※この記事は、9月12日 東電会見:汚染水処理状況と、科学技術・イノベーション委に出した黒塗り資料・・・に関連しています。
これは非常に重要なお話です。
黒塗りマニュアルの経緯と、その意味が語られています。
Bochibochiも、これを見るまではイノベーション委員会に田中三彦さんや後藤さんがアドバイザーとして入っていらっしゃったことすら、知りませんでした。
これは、みんなに知ってほしいお話だと思い、急きょ文字起こしした次第です。
技術的なことは正直全部はわかりませんが、安全に対する態度、核と原子力の情報に対する姿勢など、基本的なところは、十分に理解できると思います。
できるだけ多くの方に見てもらいたいです…!
必見です。
【動画】
2011/9/12 CNIC Ust 後藤政志氏解説 東電黒塗り文書について (36:34)
http://www.ustream.tv/recorded/17228787
【参考資料】
■「1号機」事故時運転操作手順書(2010年1月16日)(102)
http://cnic.jp/files/20100106tepco_102.pdf
※これ↑が黒塗り資料です・・・。鮮明です。
【追記】
東京新聞の黒塗りマニュアルに対する記事です。
東電反省ゼロ「知的財産守るため」黒塗りして「公開しないで」
9月17日 東京新聞
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/594.html
【以下、時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(上原氏)皆さん、こんばんは。原子力資料情報室の今日9月12日2回目のUst放送を始めさせていただきます。
今日も後藤さんをゲストにお招きしてお送りしますが、今日のテーマは先日、衆議院科学技術イノベーション特別委員会に提出された、東京電力の事故運転マニュアルに関する黒塗りになったマニュアルについてのお話を中心に後藤さんに説明していただきます。
よろしくお願いいたします。
(後藤氏)
皆さん、こんばんは。後藤です。
今日は久しぶりのUstなんですけれども、先日東京新聞とそれから、毎日新聞で取り上げられた9月8日付で取り上げてあったんですが、福島原発事故時の運転手順書、東電黒塗りで提出という、私ちょっとここに、「この期に及んで技術資料を出さない東電という会社」というタイトルでやったんですけれども、私は今までも時々、非難がましいというか批判的なことも言ってきていますけれども、なるべく私は技術者であるし、技術について説明することが使命だと、そういうふうに考えて今でも思っています。
ただこの間の東電のやり方はひどい!
こんなことをやっているんだったら、つまり、事故を起こしたことの責任はあるし、それは当然あります。
ですけれども、事故というのはある面では意図的ではないわけです。
ですから『失敗』なんです。
そういう意味では、そこ自身に、その点においての責任というのは、私はちょっと遠慮している部分があるんです。
ただ、問題はその原発のシステムを作ったりする最初にあって、評価の一番最初の段階、それが一番問題だと私は思っているんです。
だから、事故原因については、ちょっと抑制してものを言っています。
ただし、その後の事故原因の究明とか、これからのことに関しては絶対許さないです!こんなことは!
なぜかと言いますと、
『ありえないだろう、ほとんど天文学的な数字でそんな事故がありえない』
と言ったことに対して、事故を起こしたんですよ。
この責任、めちゃくちゃ重たいんです、それは。
それで、我々は何をしてきたかというと、これについて事故原因を徹底的に究明しないで、やみくもに今、運転再開に向けてとか、その時にストレステストというのもあります。
これもまた、近いうちに多分こちらのUstでもまたやると思いますが、そのストレステストのような形をやればいいとか、それからもっと本当はそれ以前に事故原因を究明することと、それと同時に安全設計の審査指針とか耐震の指針とか、そういうのがあるんですね。そういう指針類が徹底的にダメだったのが明らかなんです、今回。
電源喪失とったって、全電源喪失に対する対策というのは書いてあって、だけど、最後のところにいくと、
『8時間もてばいいとか、それ以上は考えなくてよい、なぜかというと復旧できるから』
とか、そういうレベルの話になっているんです。
そういうのがいくつもあって、随所にあって、それはほんの一例なんです。今言ったのは。
そういう問題が確実にあるので、それをやらない限り、徹底的にそれを改善して、同時にストレステストのようなものをやって、できる限りですね、今我々できる範囲での安全性を確認して、それでも再稼働するかどうかの是非はそれで初めてまな板に乗ると。でも、現地でこれは危ないとなったら、ダメなんです、そんなものは。
そういう関係になっているんですね。
