※この記事は、
9月18日 WHO:原発の人体影響を担当した放射線健康局を09年に廃止していた【WHOとIAEAの力関係】@毎日新聞
7月20日 矢ケ崎克馬氏:内部被ばくのメカニズムと米国が隠した広島・長崎@たねまき
7月20日 欧州放射線リスク委員会ECRR代表クリス・バズビー氏の記者会見の内容@自由報道協会【その①】
6月8日名古屋大沢田昭二名誉教授×岩上氏@IWJ【その①】などに関連しています。

ほんとうに心強い会が立ち上がりました。
このメンバー、本当に日本の最強だと思います。
この先生方がまとまって立ち上がってくれたこと、本当に感謝したいと思います。

敬意をこめて。

どうぞ、ご覧ください。

【動画】
120127 【FPAJ主催】市民と科学者による内部被ばく研究会 記者会見
http://www.ustream.tv/recorded/20030116 (92:36)

●「市民と科学者の内部被曝問題研究会」  
【登壇者】
 肥田舜太郎
 矢ケ崎克馬
 沢田昭二
 松井英介
 高橋博子
 牟田おりえ
 生井兵治
 岩田渉(市民測定所)
 田代真人(敬称略)
「内部被曝からいのちを守る-なぜいま内部被曝問題研究会を結成したのか」も発刊

【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

※資料がないパートがいくつかあります。沢田先生の部分は
6月8日名古屋大沢田昭二名誉教授×岩上氏@IWJ【その①】から代用しています。

※日本記者クラブの会見のほうに資料がUPされていましたので、URLとともに資料を差し替えました。
【会見資料】
松井英介氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/9171730f8056aab9a5562dfd9aa6abd9.pdf
沢田昭二氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/1cdb72375b37cd1e83fbb44a0fd2d363.pdf

(司会)それではさっそくですが、市民と科学者による内部被曝問題研究会の記者会見を始めさせていただきます。
 まずは冒頭、松井さん、沢田さんより20分ずつお話をしていただきます。そして、その後矢ケ崎さんより15分ほどお話をいただきまして、その後質疑に入る前に、肥田さんより一言ご挨拶をいただく予定でございます。(進行の諸注意一部略)
 それではさっそくですが、まず松井さんのほうからお話をお願いさせていただきたいと思います。お願いいたします。

