※この記事は、11月3日 東電:キセノン検出は臨界ではなく「自発核分裂」に関連しています。

今日もたねまきジャーナルを聞くことができました。
「自発核分裂」というのしやすい物質がキュリウムということで、そこから発生したのがキセノンだったということが、ちょっとずつ理解できてきました。

では、どうぞ。

20111103 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
http://www.youtube.com/watch?v=p9Z1hNTXus4&feature=channel_video_title

【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

今日は毎日新聞論説員の藤田さとるさんと一緒にお伺いしてまいります。
まず、スタジオにこんなメールが来ていますので、ご紹介します。
これは東電福島第一原発2号機の原子炉格納容器内で、キセノンという気体が、ごく微量検出されたという問題についてなんですけれども、神奈川のリスナーからです。
『東電の本日の発表で、臨界ではなく自発的核分裂という説明でした。昨日の小出さんの説明で、臨界の可能性は低いと聞いておりましたが、JCOの事故の時は、バケツの溶液で臨界事故が起きたことを考えますと、思いもよらず臨界が起きてしまうのでは?と感じますが、いかがでしょうか?』
という質問で、まず、先生。自発的核分裂っていうのは、一体どういうことなんでしょう?
(小出氏)はい。放射性物質というものは、皆さんご存知だと思いますが、セシウムであるとか、要素であるとかいう1軍の放射性物質と呼ばれているものがあるのですね。
そういう物質は、アルファ線を出したり、ベータ線を出したりして、原子核崩壊ということをして、別の原子核に変わっていくわけですが、それと同じように、例えばキュリウムというような名前の特殊な放射性物質ですが、それはアルファ崩壊やベータ崩壊をするのではなくて、勝手に核分裂をするという、そういう性質を持っている放射性物質なのです。
原子炉を動かしてしまいますと、ウランが核分裂してセシウムや要素もできますし、一方ではキュリウムというような放射性物質も出来てきて、そのできたものが勝手に核分裂をするという、そういう性質を持っています。

何もしなくても、勝手に自分で核分裂を起こしてしまうということなんですか?
(小出氏)そうです。何もしなくてもセシウムがベータ線やガンマ線を出して崩壊するように、キュリウムという放射性物質は、何もしなくても勝手に核分裂を起こすという、そういう性質を持っています。

『核分裂』というと、私たちとしては、とても危ないんじゃないかな?という感じを受けるんですが、それは・・・
(小出氏)要するに量の問題なのですね。
自発的に核分裂をするという、そのしやすさがですね、あまり多くなくて、少しずつしか核分裂をしませんし、原子炉の中に溜まっているキュリウムの量もそれほど多くないので、確かに核分裂はして、キセノンなどが出てくるので、それを検出することはできるのですが、発熱量というような意味でいえば、取るに足らないと思います。

では、この方の質問のようにですね、
『思いもよらず臨界という激しい反応が起きてしまうのではないか?』
ということなんですが、そこにつながる可能性というのは?
(小出氏)えー、自発核分裂という現象自身は、臨界とは全く関係ありません。
それとは別に臨界という物理現象が生じてしまうかどうかということは、全く別に考慮をしなくてはいけないのですが、ご指摘くださったようなJCOという東海村の核燃料加工工場では、容易に臨界になるような状況で作業が行われていたために、臨界になってしまいました。
ただし、今回の場合には、原子炉という一つの構造物が、形を失って壊れていっているという、そういう事故なのですね。
そういうときには、臨界にはなかなかならないというのが、私たちのようないわゆる原子力の専門家たちが考えてきたことです。
ただ、予想を裏切ってなるかもしれないということは、もちろんあるわけで、
「ひょっとしたら」
と私も思わないでもありませんでしたけれども、多分無いと思います。

わかりました。JCOの事故の時っていうのは、そういう想定とかかけ離れた状態でなりやすいという状況だったわけですね?
(小出氏)そうです。
ウランの溶液を使っていたのですが、そのウランという元素のうちですね、核分裂性のウランが20%もあるというような、非常に特殊なウランを液体状で扱っていて、それも大量に一つの容器の中に入れてしまうというような作業をしていました。

