※この記事は、11月24日 【内容起こし】百人百話 第13話 ヤスユキさん【その①】『医師と政治家』の続きです。

<00:33:10頃~>
Q.医療組織などからの影響
 うーん。
 基本的に開業医っていうものに関していうと、個人の付き合いでやってることのほうが多いので、大学病院は正直な話、あまり関係ないですね。だから、
「開業医の人間が、ある程度自由なことを言える医師なのかな?この地区では」
というふうには思います。
 病院の医師っていうのは逆に、やはり医局からの派遣っていうふうなものが非常に大事なので、大きな輪を見だすわけにはいかないわけなんですね。
 大学病院と関係ない、郡山市っていうのは大学病院ありませんので、大きい病院3つありまして、その3つとも私立の病院なんですね。そこに派遣されてる医師たちも県立医大だけじゃなくて、東京方面の大学から来てる医局も何か所かありますね。
 だけれども、病院全体として県立大が占める割合が大きいので、やはり発言にある程度制限がかかるんじゃないかなというふうには感じられますけれども。

 僕は一応チェルノブイリの時も、かなり危機感を持って学生時代を過ごしてたので、今回、正直な話、4基の原発が爆発した時点で、
「こりゃもうダメだ。もう日本終わったんじゃないか」
というふうに、子供たちの顔を見て、
「非常に申し訳ないな。我々の世代が、今世の中を動かしてると思うんですけど、我々の世代が、この日本を壊してしまったんだ」
っていうふうに、思いました。
 で、もうその時点で
「終わった」
って僕は思いました。
 こちらに帰ってくるにしても、もう家族とはもう会えないだろうというふうな気持ちで、僕は帰ってきました。
Q.相当深刻に考えてたんですね。
 でも、今、なぜか家族も帰ってきてしまってるんですけどね・・・。
Q.ご家族はいつ戻られたんですか?
 家族が帰ってきたのは、僕が某中学校の校長先生と個人的に知り合いで、その校長先生に
「福島県こういう状況なので、新学期はゴールデンウィーク明けから始めるように、なんとかなりませんか?」
というふうに、ちょっとメールを打ってみたんですが、その方非常に紳士な方で、いろんな意見を取り入れてくださる先生なんですが、その先生ですら、
「今、この段階で5月まで待つ客観的な理由がない」
というふうにあっさり返事が来まして、そうなると、その新学期に合わせて帰ってくる意外無いかということと、あと、一番上の子供は小学校6年生だったので、卒業式があったんです。
「もうどうしてもそれには出たい」
ということで、結局それに合わせて帰ってきたということで、4月の初旬、3日か4日に帰ってきましたね。
 本当は僕は帰ってきてほしくなかったんですが、そういういろいろな事情がありまして、帰ってきましたよね・・・。
 だから、僕が思ってたほどひどい状態じゃないというふうには思いましたね。
 僕は、
「世の中終わった」
というふうに、正直な話思ったんですけど、しかも日本中が地震活動期に入って、今現在でもそうだと思うんですけど、じゃあそれで金沢に避難して、安全か?っていうと、まぁすぐ近くにもんじゅがあるわけなんですね。志賀原発もあるわけなんで、そういうのを考えると、
「果たして本当にそこで避難して、それで安全なのか?」
 あんまりそういうこと言っちゃうと、そっちでもそういうことが起こる可能性が出てくるんで、僕も正直な話、言霊的に言いたくないんですけど、でもそういうところまで閑雅て、今現在家族を避難させてない理由は、実はそういうところもあるんですね。
 だから、夏休み中一次避難ということで、もう一度金沢のほうに家族を送ったんですけど、その時の私のこちらに居ての心理状態としては、非常に安心した心理状態にはありましたね。
 帰ってきた途端に、またちょっと心配にはなりましたけど。
Q.子供にあらわれた心身症状
 うちの子供たちは幸いにして、あまりないですね。
 鼻血に関しては、うちの子供も出てたんですよ。
 ただ、地震の前も出てたんですよ。だから、これは原発のせいなのか、それとももともとなのかっていうところの区別が、正直なところ、つかなかった。
 ただ、原発事故の後からの鼻血の量は、ちょっと多かったっていうふうな印象がありましたね。
 そこはもう心理的なものが働いて
「関係ないんだよ」
って、自分にふたを閉めてたところもあるかもしれないですね。
「前も出てたんだから大丈夫だ」
って思ってしまってるところもあるかもしれないですけど。
 私が震災直後から現在まで見ていて、これは放射線障害かなっていうふうに考えられた患者さんっていうのは、実は居ないんです。うちに来てる患者さんに関していうと。
 ただ、単純な事実だけ、一つ言いますと、甲状腺が腫れてきた方が二人いらっしゃいました。
 まあここで私開業してから6年目になりますが、その6年間のうち、今年2例あるんです。それは、事実ですね。
Q.それまでは居ない?