松本氏(松井氏)松井英介と申します。
 私は放射線医学講座というところに席をおいて、主に呼吸器の病気、肺がんの患者さんとの付き合いが多いのですが、ずっと肺がんの早期発見に絡む治療までずっとやってきた臨床の医者です。
 放射線医学講座に席をおいていたということで、放射線については他の臨床医より少し詳しいということで、特に内部被曝の問題について、この間、10年ほどですけどもいろいろといろんな方と交流を深めてまいりました。
 それで、今度の東電の事故ですけれども、事故現場から非常に広い範囲に広がったさまざまな放射性物質がありますけれども、その小さな粒、ここにも多分あると思うんですが、その小さな粒が体に入ってくる。入ってきて中から放射線を出す。これを『内部被曝』といいますが、典型的な内部被曝による健康障害の場に生きていかなければいけない、そういう時代に私たちはたまたま遭遇してしまったわけですが。
 そういうことで私の参考資料がお手元にあると思いますが、こういうやつですけど、『低線量下降』とありまして、放射線内部被曝による健康障害、これをちょっとご覧いただきたいと思います。
 まずは、セルビルダっていうなんかちょっと因縁みたいなものは感じるんですが、命の問題をどう考えるのか?命と健康の問題ですね。これをどう考えるかという時に、命というのはもともとは一個の細胞から始まった。
 35億年前とも言われてますけど、海の中で一個の細胞が生まれたわけですね。それは、非常に安定した環境、温度の面でも、或いは水の中の様々な電解質といってますけれども、カリウムとかナトリウムとか、そういう塩分のバランスという意味で、非常に安定した環境の中に最初の細胞が生まれた。
 それが多細胞の生き物になり、さらにいろいろ心臓とか神経系とか臓器を自分の身体に作りながら、移動の手段を身につけていく。
 その生物がある時陸上に上がってくるんです。上がってきた我々の祖先は『身体の中に海を作った』と言われています。
 それは、今も私たちの身体自身がそうですが、身体を構成してるのは、主に水です。7割以上が水だと言われてますが、だから水がメガネをかけたり眼帯をしたりなんかして、もっともらしいことをしゃべってるといってもいいくらい、水が無ければ我々の命はないということなんですけれども、その中の水の成分が海の水の成分によく似てるんです。
 そういう意味でそれを『内部環境』といいますけれども、その内部環境、安定した内部環境の下で体温を36℃何分、或いは心臓のリズムもこの世に生を受けてから土に帰るまで、ずっとある一定のリズムを刻む、というふうにして内部環境を私たちは保つ、非常に大事なそういう、言ってみれば神秘的なシステムを作り上げてきたわけですね。
 その内部環境をうまく保つためにあるのが、
 ひとつは内分泌系です。内分泌ですね。ホルモン。
 それから神経系、自律神経系ですね。
 そして、もう一つが免疫系です。
 この三つがうまく協力しながら、私たちの身体を安定した状態に保つ、内部環境を良い状態に保っています。
 それを肉体的な健康状態といってもいいと思いますが、例えば外からウィルスが入ってきますと、一気に体温を上げて40何℃にあげてウィルスをやっつける。このへんの仕組みはすごく精緻なものだと思うのです。
 ところがさまざまなものが私たちの体の中に、私は呼吸器の病気が専門ですので呼吸のことを少しだけ話しますと、空気と一緒に肺を介して身体の中にいろいろなものが入ってくるわけですね。
 それで、その外界から空気と一緒にいろんな有害なものが入ってくる。それを肺のところで一応食い止めてるんですけれども、肺胞のところで我々がやってることというのは、酸素を取り込んで炭酸ガスを出す=いわゆる呼吸をやってるわけですけれども、その肺の働きにもう一つありまして、外から入ってきた有害なものをそこでフィルタにかける。全身に回らないようにフィルタにかける。
 或いは、気管支のところにそういう粘液があって、繊毛のところに粘液があって、それにからめて外へ外へと送り出してる。そういう防御機構を持ってるわけです。
 その肺というのは一番重要な臓器なんですが、成人の場合大人の場合は、ちょうど肺胞というガス交換をやる小さな袋を広げてやると、テニスコート一枚くらいの広さ。そういう点で、外部の環境と非常に密に結びついている臓器なんですね。
 そういうふうにして外部環境と内部環境を常に我々考えていかなければいけないんですけれども、外から入ってきた有害なものは様々な化学物質もありますし、或いは微生物もありますが、今問題になってるのは放射性物質。
 こいつが入ってきて、そして中から放射線を出す。
 それは小さな小さな粒。場合によっては、それこそ1㎜の1000分の1のさらに1000分の1というミクロのもう一つ下の単位=ナノメーターのサイズ、そこから絶えずアルファ線とかベータ線が出てくるわけですが、それによってその細胞の中の中心になってる核、そこにDNA=染色体、遺伝子ともいいますが、DNAがある。そこに傷をつけるんですね。