ところがその一番の原因として、我々が心配している事故原因のことについて、国会の衆議院科学技術イノベーション推進特別委員会、川内委員長です。こちらで、東電に対して、何回かあったんですね。2日のころとか7日とか何回かあるんですが、そこで委員会として正式に東電に、まぁ実際は保安院経由で出てくるんだと思いますが、資料の提出を求めたわけです。
実はそこにサポートとして、田中三彦さん、それから渡辺敦夫さん、私、ほか何人かでいわゆる技術的なアドバイザー、支援という形で参加させていただきました。
中身について「これはどうだ」という議論をしていったんですね。
その中で、どういうことがあったかと言いますと、これはご存じのように、資料の提出はこういうことだったんですね。
概要からいいますと、1号機の地震直後の非常用復水器、Isolation Condensor、ICといいます。これはプラントの冷却機能を非常ディーゼルで、電源が無くなったので、各冷却系とか全滅したんですね。その状態で、1号機については、ICつまり非常用復水器がなんとか立ち上がったということなんですね。
これが実は、非常用復水器の概略図ですけれども、これが原子炉圧力容器です。その外側に格納容器が模式型で書いていますが、原子炉から蒸気を取って、2系統あって、1AとBですね、そこから蒸気が外に出て、非常用の復水器、つまりこれは大きな水のタンクなんです。この中に蒸気が導かれて、熱い蒸気がこの水で冷やされて水になって戻ると、こういうシステムなんです。
これは、非常に今回重要な役割を果たしています。
なぜかといいますと、ほかにここに細かく書いてませんけど、ほかに冷却系統を細かく持っているんです。それは、ポンプで駆動するんです。それは電源が要りますよね。その非常用電源が水没したわけです。だから、電気がないので動かない。
しかし、これは、蒸気駆動なので動いた。
こういう関係なんです。
これが、唯一動いているのが命綱になっているんです。実はこれが動いたんで大丈夫かなと思っていたら、調べていくとこれは田中三彦さんが詳しく分析しています。起動してから、ある一定時間以内に、数分立ち上がって止まっている。それから暫くして立ち上げたけれども、やはり長時間にわたってないんです。1時間以内なんです、数十分で止まっている。しかもA系だけでB系は一度も動かしていないと見える、というか実際そういうデータなんです。
そうしますと、これは我々技術者がどう考えるかというと、
『当たり前のところでいったい何が起こったんだろう?と、命綱であるICを勝手に止めたり、短時間で止めたり、片方しか動かさない、片方動いていない、これは、どう見ても異常なんです。おかしいんです。』
というふうに見るんです。これは素直なんですね。
『では、これはなぜでしょうか?』
と東京電力に問い合わせをしていたんです。
そしたら、東電はこれを
『止めたのは、マニュアルにそって止めたんだ。このマニュアルというのは実は、温度の低下について55度/時だけ落ちると、マニュアルにそういう一文があって、それに従って止めたから、別におかしなことでもなんでもない。』
こういう表現をとってるんですね。
だから、説明を概略、すごく圧縮していうとそういうことになります。
ですけど、それは非常におかしいんですね。
なぜかというと、ほかの緊急冷却装置が全滅していて、唯一これだけが残っていて、どんどんヒートアップしていることがわかっている。その状態でこれを55度/時というのはどういうことかというと、ある温度を急激に原子力プラントを運転しているときに、急激に温度を下げたりするのは、非常に構造物に対してあまりよくないんです。熱の負荷が厳しいんです。温度が急激に下がると、それによって熱応力が発生して、それが非常に一番危険なときには、脆性破壊といって割れたり、そういうことにつながる可能性がある。
だから、非常に慎重にやるんです。運転を。そのために55度/時という基準、これは原子力に限られて持っている考え方。
それは我々もそういう考え方があることを知っている。
だけども、緊急時にそういうことをやるか?というとクエスチョンがあるわけです。ですから聞いているわけです。これは技術者として素直に聞いているんですね。
で、それに対する東電の答えが非常にあいまいで、先日ですね、相当長時間にわたりましたので、長い議事録のメモができているんです。一問一答ができています。
それが東電に対して質問して、田中さんが中心になってだいたい質問したんですけれども。それに対する東電の答えがあって、その中で
「マニュアルを見せてください。」
という話があったんです。
つまり操作のやり方はわからないから。我々は。
「その操作に従ったのなら、そのマニュアルにそう書いてあるんでしょ?」
という話で出てきたマニュアルが、実はこれなんですね。
これ、1枚出てきたんです。
下ちょっと切ってますけど、何もありません。四角になってて。
