※この記事は、1月10日 【内容起こし】後藤政志氏による政府事故調 中間報告解説 【前半】の続きです。


<36:10頃~>
 この辺は飛ばしまして・・・
 
 図を出しますので、ちょっとお待ちください。
 図でいくつか説明していきます。

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 これは例えば、原子炉の中の冷却と格納容器の中の冷却あるんですが、これは格納容器の中にスプレーヘッダというのがあって、ここで冷却するんですけれども、その時に本来はこのサプレッションプールのところから持ってきた水を回して入れるわけですね。
 ところが、このポンプを介してやることができなくなって、外から入れようとしたんですね。それで補助復水システムを、さらにこれもダメだった場合には、消化系。消化系っていうのは、火災・火事の時に使うわけですね。そこにこういうふうに繋ぎこむことで緊急時に中に入れられるようにしている。これをアクシデントマネージメント=過酷事故対策というんです。
 ただし、問題が有るんです。実は。
 これは繋ぎこんだからできるかというと、例えば、ここの消化系っていうのは、耐震上Sクラスになってないとかね。そうすると、地震で壊れる可能性が高いとか。だけど、もし生きてた場合には使える。そういう関係なんですね。

 ですから、必ずこういうものが生きていると考えるのは間違っていて、今回も実際にはいろいろ苦労してるわけですね。しかも繋ぎこみをやっていく段階で、繋ぎこみといいますか、これを機能させるには、バルブ、バルブっていうのは閉じたり開いたりしますよね。それが流れを止めたり流したりするわけですけど、それを電気でやるわけです。普通は。だけど電気が落ちてますから、そうするとそこの現場に行って回さなきゃいけない。しかも、それは現場で動くかっていうと簡単じゃなくって、手で動かない時には、コンプレッサのエアーを使うとか、そういうことを繰り返し繰り返し、こういう作業をやってるんですね。
 これが、今の冷却系、代替注水系ですけど、他のところも同じことがあります。
 これは、代替注水系の2号機から5号機の例ですね。システムが違うので、ちょっと圧力容器の上から冷やすような格好になってるのが2号機から5号機ですね。
 それから、これは6号機がまたちょっと違ったシステムになってる。
 こういうふうに様々な形になってるんですね。
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 それと、例の格納容器ベントといったやつ、耐圧ベントと呼んでいますけど、格納容器の圧力が上がっちゃって、このままでは格納容器が爆発してしまう、或いは、圧力容器から格納容器に、もう蒸気や水を、ガスを出すことができなくなる。つまり、格納容器自身がどんどん圧力が上がると、圧力容器から出せませんからね。格納容器が壊れちゃいますから。それで、格納容器からガス抜きをする。これがベントなわけですね。
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 気をつけなきゃいけないのは、わかりにくいことは、もともとこれなしで、こういう原子炉隔離換気扇、いわゆる空調ダクトがあるんです。これで普段は原子炉建物の中からそのまま空調ダクトで流してる。微量の放射能が出てる。もし、放射能が出るとこの非常用ガス処理系(SGTS)というのを使って、ここでフィルターで濾して出します。それによって完璧じゃないですけど、放射能を一応除去してから出すんですね。
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 それに対して、格納容器ベントっていうのは、こんなもの使い物にならない。全然桁が違う。こんなものをやってたんじゃ、もう間に合わないので、非常に太い配管で、大量にそのままズドーンと出す装置です。これを耐圧ベント。これを設けたんです。こうやって緊急用に。でも、これは前にもお話してますように放射能を含んだものを出しますから、これは非常に極めて、本来はこんなものつけちゃいけないんです。毒ガスを外に出すわけですから。
 でも、格納容器が爆発したらもっと酷いことになるので、背に腹は代えられないとして付けた。前から議論になってるのは、これが『本来はフィルタ、つまり放射能を濾すものを付けるべきである』
 ヨーロッパでは現実つけてる。なぜこれを付けなかったか。
 アメリカのまねをしたからです。
 アメリカは『これでいい』としてやったんです。それを日本は踏襲しただけ。
 ですから日本は耐圧ベントをやったけれども、フィルタなしのベントにしてしまったというのが、今回の事故の背景にものすごく大きくありますね。
 申し上げたいことは、ここのバルブ、これも二つしか書いてませんけど、実際は二つ三つあります。その時に、バルブが両方開かないといけないんですが、それに非常に苦労してたというのがいっぱい書いてます。
 ここの報告書の中でも、
『片方方開いたけど、片方を開きに行くのに放射能が強くて、近くまで行ったけど戻ってきた』
とか、そういうことが詳しく書いてます。
 実際にできたのは、最初に決断してから5時間も6時間、もっと経ってから、やっとベントのバルブが開いた。その後も実はベントが本当に機能したかどうかよくわかってない。
 どうも、外で格納容器の圧力が減ったけど、本当にそうなのか。どこかから格納容器から漏れたんじゃないかという疑いもある。私はそう見てる。そういう可能性も見てるんですけども、本当にベントがどれだけ成功したか怪しいです。
 なぜかというとですね、バルブがどこまで開いたか判ってない。100%じゃない。調べてみたら、25%くらいしか開いてなかった。一つのバルブ。それで、こちら側のバルブを開いたら出たって言ってるけれども、圧力が落ちたっていうけど、ある時にまた閉じちゃった可能性がある。
 なんかその辺よく判らないんですね。
 そういうことが重なっています。いっぱい。
 そういう証言があるんですね。
 そういうことから、今回の事故というのは、そういう本来ならば動くべきことが、過酷事故に至ってますから、炉心が溶融を始めてる時に何か手を打とうと思ったときに、結局安全装置としてあるものが次々と突破されていくっていうのが、今回の自己の特徴ですね。
 今回の事故の特徴といいますか、スリーマイル島も実はみんな同じなんですね。
 原発の事故はみんなそうです。 
 こういう形で事故が進展します。
 
