※この記事は、11月13日 【内容起こし】木村真三氏+河田昌東氏の講演会「放射能汚染時代を生き抜くために~チェルノブイリから福島へ~」【その②】の続きです。
11月15日 【動画あり】第2回低線量被曝リスクについての作業部会【木村真三氏、避難基準:5mSv/年を提案】に関連しています。

<②スタート>【質疑部分】※質問を黒太字にしています。
(木村氏)それでは、河田先生と一緒に二人で、駆け引きじゃなくて、掛け合いで<笑い>、掛け合いしながら、漫才のようにしてきたいと思います。じゃぁ、先生、どうぞ。
(河田氏)えー、なんか漫才をしろということで、ちょっと緊張しておりますけれども、普段、漫才あんまりやらないので。
 とりあえずですね、二人に様々な質問がたくさん来てます。
 交互に進めていきたいと思います。
 まずそれでは、初めは私から。これはまぁおひとりの方からですけれども、
『チェルノブイリハート』という映画についてのご質問というか、ご意見ですね。
「これを見て、いろいろなことを考えれた」という感想なんですけれども・・・。
 あの・・・、私も見ました。
 ただ、率直に言ってですね、私は福島のお母さんたちには見せたくない、そんなふうに思いました。あまりにもショッキング。つまり、放射能についていろんな病気が出るのは確かなんですけれども、あたかもそれが先天異常ばっかり取り上げてますね。非常にショッキングに描いてるわけですけれども、これは必ずしも放射能の影響を正しく伝えてないというふうに思います。
 もちろん、ベラルーシなんかでは先天異常で生まれていて、時間が無いから申し上げませんけど、原因もあるわけですけれども、やはりもう少し、なんて言うんですかね、冷静な、科学的な判断で現地の人が対処できるようにした方がいいかと思います。
 それじゃ、どうぞ。
(木村氏)ついでに僕も一言。
 僕ら放射線生物学というか、生物学をやっていると、他の先生もそうなんですが、遺伝学をやりますよね?放射線遺伝学から考えると、その遺伝的な影響というのは、数十世代後に出てくるんですね。それは、いきなり直接影響が出るというのは、かなりの放射線被曝をしてないと、出てこない、出産異常は出てこない。
 基本的には、かなり高い数字になりすぎると、流産をしてしまって生まれてこない。生まれてくるというのは、それほどでもないレベルで生まれてくるとか、あと、1週間、生まれて1週間くらいで死んでしまうとかいうようなパターンが出てくるんですが、遺伝学的に言うと、数十世代、1000年以上経ってから出てくると言ったことが言われています。
 それは、小さな傷というものが、どんどん増幅することによって、それも世代を経ることによって増幅されて出てくる。しかもそれは非常に弱い影響であって、本人も気づかないレベルであるというふうに考えられています。
 これは、集団遺伝学でちゃんと証明されているお話でもありますというので、あまり神経質にならないでほしいというのが、私の考えです。
 では、一つ、
測定器についてお話しますが、「どんなものがいいんですか?」
 これは、僕、業者の回し者じゃないんで、ちょっと「これがいいよ、あれがいいよ」なんて言えません。少なくとも精度がいいものというのは、NAIのシンチレーションカウンターだとか、セシウムアイオダイド、ヨウ化セシウムのシンチレーションカウンターっていうのは非常にいいものですが、GM計数管でも十分です。
 っていうのは、これは、その数値を信じるのではなくて、自分のところはある基準点を決めて、基準点と比べた時に、高いか低いか、っていうことをやればいいんです。例えば、線量が出てるんだったら、その市役所に行って自分の数値を見て、そこと自分の家では高いのか低いのかということをしながら、いろんなところを見てまわるっていうことで、相対的に見ていけば、なんでも使えるんですよ。
 ただ、あまりやりすぎると、中国製とかは難しい問題が・・・、数字が出てこなくなったりとかはよく聞きますので、まぁそういうのを気を付ければいいと思います。
質疑部分

(河田氏)ついでにちょっと宣伝させてください。
