※この記事は、
12月11日 【動画・内容起こし】石橋克彦氏講演会「『若狭原発震災』前夜の私たち」@名古屋市女性会館ホール【その①】
12月17日18日 事故調査・検証委:1号機の非常用復水器の誤認識と3号機高圧注水系の操作、「いずれも炉心溶融を早めた可能性」(後藤政志氏の解説のまとめがあります)などに関連しています。

CNICで後藤政志さんが政府事故調の中間報告書の解説をしてくださいました。
700ページにも及ぶものを読み込むのは、一般人には難しいと思い、私もまだ概要しかまだ読んでいないのですが、東京電力の出してきた技術的なものとは違い、かなり人間よりというか、そういう報告書になっているようです。

是非ご覧になってみてください。どうぞ。

【動画】
1月10日 後藤政志氏による政府事故調 中間報告解説
http://www.ustream.tv/recorded/19677262 (72:34)

《参考資料》
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
中間報告
http://icanps.go.jp/post-1.html

【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(澤井氏)皆さん、こんばんは。原子力資料情報室です。今日は2012年1月10日です。福島第一原発事故から306日目になりました。CNICでは、今年もこの事故に関する様々な情報、分析等をお伝えしたいと思っております。
 今日のお客様として、後藤政志さんに来ていただいております。後藤さん、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 福島の原発事故に際しまして、昨年暮れにいろいろな動きがありました。東京電力の事故調査委員会の中間報告が、12月上旬に出ております。それから12月下旬、26日に、政府の事故調査委員会の中間報告書、いわゆる畑村委員会中間報告が公表されております。これを後で後藤さんにいろいろ詳しく解説していただきます。
 それから別に、高汚染地帯の除染ということを政府が責任を持ってやるというふうになっているわけですが、その除染によって発生する汚染された土の中間貯蔵施設を、政府は双葉郡内、いわゆる原発の現地、双葉、大熊、楢葉、富岡というところの地域のどこかに中間貯蔵施設というのを作りたいということを、細野環境大臣が地元に申し入れております。それから、野田首相も福島県知事に対して申し入れるという事態になっております。
 それから、原発に関しては、ストレステストの評価という会議が後藤さんも関わられているんですが、その議論も進んでいるという状態です。
 そして、昨年最後には、政府が原発の収束というか、原発事故に関して、第2ステップを終了したということで、終息宣言というのをして、第2ステップまで終わったという、そういうサイト内の事故に関しての終息宣言というものを出しております。
 これには、地元福島県の皆さんが大変な非難を発信されております。
 こういう動きの中で、原子炉では相変わらず放射能の放出も続いておりますし、核燃料の挙動も判らないという状態になっております。
 私たちがこの事故から、もう300日を超える状態なんですが、これからいろいろな問題を考えていかなければならない。それをもっともっと深めなければならないというふうに考えております。
 後藤さん、最初に政府の方でサイトの事故が収束というようなことを、昨年暮れに公表しておりまして、非常に福島県知事さえ不快感をあらわにしたということなんですが、この点についていかがでしょうか。
(後藤氏)その件はですね、何回か私もテレビで呼ばれて若干お話をさせていただいたことがあるんですけども、最初に、当初3月12日以降にいろいろ私なりに発言をさせてもらいましたけども、原子炉の中で炉心が溶けて、溶けた後に更にメルトダウンして、圧力容器もメルトスルーして下に落ちてる、つまり格納容器の中にどうなってるか、どこに溶融物があるか、原子炉の中がどうなってるか、それはわからない状態。
 冷却だけが、一応なんとか維持してるという状態。
 格納容器も壊れていて、外に放射能が出続けている。それは、量的に事故の当初から比べたら遥かに少ないわけですけど、でも確実に出てるわけですね。
 圧力温度が上がれば、それだけその分気体で出る。或いは水の方は、下の地下水が入ってくるような状態になっていて、逆に言うと流出してる可能性もあるわけですね。
 そうすると、今の福島の原発は、炉心溶融したまま冷却してある温度を維持してるだけであって、放射能は閉じ込め機能を失っていて、それがずっと続いてる。
 つまり、『収束した』とは全く程遠いといいますか、私は少なくとも『技術的には収束してる』とは言えない。
 それは、政治的に一応ここで一括りで言いたいということで言ってるにすぎないと、そういうふうに理解しています。
(澤井氏)放射能も出たままで収束というのは、地元の方にとっても、非常に『何を政府は考えているのか』という状況になってると思います。
 この政府のこの収束宣言とともに、政府の事故調査・検証委員会の中間報告というのが公表されまして、こういう対応見てもですね、非常に
「スケジュールありきなんじゃないか」
というふうに批判されても仕方のないような年末にバタバタっと、そういう動きが出てきたんですが、今日、CNICのUstreamをご覧の方から、
『政府事故調の中間報告に関して解説をしていただきたい』
というようなリクエストもありましたので、今年の最初にUstreamはこの内容から開始したいと思います。
 では、後藤さん、よろしくお願いいたします。
(後藤氏)よろしくお願いします。
 改めまして、皆さん、後藤です。
 政府事故調査委員会の報告書ですね、通称『畑村委員会』と言いますが、その概要、相当なページ数あるんです。700ページ以上あると思いますが、実は私も読み込んでは見たんですが、必ずしも全部捉えきれていないというのが正直です。
 ただ、大部なものでありますから、全てを読み込むのは非常に難しい、時間もかかるんですけど、今日のUstreamでは、1時間内外で私の見てるところ、事故に関わるところが中心になりますけれども、全体の報告書では何をやっているかという話と、一部技術的な部分を少し。すべてに触れるのはとても難しいですが、一部触れてみたいと思います。それからその位置づけについても考えてみたいと思います。
 
