※この記事は、12月11日 【内容起こし】石橋克彦氏講演会「『若狭原発震災』前夜の私たち」@名古屋市女性会館ホール【その②】の続きです。

<01:26:15頃~>
(石橋氏)
 それで、これは1号機。この下の記録は、さっきと同じです。南地点の地中、深さ200mの東西成分で、ここが355ガル。

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 上は1号機の基礎版、地下1階の原子炉建屋の記録で、やっぱりここで途切れてます。
 1号機の場合はですね、最大600ガルに対する最大応答加速度は489ガルというので、それに比べれば、実際観測された実測値は447ガルで収まってますけれども、この後どうなったか判らないし、とにかく揺れが長く続いたのは確かです。

 眠くならずに聞いてらっしゃった方は、何か思ったかもしれないけれど、これ、ここ355ガルじゃないか。基準地震動600ガル、200mで600ガルって言ったけど、355ガルっていうと小さいじゃないかと言うかもしれないけど、実は地震基準動というのは、さっきちょっと言いましたけど、深さは196mのところに、ツルツルの地盤を想定して、そこから上の地盤を全部無くならせて、上の建物なども全部無くならせて、上が全部空気という地盤を想定した時の揺れが600ガルなんです。
 ところが、こうやって観測された355ガルというこの記録は、本当に地中でして、その上に表層の地盤が乗っかってますよね。土が乗っかってます。その上に建屋も乗っかっています。そういう条件で観測されたものでありまして、基準地震動と比べるためには、上の土を剥ぎ取ってやって、剥ぎ取り波というのを計算しなければなりません。
 なかなか出てこなかったんですけども、私は岩波新書の『原発を終わらせる』の中で、過去の経験から、こういう記録から剥ぎ取り波を出して、基準地震動と比較すべき揺れを求めると、この値は倍くらいになることが結構あるので、これは、600ガルを超える可能性があると書きました。ちゃんと書いてありますけど、買って読んでください。
<会場笑い>
 書きましたが、実は、おととい。わかったんです。それがやっと。
 細かいですが、その地下196mで基準地震動の最大値600ガルと言ってた。だけど、このひとつ前の地震計の記録を『保安院が解析』っていうけど、やっぱ東京電力にやらせたんじゃないかと思いますが、おとといの夜の保安院の意見聴取会というのがあって、傍聴してる人はこの中身を聞いてたと思いますけど、とにかく解析してみたら、この600ガルと比較すべき揺れの最大値が、675ガルっていう結果が出たんです
 要するに、基準地震動よりも・・・だから「これ以上の地震の揺れは来ない」と言っていた600ガルを超えるものが現実に来たということで、ですから、このさっきですね、私が改定指針とか、耐震バックチェックとか信用できなくなる可能性があると言ったけど、信用できなくなっております。
 それで、これ、面白いですよね。これはね、おとといの夜の朝日.comっていうところの誰でも見られる記事ですけども、そこにこうやって関連リンクって言って、過去の関連する記事が、ずらっとあるわけですけれども、これ12月2日に東電が中間報告っていうのを出してまして、『揺れは想定内、津波は想定外』そういう報告をしたばっかりです。したばっかりだったけど、揺れも想定外だったということがあります。
 これは、更にその翌日の朝日新聞で、一つ前よりももうちょっと詳しく書いてありますけども、更に9日のでは、
東北電力女川原発も、地下8.6m、ここは地盤がいいから解放基盤表面が地下8.6mなんですが、そこで設計していた基準動580ガルに対して、636ガルが実際に揺れた。』
 東海第二という茨城県でも被災しましたけど、そこも基準地震動を現実に上回っている。
 だから、基準地震動の設定が如何に当てにならないかということが、3つの発電所で実証されたわけです。
14-2 それでさらにこの紙面では、こういう記事がくっついてて、
『非常用復水器、それから再循環系配管、そういうものが地震の揺れで壊れた可能性がある。』
そういうことを保安院が明らかにしたっていうんですね。
『配管に0.3㎝2ほどの亀裂が入った可能性がある。(揺れで。)ただし冷却機能への影響は小さいとしている。』
 だけどこれとんでもないことで、実はこれは田中三彦さんがサジェスチョンをして、こういう0.3㎝2とかあるんですけど、0.3㎝2、非常に小さな亀裂、ヘアプラグというようなものですけど、揺れでそういう損傷が起こると、高圧の蒸気がぶしゅーっと出て、何時間か経つとものすごく冷却材のレベルが下がって、もうヘタすれば炉心溶融に至るわけです。
 ということで、これはまさに地震の揺れで重大事故が起こったということは、もうほぼ確実だと私は思います。
 それで、この記事ですけどね、これはだから、大変なことなわけです。
 これは当然、朝日新聞の12月10日の一面トップに出ていい記事なんですよ。それをね、3面にこうチョコチョコッと出してるっていうのは、如何にマスメディアも・・・事実を隠ぺいするわけでもないでしょうけど、なるべく過小評価しようというふうに見えます。
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【参考記事】
福島第一で岩盤の揺れ、想定の3倍 保安院が解析
13朝日新聞社 2011年12月9日22時55分
 東日本大震災時に東京電力福島第一原発や東北電力女川原発(宮城県)の地下岩盤部で地震の揺れが、国の新しい耐震指針による想定を上回っていたことが9日、明らかになった。福島第一原発では敷地沖が震源になった場合の揺れの見積もりの約3倍だったうえに、余裕を持たせたはずの設計用の揺れも超えた。地震対策の前提となる揺れの想定が過小評価だったことを裏づけた
 経済産業省原子力安全・保安院が専門家からの意見聴取会で解析結果を明らかにした。原発の耐震設計では直下の岩盤で想定する揺れの「基準地震動」がすべての基本。上に造られる建屋や機器類が地震に耐えるかの評価に使われる。
 第一原発の基準地震動は地下196メートルで600ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)。これに対して解析では675ガルだった。基準地震動は敷地沖の震源域が複数連動すると仮想した地震(マグニチュード〈M〉7.9)などをもとに余裕を上積みしたが、仮想の地震の揺れと比べ約3倍の大きさだった
 保安院は地震の連動のさせ方を変えていれば、同じ程度の揺れを予測できたとの結果も示した。東電は、基準地震動を超える確率は1万年から100万年に1回としていた。
 女川原発でも地下8.6メートルの岩盤部で設定していた基準地震動580ガルに対し636ガルとの結果が出た。4月7日の地震(M7.2)でも、東北電は同様の地震を想定していたにもかかわらず基準地震動を上回った。プレート内で起こる地震のばらつきの考慮が甘かった疑いがある
 岩盤部での想定越えは日本原子力発電東海第二原発(茨城県)でも判明している。耐震指針は原発の耐震安全性の審査の基本で2006年に改定。各原発で想定を見直し、国も妥当と判断していた。最新の知識を盛り込み、さらに不確かさを見込んだはずだったが、不十分だったことになる
 耐震安全性は原発の再稼働の条件となっているストレステスト(耐性評価)の焦点だ。すでにテストの報告書が保安院に出された4基の原発では1.8~2.0倍の揺れで深刻な事故につながるおそれがあるとされる。前提となる想定が確かなのか、十分に吟味することが求められる。
 第一原発の事故調査でも地震の影響は注目されている。新指針に基づく再評価や耐震補強は一部しか終わっていなかった。東電は主要機器に地震が与えた影響を解析、設計上の余裕の範囲内として地震影響を否定しているが、建屋内は放射線量が高く、被害状況の把握もままならない。計算で分からないほころびがなかったか、予断を持たずに検証する必要がある。(佐々木英輔)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112090545.html


