※この記事は、
1月22日 【動画あり】『原発』東京都民投票:朝日新聞社説と署名活動の様子【本当に問題なのは無関心層】
1月11日 『原発』大阪市民投票を実現させるために【市会議員の方々のコンタクトリスト作成しました】
1月9日 【追記・動画あり】『原発』大阪市民投票署名:必要数を超え52,190筆到達!!【市民運動の成果とこれから】
8月27日 【動画・要点】「原発」国民投票、やるべし、やれるよ、やりましょう!飯田哲也×杉田敦×マエキタミヤコ×宮台真司&今井一【その①】
2011年12月28日 【内容起こし】原口一博×上杉隆 2012年 日本社会の動向を読む~東日本大震災後の日本~(ゲスト:日隅一雄氏、木野龍逸氏、上原春男氏)【その①】などに関連しています。

今日は、日隅一雄さんと後藤政志さんがゲストで配信されたCNIC(原子力資料情報室)をご紹介します。
私がここのところずっと思っていて、考えてきて、発信しつづけていることと重なり、非常にわかりやすく、この国に足りないもの、私たちに何が足りていないかがはっきりと判ります。
私は配信でよく言っているのですが、
『自分だけがいいという考え方や社会貢献という意識が無いまま育ってきた』
ということ、ものすごく認識させられます。経済的に会社に貢献することが私たちの生きる意味なのか、家族を守ることがどういうことなのか、今一度考えてみてください。

とっても納得の内容で、原発のことに関係がなくとも、是非ご覧いただきたいと思います。

では、どうぞ。

【動画】

1月25日 CNIC Ustアーカイブ ゲスト NPJ編集長 日隅一雄弁護士
ゲスト:日隅一雄弁護士 後藤政志氏
http://www.ustream.tv/recorded/19993128 (81:09)
福島第一原発事故から321日目。
 福島第一原発事故が起きた後、3月16日から約2ヶ月東電の記者会見に通いつめた日隅一雄弁護士に、東電記者会見の問題点や日本の選挙制度の問題について伺う。
 番組後半は後藤政志さんも参加しての鼎談。原発事故後の東電の発表姿勢を斬る。
 
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄
HP: http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005
Twitter: http://twitter.com/#!/yamebun
新著 『検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか
 

【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】

澤木さん(澤井氏)皆さんこんにちは。東京の原子力資料情報室です。今日は、福島原発事故、去年の3月11日から321日目になります。もうすぐ365日になるんですが、もう10か月過ぎてる状態です。
 今日は、東京電力の事故が起こってすぐに、東京電力がずっと記者会見を設定したわけなんですが、そこに3月16日から約2か月詰めていらして、そしてその場から発信されて、実はこういう『検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか』という20日に出たばかりで、実は今アマゾンで買えない状態で、一瞬品切れになっているのですが、このご本を書かれました日隅一雄弁護士を今日はゲストにお招きしております。
 この事故の情報公開というのは大変な問題で、これから徹底的に検証されなければいけないし、もちろん原子力の情報公開、今までも問題だったわけですが、この事故によって本当に意味が問われるという状況になっています。
 日隅先生、日隅さん<笑>、まず本当にあの記者会見にどうして行こうと思われたんでしょうか?
(日隅氏)あの当時は、いろいろ理由はあるんですけど、一つは事務所に居る事務員の安全を守りたいという思いが一つあったんです。
(澤井氏)事務員さん?
日隅さん(日隅氏)そうです。まだ当然お子さんを産める年齢の方がたくさん居たので、私としてはその人たちが高い放射線を浴びることが無いように早めに避難をしてもらいたい。そのためには、裁判所を休みにしてもらわなきゃいけない。
 休みにしてもらわないとできない。
 それでそのためには、情報をつかんで「危険なんだから閉鎖するべきだ」というのを言いたいというのが一つあったのと、それと記者会見を見ていても、全く知りたい情報が出てこないんですね。インターネットで生中継されていたので、ニコ生とか岩上さんのところで見ていたんですけど。
 なんか本当にただ単に時間つぶしというか時間延ばしをして、肝心の情報を出さない。数字の羅列なんか、紙に書いて配ればいいのに、わざわざ読み上げて、読み上げて次の質問を締切になっちゃって、肝心な内容の批判、内容について正しいかどうか確認ができないまま次から次へと時間だけが過ぎていくというのに危機感を抱いて、内容証明を送りつけたんです。社長に。
(澤井氏)社長に対して?