 それでは、早速ですが、まずはこれを見てください。
1 これはですね、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の開催についてということで、内閣総理大臣として、菅総理が出したものですね。
『本日閣議決定により開催することにした』
ってありますけど、要はこの事故調査・検証委員会なるものは、ポイントは三つあります。
 ①『従来の原子力行政からの独立性』
 ②『国民・国際社会に対する公開性』
 ③『技術的な問題のみならず、制度的な問題まで含めた検討を行う包括性』
 ですから、これをもう一度繰り返しますと、『独立性・公開性・包括性』と、こういうことをやるんだということを宣言しております。
 この調査のその後半を見ますと、
『この調査・検証委員会でしっかり検証を行っていくことが、国内外の信頼、信任を得るためにも必要だ』
ということを言ってるんですね。また、
『各閣僚におかれましても、調査・検証委員会の格段のご協力を』
と言っている。
『しっかりした調査・検証を行うためには、事務局、組織、政府も非常に重要だ』
と、こんなことが書いてあります。
 これを受けまして、何をしてきたかということを触れていきます。
 
 まず、委員の構成、名前を確認いたします。
http://icanps.go.jp/2011/07/03/member.pdf
2


 事故調査・検証委員会は、まず委員長は畑村洋太郎さんですね。東京大学名誉教授、工学院大学教授。この方は、ご承知の方も多いと思いますが、失敗学という分野、技術における一つの捉え方、特に設計を中心に失敗とはどういう形で起こるのかということを研究された方で、相当技術屋の中ではファンも多いと思います。私も非常に畑村さんが出したものに関しては、関心を持って見てきました。
 また、委員の後、私は直接はわかりませんけれど、あとこちらに並んでいるそれぞれですね、高等研究所所長の尾池さん、柿沼さんというのは放射線関係ですね、放医研。それから、高須さんていうのは、特命全権大使というから、国連関係の方。弁護士、それから裁判・法律関係の方、それから同じく弁護士の方、現地の人、それから、柳田國男さんはスリーマイル島等各地の事故についてずっと書いてきた評論家ですね。それから吉岡斉さん、九州大学副学長で、この方は科学者専門で、原子力政策については、日本の一番もっとも今まで関わって来られた方。
 この10名の方が委員になっている、そういう構成です。
 ただし、ここには出ておりませんけど、技術顧問としてお二人入ってるみたいです。
 更に細かくは出てきませんけど、これの下に作業部会を作ってるんですね。それをちょっと見てみましょう。
3