 今この間、我々が支援してきたウクライナの被災者たちから、『日本を救えキャンペーン』が始まってます。3か月くらいの間に、1万人くらいの方から寄付をいただきました。ウクライナ製の測定器を100台送っていただきました。これを約半分、我々福島の手元に置いて、無償で貸し出す。残りは名古屋の事務所に置いて、それも必要な方に貸し出すということを始めました。
 ですから、まぁ買うと数万円から、シンチレーションになると数十万円になりますから、それはもちろんお金のある方は買ってください。しかし、ずっと長く使うものでもありませんから、今おっしゃったように相対値を測るだけであれば、ガイガーカウンタで十分ですので、是非利用していただきたいと思います。
 じゃあ、次に私の質問ですが、先ほどお話したナタネの問題ですね。
「ナタネがなぜセシウムを吸収するのか、メカニズムが何なのか?」というご質問。
 これは、簡単に言えば、セシウムっていうのは化け学的にいえば、カリウムと同じ仲間なんですね。植物は、窒素・リン酸・カリというようにカリウムが必要な栄養素ですから、カリウムを吸収します。その時にセシウムと区別がつかなくて、セシウムを吸収してしまう。うんと学問的に言うとまたちょっと違うメカニズムもあるんですけども、そういうことが原因で吸収するわけです。
 ということは、一般論で言えば、
『カリウムの高い植物ほどセシウムを吸収しやすい』
ということになります。
 ただ、もう一方の質問でですね、ナスやトマトはなぜ吸収しにくいのか?ということなんですけど、これはとっても興味深いことなんです。トマトに関しては、葉っぱとか茎はものすごい汚染するんです。ところが可食部は、カリウムが高いにも関わらず、極めて汚染が少ない。これは何かメカニズムがはっきりしないんですけれども、可食部っていうことは、種が入ってるわけですね。それを守るためではないかと、文学的に言う人もいるんですけど、メカニズムはよくわかりません。しかし、部位によっても非常に違うということがあるので、これは個別に判断するしかありません。
 ついでに言えば、ナタネは、成長期の真っ最中は均等にセシウムが分布するんですけれども、種が付きはじめると、そのセシウムの6割以上が重量から言えばきわめて少ない種に集中してきます。逆に汚染が極めて高いわけです。
 そんなわけで、なかなか一般論は言いにくいんですけれども、植物全体で言えば、カリウム濃度の高いものほど、汚染しやすいということですね。
(木村氏)食品がらみでいきますと、食品汚染計測の話が出ましたよね。
 これって、まず一つの質問では「こういうことが現実問題できるのか?」というご質問がありました。
 これは、先ほどここでCラボの方々が発表されてるように、市民レベルでもやっていこうという方々が増えています。そういうところがきちんと全国的につながっていって、一つの情報データベース化すれば、かなりのものが、どこでどういうものが大丈夫かってことがわかってきますよね。そういうことをやっていく必要があると考えています。
 それは当然福島市内でも同じことをやっておられる方が多くあります。そういう方々とうまくやっていく。さらにカリウムを分離できる装置とそうでない装置があります。混在してます。だから、まずは僕はカリウムを含めても、全体的に数値が高いものっていうものをスクリーニングすればいいと。どんどん時間を掛けずに、スクリーニングで高いモノ、怪しいモノだけをきちんと精査していけば、大丈夫か・大丈夫じゃないかっていう判断がつくと思いますので、そういうことが必要だと思います。
 ちなみに家庭レベルで買えるか?っていうと、うーん、無理ですね。ちょっと高いです。少なくともドイツ製で200万、日本製で約500万というふうになってますので、ちょっと車を買う気持ちで買われるという意味では・・・とは言えませんので、ご了承願えればとは思っています。
 じゃあ、先生、どうぞ。
(河田氏)私に来てる質問で、「瓦礫の質問」が結構多いですね。
