※この記事は、10月26日 【動画・内容起こし】福島第一原発設計技師(田中三彦氏、渡辺敦雄氏、後藤政志氏):地震の揺れで機能喪失を指摘【その①】の続きです。

●原子炉冷却材喪失事故(LOCA)
原子炉の冷却系の配管などが破損したり、あるいは弁が開いたままになったりして、そこから原子炉冷却材が流出する事態を原子炉冷却材喪失事故(LOCA: Loss of Coolant Accident)という。LOCAが起こると原子炉は自動的に緊急停止するが、停止後も核燃料の中に蓄積された核分裂生成物が熱を出し続けるので、炉心が過熱して破損することを防ぐためには、十分な冷却を維持しなければならない。このためにはまず、原子炉の中の冷却材を減少しないように維持することが必要である。
万一のLOCAに備え、原子炉には非常用炉心冷却装置(ECCS)と呼ばれる安全装置が設けられていて、ポンプや窒素ガスで加圧されたタンクなどで構成されている。LOCAが起こって原子炉の中の圧力が下がると、このECCSが自動的に働いて、タンクなどに貯蔵されている低温の水を原子炉に注入する仕組みになっている。
http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/ke36.html

<25:30>
(渡辺氏)
渡辺敦雄と申します。よろしくお願いします。
引き続きまして、今田中さんがご説明した、格納容器の中の配管破断、LOCA、冷却材喪失事故が起こった場合、起こったんであろうと推定しましたけれども、私は起こったことを前提として、これから
「原子炉格納容器というものに、どのような荷重がその時起こるか?生じるか?」
ということ、その結果、実際には多くの構造物が壊れる可能性を秘めているので、その辺を地震の荷重等含めて、お話していきたいと思います。
座らせていただきたいと思います。
そもそも、繰り返しますが、事故原因の科学的究明というのは、非常に事実をまず、冷静に評価をしてみるということが大事です。
その時に、既にいろんな報告書に出てますけど、もちろん政府の報告書ですけれども、タービン建屋内の地下の水上昇とかを考えますと、処理量とそれから実際に残ってる量を考えた、これを我々は物質収支と呼ぶんですけれども、バランスが取れてないんですね。
この結果どういうことが起こってるかというと、建屋に亀裂などの損傷がもう既に起きていると考えざるを得ない。つまり、地下水が流れ込んでるということです。建屋の外から。
それともう一つ、水素爆発をした。
皆さんは、爆発というのは、ほっておいてもするだろうと思ってるかもしれませんけど、これはとんでもない誤解でして、例えば、家庭のガスを出しますね。カチッと。皆さん無意識に火花を散らしてますけれども、火花が散らなかったら、ガスは永久につきません。爆発しないということです。火が付かない。
だから、この場合ですね、地震が起きて、津波が来て、電源が喪失されたときに、そもそも原子力発電所には、燃えるものというのはほとんどないわけです。
ですから、考えられるものは、火花だけしかないわけです。
では、「火花以外に何が着火源になるのか?」ということですね。
それは、結論的に言うと、余震や本震かもしれませんけど、まぁ本震は既に済んでいるんですけれども、余震でですね、私は配管が擦れたり、或いは何かが落下して、金属同士が接触して火花が散るということがあり得ると思いますので、そういうことが必ず起こったと思います。
つまり、着火源があったということです。これは地震で起きたに決まってるんです。
ということを考えると、事実評価、ありそうもないことまで含めてですね、このイマジネーションというか想像力を駆使して、趣旨の仮説を検証して結論を導くというのが、本当の科学的究明ではないか?ということだと思います。
そこで、私たちは、
「格納容器圧力の上昇と水素爆発は、両方とも地震が原因ではないか?」
と考えております。
これは、後程、後藤さんのほうから、スローシングの説明をすると思うので、格納容器は、先ほど田中さんが
「マークIは欠陥が当初からあった」
というのは、当たり前ですね。
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マークIというのは、改良型1号機という意味ですが、作って設置した瞬間に、改良型2号機の設計を始めてるんですね。
改良するということは、どういうことですか?
皆さん、考えてください。
問題があるからでしょ?
