※関連記事として、6月24日~チェルノブイリ事故の際 スウェーデンはどう動いたか~@FM797京都を是非ご覧になってみてください。

20111207 [1/2]たね蒔き「農政学者が見たチェルノブイリの現実」


20111207 [2/2]たね蒔き「農政学者が見たチェルノブイリの現実」


【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

特集です。
今日のテーマは、『農政学者が見たチェルノブイリの現実』です。
近藤さん、今福島で農業をやってらっしゃる方が、如何に大変なことになってるかということはね、私らも想像をある程度はできるわけですけれども、そういう皆さんと一緒に農業の経営を研究して戦っていらっしゃる学者も現場にはいらっしゃるんですよね。
今日は、そんなお1人、福島大学準教授、小山良太さんとお電話をつながせていただきます。
小山先生さんはですね、農業の経営ということを福島でずっと研究なさってるわけですけど、地元の農家の方たちとお話なさることも、もちろんいろいろおありやと思うんですね。
3月11日以降、どういう声を、今聞いていらっしゃいますか?
(小山氏)今回、3月11日、12日から原子力災害にみまわれてるわけですけれども、農地の汚染マップだとか、安全検査っていうのは、穴だらけの安全検査なんですけれども。

穴だらけだと?
(小山氏)そうですね。サンプル検査だとずっと続けてるんで、なんとか復興・復旧に向けてって頑張ってるんですけど、毎月のように暫定規制値を超えるような品目が・・・発表されて、実際そういうものが出ているようなところで、農業を続けているということなので、やっぱりきっちりと汚染マップを作ってですね、作付け可能なところと、難しいところっていうのを区分するっていうのを切に望んでいます。

なるほど。農家の方で自ら命を絶たれた方もいらしたわけですし。土地を離れざるを得ないという方もいらっしゃるんでしょう?
(小山氏)そうですね。結局今後の目途がきっちり立てば、例えば他の近郊の町に移って農業やるだとかですね、いろんな選択もできるんですけど、何の方向性も、まぁ、除染するとしか言ってないので、そういう中ですごく困惑している状態が続いています。

小山さんは、この秋にですね、福島の様々な方達30人ほどで、チェルノブイリに調査に行かれたと聞いてますけれど。
(小山氏)はい。チェルノブイリ原発事故があったウクライナとベラルーシに調査に行きました。

事故があって25年経つわけですけど、どんな思いで現地を訪れはりましたですか?
(小山氏)やっぱ具体的に25年かけて、どこまで復興できるのか?それから、食品の安全検査だとか、農業だとかっていうのはどうやってできるのか?っていうのは、文献等ではあるんですけど、実際に現地の農家の方とか流通されてる方とかにお話を聞いてみたいということで参加しました。

現地の方々の生活ぶり、ご覧になっていろんな発見があったと思いますけども、具体的にどんなことでしたでしょう?
(小山氏)やっぱり1番は『除染をウクライナもベラルーシもしてない』ということなんですよね。

えぇー!除染をしていない!?
(小山氏)そうですね。農地だとか森林っていうのは一回も除染してないということで・・・

農地や森林、一回も除染してない?そんなん、あかんやないですか・・・、と思いますが・・・。
(小山氏)えーっとですね、放射能の汚染の度合いが高い地域、例えばプルトニウムとかストロンチウムで汚染されてるところは、立ち入り禁止ゾーンということで、ベラルーシは78万ヘクタールが立ち入り禁止となってます
78万ヘクタールということで・・・

どれくらい広いんですか?それ。
(小山氏)日本の農地だと大体17%くらい占めるので・・・

えぇ!?
(小山氏)そうですね・・・、もう・・・

日本の農地全体の2割弱!?
(小山氏)そうですね。汚染度合いが日本と向こうは違うっていうのはあるんですけど、だから、難しいところは確定してしまって、そうじゃないところは除染せずに、農産物の吸収しないような農業のやり方っていうのを考えるっていうのが、現地の取り組みでしたね。