 次のこれは、電源系統を模式的に表したものです。
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 本来は、この電源は非常用の共通の母線があって、こういうふうになっていて、非常用の母線がある。こういうものに専用の充電器があったら、例えば非常用の母線があったら、これを別々になってるのをつないでおいて、緊急時にはどちらからも共用できるようにしようという、こういうのを過酷事故対策と称しています。
 こういうことを対策としてやってきてるわけですね。
 ですけど、それも結果としては役に立たなかったというのが結論です。

 
 こういう図でいろいろ細かく表してますので、今説明は止めますけど、こういうところを見ていただければ、大体全体がどういう構成になっていて、どういうところがどうなっているかはよくわかります。


 報告書の中には、詳しくそれぞれの機能、何がどういう機能をしたかということも触れています。
 ただですね、私が見ていてこの中でちょっと気になったことがあります。
 絵があったほうがいいんですが、そもそも原子力の事故時の対応、設備としてどういうものがあるかと考えた時に、先ほどの絵がありましたように、本来は建物の中に入ってるわけですね。燃料棒があって、圧力容器があって、格納容器があって、建物がある。
 この報告書の中で、それぞれ一個一個書いてあるわけです。5重の壁の話が。
 これはでも、電力が書いたのをそのまま書き写しています。
 引き移してるにしてもちょっとおかしいのはですね、原子炉建屋が最後の格納機能として書いてあります。それが、突破されることが問題というように見えちゃうんですけど、それは間違っています。