(日隅氏)ええ。
『ちゃんともっとこうしろ』
って。たまたま内容証明を出した日に、近くで仲間たちとNPJていう弁護士が中心になって、そのインターネット情報発信サイトがあるんですね。そこの集会があったんですけど、東電の近くでやって、そのあとちょっと行ってみたんです。
 そしたら、会見場に名刺一枚で入れたんですよ。
 だから、メディア以外は入れないと思ってるので、当然。そしたら、メディアとかプレスルーム室に入れたので、これは誰でも入れるんだったら自分たちで行って直接聞いた方が社長のとこでやるよりも早いかなと思って、それで通うようになったんです。
(澤井氏)それで、時間がすごく変速に、肝心なことは夜中とか明け方みたいな感じで、あれ時間決まってなかったんですか?
(日隅氏)当初は全然決まってなかったですね。
 当初はとにかく、会見が始まる5分くらい前に
「今から始めます」
って、突然。本当に1日に5回も6回もやってましたから、食事にも行けない。食事に行くのも岩上さんとかニコ生とかを見ながら、
「あ、なんか配り始めたぞ」
って、木野さんと一緒にバーッと食事やめてまた戻るみたいな。
 だから、半径200m以内のところで必ず食べるみたいな。
(澤井氏)本当に大変な仕事をされたというか、現場でも見た臨場感というか、そういうのを多くの方が
「一体東電は何を言ってるんだろう?」
って思われる中で、非常に先生がするどいツッコミを入れていたところが思い出されるんですけど。
(日隅氏)そうですね。それはいろんな理由があるマスメディアも応援部隊がいるとか、いろんなことがあると思うんですけど、やっぱり東電の発表を『聞く』という姿勢がやっぱり問題だと思うんですね。東電の説明を『矛盾があるんじゃないか』とか『批判すべき点があるんじゃないか』とか、『このままだと事故対応がおかしくなるんじゃないか』とかっていう点での質問っていうのは、やっぱり数としては少なかったと言わざるを得ないですよね。
 一部の記者は本当に熱心にされてて、もちろん我々より遥かに知識がある方がいらっしゃって質問されるんだけれども少数派で、時々応援で来られる方にもいい質問をされる方が居るなと思うと、すぐ居なくなったり、質問しなくなったりするんですよ。
(澤井氏)質問しなくなっちゃうんですか?
(日隅氏)「なんか言われてるんだろうな」みたいなことを感じざるを得なかったですよね。
(澤井氏)基本的にですけど、失礼ですが、原子力のことは判らないという記者の方もいらしたし、それからご存じでもいろいろなレベルもあったし、また私たちが聞いていてもイラついちゃうのは、東電に何を聞いても、結局
「調べて後でご報告します」
 もうほとんどそういう答えでしたよね。
(日隅氏)そうなんです。結局はですね、既存のマスメディアは『今起きてること』がニュースになるわけですね。なので今起きてることで、
「ちょっと判らないから調べます」
って逃げてしまえば、後になってその点を再度追求されるっていう可能性は減るんですね。次から次へと新しいニュースが、事象が起きるわけですから、そちらのほうに移っちゃうわけですよね。
 そうすると「どこどこまで電線が伸びた」とかね、そういう東京電力としては前向きな話をどんどんしてれば、そっちのほうにどんどん注目・話題が移っていって、「後で調べます」と言ったことは調べてなくても、あんまり追及されないという感じで、そういう戦略だったんですね。広報戦略だったんだと思います。
(澤井氏)でも、最初の頃、私覚えてるんですけど、今後藤さんがいるから後で出ていただきますけど、日隅さんが記者会見で温度ですよね、データ。記者会見だけで配ったデータを私たちに見せていただいて、
「あ、こんなのを記者会見で配ってるのに、結局公表しないって、どういうことなのかな」
って思って、あの細かいデータは温度は無かったですね。でも、格納容器の圧力とかそういう・・・
(日隅氏)今は発表とほぼ同時にHPにアップされますけど、当初はHP上にアップするということは随分遅れて出てましたから、それで先生とかにもポイントを聞いたりして、それで私の方も質問できたりして。
 当初東京電力は、こちら側が自信を持って知っているということを示さない限りは認めない。
「すぐ調べます」
みたいな話になっちゃって、こちらとしては
「専門家から聞いてるんだぞ」
ということで強く言えたりする部分があって、そういうところはやはり、『何℃になったら被覆管が破損して、大変な事態が起きうるんだ』みたいなことも、最初は認めてなかったんですよ。でも教えていただいて記者会見に質問したのは大きかったですね。リンクしてできたっていうのは、本当に幸いだったと思います。
(澤井氏)だけど逆に言うと、「知らない人に教えてあげないよ」っていうか、本当のことも言わない。原子炉の中の状況に関して。
(日隅氏)そうですね。究極的なのは、水の高さのレベル、これを当初隠してた。事故から何日も経ってから出してきましたよね。