(近藤氏)これ、小山さん、土地は誰のものなんですか?
(小山氏)こっちは旧社会主義国なので、そもそも国有地なんですよね。家屋も含めてですね、自由財産が無いので、例えば農地移転させるとか、避難させるときに賠償の問題がないんですよ。ウクライナとベラルーシの場合は。
ここがやっぱり日本と大きく違うと思うんですけど。

(近藤氏)そこと除染せずというのは、何か関係がありますか?
(小山氏)除染せずっていうのは、基本的にやっぱりコストが相当かかる、面積も広いですから。除染をして、そもそも濃度が高いところっていうのは除染しないで、国立公園ンしてるわけですけど、まぁ隔離してしまうと。
濃度が中程度のところは、簡単に言うと、食用以外の農産物を植えると。濃度が引くところは、工夫をして土壌改良とかですね、できるだけ農産物に移行しないような農業のやり方をやるということで、作物を何をやるかというのを国の方でかなり体系立てて農家に対して情報提供するっていうやり方をしています

(近藤氏)除染そのものの有効性に疑問を抱いているとかそういうことは無いんですか?
(小山氏)除染そのものの有効性も、例えば農地に関しては、除染してしまうと、向こうは表土も薄いので、除染してしまうと農地として使えない。日本とは条件が違う部分もあるのと、結局除染した後っていうのは、単なる大地になってしまうということで、そういうのもあって、除染せずに移行率を下げるような農業のあり方をずっとやってきたということです。

つまりあれですね、除染をしたからといって、どんなにお金をつぎこんでも、人が食べるための農作物が作れるかというと、ココは難しいということで、そこは『諦めた』ということですね?
(小山氏)あの、濃度が高いところはですね。
そういう意味でも、きっちり核種ごとの汚染マップを全域で国が作って、ゾーニングをまずするっていうのが大前提ですね。

ゾーニングっていうのは、小さいエリアで「ここは何を作っていい、ここは何を作っちゃダメ」っていうのを区分けをしていくってことですか?
(小山氏)そうですね。まず、
  大きいのは居住もできない、
  次は居住もできる、
  居住できるところで農業をやっていい、
  やっていい場合は食用の農産物はダメだよ、
  食用の農産物を作っていいよ
と、こういう向こうでパスポートって言ってたんですけど、4年ごとに農地で何を作っていいかっていうのを更新していくっていう、そういう認証制度を作ってました。

(近藤氏)それはかなり状況が違うというのはよく判ったんですけれども、それでも福島にこういうシステムは導入したほうがいいっていうのは、あるわけでしょ?
(小山氏)やっぱこの農地で何を作付けしていいか。
土壌分析、放射性物質も含めてですね、農地1枚ずつの汚染マップ、作付けマップというのを作る必要があると思います。
これが無いから、同じ水田でも例えば500ベクレル超える田んぼの隣では、もう10ベクレルくらいっていうのも、実際福島ではありますので、今みたいにできたものを検査するというのではなくて、作る前に検査するっていう体制を作っておくと、かなり食品検査の精度が上がると思います。同じサンプルでも。

今はね、どうしても同心円的な考え方がまだまだありますが、そういうもんじゃなくて、この畑、そして隣の畑って、もっと小さい単位で考えなあかんわけですよね?
(小山氏)そうですね。実際汚染度合いも、田んぼ一枚ずつ違いますし、移行する、要するに地質だとか、水田への水の入り方だとか、山に囲まれてるかによって、米に移行する割合が全然違うんですよね。

そんなに違うんですか?
(小山氏)今回も500を超えたのっていうのは、土壌分析すると2000ベクレルとかそんな高くないところでも超えてるし、一方で5000ベクレルくらいの汚染度のところでも、米には20ベクレルくらいしか移行してないとか、もう農地ごとで全然違うので、やっぱりそういうデータベースを作る必要があると思いますね。

