原発関連就職先、人気変わらず 高校生「現実選ぶ」 2章(4)
福井新聞(2012年2月8日午前10時52分)
昨年12月中旬、原発関連企業に就職が内定した高校生の研修が福井県の敦賀市内で行われた。国の原子力人材育成の一環だ。敦賀工、若狭東、大野東の3校から約50人が参加し、先輩から仕事内容や心構えを聞いた。高速増殖炉「もんじゅ」の関連施設では、固形のナトリウムを切る実験や消火作業も体験した。
「(東京電力福島第1原発事故の影響で)正直不安はあるけど、日本の成長を支えてきたのは原子力。立地地域で育ち、学校で学んだ技術も生かせると思った」と嶺南の男子生徒は志望動機を語った。同級生には原発関連への就職希望者が多いという。
福井新聞(2012年2月8日午前10時52分)
昨年12月中旬、原発関連企業に就職が内定した高校生の研修が福井県の敦賀市内で行われた。国の原子力人材育成の一環だ。敦賀工、若狭東、大野東の3校から約50人が参加し、先輩から仕事内容や心構えを聞いた。高速増殖炉「もんじゅ」の関連施設では、固形のナトリウムを切る実験や消火作業も体験した。
「(東京電力福島第1原発事故の影響で)正直不安はあるけど、日本の成長を支えてきたのは原子力。立地地域で育ち、学校で学んだ技術も生かせると思った」と嶺南の男子生徒は志望動機を語った。同級生には原発関連への就職希望者が多いという。
敦賀工高では、本年度の卒業予定者117人のうち就職を決めたのは93人(1月24日現在)。原子力・エネルギー関連企業への就職内定は半数近い44人を占める。前年度は就職者103人のうち48人が同関連企業に就職した。福島の事故を挟んでも比率はほぼ同じだ。
北村泰生教頭(56)は「(原子力・エネルギー関連の)求人数は変わらなかった。企業側の努力で雇用が確保され、技術者として地元で働けることは大変ありがたい」と語る。学校や生徒にとっては、トヨタ自動車やパナソニックなどと同じように地域と密着した産業との認識だ。
■ ■ ■
敦賀公共職業安定所によると、昨年12月末現在で敦賀市、美浜町、若狭町三方地区の高校卒業予定者への求人は241人。対する就職希望者は237人で、うち内定者が223人。近藤孝美所長(55)は「原発関連が担っている部分は大きい」と説明する。
小浜公共職業安定所によると、嶺南西養護学校を含む若狭地域の四つの高校・高等部の3年生の就職希望者数は、昨年12月末現在で177人、うち164人が内定を得ている。各校によると、原発関連企業に就職するのは計35人だ。
若狭東高では19人が原発関連企業へ就職する。例年2~3割が原発関連企業に進むという。福島の事故後も、生徒や父母から原発を忌避する声はなく、原発関連企業に対する意識に大きな変化はないようだ。別の高校関係者は「今は大学に行っても就職が難しい時代。半世紀続いてきた原子力の安定度や生活のためという現実の問題を考えているのでは」と話す。
同安定所は「原発に携わる企業の求人数はほぼ前年度並みと聞く。事故による採用面への影響は今のところないようだ」とみている。
■ ■ ■
第1志望の電力事業者から内定を得た嶺南の女子生徒は「生まれたときから原発が身近にあり、私たちは現実と向き合ってきた。福島の事故があってから厳しい目で見られがちだけど、電気は生活に欠かせない。不安はない」と言い切る。
一方、4月から原発関連企業に勤める予定の若狭地域に住む高校生は、志望理由を「給料にひかれた」と率直に打ち明ける。この企業は原発構内で設備のメンテナンスなどが業務。初任給は他の業種に比べて2~3万円ほど多いという。「大きな産業に乏しい地元で就職しようと思ったら、選択の幅は限られる。その中で待遇の良い企業に行くのが第一」と語った。
ただ、定期検査で停止した各原発の再稼働が見通せない現状に対しては「このまま再稼働しなかったら、仕事はどうなるのかという心配はある。でも、自分の力で何かができるわけでもない。考えても仕方ないのかなと思う」と微妙に揺れる胸の内を明かした。
職安や高校は、原発の再稼働やエネルギー政策見直しが雇用にどう影響するか見守っている。ある高校関係者は「再稼働の時期がはっきりせず、新年度以降の原発関連企業の採用数は読めない。正直なところ、かなり不安だ」と漏らした。(原発取材班)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/32955.html
このニュースを読んで、
「あぁ、こういうことなんだな」
と思いました。
トヨタやパナソニックと同じ並列で電力会社が語られる。
今この状況になっても、なお・・・。
そして、就職していく生徒たちは、用意された待遇や原子力を信じて進んでいく。
こうやってその土地はその産業がなければ生きていけないような状態になり、原発を止めようとすると摩擦が起こる。分断する。
胸が苦しいです。
どこかが狂っていると思います。
まだまだ若い彼らの人生・・・。
・・・言葉に詰まります。
失礼します。