(澤井氏)はい。
(日隅氏)あれがもし判っていれば、完全にメルトダウンしてたというのは、もう一目瞭然だったと思うんですね。それを隠した・・・
(澤井氏)12日、13日メルトダウンの時に、記者だって当然、
「メルトダウンしてんじゃないか」
って質問が相当出てたと思うんですけども、全く一切・・・
(日隅氏)当初は『メルトダウン』っていう言葉が踊ったんですね。『溶融した』っていう言葉が紙面に踊ったんですけど、そこで軌道修正をしていて、
「そういうことはない。燃料が破損したんだ。燃料棒が破損したんだ」
『溶融』という言葉を使わない。『破損したんだ』という言葉に切り替えていて、それをどんどん東電も保安院も言うものですから、メディアもそちらの言葉を使わざるを得なくなってしまった。
 それは本当に、戦略として負けですよね。
(澤井氏)そうですよね。逆に何か月も経ってから、
「実はメルトダウンしてました」
って、ああいう情報開示の方法っていうのは、本当に今回腹立たしかったというか。
 そこをつけない、やっぱりまだマスコミとか記者会見のやり方とか、そういう問題っていうのはありますね。
(日隅氏)そうですね。ですから結局、主権者である我々に代わって、マスメディアが情報をとらなければいけないんだけど、その情報の取り方が十分じゃないということで、これは我々の主権の行使が一部できてなかったと、これはマスメディアの問題だけではなくて、今回の原発の事故が起きる前から、「そういう問題が起きますよ」という専門家も正当な意見を出していたけれども、それは無視されて、それが当時きちんと報道されていれば対応せざるをえなくて、津波であそこまで損壊しなくて良かったのが、事故はもちろん起きたかもしれないけれども、そこまで危機的な状況にならなくて良かった可能性が???ができなかったというのは、やはり主権者として情報を十分に得ることができなかったということで、今回の問題を巡って認識すべきは、我々主権者が主権を行使できるような仕組みが日本に本当にあるんだろうか。
 それは、海外ではそういう問題についてどういうふうに取り組んでるのだろうかということを、改めて考え直さなければいけないと思います。
(澤井氏)原子力だけでない、この国の仕組みが問題になってるんですね。
(日隅氏)そうですね。結局たまたま原発で非常に大きな問題になったので、皆がそれを考えざるを得ない状況になったんですけれども、我々はこれまで放置してきたことでいえば、基地の問題なんて典型的です。沖縄の問題。我々は沖縄にずっと大きな負担を押し付けてきましたけれども、そこは本当に基地が必要なのかどうかも含めて、きちんと主権者として情報をもらって意見していかなければいけないのに、
「防衛機密だ。防衛上の問題だ。」
 原発でいうならば、
「これはセキュリティの問題だ。」
ということで、肝心な情報が我々は得られなくて、その中で結局天井の無い予算がつまれていく中で、天井が無いがゆえにいくらでも業者にお金が払えるということで『ムラ』『原子力村』或いは基地事業を巡る一部の利益集団みたいなものができて、それによって国の政策自体が傾いてしまう、主権者の望む政策が実現されなかったということを我々はちゃんと現実として見直して、
「じゃあほかの国ではそういうことについてどう対応してるのか?」
それをきちっと見て、それが今回の事故を契機に反映されるようにしていかなければ、今回の事故で亡くなった多くの方々、或いはこれから先被害を受けるであろうたくさんの方々のためを考えると、犠牲を考えると、何か少しでもいいから、我々が得ることをやっていかなければならない、それが今言ったことなんだと思います。
(澤井氏)今日は先生、ちょっとパワーポイントを準備していただいて、外国の事例ということで紹介・・・その主権の問題ということで、原子力運動・反原発運動をやった方がいいのか、民主化運動を先にやったほうがいいんじゃないかとか、そういう悩ましい問題もあるくらい、情報公開一つとってもいろんな問題が有るんですけど、今日は先生に事例をあげながら、私たちはやっぱり知らないということがありますでしょうか。
審議会革命(日隅氏)そうですね。つまり・・・これは『審議会革命』っていって、審議会とか???とかそういう組織のメンバーをいかに公正に選ぶかということを、英国でやられている仕組みを紹介した本なんですね。だけど、私がこうやって
「公職任命コミッショナー制度があるんですよ」
と紹介するまでは、インターネットで日本語で検索をかけたら1ページに収まっちゃうんです。つまり10位以内、しかワードとして出てこないんです。『公職任命コミッショナー』という言葉が。
 今はこれを出したので、もっと出てきますけれども。
 つまり、国は当然こういうことは検討はして研究はしてるんだけれども、その情報を我々市民が日本語でアクセスできるような形では流してないんですよ。
