※この記事は、1月25日 【内容起こし】日隅一雄氏:世界と日本の仕組みの違いと主権者が主権を行使するために@CNIC【前半】の続きです。
5月27日山本太郎さん、反原発を理由に事務所を辞める・・・。5月26日フリージャーナリスト日隅さんが入院・・・。などに関連しています。

<43:15頃~>
澤木さん(澤井氏)ここ立て続けに先生の本が、すごいなという感じなんですけど、先生が最初は新聞記者をやってらして、その辺をちょっと伺ってもよろしいですか?
(日隅氏)もともと、さっきも言ったように、弁護士というか法を選んだのは、??対策もあって弁護士を選んだんですが、本音としてはやっぱり情報を『知ること』、さっきも言ったように知らなければ何も始まらない。まず知ることから始めようと。
 そして、『知ること』に貢献できる仕事としては、やっぱり新聞記者が一番大きいだろうと思って。
 当時、やっぱり新聞読んでいても、海外面が弱いので、将来自分が海外のニュースを伝えて、
「海外ではこういうことがありますよ。もっと関心持ってください。海外にはこんな制度がありますから、それについて勉強しましょう」
みたいなことが発信できるような立場に自分がなれればなという、海外特派員みたいなことができればなと思ったのが、新聞記者を目指した大きな動機です。
(澤井氏)それでそこを転身してくるっていうのは、いろいろあったのかと思うんですけど。
日隅さん(日隅氏)まぁ、4年5年やってるうちに、面白くなってくるんですね。実は。
 結局ですね、新聞社に勤めて、同じ仲間・エリアをカバーしてる人たちをすっぱ抜くじゃないですか。出し抜くことがやっぱ面白いわけですよ。ゲームとして。
 バーンと記事がのっかるわけですよ。で、他の人は「チェッ!くそ!」っていって走り回るわけですよ。自分たちは余裕で飯食ったりしてるのに、「頑張ってね」みたいな。
 ほんとにね、変な話なんですけど、ゲームとしては面白いんですよ。
 段々私もそこに足をつけてきて、面白いなと思うようになっていって、ただ他方で「これでいいのか?」という思いもあって、特ダネであればバーッとでて、でも、横並びであれば、いかに重要な記事でもちょっとしか載らないっていうのがあって、
「これは、やっぱり問題だな」
と思って、このままいくと多分自分はこのまま会社に勤めていくんだろうなと。例えば辞めて海外の通信社とかAPとか、そういうニュースを作っているメディアに入っていくような道があれば、本当はもっと違った、もっと自由な報道ができるんじゃないかと思って、英語を勉強しようと思って、それで辞めたんですね。
(澤井氏)それで新聞記者を辞めたんですね。
(日隅氏)そうです。
(澤井氏)それで英語の勉強に行ったと。
(日隅氏)ところが残念ながら、充分な勉強ができず帰るに帰れず、仕方ないのでニュージーランドに1年くらい居た時に、オーストラリアで日本人向けに新聞を作っている会社があって、「そこが募集してるよ」っていうことをある人から聞いたものですから、
「じゃあそこに行ってみようか」
と思って行ってみたら、運よく採用されて、またオーストラリアで1年くらいその仕事をやりながら英語の勉強をしようと思ったんだけど、流石に日本人が経営してる会社ですから、そんな時間ないわけですよ。もう夜中まで働かされると<笑>日本語にどっぷりに環境でですね、英語は全く上達しないと<笑>
 そういう中で挫折して、帰ってきたという感じですね。
(澤井氏)それで弁護士の司法試験を受験されるわけなんですけど。
(日隅氏)それは結局日本に帰ってきて、採用してほしいということでいろんなメディアを叩いたんですけど、もうバブルがはじけた時ですから、新規採用もない時ですから、中途採用なんかするはずないじゃないかと言われて、最終的に変な話なんですけども、産経新聞にも行ったんですね。
 最終的には途中でダメになっちゃって、もうどうにもならないとなったときに、たまたま???にもらったパンフレットに
『今だったら1年くらいで受かりますよ。昔は10年かかったけど、今は1年で受かりますよ』
とあったので、これはもしかしたらと思って聞きに行ったんですね。ありますよね、そういう体験講座みたいなの。セミナーみたいなのに行ったら、
「いやー。私も1年で受かりました」
なんて言ってるんですよ。
「あぁすごい!」
と思って、もしかしてそれができれば、もちろん1年とはいかなくても数年かかってもできるのであれば、それでいくしかないかなと思って、それで一生懸命勉強したんです。
(澤井氏)何年で?