 それで、原子力安全・保安院は、あくまでも津波原因説にたって、3月30日に電力各社に津波に対する緊急安全対策を指示しましたけど、各社が対応して、電源車を新たに導入したり、それから持ち運びできるポンプとか長いホースとか、高いところに臨時の貯水槽をつけるとか、なんかそういうことをして、緊急安全対策をして、若狭湾でも「15mの津波が来ても大丈夫」とか言ってますけど、これは重大な問題が2つあります
 1つは、地震動に関する今まで言ってきた新指針とバックチェックの不備を無視しています。ですから、津波対策をすれば安全だということはありません
 新指針を抜本的に見直して、地震リスクの評価基準というものを作って、それで日本の全原発の耐震安全性を再点検する必要があります。
 2つ目の大きな問題は、大津波という大災害と福島みたいに津波をかぶって全交流電源喪失という、そういう事故を想定しなさいと3月30日に原子力安全・保安院が言ったわけですけども、これはですね、原子炉設置許可の一番の根底になっている原子炉立地審査指針というものに違反していると私は思います。抵触していると思います
 原子炉立地審査指針というのは、1964年に原子力委員会が決定したものですけども、
『原子炉はどこに設置されるにしても、原則的に次のような立地条件が必要である。』
とうたっています。それは、
『大きな事故の誘因となる事象が、過去において無かったことはもちろんであるが、将来おいてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。』

