※この記事は、
2月20日 高浜原発3号機が定期検査へ【残り2基へ・・・】と電力不足(?)と再稼働に関する各方面の動き
2月2日 【動画・内容起こし】ヨアヒム・ラートカウ氏×大島堅一教授 通訳:朴勝俊教授『日本の問題は発想力不足』
1月20日 【関連動画あり】次回のストレステストは意見聴取会は傍聴なしで開催へ【ドイツにあって日本に無いもの】
8月19日 山下俊一氏のインタビュー記事をご紹介@シュピーゲルなどに関連しています。

20120220 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
http://www.youtube.com/watch?v=gVOGVYLw53Y&context=C3ba1955ADOEgsToPDskJl8spdtGeMU6u_DZLeUu3Z

【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)まず原発が全部停止することになるということについてですけども、私自身はそんな日が日本にやってくるって想像していなかったんです。正直なところ。
 もし、「1年前にこんな日があるかも」って聞かされても、考えることすらできなかったと思うんですね。もしそんな日が来るなら、日本は大混乱に陥って、夜は町が暗くなったり、工場が止まったりとか自分のパソコンが使えなくなったりとか、ということを想像していたんです。そんなことは無いんですね。
58(小出氏)はい。もともと全くありません。
(水野氏)もともと無いことは判っていたんですね。
(小出氏)そうです。
(水野氏)小出さんには。
(小出氏)私じゃなくて政府が判っていました。
(水野氏)政府はちゃんと数字の上で判る数字を出していたんですね。
(小出氏)ええ。私は特別秘密のデータを持ってるわけではありませんが、政府の統計局のデータが、原子力発電所が全てなくなっても水力発電所と火力発電所がちゃんと動く限りは、何の問題もないということを示しています。
(水野氏)しかしながら、政府はまだ再稼働を目指してますよね。
(小出氏)はい。
(水野氏)・・・あの、国民の意識は今回のことでやっぱり大きく変わったと思うんですよ。不幸な出来事ではありましたけれども、エネルギーに関する考え方は大きく変わった人が多いかと思いますが、政府は未だ変わっていないように思いますがいかがですか?
(小出氏)そのとおりですね。情けない政府だと私は思います。
(水野氏)これ、ドイツのお話ですけれども、ドイツでは福島の事故があって脱原発を決めました。そしてそちらの方向に向かってどんどん進んでいるんですね。
 ドイツの国内には17基の原発があるんですが、そのうち8基が停止になっているんだそうです。それで、平野さん、確か、ドイツが脱原発を決めたのは・・・
(平野氏)そうですね、「大丈夫なのか?」といってフランスから、
「あの国は電力を買い取ってるから大丈夫なんだ、フランス頼りなんだ」
というのが流れましたよね。
(水野氏)
「自国で原発で作らなくても、隣のフランスからもらえるから、だからそんなことを決められるんだ。」
「日本はそれが出来ないから、無理なんだ」
という話、よく出てましたんですよね。
 小出さん、ところがですね、ドイツでは、この脱原発をしました後、一旦は電力を輸出するよりも、外に売るよりも国の外から買わなきゃいけない状況になっていたそうなんです。ところがそれが去年10月に逆転いたしました。つまり電力事情は黒字になったんですって。
 それには太陽光や風力など再生可能なエネルギーをどんどん割増していったり、エネルギーの効率化を図ったりということなんですが、ドイツでは今年の2月になりましたら、寒さが厳しくなってフランスに逆に電力を売ったんだそうです。
(小出氏)はい。
(水野氏)ご存知でした?
(小出氏)はい。
(水野氏)あ、そうですか・・・。フランスって原発大国でしたよね?
(小出氏)そうですね。
(水野氏)その原発大国のフランスがこの寒さで電力が逼迫して、原発をフル稼働しても電力が足りなくなったんだそうで。逆に脱原発をしたドイツから原発大国のフランスに電力を売る事態になったというのを、私なんかは非常に驚くんですが、小出さんはどう受け止められますか?
(小出氏)別に驚くこととは違うと思います。
(水野氏)そうですか?