近藤さん、これ、細かく作ろうと思ったら、変な話ですけど、だいぶお金が要るんじゃないんですか?
(近藤氏)要るんだけど、結局やっぱり細かく対応していくことしか、農産地っていうのは生き延びる手立てがないっちゅうことですよね。
(小山氏)そうですね。だからまず大きく網かけるというときは、例えば作付けがもう難しいとかですね、そういうのも空間線量でもかなり高く出てますし、その代表的なところを土壌分析するっていうことで、大きなゾーニングはできると思います。
作付け可能なところは、地域の住民で、福島ではいくつかの地域でやってるんですけど、田んぼ一枚ずつ、まず空間線量を測ってみる。それから放射性物質を吸いやすい農地っていうのは、山に囲まれてたり、川の水が直接入るとかですね、大体場所が判ってきてるので。
あと、地質も砂地だと吸いやすいとかですね、そういうところを地域の中でマップに落としていく、そういうとこを中心的にサンプル検査するというのが、現実的には合理的なんじゃないかなと思っています。

<②開始>
(近藤氏)それはチェルノブイリで照らし合わせた時に、相当意味があると言えます?
(小山氏)そうですね。ベラルーシなんかだと、農地1枚ずつの汚染マップを作って、例えばちょっとセシウムを吸いやすい農地があれば、そこは食用以外の農産物、例えば??専門の小麦を植えるとか、加工の過程でセシウムを減らすことができますので・・・

へぇーーー!
(小山氏)あるいはバイオディーゼル、車とかトラクター用の油を搾るためにナタネを植えるだとか、口に入らないようなものにするとか、或いは、花っていう方法もありますよね。
だから、やっぱり測ればそれに合わせて何を作付けするかっていう・・・
(近藤氏)答えがね、出てくるという・・・。
(小山氏)現状は自由に作らせて、結果だけ測って高いっていって話になって・・・

日本は今そうですよね・・・?
(小山氏)そうするとやっぱりサンプルから漏れるものっていうのは、こうやって毎月出てきちゃうわけですよね。

すいません、今のお話で、今の日本のやり方だとね、農産物が完成してから測って、ここはこんなん出ましたとなると、何とか地区っていって、その地区全部がもうちょっと基準値を超えているようなイメージを持ってしまいますよね?
そういうやり方自体が・・・。実際はそうじゃないわけですもんね?
(小山氏)そうですね。やっぱり山に近いところだとか、棚田になってるとこの一番上の田んぼとか、やっぱ特徴はいくつかあるので、地域っていうよりは、農地一枚ずつっていうほうが問題を解決するには近いと思いますね。

それは福島県や国、或いは東電もですけど、そういう今の小山さんのようなお考えに影響を受けて、方針を変えるというような動きはありそうですか?
(小山氏)うーーーん・・・。現段階では、その農地で汚染マップ作るというのは、方針としては出てない。やるとしたら、もう国が何らかの土壌分析だとかセンターをですね、汚染地域に作る必要があるんだと思いますね。
ベラルーシもウクライナも汚染地域に検査機関、それから技術???普及関係と言うのも含めて、そういう体制をやっぱ作ってやってるので。はい。

なんか小学校のような学校がベースになって、住民の皆さんで自分たちでいろんな被曝量を測ったりとかしてらっしゃるんですってね?
(小山氏)え、それはウクライナ・ベラルーシの話ですか?

はい。
(小山氏)そうですね。小学校単位でベクレルモニターということで、食品の汚染度を測る機械っていうのが設置されてまして、その放射能教育も含めてですね、地域の住民が検査できる体制っていうのを整備してますね。

(近藤氏)一見除染せずなんて聞くと、実に大陸風土やなっていう気がするんですけど、やってることは細かいんですね?
(小山氏)やってることは細かいですね。
実際に国の安全検査で基準値を超えるような農産物は、ほとんど出なくなってるので、やっぱり入口の段階で農地をきっちり利用の制限をする。出口でもきっちり検査するっていう。
最終的な消費地でも検査できるっていう、何重にも体制作ってるので。
今はもう出荷の時しか日本はやってませんから。
まぁ今年は初年度だったので、なかなか対応が難しかったのかもしれませんが、今後も続く話ですから、うーん、どこかでやっぱり農地の汚染マップとゾーニングを考える必要があると思います。