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 そういう立地条件が必要だと言ってるんですけれども、大津波・・・。その原子炉建屋がザブンとかぶるような大津波っていうのは、大災害ですよね。事故の誘因になる。
『それによって、また全交流電源喪失という事故が起こることを想定しろ』
と言ってるんだから、そういう大きな事故の誘因となる事象です。大津波自体。
 そうして、それによって、全電源喪失という事故を想定するっていうのは、要するにこの赤で書いたところに、真っ向から抵触していて、要するに原子力安全・保安院が、
『日本列島の全原発は、この立地条件を満たさない』
ということを認めたわけです。認めた上で指示を出してるわけで、これはとんでもないことだと思うわけです。
 だいたいね、大津波が来る・・・原子力発電所って、たかが発電所なわけですよ。目的は電気を作ること。だけど、非常に莫大なリスク・危険を内包している発電所。
 そのたかが電気を作るために、そういう危ないものを、大津波を来るところで頑張って運転している必要なんか・・・それは常軌を逸してると私は思うわけです。
 これはあたかも真冬の北アルプスで暴風雪・雪崩警報が出ているようなところに、60、70の私のような高齢者を「体験冬山登山ツアー」とか言ってですね、連れてくるようなもので、ちょっとほんとにふざけた話だと思います。
 さて、当然福島の事故がどういうものだったかというのは、実は本当に若狭湾とか日本の原発のことを考える上で重大だと思ったので、ちょっと詳しく説明しました。

 日本全国にこういう原発がありますが、その中の若狭湾。だけど日本全国の原発が今言ったようなことで、非常に基準地震動は過小評価だと思いますから、今後ですね、日本の全原発核燃料施設というのは、想定外の大地震に襲われて基準地震動Ssを超える揺れにみまわれる可能性というのは・・・ある。
 それで、施工不良とか老朽化ということは、非常に深刻な問題です。
 大地震の揺れに襲われるということは、アメリカなんかは一番危険だと思っているわけだけど、なぜかっていうと、多くの機器・配管類が、同時に損傷するわけですね。あちこちが。こういうのを『共通要因故障』といいますけど、原子炉の中で何か故障が起こったり事故が起こったりするのは、一応『単一要因故障』と言って、どこか1か所が故障する。それは多重防護とか多重安全装置があって、何とか食い止めるようになってるけれども、非常にあちこちがやられてしまうから、多重の安全装置が全面ダメになるということがあり得るわけです。
 それからもう一つ、続発する大余震によるダメージ、これは全く考えられていないと思いますけれど、非常に問題です。
 福島の運転員は頑張ったようですけれども・・・。

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 それから福島第一の揺れが600ガルの想定に対して675、それほどオーバーしなかったけれど、実はこれは東北地方太平洋沖地震の起こり方に非常に寄っています。
 あの地震は、皆様ニュースを見て、うすうす感づいたかもしれないけど、M9.0の超巨大地震だったけれども、津波災害は本当に大変でしたけれども、地震の揺れによる被害というのは、少なかったんですね。阪神淡路大震災なんかに比べれば、地震の揺れそのものによる家屋の倒壊、ビルの倒壊。そういうものは、ある意味非常に顕著に少なかった。それは要するにその地震波の性質、震源が沖合だったということ、足元じゃなかったということもありますけども、震源域から出てくる地震波の性質というのが、そういう建物にとって最悪ではなかったというのがあります。
 だけど、本当に直下の神戸の地震が、例えば若狭湾なんかで起こると、そういう激震動が運転員に与える身体的・精神的影響というのも無視できないかもしれないし、ヒューマンエラーなんていうことも。
 そうして、電源喪失とか制御棒挿入不能とか、核暴走になるとか、配管が破断して冷却材喪失、緊急炉心冷却装置というのがすぐ働くんだけど、それも動かないとか、炉心溶融、水蒸気爆発、水素爆発、果ては核爆発になるのも生じかねない。最悪の場合ですね。
 膨大な量の炉内放射性物質が外界への放出、気象条件によって『死の灰』が広範囲に降り注ぐ。
 だから、こういう前言ったことの繰り返しみたいになってしまいますけど、日本全国の原発でそういうリスクが残っているわけです。
 浜岡、私のタイトルが、『止まっている浜岡よりも怖い』ということで、浜岡のことをちょっと言おうかと思ったんですが、時間が心配ですから省略します。
 それで、若狭湾ですけど、さっき言ったように、日本全国の運転歴が35年を超えてる11基の原発の中、6基がありますけど、これも見にくいと思いますけど、古い、運転歴が長い順に並べてあります。運転歴が30年以上の原子炉ですね。
 一番古いのは、東海ですけど、これはもう止まっていて廃炉措置、廃炉作業が進行している。現役で一番古いのは、敦賀の1号機。このブルー系が沸騰水型原子炉。ピンクが加圧水型の原子炉です。
 敦賀が一番古くて、次が美浜。美浜は1号2号、それから3号も。3号は1976年12月1日運転開始ですから、今年の12月1日で35年になったというわけで、ここまで。
 その中に敦賀、美浜1号、3号、それから高浜1号と2号、美浜の3号と、そういうふうに入ってるわけです。
 これはいろんなことが書いてありまして、実は福島第一はですね、1号から5号まで格納容器がMark-I型という格納容器で、ドーナツみたいなものが下にある。
 あれはアメリカのGeneral Electric社=GE社というのが設計したんですが、もうアメリカでは耐震脆弱性があるということは、うんと前から定評があるのです。それが使われていて、そこは非常に問題があったということは、田中さんは書かれていますけれども、実は敦賀の1号は、福島より古いわけですから、やっぱりMark-Iです。大きな問題があります。