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 原子炉建屋は、こうなっていて、通常時はその中をちょっと分厚にして、外に放射能が漏れないように、そういう閉じ込め機能を持っています。
 ですけど、それは、事故じゃない時です。
 事故があって、中の圧力が上がった時には、原子炉建屋は持ちません。圧力に対しては、全く持たないんですね。
 圧力に対してもつのは、格納容器だけなんです。
 ですから、原子炉建屋そのものが格納容器の最後の砦というのは間違っていて、あくまで格納容器が最後の砦と見るべきです。事故の時には外側は関係ありません、というくらいの関係
になります。
 ですから、今回も水素爆発で建物が飛んだけれども、幸いだったのは、格納容器自身がすっ飛んでないことなんですね。若干漏れているで済んでいる。それが大きいんですね。
 もし、格納容器が爆発していたら、トンデモナイ話になる。
 これは、菅さんが今回ずっといろんなとこで発言されていて、聴取にも出てますね。
『もし、あのままベントできなくなって格納容器が爆発した場合には、東関東が全滅する可能性がある。3000万とかそういうオーダーの人間が移動せざるを得ないかもしれないということまで危惧した。これは国家の一大事である』
ということを言ってるわけですね。
 これは私は嘘ではないと思っています。
 しかも、そのバックの話として出てきたのは、まず私の勘違いでなければ、原子力委員会の近藤委員長のサジェスチョンがあったというふうにあるところでは書いてありました。ある情報ではですね。裏はとってませんので、確たるものはありませんが、少なくともいい加減な情報でやったんではないということですね。それなりに、菅さんなりに調べてそのところから判断した。
 そうすると、そこから見えることは何かというと、あの時に
『日本は東日本壊滅するぞ』
っていう表現をしたときに、周りのマスコミとか皆さんは「何を言ったんですか」ということです。
「それは誰なんでしょう。誰の責任でしょう」
と私は思います。
『そういう事実を誰がどうやって捻じ曲げてきたか。』
ということの検証は非常に重要だと私は思っています。
 私自身は、非常にその時に危惧してたんです。一番危惧したのは、3基炉心溶融していて、そのうち1基でも格納容器が爆発して、4号機の使用済燃料プールも含めて、全部過酷事故対策としての冷却ができなくなる、そうすると全滅するわけですね。
 それは、事故のシークエンスでずーっといって全滅するんじゃないんです。
 格納容器が1個逝ったら、必然的に全滅なんです。それが見えてるから恐ろしいんです。1発でおしまいです。手の付けようがない。
 それは自明なことなんですね。
 そうすると、あそこで例えば
『東京まで汚染すること、そんな馬鹿なことないよ』
って思いたいけど、そういうことが本当は一歩手前まで行っていたという現実ですね、そのことをどう見るかということが一番重たいんです。そのことを今回の事故をもって考えないことは、事故に対して考えない、全く考えないのと同じです。
 私は、この報告書の中で少しこれからですから、最終報告書を期待してるんですけどね、是非、分析をお願いしたいんですけど、これでやってる内容はヒアリングが中心です。先ほど言いましたように。
 データは東電のデータ、保安院のデータに大体沿ってるんですね。それに従っているようです。
 そうすると、その中で例えば先ほど言ったICがどういうふうに機能したかとかその辺りについては触れてはいるんですね。
 ちょっと出てくるかな・・・?
 あったあった、これですね。
 重要な、前にもちょっとお話したことありますけど、重要なポイントなんで、ちょっと押さえます。
 もともと、地震が来て全電源が来なくなった。

