※この記事は、10月26日 【内容起こし】福島第一原発設計技師(田中三彦氏、渡辺敦雄氏、後藤政志氏):地震の揺れで機能喪失を指摘【その②】の続きです。

<44:00頃~>
(後藤氏)
後藤政志です。
引き続きまして、格納容器の機能喪失ということで、今、最初から配管破断から配管破断があっても、格納容器というのは配管破断しても、格納容器で中に放射能・水素、すべて含めてですが、閉じ込められるという機能を持ってるわけですね。

38-1


それが、何らかの理由で機能喪失。
先ほど渡辺さんから話がありました。つまり、設計圧力、大体4気圧くらいのものが、大体2倍くらいになった。これが、問題なわけです。
39
これは、11日から12日にかけて、既に一番最初からわかってた問題です。
それについて大前提として、なぜそうなったかということは、格納容器の設計圧が上昇する可能性としては、非凝縮性ガス、つまり水素ですね。水素が設計条件で、水素の量、もともと炉心溶融を考えてませんので、水素が大量に出ると確かに加圧します。
それから、最終的に、原子力プラントというのは、原子炉を冷やして格納容器も冷やして、つまり、最後に海水まで熱を持っていくわけです。長期的には。
そうすると、最終ヒートシンク、これが無くなると、駄目だというのは事実です。
これは、この辺のシナリオで多分事故が起こったという主張を東電はしてるわけです。
それをただ、もう一つ大事なのは、先ほどから話に出てる、いわゆる圧力容器、抑制機能の喪失ということになります。
私の話としては、格納容器の機能。これは大体重なってますので、省略しまして、主にですね、スロッシング。つまり、プール、圧力抑制プールに大量の水があります。その水面が地震によって揺れる。
揺れることで二つある。
その一つが、動的な荷重で、先ほど渡辺さんの話にあったように、荷重としてかかるというのと、もう一つは、圧力抑制機能を果たすための蒸気配管、そこが露出してしまう、その二つが問題になります。
40

格納容器というものは、加圧水型と、沸騰水型とありまして、これは加圧水型の例ですけれども、こまかい話はまたここでは省略します。
ただ、加圧水型が問題ないとは言ってないんです。
今回は沸騰水型の問題が明確になっただけであって、加圧水型もここにありますように、水素の問題とかあります。これは別途またお話します。
41これが沸騰水型の3つのタイプで、いずれもプールが下にあるわけです。これはリングの下。マークIIはこの容器の下になります。ABWRという最新型の格納容器も下にあります。
ここで問題にしてますのは、ここのプールの話をしてますが、実は同じようにプールがあるわけです。
プールの中で、蒸気を凝縮するという方法は、沸騰水型の共通の問題です。
ですから、沸騰水型の問題として、基本的な設計問題としてあるということは、他に影響する。つまりすべてについて検証する必要があると、そういうことになります。
破損の場所、破損、或いは機能喪失という点で、いくつか考えられます。先ほど渡辺さんが、壊れたところとか示されたように、あそこの絵、こういうところなんですが、荷重がかかって直角方向に曲がるということ。それから地震によって、トーラスというのは、リング状の大きな容器ですね、それ自身が、あの容器自身はある程度計算してるはずですけど、実はそれを支えるための細かい部材なんですね。なかなか図面では入手できないんですけど、そういう支えてる部材がどこかで外れてしまって、それにまたさらに地震が重なると、先ほどお話があったように、大きな容器の溶接部がズレるということは、十二分に考えられるということなんです。そういう問題。