 今、政府が被災地ではとても瓦礫の処理ができないということで、全国で瓦礫を引き受けるなんていう方針を出してですね、もちろんこれ、汚染してない瓦礫については、引き受ける自治体がたくさんあるわけで、それはそれで結構ですけれども、基本的に私の考えとしては、放射能は拡散させるべきではないというふうに思っています。
 ですから、あくまでも汚染の可能性のある瓦礫については、きちっと測定して、それは現地で処理するということがいいかと思います。
 しかし、現在環境省は、それとはかなり逆方向に向いていると思いますね。これは例えば焼却灰にしてもですね、
『8000ベクレル以下のものは、もうごみ処分場に捨ててもいいんだ』
みたいなこと、言ってるわけですよね。
 これは非常に危険です。
 皆さんの中にもしかしたら、『
10万年後の安全』というフィンランドの映画をご覧になった方がいらっしゃるかもしれませんが、そういうふうに埋め立てた場所が、将来どういう使われ方をするかっていうのは、わからないわけですよ。来年再来年はいいかもしれないですけど、もしかすると10年後はいいかもしれない。しかし、100年後にその土地がどういうふうに利用されているか、これは誰にもわかりません。
 ということはですね、この放射能の問題というのは、非常に長期的に考えなければいけない問題なので、これは拡散すべきではないというふうに思います。
 ということかな。
 あと、どれくらいの範囲で?っていうのがあるんですけど、例えば今、下水処理場の汚泥の汚染に関しては、既に静岡県レベルでも、数千ベクレル出てる段階です。愛知県ではまだそういう数値は出てませんけれども、今後増えていく可能性はあります。
 一般論で言えば、そういうことかな。
 次どうぞ。
(木村氏)じゃぁ、お子さんをお持ちの方々がやっぱりご不安をお持ちだと思いますので、それに関して。
 例えば「落ち葉で遊んでよいのか?」とかですね。
 それ、正直な話、実は今、測るように始めたばっかりなので、僕もどのくらい落ち葉に濃縮されたり、付着してるのか、判ってないんですよ。だから
、(河田)先生、それは大丈夫ですか?
(河田氏)ちょっと、後で言います。落ち葉問題は大問題です。
(木村氏)じゃあ落ち葉問題は、先生に振りまして、東京や柏、名古屋の地域で、お子さんたちにどういうふうな注意をさせるか?っていうと、うーんと、例えばですね、僕がよく言ってるのは、線量が高い地域でホットスポット的なところがありますよね。そこが0.4マイクロだったり0.5、1マイクロを超えるようなところがあって、それをすごく皆さん心配されるんですが、まず一つ言えるのは、そこは通過地点、通学路であったとしても、通過地点ですので、時間と距離の問題で解決できるわけです。かかしじゃないから、ずーっとそこに24時間立つわけじゃないと。だから、時間と距離で制限できるというのも、放射線防護の重要なものなので、そこはちゃんと高いというしるしをつけるというような形で、入っちゃいけないような形にしてしまうと、そうすれば子供は入りたがるもので、遊んでしまうということも言われました。
 でも、やっぱりそれは、お父様・お母様とか、おじいちゃん・おばあちゃんの努力によって「それは危ないよ」ということを言って聞かせれば、子供たちも判ってくれると思ってます。
 ということで、レベルは福島に比べて全然違うというところですかね。
 でも、柏とか高いところあります。今でも増えてるらしいです。
 そういうところは不安だとかそういうのは十分わかりますが、でも「じゃあ何かあるか?」というと、「うーん、そのレベルで微妙だよね」っていう場所なんです。はい。
(河田氏)じゃあ「落ち葉問題について」、私の考えを述べます。
 実は私、非常にびっくりした例があります。
 私の知り合いで、岩手県の花巻で有機農業をやってる。彼は非常に心配してですね、土壌を測りました。これはキロ当たり100ベクレルあるかないかくらい。
 ところが、肥料を作るために、近くの森の落ち葉を拾って集めて作ろうとした。それで心配になって、念のために調べました。花巻で1キロ当たり4000ベクレルを超えました。
 その後で新聞を見てましたら、東京都の文京区の小学校で花壇の堆肥を作ろうって作ったんですね。そしたら、文京区で1400ベクレルを超えたということです。