 ちょっと小さくなってしまいましたけど、この事故調査・検証委員会は、
  社会システム等検証チーム
  事故原因等調査チーム
  被害拡大防止対策等検証チーム
  法規制のあり方検証チーム
と、こういう構成になっています。
 各それぞれの中身ですね。
これは社会システムの方は、
 ・安全規制、
 ・関連技術の来歴、
 ・福島原発事故に関わる事故前の背景、事情がどうなっていたか。
それから事故原因のほうは、
 ・事故原因の科学的問題点、
 ・初動における事故対処の適否、
 ・プラントにおける被害拡大防止措置、
 ・国際連携
拡大防止の方は、
 ・事前対策がどうなってたか
 ・避難等の各措置は適当であったか
 ・住民等への伝達等は良かったのか
 ・国際連携の在り方
こんな形になっています。
法規制の方は、
 ・緊急事態発生時の対応体制
 ・平時における安全規制、原子力災害予防
 ・関係行政組織の在り方
と、こんな形になってるんですね。
 それで、これは事務局としてこのように各チームごとにチーム長、それからその他の専門家を入れて構成されている。
 こんな恰好になっています。
中間報告(概要)http://icanps.go.jp/111226HonbunGaitou.pdf
 ※前半はこの資料を見ながら、話が進んでいきます。
4

 全体の構成をみていくのは大変なので、概要編を最初にちょっと見ていただきます。概要編というのは、この報告書の一番最初の16ページに中間報告・概要というものがあります。これが12月26日付になってますけど、【1.はじめ】にというところから始めて、この事故発生後の政府間の問題点として、各それぞれの課題が述べられていて、福島第一原発における事故後の対応に対する問題点、特に1号機のICというのはアイソレーションコンデンサ=隔離時復水器という、1号機だけについている電源が無くても冷却できる装置ですね。それの作動状態。これは、一部にあった配管破断説との関係もあって、非常に問題になっているところですね。
 それから、3号機の代替注水に関する不手際。それから1号機及び3号機の原子炉建屋における爆発とその関係、だいたいこんなテーマになっています。
 その後、被害の拡大防止に対する対策の問題点は、初期モニタリングに関わる問題、例のSPEEDIの活用ですね、放射能の拡散に関するシミュレーションのデータ開示の問題、それから住民避難の意思決定と現場の混乱をめぐる問題、国民・国際社会に関わる問題、その他の被害拡大を防止する対策について、とこんな項目になっています。
 次が不適切であった事前の津波、シビアアクシデント対策とこういう項目で、津波・シビアアクシデント対策について。シビアアクシデントというのは、原子力に於いては普通の設定と違いまして、配管が切れるとか何か事故が起こるということを設計で組み込んでいます。だから、例えば仮に制御棒が入らなかったら、対策は一応は全てあります。ですけど、それが機能しなくなって、いよいよ手が付けられなくなった状態をシビアアクシデントと言います。
 ですから、ここで言ってるのは、津波というのは、シビアアクシデントにそこから移行する途中であるんですね。ここによってシビアアクシデントに行くか行かないか分かれます。
 今回の場合には、多重防護は突破されて、同時にいろんなものがやられてシビアアクシデントになってしまったんです。
 そのシビアアクシデントに対して、どういう対策があったか。こういう議論ですね。
 それが不適切であったとか、そういう表現になってる。
 これは東京電力の自然災害対策の問題点となっています。何故津波・シビアアクシデント対策は十分なものではなかったのか。
 あと、原子力安全規制機関の在り方。これをまとめてる。そんな格好です。
 16ページにわたって書いています。これは、さらっと見ていくことができます。

