東日本大震災:ツバキ油搾り技術、障害者施設が継承 岩手
毎日新聞 2011年9月29日 11時18分(最終更新 9月29日 21時06分)
 津波で廃業を余儀なくされた岩手県陸前高田市気仙町のツバキ油搾取業者「石川製油」(石川秀一代表)の技術を、地元の障害者就労施設「青松館」(中村浩行館長)が引き継ぐことになった。石川さん(62)は、自宅兼工場を流され、跡取りの長男も失い、失意の日々を送ってきたが、「お客さんに喜んでもらえるなら」と指導役として再び作業場に立つ。

 石川製油は1955年創業し、2代目の石川さんは稲作の傍ら、晩秋から冬の農閑期にツバキ油「気仙椿」を製造販売してきた。
 陸前高田市や大船渡市など三陸地方はツバキの名所として知られ、かつては女性たちが庭先でツバキの実を拾い集め、自家製ツバキ油を作った。東京・大島産や長崎・五島産のツバキ油が有名だが、寒暖の差が激しい三陸のツバキは実が締まり、その実をカチカチに硬くなるまで天日干しして搾る石川製油のツバキ油は純度が高く、根強いファンがいた。農協に勤めていた長男政英さん(37)が家業を継ぐことになり、新しい機械を購入して心機一転を図ったばかりだった。
 3月11日。自宅兼工場は津波で流された。県立病院の屋上に避難した石川さんや妻春枝さん(61)は辛うじて助かったが、消防団員として避難誘導をした政英さんは、ポンプ車の中から仲間とともに遺体で発見された。
 借家に身を寄せる石川さんのもとに事業再開を求めるはがきやファクスが届いた。「でももう、とてもそんな気にはなれない」。うなだれていた石川さんに青松館の中村さん(47)が声をかけた。「技を絶やすのはもったいない。うちでやらせてもらえないか」
 青松館は知的、精神、身体の障害者45人が利用、クリーニングや印刷などの仕事を請け負ってきた。しかし、市内の事業所の多くが被災し受注が激減、工賃もダウンした。震災を理由に企業を解雇された障害者から施設利用を求める声が上がり、核となる新たな仕事を探していた。

 石川さんは応じた。
 「自分一人では無理でも、地域の力を借りれば続けられるかもしれない」
 青松館は、被災した障害者施設を支援する国の補助制度を利用して設備を整え、ツバキが実を落とし始める冬をめどに事業をスタートする。【市川明代】
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110929k0000e040022000c.html


東日本大震災:自宅流された全盲の女性…華道再開を目指す
毎日新聞 2011年9月28日 10時48分(最終更新 9月28日 11時02分)
 指先の感覚を頼りに華道をたしなむ全盲の女性がいる。岩手県陸前高田市の菊池栄子さん(66)。海から数百メートルの平地にあった自宅を津波で流され、同じく全盲の夫利美さん(70)と仮設住宅で暮らす。作品づくりに励む余裕はないが「家が広くなったら、また始めたいわ。お花は我が子のようなものだから」【豊田将志】
 3月11日は自宅で営んでいたマッサージ・はり治療院の客を送り出した直後、大地震に襲われた。「家がグンと持ち上がったかと思うと、ぐるぐる回り出すようでした」
 津波が来ると直感し、利美さんの肩にしがみついて家を飛び出した。四方八方から聞こえてくるガレキのぶつかり合う音。足首に感じる水の冷たさ。「危ないから、もう少し右に寄って逃げなさい」と声をかけてくれた近くの女性は津波の犠牲になった。周りの助けを借りて山をよじ登って高台の施設にたどりついたころ、誰かが「家が流されていく」とつぶやく声を聞いた。
 視神経が萎縮する病気で視力を失ったのは30歳前。自宅を新築した85年ごろ「自分が生けたお花を玄関に飾れたら」と憧れるようになり、04年末から教授の資格を持つ視覚障害者支援団体メンバーの窪田真佐子さん(57)の指導を受けている。
 指先で剣山の位置を探り、花の形や茎の長さ、太さを確かめる。「空間を把握する感覚に優れています」と窪田さん。震災前は治療院の玄関に飾っていたが「私が生けたと言っても、信じてくれない人が多かった」と笑う。咲いている花に「もう少し散らないでいなさいよ」と声をかける栄子さんを「一人で何を言ってんだ」と冷やかす利美さんは、過去に生けた花の種類や色を点字で記録していた。しかし、資料も津波に流されてしまった。
 4畳半の部屋が二つしかない仮設住宅の暮らしは3カ月を過ぎた。作品を飾るスペースもないが、空き家になっている栄子さんの実家は被災を免れたため、少しずつ準備を整えて引っ越すことも考えている。「やっぱりお花がないと、さみしいものね」。再開した治療院の玄関に花の香りが満ちる日を夫婦で待ちわびている。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110928k0000e040018000c.html

この二つの記事を読んで、号泣してしまいました。
ちょっと不安定なのかもしれませんが、この方々のお気持ちを想像すると、私が如何に小さな人間であるかと、身に染みて感じます。

地場の技術に関しては、ずっと懸念していました。
7月17日 日米政府共同で「トモダチ基金(仮称)」を設立へ【中小零細企業支援をなんとかできないか】
失われたものは、計り知れないと思っていました。
それでも、こういう形でまた希望を持って伝えていってくれるなら・・・!

おばあちゃんが、発災当初に感じた恐怖が伝わってきたのですが、お花に対する想いで、心洗われました・・・。

もっと強くならないと・・・!

失礼します。
にほんブログ村 環境ブログ 原発・放射能へ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他生活ブログ 東日本大震災・震災復興へ
にほんブログ村