※この記事は、2月6日 【内容起こし】小出裕章氏:2号機圧力容器底部の温度上昇と川内村の2万Bq/kgミミズ@たね蒔きジャーナルの続報です。

20120207 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(水野氏)まずですね、昨日伺ったんですが、福島第一原発2号機の温度上昇のなぞについて、心配してらっしゃる方がまだ多いんですね。
 それで、これは今月に入って原子炉の温度が50℃前後だったのが70℃くらい、20℃上がってきたというお話です。
 この理由についても、小出先生に昨日推理をしていただいたんですが、今日ホウ酸水を入れたんだそうです。このホウ酸水を入れるというのは、どういうためなんですか?
(小出氏)核分裂の連鎖反応を抑えるという意味です。ですから、再臨界してるかもしれないという疑いが一方にあるのですけれども、それは困るのでとにかくそれを防ごうという対策です。
(水野氏)このホウ酸水を入れて再臨界している場合、それを防ごうという動きをしたところ、状況が変わらないんだそうです。温度がだからといって、下がらない・・・
(小出氏)『再臨界ではなかった』ということなんですね、恐らく。
(水野氏)あ、そうなんですか。はぁー、昨日から小出先生は再臨界の可能性は低いと思うと否定をしていらっしゃいました。ホウ酸水を入れても温度が変わらないということは、再臨界していない・・・
(小出氏)関係なかったということですね。
(水野氏)なるほど。それが裏付けられたと受け取っていいんですね?
(小出氏)多分・・・
(水野氏)『多分』裏付けられた・・・?
(小出氏)問題は要するに、見ることもできないし、きちっと知るための測定器すらが無いという状態なんですね。ですから私もこうやってニュースを教えていただいて、あーでもない、こーでもないとただ推理をしているだけなのですけれども、ひょっとしたら私が間違えているかもしれないという恐れは、いつもあります。
(平野氏)先生、専門家の方々の間では、正確に先生がおっしゃるとおりなかなか測れなくて、電流の変化で温度を推定っていうか、測るしかないんで、その誤差が例えば「20℃くらいある時もあるんだ」みたいなこと出てるんです。
(水野氏)誤差が20℃?
(平野氏)そうすると、今70℃、10℃上がれば80℃で誤差があったらもう100℃ですよね。
(小出氏)ダメになってしまいますね。
(水野氏)100℃になると水が蒸発するから、冷却できないからダメになるんですね?
(小出氏)まぁ、私たちは『冷温停止』という言葉を使って、原子炉を安定な状態にしたいとずっと思ってきたんですね。その『冷温停止』という状態は、圧力容器という容器の中に水を張ることができて、その水の中に炉心が浸かっていて、水の温度が100℃以下になる、つまりもう沸騰もしないわけですし、水という液体の状態で原子炉を冷やせる。それなら安心だというのが、『冷温停止』という状態。
(水野氏)本来の『冷温停止』ですね。政府が言ってるのとは違う・・・
(小出氏)全然違う。
(水野氏)全然違う、本当の『冷温停止』。
(小出氏)今はもう圧力釜の底が抜けてしまっていて、水がじゃじゃ漏れになっている、そして炉心自身も多分ほとんどはもう流れ落ちてしまっていて、残っている炉心がどこかに、私はどろのようになってると思うのですが、あちこちにへばりついている、そのへばりつき方が変わることによって圧力容器の温度もまた変わってくる、どうもそういう状況ではないかと私は疑っているのですが。
(水野氏)温度計が圧力容器に三つ付いているんですが、お釜の底に近い部分の側面ですね、そこに三つ右と左と真ん中みたいなイメージですかね、真ん中といいますか側面に三つ離れてついている、そのうちの一つの温度計において、温度が上昇してるわけですよね。
(小出氏)多分その周辺に溶けた炉心のどろのようになったものが、たまたま温度計の近くにへばりついてしまっているのではないかと私は推測しています。
(水野氏)はい。
(平野氏)先生、東電はね、なんか注水量を毎時1トンずつ増やして、10.6トンにして、更にまた3トン増やすとか言ってるんですけど、注水量を増やすことによって何か期待できるんですか?上昇の変化は?
(小出氏)直接には期待できないと思います。要するに流量を増やしてしまうと、また泥の位置が変わったりするわけですね。泥の位置が温度計の近くに行くと、またむしろ温度が上がってしまうというようなこともあり得ると思います。
 ですから、温度は今、かなり大きな圧力釜の部分的なところを測っているのですね。だから、もっと別なところでは高い温度化もしれないし、また低いところもあるのかもしれない。ただ、たまたまその温度計を貼りつけてあった温度だけ、今参考に見ているということなんですね。
(水野氏)そういうことですか。
 じゃあ、平野さんがおっしゃった誤差がね、20℃ほどあるという専門家の見方を含めますとね、今70℃くらいの温度計を示してますでしょ?私は100℃まであと30℃あると思ってたんですよ。だけど、誤差が20ということは、70+20で90の可能性もあるいっていうことじゃないですか。
(小出氏)もちろんあるし、今測れていない圧力容器のところで、既に100℃を超えているところもあるかもしれない。
(水野氏)そういうことですよね!『100℃以上になってるところがあるかどうかがわからない』ということが事実なんですね。
(小出氏)そうです。それが一番私たちにとって困ることなんですけど、もうどうしようもないのです。
(水野氏)はぁ・・・、それは調べることは・・・
(小出氏)できません。
(水野氏)やっぱりロボット連れていくとかそんなんでもできないですか?
(小出氏)ロボットも入れません、中には。
(水野氏)じゃあ、本当に原子炉の中の溶融した燃料がどんな状況で泥で、今どこにあるかさえも、内視鏡でもわからなかったんですよね。
(小出氏)内視鏡は格納容器というものの中を見たんですけれども、水がどこにあるかすらも判らなかったのですね。
(水野氏)なるほど・・・。
(小出氏)炉心がどこにあるかは、今度圧力容器の中を見たいというわけですけれども、そんなものは何年経っても多分見られないです。
(水野氏)何年経っても見られないんですか!?
 ・・・それが原発事故の本質だということですね。
(平野氏)国の『収束宣言』というのが、本当に・・・あきれますよね。
(水野氏)何が『収束』ですか?
(小出氏)多分、外国からみんな呆れられていると思います。
(水野氏)どうもありがとうございました。
【以上】