 始めのところで、第一福島と第二福島の話も出てまいります。それで、ここで書いてあったのは、第二原発についても、一応検証していくわけですけど、中間報告では、そこのところは深く触れていないと、そういうことになっていると思います。 
 最初に申し上げておきますと、この報告は、中間報告として12月26日に出しまして、今年の夏を目標にもう一度最終報告を出す、そういう予定になっています。
 ポイントは、一番事故調査のポイントは、私はこれだと思うんですが、第一回の委員会で進め方等議論があったんですが、その中で現地視察はいいとしまして、関係者のヒアリング、これが非常に多く行われてるんですね。456名、合計延べですね。時間にして900時間くらい。それが今回の報告書の大部をかなりの部分を占めています。
 それは、後で見ていきますけども、考え方としては、東京電力の報告書が技術的ないろいろなデータとかを出してるんですけど、一応問題が無かったっていう書き方なんですね。対応は何かあったら「こうだ、こうだ」って書いてあって、「それは何ら問題が無い」っていう、それはある人に言わせれば、
「責任回避である」
という表現を言った人も居ましたけど、そこまで言えるかどうかわかりませんが、少なくともそういうことに踏み込んでいない、それに対して、ここの報告書はヒアリングしてますので、実際に現地の対策本部の長、一番トップが何を考えていたか、本社のトップ何を考えていたか、政府はどうだったのか、現場はどうだったのか。これのつけあわせせが出てるんですね。その限りにおいては、非常に迫力があります。
 私も随分、「あ、これは」と思うことがいっぱいありました。
 ただ、これはそういうヒアリングというレベルでやってるということは、ちょっと押さえておく必要があります。このことと技術の問題とは、つきあわせが非常に重要なわけですね。
 それで、
『この報告書は途中のものであって、当委員会が調査・検証の対象としている事項を全て投じたものではなく、中間報告で取り上げた事項であっても、事実関係の解明が未了のものもある』
ということは、保留してるわけですね。ですから、これになかったからといって、ああまりうじゃうじゃ言うのも、それはちょっとお門違いという面がありますから、私も敢えてそこまでは言いませんが、ちょっと気になってますのは、ここのところとまさに重要なのは、ここまでヒアリングした。ヒアリングしたことによって、いろんなことが判ってきた。そのことと本当にあとは裏付けですね。技術的な裏付け、その関係がクリアになってるかどうか、そういうふうに捉えるべきだろうというふうに思ってます。
 そこについては、まだこれからだということに思います。
 事故の概要につきましては、やはりこの辺のベースは東京電力の報告書をベースにしてる。保安院からの資料をベースにしてるというふうに理解してます。
『福島第一原発、第二原発は地震と津波に襲われた。M9の地震で津波は福島第一原発においては15mを超える高さが観測された。第一原発は1号機から6号機まで6基の原子炉が設置されており、地震発生時は1号から3号機まで運転中。』
 これはいいですね。
『4,5,6までは定期検査中だった。地震後に運転中の1号から3号が自動スクラム、(つまり制御棒が入って止まりました)けど、地震と津波によって外部電源、及び発電所内のほぼすべての電源が失われて、原子炉が冷却できなくなった。及び使用済燃料も冷却不能に陥った。1号3号、及び4号において、炉心の損傷により大量に発生した水素が原子炉建屋に充満したことによると思われる爆発が発生した。』
 ここでは、使用済燃料が冷却できなくなって、水素が爆発したというふうにはここには触れていません。1号、3号、4号とも細かい経路は別にして、原子炉本体から出てるというふうな視点でこれは記述されております。
『また調査未了ではあるが、2号機においても炉心が損傷したと考えられる』
 ここは、ずっと以前から出てるのは、2号機に於いては格納容器も破損しているということが言われてたわけですね。その爆発点については、まだちょっといろいろ問題がありますけども、そういうことになっています。
『それから、第一原発からの放射性物質が放出・拡散し、発電所からの半径20㎞圏内の地域は、警戒区域、そして原則として立ち入りが禁止され、、半径20km圏外の一部の地域も、計画的避難区域に設定されるなどして、これまでに、11万人を超える住民が避難した。現在もなお、多くの住民が避難生活を余儀なくされるとともに、放射能汚染の問題が、広範な地域に深刻な影響を及ぼしている。』
 これ事実ですね。どんどん今も深刻な状態だと私は思います。
 陸地もそうですし、海洋のほうも汚染が広がっているというふうに見られています。
 さて、事故発生後の政府諸機関の対応の問題点という視点があります。これは本文のⅢ章の5とかⅦ章の3とか、こういうふうに書いてありまして、ここから抜き取って抜粋として書いています。