松井英介1 DNAというのは、最初の参考資料のところに図がありますけれども、二重の螺旋になっている。この螺旋の1本が切れただけですと、片一方に記録が残ってるので修復ができる。放射線は、このアルファ線とかベータ線というのは、特にこの2本の鎖を同時に切ってしまう、非常に高密度に傷をつけるというために、二本とも着られると修復が非常に難しくなる。間違った修復をする=異常再結合と言っていますが、それが細胞の中で起こるわけですね。そのほかにも、核の周囲に細胞質とありますけど、その細胞質に放射線が当たった時にも、様々な化学反応が起こる。
 例えば水の分子がイオンに分けられる=イオン化といいますが、そして分けられたイオンそのものも非常に毒性が強いんですけども、分けられた酸素から水酸基の二つのイオン、また分子に戻っるとみにH20の水に戻るんじゃなくて、H2O2に戻る。
 となりますと、こいつがすごく毒性をもったものです。それが細胞の中に形成されるということで、その生物化学反応の結果生まれた有害なものは、細胞核の中のDNAに傷をつける。ある人はそれが7割だという。
 というようなメカニズムで細胞という場で、さまざまな有害事象が起きている。
 ところが、なぜそういうこと強調したかといいますと、ICRP=国際放射線防護委員会といいますが、1950年に発足しました。このICRP、その前はNCRPというアメリカ国内のナショナルな防護委員会があったんですけれども、そのICRPが最初の内部被曝の委員会を設置した。外部被曝委員会とともに内部被曝委員会を設置したんですけど、2年もしないうちにこれを閉じてしまったんですね。
 その訳が、どういうものかということを委員会の委員長をやっていたカール・モーガンが書いています。それは一言でいうと、
『原子力産業から独立していなかった。』
 ここに今日来ていらっしゃるメディアの方々っていうのは、いわゆるインディペンデントな方々だと聞いていますけども、『インディペンデントでなかったために、原子力産業に尽力するようなICRPだったからだ』というふうに書いています。
 もうちょっと具体的に言いますと、原子炉を持っている、つまり原発の原子炉を運転するんですが、原子力で働く労働者の健康維持、これを考えた時に内部被曝を考慮することができない、維持ができないということが段々に判ってきて、原子炉が運転できないということが困るわけですね、原子力産業にとって。
『その内部被曝に関する検討を、それ以上やらないようにしよう。』
ということでもって、閉じてしまったということを書いています。
 内部被曝、とくに細胞という人間の命の一番単位、基本になっているところでコトが起こってるということについて、これを軽視、無視するという、細胞レベルで起こってることを無視する。
松井英介2 特に資料の真ん中のところ1ページ目の真ん中にありますけども、これは今さっき言った細胞核の中にあるDNAに傷がつかなくても、隣、すぐ近くに、或いは隣の細胞に放射線がヒットしても、生物化学的反応が起こってDNAに傷がつく、それをバイスタンダー効果というふうにいっています。これは最近の分子生物学の研究結果でわかってきたわけですが、そこで修復の過程で生まれた異常な再結合、その形質が次々に受け継がれていく。その結果、ガンとか或いは先天障害とか免疫異常とか様々な病気を生みだしてくる。そのもとが受け継がれていく。これを遺伝子の不安定性、或いはミニサテライト突然変異というふうにいいます。
 そこのところで一番言いたいことは、『ICRPが細胞レベルで起こっている、つまり細胞レベルで内部から放射線による照射を受ける、そこで起こってくる事象、事象というのはひとつひとつをきちっと考慮していない、その防護基準が、今医療現場でも広く使われている。』
 特に日本ではそうなんですね。
 そこのところをよく見ていく必要があると思います。
 今のこの図は、実は放医研、つまり放射線医学総合研究所が出した教科書からもってきたものなんですけど、ですから、どなたでもこれは見られると思います。
昆虫異常
 それで、次のページを見ていただくと、もう時間がほとんどなくなってきたんですが、大きい問題は、原爆と原発の問題で、これは後で沢田さんの話なんかで出てくると思いますが、非常に今の原発問題でいえる大きいのはですね、通常運転でも様々な形の有害な放射性物質が環境に出ていて、それによって昆虫だとかそのほかいろいろな植物とかそこにも障害が出てくるんですが、近くに住んでるで5㎞圏内、或いは原発から50㎞圏内に住んでいる人たちの健康障害の問題もあるということが、既に判ってきております。子供の白血病の発病率が高いとかいろいろ判ってきてる。
 もう一つ今非常に重要な問題、今皆さんも関心が高いのは、食事の問題。
 この2枚目の真ん中を見ていただくと、ウクライナとベラルーシの食品の基準情報をここに示してますけど、一番右側に日本の暫定基準値。これはまた新たに少し下げると今度出してきてるようですけど、これをご覧いただくと、例えば飲料水の場合、ウクライナの場合2ベクレル/㎏に対して、日本は200ですよね。牛乳なんかでも違いがあるのがご覧いただける。
松井英介4