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 それとあと、ここに書いてあるのが、中性子照射脆化の問題がありまして、原子炉圧力容器の中で、核分裂連鎖反応が中性子が飛び交うことによって起こるわけだけど、その中性子が、原子炉圧力容器の内壁に当たるわけですね。たくさん飛び出す中性子が。
 そうすると、中性子が当たるたびに鋼鉄の材料が脆くなっていきます。
 『脆性』もろいこと。ガラスがぽきっと割れるような、そういうもろさ。粘り強さが減っていく。
 それをチェックするために試験片が入っていまして、その試験片を定期検査のときに何回かに1回か取り出して検査するんですけど、脆性遷移温度で、普通の健全なやつは氷点下とかそのくらいより温度が高ければ粘り気が強いんですね。うんと低温になると脆くなる。なんとなくわかると思いますけど。
 ??なんかでも凍らせてトンカチでかちんとやると割れたりしますが、???かもしれないけど。
 ところが、その中性子照射脆化というのが進行すると、段々その温度が上がっていって、つまりそれより温度が高ければ粘り強いという、その最低温度がどんどん上がっていっちゃうんです。
 日本で一番怖いのが、玄海1号。
 いろんないわくつきの玄海1号ですけど、98℃
17-2 普通氷点下、零度前後が普通なのに、98℃にもあがっちゃって、だからもう常温ではもう脆いわけです。
 それから何かがあって、緊急炉心冷却装置かなんかで冷たい、冷温の水が入ってきたりすると、温度差で大きな熱応力が出るんですけれども、そういう時にバリっと割れちゃう。原子炉圧力容器がね
 そういう恐れがあるんですけども。
 それで98℃で高い。
 だけど、美浜の2号。1号も高いです。2号が78℃とかですね、1号も74℃、或いは81℃とか、やっぱり脆くなってるわけです。そういう怖さもあります。
 加圧水型は、例えば蒸気発生器の砕管とか、それぞれ沸騰水型再循環ポンプが怖いとか、ウィークポイントがあるようですが、とにかく劣化・老朽化して応力腐食割れとかですね。
 美浜の2号かなんかもこの間、止まったりしました。
 結構トラブルがあって、少し漏れたりして止まったりしてるわけですから、そういうところに想定を超える揺れが来たら大変だと思います。

 それでですね、あと活断層の話。
 活断層の話もちょっとしたほうがいいんだけど、時間が無いので省略します。
 要するに活断層っていうのは、地震の本質は地下の震源断層面というもので、それを漠然と言ってるのが、震源域なんですけども、それが地表に顔を出した時に、1回1回の地震のときに地表にズレが生じるときがある、生じないこともある。
 だから、その地下の震源域全部が地表に顔を出すとは限らない。一部分だけ顔を出すことの方が多い。
 そういうことを繰り返すと、地表に活断層として認識できる大きな地形、崖とか谷がズレるとか、そういうのが生じる。
 というわけで、だから陸域の浅い地震が過去や将来に繰り返し発生しても、活断層が認められないことが少なくないとあります。
 だから活断層がなくても、大地震が起こるということは非常に大事で、それの実例が2000年の鳥取西部地震です。