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 そうすると、電気が来ないので、他の非常用の冷却装置は全滅です。動きません。ですけど、1号機には幸いかな、非常用復水器=アイソレーションコンデンサ、この1号機特有のシステムがあります。これは、あとは敦賀の1号機しかありません。これは非常に大きな、長さ数メートル、7,8メートルあるんですかね。大きな水のタンクがあります。この水のタンクに原子炉から配管を通して、厚い蒸気が回って、この水の中で冷却されて原子炉の中に戻っていく、こういうシステムなんですね。これは電気がなくても駆動するんです。蒸気駆動です。蒸気が強いから、これでブワーッとふいてきて、こう行って、これで冷却して水に戻って、自動的に戻ってくるんですね。
(澤井氏)皆さん判りにくいのは、結局原子炉の約300℃近い、そして70気圧の蒸気が出ているので、瞬間スクラムがかかったとしても、その蒸気が自然にそちらに・・・そこをちょっと。
(後藤氏)わかりました、はい。
 普通はですね、制御棒が入って原子炉止まりますね。ですけど、そのあと崩壊熱でずっと熱が出ますから冷やさなきゃいけない。そうすると、本来は非常用の発電機で駆動して、その非常用発電機でポンプを回して、ほかにいっぱいあるんですけど、これ以外のシステムがあります。代替注水とか、例えばこの原子炉の中に入れるシステムがあるんですが、こういうポンプが動けば非常電源で動けばいいんですけど、ところがそれが全滅しちゃったんで動かない。
 そうすると何が起こるかっていうと、ここで・・・この蒸気が自動的に、ここ(圧力容器)の中で蒸気が出て、ぶーっと吹いてきて、バルブが開きさえすれば、自動的にここに流れていくんです。蒸気が吹くんです。ここに。
 ここ(非常用復水器A/B)に来ると周りが水なものですから、蒸気が水に戻ります。そうすると水になって戻るので、こちらに重力で落ちていってここに入っていく。
 こういふうにして循環するんです。

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(澤井氏)それで電気が無くても冷却できる・・・
(後藤氏)これすばらしいですよね。
 実は、『事故の当初から配管破断があったんではないか』と疑ってたのは何かというと、これが機能してるはずなのに、どんどん水位がおちておかしくなってきた。それは何かっていうことから始まってるんです。
『どこかが漏れてるんじゃないか。』
 そしたら、『どうもこれが機能してなかった』という話になってきたんです。
 ですから、それでも配管がどこかが切れている可能性はまだ否定できないですよ、あるんですけども、少なくともこれが機能してないということが、今回東電から報告になっている。
 それはなぜか?
<53:00頃~>※このパートは言葉で説明できませんので、動画をご覧ください。
 判ってることは、バルブがあって、ここから出てこういうふうに戻ります。こちら側は上から出て、こうしてここ、或いはこっち側を通ってここに戻りますね。こうなってくる。
 ということは、このバルブを全部開くんですね。本来は。
 実はですね、これを運転するときどうするかというと、このバルブは全部開いておくんです。一個だけ、4個あるうち1個だけ閉じておいて、事故があった時にはこれを開くんです。そうするとバーっと自動的に流れますね。