 ということはですね、首都圏でさえもそういうレベルということは、もっと福島に近くなる、或いは福島県内であれば、相当の汚染があるはずなんです。
 原因はこういうことです。
 今落ち葉になってくる木の葉っぱというのは、事故当時まだ木についてた葉っぱなんですね。その後で芽を出した木もあるでしょうけど、事故直後くらいに葉っぱがあった木は、強烈なセシウムがくっついたり、或いは吸収したりしてるわけです。これが落ちてくるわけですので、相当なレベルになる。
 ホウレンソウなんかは、非常に汚染が強かった時期がありますが、同じことが実は、落ち葉がこれからそういう状態で身の回りにやってくるということがあります。
 これが今度は粉塵になって舞ってくるというふうになりますので、公園なんかの除染を考えるときには、まずそれを優先したほうがいいんじゃないかというふうに思います。
 落ち葉が高いということは、お茶が高いというのと理由が共通してます。
 洗わない。乾かして濃縮する。プロセスがあるわけですね。
 ですから、落ち葉問題は注視すべきだと思っています。
(木村氏)逆に僕自身が勉強になりました。皆さん、すいません。
 非常に僕もどう答えていいかわからなかった、やっぱり落ち葉、想像されたとおりの結果ですね。
 福島について皆さんがいろいろ真剣に考えてくださるようになったこの機会に、皆さんには本当にコメントをいただきまして、ありがとうございます。一緒にちょっと、非常に私も嬉しく思ってますが、無理に支えるつもりはなくてもいいんです。これは、無理に食品を買うという意味ではなくて、福島でも、福島市民の農家の方々に対して、ちゃんと
「今日は何ベクレルあったか」
っていうのを皆出して売り出そうという試みが、各地で行われております。
 だから、そういうところのものをどんどん出荷して、インターネット販売で、そういうところで協力していただければ、彼らも非常に助かるんじゃないかなと思いますし、『安全なものは一杯あるんだよ』ということを少しでも皆さん、周りにそういう話をしていただく、
「こういうことを先生方言ってたよ」
というような話でもいいです。これが、伝搬していくと良い幸せの連鎖反応が続くと思っております。
(河田氏)あとはですね、質問の多くは、原発の政策に関する質問です。
 この方は、「自分は直ちに廃炉にすべきだと思うんだけれども、先日原研労働の方ですね、『安全な原発を作ればいいじゃないか』とおっしゃった。どう思いますか?」
ということなんですけれども、私は基本的には、原発は行き詰まると思っています。
 なぜかというと、原発は燃料がウランですね。ウランの寿命は、今の使い方すれば、60年です。これはもう無くなってしまうんです。そして、残るのは膨大な量の放射性物質なんですね。燃やせば燃やすほど大量になってしまう。それは、さっきもちょっと言ったんですが、10万年後まで安全に管理しなければいけないということになるわけで、これはつい最近1970年に日本で初めて商業用原発が、大阪万博の時に始めた時から、
「廃棄物はどうするんだ?」
という議題があったわけですが、
「いずれ何とかなる」
って言ってきたんです。それから、
「高速増殖炉で燃料を増やすことが出来るんだ」
と言ってきたんです。これも、頓挫というか、コレ事実上不可能なんです。
 そういうことがあって、仮に原発は安全なものが出来たとしても、廃棄物問題は解決できないわけです。
 ですから、我々の子孫のことを考えれば、やはり廃止すべきだというふうに考えます。
(木村氏)私も同感です。
 どう考えても、科学的に制御可能であるかも含めて不可能ですし、他の産業廃棄物だったら、化学分解なりできますが、今現在の核のごみというものを解決する方法というのは、本質的に解決する方法っていうのは無いんですよね。だから、そういうごみを増やすこと自身が、後世の自分たちの子々孫々までツケを回すというのは、僕も無い方がいいと思ってます。
(河田氏)それからですね、「野田首相が『ストレステストをやって再稼働するんだ』と言ってますけども、大丈夫でしょうか?」っていう質問が来てますが、いかがでしょうか?
