正直に申し上げます。
これが通ってしまったら、全てなかったことになります。
起こしながら、心臓が飛びでそうでした。

どうしたら止められるでしょう。

20111005 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】

東京には近藤さんです。
まず、私たち一般の住民が一年間にどれだけの被曝をしてもいいと国が定めているかという、この数字についてのニュースから伺いたいと思います。
被曝線量の基準を検討している国の放射線審議会基本部会というところがあります。
ここは、一般の住民の被曝線量の限度の数字を変えようとしているらしい。そんなお話が出てきました。
これは、小出先生がいつもおっしゃる、一般の住民は、年間1mSvまででしたよね?
(小出氏)そうです。

そうですね。
被曝線量の限度は年間1mSvでしたね。
ところがですね、この基本部会は、この1mSvについて、
「達成することは当面困難だ」と判断しまして、どうするかといいますと、20mSvから1mSvの間で限度を緩和した、緩めた中間目標の設定を認める提言を近くする方針だという話が伝わってきました。
まずは、小出さんの感想を聞かせてください。
(小出氏)はぁ・・・・。
まずは、呆れました。
ただし、今現在福島を中心として、1mSvを守ろうとすれば、膨大な土地を放棄しなければもうできないという現実は、確かにあります。ですから、その現実の中で「もうどうしようもないから」と言って、国の方は、国民に被曝を強制するという方針に打って出たということですね。

小出さんは、この広大な土地を捨てなければいけないくらいの被曝であるということは、事故直後からずっとおっしゃってきました。
(小出氏)そうです。

ただ、年間1mSvを守るというのが、国の定めなんだから、これを無視するのは法治国家ではないとおっしゃっておりましたよね。
(小出氏)多分、そう論理的な帰結でいけばそうなるしかないと思ってきました。

「その法を守ることができないから、じゃあ今度は法を変えちゃえ」ということですよね?簡単に言ったら?
(小出氏)そうですね。それが法治国家という国のやることなのかどうか、私にはよくわかりませんが、随分身勝手な国だなと思います。

これは、具体的にどのような目標数値になってくるか、いろいろあると思いますが、例えばこの一番大きな数字であります、20mSvというものを年間の限度に定めたとしましょう。
どういうことになるんですか?
(小出氏)私は、放射線に被曝した時に、どれだけのリスクがあるかという評価に関して、米国のGofmanさんという方のデータを信頼しています。
そのGofmanさんの評価によると、1mSvという現在の国の基準を1万人の人が被曝をすると、そのうち4人がガンで死ぬという…

1mSvの基準で1万人が被曝すると、そのうち、4人ががんで死亡する。
(小出氏)はい。もし20人まで許すとすれば、80人がガンで死ぬということになります。

数値でいうとそういう数字になるんですね?
(小出氏)はい。そして0歳の赤ん坊は、平均的な人間に比べて、4倍危険があるので、0歳の赤ん坊が20mSvの被曝をさせられてしまうと、1万人のうち、320人の赤ん坊がやがてガンで死ぬということになります。

はぁ・・・・。
この数字をどういうふうにとらえるかでしょうけれども、小出先生はどんなふうにとらえますか?
(小出氏)私は少なくとも子供というものは、現在の原子力を選んだ責任はありませんし、事故が起きて、膨大な汚染が起きていることに関しても責任がないのですから、何としても子供を守らなければいけないと思いますし、1万人に320人もの子供をガン死させるということは、私は容認しがたいです。

近藤さん?
このこうした話が出てきた、つまり法律の方を変えようという、このやり方ですよね。
(近藤氏)だから、この問題は、科学っていうレベルよりも政治の世界の話じゃないんですかね。つまり、1年間に20mSvまで我慢させるという、これは要するに政治の世界でそういうふうに、もともと法律ですから決めていくわけですから、今出てる動きも科学者うんぬんかんぬんのレベルを超えたところで、何かことが動いているという…。