 しかもストロンチウムについてウクライナもベラルーシも基準値をちゃんと定めている。日本の場合は、ストロンチウムの基準値は全くない。これは牛乳の中にあるカルシウムと非常によく似た動きをするので、牛乳の中に入って、毎日赤ちゃんが飲んでるわけですね。そういう点でストロンチウムというのは無視できない。
 にも関わらず、政府というかいわゆる日本の原子力村は、そのストロンチウムをほとんど無視する、或いは一般のメディアはあまりこれを報道しない

 ということで、2ページ目一番下を見ていただくと、日本政府は
『100ミリシーベルト/年、年間100ミリシーベルト以下であれば、健康障害は無いんだ』
ということを繰り返し繰り返し、この10か月あまり福島でも説いてきたわけですけど、そうじゃない。
『低線量でも健康リスクがある』
ということを、ヨーロッパ放射線リスク委員会というのが提唱しております。1988年に発足して、1997年にひとつ大きな??を書いてるんですけども、この低線量、低線量で食品に入ってくるやつと、もう一つは瓦礫とか汚泥とかいうのを今全国の自治体に処理させようということで、全国的に汚染されたものを広げようというのが日本政府の今の考え方ですけれども、ヨーロッパでは
「それは良くない。低線量でも入ってきたときは、非常に障害性が高いので良くない」
ということも一斉にECRRが言いまして、欧州議会、EU議会もそれを止めたわけですね。だから、ヨーロッパでは低線量、或いは低レベルの放射性物質が産業廃棄物に混ぜ込まれるなんてことは無いわけです。
 ところが日本では国会を通ってしまった。
 『すそ切り』とか或いは『クリアランス制度』とかいってますけど、通ってるがために、一定線量では問題ないということをさかんに言わざるを得ないということもある。日本政府は100ミリシーベルトということを言って、それ以下だったら大丈夫というようないい方をしてるんですね。
 ですからこのECRRと日本政府の間に挟まってる灰色の部分というか、やや黒い部分が、日本政府が無視をしている低線量の内部被曝による健康リスクであるということで、それで終わりたいと思いますが、後でまた何かディスカッションに参加させていただきたいと思います。
 どうもご静聴ありがとうございました。
(司会)それでは続いて沢田さんお願いできますか?
沢田氏(沢田氏)おはようございます。
 私は専門が素粒子物理学ということで、ミクロの物質の一番根源的なところをずっと研究してきたわけですね。
 実は中学校2年生、13歳のときに、広島の爆心地より1.4㎞というすごく近いところで被曝をして、私は助かったんですけど、同じ家に居た母親と弟を火事にあって助けることができなかった、そういう被爆体験を持ってるんです。
 実は、広島大学の学生の時にビキニ事件というのが起こりまして、1954年ですけど、それで大きなショックを受けたんですね。
「自分が専門にしようとしている物理学が、とうとう人類を滅亡させるような、そういう水素爆弾を作ってしまった」
ということで、
「これはなんとかしなくてはいけない」
ということで、それ以来、学生原水禁を作ったり、科学者になってからは核兵器を無くすということで、パグウォッシュ会議とか科学者京都会議、日本では湯川秀樹先生らと友田振一郎先生、それから坂田昌一先生たちと一緒にお手伝いをしながら取り組んできました。
 そして1995年に名古屋大学を定年退職したんですけど、その後広島・長崎の原爆の放射線、ピカッと光った瞬間にやってくるのが初期放射線というのが、一応便宜的に原爆から直接やってくるという・・・だけではないんですけど、1分以内にやってきたものを初期放射線と名前をつけているわけですけど、広島・長崎で初期放射線がいろいろな物質にあたってますと、それを有毒な放射性物質にを変わるとかなんかに結晶なんかにエネルギーを高く上げるような、そういうようなことをやっていまして、それを調べれば初期放射線がどれだけやってきたかというのは判るわけですね。
 それを測定しているグループに加えていただいて、そして私は理論なんですけど、彼ら実験した人たちの測定結果を解析してました。
 すると、その頃1986年原爆放射線線量評価という体系があるんですけど、略称してDS86と言われていたわけですけど、それの遠距離が過小評価になっているということを、実験屋の人たちが調べた結果を開示すると、系統的に明らかになったわけですね。
 ちょうどその頃、原爆症認定を求める訴訟が始まっていました。
 長崎では松谷英子さん、京都では小西さんという方がやってらしたんですけど、その裁判の中で
『DS86という原爆の初期放射線線量評価が遠距離で過小評価になってるかどうか』
というのが論争になってたんですね。
 それで私の研究結果を裁判所に出したのが、私の原爆症認定訴訟との関わりなんですね。その訴訟は、最高裁まで行きまして、最高裁で勝利したんですね。
 だけど、勝利したんですけど、松谷さんとか小西さんっていうのは、爆心地からかなり遠いわけです。松谷さんは2450m、そうすると初期放射線はほとんど到達してないわけです。そうすると、そこを実験にあわせて改善して是正したそういうところで、髪の毛が抜ける、脱毛現象が起こる、そういうことが説明できないわけです。
 ということは、もっと違うことを考えなければいけない。