42


或いは、もう一つは、真空破壊弁の固着というのがありまして、さきほどのドライウェル、格納容器の本体と圧力抑制室の間にある、型、逆止弁なんですけど、それがもし開いた状態になってると、穴が開いたらここになってまして、やはり蒸気の凝縮性が落ちます。つまり、圧力抑制機能を失います。
その一番わかりやすい例は、保温材のようなもの。
例えば配管が壊れて、この弁が飛びます。
それが間に挟まっただけでも締まりません。
そういうことがあり得るわけです。これは想像できます。
また、そのスロッシングというのがこれなんです。
下の加圧の話は、ちょっと省略します。
43話を絞らなければいけないので、スロッシングの話を中心にしますと、ちょっとわかりにくいんですが、地震動というのは非常に短い振動から非常に長い周期の振動まであります。これは、周期と言っていますから、1というのは、1秒ですね。1秒で1回揺れると、そういう意味です。
この1秒という周期に対して、例えば中層のビルだと1秒となってますけど、配管とかになると大体0.いくつと、こういうオーダーです。プラントの場合。
建物は1秒とかこういうオーダーで、大きなタンク、石油のタンクがスロッシングで壊れましたが、それだと10秒オーダーになります。
それに対しまして、地震波は、いろんな成分が入ってますので、どういう地震が来るかによって、これは変わります。
さて、スロッシングの例としましては、一番もとになりましたのは、タンカーです。
タンカーが液面が少し下がったところにありまして、船が揺れますと、液面の動揺で損傷したので、昔ずっと研究してました。
44私自身は、もともと船屋だったので、若干こういう関係は知っております。
陸上のタンクが実は損傷したこと。
あと柏崎では、使用済燃料プールが地震で揺れて、逸水。水が出ております。
そういうことを前提に考えますと、マークI型の格納容器の例でどうなるかというとでございます。
スロッシングというのをイメージとして見ていただきますと、単純にこういうことですね。
これ、直径Dのタンクがありまして、それに大体なんですけど、オーダーとして見ていただきますと、10m、20m、30m、40mと直径を変えますと、固有周期というのが大体3秒から7秒くらい。これが7,80mまでいくと、10秒くらいになるんですね。
45ですから、タンクが大体数秒から10秒くらいというのが相場でございます。
これ揺れることがどういうことかといいますと、単純にはこの真ん中の状態で、液面が動揺すると、その分ここの圧力が上がるんです。力がかかります。
そういう意味では、若干強度的な問題があるんですけれども、ここの、これ自身、この荷重でここが壊れるということはありません。ほとんど。想定構造的には考えられません。
あるのは、この上がってですね、この蓋の部分がボンと浮いて、壊れて石油に火が付く、そういう現象。或いは、今日問題にします、水面が落ちて問題になる。これが火災が起きた時の例です。
特徴は、スロッシングの特徴は非常に周期が長いので、減衰、つまり減りません。
例えば、普通の地震でいったら、数十キロの単位を問題にしますが、200㎞先でも、十勝沖地震のとき、M8で200㎞先でスロッシングで火災を起こして倒壊してる。この地震力もそんなに大きくないんですね。つまり、ゆっくりした周期のこれが、この波に同調すると、最初は揺れないんですけど、だんだん揺れてきて、増幅して壊れる。46こういう関係になります。
これが壊れた後の図になります。
そういう意味で、新潟1964年、78年に宮城沖、83年に日本沖中部地震、そして十勝沖が2003年。これだけの規模の石油タンクの事故があったんです。
これが問題になりまして、建築学会ではずっと総力を挙げて、????の問題を研究してまして、その中の部会が石油タンク専門の部会ができてやっていた。それを元にして、私は報告しています。
この時に、一例を申し上げますと、2003年、十勝沖地震は、この地震力は、もとは最大M8なんですけど、実際に地震動は離れてますから、震度5弱なんです。
震度5弱って、最近我々体験してますよね。
あのくらいの地震で、千キロリットル以上のタンク283基中164基が何らかの損害47を受ける、そういう関係なんです。
そうしますと、東京電力も
「地震によって壊れることは無い、余裕がある」
と言ってますね?
それは、構造的な意味を言ってるんです。
もちろん構造的な問題もありますが、それだけではなくて、こういう機能を、こういう周期の違うものに対して、動的なものは全く別次元の問題が起こってくるというふうに考えざるを得ません。
これは、柏崎の地震のときのシミュレーションを東電がやったものです。
ちょっとわかりにくいんですが、ここに使用済燃料プールが、ここの赤いところにまだあったんです。それが、地震でゆれて、2.9m落ちました。つまり2.9m分水が無くなった。
ただし、使用済燃料はもっと下の方にあるから、安全だと、こういう評価をしております。