 オフサイトセンターの機能不全、これはオフサイトセンターというのは、原発が事故を起こした時に、そのプラントを対策本部として、事故対策をどこがやるか、その司令塔になるわけですね。それは保安院のほうでやるわけですけれども、そのオフサイトセンターそのものが発電所から約5㎞のところに設置されていて、今回十分に機能できなかった。つまり、オフサイトセンター自身が放射能で汚染されるという事態ですね。こうなってくると、一体事故の対策をどこで何をやったらいいかっていうのが、根底が崩れてるわけですね。オフサイトセンターのことだけ見ただけでも、本当に原発の事故に対して何か考えたかというと、極めて甘い考えしか持ってなかったということがいえるんですね。そのことをこの報告書も非常に厳しく批判しています。
 ですから、オフサイトセンターそのものが非常に近い距離によって、放射線に対する防護をしていない、つまり、オフサイトセンターの機能は発揮できなかったということを言ってるんですね。
 それから、ここのところ、本来エアフィルター、当然空調系から外から放射能が入ってきますから、閉じてちゃんとフィルターを付けて、中に放射能が入ってこないような措置を当然するべきだろうと考えるのが一般的だと思うんですけど、そんなことも何もやってないということが明らかなんですね。
 それから、現地対策本部への権限委任の問題点。
 これは原子力対策本部と現場と、現地の対策本部長との間で、本来は権限を委譲しないといろんな命令が出せないはずなんですけど、それが形式的には行われてなかったという疑いがあるというふうにここでは書かれています。『それは問題である』と言ってるんですね。
 それから、官邸内の対応。
 これは、官邸内で作るんですけど、
『実際に官邸の事故対応として意思決定を行われていたのは、主として官邸5階であった。ここには、関係閣僚のほか、原子力安全委員会委員長等が参集し、東京電力幹部も呼び出され、同席していた。』
と、こういう格好ですね。
 ここの事故対策の5階の部分と、実は地下の方ですね、その建物の地下のほうに緊急参集チームが居るわけです。そこが実質的に動いてるわけですけど、そことのコミュニケーションの問題とか、つまり事故対策に対する体制の問題が非常にまずかったんではないか、不十分でだったのではないかと、そういうことが批判されています。
 だから情報収集の問題としてもですね、
『マニュアルでは、こうした事態に対して、原子力事業者は、経済産業省の緊急時対応センターに事故情報を報告し、そこを経由して官邸に情報が伝達されることになっているけれども、今回の事故においては、このような情報の入手・伝達ルートが十分に機能しなかった。こちらは、保安院等のメンバーが参集してたんですけども、情報の入手・伝達に迅速さが欠けていると認識しながらも、東京電力が活用していたテレビ会議システムを設置することに思い至らず、職員を東京電力に派遣することもなく、積極的な情報収集活動を行わなかった。正確で最新の情報の入手は、迅速かつ的確な意思決定の前提であり、国民への情報提供という点も含め大きな課題である。』
と、そういうふうに批判しています。
 これはですね、先ほどのオフサイトセンターと同じで、つまり報告書の中でずーっと出てくるですけど、
【原子力安全・保安院は、今回の自己において、何ら寄与していない】
って言ってるんです。言ってることは、事業者に対して
「情報を出せ、早く出せ、正しく出せ」
それしかやってない。何をやったらいいか、こうすべきであるってことは、一切言ってないんです。つまり、原子力安全に対して責任あるはずの保安院は、何にも機能を果たしていない。東京電力が出してくることを、ただ「早くだせ」と情報を言ってるだけで、何にも発信もしてないわけですね。そうすると、存在価値が無いんではないか。存在価値がないというのは私の言葉になりますけども、この報告書自身はそれに近い表現をしています。
『原子力安全・保安院が全く機能していなかった』
ということを言ってます。
 それから、残された課題となってますけれども、
『原子力災害が発生した場合に、的確に事態に対応するため、原災法や原災マニュアル等が整備されている。
 しかし、今回の事故においては、既存のマニュアルや想定されていた組織が十分に機能しなかったことから、マニュアル等には定めのない福島原子力発電所事故対策統合本部が設置された。』
 これはマニュアルにないって言ってるんですね。
『なぜマニュアルどおりの災害対策が進まなかったのか、官邸の危機管理対応のどこに問題があったのか、そもそも現行の原災マニュアルが想定する原子力災害対応の在り方が現実的だったのか、といった問題点については、今後、関係者からの聴取を続け、最終報告にしたい。』
 これは、一つ重要なポイントですね。危機対策・危機管理対策に対して、どういうふうに考え、そもそもどういうふうに原子力災害対策として基本的な枠組みが、なぜこういうふうにできなかったのかというのを指摘してるんです。
 ここの福島県原子力発電所事故対策統合本部というのは、菅さんが政府として東電の中に乗り込んでいって、統合化して作るという形でやったもので、マニュアル通りではない。だけど、最初にですね、東電の側と政府の側の意思疎通がうまくいかないっていうことがあって、政府の側から乗り込んでいって統合化したんですね。それ自身は、私はある意味で危機管理に優れた対応だというふうに、私は思っています。
 ただ、そういうことが最初からマニュアル上どうなってるかっていう、そういう問題を指摘してるんですね。