(日隅氏)1年半くらいで。
(澤井氏)あぁ!1年半くらいで!すばらしいですね。じゃあ本当に最短コースで。
(日隅氏)幸い当時、司法試験を作ってるのが、「若い人を採りたい」っていうので問題傾向が劇的に変化したときだったんですね。ですから、知識を持ってるよりも、論理的にどう考えるか、或いは表現をどのようにできるかということが重視されてたんです。ですから、私みたいにあんまり勉強してない、一応法学部にいて勉強してないものであっても、論理的に考え、且つそれを表現できる・・・
(澤井氏)書く・・・
(日隅氏)まさに!その前にやってた記者の経験がまさに生きたんです。
(澤井氏)すばらしいですね。
(日隅氏)本当に運よく、それで1回目で受かっちゃって。
(澤井氏)1回目だったんですね。
(日隅氏)そうなんです。幸いですけど。それで今があるということなんですね。
(澤井氏)弁護士になってからは、やはりこの問題と思っていらしたことは、問題は・・・?
(日隅氏)そうですね。やっぱりメディアの問題というのは、当初から問題だと思っていて、当初問題だと思っていたのは、メディアが人権侵害をしてますよね。名誉棄損とかプライバシーの侵害だとか。
 私はそれはずっと、自分がその立場に居た時から、そこについては悩んでましたから、その問題とそれを伝えなければいけないということのバランスをどうとるかということで悩んでましたから、弁護士になった時に一番最初に取り組んだのは、もちろん普通の事件もやる中で、自分のライフワークとして考えようと思ったのは、
『メディアの人権侵害をいかに守るか、無くすか』
 政治家の人権侵害は別にどうでもいいと思うんですけど、いわゆる一般の人が記事に取り上げられて、冤罪とかそういう人たちを無くすためにどういうことをすればいいかということで学んでいく、その弁護士の方で被害救済ネットワークっていう仲間と、当時は先輩方と一緒に立ち上げてっていうのが最初なんです。
 ところが、その問題をどんどんやってるうちに、メディアと権力の問題にどうしてもぶち当たるんですね。その中で『メディアが実は権力に非常に抑え込まれてるんだ』ということが、よーくわかってきたんです。
(澤井氏)やっぱ凄いんですか?
(日隅氏)それは凄いです。最初に書いた本がこれ(『マスコミはなぜマスゴミと呼ばれるのか』)なんですけど、これはなんかいかにも右翼の人が書いたようなタイトルになってますけど、実はそうではなくて、私としてはこのマスコミをマスゴミと呼ばせないようなメディアにするには何が必要なのかという、そういう観点で書いたものなんですね。
10 日本では当たり前と思われている制度があるんですけど、例えばこの図で言うならば、政府が直接テレビ局に免許を与えるんですね。そんな国は無いですよ。そしたら、テレビ局が政府のプロパガンダになるのは当たり前です。他の国では、当然独立行政委員会が絡んで、第三者が絡んでそこが免許を出しています。
 
クロスオーナーシップの問題。日本では読売と日テレ、テレビ朝日と朝日新聞で系列化してますよね。これは有り得ない。なぜならば、テレビと新聞は、テレビにはテレビの利権があるわけですね。テレビは政府に取り入ってでも利権をなんとかしてもらおうとする。新聞には新聞の利権があって、その利権をなんとかしてもらおうと政府にいう。そうすると、新聞とテレビが一緒だったら、もう批判する人が居ないから、ドンドン政府との距離が近くなっていく。官僚との距離が近くなっていくんです。批判できなくなっちゃうんです。
 ところが、他の国では新聞とテレビは別だから、新聞がこうやって政府の方にくっついていったら、テレビ局が叩くわけですよ。
「こんなことやってるぞ」
って、逆もある。それができないんですね。日本は。そういう問題。
 それからもう一つは、電通とか巨大な広告代理店がある。そうすると、一つのスポンサーが、
「この記事止めてくれ。俺のところにこんな変な記事書くな」
といっても、
「いや、ふざけんなよ」
と言えても、電通に言われたらね、電通を通して
「この会社のこの記事はなんとかしろ」
って言われたら、やっぱり安い??は言えないですよね。
 そこらへんについては、若き日の田原さん、田原総一郎さん。原子力の問題もね、田原さん書いてますけど、若き日の田原さん。
(澤井氏)昔の田原さんね。