はぁ・・・。わかりました。
それでは、次の質問に参ります。
リスナーからです。
『福島第一4号機の使用済燃料について、質問です。
一刻も早く、別に冷却できる場所を作り移さなければ、余震などで既に屋根のないボロボロの建物が壊れ、冷却できなくなり、東京・横浜までが強制避難地域になるような水素爆発が起こるだろうと、海外のニュースから聞いたんですけれども、もういつでも避難できるように準備が必要なんでしょうか?』
という質問なんですが・・・。
(小出氏)ご心配になるのは最もであって、4号機の使用済燃料プールの中には、大量の使用済燃料がありました。確か、炉心の中に通常ある分の3倍くらいあったんじゃないかと思いますが、それが使用済燃料プールの底に、今はあるわけですね。
ただ、それの冷却に失敗するようなことになると、また水素が発生して、燃料自身も溶けていくという可能性はもちろんあります。
一番私が恐れているのは、使用済燃料プールが実は宙づりのような状態になっていたのです。3月の中ごろの爆発によってですね、使用済燃料プールのさらに下にある階までが、爆発で吹き飛んでしまっていて、使用済燃料プールが支えを失っている状態でした。
東電のほうももちろんそれに気がついていて、余震でプールがひっくり返ってしまうようなことになれば、それでどうにもならなくなるということで、東電は補強工事をすると言いましたし、多分それは何がしか進んで、多分終わったんだと思います。
ただし、補強工事をしたと言っても、もともとの構造物のように強固ではないはずで、余震がきて使用済燃料プールがひっくり返ってしまうようなことになるのを、私は今でも恐れています。
そうなると、大量の使用済の燃料が溶けてしまうということになると思いますし、大量の放射性物質が空気中に吹き出してくるということになると思います。
ただし、水素爆発は多分起きないです。
崩れ落ちてしまうと、建物の中ではないので、水素は簡単に拡散してしまいますので、爆発ということは起きないと思いますが、でももう手の打ちようがなくて、次々と溶けていきますので、大量の放射性物質が大気中に出てくるのは、避けられないと思います。

まだまだ予断を許さない状況だという感じですが、藤田さん、いかがですか?
(藤田氏)そうですね。先生、今回のキセノンの検出について、ちょっと話を戻すんですが、これは政府が掲げている年内の冷温停止という目標には、直接は関係する事態ではないというふうに考えてよろしいのでしょうか?
(小出氏)えーと、冷温停止なんていうこと自身は、全くできませんので、そんな言葉に未だに政府が固執してることが、私にとっては随分おかしなことだと思えるのですが、とにかく原子炉を冷やしていくという作業を行う中で、自発核分裂があるということは、もう初めから当たり前のことであって、このことで彼らの工程表が改定されるとか、或いは実際に行う作業が変わるということは無いと思います。

(藤田氏)なるほど。

あの、次はこのニュースで、これでいいのかな?というニュースが入ってるんですけれども、東電は、昨日、福島第一原発の構内全域で、事故の後作業員に義務付けていた顔を覆う全面マスクをですね、構内と作業拠点になっている免震重要棟の間や、5号機と6号機の間を移動するときの車の中では、免除するということを発表してるんですよ。
でも、空気中の放射性物質濃度が低いからということなんですが、風でほこりが舞い上がったりしたら、すぐに濃度が高くなったりしないんでしょうか?
(小出氏)もちろんしますね。
ただ、それは、どこまで我慢をするか?ということの、いわゆる取引でしかないと思います。
全面マスクというのはですね、とても息苦しいもので、それをしてるだけで苦しいし、作業ももちろんしにくくなるわけです。
ただし、なるべく放射性物質は吸い込まないほうがいいので、息苦しいなんてことは言ってられないという状況はもちろんありますので、そういう時には、どうしてもやらなければいけない。
でも、ずっとやっていて息苦しさが続くようなことよりは、むしろある範囲では全面マスクを免除するという方が、全体の作業にとっては良いという判断は、あり得ると私は思います。

うーん。
では、そのバランスを考えてということなんですね?
(小出氏)あの、皆さん一度全面マスクをしてみたらいいと思うのですけれども、あんなものをしたらば、とても仕事ができないというくらい、嫌なものです。

はぁ・・・。
でも今はそのマスクをしながら、作業をずっと続けているという状況にあるんですよね。
(小出氏)そうですね。それをしなければ、内部被曝をしてしまうので、もう作業がやりにくいなんてことは言っていられない、とにかくマスクは必要だと言ってきたのですね。はい。

判りました。
先生、ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】

【参考記事】

東日本大震災:福島第1原発事故 作業員の全面マスク着用、一部免除の方針
毎日新聞 2011年11月2日 東京朝刊
 東京電力は1日、福島第1原発の構内全域で事故後、作業員に義務づけていた顔を覆う全面マスクの着用を、8日から構外と作業拠点の「免震重要棟」や5、6号機間を移動する車内などでは免除すると発表した。空気中の放射性物質濃度が同社の着用基準(1立方センチあたり0・0001ベクレル超で着用)を下回っており、作業員の負担を軽減するためと説明している。携行は義務づける。【岡田英】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111102ddm005040149000c.html

失礼します。
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