 さて、事故後の対応に関する問題点。
 『1 号機のIC の作動状態の誤認』という表現があります。
 これは、細かく説明していくと、これだけでほとんど1時間終わってしまいます。
『1号機において、津波到達後間もなくして全電源を喪失し、フェイルセーフ機能によって、非常用復水器(IC)の隔離弁が全閉又はそれに近い状態になり、IC は機能不全に陥ったと考えられる。しかし、当初、IC は正常に作動しているものと誤認され、適切な現場対処(その指示)が行われなかった。その後、当直は、制御盤の状態表示灯の一部復活等を契機に、IC が正常に作動していないのではないかとの疑いを持ってIC を停止した。このこと自体は誤った判断とはいえないが、発電所対策本部への報告・相談が不十分であった。他方、発電所対策本部及び本店対策本部は、当直からの報告・相談以外にも、IC が機能不全に陥ったことに気付く機会がしばしばあったのに、これに気付かず、IC が正常に作動しているという認識を変えなかった。』
 これが非常に事故の進展を促進してしまったということを言っています。
『これは原子力事業者として、IC の機能等が十分理解されていたとは思われない。これは、原子力事業者として極めて不適切であった。IC が機能不全に陥ったことから、1 号機の冷却には一刻も早い代替注水(代替注水とは、電源等で注水ができなくなったときに、他の例えば消化系を使って入れるとかそういうこと)が必須となり、加えて注水を可能とするための減圧操作(原子炉に注水をやるには、原子炉の圧力を下げないといけない。ポンプの出力がそんなに高くないですから。それで原子炉を減圧する操作が必要になる)等が必要となった。IC の作動状況の誤認は、代替注水や格納容器ベントの実施までに時間を要し、炉心冷却の遅れを生んだ大きな要因となったと考えられる。』
と、こういう総括をしてるんですね。
 同じくそれに続いて、3号機の代替注水が不手際だとか、その種の指摘がいっぱいあります。ここに置いてはそういう可能性とか、私もその通りだと実は思っているんですが、ちょっといろいろ気をつけなきゃいけない点もあります。それは何かと言いますと・・・