(日隅氏)昔のね。今も別にね、ジャーナリストの中では、いわゆるマスメディアに出てるジャーナリストの中では良い方だと思いますけど・・・良かったころの・・・
(澤井氏)もっと良かったころの・・・<笑>
(日隅氏)そういうことが、日本では普通だと思われていることが、海外では異常なことだということはいくらでもある。そういう規制をされている。
 それで、実はこの規制がインターネットの方にもかけられそうなんです。
(澤井氏)そうです、そうです。
(日隅氏)当時、如何にインターネットを制約するかということが課題だったんです、政府の。私は「これはマズイ」と思ったので、これを出したんです。
 つまり、マスメディアがいかに規制されているか。その同じ規制がインターネットに及んだ時には、我々はせっかくインターネットという自由なツールを得ているのに、それを失ってしまう。そうするとせっかく主権を取り戻すための一つのツールが失われてしまう。そうすると、またこれから先、100年も200年も、日本では民主主義国が実現しない、現実化しないと思ったので、これを慌てて出したんです。
 これ実は、私2週間くらい休暇をとって海外旅行に行くつもりだったんです。そしたら、どうしてもうちの先輩が間に日程入れちゃったんですよ。裁判所の関係で一緒にやってる事件で。先輩の言うことだから仕方なくて拒否できなかったんです。で、海外旅行飛んじゃって、海外旅行飛んじゃったんだけど、じゃあせっかく普通の事件をバンバンやっても仕方ないと思ったので、それを使ってこれを書いたんです。
(澤井氏)海外旅行に行ったつもりで書いた本で<笑>すばらしい!
(日隅氏)そうなんです<笑>さっきのこれ(『審議会革命』)は、年末のお正月休みの1週間2週間つぶして書いたんです。そういう感じなんです。
(澤井氏)今、ネットが潰されそうだという話があったんですけど、今日は約1年前にUstreamでデビューしたんですね。後藤さんに来ていただいているので、ちょっと一緒にお話をしていただこうと思います。
(後藤氏)よろしくお願いします。
(澤井氏)どうもありがとうございます。
 さきほどちょっと三人で準備してた時に、『裏と表』というと変なんですけど、東京電力の記者会見を見ながら、CNICのUstreamはやっていて、裏番組と表番組で、どっちが裏か表かはちょっと(音声不良)後藤さんがそれを見ながらいろいろ解説をすると、そういうこと(音声不良)実体、そしてそれを判りやすく市民の皆さんに伝えようと、そういう営みがあったというわけですね。そのお二人の主人公という感じなんですけど、やはり、東京電力とか情報公開する方の、本当に『壁』は大きかったですかね?マスコミにとって。
(日隅氏)そうですね。結局さっき、最初話したように、
「わからないから持ち帰って調べます」
と言われると、もうそれはそれ以上なかなか追求しにくいですよね。そういう意味では私はいろいろ後藤さんから教えてもらってたから、
「わからないはずないじゃないか。これはもうあなた、当然知ってるんじゃないか」
という形で追及できたんですけど、やっぱり急に原子力のことを学んで後藤さんたちから十分に情報取れてない・・・つまりあそこの会見で取材をする人と、後藤さんたちに取材する人とが必ずしも同一メンバーじゃないから、結局いくら一生懸命後藤さんのほうでレクチャーしても、それがあの会見なんかでは活かされなかったという問題もあって
、もちろん??以上は配信していたし、記者会見で一般の人にメッセージとかそういう意味はあったと思うんですけど、そういう意味では、そういう問題もあったと思うんですよね。
後藤さん(後藤氏)確かにそうですね。私もここで3月12日、ここで初めてお話させていただきまして、私は本当は原子力の技術屋だったので、非常にキツかった。精神的にも。
「これはマズイ」
と思って、とにかく何が何でも???ということは話す必要があるということがあって、ここに出たっていうのは正直ですけど、ただその時に、今おっしゃられたように会見してるわけですよね。向こうで。会見してるところを見てて聞いてる情報が、めちゃくちゃなわけです。
「本当に何をいってるんでしょうか?」
っていう。
 それで、私は一番今でも覚えてるのは、『メルトダウン』の話。
