします。あのマジノ線という線さえ守れば大丈夫だと思っていて、フランスは全然技術が変わったのだということに気が付かなかったということを思い起こさせます。
 そういう技術持ってるのは、まさに日本企業だと思います。日本企業はこういった再生可能エネルギーの最前線で活動されていると思います。再生可能エネルギーの分野では三菱なんかもすばらしい技術を持っていると思います。発電の技術というのではなくて、発電された電気をどういうふうに動かすかということにつきましても、トヨタとか三菱とかそれぞれに素晴らしい技術をお持ちであります。
 ですから、日本がそれを選択しさえすれば、そして違う道を歩もうということを決断さえすれば、そこには非常に大きなチャンスが生まれてくると思います。
 その時の発電というのは、一つ大きな発電を作ってそこから送電・配電をするというのではなくて、例えばコンピュータを使ったりスマートグリッドを使ったりして、分散型の発電方式にもっていくということが考えられます。
 私はなにもこのような新しい道を辿ることが簡単だとか優しい道だと言っているわけではありません。そして、日本だけがそれをやらなければならないことだとも思っていませんけれども、しかしながらこれから原発を含めて、新しい発電所を立てるということを選びになる、しかもこんなに地震活動が活発な国でそれを選択するということよりは、私はチャンスとして新しい技術で世界を引っ張っていくということが日本にはできると思っております。世界を追いかける、古い技術で追いかけるのではなくて、新しい技術で日本は引っ張ることができる、そういうチャンスが日本には巡っています。
 ここに移っておりますのは、私の資格、私はこういう人間であるということを書いたスクリーンでありますけれども、私の冒頭発言はこれをもって終了いたします。
 皆さん方の質問をお受けします。
<01:07:00頃>
(司会)どうもありがとうございました。
 ガンダーセンさんは皆さんからの質問を大変楽しみにされているということですので、是非この際専門家のガンダーセンさんにお聞きになりたいということであればお手をお挙げください。
(個人会員/原田氏)今日はありがとうございました。
 原発の数とか日本という国の規模でなんですけども、これだけの狭い国土で、アメリカは非常に広くて人口が密集してないところもあるからいいと思うんですけど、日本のように非常に狭い4つの日本列島で、50基を超える原発を作った、その原発を是非はあるでしょうけど、原発を日本が導入したにしても本当はちょっと多すぎたんじゃないかと、大都市の近くにもありますしね。私は思うんですが、先生から見てどうでしょう。日本の適正規模で原発は何基くらいが良かったのか。それから地理的なものとソフトパワーですね。原発に関しては、日本は住民を守る、それだけの組織も無かったし、やっぱり規制庁のソフトパワーも非常にいい加減なものであったというのは明らかになったんですけど、しかしその質問とこれから一部の原発はある程度動かしていかなきゃいけないという部分もありますので、どれくらいの原発はこのソフトパワーの官僚主義が非常に強い国でやっていけるのか。それからこの狭い国土でやっていけるのか、先生のお考えをお聞かせください。
(ガンダーセン氏)
 ありがとうございます。
 原子力発電所を立地することに関しては、三つの条件があると思います。
 まず、第一は冷却水が充分存在するかどうか。日本の場合には、50基の原発を持つことに足るだけの冷却水はたくさんあります。
 ところが二つ目と三つ目の条件というのは、日本にとってなかなか厳しいものがあります。
 まず二つ目の条件は、地震活動であります。日本は国土面積でいいますと世界に占める日本の国土面積というのは、0.3%です。ところが世界の地震の10%は日本で起こっています。ということは、地球上のどこと比べても、日本は30倍地震が多く起こっているということです。
 ですから、1000年に1回、100年に1回というレベルではダメです。日本としてこれから予想される1000年に1回起こるくらいの地震にも耐えられるような原子力発電所を建造するということは、非常に難しいことであります。地震という観点からいいまして。
 構造工学的にいいますと、日本がこれから1000年に1回くるかもしれないと思われるレベルの地震に耐えるような、それだけの強い原発を作るというのは、なかなか難しかろうと思います。
 原子炉に関して、日本では最近ストレステストをやっておられます。
 福島の事故の1週間前のレベルで、同じストレステストが行われていたら、福島の原発は合格していたでしょう。
 ですから、ストレステストというのは、私のようなエンジニアが設計をして、我々が考える限り非常に強いものを建てたんだということが確認されるわけです。エンジニアがこれだけ強ければ大丈夫だ思ったものが作られたんだということが確認されます。
 ところが、その設計されていた範疇以外のもっと重大なものが襲ったときに、どれくらい耐えられるかということは、このストレステストは示してくれないわけでありまして、まさにそれが福島で起こったことなんです。