 こういうふうに設計されているんです。
 ところが、今回の事故でわかったのは、電源が落ちたでしょ。電源が落ちたことで何がわかったかというと、電源が落ちた時、電源は二つあるんです。交流と直流が。交流電源がまず落ちる。交流電源と直流電源だと思うんですけど、電源が落ちると実は、自動的にフェイルクローズといって、フェイルセーフというんですけど、モノが故障したり電源が落ちたことで、自動的に閉じるように設計されている。
 なぜかというと、これは格納容器だから。
 格納容器は事故の時に閉じ込めるから、事故があったら、安全のために放射能を出さない目的だから、閉じるんです。
 これは正しいんです。そういう設計。
 だから、こっち側が交流で落ちて閉じで、実は中は直流なんですね。直流と交流、もしかしたら間違ってたらごめんなさい。片方が直流で片方が交流です。
 それが中と外それぞれに一個一個あって、それぞれの電源が落ちたことでそれぞれ止まっちゃうんです。全部。
 そうすると、全部クローズしてる。そのクローズしてる状態で運転しようとしても、これを一個開いたって動かないことになります。そうすると、これを一個一個開いていかなきゃいけない。ちょっと交流が生きてきたらこれが開いて、直流が生きてきたらこれが開いて、本来はですね、電源というのは多重化されていて、多様化ともいいますが、交流で動く、或いはそれが駄目だったら直流で動くんです。どっちか生きたらいいわけですよね?
 ところがこれ、違うんですよ。どっちも生きてないと流れない。
 つまり、設計の意図としてですよ、意図としてはできるだけ隔離。放射能を閉じ込めるためには、多様化させて複雑にして、こうやって雁字搦めにしてやってきたことが、冷却することをできなくしたんです。
 ここがものすごく矛盾なんです。
 これは安全系っていうんです。ECCSっていうんですけど、非常用の冷却系として設計されてないんです。だからこういう機能を持ってないんですけど、でも、そもそも考えてください。これは何のためかというと、電源が無くても動くように設計したんでしょ?それなのに冷却できないわけですよ。
 これは本質的な矛盾なんです。
 だから、私の申し上げたいのは、このECCSがどうだとかそんな定義関係ないんです。そうじゃなくて、原子炉を冷却するのに必要な電源が無いときに機能すべきものが、隔離機能を優先してしまって破綻した。
 これを『フェールセーフの破綻』というんです。
 これは典型的です。
 事故というのは、私に言わせると極論ですけども、『フェールセーフの破綻』というのがシステム事故の全てだと言ってもいいです。
 フェールセーフというふうに設計は考えます。それなりに。さっき言ったように隔離機能。それが実際は無理なんで、できないことがある。これが技術の限界なんです。
 このことを理解しないと、
「あ、これちょっと設計ま違ったから、ちょっと変えればいい」
ってそういうふうに思うんですね。それはそう簡単じゃないんです。
 だからECCSといってECCS系でもそういうことが起こるんですけども、そういう問題がバルブをたかだか、フェールセーフとしてフェールクローズするかフェールオープンにするか、という定義ですね。これそのものが非常に問題なんですね。
 そのことが非常に重要だということが言えます。
 それともう一つ、技術のお話をちょっとしておきます。