でも、政治って、国民の安全、国民を守るのが政治じゃないんですか?政治的というなら。
(近藤氏)そうですね。

逆ちゃいますの?これ、やってることは。
(近藤氏)だから、おかしいわけですよ。

これが政治的なんですね?
(近藤氏)そうですね。

私はね、素人考えですけど、非常にこれは経済的な問題でもあるのではないか?と疑うんです。
というのは、これ、今除染をどれだけの地域に対してするかというのは、非常に大きな問題だと思うんですが、当初5mSv以上のところを除染するという話が出て、福島県知事も各自治体も非常に反発なさいましたよね。
そうすると、細野原発大臣が、「いやいや1mSv以上のところも、除染を国の責任でしましょう」という話になったと思うんですが、そうした論議が吹っ飛ぶ恐れはないでしょうか?小出先生、いかがですか?
(小出氏)そうですね。全体が多分吹っ飛んでしまうと思います。除染もしなくてもいいということも言い出す可能性すらありますね。

うーん。
もし全部を1mSv以内にってなると、ものすごく多額な費用がいりますでしょうからね。
(小出氏)そうですし、私は除染というのは基本的にできないと発言をしてきましたし、恐らく福島県のかなりのところは、どんなに除染を頑張ろうと、1mSvを守るということはできないだろうと思います。

近藤さん?
(近藤氏)だから、この原発に関しては、僕は政治と経済の線引きっていうのは極めて難しいと思うんですよ。つまりそれは、いわば一体化したもので、だから、国策って言ってるわけですから、今、除染の問題も含めて、同時に起きてる動きというのは、原発を如何に依存、依存というよりも、守っていくか?ということのほうに傾いてますよね?

政府がですね?
(近藤氏)それも含めて、政治の動きの中でとらえたほうがわかりやすいっていいますかね。

わかりやすいですね。
わかりやすいですけど、それが本当に国民にとってどういうことにつながるか?というと、先ほど小出先生がおっしゃったみたいに、やはり将来の子供たちのリスクが非常に大きくなると、ここは、確実に言えることなんですか?小出さん。
(小出氏)そうです。

はぁ・・・・。
(近藤氏)プルトニウムが検出されたニュースの時に、要するに「そんなものは、いろんな核実験が起きてて、そのくらいの微量は世界中にあるんだから、今更そんなことどうのこうの」
ということを言うてたんですかね?
(小出氏)はい。言ってました。
(近藤氏)言ってましたよね?あれも、要するに、酷い理屈でしょ?
(小出氏)そうです。大気圏内核実験でプルトニウムが大量にばら撒かれたのは、本当ですけれども、それによって世界中で多分ガンの発生率が増えたはずだと思います。ですから、それに何がしかの上乗せをするのであれば、それもまたガンの発生率の上乗せ分が生じてしまいますので、「嘗てあったから、今回も問題ない」というような理屈は、通用しません。
(近藤氏)そうですね。

私は、小出先生、この1mSvっていう数字を見直すというのは、ものすごいショックなんですけど?
(小出氏)そうですよね。日本という国が日本に住む人に対しては、これだけのリスクまでしか与えないとしてきたものなんですよね。それを、原子力を奨めてきて、事故が起きてしまえば、その事故を起こしたことに責任があったはずの国家が、もう法律を変えてしまうと、今言っているわけで、本当に私たち、国民ひとりひとりがこんなことを許していいのか?或いは、こんなことを生んでしまった原子力をこのまま見逃すのか?と、そういうことだと私は思います。

民主党の動きで一つ、お伝えしますとね、これ、民主党は原発を今後どう考えていくのか、その大きなカギを握るであろう人事がひとつありまして、民主党って前原さんが政調会長で、この方がうんと言わないと政策は前に進まないシステムを野田さんが作られたそうですけど、前原さんがある人事を行われました。
政策委員会であるプロジェクトチームを置いて、そこでエネルギー政策の見直し作業をやるんだそうですが、そのプロジェクトチームの座長が、大畑さんという方で、この方は、元経済産業大臣でもいらした方で、もともと日立製作所出身で、原発プラントの設計にもかかわっていた方で、非常に原発推進派と言われている方なんだそうです。
ご存知です?
(小出氏)はい。