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 それから、もちろん活断層があれば一層注意なんですけど、短いまま地下まで、地下の地震の震源域も短いままかというと、そんなことはなくて、地下はもっと広大かもしれないということです。
 現実に、活断層としては別々、別の名前がついていて、実際その活断層の性質が違うものが、例えば1891年の濃尾地震の時は、地下では全部繋がってというか、一挙に地震を起こしてしまったというのがあります。

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 神戸の地震もそうです。
<01:47:55頃~>
 さて、それで若狭湾ではですね、最初の方で古い活断層マップをお見せしましたけども、この耐震バックチェックのおかげで、日本原子力発電と関西電力ともんじゅを持ってるとこですね。そこの??者が合同で新たに2006年の改定指針を受けて、活断層調査をまたやりました。
 今まで知られてなかった海底の活断層なんかも随分見つかりました。
 これは、もんじゅの耐震バックチェックの時に出てきた活断層の地図ですけど、これは大飯原発でもどこでも出ていますが、たくさん増えました。

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 ただし、例えば大飯原発がここにありますけど、大飯原発の地震基準動を計算するときには、海底に新たに見20-2つかった二本の違う海底活断層、FO-A断層とFO-B断層、これを最初は別々にやってたのが、審議会で助言されたかなんか、とにかく関西電力は、これはひとつづき、両方が連動して大地震を起こすとして、長さ35㎞の震源域で、震源断層域の長さで地震を起こすとして、そしてこの地震による揺れとして700ガルという基準地震動を出しています。
 だけど、実は「それでは不十分でしょ」と思います。
 それはここに熊川断層という陸の活断層があります。これの性質がFO-A、FO-Bとよく似てるんですけども、左横ずれというずれ方が一緒ですし、関西電力は垂直・鉛直の断層面としてますけど、どっちかっていうと、この
20-3西の方にやや傾いていて、西側の地盤を持ち上げるような傾向も多少あると、そういうところも似ていまして、しかも延長上にあるわけですから、こういうのは、これを一連のものとして地震を想定して、長さが60㎞くらいとありますけど、そうすればもう700ガルなんかより遥かに強い揺れに。要するに震源が大きければ大きいほど地震の規模が大きくなって、揺れの強さも強くなるわけですから、そうすべきだ。
 それこそ原子力の安全のためには、原子力発電所の安全のためには、そうすべきです。
 そのことをしていない。
 今は、ストレステストとかいって、再稼働の前にどんどん地震の揺れとか津波を大きくしていって、どこまで耐えられるかをチェックするということをやってますけれども、それ以前にやっぱり基準地震動の策定自体を全面的に見直さなければいけない。
 つまり福島第一原発の基準地震動を超えてしまったという事実を踏まえて、日本中の全部の原発に関して、耐震バックチェックをやりなおして、基準地震動を見直さなければ。
 要するに、それが基礎体力ですから。
 ですから、今日お手元の資料に、私がこれは共同通信に頼まれて書いた原稿が、福井新聞に載ったものを付けてあります。中日新聞にも似たような記事が出ましたけれども、中日新聞は文字数を短くして削られちゃったものがあります。
 その中で私が書いてるのは、健康診断に例えて書いてますけど、要するに基礎体力の基準地震動をきちっと決めるというのは、基礎体力をきちっとすることですから、今やってること=ストレステストとは何かというと、血圧測定とか、血液検査とかそういうのはデタラメで、??計が壊れてるとか、いい加減なチェックをして、それで「大丈夫ですよ」って、本当は血圧が高かったり、中性脂肪が多かったりするんですけど、それを見過ごして見逃して。
 そして、よく人間ドックでオプションでありますけど、運動負荷心電図とかベルトの上を走ったりして運動中の心電図を撮るとか、そういう「少し高度な検査をしましょう」なんて言ってるようなものです。今のストレスチェックっていうのは。
 そうじゃなくて、まず基本的な血圧測定とか血液検査とかをきちっとやんなきゃいけない。それがまさに基準地震動なんかを見直さなきゃいけないということにつながります。
 それから、政府に地震調査研究推進本部っていうのがあって、長期予測などしてますけども、このあたりはですね、関ヶ原からずーっと甲楽城断層、さっきちょっと言った甲楽城断層、関が原や柳ヶ瀬断層帯という長いものでM8クラスの地震が起こるというそういう可能性を考えています。
 ところが電力会社は、こっちの南の方は切り去って、この北の方だけに限定してるとかですね、そういうふうにとにかく過小に過小にと、切り詰めるようにばかりしています。