 三つ目の条件は人口密度の問題です。日本というのは人口密度の高い国です。
 ですからまとめていいますと、三つの条件のうち、一つは非常に日本にとっては良好である。冷却水は十分にある。しかしながら、地震活動と人口密度の観点からいいますと、原子力発電所を作るということは、日本においては非常に難しいということが言えます。
 計画をしてどらくらい十分強い原子力発電所を建てられるか、しかも地震活動と人口密度という日本に独特な条件に合わせて、原発を作るという計画を建てるということになりますと、そのコストはものすごく高くなって、他の代替エネルギーを開発するということが経済的にセンスを持つ、経済的に意味を持つと言えるほどまで原発のコストは高くなってしまうということになると思うのです。
 只今の質問は「何基の原発であったら適正か?」というご質問ですが、それには私はお答えはできないんですけれども、とにかく日本が持っている厳しい条件に耐えられるだけの原発を建てようと思えば、そのコストというのは、他の代替エネルギーを使った発電ということを考えることも大いに可能になるような、そういうコストになるだろうという答えだけをさせていただきます。
(個人会員/シムラ氏)
 二つ質問があります。
 一つは、マークIは欠陥炉であると判ってきた時点、例えば30年くらい前に、GEから東京電力に対して、「この炉は欠陥炉だから廃止しろ」というようなことは言ってこなかったのか、或いは言ってきたんだけど東電はしなかったのかということを聞きたいのが一つと、もう一つは、プルサーマルっていうのは日本でやったわけですが、これはチェルノブイリでもスリーマイルでも無かった。プルサーマルだと多分ストロンチウムが相当出るんじゃないかと思うんですが、これについては政府も東電も黙ってますが、プルサーマルが爆発した時の特徴、セシウム以外のものがたくさん出るんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか?
(ガンダーセン氏)
 まず最初のマークIについての質問ですけれども、デイル・ブライドンバームというGEのエンジニア、私の友人なんですけれども、彼は1976年にGEを辞めております。その当時にマークIというのは欠陥であるということを彼は知っておりまして、なのにGEはそれを作り続け、しかもそれをプロモーションすらしているということで、自分自身の名誉の問題として、その場に自分の身を置くことはできないということで、76年に辞めております。
 GEの立場はどういうものかといいますと、
「マークIというのはマークIを作った時点で適用されていた基準には合致するデザインだった。しかもその後、いろいろな変更・修正などをこの原子炉には付け加えているので、今でもそれはデザインとして適切なものである」
とそういう立場であります。
 GEが今までマークIが欠陥デザインであるということは、一度も認めたことは無かったと思います。改善が必要になったということくらいは認めていると思いますが、その後施した修正などによって、今でもこれは適切なものであるというふうに思っているというのがGEの立場だと思います。
 アメリカのオイスタークリークというところにあります原子炉なんですけど、これは福島よりも古いマークIです。ですからマークIを持っているのは何も日本だけではなくて、アメリカには23基のマークIが稼働しております。
 ですから、アメリカの原子力規制委員会も日本の原子力保安院も東電も、マークIが欠陥設計であることは認識していないということだと思います。
 ですから、私とかデイル・ブライドンバームのようなエンジニアが長年にわたって、マークIは欠陥だということを言い続けているんですけれども、しかしながら規制当局は基本的に祖父条項という言い方をしますけれども、
「あの時に良かったんだから、あの時に良かったものは今でも引き続きそれは適正である」
という考え方をとっています。
 次にプルサーマルのご質問ですけれども、あれは紙の上ではとても新しい新規のアイデアですし、紙の上ではなかなか結構なデザインのように思われます。しかしながら、問題は炉のコントロールということがウランを使う原子炉よりももっと微妙なことが要求される、炉のコントロールがとても難しいだろうと思います。
 ですから、この種類のデザインというのは、とにかく作るまではどんなデザインでもいいものに見えるわけです。実際にそれが運転されますと運転上の問題があきらかになってくる、そこの明らかになってくるまではデザインは良いように見えるなということだと思います。
 それからプルサーマルでどんなものが放出されるかという問題ですけれども、プルサーマルの場合には、プルトニウムがたくさん放出されます。これは福島の場合に放出されましたストロンチウムやセシウムよりももっと危険度、有害度の高い物質であります。
(通訳)MOX燃料のことを言っておられるんですね。
(ガンダーセン氏)