その方がエネルギー政策の見直し作業を民主党で率いていかれるという人事なんですよ。
これは、どういうふうに小出先生は見られますか?
(小出氏)前原さんは、もともと原発推進でしたので、前原さんの意向で民主党全体を原発推進のほうへ持っていくということですね。
まぁ、私は前原さんのような考え方は間違えていると思っていますし、彼はたしか松下政経塾だったと思いますが、幸之助さんが泣いてるだろうなと思います。

民主党のエネルギー政策のこれからを一つ占うような人事ではありますよね。
(小出氏)そうですね。

ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】

これは、本当にどうしたら・・・。

失礼します。
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【追記】
被ばく限度:原発復旧期「年1~20ミリシーベルト」
毎日新聞 2011年10月6日 2時34分
 国内の被ばく線量基準を検討する文部科学省の放射線審議会(会長・丹羽太貫京都大名誉教授)の基本部会は、東京電力福島第1原発事故を受け、一般住民の年間被ばく線量の限度について、原発事故などからの復旧期は、年1~20ミリシーベルトの間に設定することを許容する考え方を提言する方針であることが明らかになった。平常時の一般住民の限度は、国の告示などで年1ミリシーベルトと定められている。6日に開く部会で議論する
 国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などの緊急時は年20~100ミリシーベルトの被ばくに抑えることを目指し、緊急事態からの復旧期は、「現存被ばく状況」と位置づけ、地域住民の健康などを考慮して年1~20ミリシーベルトの間のできるだけ低い値を目指すべきだと勧告している
 同部会は、放射性物質の汚染が広がる現段階では、年1ミリシーベルトを目指すと必ずしも経済性や社会的側面から合理的な対応が取れない可能性があるため、ICRPが示す「現存被ばく状況(年1~20ミリシーベルト)」の国内制度への適用を検討することにした
 内閣府原子力安全委員会は7月、原発事故で政府が出した避難指示の解除に向け、ICRPの勧告に従い、住民などの年間被ばく量を1~20ミリシーベルトの範囲で決めることを暫定的に認めていた
 基本部会は、緊急時が収束した後も長期間汚染が続く現状を受け、年1ミリシーベルトを長期的な目標に据えつつ、当面の目標(参考レベル)を設定することについても議論する。その際、子どもや妊婦ら放射線の影響を受けやすい人については、特別な配慮を求めるとみられる
 ICRPは「参考レベルは安全と危険の境界を表すものではなく、1~20ミリシーベルトの低い値を選ぶべきだ」との考え方を示している。【久野華代】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111006k0000m040144000c.html

【追記②】
各府省への政策に関する意見・要望

https://www.e-gov.go.jp/policy/servlet/Propose
【意見内容】
文部科学省の放射線審査会基本部会で一般国民の被曝線量限度を現行の1mSvから引き上げるとの報道を見ました。ICRPをベースにお考えとのことですが、それでなくても、「
実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」を見れば、一般国民は1mSv以内の被曝に守られなければならないことは、日本の規則・告示として明記されています。
さらに、国際勧告として1mSvが規定されています。これを守らろうとしないということは、日本に居る海外の方々にも適用されてしまい、日本に居られなくなるという事態も発生すると思われます。つまり、海外企業の撤退です。
それもお考えの上の決定でしょうか。この基準を暫定的にだとしても上げてしまうことで、放射性廃棄物などが加速度的に広がるのではないかと懸念しております。また、子供たちをどうやって守ればいいでしょうか。このままでは、決して子供たちを守れません。
日本中が汚染されてしまったことは、認識しております。それを全体的に広めるのではなく、覚悟を決めて管理していく方向へ、身の回りからできるだけ排除するような政策へ転換していただきますよう、心よりお願い申し上げます。
【送付先】
内閣官房・内閣府・公害等調整委員会・法務省・外務省・文科省・厚労省・農水省・経産相・国交省・環境省