 だから、我々は知らないことがたくさんあるんです。
(澤井氏)本当ですね。なんか逆に日本が特殊なんで、世界の標準をもっとこれから勉強していかなきゃいけないって感じですね。
(日隅氏)そう思います。
 今回明らかになった中で、メディアだけが問題じゃないんじゃないかということで、主権者として振る舞ってくることができたのか?ということですけど、例えば
 ・東電からの情報が十分に獲得できたのか。
 ・保安院の独立性っていうのが保たれているかどうか。
 ・原子力安全委員会の人選がどうなのか。
 ・批判の声を我々市民が十分に代表者に伝えることができてるのか。
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そういうようなことを今あらためて、皆さんが疑問に思ってること、これをちょっと整理して考えると、主権者として我々が振る舞うために何が必要なのかということは、まず、
 ・判断するために必要な情報
 ・それに基づいて本当に選びたい議員を選べるか
 ・議員らの選ぶ議員に対して、自分たちがこうしてほしいんですよということを伝えられるかどうか。単に4年に1回の投票でしか主権者として振る舞うことができないのではないか。そういう問題。
 ・それでも行政っていうのは複雑だし高度化されているので、行政の在り方をチェックするシステムがあるかどうか
という問題。
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こういうことに分けて考えていく必要があって、まず情報の問題については、情報公開制度が拡充されてるかどうか。これは、今NHKで非常にニュースにしてますよね。
「議事録を作ってなかったんじゃないか」
という。でもね、この原子力対策本部の。ところが我々は最初から言ってたわけですよ。会見場で。
「対策本部であなたたち議事録作ってますか?作らなきゃいけない。重要な問題なんだから、残しなさい。」
 4月の段階から、もうずーっと言ってるんです。
(澤井氏)そういうこと言ってたんですね。
(日隅氏)そうです。ですけども、NHKがその時に報道してほしかったですよ。NHKがその時に「議事録を作れ」ともし言ってれば、作らざるを得なかった。でも、今になって「議事録作れ」って言ったって、もう・・・
(澤井氏)終わっちゃった・・・
(日隅氏)そういう意味で、そういうことも含めて、情報開示。国の情報公開の問題もあれば、民間企業。海外では民間企業であっても、情報の公益性の程度によっては、情報公開制度にのっかってるんです。環境の問題なんかはのっかるんです。
 だから、東電が
「いや、俺は民間企業だから情報公開制度にはのらないから出さない」
なんてことは、日本だから言えることであって、ヨーロッパの企業はそんなこと言えないんですよ。
持ってる情報を出さないなんていうことは、やっぱり出さなきゃいけないと思います。
 或いは、さっき言ったマスメディアの問題ですよね。これも改善しなきゃいけないし、内部告発者の保護。これもやんなきゃいけない。
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 今回、津波対策が十分じゃないということは、東電の社員はたくさんの方が知ってたはずですよ。数十名の単位で。シュラウドのヒビが入ったっていう前の時も、あれだって多分何千人っていう東電の社員が知ってたはずですよ。
(澤井氏)だって、シュラウドの交換って大工事ですよね。
(日隅氏)ですよね。だからそういうひび割れがあったってことは何千人もの人が知っていて、にもかかわらず内部告発が出なかった。これはやっぱり制度の問題だと思うんですね。こういうことはやっぱり検討しなきゃいけない。
 じゃあ国会議員を選ぶための、その判断のために、本当に我々はちゃんと国会議員選べるんですか?ということで言うならば、比例制度をやっぱり充実させなきゃいけない。今みたいに自民党と民主党しか選べない小選挙区制度っていうのはやっぱり問題で、本当に自分たちが選びたい人がそこに居なければ、別の人たちから選べるような制度は、比例制度しかないわけで、これは他の国っていうか、小選挙区制度というのは少数派ですから、圧倒的に。特に民主主義が進んだとされている・・・
(澤井氏)先進国ですね。
(日隅氏)先進国では。ところが、なんか逆に「比例を減らそう」なんていう議論が出てるんですけれども。
 それから、小選挙区制であっても、それの欠陥を補完するシステムがあるんです。わずかに小選挙区制を利用してる国でも。ところが日本はそれが無いんですよ。
 例えば、米国では党議拘束が無いんですね。共和党と民主党が、例えば共和党員であっても共和党が出した議案に反対できる、平気で。そうすると、共和党員だからって選ぶんじゃなくて、地元の支持者たちは
「この人はこういう考え方を持っている人だから」
