東日本大震災:福島第1原発事故 自宅滞在も賠償 原発紛争審方針、自主避難と同額
毎日新聞 2011年11月26日 東京朝刊
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久・学習院大教授)は25日、東京電力福島第1原発事故後に国が避難指示を出した区域以外に住んでいて避難した人(自主避難者)と、同じ状況にありながら避難せず自宅にとどまった人(滞在者)に、同額の賠償を認める方針を決めたこれまでの議論では、自主避難に関する賠償の対象は「事故後1カ月程度の間に避難した人」に限定していたが、被ばくへの恐怖や不安といった精神的苦痛は、避難の時期や避難の有無では判断できないとして、対象を広げた
 文科省によると、賠償の対象は原則として福島県内在住者だが、どの自治体の住民を対象にするかや、賠償期間、金額については12月6日に予定される次回会合で議論し、早ければ同日、指針としてまとめる見通し。
 25日の会合では、自主避難者と滞在者の賠償金に差をつけるかについて、避難すれば出費が増える一方、自宅にとどまることによる費用や不安の増大も看過できないため、「同額が適当」との考えで一致した。避難者だけに発生する移動費用は、個別の賠償請求で対応する。また、子供と妊婦は放射線の影響が大きいとされることを踏まえ、賠償金額を加算することも決めた。

 福島県の人口は約205万人(08年)。このうち自主避難者は5万327人(9月22日現在)と推定され、うち2万6776人が県外にいるという。【野田武、西川拓】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111126ddm001040025000c.html


福島原発、自主避難賠償は実費で 指定区域外の住民訴え
2011/12/05 18:13 【共同通信】
 東電福島第1原発事故で、国が指定した区域外から福島県外に自主避難した住民が5日、東京都内で記者会見し、自主避難者に対する賠償は引っ越し代や離散家族の交通費など実費とするよう訴えた
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会のこれまでの議論では「見舞金程度の低額支給にとどまる恐れがある」と懸念。支援団体とともに約2600人分の署名を審査会事務局などに提出した。
福島市からさいたま市へ、小学生の子ども2人と避難した主婦(41)は「福島に残った夫と二重生活。お金の余裕はなかったけど、子どもを守りたい一心」。夫が子どもに会いに来る費用など賠償してほしいと訴えた。
http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011120501001750.html


原発賠償:1人8万円、子供・妊婦は40万円…原賠審指針
毎日新聞 2011年12月6日 21時27分(最終更新 12月7日 3時46分)
 ◇避難指示区域外23市町村が対象
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久・学習院大教授)は6日、東京電力福島第1原発事故後に政府が避難指示を出した区域以外の福島県内の被災者に対し、対象地域23市町村から避難した人(自主避難者)と自宅にとどまった人(滞在者)に一律8万円の賠償を認めるとする指針をまとめた。放射線の影響が大きいとされる子供(18歳以下)と妊婦は、年末までの精神的苦痛を考慮し、賠償額を40万円とした。来年1月以降の賠償は必要に応じてさらに検討する。
 賠償対象となる対象地域の人口は、県人口の4分の3に当たる約150万人。このうち妊婦と子供は約30万人で、賠償規模は約2160億円に上る
 対象地域の選定は、放射線量のほか、原発からの距離、実際に避難した人の数などを参考に決めた。能見会長は「低放射線量でも長期間浴びるとそれなりに健康被害が生じる可能性があるという意味での不安がある地域」と説明した。一方、県南地域の白河市や、会津地域の会津若松市など26市町村は対象外となった。対象地域外からの3月15日時点の自主避難者は1164人
 8万円という賠償金額については、3月15日~4月22日に政府が屋内退避指示を出した、原発から20~30キロ圏内の住民への賠償額を、8月にまとめた中間指針で「1人10万円」としたことを踏まえた。妊婦と子供の40万円は、過去の損害賠償請求の慰謝料に関する判例を参考に「20万~50万円」の間で検討した。どの時点で妊婦だった人が対象かなど具体的な定義について文科省は「指針を基に東電が決める賠償基準の中で考慮される」としている。
 「警戒区域」「計画的避難区域」などに家があり、今回決めた対象地域内に避難した妊婦や子供については、半額の20万円を目安としつつ、滞在期間に応じた金額とすることにした。
 自主避難者と滞在者の賠償金額について指針は、引っ越しなど避難にかかった実費は賠償すべき損害になるとしながらも、避難しなかったことで感じた放射線被ばくへの恐怖や不安を考慮し「精神的損害と生活費の増加費用等を一括して一定額を算定する」として同額にした。実費を認めた場合、費用の計算や自主避難の開始時期を特定するのに時間がかかり、賠償の支払いが滞るのを避ける狙いもある能見会長は会合後「恐らくもっと(費用が)かかっている方はおられ、不満があるのは当然と思うが、共通して賠償を認めても問題なさそうな金額として算定した」と説明した。【野田武】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111207k0000m040039000c.html