【追記③】10月6日
【IWJ・録画】森ゆうこ文科副大臣定例会見
『放射線審議会の年間被ばく量1mSvの見直しはマスゴミの誤報!』(10/06)
http://www.ustream.tv/recorded/17706324 (15:49)
※01:50~05:00くらいまで
森副大臣の言ってること、担当の方が言っていること、どこまで信じればいいかわからないというのが、正直な感想です。
【文字起こし】仲間がやってくれました。ありがとう!アクア!!
記者「ひとつあの放射線の被曝線量のですね、基準の、基準づくりといいますかそれを今文科省でですね、放射線審議会という諮問機関で進められていると思うんですが、今日一部報道でですね、基準について今までは年間1mSvという基準をですね、緩めると、それで1mSv~20mSvまでの間に、中間目標を設けられる形にするのではないかという報道がありました。
現状から考えればですね、1mSvという目標を達成するのが困難なのかもしれませんけれども、一方で健康不安であるとかですね、そういったことを招きかねず、また審議会の影響というものが、各関係機関に影響を及ぼすものだと思いますので、その点についてその緩めるという点、などについて副大臣のお考えを」

文科副大臣「冒頭発言、申し上げようと思って色々悩みました、というのは実はその点でありまして、昨日担当者から本日の審議会の予定について話を聞いたんですけれども、今朝報道されていたような内容については私に対しては説明はございませんでした。
本日の報告は、担当者から言わせれば、誤報であると、いうことが先程の午前中の審議会でも、そのような趣旨の発言があったかと思います。
そもそもこの放射線審議会というものについては、諮問された問題について…その数値とかそういうものについてイエスかノーか、ということを答申すると、いう存在であって、その審議会のほうからですね、何か提言をするというものではない、ということについては昨日、わたくし自身が確認したところです。
平成11年の省庁再編に伴う、法改正の中でこの放射線審議会は、まぁその前は、色々な意見具申といいますか、提言をするという機能もあったんですけれども、その後はですね、諮問されたものについて当否といいますか、是非というものについて回答するということになっている、ということでございます。条文上も、そうなっております。
それでICRPの勧告に基づいて、その現存被ばく状況であるというカテゴライズをすると、そういうふうな議論でいうことで、議論を、というふうなお話ですけれども、そもそもICRPの勧告のそういう、カテゴライズをするべきか否か、についても議論もあるわけでして、わたくしは年間1mSvという基準についてはこれは変えるべきではないというふうに思っておりますし、本日の参議院の復興特(復興特別委員会)におきましても大臣の方からあく
までも年間1mSvを目指していくと、その基準を目指していく、というご答弁、あるいは総理のほうからもそういう趣旨のご答弁があったというふうに思っております。
わたくしはまぁ、ここまで言っていいのかどうかわかりませんけども、担当者にですね、やることの順番が違うのではないか、今、放射線審議会で審議すべきはこの間、様々な汚染の状況がわかって参りました、そういうことを踏まえまして、今の様々な政府の対応、こういうやり方でいいのか、そういうものについてもう少し見直すとか、そういうことを議論すべきであって、現状がですね、なかなか1mSvの目標を達成できないからといって、基準そのものを緩くする、と疑われるような議論をすること自体が問題である、というふうに強く私の方から申し上げたところであります」

※現存被ばく状況:ICRPの勧告で、年1~20mSvの間で、できるだけ低い値を目指すべきという、緊急事態からの復旧期における、位置付け
【追記起こし終了】

この記事の続き↓
10月6日 放射線審議会:被曝線量の目標「1~20mSv/年」を採用する方針・・・今月末に正式決定