っていうことで選べるわけです。バラエティに富むわけですね。しかも米国では予備選がありますから。予備選が自分の選びたい人を選んだ上で、その人が党の候補者になってくるから、日本みたいに落下傘で上から
「あなたの選挙区にはこの候補者ですよ」
みたいに選べない。しかも彼らは羊羹で切ったかのように同じ提案しかしない。国会では。
 っていうのが、全然違うんですよ。米国では小選挙区だけども、それが補われている。補完システムがある。
 フランスで今2回投票制です。つまり1回で過半数をとる議員がいなければ、決選投票をやるんですね。決選投票やるときには、3位以下の人たちが2番目の人にどんどんいれれば、2番目の人になる可能性もあるわけだし、1番目に入れた人も「本当は2番目の人がいいね」とか思ったり、最初は批判的に「どうせ2番目の人がなるんだろうけど、とりあえず1番目の人に入れることによって批判を示そう」とちょっと思ってた人が、最後考え直してやることができる。そういった意味で民意を反映しやすいシステムが出来ているんですね。
 オーストラリアでは小選挙区だけども、順位を付けるんです、全員に。候補者全員に。そうすると、最初の投票で過半数にならなければ、一番下に居る人の「じゃあその次、誰に入れていくか」みたいに、どんどん繰り上げ投票みたいに票を繰り上げていくわけです。それで、最終的に過半数達成まで繰り上げていってという形で、だからそこでもやっぱり民意を反映させるシステムっていうのがあるんです。
(澤井氏)日本だと結局『死票』っていうんですもんね。
(日隅氏)『死票』が出るから、仕方ないから、例えば原発を無くせという政党に入れたくても、
「ここの党はどうせ勝てないんだから、じゃあせめてこの二つのうちのこっちの方がマシだから、こっちにしようか」
って、そういう選択しかできないんですね。
 これはほんっとにおかしいんですよ。
(澤井氏)こういうふうに1票が生きてないですよね。
(日隅氏)そうなんです。
 もう一つ問題なのは、選挙運動が非常に制約されていること。今みたいな話を選挙が始まって戸別訪問して、
「選挙制度問題だから、選挙制度を変えようとしてる新しい党があるんですよ。この党に是非いれましょう。今回ここに入れることによって、日本が変わるかもしれませんよ」
と言いたいじゃないですか。でも、戸別訪問できないでしょ、日本は。そういう国なんてないですよ。民主主義国で、高度な民主主義国家って言ってる国で、戸別訪問が選挙運動の時にできないなんて無いですからね。
(澤井氏)そうなんですか。
(日隅氏)ありません。それは、だって、基本じゃないですか。個別に回ってお互いにゆっくり話をして「ここに入れようか」っていうのを決めるっていうのは、地域のコミュニティでは当たり前のことであって、それができない国っていうのは、おかしいですよ。いくら買収されるとかそういう問題があったとしても、それは他の国では有り得ない。
 それからインターネット運動も未だに解禁されていない。
 公務員の政治的活動は非常に制約されていて、海外では例えば、裁判官であっても、自分の政治的立場をはっきりと表明できる自由があるんですけど、日本では、そういうことに参加することが認められていないということになって。
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(澤井氏)私、ドイツに行ったときにおまわりさんのデモを見たことがあります。そうですよね。おまわりさんがデモしてて、賃金のことで。
(日隅氏)そうなんですよ。だから労働権も含めて、公務員が人として人権が非常に制約された中で働かされているというのは問題で、いろいろ公務員のことが問題になってますけども、そこらへんも同時に考えなきゃいけないと思いますね。
(澤井氏)やっぱり市民的な権利。そこの視点がまずあってっていうことですよね。
(日隅氏)重要だと思います。そうです。結局自分たちがスト権が無ければ、労働者のスト権を実質的に取り上げてしまうことなんて平気になっちゃうじゃないですか。自分たちにスト権があることによって、自分たちの生活が守られてるんだっていう実感があって、初めてそれを他の人にもきちんと行き渡らせようという気になるわけで、公務員が政治的な自由もない、労働権もない。そういう中で働かされている国、その公務員が作る政策によって動いていく、それは当然どんな国になっていくかは、はっきりしてますよね。
(澤井氏)やっぱりそういう逆に自分の権利ないから市民の権利も保証しようっていう発想になりませんよね。
(日隅氏)ならないと思います。
 あと、供託金が高すぎますね。200万300万払って一定の得票取れなかったら没収されちゃうわけですよね。他の国は、供託金が無いのが普通ですし、あっても数万ですね。これがどういうことかというと、自分が選挙に出ようというふうに思わせない。
(澤井氏)選挙に出るのは特殊な階層の人たち。