ちょっと見にくいですけど、『事故時運転操作手順書1号機』となっていて、『2010年1月16日』となって、第一章原子炉スクラム事項、原子炉スクラム、B主蒸気隔離弁Aの場合と書いてあって、原子炉スクラム、原子炉圧力調整、サプレッションプール冷却、原子炉減圧と、こういう項目になっている。
これに操作がちょっちょっと書いてある。
これらについて、ここに55度/時と、これがどういうふうに適応されたかがわからないので、聞いていたんです。
と、いうことで、これを見ても不思議だったんです。
これがそもそも本当に運転マニュアルだったのかも怪しい。なぜかというと、ここの日付が入っていて、捜査の中身を見ると、訓練用に見えるんですよね。本当のマニュアルかどうか、本当のマニュアルって協議してましたけど、それについて多少の疑いを持っていたんですね。
ここの下のところには、ちょっとカットしちゃったんでお見せしてませんけど、手書きで
『本手順書は、事故時運転操作手順書の原子炉スクラム、つまり主蒸気隔離弁閉の手順のうち、非常用復水器、およびサプレッションプール冷却モードに関する手順の抜粋となります』
と、こういう表現になっています。
この1枚をもって説明したわけですね。
それに対して、田中さんはじめ渡辺さん、私も
「これではわからない。ちゃんと説明してください」
と、いうことを申し上げたんですね。
そこで東電からは、その場で答えが出てこなかったので、文書で出してくださいと要望をしました。その結果出てきたのがこれです。
見にくくてすいません。
これ棒グラフじゃないんですよ。
これは、全部ここのちょっと細かくて見えないんですけど、1号機の運転手順書があって、それにこの先ほど出てた4項目もその項目の部分だけを見せて、ほかは全部伏字になっております。
これが、延々と続くんです。こういう感じです。ここにもちょっとありますけど、伏字になって、何度から何度っていうのも伏せてある。こうしてあって、先ほどの4項目以外は全部伏せてある。この調子で確か7,8ページあるんですけど、それが全面的にこういうふうに黒塗りです。
この時私も、この時強く主張したんです。何を言ったかというと、東電に出してくださいと言った時、東電はこう言っていたんです。
「二つ出せない理由があります。一つは、知的財産。』
文章ではおいてないですね。向こうからはメモは出ているんですけど、知的財産というのがあって、要するに
『会社としての東電の財産、技術的な機密情報なので、それをライバルに渡すわけにはいかない、外に開示することができない。そういう意味で出したくない。』
というのが一つ。もう一つは、ここにちょっと書いてますけど、『核物質防護』というのがあります。
『核物質防護』というのは、平たくいうと対テロと考えていいです。核物質を盗まれないように、或いは、最近はもう少し広げて、核物質施設がテロに乗っ取られてどうこうして、危険な状態にならないように、そういうことを伏せるためにあるのが『核物質防護』です。基本的に。
これは、そのために、情報開示をしないというのがあります。法律で。
これは例えば一番わかりやすいのは、ここの例ですね。
この考え方は少し見にくいですけど、
『我が国において、原子力施設における核物質防護対策を強化し、国際的にそん色のないレベルに引き上げる』
これ、2001年に米国の同時多発テロ、あれによって強化されているんです。
原子力プラントについてもあれなんですけど、日本にでは、原子炉等規制法の改正があって、
『テロにかかわる具体的に想定される脅威、設計、基礎脅威を国が設定し、原子力事業者等に、設計規則要因に対応した防護措置を義務付ける。
原子炉設置者等の防護措置の実効性を確認するための検査制度の導入、防護情報の管理を徹底するため、防護措置の業務を行う国家公務員、原子力事業者等に対し守秘義務、罰則付きを付与する』
とこうなっているんです。
これは実は多分一番最後ですよ、罰則付きの守秘義務というのがって、これを盾にしてる。
これは、原子力安全・保安院からその指示が出ています。
「核物質防護を考慮して出すこと」
と言っています。それは間違いありません。
ただ、核物質防護のもともとの意味はこういうことなんです。
核施設があったら、それに対して周辺から入れないようにこういうふうな見張り用の施設をつくったり、物理的バリアを作ったり、わざと長い廊下にして入っていけないようにするとか、そういうのが目的なんです。
核物質そのものを持ち出したり、それをコントロールしたりはできないというのが基本です。
その中に原子力施設に対して、原子力施設の図面であるとか、1番基本になるところの図面を出すなとか、そういうことが一部あるかもしれません。
ですけれども、運転上のマニュアルがどこまで核物質防護で抑えなきゃいけないかって、これ疑問です。
もちろん全部とは言いません。ある一部についてはその可能性があります。
ですけど、さきほどのようなマニュアルが本当に核物質防護上ふさがなきゃいけないかどうかというのは、一点疑問があります。