 MOX燃料というのは、酸化混合燃料という頭文字をとっているんですが、福島の原発におきましては、全て炉心にプルトニウムがありました。なぜならばウラン238というのはいればいるほどプルトニウムが産出されていきます。ですから、福島の場合には、6つの炉、全てにおきまして炉心にはプルトニウムがあります。
 ところが3号機の場合には、それに追加的なプルトニウムが入っております。なぜなら3号機においてはMOX燃料が使われておりまして、MOX燃料が30束入っております。そこには、追加的なプルトニウムが含まれております。
 その追加的なプルトニウム量というのが3号機の場合には、十分多くは無かったので、事故の進展の仕方というのは別に他の号機と違ったというところまではいきませんでした。それほど多くのプルトニウムが追加的には無かったからです。
 しかしながら、MOX燃料が完全に炉心部分にあるということになったならば、3号機の場合の原子炉のコントロールというのは、非常に他の炉とは違ったものになったと思います。ウランを使うものとは全く違った炉のコントロール状況になったと思います。
 しかしながら、だからといって3号機の事故がより軽微に済んだということでは全然ありません。30束のMOXの燃料が入っていたわけですから。
(司会)それではそろそろ時間が無くなってきたので、最後の質問にしたいと思います。
(テレビ朝日/かわむら氏)
 非常に今後の日本のエネルギー政策についても、示唆に富む発言だったので感謝しておりますが、これからアメリカも34年ぶりに原発の許可が下りたということで、将来アメリカも、或いは日本も国際的に核燃料の廃棄物、中間貯蔵施設すらきちんと固まっていない、その最終的に廃棄するのに、地中に保管するという方法だけで全世界的にうまく成功するということを信じられておられるのか、或いはほかに何か考えなければいけないとお考えでしょうか?
(ガンダーセン氏)
 アメリカは最近、発行しました認可というのは、AP1000というシステムなんですけど、これは非常に面白いポイントがありまして、日本では絶対に使えないという種類の設計だと思います。AP1000というのは巨大な水槽、水のタンクを屋上に置く、そういう設計になっております。全部で6000万ポンドになっていまして、(これを㎏に直そうとしたんですけどうまくいかないんですけど)とにかく巨大な水タンクを屋上に置くというシステムになっておりまして、日本のように地震のある国では、こんなデザインは有り得ないと思います。ですから、アメリカでもこの認可が発行されましたのは、地震活動の低いジョージアというところに対して発給されたんですが、カリフォルニアなんかでは、決してこれは認可されることは無かったでしょうし、また日本ではちょっと有り得ないシステムだろうと思っております。
 ご質問の幅広いポイントというのは、使用済燃料の処理をどうするのか?廃棄物をどうするのかということだと思うんですけれども、私は大学に居た時にいつも思っていたんですが、どんな問題があったとしても、解決策というのは必ず出てくると、そういうふうに思ったものでありますが、決して5年先というのは一度も来たことが無いという感じがいたします。
 固めて地中に入れるというのは、短期的にはいいかもしれませんけれども、本当に廃棄物が崩壊をしてしまうためには、25万年もそこにキープしなければいけないという状況がありますので、固化して地中に埋めるというのは、解決にならないわけであります。
 廃棄物の処理に関しては、他の国に比べて日本というのは、より酷い厳しい状況に置かれているということだと思います。これだけ人口が多く地震活動がある。他の国だったら、地震活動が無い、あまり人口もいないところを見つけることが可能だったりするのに、日本の場合にはそれが厳しいということだと思います。
 でも福島の事故があったことによりまして、日本は好むと好まざるとによらず、もう認識をさせられるということだと思います。
 核燃料サイクルというのは、決して閉鎖的なサイクルではないと、要するにウランがあってそれからそれを再処理して、そしたらそれをまたシステムの中にいれてやって、そのサイクルがぐるぐる未来永劫回っていて、一旦そのサイクルが回り始めたら全然心配する必要はない、そんな閉鎖的なシステムではないということを皆さん方は認識せざるを得なくなったということだと思います。島国だし、これだけの地震があったら、それをどうしたらいいのかというのは、私も本当に懸念をしておりますけれども、残念ながらこうすればいいだろうというお答えを持ち合わせておりません。
 まず、私のこの会を締めるにあたりまして、福島第一、福島第二で勇敢な活動をなさった方々に再び尊敬の念をここで表明したいと思います。それから皆様方にここまできていただきましてありがとうございました。
(司会)どうもありがとうございました。
 ご専門分野に一つである廃炉についても、また伺う機械があればと思います。今日はアーニー・ガンダーセンさんにお越しいただきました。日本記者クラブから記念品をお送りしたします。今日はありがとうございました。

【以上】

失礼します。
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