(日隅氏)そうなっちゃうんですね。学校で習う我々の参政権というのも、投票する権利としてしか紹介されなくて、
(澤井氏)投票さえれる権利も・・・
(日隅氏)される権利については充分に勉強してないと思うんですね。『何歳以上の人は立候補できますよ』とそういう知識はあるんだけれども、じゃああなた実際に投票してみたら、模擬的にそういうのやってみようかみたいな話にはならないわけですよ。
 だけどアメリカとか欧州では、例えば大きな選挙があったら、それを学校でも模擬選挙をして、大統領模擬選挙みたいなことを学校でもやって、お互いに議論し合って投票し合ってということをやって、いかにも社会に参加する準備ができるわけですけどね、そういうことすらされてないので、供託金の問題もありますね。
 三つ目の問題として、自分たちが選んだ国会議員に自分たちの意思が反映されるような制度が十分に日本でありますか?ということですね。
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 これは、デモに対して制約が非常にありますよね。海外で最近デモがいろいろ起きていますが、見ていただければわかりますけれども、海外のデモはとても自由ですよね。平気で道路一面に使ってやってる。デモってそんなもんじゃないですか。
 でも日本だと、
「はい、3列に並んで~。」
 ちょっとはみ出たら、
「ダメダメダメ~」
って言って、しかも集団と集団の間をぶっちぎって、いかにもその集団の力がこんなに集まってるということが判らない。小さくしてるというので問題がありますね。
 それから、さっき言った審議会の問題ね。これは、人選を中立にして、国会での議論が審議会での議論によってリードされてるわけですね。審議会での議論をもとに、国会議員は話をするわけですが、審議会での人選が自分たち、官僚がやりたい政策に基づいて、賛成してくれるような人を審議会のメンバーに選んじゃうわけですから・・・
(澤井氏)答申の中身が見えているような人選ということですね。
(日隅氏)そうです。やるまでもないじゃないですか。委員会。
 それと、やっぱり審議会でミスリードされたもので、国会での議論も進んでしまう。
 これはさっき言ったコミッショナー制度。
 天下り・・・
(澤井氏)一応『公職任命コミッショナー制度』についてちょっと。
(日隅氏)『公職任命コミッショナー制度』っていうのは、イギリスで出来た制度なんですけど、これは第三者がそこに入るという制度なんですね。結局、採用の過程っていうのは、まず最初に採用するための公募をしないといけないですね。公募をして書類選考して、面接をして、それで絞る。こういう手続きのそれぞれに、採用する団体とは独立した第三者がその過程に入ってくるんです。きちんと公正な応募がされているか、募集がされているか、それから、書類審査がちゃんと公正にされているか、面接が公正にされているか、全部立ち会うんです。それも全部記録も残すんです。
 そうすると、不公平で「彼はもともと官僚だから採用しよう」なんていう話はできないんですね。
 しかも、そもそも採用段階で公職、例えば審議会委員で募集してきた人が10人定員のところを12人しか来なかった。そしたら、
「募集の仕方に問題がある」
というふうに考えるんですね。
(澤井氏)あー、なるほど。
(日隅氏)「やりなおせ、20人くらいは最低でも来なきゃいけないでしょ。10人のとこ」
という考え方なんです。しかも全部記録が残りますから、天下りは実質的に亡くなってしまう。そういう審議会だけじゃなくて、天下りも防止できる非常にいい制度なんですね。
(澤井氏)これ、チェックするっていう考え方がないんですよね。日本の行政組織はね。
(日隅氏)つまり、お上がやることは正しいと思っちゃうわけですから、お上をチェックするということをしてないですね。
(澤井氏)そうですね。
(日隅氏)それは本当に問題ですね。
(澤井氏)その検証するときも、あっても形だけで、本当にこういう「募集の仕方自体がおかしいじゃないか」という意見をおし述べるようなそういうチェックって無いですね。
(日隅氏)なので、できれば図書館で読んでいただければと思うんですけど、1000円で売ってます。<笑>
 それで、天下りの防止の話になるんですが、天下りをなぜ防止しなければいけないかというと、結局官僚が、当然若いときには国のために政策をやろうと思って入ってくるんだけど、だんだん歳をとっていって、結局天下りを自分たちは確保しなきゃいけないということが慣例として、組織としての使命だから、どうしても政策が歪んじゃうわけですよね。
 ですから、天下りができないようにすれば、官僚が本来国にとってためになる制度を採用しようという動機が強くなるわけですが、天下りがメインになる。このことが一番端的にこのことがわかる例は、果たして官僚が日本の民主化を推進するための政策を一回でも、一回でも提案し、それが実現したことがあるか?