 私は12日にメルトダウンしてる、或いはしかかってるというふうに思っていたので、その仮説を言ってたので、その時に言ってたのは、例の最初に言ってた『メルトダウン』っていうのはちょっと出しながら引っ込めて、『炉心一部損傷』これできたんですね。これね、私がどう思ったかというと、東電はそれを言うっていうことは、
「これはもしかしたら、私の大いなる誤解・ミスジャッジで、もしかしたらそんなに危険な状態になってないかもしれない」
と思いたかったんです。本当にそう思ったんです。そうであったらいいなと。
 ですから、そういう発言を始めたときがあったんです。
「もしかしたら、私の・・・」
 ただどう見てもそういうふうにデータを見ても出ないので、それでもちろん『メルトダウンしてない』と撤回したわけじゃないんですけど、割と酷いなと思ったのは、やはり、ああいう技術というのは、それをどちら側に思おうとしても、ものすごく不確定な要素があるわけですね。少なくともあたってるかどうかは別にして、不確定な要因がある中で、ああいうふうな「これは大丈夫だ」とひっぱってるような言い方。それは許されないんですね。
 人の命に関わることだから、安全側にするために引っ張ることは許されるんです。最悪ね。私はそう思ってましたから、もし間違っていたら、私はその場で平謝り、「ごめんなさい」って言おうと思ってました。皆さんに。
 でも、あの時は安全な方を主張する??があると私は思ってましたから、少なくとも事実関係、そういうふうに思ってたんですね。
 そういうふうに日隅さんがあちらでこうやってやるときに、しょっちゅう
「このデータない?」
っていったら、データが来るわけですよ。
「あ、そだそだ、これだったらこうだ・・・」
みたいなのも、私は情報をとる時間がなかったんです。ダイレクトに来た情報、あれでもって実は話をしてるんですね。それは非常に、そういう意味では、先ほどお話があったか『裏か表』かわかりませんけど、連携してきたんですよね<笑>
(日隅氏)そうですよね。だからある意味我々でも連携できたんだから、マスメディアが本気で連携してやろうと思えばできたはずと思うと、それが出来なかったのが残念でしたね。
(後藤氏)やはり情報の見方っていうことが、今のマスメディアの方はひとつは、さっきお話されましたように、大きな意味でいろんな圧力があったり情報がねじ曲がったり、そういう側面と、もうひとつは、マスメディアの方はやっぱり原発に対して、あまりに知ら無すぎるわけですね。そうすると、わからない状態では、いくらこうやっても対話できないわけなんで、それが両面があったんじゃないかと思います。
(日隅氏)確かに思い当たること多くて、もうなんかレクチャーされてるような感じですね。そうすると、レクチャーしてくれている人に対して
「あなた間違ってるじゃないか」
と言えないですよね。
(澤井氏)基礎講座みたいに聞いてる記者の方もいらしたから、そうなんですよね。
(後藤氏)ただ、私が思ってたのは、あの時保安院なり電力会社の説明ですよね。どういうことかっていうと、控えめに評価をすれば、
「なるべく判ってる事実を発信します。わからないことを憶測でモノを言うのはやめましょう。煽ったりしない」
というふうに判断をして発表をする。それまでは、まぁある面じゃ、ある程度の正当性がありますね。
 ですけど、問題なのは、例えば
「圧力がこうです、温度がこうです。何何です。爆発らしき事象がありました。」
って言って、それでおしまいなんですね。
 これですね、例えば化学プラントでボーンと事故が起こったら、そんなこと言わないですよ。

(日隅氏)それは言わないですね。「爆発が起こりました」ですね。
(後藤氏)「爆発が起こりました。水素か何かわかりませんけど、爆発が起こりました」
って言いますよね。
 原発の場合は、それを「爆発らしき事象」とかそういう表現をとる。
 これはね、本当に・・・私はそこのところに関してだけは許しがたいんですね。
 というのは、今回の菅さんがいろいろ発表された中で大体事実関係が判ってきてるんですけど、当時12日から大体15日の間の危機的な状態は、本当に半端じゃないですね。メルトダウンが起こっていて、もしかしたら格納容器の爆発も有り得た。あの時私は、流石に格納容器の爆発はなるべく言わないようにしていました。そしたら、相当ひどいことになるからね。