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 1号機とか見ていくと、少なくともSR弁、SR弁というのは、Safety Reliefバルブというんですけど、安全弁なんですね。つまり原子炉圧力容器があって、そこから原子炉圧力容器の圧力が上がってくると、これの蒸気を逃がして、格納容器の圧力抑制プールに逃がすためのバルブです。

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 どうなってるかというと、主蒸気、つまり原子炉圧力容器から流れたやつがこうきて、ここにバネがあって、通常はこのシリンダがあって、ここを閉じてるんですね。閉じた状態になる。閉じた状態になっていて止まっているわけです。これに、ある原子炉のほうの圧力が安全弁機能をもった押さえる力、これよりも超える、つまり圧力がある一定値よりも上がると、この圧力、この信号でバルブが開くようになって流れるように、そういうふうに設計されているんです。
 大体70気圧をちょっと超えると、この機能を果たします。安全弁機能を果たすんです。そういうはずなんです。
 ところが、今回それがちゃんと作動してないようにデータを見ると見える。
 そうすると、それは何なのかとか、そういうふうにいろんな疑問があります。こういうところはまだ解明されていません。

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 同じくこれは、そのSR弁の作動原理で、逃し弁機能と言ってますけども、ADSとも言うんですけどね、この自動的にじゃなくて、意図的にある状態になったら圧力を逃がすための設備をつけてるんですね。バルブを要は動かすわけです。開くだけですね。それで逃がすんです。
 だから、70何気圧にならなくても、低圧でも逃がすことができるように設計してる。
 ところがこういうものも、ほとんどですね、電源のせいもありますけど、それだけかどうか判らないんですけども、基本的にそういうシステムは全部機能してないんです。すべて。
 だから高圧で高圧のまま、低圧にすれば水が入るのに、低圧にもできない。圧力が高いから困る。圧力を逃がそう。このシステムは動かないし、更に格納容器はベントはできない。だから圧力下がらない。
 もうね、メタメタなんです。はっきり言うと。
 そこらじゅうが、もいどうしようもない状態になってる。
 これが事故なんです。
 これで、どんどんどんどん追い詰められていくわけですね。
 その時に畑村委員会のを見ると、なんか
『このことがいけなかった』
『このことがいけなかった』
って書いてあるんですけど、私はそのこと自身はね、例えば電力側が準備してなかったとか、それは間違ってはいないんですけど、本質的にはそういう問題ではないんですね。そういうことがあり得るし、事故ってそんなものなんですよ。
 それを後から、後追いでチェック、「こうしておけば良かった」なんていうのは、後知恵であって、それではどうしようもないんですね。
 指摘自身は構わないです。もちろん。
『この準備が足りなかった。』
『これも足りなかった。』
 そのとおりですね。ですけど、本質論じゃないんです。本質論はそういうことじゃない。そういうことがあっても、ガードできる設計になってなきゃダメです。
 ですから、くどいようですけど、過酷事故対策っていうのは、信用してはいけないというのが私の考えです。それをもって安全を担保出来ないです。
 今も実はストレステストというのをやっています。
 地震が想定の何倍くらいきたらどうこうとか、津波が想定の何倍まで来たらダメになるとか、そういう炉心溶融に至るとか、計算でそういうことをやっています。
 それはそれで一つの評価でしょうけど、問題なのはそういうことじゃないんですね。
 いざ、コトが起こった時に、それに加えてどこかが故障したり、うまく動かせなかったり、実際には放射能が強かったから行けなかった。或いは暗かった、或いは、何かのミスがあって、繋ぎこみができないことになってた。
 そういうことをもって、事故につながってるんです。
 そんなことは我々がよく日常的に間違うのと同じです。ちょっとしたミスやるのと同じです。
 過酷事故対策ってそんなものなんですね。
 本来、私なんかが設計上安全を考えるときには、そんな、そこで何か手を入れるなんて考えられません。炉心溶融も時間が無いときやる時には、そんなこと考えないです。自動的に全部システムでガードします。
『圧力が落ちて、これが駄目だったらこれ』
 そうやってきて設計したつもりなのに、突破されて過酷事故になっている。だから、そうやらざるを得ないんだけど。
 つまり、システムでガードできなかったから、最後の砦として人間がやるしかないよね。そのやり方がいけないっていう批判してるわけです。今ね。
 それは間違ってないんだけど、じゃあ一歩引いて考えてみて、じゃあ事故が起こらないって一体どういうことなんだ?っていったら、そもそも最初のシステム設計がおかしいでしょ?作りこみが出来てない。対策が。
 つまり原発というのは、中途半端で、全然対策が自立能力、自己制御能力を持ってないんです。原発は。
 それを外から緊急用の水とか電気とか持ってくることで維持しようと、そういう付け焼刃的なやり方を過酷事故対策というんです。
 そのことを理解しないと、原発の安全性は、全く理解できたことになりません。