 無いです。
 情報公開制度だって、どれだけ市民が『採用しろ、採用しろ』と言ったか。地方では先に採用して、それから何年も経ってやっと情報公開制度が日本でできた。100年以上前からヨーロッパでは行われてる制度が行われてなかった。
 それは完全に官僚がそれについて妨害したわけです。採用するのを。それはあっても逆は無かったんです。そこにハッキリと表れてるように、天下りを防止しなければいけないというのははっきりしてるんじゃないかと思います。
 それも公職任命コミッショナー制度で防止できるのではないかと。
 あと、学者の中立化というのは、この間毎日新聞が大きく取り上げてましたけど・・・ 
(澤井氏)そうですね。原子力村の学者たちは、相当恩恵を受けている。
(日隅氏)結局どのプロジェクトに、或いはどの学校にどのくらいの予算を落とすかというのをやはり第三者が入った中立的機関が決定する仕組みを作って、やっぱり学者が国の政策に反することもきちんと
「危険でしょ。それは問題でしょ。もっとより効率的な方法がありますよ」
ってことをきちんと表明できるような、それでもちゃんと学者としての生活が成り立つような制度を作らなきゃいけない。そうしなければ、国の政策が歪められてしまうんじゃないかと。
(澤井氏)そうですね。原子力は特にはっきりしてますよね。
 私は本当にフランスで再処理工場の白血病が増加、再処理工場の周辺で白血病が増加してるという研究をしたピエール先生にお会いしたんですけど、フランスでみんな国立大学、みんな国家公務員。
「そういう研究をされて、何か圧力とか研究費を削られたとか、そういうの無いんですか?」
って言ったら、先生が全然、
「いや、そうじゃない。これが正しい税金の使い方なんだ」
 もう堂々とおっしゃったのは、印象に残っていて、本当に危険なものは危険だと。
「本当にサイエンスをきちんと突き詰めていくだけで、自分は別に再処理工場良い悪いじゃなくて、現実はこうだということを言ってる」
という、本当に原子力村の学者という人たちのサイエンスのレベルっていうのは、なんかもうどうなってんの?っていうか、本当に思いますよね。
(日隅氏)結局、「税金の使い道として正しい」っていうのは、まさにそのとおりなんですね。今国が採用してる政策が正しいかどうかをチェックすることに税金を使うっていうのは、当然やんなきゃいけないんです。それをしないんですね。
(澤井氏)そうですね。
 だから、逆に学者の方がもっと
「活断層があるんだし。」
とか、
「津波の問題とかあるんだったら、もっとちゃんとしなきゃいけない」
とかそういうのを言ってもらいたかったですよね。

(日隅氏)そうなんですよ。それを言える国であれば、こんなことにはならなかったんですね。
(澤井氏)そうですね。
(日隅氏)最後に、補足するシステムとしては、オンブズマン、これは説明するまでもないと思うんですけれども、例えば進んでいるとされるスウェーデンとかでは、あの辺りのオンブズマンでは、制度に基づいてきちんと行政が動いているかということを乗り越えて、制度自体が適切かどうかということもチェックできるんですよ。
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(澤井氏)相当な権限もあるんですね。
(日隅氏)そうですね。そうすると、今原発の規制、例えばバックチェックをしてとかっていう中で、それが十分かどうかということまでチェックできる仕組みなんですね。これはとっても重要だと思うんですね。
 それから、司法がもっと独立するという問題。例えば裁判官が政治的自由を持ってもらうとか、判検交流、国の代理人である検察官と裁判官が、立場を変えて交流しあってる、交換しあってるという人事交流の問題。これは直ちに止めるべきだと思います。
 そうすると、国を相手に裁判を起こしたら、国側の代理人は裁判官。裁いてる人も裁判官。そうすると、裁判官は自分の同僚を負かすかどうかって、そんなことできるのか?っていうこともありますし、
「出世にも響くだろう、この人を負けさせたら、こいつの出世に響くな」
とか思うと、やっぱり筆が鈍ることがあると思いますし。例えばその人が元上司だったとか、極端な話ですよ。そこは年齢の問題でないかもしれないけど。
(澤井氏)そうですよね。原発の裁判だと、経済産業省の商務室っていうところが原発専門の裁判専門に商務検事がいらっしゃるんです。元裁判官がボロボロですよね。
(日隅氏)そうなるとおかしい。そういう制度を無くすとか。
 それから、公益事業委員会の設置というのは、これは例えば日本では電気代を使って広告を出したりするのは自由ですけど、そういうことをちゃんとチェックする機関が海外にはあって、
「公益事業については市民も含めた第三者委員会がお金の使い方も含めてチェックしますよ」