 バーチャルな、水素爆発はなかなか????ですけど、圧力があがりすぎててベントに失敗して爆発するというのは、蒸気爆発ですね、メルトダウンの水蒸気爆発、起こったらもう滅茶苦茶じゃないですか。もう容器全滅するわけじゃないですか、1号機から3号機、それから4号機の使用済燃料プール。そしたら本当に東京も住めなくなるということもあり得るわけで、それは原子力委員長である近藤俊介が言ってるわけです。情報を出して。
 ということは、日本の一番推進、一番トップですよ、それがあの段階ではっきり言ってるんですよ。その事実を誰も知らされない。マスコミはそれにのって
「煽ってはいけない」
とか、御用学者の皆は
「煽るのはけしからん」
とか、そういうものの言い方をしてる。
 そうすると、嘘の塊でずっときてたんですよね
。あれは酷い話で、あれは本当に・・・もうひとつだけ関連で申し上げておくと、ご承知かと思うけど、政府が資源エネ庁から予算をとって原子力関係の間違った情報、誤った情報をチェックするために、お金を出してチェックさせてるんですよ。それは原子力関連の業界の方の関連の機関に出してる。かなりのお金を。
 チェックしたとこに、
「これは原子力資料情報室は間違っている」
とか
「小出さんはこういう表現になってる」
とかですね。それをやってて、間違った表現ということをあげてるということは、私から言わせると、
「今回一番間違ったのは誰だ?」
 原子力安全委員会の委員長、政府の安全委員会、保安院、東京電力、原子力学会。全部、全部間違ったこと言ってるでしょ。一番最初に。
 それは何なんでしょう?というふうに思います。
(日隅氏)そのとおりですね。私もですね、私が本当に許せないことは、健康被害の問題で、4月11日に原子力安全委員会が
『100ミリシーベルトで影響はありません』
というのを明確に発表して、それは10月になってようやく訂正されたんですけど、そのことについて全くマスメディアが報道していない。政府側もこれを積極的に訂正する行為もやっていない。インターネット上に、
『この情報は間違っています』
と赤字で書いてあるだけで、あの時に「100ミリシーベルトが安全だ」と言ったことによって、いかに多くの方々が引きずって、家庭内で逃げる・逃げない、地域内で逃げる・逃げないの話になっているか。
 そのことを考えると、まさに言われたように、100ミリシーベルト以下の健康被害の確たるデータは無いかもしれない。でも、少なくとも被害が起こりうるという考え方が一般的だし、それに基づいて対処しなければいけないという、一般的にそういう理解なんだから、少なくともそれを出した上で、「でも我々は安全だと考えるんですよ」と言うんだったら、根拠をまた別に持ってきてそれで説明するならいいんですけども、それをしないで、訂正もしなければマスメディアも報道しないっていうのは、この状態っていうのは・・・。
 それで検証にも書いてないんですね。各所検証にも、あの時4月11日の安全委員会の話は書かれていない。
 これはちょっと許せない。
(後藤氏)それは、放射能もそうですし、プラントの話もそうなんですけど、「数字が出た、そしたらこれはこうだ」ということを・・・先ほど言いましたように、「事実はこうだ」ということは言うんですけど、それがどういう意味を持つかとか、そういう説明がなかったら、その数字は全く意味をなさないんですね。それを
「これは決まってることです。あなた方はこれは従いなさい」
に近いような形で与えるんですね。
 これはね、子供にだってそんなことは通用しないはずですね。
 それが平気で行われる日本の、先ほど日隅先生がおっしゃられた民主主義であるとか、人権であるとか、我々の基本的な権利の問題っていう、そういうふうに見た時に、私はものすごく痛いほどそれを感じます。

(澤井氏)なんか100ミリの話もそうなんですけど、私なんかは、爆発があったときに『第三の敗戦だ』っていうふうにおっしゃった方もいらしたんですけど、逆にその後政府が「100ミリ安全」って言ってても、だれも信用してないのに、マスコミがそれをただただ報道する、いつか来た道で、これって戦争中の大本営発表みたいな・・・。
 あと、「事故収束しました」みたいなのもそういう状態。
 なんか「ほとんど戦争中と同じじゃない?」みたいなね。皆「これ、違ってるんだ」と思ってるけど・・・
(日隅氏)そこは違いますよ。それは皆思ってないですよ。
(澤井氏)思ってない?