(近藤氏)小山さんのこういうお話っていうのは、例えば日本の農水省なんかは理解してるんですか?
(小山氏)いや、これはもうウクライナ・ベラルーシの汚染マップ等については、今回我々行ったときも言ってましたけど、何人もやっぱりあっちに来てるということなんで、このやり方については理解してると思います。

そしたら早くやってくれたらいいのにね!方針だけでもまず言ってくれたら、だいぶ福島の農家の皆さんのお気持ちも変わってくるじゃないですか?
(小山氏)ただ、例えば米が作れないならね、違う放射性物質を吸いづらい品目もありますので、そっちに替えたりとか、そのためにも土壌がどのくらい汚染されてるのか知りたいというのが、農家のほぼ共通する要望ですね

そうですね。
一般の住宅での除染については、どうなんですか?
(小山氏)これはウクライナ・ベラルーシについては、やっぱり住宅については一部除染してます。
だけど、日本とはやっぱり違っていて、基本的に住宅を全部壊して、その場所に埋めるというのが向こうの除染の考え方です。

えぇ!!
日本やったら高圧洗浄水でシャーっとやってらっしゃるけど、住宅を壊して地中に埋めるんですか!あちらは!
(小山氏)そうですね。

なるほど。
(小山氏)高圧洗浄機でやると結局流された放射性物質は、どこかに流れていくわけですよね。それをやっぱり防ぐために、その場所に穴をほって埋めてしまう。その上にもう一度新たに建てるという方法ですね。

そのお金はどうしはるんですか?
(小山氏)これはウクライナ・ベラルーシは旧社会主義国なんで、家屋も自由財産じゃないですから、国の方で建て直すという形ですね。
場合によっては、別のアパートに移るっていう方法もとってたみたいです。
そこが日本とはやっぱり大きく違うんですけど・・・

そうですねーーー・・・。
ただ、先ほどの農業のお話でいいますと、今農産物となって完成してから、これは出荷するかしないかっていう話になるとね、どうしても『風評被害』っていう言葉が出てくるわけですよ。
私ら消費者は、どちらかというと福島の農産物を消費する側ですけれど、なんか、消費するのが嫌だというと、なんか福島の方に悪いような気もするし、でも怖いものは怖いしって。
ものすごくあんまりいい関係ができてないと思うんですよ。生産する人と消費者の間に。
(小山氏)いやー、ほんとですね。
『風評被害』っていうと、加害者は消費者になっちゃうんですよね。

そうなんですよ。私!消費者がなんか加害してるような感覚に、今させられているんですよ。
(小山氏)それはほんと大きな間違いで、消費者もやっぱり被害者だし、生産者の濃かも被害者だし、今回の原子力災害の加害者とは全く別に居るわけですから、『風評被害』って言葉を使っちゃうと、『消費者vs農家の対立』っていう形に歪曲化されてしまうので、やっぱりこれは、もう情報被害者で、結局こういう状態になってるのは、やっぱり安全検査の体制が不備がある。
そこに大きな問題があるので、解決するためには、検査体制を変えるしかないと思います。

そうか。今日伺ったら、やっぱり近藤さん?作物出来てから検査したら遅いんですね!
(近藤氏)まぁ、そうですね。
(小山氏)今年はもう3月の事故で4月にガーッと作付けさせてしまったので、あそこで本来はね、ちゃんと検査してから、土壌もですね、やるべきだったと思いますけど、来年に向けてはまだ時間ありますから、今やっぱり福島県ではそういう対策を、今自主的にやってる段階で、本来はもう国の方で汚染マップを。
今年度だけの話じゃないんで、今後もウクライナ・ベラルーシは25年経っても、今でもやってるわけですから、長い目で見れば、今やったほうが全体のコストは安いんだと思うんですけどね。

はい。今日はどうもありがとうございました。
福島大学準教授、小山良太先生でした。
【以上】

失礼します。
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