(小出氏)要するにどういう発電方法を選ぶかというだけのことであって、日本だって原子力なんて選ばなければ、もっともっと自然エネルギーが開発されてきたはずですし、電力の供給にいついかなる時も、多分困らない状況を作れたはずだと思います。
 全く愚かに日本では原子力などに頼ってきたために、今なんか「電気が足りなくなるぞ」といって皆さんを脅かされているという状況になってしまっているのです。
(平野氏)今年の夏ごろまでに国はエネルギー大綱というものを改めて見直してまとめると言ってますけど、そっちの方向に、再生可能なエネルギーにシフトするというような動きでは必ずしも無いですよね。
(小出氏)無いですね。
(平野氏)うーん、それはちょっと信じられませんね。
(小出氏)そう思います。
(水野氏)つまりもう一度再稼働の方向でのみ進んでいくと、いわゆるドイツのような再生可能エネルギーが成長していかない・・・ということですか。
(平野氏)先生、日本はまだまだドイツも一生懸命やってるんですけど、他にも地熱とかバイオとか様々な再生可能エネルギーの広がる要素はまだあるんですよね。ほかの国と同じ以上に。
(水野氏)どうなんですか?
(小出氏)もちろんあると思います。日本はこれまで「原子力、原子力」とそちらばかりに目を向けて力を入れて、何兆円ものお金を原子力に投入してきてしまったわけですが、もっと前から再生可能エネルギー資源に力を入れていれば、ずーっと安定的な供給を保証できるような体制が作れたはずだと私は思います。
(水野氏)もう一つ、福島県の調査について伺いたいんですけれども、先ほどニュースでお伝えいたしました放射線量の高い地域、3つの町村で外部被曝線量の推計の値が出ました。
 一般の方で一番高い数字が出たのは、23ミリシーベルト、成人の女性です。これは、外部被爆だけで23ミリシーベルト、どう見たらいい数字でしょうか?
(小出氏)普通の皆さんは、1年間い1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないというのが法律です。私のような極特殊な仕事に従事している人間、放射線業務従事者というレッテルを貼られている人間は、仕方がないから20ミリシーベルトまでは我慢しろと言われてきたのです。
 それを23ミリシーベルトっていうのは、私のような人間すら超えて被曝をしてしまった。それも丸1年ではないですよね。何か月かの間にという・・・
(水野氏)最初の4カ月ですね。
(小出氏)ということですから、とてつもない被曝をすでにさせられてしまった人が居るということです。
(水野氏)うーん、しかしながら、これ、福島県立医大の山下俊一副学長はこうおっしゃっております。
「健康への影響がただちにあるという数値ではない」
(小出氏)<苦笑>まるで事故直後の枝野さんみたいですね。
(水野氏)あー、ありましたね。
(小出氏)「ただちに影響が出るレベルではない」
 そうです、もちろんそうです。「ただちに」というのは、急性放射線障害が出るレベルではないというだけのことであって、もともと私たちそんなこと何も言っていません。急性でバタバタ死ぬようなことではなくて、
「これから何年、或いは10年、20年後にガンで死ぬような人たちがでてくるんですよ」
ということをずっと警告してきたわけですから、山下さんに「そういう人は居ないのですか?」とむしろ聞いてみたくなります。
(水野氏)或いは、山下副学長、こうもおっしゃっていて、
「年間100ミリシーベルト以下の被曝では、明確な発がんリスクは無い」
と。これどうなんですか?
