※この記事は、12月31日~ この人たちに原発を任せていていいですか・・・?(ERSSの不具合記事です)に関連しています。

20120105 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の近藤しんじさんと一緒にお伺いしていきます。
(近藤氏)よろしくお願いします。
(小出氏)近藤さん、こんばんは。よろしくお願いします。
(千葉氏)では小出さん、早速なんですけれども、毎日新聞が伝えるところによりますと、東京電力が1991年、20年前に配管が腐食して冷却用の海水が漏れて、地下の非常用の電源部屋に浸水する事故というのを起こしているんですが、その時、非常用電源が起動できない状態になっていたということが、東京電力の発表でわかったということです。
そんな事故があっても、東京電力は、地下の方が地震対策として優れていると考えたということで、非常用電源は地下に置かれ続けていて、何も対策がとられていない状態が続いていて、教訓として生かされなかったということなんですが、小出さんはどう思われますか?
(小出氏)従来の考え方でいえばそれでいいんだろうと思います。
要するに、たまたま配管が破れたから、起動できない状態になったのであって、その部屋が津波で浸水するなんてことは想定外だとしてきたわけですから、配管が破れないようにすれば、もう後は問題ないと、そういう考え方で来ていたわけです。
もちろん、そういう考え方は、現在でもそうなわけで、今は全てを津波に押し付けていますけれども、いろんな事故の原因というのは山ほどあるわけですから、どんなところのにあろうと、結局いろんな事故が起きるということだろうと私は思います。
(千葉氏)あの、本当に津波っていうのは、想定されていなかったということなんですよね?
(小出氏)もちろんそうではありません。もともと福島第一原子力発電所で想定していた以上の津波が起きていたということは、過去にもあったわけですし、そういうことは起きてほしくないという彼らの願望でそれを無視してきたということです。
(千葉氏)はぁ・・・。小出さん、しかもこの事故に関しては、非常用発電機は起動可能な状態だったと東京電力は言い続けてきてまして、当時の報告書を詳細に分析した結果として、ちょろっと今頃訂正発表ということなんですけれども、これについてはどう思われますか?
(小出氏)そんなことは山ほどあるだろうと思いますし、原子力発電所というのは、大変複雑な機械であって、日常的に山ほどのトラブルが起きているのです。それをどれだけ深刻に受け止めるかということは現場の判断にもよりますし、規制当局の判断にもよるわけですけれども、とにかく原子力発電所を動かさなければいけないということが国家の至上命令になってきたわけですから、大抵の不具合は『何でもなかったんだよ』と言って無視してしまおうとしてここまで来てしまったわけです。
(千葉氏)このニュースの中で非常に気になるのは、事故は冷却用の海水の配管の腐食して、穴が開いたのが原因だということなんですが、冷却に塩分を含む海の水を使う限り、配管の腐食っていうのは、かなり心配されることなんですよね?
(小出氏)当たり前です。ですから、いつか破れるだろうと皆思っているわけですし、破れてしまってそういうトラブルができて、非常用の発電機が動かないということになったわけですけれども、それはもう配管を取り替えれば、次はもう無いというふうに彼らは思いたかったわけですね。
(近藤氏)小出さん、このニュースを聞いてまして、やはり情報公開ということの重要性を改めて感じるんですけど、まだまだやはり原発事故、或いは原発そのものについての情報公開、小出さんからの立場で見ると、まだまだ進んでないというふうに受け取られてますか?
(小出氏)えーっと、多分できないのだろうと思います。
原子力発電所側からすれば、なるべく自分の不具合は出したくないと思っているわけですし、仮にあったとしても、それは大したことではなかったというふうに伝えたいと思うだろうと思います。そして、その現場はそういうふうに判断をしてしまうと、多分、規制当局がそれを覆すだけの証拠を集めることはできませんし、報道をする方々も、よっぽどの危機感をもってそれに肉薄しようという気概がなければ、発掘できないだろうと思います。
(近藤氏)なかなか専門家でないとわからないというね、ありますでしょうし。結局現場で大したこと無いと思うと、情報公開の対象にもならないということになってしまうんですね。
(小出氏)はい。もちろんそう来たわけですし、これからもそうですから、マスコミの皆さんがどれだけ自分たちの姿勢を貫くかということにかかってくると思います。