っていう仕組みがあるんですね。それがあれば、我々が払っている電気代を使って、原発推進広告なんていうバカなことをさせるはずはないわけで
、現にさせてないわけですね。そういう問題ですかね。
 あと、NPO、こちらは本当にこの情報室があることによって、今回事故のあと、一方的な国の発する情報だけじゃないということで、きたわけじゃないですか。
 それが同じようにやっぱりあらゆる分野で、政府・官僚が研究していることに対抗できるだけの力を持ったNPOっていうのがやっぱりあって、官僚が言ってることが本当に正しいのかどうかをチェックできる組織、そういうのができなきゃいけないんじゃないか。それは税金の問題も含めて、充実させていかなきゃいけないなということを考えています。

 最後に、最初に言わなかった5つ目の問題。
 これは、まさに主権者としてのあり方、我々のあり方の問題。これもやはり考えなきゃいけないということですね。
 一つは、他者への共感性と政治への関心っていうものをやっぱり持っていただきたい。
 これは、正直言って、日本の皆さんっていうのは、半径が狭いと思うんです。他社への共感において半径が狭い。
 関西行くと、もう東電の原発の今回の事故の話なんて、もうなんか忘れ去られてるわけですよ。同じ国ですよ。

(澤井氏)そうですね。すごい温度差っていいますよね。
(日隅氏)ですよね。これは、考えられないですよ。もちろん神戸の経験もあるから、一生懸命関わってくださる方も居るし、全員がそうだなんていうことは全くないんですけど、少なくともやはり狭いと。
 それはテレビなんかでもドラマとか番組を見ても、より社会に対してアプローチをしようということを奨める番組もないし、そういう発言をすると、
「そんな真面目なこと言って」
みたいなことで、『社会にコミットするということが、いかにもダサい』とされて、なんか面白い話をその場でできる人がモテて、それがカッコいいみたいな風潮になってる中で、この問題っていうのは非常に問題です。
 政治への関心についていうならば、投票が近づくにつれて、テレビのコメンテーターが言うことは、
「政治不信」
「どの政党に入れてもダメですよね」
みたいなことを言うんです。必ず言うんです。そうすると投票する気さえ無くしますよ。そうするとどこが勝つかというと、組織票を持ってるところです。つまり既存の大政党。
 それを突破しようという政党は、なかなか投票されないということになっちゃう。
 それから、例えばこの他者への共感が弱いって話をすると、こういう反応が来るんです。
『家族が大事。自分は家族を守るだけで精一杯です。社会に関わってる時間までありません。』
 ところが、今回の原発ではっきりしたのは、社会に関わっていかなければ、家族も守れない。
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(澤井氏)守れない。そうですね。
(日隅氏)だから、政治に無関心でいるということは、
「家族に対する愛情があなた無いのですか?」
と言われていることと同じですよということを自覚してほしいと思います。
(澤井氏)家族を守るためには原発どうするかを議論しなきゃいけないということですね。
(日隅氏)逃げ道が無いですからね。日本の場合はね。
 それからメディアリテラシーですね。やはり自分たちがメディアから得られた情報をいかに解釈し、そこから正しい情報を如何に選び取っていくかというメディアリテラシーの問題っていうのがとっても大切だっていうことは、今回最初のスタートの話でもそうだったと思います。情報をいかに消化していくか。
 カナダなんかでは、学校で義務教育としてリテラシー教育が行われていて、最終的に、例えば
『アメリカでは遺体を報道しない、イラクとかで亡くなった方が運ばれて来ても遺体は写さない。じゃあそれはなぜなんでしょうね?どうしてそういう写し方するんでしょうね?』
みたいなことを学校で習う。
『PR会社が仕掛けた戦争を賛美するような作戦についても、なんでこんな作戦をするんでしょうね?』
みたいなことを学校でそれを題材として、具体的に取り上げて、検討する。
 そういうことが行われているんですね。
 そういうことが行われている国と、そうでない国と、当然政治になったときに、社会的な関わりとして、自分たちが主権者としてどう振る舞えるかということをやってるんですね。
 大体そんなことを思っていて、今回出した本の次に、2月に岩波のブックレットの方から500円で。
(澤井氏)お手頃な。
(日隅氏)でますので、是非それをお買い求めいただいて・・・
(澤井氏)どういうタイトル?
(日隅氏)タイトルは『誰が主権者なのか?』というような・・・すいません、正確には。
<43:15頃まで>

【後半】へ続きます。

失礼します。
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