(小出氏)それもだから、実にアカデミズムの言葉でいうならば、おかしな言い方だと私は思います。要するに疫学的に統計的に、確たる証拠が無いというだけのことであって、疫学だけではなくて、生物学的な実験データとかそういうことを総合的に考えれば、100ミリシーベルト以下であっても必ず影響があると考えるべきだというのが、現在の学問の到達点なのです。
 当然山下さんもそんなことは十分ご存じのはずなんですけれども、未だに証拠が無いというような言い方をするというのは、私は不誠実な方だと思います。
(水野氏)でも、この23ミリシーベルトの方にしても、外部被爆だけの量ですよね。
(小出氏)そうですね。
(水野氏)内部被曝・・・も合わさっていきますよね。もちろん。
(小出氏)もちろん内部被曝もありますし、事故直後の数日間というのは決定的な被曝をしたはずなのですが、その時のデータはほとんどありませんので、ひょっとすればまだ何倍かもしれないというような被爆の可能性もあると私は思います。
(水野氏)はい。どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】


【関連記事】
一般最高値は23ミリシーベルト=震災後の外部被ばく-3町村1万人調査結果・福島
時事通信(2012/02/20-13:37)
 東京電力福島第1原発事故を受け、福島県が全県民を対象に実施中の健康管理調査で、県と福島県立医大は20日、先行調査した浪江町と飯舘村、川俣町山木屋地区の住民について、東日本大震災後の4カ月間の外部被ばく量(推計値)を発表した。放射線業務従事経験者を除く一般住民の最高値は23.0ミリシーベルトだった。
 最高値を記録したのは計画的避難区域に住んでいた成人女性で、現在は区域外に避難中。県は町村名を明らかにしていない。政府が今春に決める避難区域見直しで年間被ばく量基準の一つとなっている20ミリシーベルトを超えたのは計2人。調査に当たった県立医大の山下俊一副学長は「健康への影響が直ちにあるという数値ではない」と説明している
 県によると、3町村の対象者は2万9103人。1月末までに調査票を回収できたのは1万5158人で、今回はうち推計値がまとまった1万468人分(放射線業務従事経験者を含む)の結果を公表した。内訳は58.0%が1ミリシーベルト未満、99.1%は10ミリシーベルト未満だった。
 一般住民で10ミリシーベルトを超えたのは71人で、20歳未満の最高値は18.1ミリシーベルト。一方、放射線業務従事経験者の最高値は47.2ミリシーベルトだった。
 県は昨年12月に先行調査3町村の1727人分の結果を公表。この時の一般住民の被ばく量は最高14.5ミリシーベルトだった。
 県は昨年6月から健康管理調査を開始。原発事故後の住民の行動記録や放射線量率マップなどを基に外部被ばく量を算定した。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012022000530

失礼します。
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【追記】
ドイツ:脱原発でも電力輸出超過 再生エネルギー増加で
毎日新聞 2012年2月20日 15時00分(最終更新 2月20日 19時59分)
 【ブリュッセル斎藤義彦】東京電力福島第1原発事故後に「脱原発」を決め、国内17基の原発のうち約半数にあたる8基を停止したドイツが昨年、周辺諸国との間で、電力輸入量よりも輸出量が多い輸出超過になっていたことが分かった。脱原発後、いったんは輸入超過に陥ったが、昨年10月に“黒字”に転じた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの増加と、全体のエネルギー消費量を抑える「効率化」が回復の要因だという。厳冬の影響もあり、電力不足の原発大国フランスにも輸出している
 欧州連合(EU)加盟27カ国など欧州の34カ国の送電事業者で作る「欧州送電事業者ネットワーク」(ENTSO-E、本部ブリュッセル)の統計。冬はエネルギー消費量が最も多いことから、ドイツ政府は「(脱原発決定後の)最初の試練を乗り切った」(レトゲン環境相)としている。
 ドイツは昨年3月の福島第1原発事故後、17基の原発のうち旧式の7基を暫定的に停止し、その後、1基を加えた8基を昨年8月に完全停止した。震災前は周辺国との電力収支が輸出超過だったが、昨年5月に輸入超過に転落した。フランスからの輸入が前年の3割増になるなど昨年9月まで輸入超過の状態が続いた。
 しかし、昨年秋に入ってから好天が続き、太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電に有利な条件が整った。また、ドイツ政府が住宅の断熱化などエネルギー効率化を推進したのに加え、原油価格の高騰も手伝って、エネルギー消費量が前年比約5%減になった。このため昨年10~12月の電力収支は輸出超過を回復。11年の通年で約4200ギガワット時の輸出超過になった。
 今年2月に入り、欧州各地で氷点下10度を下回る厳冬になると、電気暖房が全体の3分の1を占めるとされるフランスで原発をフル稼働しても電力が足りなくなった。このため、2月の17日間のうち6日間は電力需要の多い午後7時ごろを中心にドイツからフランスへの輸出超過になり、電力の7割を原発に頼るフランスが脱原発のドイツに依存する事態になった
 昨年のドイツの発電量に占める原発の割合は約22%から18%弱程度に低下する一方、再生可能エネルギーは約20%に上昇した。さらに、褐炭、石炭、ガスなどが微増しており、原発の目減り分を補っている。
 一方、日本では再生可能エネルギーによる発電量(10年度)は全体の約10%にとどまり、太陽光や風力など水力以外の新しいエネルギーは約1%に過ぎない。
http://mainichi.jp/select/science/news/20120220k0000e030178000c.html