そういうことが、この問題こそが、今日私が説明する欠陥なんです。

まず、水力学的動荷重というのはですね、ちょっと原子力村の言葉で申し訳ないんですが、『原子炉冷却材圧力バウンダリー』というすごく難しいんですけど、要するに格納容器の中、圧力容器の中ということなんですが、ここでLOCAが、冷却材喪失事故が起きて、1号機が原子炉格納容器に噴出して、非・凝縮性窒素、もともとドライウェル、原子炉格納容器の中には、窒素が入ってるんですが、これは酸素と水素が出た時に、バクメイキにならないようにという理由で入ってるんですけれども、この窒素は当然ですけれども、非凝縮性です。或いは、非圧縮性ですね。非・圧縮せいですが、圧縮はされますが、凝縮はしないので、上記の原子炉格納容器の動荷重が起こる。
そしてさらに地震によるスロッシング動荷重が起きて、私たちが今、仮説であったろ過と地震荷重が組み合わさっている、というかほとんど確実にこれが起こってます。
<30:20頃~>
それで、ここが本題ですが、水力学的動荷重というのはどういうことか?
皆さんのお手元には、細かく文章で書いております。
これを私はこの絵で説明していきます。
まず最初にですね、これです。
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LOCAが発生します。そうすると、まず何よりも、70気圧の濾水がですね、外に吹き出すわけです。1気圧の外に。通常の我々の大気圧ですね。
ここに吹き出すと当然、まず最初に出てくるのは、衝撃波です。圧力波。
皆さんが、ジェット戦闘機が時々バーンと行くときに、バーンと音がするんですが、あれが圧力波ですね。超音速で出るんですけれども、この圧力波が猛烈な振動を伴って、そこらじゅうにぶち当たります。それこそ、こういた構造物全部にぶち当たります。これは空気というよりは波なので、一撃、一瞬のうちに収まってしまいますが、これも相当大きいモノだと確信しています。
28その次にですね、吹き出した蒸気と、それからもともとあった窒素が猛烈に圧縮されて、70気圧の蒸気はですね、実験によれば、我々実験をしたデータを持ってるんですけど、我々というか、原子力関係の設計者の皆さんは皆持ってるんですが、ここが3気圧くらいになるというデータがあります。
これは、先ほど田中さんが詳しく言ってたんですが、大きな炉心の溶融どころではなくてですね、60㎝とか1m近いような口径を持つポンプ、再循環配管というのがあるんですけれども、これがギロチン破断といいまして、真っ二つにズドーンと割れるという前提とした実験をしています。
この実験の結果ですね、それでも、ものすごい量で吹き出すんですが、それでも、大体3気圧くらいには、もともとドライウェルの空間が非常に大きいので、大きな空間に圧力の高いモノが噴出しても、そのくらいになるということで、約3気圧くらいになります。

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3気圧になるんですが、もともと窒素が入ってるので、窒素も3気圧になるんですね。その窒素と蒸気が猛烈な勢いで、このベント管から水の方に出てきます。この水を吹き出してくるんですが、その時にこういうふうにですね、蒸気は凝縮するんですが、非凝縮性の窒素は当然凝縮しません。
ところが、ここに実は水封されてまして。この空間とこの空間は、水で水密構造になっています。
そういうことで、窒素は3気圧出ていく窒素は、ここは1気圧ですから、風船が膨らむように、猛烈に膨らんできます。
膨らんできたときにですね、水を上になんていうか、背中にある水をドーンと上に突き上げるんですね。
これをですね、我々は『プールのスウェリング現象』と呼んでいます。
スウェリング現象、つまり上昇ですね。プールの水面が上昇する。
この水撃がですね、猛烈な勢いでここに当たります。
30この絵で書いてあるような感じで、猛烈な勢いで動荷重として時間的に変化しながら当たってきます。
その後ですね、窒素は、このブレイクスルーと言いまして、窒素が噴き出ていて、空気の力も加わります。
その後『フォールバック』といって、水の水滴が落ちてくるということで、ようやくこの一秒にもならない時間、こういう衝撃的な荷重がかかるわけですけれども、これを第一の水力学的動荷重と呼んでいます。
その後ですね、別の力としては、『チャギング』という現象が起きます。