評価、不満 真っ二つ 自主避難の賠償指針 
福島民報(2011/12/07 10:40)
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が6日に決定した東京電力福島第一原発事故の新たな賠償指針に対する住民や自主避難者の反応は複雑だ。避難区域以外の23市町村が対象となったことを歓迎する一方、対象外となった白河市や会津地方などの住民は「県民全員が被害者なのに…」と憤った。「むしろ除染を進めてほしい」との声も。賠償額の根拠に疑問を投げ掛ける人もいた
■不安は残る
 二本松市の会社役員安斎淳さん(35)は10月から、5歳、3歳、1歳の子ども3人と妻を秋田県にある妻の実家に避難させた。原発事故後、外では子どもを遊ばせなかった。家族と離れるのは嫌だったが、子どもの将来を守るため苦渋の決断だった。それでも、自分が賠償対象になるとは思っていなかったという。「中通りまで賠償してもらえるのはありがたい」と素直に喜ぶ。
 相馬市の水産加工業小野芳征さん(51)も今回の決定を好意的に受け止める。「事故直後はガソリンや食料が手に入らず、誰もが被害を受けた」と語った。
 賠償の範囲を広げることに慎重な見方もある。比較的放射線量が低い石川町の農業小湊保さん(80)は「賠償を受けるのは申し訳ない気持ち」とポツリ。生活に大きな変化はなく「ここより線量の高い地域への賠償に力を入れるべきでは。東電や国の財政を考えると、収まりがつかなくならないか」と懸念する。
 一方、中学1年生と3年生の息子を持つ郡山市の会社員平田美紀さん(40)は「心配なのは生活費などではなく、子どもたちのこれから。放射線量がゼロに近づくよう除染対策にお金を使うのが先」と指摘する。福島市渡利の会社役員男性の自宅周辺は放射線量が比較的高く、毎日線量計で測っている。「賠償ではなくむしろ除染してほしい」と求める。
 川俣町の自営業八巻大さん(36)も「一時的なばらまきより、税金の優遇措置を講じてほしい」と注文した。
 田村市船引町の写真店経営柳沼信太郎さん(54)は、1月以降の賠償方針が明確に示されなかったことに疑念を抱いている。「原発事故が収束しない限り放射能の不安は残る。今回の賠償で幕引きとするつもりなら、もらわないほうがいい」とくぎを刺した。
■全域を対象に
 賠償の対象地域にならなかった市町村の住民からは、不満の声が相次いだ。白河市はPTAや町内会などが学校敷地や通学路の除染活動を繰り広げるなど、多くの住民が放射線への危機感を持つ。同市の中学校PTA会長(49)は「もう白河では子どもを育てられないと、県外に避難した家族は少なくない。審査会は一体何を見ているのか」と憤る。
 矢祭町の会社役員宗田浩一さん(39)の妻は原発事故当時、妊娠中で、放射線の影響を心配し震災直後から8月まで子ども3人と生まれ故郷の大阪に避難した。「二重生活で家計の負担は大きかった。対象地域外でも苦しんでいる人は多い」と首をかしげた。
 無職大竹きよ子さん(63)が住む会津若松市は福島第一原発から100キロ圏。それでも食べ物をはじめ放射線への不安は尽きない。「精神的苦痛を距離で線引きできるのか」と審査会の方針に疑問を抱く。
■実態に合わせて
 賠償対象に含まれることになった自主避難者は安堵(あんど)の一方、一律の賠償額に疑問を投げ掛ける。福島市渡利から仙台市の民間マンションで夫と子どもと3人で暮らす主婦中村香さん(29)は長野県、神奈川県と避難先を変え、3カ所目となる。「数十万円かかった引っ越し代くらいは賠償してほしかったので良かった」とほっとした様子。
 いわき市から家族4人で東京都に自主避難している女性(52)は「賠償はあてにしていなかったので対象になったことはありがたい」と評価した。
 福島市南沢又から山形県米沢市に妻と自主避難する無職男性(70)は福島市の持ち家の手入れのために米沢市を行き来する二重生活を送る。「一律の金額では本当の賠償とはいえない。避難者の生活の実態に合った賠償額を設定すべき」と不満を漏らした。

※背景
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は東京電力福島第一原発事故の賠償範囲の指針や紛争の当事者による自主的な解決のための一般的な指針を策定する。8月には政府指示による避難などへの賠償方針を打ち出した中間指針を決定した。自主避難をめぐっては判断を先送りし、対象となる市町村や期間、賠償金額などが課題となっていた。
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9913316&newsMode=article

冷静に見ても、賠償はこんなものでは済まないと思います。
ひと月あたり8000円、妊婦さんと18歳以下のお子さんには4万円となりますが、そんなものでは済まないはずかと・・・。
時間が経つにつれて、金額も減っていくような気がしています。

これは本当に根が深く、解決できる日がくるイメージすることなどとてもできません・・・。

失礼します。
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