(千葉氏)ちょっと今のお話にも関連してくるところがあるかと思うニュースがあるんですけれども、12月31日に原発の事故を想定して、全国の原発の原子炉格納容器の圧力や温度などの運転データを集めて表示するERSS=緊急時対策支援システムというシステムに不具合があって、26時間にわたって正常に作動しないトラブルが起こったということなんですが、これが起きますと、万一の時の国の対応が遅れる可能性があったということなんですが、このERSSというシステムは、福島第一原発の事故では、電源が無くなったため動かなかったということなんですが、このニュースは小出さんはどう受け取られますか?
(小出氏)まぁ、機械ですから当たり前のことであって、時にそういう不具合が出るということは、もともとから覚悟をしておかなければいけません。
ただし、不具合が起きたということをちゃんと知らせなければいけないと思うわけですけれども、今回も黙っていたわけですね。最近になって判っているわけですし、福島第一原子力発電所の事故の時には、そのシステムが作動しなかった、実際に作動しなかったわけですし、そのことはSPEEDIという放射能がどういう方向に被曝を広げているかということのデータを公表しなかったということの言い訳に使われているわけですけれども、そういうことはきちっと逐一報告しなければいけないのですけれども、自分たちの都合の悪いことは言わないという、そういう政府なんですね。この日本の国は。
(千葉氏)あの、保安院は今回のことについて、30日、1日前にわかったので、○一日発表しなかったということで、保安院の話によりますと、
『年末で気の緩みがあったのかもしれないと反省している。発表が遅れて申し訳ない』
と謝ったということなんですが、今小出さんがおっしゃったみたいに、やっぱりちゃんと発表しなくちゃいけないという緊張感とか、そういった責任感というのが非常に欠如してるというような感じなんですかねぇ・・・?
(小出氏)はい。この期に至っても欠如してるというのが、私にとっては驚きです。
(千葉氏)そうですね。本当にそうですよね。
はい。それからですね、スタジオのほうに小出さんにいろいろ質問メールが来ておりますので、ちょっとご紹介したいと思います。
こちらは、大阪市からです。
『福島原発の後処理だけでも膨大な費用が掛かるのに加え、全原発の廃炉費用と膨大な核廃棄物を、今後何百年もお守りしなければいけない費用を考えると、果たして私たちは子供や孫に日本の未来を残してやれるのか、暗澹たる気持ちになりますが、とりあえず原発1基を廃炉にするのに、どれくらいの時間と費用がかかるのか、教えていただけませんでしょうか』
という質問です。
(小出氏)えー、わからないのです。廃炉という言葉がありますけれども、皆さん、例えば車に乗って、自動車に乗っていると思いますが、廃車ということをやりますよね。それはまぁ、自分の車が動かなくなって、物理的に壊れて動かなくなった時は廃車ですし、もう10年経った、15年乗ったから廃車にしますという手続きをすることも廃車ということがあると思いますけれども、その廃車にしてしまえば、あとは大した問題ないんですね。鉄くずにするか、分解して何かリサイクルするか、大した問題は残らないわけです。
ただ、原子力発電所の場合には、原子力発電所の運転を止めた、これからは発電をしないというふうに決めたとしても、それから先にどうしていいかわからないのです。
何十年もの時間がかかる。
或いは使用済み燃料というのは、100万年のお守りが必要だということになっているのですね。
ですから「廃炉!廃炉!」って皆さん言うけれども、廃炉というのは普通、皆さんが廃車ということとは全然違うのであって、原子炉の運転を止めた後で、それからその後始末をどうするかということが・・・想像できないような時間の長さで続くということです。
(千葉氏)100万年のコスト計算なんかできませんもんね。
(小出氏)もちろんできないのです。はい。
(千葉氏)はぁ・・・。わかりました。
小出さん、どうもありがとうございました。
【以上】


【関連記事】

東日本大震災:福島第1原発事故 1号機の非常用電源部屋、91年に浸水事故
毎日新聞 2011年12月30日 東京朝刊
 東京電力は29日、福島第1原発1号機のタービン建屋で91年10月30日に原子炉の冷却用海水が配管から漏れ、地下1階にある非常用電源の部屋が浸水していたことを明らかにした電源機能は維持されたが、原子炉は同日、停止した。当時から浸水の危険性があったにもかかわらず抜本対策は取られてこなかったことになる。
 東電によると、配管は建屋床下の地下にあり原子炉の熱を海水を通して逃がす役割を担っている。ところが、配管が腐食し中の海水が毎時20立方メートルで漏れた。海水は、扉やケーブルの貫通口などから非常用電源のある部屋にも浸水。2台のうち1台の電源の基礎部分まで冠水したが、駆動機構は無事だったという。
 東日本大震災では、津波が地上にある開口部から浸水し非常用電源や配電盤が使えなくなった。原子炉の冷却が困難となり、炉心溶融を招く一因となった。【岡田英】
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111230ddm041040046000c.html