(木村氏)僕は正直に言って、それ自身が、その話を聞くだけでストレスになりますが・・・
<会場笑い>
 もうストレステストは不可能です。こんなもん、人間が制御できるものであったら、そもそも事故なんて起こるわけないじゃないですか。だって飛行機事故にしてもなんでも、エレベーターの事故だって、あんな・・・、まぁ飛行機の事故は別にしても、あんな単純なものでさえ、落ちるときは落ちるんですよ?だから、そういう・・・、何ていうのかな?
『人間の技術が全て』っていう考え方ではなくて、『起きるかもしれない』というリスクを考えていくっていうのが、これからの生き方だと思います。
(河田氏)僕はですね、ストレステストはもう一つ問題があるんですね。
 現物で試験するわけじゃないんです。原発に力を加えて壊れるか?とかやるんじゃなくて、コンピュータ上で試験するわけですね。だからそれが本当に???になるか?という、問題なんですね。
 もう一つは枝野さんだったと思うんですが、
「ストレステストは再稼働するかどうかの判断材料にはしない」
と言ったんです。皆さん、新聞を見られた方は覚えてらっしゃると思いますが、じゃあ何のためにやるか、判りますか?
「ストレステストをやって、大丈夫だったよ」
っていう宣伝をして、再稼働するという、そういう政策が見え見えなんですね。だから、これは全くダメです。

(木村氏)続いて、もし、もし僕の提案ですよ、これは。
 あの、実際に原発問題っていうのは、今後ずっと考えていかなければいけないし、きちんと早くやる、やっていく考え方というのは、僕は正しいと思うし、自分自身、実は思ってるんですが、今の事故のものと原発問題っていうのは別個に考えるべきだと思ってるんですよね。まずは原発の事故収束とか、対応、健康状況っていうものをきちっと考えて、食の安全性も含めてやっていく、これが最優先課題であって、それが落ち着いてからきちっと考えていくっていうのが、僕が筋道だと思っているので、あまり実はこういうことを言ったのは初めてなんです。
(河田氏)同じようなご質問で、「今政府は『冷温停止状態にすればなんとかなる』と言ってるんですが、それは可能なのか?」という質問。
 これは、正直わかりません。今でも1時間20トンの水を注入しています。そうしないと、100℃以下に保てない状態なんですね。これを水を注入しなくても100℃以下になるというのが冷温停止なんですけども、年内にできるかどうかは、中で何が起こってるか次第なんですね。
 仮に小さなレベルでも臨界状態が起こってれば、これはできないわけですね。臨界状態が起こってるかどうかっていうのが、いろんな観測でわかるわけですけれども、必ずしも今、きちっと測定されてるわけじゃないので、「可能でしょうか?」と聞かれても「わかりません」と答えるしかないですね。もう少し様子を見る必要があると思います。
(木村氏)それについて、ちょっとキセノンについて
 事故当時も含めて、今回の自発核分裂で出てくるっていうこととか、臨界で出てくるキセノンとかっていうのは、確かにこれ、指標になりますが、事故当時キセノンが出ていても、当たり前なんです。だって、核分裂反応をずーっとしてたわけですから、お釜の中に溜まってるキセノンの量って、ものすごい量なんですよ。それが壊れてドーンと出てきちゃった、大量放出、ベント解放してしまってるわけですから、そこから出ているもののキセノンというのは、「これはメルトダウンが示された証拠だ」というふうに言われる方もいるんですが、そうではなくて、核分裂反応で出てくるわけですから、これは見分けがつかないわけです。だから、なんでキセノンに皆さん研究者が気づかなかったかというと、
「それは当たり前に出てから、それが出てても当たり前」
というふうにしか考えられない。
しかもエネルギー的には非常に低いところにあると、人体に影響が出にくいレベルのエネルギー体に放出するエネルギーが出てるので、それであまり気にしてなかったというところが、正直なところです。
(河田氏)似たような質問で、要するに「事故隠しなんじゃないか。メルトダウンを発表したのも5月になってから。問題は事故直後の状況が問題じゃないか?」とおっしゃってるんですね。「その事故隠しによって、その期間判らなかった、その期間の被曝はどうなんだ?」っていうご質問なんですけど。
(木村氏)はい。うーんっと、一番は、メルトダウンどうこうよりも、ヨウ素でしょうね。
(河田氏)そうでしょうね。
(木村氏)このヨウ素をどうにか痕跡でも追って、もちろん土壌中とかそういうのは、ものすごいサンプル数を採ってますから、その土壌中から「えいやー」っと計算することは可能なんですが、土中と空気中に漂ってる量は、どういう割合になってるかは出てこないんですよ。だから、その「えいやー」で出せるところにもまだいってないので、実はそこは頭を悩ませてる最中なんですが、何とか答えを今年中には出したいと思っています。
(河田氏)そうですね。私がたまたま二本松に市役所が設定した18日以降ですね、測定値がありますよね。あれのシミュレーションをやって、事故直後くらいまで延ばしてやったんですが、今はだいたい1.7とかマイクロシーベルトくらいですかね?