これは、夜中に私の家もときどき起こるんですけど、夜中に水道或いは排水溝に、時々ポコンポコンと音がするんですけど、あれは、水が上下運動してるんですね。差圧の関係で。
32これも同じように、この後は蒸気がずっと定常的に出るんですけど、この蒸気が出るときに、蒸気がこの口のところで、すぐ溶ける場合と、その溶けてしまうと真空になりますので、ぱっと水面が上がってくる、こちらのダウン窯のほうに、つまり配管のほうに戻ってくるような、この繰り返しを行っているんですね。これをチャギングと言います。
これ、結構しつこい荷重でして、つまり蒸気が出てる限り起こってる荷重ですね。
今、ざっとですね、私がイメージとして、皆さんの頭の中でしてほしいんですが、まず圧力波があって、ベントクリアといって、窒素と蒸気が猛烈な勢いでぶつかりながらここへ来る。そして、気泡が形成されて、スウェリングが起こる。
ということで、ちょっと私っこを省略したんですが、実は、これらの荷重よりももっと恐ろしいのが、このベントクリアの時に、衝撃荷重として、ここにかかるんですね。
いわゆるジェットインピンジメントと言っていますが、ジェット衝撃力ということです。
これ、簡単に言うと、皆さんの水でいうと、皆さん、水道のシャワーを浴びるときに、体に若干気持ちがいいですよね。少し圧力があると。
もっと、大体2気圧ですけども、もっと圧力を上げると、そのうち痛くなります。この痛みという、この痛みを感じる、この痛さこそが、『ジェット衝撃力』と言われる荷重でして、これが最初は窒素で、その後で蒸気で来ます。その蒸気も超音速の蒸気がですね、吹き出してくるわけです。
この蒸気が噴き出してくるんですが、その時に猛烈な勢いで、方向を転換するんですね。これがですね、実はマークIの最大の欠陥なんです。
35先ほど、もう一回マークIのみなさんのお手元には、絵がありますので、見てもらえばわかると思いますが、ベント管と水の中に入るまでに、3度くらい直角に曲がってると思うんです。この直角に曲がるということ自体が、大変な衝撃力を与えます。
これは、よく専門的に言うと、『ウォーターハンマー』とか『スチームハンマー』という言葉で言ってます。これはハンマーという言葉があるように、ハンマーで叩くような力なんですね。猛烈な勢いで。
これで、私たちは、こんな荷重がかかる、つまり、ジェット力が掛かって、まず圧力波が掛かって、ジェット力が掛かって、そしてプールスウェリングが掛かって、チャギングが掛かってというふうな、非常に複雑な、しかも一瞬にですね、こういうことが起こって、ずっと続いているということなんですね。この荷重が。
ということで、ですね。私たちは、このようにですね、まず、圧力波、ジェット衝撃力、プールスウェリング、チャギングということが、既にこれは、政府でも或いはメーカーでも電力会社でも、こういう荷重がかかるということは、既に当初から問題視されて、実際に解析の結果も出しています。
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しかし、残念なことにですね、その時に同時にですね、地震が来てるということを、実は意図的にここを避けています。
なぜならですね、もともとアメリカは、ご承知だと思いますが、地震の立地点には、ほとんど原発が建っておりません。
従って、確率的にLOCAが起こるという、ApriorityにLOCAは、とにかくLOCAは無理やり起こしてるんですけど、LOCAが起こるときに、地震を組み合わせる必要はないと、つまり地震国でないアメリカでは、そういう発想を持つわけですね。
ところがそれを、技術提携といって、法的契約ですので、そのままのものを契約するとですね、そのまま変えられないんですよ。法律的な契約ですから。ですからそういった設計で、ずっと進むという前提で私たちは原子力発電所を設計してきたわけです。
そういう意味で、地震とLOCAというのを、もともとアメリカでは組み合わせていなかったので、今、こういうことになってみると、組み合わせなきゃいけないということは、特に日本では理解できると思います。
なぜならですね、この実際に本震があって、私たちはLOCAが起こって、こういう水力学的動荷重が起こったという瞬間にですね、実はもう余震が来てるんですね。
しかも余震がM7.2とかですね、とてつもないでかい余震が来てるわけです。
それは、そう考えると、次の地震荷重というものを、この二つなんですが考えなきゃいけないというのが、私たちの考えです。