48

49


50


これがその時の地震動なんですが、こういうふうに計算してやったと。
ただ、これは今の話は、水面が下がったというだけでは問題ないというのは、使用済燃料プールの話です。
私が言いたいのは2.何mも柏崎で水面が落ちたという事実です。
これが大きいんです。

51-a


これがマークI型の格納容器15基。
マークIIが10基。
ABWRが4基。
現状このようになっております。
それらがどういうふうに、この話は先ほどありましたので、省略しますと、動荷重もいいですね。
問題は、先ほどありましたように、一つはこういう構造的な破損。それから先ほど申しました真空破壊弁が通通になる。
52つまりここのドライウェル、格納容器のこちら側。配管破断とかが起こって、圧力が上がったのを圧力抑制室の空間との間が通通になってしまったら、ここで水で凝縮できなくなる。これがポイントです。
ですから、それに関わる現象があれば、それを以て格納容器の機能を喪失すると、そういう関係になります。





53これが、その写真ですね。
これは、圧力抑制室の下の方です。








54これは水面がこの辺にありまして、ダウン窯というのが、1.2mくらいですかね。こういう関係になっております。
これが、やはり底の水面がここにありまして、ベント管。ベントヘッダがここにありまして、くるっと回ってるわけですね。






55これが真空破壊弁が付いてるところです。ここが真空破壊弁で、ベントヘッダがくるっとまわってて、ベント管がこちらから当たってると。そういう状態です。








56これは真空破壊弁の実際の写真です。










57こういう機能になってる。
こういうふうに蓋になってて、こちらからは圧力がかかると閉じる。こっちからは流れる、そういうふうに逆止弁になってるということです。







58それで一つ、設計の基準の考え方で、先ほど渡辺さんがおっしゃっていたんですが、耐震設計の基本的な考え方が繰り返しになりますが、地震とですね、その冷却材喪失事故、事故ですね。事故による荷重。








59これが同時に起こることが、非常に大きいんですね。
これはですね、それぞれはやってるんです。地震に対しては当然計算してます。それから冷却材喪失事故、配管破断ですね、LOCAと言います。それも別途で計算してます。
同時には計算してない。
これが一番大きいんですね。

これは原子力安全委員会の一番そこの、???は見ていただいたらわかると思いますが、荷重の重なるやつは、確率的にやる必要がないというふうになっております。

60さきほどに絵を示してます。
ここでどのように起こったかとシミュレーションをやりました。
マークI型の浜岡の3,4号を大体参照しました。
プラントを圧力抑制室のところの水とダウン窯、それからベントヘッダというリング状の管ですね。これを解析元に入れまして、計算をしました。
地震動は、第一福島の本当は1,2,3号機を入れたかったんですが、途中で切れちゃってない。
これ、酷い話ですね。
地震荷重が取れないというのは、非常に不謹慎です。はっきり言って。
今回だけじゃないんです。
柏崎でも同じことがあるんです、もう一回前にもあるんです。3回あるんです。
これはですね、地震というのは、最終的には地震の地震動を取って計算するのですから、本気で地震のことを心配してるんだったら、絶対にそれを逃がしてはいけないわけなんです。
それを3回も逃がしてるというのは、これとんでもないんです。

61


62ちゃんとしたデータが取れないので、仕方がないので、これ6号機のデータを使いました。
6号機のデータを増幅した形で計算をしています。
これは、固有値解析といって、スロッシングでどう揺れるかを検討した、理論値との官益を概略をやってみたんですね。






これが、そのプールの結果です。
今からこの結果をお見せします。
【動画】<58:20頃~>

63


今、地震荷重を入れたところでゆすり始めました。非常に時間がかかります。
この色が変わってるのが、水面が上は高いところ、赤が高いところ、青が下がってるところです。大体青くなってるところは、露出、つまりダウン窯が出ちゃって、蒸気が出ちゃうと、そういうレベルのところを表しております。
これは非常に最初は、ほとんど判りませんけれども、時間とともに大きく揺れていきます。
この地震動は、水平方向、こちら方向と上下方向を揺れて計算しております。
非常に不確定性、不確定性というのは、地震や波の形やいろんなものによって条件変わりますので、現象そのものは起きやすかったり起きにくかったりします。
ですけど、明らかにこういうあるレベルの振動を与えれば、確実にスロッシングが起こるのは間違いない。
それは、先ほどもお話しましたとおり、石油タンクもそうだし、柏崎の使用済燃料プールでも、実際にある現象なんです。
ということは、解析せずともこれはあり得ると言ってもいいかもしれません。
ただ、いつも何かを言うと、なんか変な解析をやってきて、いつも変な反応が出てますので、たまにはこちらから解析結果を出してく。それをやってみたんです。
【動画】<01:00:00頃~>