 居ないですね。それまでは。
Q.お若い方なんですか?
 えー、1人は30代、1人は10代ですね。
 そうですね、首がおかしいとか、首が痛い、なんか違和感があるっていうふうな形で、整形外科にいらっしゃる方が、たまにいらっしゃるんですね。
 それで・・・、その二人はいらっしゃったのかと思いますけども。
 ま、ま、多分僕が実際に患者さん診てて、そういうふうな人たちがあまりいないというようなことで、でも、やっぱり危険性は高いんだろうと。多分危険・・・度がはっきりしてくるには時間がかかる。
 ということであれば、
『如何に危険なのかっていうことを、世の中の人に知らしめなければいけない』
というふうに、まぁそれが僕らの仕事なんじゃないかっていうふうに、今は考えてるんですね。
 そのために、ガイガーカウンターを使って、僕が帰ってきた当時も、外で子供たちが遊んでたりもしてたんですよね。公園で遊んでたりとか。
「これは、多分大丈夫じゃないだろう」
というふうには考えてたんですけど、その時には持ってなかったんですよ。
 注文して1か月半かかるということで、5月の連休くらいには来るのかな?と思ったんですけど、連休明けに届いたんです。
 そこから周りを調べてみて。
 その当時は、数字の小さいやつは手に入らず、こんな大きいやつですね。
Q.どういうタイプのものですか?
 これはシンチレーション方式で、アナログなんですけど、シーベルト単位では出ないんですけど、cpsで出るタイプです。
【参考】計数率
液体シンチレーションカウンターやガンマカウンターで得られる測定値は、計数率(cpmまたはcps)として表示されます。この計数率を計数効率(e)で割ることにより、絶対的な放射能の単位に変換することができます。
cps x 100/e = dps = Bq
cpm x 100/e = dpm
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/nuric/docs/RI3.html

Q.何製?どこ製?
 これはアメリカ製のものです。
【以上】

アメリカ製シンチレーション30万


Q.おいくらくらい?
 約30万ですかね。
 ただ、これのいいところは、持っていってその場で数字がすぐ出るということなので、一般的なデジタルタイプよりも測定速度が速いってことですね。
 それから車で走っていて、トンネルの中入ったらすぐ落ちるし、例えば公園で滑り台の下に持っていくと一気に上がっていくんですね。
 汚染度が高いのは、やっぱり公園ですね。
 公園、草がある場所。
 それでもしかも、皆さん言われるように、水が溜まるところ。
 やっぱり一番高いのは、滑り台の降りたところの降りた一番下の部分なんですね。子供たちが滑っていって手をついて立ち上がる、その手には、どれだけついてるのかっていうくらいの数字が出てくるんですね。
Q.例えばどのくらいの数字?
 すぐ近くの公園で、えーっとほかの部分が高いところで6マイクロっていうときに、滑り台の下は8マイクロでしたね。6月の時点で。
 今は測ってませんが、公園周辺を車で走るときに数値を見ると、恐らくちょっと下がってます。
 ただ、もうすぐ郡山市が454の公園、全て表土除去するというふうな計画になってるので、この表土除去したあとの結果をまた調べて歩こうかなとは思ってますけど。
Q.子供たちに注意していること
 子供たちは、やはり外に出るときは、長そで。マスク。マスクがどこまで意味があるのかっていうのは判らないですが、やらないよりはやったほうがいいだろうということで、マスク。
 食べ物に関しては、なるべく県外産をっていうふうに選んで、子供たちにも
「水たまりに入っちゃいけない、草触っちゃいけない」
 本当は一番やりたいことを「やっちゃいけない」っていうふうに言ってること自体が、『異常な世界』だなと・・・。
 僕も公園調べて、公園に子供が来ないようにした張本人の一人なんですけど、公園に子供が居ない風景というのが、こんなに気持ち悪いものなのかっていう、そういうふうな非日常的な状況が、郡山市では日常っていうふうな状況ですね。
Q.放射線管理区域について
 整形外科の医者っていうのは、非常にこう、放射線、レントゲンを扱うことが非常に多いので、整形外科の医師同士のメーリングリストっていうのがありまして、そちらのほうでレントゲン室の中は、鉛でシールをされてるので、核シェルター的な、ミニ核シェルター的な意味もあって、中は低いんじゃないかっていうふうに話されてたんですよね。
放射線管理区域 実際に測ってみると、あの・・・、放射線管理区域の中っていうのは、レントゲンを僕らが照射することによって、放射線が1次上がるわけですけれども、そのためにこういうふうに管理区域というふうに指定されてますが、実際、室内が常に高いかっていうとそういうわけじゃないんですね。通常の室内と同じ状態なので、何もなければ、外界と通常の室内と、あまり変わりがないというふうな状況ですけど。
 今現在の郡山市では、外が、このガイガーカウンタで測ると1マイクロ弱。
 室内に入って測ると、0.3くらいですね。
 レントゲン室で測ると、逆に0.1とか、そういうふうに管理区域のほうが低いという、非常に異常な状況です。
Q.10倍?