(日隅氏)思ってる人はいますよ、それは。こういうことをどうして?って思ってる人は居ますけど、本当に多数は信用してると思いますよ。
 だから、家庭内で起きるわけです。福島で逃げる・逃げないっていうのは、もし本当に政府が言ってることが嘘だと福島の人は皆思ってれば、そんな家庭内で議論は起きない。家庭内の議論というのは、
「国がこういってるじゃないか。100ミリシーベルトまで安全って言ってるじゃないか」
(澤井氏)状況としては、「国が言ってるんだから、安全なんだ」っていう、そこのところが前と同じだなっていう気がして。
「お上が言うことは正しい」
 そこのところが全く、いつか来た道の繰り返しですよね。
(後藤氏)『安全』、これは私がいつも言ってるわけですけれども、安全って非常に不確定な要素が多いわけですよね。本当に安全か危険かというのは、そう簡単ではない。非常にグレーゾーンといいますか、よくわからない状況。放射能なんかまさにそうだと思います。
 そこを科学的に全部データがあるわけじゃないし、証明も難しい領域で、いろんな統計とか被曝の経過をみて評価をしようとしている。データも一部あるけど、よくわからない、論争になってる。少なくとも科学的にはそうなってる。
 そしたら、それについては決めるっていうことをやるにあたっては、根拠を「こっちもこういうのがありますね」と並べて、だけれどもその中で最終判断をどうするかというと安全側にもっていって判断するのが当たり前なんです。
 その行為が無いのが、私は許しがたいんです。その手前の論争まではあってもいい。いろんな学者もいるし、いろんなデータもあるから、多少はあるかもしれない。
 ただ安全性に関して、安全に関する感覚は全く違う。全く間違ってる。
 これは声を大にして申し上げたかったことですね。
(澤井氏)でも、あと日隅さんが言ったように、やっぱり議論するための基礎データが無かった。
(後藤氏)だからそれを出さなきゃいけない。
(澤井氏)そこが大きいですよね。
(日隅氏)20ミリシーベルト問題の時も、100ミリシーベルトの問題の時も、結局根拠を示してない。新聞でどこかがICRPの当該の文献をひいて、「こう書いてあるから大丈夫だ」なんて言ってるとこは一個も無くて、「政府が言ってるから」としか言ってないんですよ。
(後藤氏)その通りですね。だから全然科学的じゃないんですね。『事実関係に基づいてモノを言う』と言っているくせに、事実って言ってるけど、事実に???基本的な説明ですよね。説明責任を果たしてない。決定だけをただ「こうだ」ということだけ言ってるわけですね。
(澤井氏)あと、やっぱりマスコミの機能として、よく言われることですけど『権力の監視』っていうようなことがありますよね。検証も含めて、今回の事故でその辺は日隅さんはどういうふうに?