 実は松谷さんというのは、長崎原爆の爆心地から南、先ほど言ったように2450mなんですけど、渡辺千恵子さんという有名な被曝者は、2800mなんですね。それでも髪が抜けている。
 長崎の原爆の放射線の雨が降ったところは、爆心地から東の方、西山地区から雲仙岳のほうまでずーっと伸びてるんですね。雨が降ったところはそういうふうに伸びてるんですけど、南の方に雨は降ってないわけです。
 とすると、これは放射性降下物で目に見えない微粒子が大きく影響してるんではないかというふうに感じたわけですね。
 それで原爆の放射線の影響を調べるためには、物理的な測定ではなくて被曝者の方とか残った方から逆算して調べなきゃいけないということに気が付いたんですね。それ以来そういう研究をやることになったんですけど。
 ところが、皆さんのお手元に配っている資料があるんですけど、実は1947年にトルーマン大統領の指示で、『広島と長崎に被曝者の原爆の影響を調べろ』ということで、原爆傷害調査委員会=ABCCと言っているんですけど、それが広島と長崎に設置されました。そして1950年頃から本格的に研究が始まったんですね。
 ABCCが調べたのは、広島市に在住してる被曝者、長崎市に在住してる被曝者を調べるわけです。ということで主に死亡した時に死亡診断書を手に入れて、どういう病気で亡くなったかということで、被爆者の寿命調査集団というものを作りました。
 10数万人規模で調査したんですけど、その調査は初期放射線の調査を主に調べるという目的で、ABCCが設置されたということ、これはどこにも書いてないんですけど、やってることが明らかにそういうことをやってるわけですね。
 ですけど、1950年にそういうABCCを発足させたときに、調査する被爆者にどういう病気が起こったかということを調べているわけです。
沢田昭二1 その中で、皆さんお手元にありますけど、1ページ目の左上ですね。赤い四角のしるしがありますね。これがABCCがLSSというのは、Life Span Study=寿命調査集団、それで調べて、脱毛がどうなったかを広島・長崎でそれぞれ調べていて、それを199何年かに長崎で発表したのがあるわけですね。
 それを見ますと、初期放射線は2㎞までしか到達しないわけです。2.5㎞でもほんのわずか、すごく微量です。ところがこの図を見ていただきますと、初期放射線が到達しない4㎞、5㎞でも、わずかですけど脱毛が発症してるんですね。
 1975年にABCCが閉鎖されて、そして日米共同運営の放射線影響研究所、これは今でも広島と長崎にあるんですが、そういうふうになったわけですけど、そこの公式見解は、
『この遠距離の脱毛の発症というのは、精神的な影響かもわからない。』
 はっきりと証明はしてないんですけど、そして彼らはそういうことで、『放射線の影響ではない』ということを未だに主張しているわけですね。
 日本政府もそういう主張をしてますし、アメリカ政府もそういう主張をしているわけです。
 精神的な影響だということになりますと、広島や長崎以外にも、日本は大空襲で焼け野原になってるわけですよね。ところが、広島・長崎以外に、こういうふうに脱毛が系統的にすごい人数で発症していることはありませんし、爆心地からの距離ととも系統的にずっと下がっているということも、他の都市では無いわけですね。
 ですから、これは放射線の影響以外に考えられないわけです。
 そして、このデータから1990年代になって、その放射線影響研究所の科学者がそこにありますように、Stramと水野さんという方なんですけど、この赤い四角を解析して、初期放射線の影響だけ引っ張り出すという研究をしているわけです。ですが、未だにABCCを継承した放射線影響研究所も、初期放射線の影響を調べるということをやってるわけですね。
 もともと、だからトルーマン大統領が命令・指示したのは、結局それからあと核戦争になることを考えた時に、味方の軍隊を相手側の軍隊が初期放射線でどういうダメージを受けるかということを彼らは知りたかった。それを広島や長崎の被爆者をある意味ではモルモットにして調べようという、彼らの目的だったわけですね。
沢田昭二1-2 それがまだ1990年代まで続いていて、この赤い四角のデータから、放影研の人たちは、右側の黒丸がありますね。被爆者のはグレイで書いてありますけど、シーベルトに直していただいて変わらないと思っていただいていいんですけど、この黒丸のようなものを導き出したわけです。
 4グレイ、或いは4シーベルトというのが、半致死量というわけですね。
 本当は動物実験でも、脱毛のような急性症状は正比例分布をしている。ということで、すごく多くなっていったら100%になるというのが急性症状の特徴なんですね。
 ところが、高い線量になると横ばいになったり逆に下がったりしています。これは「調査するときに、バックグラウンドを引きすぎた」ということで、バックグラウンドを引くのを元に戻すと、赤い四角になるんですけど、でも100%になってませんよね。
 これは1950年に、さきほどLSS集団を作ったというわけで、これは日本の国勢調査の付帯調査として、日本政府が日本中の被爆者をリストアップしました。そのリストを日本政府はABCCに渡したんですね。
 当時、被爆者はすごく苦しんでいましたけど、結局日本政府はそれに対して何も処置をしなかったんですけど。