 そうですね。
放射線管理区域X線注意書き 一人の親として考えれば、うちの子供たち、全員女の子なので、どう考えても1年2年の間には、避難、恒久的な避難をさせなければいけないんじゃないかというふうには考えてますね。
 じゃぁその時に、ここをどうしようか?ってことになると、非常に悩むところですけれども、患者さんもいますし、辞めるわけにもいかないですし、スタッフの生活もありますし、私の生活もありますし。
 ということになると、家族を外に置いて、ここで働くために残るというような形が、とりあえず一つの妥協点なのかな?っていうふうには考えてます。
 いろんな意味で妥協点を見つけると、多分会津あたりが一番、いいのかなというふうなところなんですが・・・、うーん・・・。そこは非常に難しいところなんですよね。
 会津だと確かに、僕もすぐ行ける距離ではあるんですけど、ただ、まぁ・・・、あの、女親一人だけっていうふうな状況で、そういう知らない土地に行くっていうのは、やっぱり親のほうにしてもプレッシャーがあるだろうし、子供たちも不安だと思うんですよね。
 そういうのを考えると、やはり妻の実家の金沢が一番無難な線なのかな?
 ただ、先ほども話しましたが、金沢も志賀原発がありますし、原発銀座が隣にあるわけなんですよね。
Q.日本中にある原発について
 まず、原発っていうことに考えていうと、ドイツの考え方が正しいだろうと。どう考えても、もうどうしようもないものなワケですよね。手におえないものになってるわけなので、
「なんでドイツがああいう判断ができるのに、日本が出せないのか?」
っていうこと自体が、もう正直な話、『民主党が悪い、自民党が悪い』の問題じゃなくて、政治家が狂ってるとしか思えないですよね。
 あの、まぁ、自分たちの利権というようなことで考えるのであれば、利権を守ったところで、住む土地が無いという状況をどう考えるか?ってことですよね。
 そんなに守りたいものなのか?っていうところ。非常に考えるんですけど、電気なくても生活なんかできるわけですからね。
 で、原発立地の町長さんなどの批判をするのは非常に難しいところなんですが、発言的に・・・。
 立地町村の方々のお話を聞くたびに、びっくりするような話が出てきてますので。
Q.例えばどういうような話?
 具体的な名前を出したほうがいいですかね?