 それで、もう一つとてもここで心配なのは、昔から、
『原発は活断層の上には作らないから安全だ』
と言ってました。

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21-2 このもんじゅの場合、昔言ってたのは、1990年代とかに言ってたのは、2000年頃までですかね。
『ここに甲楽城断層っていうのがあるけども、十分離れている。ここでM7.0が起こったとしても466ガルくらいの基準地震。そのくらいしか揺れないから、だから大丈夫だ』
と言ってたんですけど、今回新たな活断層が・・・まぁ、昔から指摘されていたんですけども、事業者も新たに認めたものとして、もんじゅの真下に21-3白木-丹生断層、美浜の真下にC断層。これは鉛直断面図ですね。だから、西から東に傾いていて、もんじゅの下1㎞とか美浜のした4㎞とか、これちょっと非常に正確かどうかわかりませんが、傾向としてこんな感じ。まさにもんじゅの真下、美浜の真下に断層が、活断層があるわけですけれども、これは地震学的に言ったら、『活断層の真上に原発がある』ということになるんですけど、新たな政府の定義は、
『これは真上とは言わない。真上というのは、活断層が地面に顔を出してズレてる、その真上にまたがってる時に真上というんだから、これは真上ではない』
とか言ってるわけですけれども、これはとんでもないことで、実はこういう傾いた断層で地震が起こった場合、その上盤といいますが、上盤側は強く揺21-4れるという『上盤効果』というのが地震学的に、過去数々観測されています。
1994年のノースリッジの地震とかよくあることです。
 ですから、むしろとても危険なわけです。
 こういうことだったら、もう全然とんでもないわけです。


 ところが実はこのとんでもないのがある、それが敦賀ですね。
 敦賀原発は、ずーっと長いことここに浦底断層が敷地の中を通ってます。だけどそれを日本原子力発電は、「活断層ではない」と言い張ってたんですが、3号、4号の計画で、認めざるを得なくなって、それから新しい指針のこともあって、結局認めざるを得なくなったんだけど、でも、「あまり影響はない」とか言ってます

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 もう原子炉建屋の本当に200mくらいのところを活断層が通ってる。
 さらに活断層の専門家に言わせると、ここから枝分かれしてる断層が、原子炉建屋の真下を通ってるかもしれないという、とても怖いところなわけです

 それから津波ですけど、津波が無いと非常に過小評価してますけど、我々の原発のためというわけじゃないんですけど、若狭湾の沖合に活断層があるので、そこが大きな地震を起こした時に、どういう津波が来るだろうかという研究計算をして、2006年の地震学会で発表して、それがこうした記事になっています。

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23-2 それは、このところに3本の海底活断層があります。これを電力会社なんかは、別々な地震を起こすとして、別にしてるんだけど、これは連動して起きても不思議ではないので、そこで連動して大きな地震が起きると、若狭湾岸には4m前後の津波が来るというのは、これは研究ですけど、もっとこれが大きくなるかもしれなくて、だから基本的な津波対策として2.85mって言ってますけど、もっと5m以上のものを考慮しなければいけないんじゃないかと思います。

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 今までというか3月11日、或いは2007年頃までは、私が97年以来こういう話をすると、人を脅かす荒唐無稽な大げさな話をしてると言われかねなかったんだけれども、今や改定された対戦設計審査指針に、もうはっきり『残余のリスク』っていうものがあるということがうたわれてます。
 『残余のリスク』というのは、揺れの話ですけれども、
『どんなに地震学的に大きな揺れを設定したとしても、さらにそれを超える揺れが大自然からもたらされて、それによってその施設に重大な損傷事象が発生して、施設から大量の放射性部室が放散され、或いはそれの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすリスク』
そういうリスクが存在するってはっきり書いてるわけです。

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 ですから、もうそういうことを考えなきゃいけないわけで、大飯の2号炉が大事故を起こすと、これは瀬尾さんという方がシミュレーションした結果ですけれども、これはPWR=加圧水型原子炉の事故のパターンというのがいろいろあって、それのある事故パターンを想定して気象条件を設定して、それで計算したものですけれども、もちろん気象条件、風向きによりますけど、この地元では急性死が大量に生じて、それから晩発性の、もしそこにとどまっていれば、ガンでそれぞれの方位で風下の場合、こういうところが風下の場合ということですけど、京阪神とか中京圏とか、首都圏とか、そういうところで100万人単位でですね。

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 これ例えば京阪神だと、378万人とか書いてますけど、そういう100万人単位で・・・長期的な影響が出る。逃げなければガンで亡くなる可能性が。