(日隅氏)最近は検証、NHKとか朝日とか毎日とか出てくるようになってますけど、私はやっぱり充分じゃないと思います。まず検証すべきは自分たちのこと。自分たちがなぜ当時安全側にちゃんと配慮した報道ができなかったのか、或いは事故が起きる前にたくさんの警鐘がならされているのを取り上げようとしなかったのかということを、まず自分たちが反省した上で、それで政府が東電のありかたがどうなの?という部分も合わせてやらなきゃいけない。そこをほっておいて、いかにも自分たちは高みから立って、NHKはさっき言っていた議事録をとってなかったということを今更問題にしているということを、改めて判ったかのように言ってることなんて、完全なる欺瞞ですよ。
 我々は4月段階から言い続けたんですから、それを報道しなかったのはNHKなんですから、NHKは本来では議事録を作らせなかった原因のひとつとして、「我々が十分にあの時に報道しなかったことが原因なんだ」とそこまで言わなきゃいけない。
(澤井氏)そうですね。だからやっぱり自己検証能力が足りない、そういうふうに言ってもいいでしょうかね。もちろん例えば資料室でもですね、当時大変な大混乱になっていて、私たちの危機対策問題というのは、中ではいろいろまずかったこともいいことも含めて、この未曽有の状況の中で危機管理っていうのは、資料室自身も突きつけられたんですけれど、やはりまず自らがマスコミも、それから政府ももちろん、その辺の反省っていうか検証っていうのは、これから重要ですよね。
(日隅氏)そうなんです。マスコミの中に第三者委員会立ち上げて、第三者委員にチェックしてもらうようなことは、やっぱりやらなきゃいけないですよ。
(後藤氏)そうですね。それは。
(澤井氏)そうしないと、本当にさっき言ったように国の仕組み自体を変えていくとか・・・
(日隅氏)そうですね、仕組みを変えなければ同じことが起きるわけですから。
(後藤氏)先ほどマスコミの構造で、どういうふうになってるっていうお話されてましたけど、まさに原子力がずっとそうなってるわけで、確かにおっしゃるように日本の構造はみんなそういうふうに出来てるんですね。そういう動きしてる。そうすると、我々の日本で一体どういう状態になってるんだろう、本当に基本的なものを考えるときに情報があるかとか、仕組みがどうなってるかとか、根本問題ですね。
 その一角の一つに、確かに原子力村があるというふうに見えるんですね。
 それは本当に不幸なことで、ここを不幸な福島のことを機会に、そういうことを日隅さんがおっしゃるようにこういう仕組みそのものを扱うというのは、非常に重要なテーマだと私も勉強になりました。
(澤井氏)ちょっと長くなってしまったんですが、最後先生、一応ブログでも相当詳しく書かれているんですが、東京電力につめている途中で体調を崩されて・・・
(日隅氏)ガンの宣告をもらって、入院して退院して、またこうやって復帰させてもらってるですけど、最近詳細まで書いて違和感持たれてる方いらっしゃるかもしれないですけど、自身が痛みで苦しんでる時に、夜中でも痛くて眠れない時に、頼る思いで縋る思いで、経験者の情報がないかと探したんですけど出てなくて、やっぱり胆のうがんって数が少ないこともあって、私がいろいろ詳しい情報を出すことによって、同じ病気で苦しんでる人なんかに、少しでも
「あぁこの人はこういうことの経験を持ってるんだ」
ということで少しでも安心してもらえるような、
「次はこうなるかもしれない」
とか、
「この人、こうやったら、少しは緩和されたみたい」
とか参考になればいいなと思って、そういう意味で、本当にちょっと詳しく書いてるので、どうしてそこまで詳しく書くの?と言われる方居るんですけど、気持ちとしてはそういう気持ちです。
(澤井氏)私は反対に、情報公開をずっと言ってきた日隅先生が、胆のうがんの治療方法に関しての情報公開をしてるんだなと思って見ているので、やはりあれを参考にとお考えの方もいらっしゃるかと思いますので、今日も、本当にもしもの場合はドタキャンかもという・・・体調によってと思っておりましたら、今日も元気で来ていただいて、本当にありがとうございました。
(日隅氏)ありがとうございました。
(澤井氏)これからも全然負けないで、やっぱり一緒にがんばりましょうと思います。どうもありがとうございました。
(日隅氏)ありがとうございました。
(澤井氏)それでは、今日の資料室のUstreamを終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
三人

<オフレコ>
(日隅氏)ありがとうございました。最後にここに呼んでいただいて、救われた様な気持ちです。
(澤井氏)いやいや、そんなこと無いです。
【以上】

最後まで見ていただいてありがとうございました。
配信が終わってからの日隅さんの一言で、号泣してしまいました。

彼が残してくれることも、しっかり受け止めて、私たちができることをみつけてやっていきましょう。

失礼します。
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【追記】1月28日 日隅さんブログより
自由報道協会賞大賞に「日隅一雄」の冠をいただいたことの私的な意義~現実と希望
 2012-01-28 08:39:39
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/f6c2c565ed309770f585e2182656d6b3