沢田昭二2

 そういうことで、1950年まで生き残って健康面の強かった人が含まれているというのが、この図にはっきりしているんですけど、この黒丸から逆算しますと、左側の図の黒いひし形になるわけです。初期放射線の影響はこれですよね。そうすると、四角との違いがが放射線降下物の影響なんですね。
 同じ放影研での実験結果は赤い線。右側の赤い線が被曝線量との関係だということが判ってきまして、それを用いて赤い四角を解析しますと、下の方の図が得られました。長い破線でずっと下がってるのが、初期放射線の被ばく影響。それから実線で白い丸がくっついているのが、放射性降下物の影響なんですよね。
 1200mのところで、初期放射線の影響と降下物の影響が交わってますよね。それを過ぎますと、初期放射線の影響は急速に下がります。
 ということで、遠距離の方はずーっと延びていまして、先ほど言いましたように6㎞離れていましても脱毛が発症しているというのは、約0.6%。約800ミリシーベルト=0.8シーベルトの被ばく線量があるということが判りました。
 これまで、放射性降下物の影響というのは、
『黒い雨が降った。それが地面の中に浸みこんでいって残ってて、そこに放射性物質が残っている。それを測定した結果、これが放射性降下物の影響だ』
というふうに言ってるわけですが、それが下の方に放射能に×印がありますよね。広島では爆心地から西の2㎞、3㎞、4㎞のくらいのところに己斐・高須地域というのがあるんですけど、0.006とか0.02グレイ、すごく桁違いに少ない。これは国が今でも厚生労働省は、
「放射性降下物の影響はこれだ」
と言い続けています。
 ところが被爆から逆算するとそこの赤いカーブのようになるわけです。もう何百倍、二桁過小評価をしてるわけです。
 その影響は主に何かというと、内部被曝によって起こるわけです。放射線降下物ですから、身体の中に放射性微粒子を取り込むわけですね。先ほど松井先生がお話になったように、肺胞の中から血管の中に入ってきて、それが全身をまわって被曝をさせるということをやって、脱毛なんかを引き起こすわけです。
 ということで、内部被曝の影響はすごく深刻だということを、これは示してるんですけど、実は放影研は、そういう遠距離のところは調査対象にしてこなかった。その放影研の研究データが国際放射線防護委員会の基礎資料になっている。
 ということで、結局内部被曝の影響を無視してきた、そういう国際基準が作られてきたというのが、今の状況なんですね。
 福島の原発事故というのは、そういう放射線降下物の微粒子を体に取り込んでいろんな病気をする、内部被曝が主なわけです。
 ですから、本当は広島・長崎の被爆者の内部被曝の影響を明らかにすることによって、福島原発事故についても予想しなきゃいけないわけですけど、それができていないというのが現状なんですね。
 ですから、こういう専門の科学者の間で内部被曝問題についていろいろ意見が違うという原因がここにあるわけですね。
 長崎でも同じです。次のページに1999年に長崎県が12㎞まで調べたものがあります。爆心地から4㎞以内のところまでは、長崎医大の人たちが被爆直後に調べたわけですけれども、ずっと離れた12㎞のところまでのデータは長崎市と長崎県が調べた結果です。
沢田昭二3-2