 それはみんな判ってると思うので出しますけど、ニュースにもなってますから、双葉町長が埼玉に避難していて、埼玉から国会に、
「7号機8号機を作ってください」
と陳情に行ってたというふうな話。
 あと、福島県知事、佐藤雄平さんが、流石に追い込まれて、
「もう原発は動かせない状況になりました。1号機、2号機、3号機、4号機は、廃炉にします。5号機、6号機は考えます。」
っていうふうな結論を出したんですけど、その時にも、その町長は
「寝耳に水だ」
というような発言をされてるわけなんですね。
 で、5号機、6号機がある大熊町長も、何かびっくりするような発言を確かしてたはずなんですよ。
「なぜ自分たちが住めない状況に追い込まれてるにも関わらず、そこまで言うのか?」
 そもそもチェルノブイリの例を考えるまでもなく、双葉・大熊なんて人が帰れる土地じゃないと思うんですね。
 菅総理が最後に言いましたけど、
『30年、しかも3㎞内』
って言いましたけど、小出先生もおっしゃってますが、どう考えてもそんな範囲で済むわけがない。
 これ以上言ってもいいですかね?<苦笑>
 今どうしてもっていうことを考えれば、やはり・・・、何が日本国中、皆さん望んでるか?っていうと、要は、東電の出したごみを捨てる場所ですね。
 もうずーっと前から思ってましたけど、最近やっとで発言できるような空気になってきたので言いますけれども、ゴミ捨て場が無い状態で進んできた原子炉が、まき散らしたごみを捨てる場所がさらにまた無い。
 でも、どう考えても、これだけ汚れてる福島県の中に作るしかないわけなんですよね。
 基地ですら、沖縄から移動させることができなかったわけなんですよね。
 それが、「じゃあうちに置いてもいいですよ」って、青森県が手を挙げるはずがないわけですね。
 そしたら、もう福島県にそういう中間貯蔵施設を作るしかない。もしくは、最終処分書にするしかないと思うんですね・・・。
 そこまで言っていいかどうかは、わかりませんが、ただ、何とかして、こうまとめなければいけないと思うんですよね。
 そうすることによって、何がいいことがあるか?っていうと、福島県の人間にとっても、例えば郡山市の人間にとっては、この辺の除染もできますし、それだけじゃなくて、福島県の人間は食べるものがクリーンなものが食べれる状況を作れるわけですよね。
 それを瓦礫処理だなんだかんだって言って、そこらじゅうにまき散らした場合に、日本中が全て汚染されてしまうわけなんですね。
 そうした時に、じゃあフレッシュな食べ物ってどこにもなくなってしまう。
 そんな状況でいいのか?と。
 今の政治を動かしてる人たちは、全員もう移住するんじゃないかな?というふうに、僕は思ってますけど。
Q.海外に?ってことですか?
 はい。
Q.日本のことを考えてないということ?
 そうですね。
 日本のこと考えれば、まず、考えることは、そうやって汚染物質をまき散らさないこと、どんなに言うこと聞かない知事だろうが、首絞めてでもそこに作るしかないだろうっていうふうに、持っていくのが本来の政治の役目だったんじゃないのかなって僕は思いますけどね。
Q.要するに原発を止めないとですよね。それが前提の話ですよね。
 そうです。
 まず、全て廃炉にするっていうのは大前提ですけど、それで出したごみはちゃんと集めるっていうことですね。
 ソ連ですらやってるわけですからね。それは。
Q.除染について
 まず、国が考えてる除染の考え方が大きく間違えてると思うんですね。
 なぜかというと、彼らは、『高度汚染地区を除染しましょう』って言ってるわけなんですね。
 そんなことできるわけがないんですね。
 できないことを敢えて言ってるということ自体が、おかしい。
 じゃあどこを除染・・・
Q.『できるわけがない』という理由をちょっと説明してください。
 『できるわけがない』っていう事情は、まぁ、いろいろ言われてると思いますが、当然、山・畑、それすべての土をこそぎ取って持ってかなければいけないわけですから、そうなると、もう丸坊主の山がそこらじゅうに出来上がる。そんなことしたら、大災害が起こることを敢えて作ってるわけですよね。
 そんなことをして除染して、何とかなるものなのか?
 正直な話、モノを持っていく場所すらないと思うんですね。
 結局、海にどんどんどんどん流れていく。
 そうなると、逆にもう汚れてるところはしょうがないと。そこから、どのくらい下がって、ここまでだったら何とかなるだろうというようなラインを引いて、比較的綺麗なところを除染するしかないと思うんですよね。
 なんでそういうふうな考え方に発想できないのか?っていうのは、僕は、すごい不思議でしょうがない。
 恐らく、今、移住させられてる人たちに対しての配慮だと思うんですが、多分移住させられてる人たちも、内心判ってると思うんですよね。
『多分、帰れない』
 だけど、誰もその印籠を渡さないで、
『帰れるんじゃないか。』
『2年後には帰る。5年後には帰る』
というふうなことを言わせてしまうのが、いけないのかなと。
 あの、帰りたいっていう気持ちを持つことは、非常に大事だと思うんですが、帰れないものに対して、『帰れますよ』っていうふうな嘘を言っちゃいけないんじゃないかというふうに、僕は思います。
 今も僕の認識では、そうですね。
 浜通りの部分から飯舘村にかけての、あの地区に関しては、もうダメなんじゃないかなって、今の除染能力ではそうなんんじゃないかと。
 自分が郡山に住んでるっていうこともあって、言わせていただきますと、できれば除染してなんとか住みたいっていうふうな希望はあります。
 ただ、やっぱりそこも現実問題に立ち返らなきゃいけないと思うですね。
 現実問題として、僕は、ずっとここの土地に住みたいかっていうと、正直なところ、あんまり住みたくはないですね。
 私自身がもともと郡山の住人じゃないっていうふうなところもあるとは思いますが、正直な話、ここに最後まで住もうっていうふうな気持ちは、無いです。
 ここが除染可能かどうか?っていうふうに言われますと、うーん・・・。
 まあ都市部だけは何とかなるんじゃないか。
 ただ、そうすると山が残るわけで、風が吹いて来れば降ってきますよっていうふうな状況。それをどこまで我慢できるか?っていう話になってくるんじゃないかと思います。
 ここに暮らしていく以上は、ある程度汚れることはやむを得ないっていうふうに割り切る以外にしょうがないと思うんですね。そこをやっぱり如何に許容していくかっていう話だと思います。
 だから、子供たちには、許容をできないんじゃないかと思って、別れて過ごす以外ないのかなっていうふうには考えてますけど。
 そういう意識を持って、この辺の地区には住まざるを得ないのかということだと思います。
Q.広域的・恒久的な除染は可能か?