これの一つが、実はスロッシングと言われる、これからもっと詳しく説明しますが、スロッシングと言われる、これも水力学的動荷重の一つです。
ということで、これは地震荷重のことですけれども、純粋に地震によって、皆さんが例えば倒れたりするのを防ぐための、その時にかかる荷重ですよね。そういう地震荷重。
こういった今になってみれば、極当たり前の、皆さんが考えても「当たり前じゃないの?」と、思うような荷重が、実は組み合わせとして計算されてないんですね。今の原子力発電所の設計では。
そういうことで、少なくともこういった荷重を入れて、設計をした場合どうなるか?という議論をしなきゃいけないと思います。
そういうようなことでですね、ダウン窯の空間露出が、先ほどは、スロッシングによってですね、空気が水の中に水没してなくてですね、外に出てしまうというような条件がありますと、スロッシングでダウン窯の空間露出が起きたと考えられます。
未凝縮の、要するに凝縮できない蒸気の圧力抑制地点の漏えいが起きます。
そうすると、圧力抑制室の圧力が、当然上昇します。そうすると真空破壊弁により、自動的にちょっとの差圧も感知して、すぐにドライウェル側に蒸気が戻るようになってまして、圧力容器なんで、圧力が平行状態になる。つまり本来なら1気圧であるべきサプレッションチャンバーが、蒸気がこういう形で凝縮しないまま漏れてしまうので、圧力が上昇するという状態になります。
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その結果、圧力平衡というのが起きます。圧力平衡が起きますと、どんどんどんどん上がっていくんですね。というのは、熱が出っ放しですから。崩壊熱が。
どんどんこの状態が続くと、やがて0.7メガパスカルになるのではないか?というふうに想定されます。
この状態が、私たちがイメージしてるシミュレーションなんですね。
定性的にお話してますけれども。
そして、格納容器からの水素および放射能の漏えいが起こって、格納容器そのものの機能が、要するに漏えいしたということは、機能喪失ですよね。
そして、さっき言ったように、何らかの形で火花が散った形、つまり地震によって、僕は火花が散ったと思ってますが、水素爆発と周辺地域への放射能の漏えいという結果になってくるわけです。
ただし、この注ですけれども、未凝縮蒸気の圧力抑制??への漏えいというのはですね、何もスロッシングだけで起きるわけではなくて、先ほど言いました水力学的動荷重、いろんな動荷重かかりますよね。
そういった動荷重で、中の機械が破損してしまうと、それは水の中にも蒸気が入らない状態になります。それはスロッシングで露出したんではなくて、もともと例えばベント管の足がちぎれてしまったとか、そういう状態になれば、こういうことは起きますので、それはわかりません。中に入れませんので、分かりませんが、いずれにしてもそういう状態が起こったから、0.7気圧になったんだというふうに我々は考えているわけです。
衝撃荷重については、こんな感じで、こういう直角に変化するところで起きていくよというのを、絵として示しています。
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それから、ここに水素が溜まっているにせよ何らかの形でここは圧力があがりますと、どうもどこかで漏れる可能性がある。或いは破損しているかもしれませんけれども、漏れる可能性がある。その漏れたから、問題が起こったと思うんですが、原子力学会のある会員の方もですね、前回北九州でやった原子力学会でも、漏れたことは認めているような論文を出してますので、我々だけが言ってるわけじゃなくて、実際に原子力の現在の関係者の方々も、そのような推定をしていると私は思っています。
要するに、このようないろんな荷重がかかって、最終的にはここから、どういう形にせよ、何かの破損があったということで、先ほどの田中さんが言ったのと結びつくんですが、外に漏れて、そして漏れたのが地震の余震とか、そういうもので着火源があったために爆発したというようなことが、私たちが考えている地震とLOCAの組み合わせによる爆発の過程というふうに結論を出しているわけです。
以上で説明を終わります。
<44:00頃~>

【その③】へ続きます。
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