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 これはかなり最大級の見積もりかもしれませんが、そういうことがあります。
 福島原発震災の教訓っていろいろあると思うんですけど、私、よく思うのは、Murphy's Law=マーフィーの法則っていうのがあるんですけど、これはアメリカの空軍とかコンピュータサイエンスとかそういうところの技術者なんかが、日常経験する苦い経験ですね、ある種の哀愁を含んだ苦い経験を寄せ集めた各篇集みたいなもんですけど、例えば、家庭でいえば食器の引き出しをあけてナイフを出そうと思うと、いつもフォークばっかりが出てくるとか、だけど、考えてみればそれは可能性としてありうること。それがやっぱり起こるんだなということで。
 私は『起こる可能性があることは、いずれ必ず起こる』っていうスライドを別によく写してましたけど、今????1869年の貞観地震津波っていうのを考慮しなさいっていう話があって、東電も少しそういうシミュレーションをしたんだけど、それは考慮されなかったという話もありますけど、あれもポイントはですね、要するに
「そう言ってた人も、それがまさかこの2年以内にそんなものが来るとは思わなかった」
と思うんですね。
 それはある意味、我々人間としては、しょうがない。だけど、それじゃいけなくて、その教訓は、これはこう考えなきゃいけない。
『起こる可能性があることは、すぐにも起こる』
『いずれ起こる』じゃダメで、『すぐに起こる』。
 もちろんあらゆることをそう考えると暮らしていけないので、要するに【被害の大きい事象には、予防原則の徹底を】ということで、
『起こる可能性のあることは、すぐにも起こる』
と思う必要があると思います。

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 何しろ日本列島というのは、地球上の地震分布、これ174,581個の一つ一つの点が地震ですけど、M4以上、深さ100キロ以下の地震を???アウトした。

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 日本列島は、海岸線も見えないくらい真っ暗で、要するに1割以上の地震が集中してる。そこに赤い点で原発がプリントアウトされてますけども、日本だけですね、地震と原発がこんなに重なってるのは。
 そういうわけで、最初にちょっと紹介してくださいましたけども、日本の原発は、要するに生まれた時から、おんぶお化けか背後霊みたいに地震がくっついてるわけです。
 だから、フランスやドイツで原発を建てる、或いはアメリカで建てる。だけど、もしかしたら地震が起こるかもしれないよとか、そういう話じゃなくて、もうこうやってくっついてるわけです。

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 だからやっぱり私はこういうのには退場していただいた方がいいのかなと思います。
 要するに、基本的なことがありますけれども、原発が安全性はこれ、誰でも思いますよね、絶対安全じゃないと困るわけです。
 新幹線よりも飛行機よりも、もっと安全じゃないと困る。
 ところが実は原発っていうのは、完成された技術じゃない。一旦人間のコントロールを離れると、核暴走みたいなことが起こると中で何が起こってんだかわからない。とにかく見ることもできないわけです。
 それで、一方地震というのは、原子力の人は地震を結構判ったような顔をして、マニュアル化して単純なマニュアルにして耐震設計をしてるんだけれども、地震研究者から言わせると、地震というのはわからないことが・・・。ここですね。
『地震現象に関する理解はまだ極めて不十分で』
そうして、地震の立場に立って言えばですね、私はどっちかっていうと、地震の気持ちがわかるというか、地震の側から言うわけですけど、【本気を出せば本当に怖い。】
 というわけです。
 今まで1995年から2007年くらいまでは、あんまり日本列島の地震は本気を出してこなかった。だけど2007年くらいから本気を出してきてるわけで。
 一方、安全というものには、『コントロールされている安全』と『本質的な安全』というのがあるんだと思います。
 これは安全論でいう、『制御されている安全』と『本質的な安全』というのは、ちょっと工学部では違うのかもしれませんが、私の考えでは、例えば飛行機、ジェット力がある。これは高度にコントロールされた安全が保たれている。だけど、やっぱり事故が起こるときは起こるし、落ちるときは落ちて亡くなる人も居る。
 それが絶対嫌ならば、あんな重いもの空を飛ばさなきゃいいわけで、いくら物理学の原理に則って言ったって、エンジンが止まれば重いものは重力に従って落ちるわけだから、要するに「飛ばない、飛ばさない、乗らない」が『本質的な安全』なわけです。
 そういう、だけども飛行機の場合はやっぱり利便性があるし、それとこういうこと言うと事故で亡くなった方のご家族や関係者には悪いけれども、事故が起こったら、飛行機事故の場合は、乗員・乗客と事故現場周辺の人だけですよね。