(木村氏)そうです、そうです。
(河田氏)事故直後は12マイクロシーベルトくらいなんです。それで、その減り方を見ると、大体半減期からヨウ素131が推定できます。
(木村氏)ほうー、あー、そうですか。
(河田氏)はい。大体そういうグラフが作ったんですけども。
(木村氏)それ、使えるかもしれませんね。
(河田氏)ですね。ただ、各地で測定した時間経過っていうのを??すれば、今のところからみてどの程度被曝してるかは、推定は付くと思います。
(木村氏)はい。あー、それ、使えるかもしれませんので、ちょっと、これは私の友達の長崎大学の高辻先生とか、広島大学の遠藤先生とかそういう友達、あと今中さんも含めて、ちょっと議論していきたいと思います。
(河田氏)そうですね。
(木村氏)あとは、「名古屋の水飲んでもいいですか?」
<会場笑い>
 どうぞ飲んでください。福島でも今は大丈夫だと一応お答えしてます。「牛乳も?」と書いてありますが、牛乳も多分大丈夫だと思います。
 福島の牛乳はどうかな?というのはありますが、あまり・・・、こういうこと言っちゃうのはどうかなと思うんですが、聞いた話ですよ、あくまでも聞いた話として聞いてください。私が言った話ではない。
 あの、牛乳にしてもお米にしても、汚染した奴をクリーンなとこの奴と混ぜてしまうという・・・
(河田氏)牛乳は実際にやっております。
(木村氏)やってるんですよね。
 だから、それから言うと、ある程度汚染されているものでも、かなり薄まってますから、飲んでもいい。
<会場笑い>
 逆説的にですよ?でも、そういうことかな?と思っています。
 あと、5mSvのお話ですが、実は「5mSv、なぜそういうふうに指定したか?」というご質問がありました。これは実際に、生涯の日本人でいうと、大体100mSv、100歳まで計算して、1年間あたり、100歳まで生きたとしたら、100÷100=1mSvというような概念で言っているというふうに聞いております。
 5mSvした話っていうのは、実はこれチェルノブイリでも、僕でも、大体その低線量の被曝、長期被曝をした場合、外部被曝線量で計算すると、大体リスクは3分の1くらいに下がるだろうと。これは、アメリカアカデミーのBEIRっていうところの報告書でも3分の1程度、ICRPでも2分の1程度というふうに言われてますが、BEIRのほうがより正確だろうと思ったんですけれども、そこから言うと、大体3倍程度、300ミリシーベルト、これは生涯で当たるという計算をした。やって、5mSv。これは実際に5mSv生きている方々の地域、世界の地域でも、影響が出てるのはほとんどないわけなんですよ。
 ということで、10mSv/年間、これもキツイかなとは思いますけど、「5mSvなら行けるのではないか?」というふうに、僕の経験的な感覚ですが言ってます。
 でも、本当に正直な話を言うと、これも『我慢レベル』です。
 本当に厳密にいうと、僕はやっぱり妊娠されてる方々だとか、新生児の方々は、やっぱり1mSvっていうのは言いたいですね。
 言いたいけれども、それはさっき言ったようなそこに住む方々の、なんていうんですかね・・・、その彼らの気持ちとの話し合いになっていて、ちょっと言いづらいところがあるんですが、正直なところは、1mSvです。
<30:00頃まで>

【その④】に続きます。
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