 その結果は、「聞いてください!私たちの心のいたで」というパンフレットから出てる、そこからいただいたんですけれども、これを見ていただくと、これは青い色が脱毛です。そして赤紫のものが紫色の斑点ができる紫斑というやつです。それから、緑色の三角のものが下痢です。
 この下痢を見ていただくと、爆心地に近いところ、1㎞未満のところはデータが誤差が大きいんですけれども、下痢の発症率が低いですよね。ところが1㎞を超えると逆転して、下痢の発症率が多くなっています。
 ということを考えますと、これは爆心地に近いところはピカッと光ってやってくる初期放射線。初期放射線というのは、ガンマ線とか中性子線という透過力の強い放射線がやってくるわけですね。下痢が起こるのは腸の粘膜、腸の壁に放射線が当たるんですけれども、腸の粘膜まで入ってこられるということは、透過力が強くないと入って来られない。
 透過力が強いというのは、先ほど松井先生のお話がありましたけど、まばらな電離作用でダメージを与えていくので、エネルギーがなかなか発している間に失わないから、エネルギーを失わないので透過力が強いわけです。
 だから、腸の粘膜は薄いですから、まばらな電離作用をしますと、腸の粘膜をほとんど通り過ぎてしまうんですね。ダメージを与えないで。
 だから下痢を発症させるためには、ものすごい量のガンマ線とか中性子線を当てないと下痢が発症しない。
 ということで、近距離が主に初期放射線だったわけですから、近距離の発症が低いというのは、そういう外部被曝の影響ということなんですね。
 ところが、遠距離の方は、放射性降下物による内部被曝。
 内部被曝の方は、腸の粘膜のところに放射性微粒子が付着しますと、透過力のすごく弱いベータ線なんかがすごくダメージを与えるわけですね。そうすると、すごくわずかでも下痢が始まるということになるんですね。
 ということで、このカーブはそういうことを示しているわけです。
 それぞれの影響について、ちゃんと仮定して調べてやりますと、右側の図のように、初期放射線の影響が急速に下がっていって、もう2㎞くらいになるとほとんどゼロになりますよね。
 三つの急性症状を全部調べてやりますと、ほぼ共通して、被曝線量がわかるわけでうす。それを調べてやりますと、爆心地から12㎞くらいのところまで1.2~1.3シーベルト、だから1200ミリシーベルトとか1300ミリシーベルトという影響ですね。広島より1.5倍大きいわけです。
 それは長崎の方が爆発力が1.4倍はあったということが、いろんなそういう影響で、これはちゃんと説明できます。
 ですから、ちゃんと広島・長崎のデータから被曝線量を推定すれば、こういうふうなことが判るんですね。
 しかも下痢は、さきほど説明しましたように、明らかに内部被曝でないと説明できないわけです。
 ですから、脱毛とか紫斑についても内部被曝の影響だということが判るわけですね。
 そして、下の方は、そういう内部被曝の影響を無視した研究が放射線影響研究所で行われているわけですけど、これは広島大学の放射線医科学研究所が広島県民と、広島県に在住する被爆者を調べた結果です。
沢田昭二4