 ここの今の口でいうと分かりにくいですから、図を見ていきます。
 少し話が前後するところがありますけれども、お許しください。


 先ほどICの話をしましたが、それに入る前にちょっと耐震のほう、地震の方を見ていきます。

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 今回は時間の関係がありますので、詳しい説明まではできませんけども、概要をお話しますと、もともと原子力に於ける耐震設計というのは、このように地盤、土がありましてその上に原子炉建屋があります。格納容器がこういうふうにあります。これを下からこういうふうに一つの棒において、この丸く書いてます。これがマス、質量ですね、ここのある高さにおける高さの質量、重さを入れて、ここの棒は建物全体の傍線っていいますか強さを表しています。強度。これで下に地震をいれると、これがゆさゆさ揺れるんですね。それによって、結果として出てきた、ここに発生した力をせん弾力って言って、横の力。これが変形ですけど、こういうふうに計算してデータを作ってるですね。

6
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東京電力が作成した平成23年6月17日付「福島第一原子力発電所 第2号機平成23年東北地方太平洋沖地震の観測記録を用いた原子炉建屋及び耐震安全上重要な機器・配管系の地震応答解析結果の関する報告書(概要)」
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110617x.pdf

 この時に、どこまでひずむか、横がせん断ひずみ、どれだけずれるかっていう意味です。縦が力ですね。
 そうすると、これがどんどん傾いていくんですけど、段々せん弾力が増えるに従って、ひずみも増える。どこまで変形したら壊れるかという、そういう議論なんですね。
 今回の地震によって、こういう計算をしてどのくらい出たかを計算しています。
 細かい計算はちょっと除きまして、地震についてだけちょっと確認をします。こういうことになっています。
 今回の1号機、2号機、3号機があります。見ていきますと、ちょっと見にくいんですが、こちらが観測結果です。
※この後藤さんの資料はどうやら女川原発のものでお話されています
平成23年東北地方太平洋沖地震等による原子力発電所における耐震安全性の確認に関する事業者への指示等についてより
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan026/siryo1-2.pdf
P.8女川原発

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 こちらは、設計上の基準地震動に対する加速度です。両方とも加速度。つまり、重量加速度が980ガルですから、それに対して2200と書いてあるのは、約2倍。重量加速度約2倍の慣性力だという意味です。
9 こちら(基準地震動Ssに対する最大応答加速度)が設計上の想定される加速であり、これ(観測記録)が今回計測されたものですね。そうしますと、それぞれの場所で見ていくと、こちら側(観測記録)が超えてるところが設計を超えてることになりますので、例えば東西方向で見ていくと、587、529ですね、これは超えてますね。1号機の基礎盤上は超えている。鉛直方向は燃料取扱床の5階のところは超えてますね。それから2号機の屋上も若干超えてます。南北方向のところを見ていくと、1号機の5階のところで超えています。それから、2号機の3階、ここも若干超えていますね。それから2号機の基礎盤上も超えています。だいたいそんなイメージですね。3号機も基礎盤上超えている。
 つまり、ところどころですけど超えている。
 ただし、柏崎であったように、めちゃくちゃに何倍も大きいという数字ではなかったんですね。
<36:10頃まで>

《参考資料》
P.4福島第一、第二

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※このデータは暫定値であることで使用するのを避けられたのではないかと思います。

【後半】へ続きます。

失礼します。
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