【関連記事】

福島2号機の冷却「政府も対応」 温度上昇で細野原発相
2012/02/07 11:15 【共同通信】
 細野豪志原発事故担当相は7日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部の温度が上昇している問題に関して「(注水の)流量を上げ、温度が確実に下がる状況をつくるべく努力している。政府としても責任を持ってやっていきたい」と述べた。
 2号機では先月、配管を交換するため2系統ある注水ラインの流量を変更した。細野氏は「安定性のレベルを上げるプロセスだが、一時的に不安定な状況が生じる可能性が明らかになった。より慎重なやり方を検討する必要がある」と話した。
http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012020701001338.html


福島第1原発:温度上昇の2号機にホウ酸水注入
毎日新聞 2012年2月7日 11時52分(最終更新 2月7日 12時47分)
 東京電力福島第1原発2号機で圧力容器底部の温度が急上昇した問題で、東京電力は7日未明、再臨界を防ぐためのホウ酸水を原子炉内に注入したと発表した。冷却のための炉内への注水量も毎時10.5立方メートル(10.5トン)から同13.5立方メートル(13.5トン)に増やし、昨年12月の事故収束に向けた工程表のステップ2達成宣言後で最大の量になった。同日午前10時現在の温度は69度と高止まりしている。
 ホウ酸水の注入は7日午前0時19分から同3時20分まで実施された。注入量は約1トンだった。ホウ酸水の注入は昨年11月に同原発2号機で、燃料の核分裂が連続する「再臨界」の可能性を示す放射性キセノンが検出された時以来になる。細野豪志原発事故担当相は7日、閣議後の記者会見で、「政府としても責任を持って対処していく」と述べた。
 2号機の圧力容器底部には三つの温度計が設置されている。このうち二つは同日午前10時現在、約42度だが、残りの一つは5日夜に70度を超え、その後も70度前後を推移している。6日の検査では、キセノンなどの放射性物質は検出されなかったという。
 温度上昇の原因について、東電は、凍結防止用に冷却水用の配管を1月末に交換したことで炉内の水の流れが変わり、溶け落ちた一部燃料に水が十分当たらなくなった可能性があるとしている。
 7日午前の会見で、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「キセノンが検出されておらず、未臨界と確認している。ホウ酸水注入は万全を期すためで、温度を注意深く観察していきたい」と話した。【神保圭作】
http://mainichi.jp/select/science/news/20120207k0000e040167000c.html


原発2号機温度、わずかに低下 注水増加で68・5度に
2012/02/07 20:03 【共同通信】
 東京電力福島第1原発2号機の原子炉圧力容器の温度が上昇していた問題で東京電力は7日、原子炉への注水量を増やした結果、温度がわずかに低下したと発表した。
 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「圧力容器の温度はほぼ頭打ちになり、低下傾向ではないか。引き続き温度の状況を確認していきたい」と述べた。
 原子炉への注水ラインは2系統あり、東電は7日早朝から一つの系統での注水量を1時間当たり約3トン増量し、2系統あわせて毎時13・5トンにした。圧力容器の温度は7日午後5時に68・5度とわずかに下がった。ほかの二つの温度計は40度台で安定している。
http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012020701002261.html

失礼します。
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