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北村泰生教頭(56)は「(原子力・エネルギー関連の)求人数は変わらなかった。企業側の努力で雇用が確保され、技術者として地元で働けることは大変ありがたい」と語る。学校や生徒にとっては、トヨタ自動車やパナソニックなどと同じように地域と密着した産業との認識だ。
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敦賀公共職業安定所によると、昨年12月末現在で敦賀市、美浜町、若狭町三方地区の高校卒業予定者への求人は241人。対する就職希望者は237人で、うち内定者が223人。近藤孝美所長(55)は「原発関連が担っている部分は大きい」と説明する。
小浜公共職業安定所によると、嶺南西養護学校を含む若狭地域の四つの高校・高等部の3年生の就職希望者数は、昨年12月末現在で177人、うち164人が内定を得ている。各校によると、原発関連企業に就職するのは計35人だ。
若狭東高では19人が原発関連企業へ就職する。例年2~3割が原発関連企業に進むという。福島の事故後も、生徒や父母から原発を忌避する声はなく、原発関連企業に対する意識に大きな変化はないようだ。別の高校関係者は「今は大学に行っても就職が難しい時代。半世紀続いてきた原子力の安定度や生活のためという現実の問題を考えているのでは」と話す。
同安定所は「原発に携わる企業の求人数はほぼ前年度並みと聞く。事故による採用面への影響は今のところないようだ」とみている。
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第1志望の電力事業者から内定を得た嶺南の女子生徒は「生まれたときから原発が身近にあり、私たちは現実と向き合ってきた。福島の事故があってから厳しい目で見られがちだけど、電気は生活に欠かせない。不安はない」と言い切る。
一方、4月から原発関連企業に勤める予定の若狭地域に住む高校生は、志望理由を「給料にひかれた」と率直に打ち明ける。この企業は原発構内で設備のメンテナンスなどが業務。初任給は他の業種に比べて2~3万円ほど多いという。「大きな産業に乏しい地元で就職しようと思ったら、選択の幅は限られる。その中で待遇の良い企業に行くのが第一」と語った。
ただ、定期検査で停止した各原発の再稼働が見通せない現状に対しては「このまま再稼働しなかったら、仕事はどうなるのかという心配はある。でも、自分の力で何かができるわけでもない。考えても仕方ないのかなと思う」と微妙に揺れる胸の内を明かした。
職安や高校は、原発の再稼働やエネルギー政策見直しが雇用にどう影響するか見守っている。ある高校関係者は「再稼働の時期がはっきりせず、新年度以降の原発関連企業の採用数は読めない。正直なところ、かなり不安だ」と漏らした。(原発取材班)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/32955.html
このニュースを読んで、
「あぁ、こういうことなんだな」
と思いました。
トヨタやパナソニックと同じ並列で電力会社が語られる。
今この状況になっても、なお・・・。
そして、就職していく生徒たちは、用意された待遇や原子力を信じて進んでいく。
こうやってその土地はその産業がなければ生きていけないような状態になり、原発を止めようとすると摩擦が起こる。分断する。
胸が苦しいです。
どこかが狂っていると思います。
まだまだ若い彼らの人生・・・。
・・・言葉に詰まります。
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原発利権の恩恵を受けた地域に生まれ育つと、それだけで否定は難しくなります。それは当然です。
こういう時、現実を見る、という言葉は極めて近視眼的な視点で見るという意味で使われますが、それは非常時であるというニュアンスで肯定的に使われます。
ファシズムの手法として、現状を極めて危機的であると煽り、近視眼的な視点、即ち身勝手な思考と行動を肯定するというものがあります。我々が生きる為に必要なのだ、という理屈です。
今日本で主張されているのが、今の生活レベルを保つ為。
反原発の人達の間でも、生活レベルを落としてもやめようという主張はあまりありません。そう思っている人はそれなりにいて、受け入れられないと判斷して主張しないのだと思いますが、やはり例外的でしょう。
我が儘を肯定する理由に、「生活レベルを落とさない」が通用してしまっている。しかし、これは緊急避難のような「自分の死を回避する為にやむを得ざる場合」という、殆ど万人に納得できるようなものではない。だから、自分にも、他人にも正当性を言い聞かせるようになる。
そういう自治体で生まれた彼らは、そういう宿命にあります。
昭和や平成の日本に産まれた日本人が、自国の繁栄をその勤勉さと努力に多く因るのだと思いたがったようにです。
歴史を振り返れば、資本主義は軍事力を背景にした不平等な取引で発展してきたもので、現在も軍事力は大きな影響を残しています。ただし経済の独立性が強まったのも事実であり、経済的主体と国(軍事力)が離れ資源価格が上昇し、国の間の格差が縮小してきていることも事実。現在の世界的な右傾化はそれを昔に戻そうとする多くは無意識的な力の作用でしょう。