 わからないですね。
 あの・・・、今現在でも、まだ原発からは飛んできてるわけですよね。
 それが止まった時に、初めてある程度評価できるんじゃないかと思うんですね。
 今現在、実際、空間線量測ってても、ちょっとずつ下がってはいるんですけど、またちょっとすると上がったりとかっていう、やっぱり変動してるんですね。
 チェルノブイリハートのあの、上映会の時は、朝と夜とは違うっていうふうに言ってた方もいましたが、朝と昼の違い、夜の違いっていうのは、僕はあまり感じないんですが、やっぱ日によって違うっていうのはあると思います。天気と関係してるんじゃないかって、前にちょっと統計とってるんですけど、今ちょっとすぐ出てこないんですけど、雨の日が逆に比較的低いっていうふうな印象はありますね。
Q.風ですか?
 そうですね。
 雨で飛んでこないっていうことで、低いのかなっていう感じはしないでもないですね。雨と風と、毎日のうちの玄関のデータはとってるんですけど。
Q.映画『チェルノブイリ・ハート』を観て
 まぁ、僕の家族構成から考えると、チェルノブイリハートっていうのは、二つの問題を出してるのかなと思うんですね。
 今現在の子供たちが甲状腺ガンに罹患して、将来罹患していくっていうことが一つ。
 もう一つは、そのもう一つ下の世代が、奇形児として生まれてくる。
 その二つの問題点が出てるのかなと。
 今現在、この郡山で生まれてきている子供たちっていうのは、まだ正常なんですよ。
 多分その次の世代ですね。
 その次の世代の、健常児が生まれてくるかどうかっていうことに関しては、まぁ・・・、危険性が高いんじゃないか?と考えると、やはりここには住めないというふうに僕は思いましたけど。
 うーん・・・。
 あの中で医師が、心臓の手術をして、
『私は普通のことをしたまでだ。だけれども、ここの人たちにとっては奇跡になってる』
というような話をしましたが、確かに僕らも手術していた時には、僕らはあくまでも治る手助けをしてるだけだっていう意識、決して奇跡を起こしてるつもりはない。
 だけれども、その現場の人間にとっては奇跡だと思ってしまう。
 医者を崇拝するというか、スーパードクターっていうようなテレビもいっぱいやってましたけど、僕はあれはおかしいと。現場の医者がスーパードクターであって、ああいうふうにもてはやされてる人たちは、決してスーパードクターじゃないんじゃないかと思っていて・・・。
 というような部分も医者としての目から見ると、あそこ(チェルノブイリハート)に出てくるドクターは非常にまともな先生だなというふうに思いましたけどね。
 それは全然、普通の人は考えない見方だとは思いますけど、普通の見方として考えれば、やっぱり、その・・・。チェルノブイリから200㎞離れたところでも、ああいうふうに悲劇が起こってるわけなんですから、あの映画を見た直後の一般的な考え方としては、少なくとも、やっぱり金沢以西に逃げたいなと感じると思います。
 ただ、金沢に逃がせない理由は原発があるからなんで、そうなると本当、今どこに行けばいいのか、沖縄に行ったところで、台湾に原発があるわけですね。台湾も地震国なわけですよね。
 どうしたもんでしょう?ってところが、非常にあるんですが。
Q.これから社会に対してどんなはたらきをしてゆくか
 非常に難しいですけどね・・・。
 私自身、ここに留まるかどうかっていうふうな葛藤を感じながら、ここに残っていますので、ここの地域に対して、私はこういうことをやっていきますっていうふうに宣言することは、ちょっとできない。
Q.この地域だけじゃなくても、もうちょっと広げても、日本のどこに行っても。
 日本に対しては、やっぱりどう考えても原発を無くさないといけないと思います。
 それは大前提で、そんなの議論の余地もないと思うんです。
 まず、無くす。
 そこから考えましょう。
っていうのが、一番大前提だと思います。
 当然、核燃料サイクルもいらなくなるわけで、国家予算も浮くわけですね。それで。