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 だけど、原発っていうのは、そうじゃないわけで、事故を起こせば、もうものすごい広範囲に影響があるわけですから、やっぱり『本質的な安全』を追求しなきゃいけなくて、そして地震列島の『本質的は安全』というのは、【存在しないこと】だと思います。
 ちょっとこれ、説明を省略しますけど、最後のところだけ。
 非常に多くの人がですね、皆さんも言うかもしれないけど、
『安全性を十分確認した上で、原発は少しはなきゃ電気が困るから。少しくらい再稼働、しょうがないだろう。だけど、くれぐれも安全性を十分確認してください』
と、いうわけです。
 だけど、安全性を十分確認できないです。
 日本地震列島の原発は。
 いつどこで大地震が起こるかわからない。それがどれほど凄まじいかということも、地震学でもまだわからないので、この言葉『安全性を十分確認して』という言葉は非常に虚しい・・・。呪文にすぎないと私は思います。

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 だけど、例えば敦賀の市長さんなんかはですね、やっぱり
「原発は地域産業だ」
ってどこかに書いてありますね。
「ほかの都市でも工場が無くなったら、別の工場を誘致してくるでしょう。私たちは原発という地域産業を誘致している」
とか言ってますけど、これいろいろご苦労はあるんだと思いますけど、そういうものとは違うということを、やっぱり認識する必要がある。
 敦賀だって事故が起これば、?????。

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 一方で、希望を持てるのは、東海村の村長さんは、
「原子力による繁栄は、一炊の夢だった」
と、おっしゃっていて、これは朝日新聞の10月26日に出てますけど、こういう地方も出てきてますので、この辺はだから、市民一人一人が考えることではあります。

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 それでこれは最後に、3月11日の前からときど講演では見せてたんだけれども、要するに、電気漬けの生活っていうのに我々はすごく慣れちゃって、
「電気をいっぱい使うのが文明だ、文化的だ」
と思っていて、これはあくまでも象徴ですけど、トイレ行くとこういうのがありますよね、これは非常に小型のもので倹しい小さい事業所向けでしょうし、今は技術も進んで省エネも進んでるから、これ自体そんなに電気かかんないのかもしれないけど、私は象徴的な意味でこれを前から見せてるんだけど、こんなの必要ないわけですよ。ちゃんと皆がタオル持ってればね。手を洗ってタオルかハンカチか持ってれば。

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 私は汗っかきで、いつもハンドタオルを持ってて、それ使ってますけど、こういうの必要ないってずっと思ってました。
 ただこの辺になると、個人の価値観が入るから、やっぱりこういうのがあると非常にモダンで、清潔でいいという人が居るかもしれないけど。
 だけど現状はどうかというと、これが最後のスライドです。
 これは日本地震学会2011年秋季大会が10月に静岡で開かれました。静岡県コンベンションアーツセンター、グランシップというすごい立派なビルがあるわけですけど、そこのトイレの写真です。
 そこに、これ。
 温風乾燥機です。
 それで、『節電中ですので使用できません。』

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 「そんなの当たり前だろう」と思ったわけですけれども、こういうことから考えなおして、もちろん電気を一番使うのは製造業で、中小企業なんかも困ってるでしょうし、???とかいろんなことがあるわけですから、あんまりね、退行生活がいいとかそういうわけじゃないけど、とにかく我々の暮らし方そのものを考え直しながら、地震と原発の問題を一人一人考えていく必要があるだろうと思います。
 これで、名古屋の土地でこういう光景が絶対に見られない・・・と、希望したいと思います。

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【以下、質疑応答ですが、割愛させていただきます。】

失礼します。
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【関連動画追記】
20111211 大震災発掘(1)埋もれた警告(前)
http://www.dailymotion.com/video/xmx3ps_20111211-yyyyy-y-yyyyyy-y_news
20111211 大震災発掘(1)埋もれた警告(後)
http://www.dailymotion.com/video/xmx3w7_20111211-yyyyy-y-yyyyyy-y_news
NHK ETV特集「シリーズ大震災発掘」の第一回。
震災後、日本の国土の地底に眠る大震災の痕跡を探る学問が注目を集めている。しかし、こうした学問に携わる多くの学者たちが、今回の大震災のはるか以前から今回のような大災害を警告していた。
番組では「津波堆積物」の調査から過去の巨大津波の存在をつきとめ、危険性を訴えた研究者たちや、過去の地震の痕跡から強い地震への警告を発していた研究者たちの声などから、どうすれば、最新の研究成果を防災に生かすことができるのかを考えてゆく。