 ですから、私はくどいようですけれども、先ほど言った、万一に備えてフィルタを付けたベントならいいか?というと、そんなことない。
 フィルタベントつけたときに、フィルタが機能しない状態が無いとは言えないから。爆発が起きたらおしまいですから。
 だから無いより、今回あったらずっと良かった。こんなひどい被害にはならなかったかもしれない。だけど、『じゃあそれがあったら絶対そうならないか?』っていったら、そんなことはない。格納容器が爆発する可能性だってある。それは否定できない。全く違ったシーケンスがある。水素爆発が格納容器の中で起こる可能性だって、、長期的にはあるんです。最初に窒素を封入してますけど、今まさにずっと長い間いってますよね。そうすると、水が放射線分解で水素が出てくるんです。その水素は処理しないと危ないんです。それは一歩間違うと逝くわけです。
 或いは、溶融物が水と接触して水蒸気爆発を起こす。それで、格納容器が爆発する。
 今はそのリスクはほとんどないですけど、当初はずっとあったんですね。
 そういうふうに考えると、原子力プラントそのものの、私は今回の事故の反省は何かというと、ありとあらゆる形のものが事故というのはありうるので、それぞれの対策をどうするのか?ということが問われるわけですね。
 それをきちんとやろうとしないでおいて、付け焼刃的にやるのは、全然間違ってると思う。
 特に怖いのはですね、多重にやってるつもりが、ネックがあるとこがあるんです。例えば4つも5つも安全装置がついてるところ。たまたまあるシーケンスで、あるとこで共通のやつがあって、これが一個同時にボンっといったら全部おしまいっていうものがあり得るんですね。そういう危険性のあるところ、そこのガードが一番大事なんですけど、実はそれに気が付かないようなとこがある。それがシステム設計上の一番の問題なんですね。
 しかも、それは徐々にマイルドっていいますかね、ゆっくりと自体が進展するのであれば、人間が制御可能だと思います。ですけど、原子力はそんな甘くないんですね。今回の炉心溶融、あの炉心溶融の精度がどれくらい正しいかわかりませんけど、その炉心溶融の時間、どれくらいかかったかと考えると、あっという間にいってるわけです。冷却止まってから。メルトダウンまで一気にいってるわけじゃないですか。
 あれは配管破断とか関係なしに、どうであろうと、もしそういうふうにメルトダウンして一気に逝くんだったら、それそのものが原子炉の特性としてダメです。そんな危険なものは。制御できません。これは明確です。
 ということが事故調査できちんと整理されなければいけないというのが私の見解です。
 一応少し端折って、ちょっと私の見解をついつい言ってしまいましたけど、もう少し事実に則した検証をずっと続ける必要があると思います。
 私のいったちょっと余談を押さえてね、ちょっと実際の事故はなんであったか。一つは事故がなんであったかということと、そこから判るもうちょっと広い意味での対策、そのことをきちんと考える必要があるということが、問題だと思います。
 それで、畑村委員会の畑村事故調査委員会の努力は、この中でいろんなことを聞き取り調査して、それを裏付けていく、そういう捜査をこれからやっていくんだろうと。その限りにおいて、それに期待したいというふうに思います。
 私の方の解説は以上です。
(澤井氏)ありがとうございました。
 まだ中間報告ということですので、今年夏に向かってまだまだいろいろな解明が行われると思います。それに期待したいと思います。
 また昨年12月には国会の事故調査委員会というのも組織されまして、それも動き始めているということで、やはりこの原発事故が一体どんな過程でこういう事態に至ったのか、それを解明することは、日本の原発を動かしていく、政府、電力会社、そして国民、私たちにとっても世界の皆さんに日本で一体何が起こったのか、それを明らかにすることは、大きな責任のある重要な仕事だと思いますので、いろいろな機関のこれからの調査に期待したいと思います。
 今日は最後に後藤さんの新しい本が出ましたので、ご紹介したいと思います。
23 クレヨンハウスから出版されました『原発を作ったから言えること』ということで、もともと原発の設計技師でいらして、原発の建設の携わってきたわけですけど、そのいろいろな知見・知識を踏まえて、今お話をいただきましたけれども、作った本人だから、問題点というのが本当にわかるという意味で書いていただいています。
 それで大変お話をそのまま本にしてありますので、非常にわかりやすいのと、小さいブックレット形式なので、そんなに苦労しないで読めるというようなこともあるかと思います。
 クレヨンハウスの出版になっております。『原発を作ったから言えること』ということで、これも多くの方に読んでいただきたいと思います。
 今日は本当に、いろいろ問題があると思いますし、後藤さんの熱いお話がまた皆さんにお届けできると思います。
 やはり、この事故を世界で初めてのこんな大事故です。私たちとしては、この問題点をこれからも一緒に皆さんと考えていきたいと思います。
 今日はこれで終わりたいと思います。
(後藤氏)どうもありがとうございました。
(澤井氏)どうもありがとうございました。
【以上】

失礼します。
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