 無くしてしまって、何も損はないはずなんでね。
 企業が海外に移転するのは、円高だからなわけで、電力のせいなわけじゃないわけですよね。現に電力余ってるわけですよね。
 僕が医師としてじゃぁ、世の中に何がやっていけるか?っていう話になると、うーん。
 本当は、この原発事故が起きなかったとすれば、僕らは正直な話、農家の人と非常に近い関係にあったんですね。
 何がしたかったかっていうと、薬を使わない治療をしたかったんです。
 薬を使わないで治すっていうのは、要は食生活が一番大事なんです。
 食生活を良くするために、これは、まぁ、ちょっと話がそれちゃうかもしれないですけど、僕がここで理想としてる医療っていうのは、まず薬を使わない。使うとしても漢方薬。治すのはその人の、まずバックグラウンドから全て治していく。身体をいじって治す方法もあるんですけど、ちょっと整体のようなものもあるんですが、それだけじゃなくて、その人自身の体質をちゃんと治してあげる。
 体質を治すっていうのは、身体って何で出来てるか?っていうと、食べ物でできてるわけなんですよね。
 要するにちゃんとした食べ物を食べることによって、身体も良くなっていきますよっていうことを、福島県から広めていきたかったんです。そのためには非常に・・・。
Q.内科の先生でそういうこと言う方、いっぱいいますよね。内蔵の病気、それで治せるっていう意見。整形の先生でも食べ物なんですか?食べ物によって随分変わると?
 それは非常にあります。
 今、(岩上さん)腰痛持たれてますね?
 実は僕は、福島市で初めてお会いした時に、
「あ、腰大丈夫かな?」
って実は思ったんです。
 なぜかというと、やはり内臓のほうの臓器が問題で、内臓を一生懸命働かせてしまうと、その分内臓耐性反射といいまして、背中のほうの筋肉の緊張が高まる。それによって腰痛とか起きやすい状態を作ってしまうんですね。
 だから、まず食生活をなんとかしなくちゃいけない。
 あと、生活もなんとか変えていかなきゃいけないと思うんですけど、多分無理だと思うんですけど<苦笑>
Q.そうなんです。背中がバリバリになって、腰が痛いのは事実なんですよね。それは内臓の働きと関係あるとおっしゃる?
 だから、針治療もいいんですけど、結局対処療法なんですよね。その場その場でなんとかする。だけれども・・・。
Q.除染みたいなものですね。
 そうですね。
 それをやっぱり根本から治すには、薬なんかいらないんですね。
 その人の運動をちゃんとさせてあげること。
 食べ物をちゃんと食べさせてあげる。正しいものを食べさせる。
 そのために自然農法っていいまして、肥料をやらない、農薬もまかないっていうふうな農家の人たちと、ちょうどネットワークを作り始めたところだったんですね。
 結局僕らの目指す医療ができなくなったっていうのが、ここを放棄しようかって考える考えのうちの一つでもあるんです。
 農家の人たちの悔しさっていうのは、僕は全く同じ感情で・・・感じられますね。
 あの・・・、郡山の隣町のキャベツ農家の方が自殺されたっていうのが、一番第一歩だったと思うんですけど、多分そういうような人たち、どんどん増えてると思うんですね。
 福島県以外に少しずつ、そういうふうな自然農法に力を入れている人たちが増えてきてたんですよね。
 せっかくこれからっていう時に、予想もしなかったものが降って来たんで、もう、本当、どうしていいかわからないっていうふうな状態ですね・・・。
 本当は地産地消でやっていくのが一番いいんですけど、もう地産地消なんかできないわけなんですね。
 とんでもない土地になってしまったということで・・・。

【以上】


自然農法をやっていた方のインタビューです。
11月8日 【内容起こし】IWJ百人百話 第2話 長野寛さん

失礼します。
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