64


これは、今の断面を見てるとこです。
この縦の線がダウン窯を意味してまして、これ段々、揺れてくるわけですね。
これ、かなりコンピュータシミュレーションは、かなりのレベルでできるようになってまして、こういう解析は流体のほうでできます。こういうふうにゆすってるわけですね。
それでただし、この場合、工学系がご専門の方だと、あれされると思いますけど、容器そのものは、剛体扱いです。つまり変形しないと仮定しています。
あの、大きな影響は多分、この場合ないだろうと推測しましたので、そういうふうにして解析しています。
ただ、一点だけ、私がちょっと判断を誤ったことがありまして、この解析ですね、水平方向1軸と、上下重ならせました。
直角方向はですね、円形なので重ならせても大して違わないだろうというのが、私のすごく、私のいい加減なエンジニアルジャッジでやったんですよ。そしたら、後からわかったことは、建築、機械学会の論文とか見ていくとですね、
「縦と横は、ものすごく重なる。だから、直角方向を必ず重ねて計算すること」
と書いてあるんです。
「そうすると、足し算じゃなくて、もっと増幅する。急激に立ち上がることもありうる」と書いてあって、それを見て「しまった」ということで、ちょっと間に合わなかったので、今日は一方向だけだと。
つまりこれは、決して高めのことを言ってるのではなくて、もっと大きくなりうるということも背景にあるということをお話したかったわけです。

65


圧力抑制プールのスロッシングについて、お示ししましたけれども、そういうことで、非常に長周期のものがあって、これが福島の地震で大きな長時間の揺れがあって、大規模な余震があった。何回もあった。それと事故条件とが重なることは、明確にあるわけであって、これは単に小手先ではありません。
プラントそのものの根底。
一番最初の設計にもどってやらない限りはだめなんです。
そういう関係になります。
ですから、ストレステストとか、先ほどお話にありましたけど、そういうもの全て、ここは大前提になるのは自明だというふうに私は思っています。
当然、原子力安全委員会も保安院もそれを査定に入れて、全部解析やるということを、私は前提に考えています。
それをしてなかったら、もう信じられないということになります。
マークIだけではなく、マークII、ABWRも動揺に至急検討要です。
これの問題の大きなところは、設計の基本的な問題ということは、今、同じ地震があっていったときに、そのまま逝っちゃうんです。
格納容器があるからいいと言ったのは、全部ウソになるんです。
突破されるということがあり得るといってるんですから。
それがあり得るということは、それをきちんとやるのが、安全の問題だとそういうふうに考えています。
まとめますとこうなります。

66


想定以上の地震・津波があるのは、これは地震学会でも出ておりますし、もう自明ということになってます。
そうすると、今までの設計条件を超えることがあるということが前提ですね。
そうすると、今まで以上にそういう地震が生じるということであると、多重故障ですね。つまり、津波に入らないんです。津波は「One of them」一つの例に過ぎない。何らかの、地震も多重故障の一番の根幹ですから、そういうものを考えて、安全の確保をしない限り、とても今の日本でこのまま運転を続けて、今現在続けてること自身が非常に心配があると、そういうことになります。
その意味でも、事故原因の解明と、それを想像力を働かせてその影響を見るということが、絶対必要だというふうに考えております。
以上です。
<01:03:50頃まで>
【以下質疑応答ですが、割愛します。】

最後まで見ていただいて、ありがとうございました。

失礼します。
にほんブログ村 環境ブログ 原発・放射能へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他生活ブログ 東日本大震災・震災復興へ
にほんブログ村