 私の『内部被曝から命を守る
』という本のところに、かなり詳しく説明してありますし、表も付けてありますけど、先ほどABCCが調べた遠距離の放射性降下物の影響も含めた全被曝線量をシーベルトで表したのが下の図ですね。
 そして広島大学が調べたものが2㎞以遠も調べてありまして、それぞれの爆心地からの距離が、青い丸ごとに記載してあります。そして、広島県民の非被爆者、これを基準にして割り算しました。だから1ですね。そこから線を引っ張ってやると、青い線のようになるわけです。
 放影研がどのようにやっているかというと、2㎞以遠の遠距離被爆者を比較対象にしてるわけです。だから、これで今度割り算してやると、下の黒い点線のように×印のようになってしまうわけです。
 ということで、これは晩発性の悪性??物の発症ですから、すごく晩発性の障害ですよね。これを見ていただくと、全然過小評価をしたというのは明らかですよね。
 このデータが国際放射線防護委員会にいっているということになるわけです。
 だから、『遠距離被爆者を比較対象物にするようなことをやったら、すごい過小評価になる。』そういうことですよね。
 それが今、国際基準になっているわけです。
 だからちゃんと内部被曝のことを考える、そして遠距離被爆者も放射性降下物の影響があるんだということをちゃんとしてやれば、すごい深刻な影響があるということがわかることになると思います
が、そういう研究を今度のことできちんとやっていって、そして科学的に事実に則して内部被曝の問題を研究していって、それを市民の皆さんと一緒になってやっていこうというのが、私たちの『市民と科学者の内部被曝問題研究会』を発足させる、一番大きな理由なんですね。
 だから、市民の皆さんと協力して、科学者が事実を踏まえて、そしてそれを皆さんに伝えていく。そして、国際基準も変えていく。
 ということをやっていきたいと思っています。
 以上です。
<40:15頃まで>
(司会)では、続いて矢ケ崎さん、お願いできますでしょうか。
矢ケ崎氏(矢ケ崎氏)皆さんおはようございます。
 私は、矢ケ崎克馬と申しまして、内部被曝に関しましては、劣化ウラン弾の危険性、それに続いて2003年の原爆症認定集団訴訟では、内部被曝の危険性を系統的に証言することをいたしました。
 ただいま、松井と沢田から内部被曝が医学的・生物学的にどんなに危険であるか。またどのように隠されてきて、犠牲者が見えなくさせられているか。
 そういう話をいたしましたけれども、本日は、『市民と科学者の内部被曝問題研究会』の発足ということで、皆さんにお集まりいただいております。
 私どもの研究会が、『内部被曝研究会』ではなくて、『内部被曝問題研究会』、そういうふうに銘打っているのは、今の二人の話で明確にご理解いただいたと思うんですけれども、今の被曝の学問は、政治的にアメリカの核戦略に従って、それに基づいて科学的な装いをもって、本当の科学をやってない、そういう問題にあります。
 まず、この政治的な支配を受けている、そういう分野がありまして、これはアメリカの核戦略の遂行及び原子力発電の推進のために、この被曝の実態から、内部被曝、すなわち内部被曝による犠牲者が隠されていると、そういう政治的側面です。
 もう一つは、本当に命を守る一番の科学そのものをきちっとやっていない、内部被曝を隠しているという科学人の問題があります。
 ですから、私どもがここで発足する会は、
 第一に、今まで政治的に支配されてきた解釈を、きちっと明らかにする。これが第一点。
 第二点は、内部被曝を隠したりせずに、ありのまま正々堂々とした被爆の学問を展開する。
 第三番目は、命を守る。
 これが、我々のこの主権在民という日本の市民と科学者が行うべき、一番大きな課題であるというところで、『市民と科学者の内部被曝問題研究会
』ということにしております。
 今、私がこれから皆さんにご説明したいと思うことは、私たちの研究会の発足にあたりまして、政府にいろいろな提言をして、すみやかに正常化していっていただきたいということがありまして、これを皆さんにご紹介させていただきます。
 ちなみに、会の発足にあたる説明などは、内部被曝から命を守る、このパンフレットに全て詳細に書かれていますので、どうぞこちらをご覧ください。
 それから、これから政府に提言する中身については、この2枚のプリントがございますので、これをご覧ください。
 それで、私が読み上げることによって、ご説明且つご提案をさせていただきたいと思っております。
<44:45頃まで>

【後半】に続きます。

失礼します。
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