それで、そういうことを理由に出してきてないということですが、ここでこれは田中三彦さんが説明した時の事故の直後、事故から最初の10時間くらい、7、8時間、この間の状態が、この原子炉の水位であり、圧力容器の圧力ですね、ここから運転圧力がだいたい70気圧くらいですね、ここから一気に一桁まで8気圧まで落ちちゃうんですね。
「この落ち方はなんであるか?」
ということを、我々議論してきているわけです。
その時に、それが東電が言っているように、
「途中から津波がきて、それが理由で冷却機能を失って、非常用ディーゼルがダメで、それでダメになった。」
我々は「本当にそれでだめになったのか?」疑問を持っているんです。
「例えばどこかの配管が切れていたんじゃないか?それによって、ろ過状態、いわゆる冷却材喪失事故になっていたり、それに更に格納容器もそれを抱えるだけの圧力の上昇して、機能喪失していた可能性がある。」
そういうことを考えているんです。
もちろん水素が大量に出てくると、それによって格納容器は加圧しますので、そういうこともありますけれども、いろいろなファクターがあり得るんです。
そうすると、そういう中で、今の事故原因は特定できていないんです。
東電は何も説明してないんです。
ですから、我々はそれについて、いくつかの疑問を提示しているんです。クリアにするために。我々は決して、自分たちの主張をガンガン言っているつもりはないんです。
「技術屋として、東電が言っているプロセスではないプロセスがありえる。」
と言っているんです。
それについて、真摯に答える義務が当然ある。
その時に出してきた真摯にですよ、真摯にこれを出してきたんです。
これはとんでもない話なんです。
なぜかといいますと、技術と言いますのは、
「ここに一項目こう書いています。」
という、確かに直接聞いているのは、ICをどう動かしたかとか、サプレッションプール=圧力抑制プールのスプレー、格納容器内にスプレーっていうのがあって、圧力温度が上がったらそれを冷やすために。それを起動させたって言ってるんですよ。そこでどういうふうに起動させたかと、いつだとかそういうことを議論しようとしてる。そうすると、これがどういうときに起動するという手順とかの関係を当然調べる必要があるわけですね。
ですから、このマニュアルが議論の対象になるわけです。
これを元に、
「これがこうだったから、こういうふうにしてやったんだな。」
ということが、我々判ってくるんです。
で、それによっては、「これは問題なかったんだ」とか、「これは関係がどうあるんだ?」とかそういうことが、見えてくるんです。
事故というのは、一か所でも伏せたら駄目です。
それをもって事故原因としたら、駄目です。
全てにわたって精査して、これが関係ないことが確認取れない限り、事故原因は隠ぺいしたと見ます。
これは当たり前なんです。
今までスリーマイル島の事故でも、どんな問題があったか、時間の関係で、前ご説明したからやめるけれども、最初に給水系のポンプがダメになる、そうすると副システムの、サブのシステムが立ち上がろうとした、だけど、バルブが閉じてあった。閉じてあったから動かなかった。でも、バルブは開いてないの気が付かなかった。なぜかというと、運転操作盤のところに札があって、それがかかっていたために、閉っていうのがみんな気が付かなかった。
本当、バカみたいな話ですよ。
マンガみたいでしょ?
そういうことの積み重ねなんですよ。
緊急炉心冷却系が動いて、「あ、OK」と思ったら、そしたら今度は、圧力容器から逃がし安全弁が開膠着、開いたままずっと出続けてた。水位計がダメで無いものだから、出続けていることがわからなかった。それで、非常用冷却系=ECCS系が働いて、ダーッと水が入った。ここまでOKだった。ずっと。そしたら、運転員が「もう水位計がわからないから、水が満水になった」と思ってECCSを止めるんですね。それでメルトダウンしてるんです。
これ、今言ったことって、一個一個大した話じゃないでしょ?みんな。
その組み合わせで十分に行くんですよ、事故っていうのは。
そのことをわからずして、だから平気でこういうことをやるんですよ!
東電っていう会社は、まったく技術を理解してない!
本当、これは声を大にして言いたいです!
これを全部出したって、事故原因の究明は難しいんです。はっきり言って、そういうもんです。
それをね、出さないっていうのは、とんでもない話です!
ですから、私は徹底的にこれは、核物質防護上ほんとうに出してはいけないのか、保安院は全部説明する義務がある!
「だから、これは出せないんだ」ってはっきりしてください。
東電もそうしてください。
出せないんであったならば、少なくとも守秘義務を冒してもいい。
これについて、一定の人間、全部出さないんだったら、この事故原因にかかわる、この事故を評価できる人間の範囲にとどめて、そこの中で秘密会議として扱う。サインして。
その人は漏らさない、守秘義務を負うと、いいですよ、それで。
それでも、やるべきです!
それをやらずして、「事故原因、事故について説明してる」とか、「情報を出してる」とか。
これは国民を愚弄してる!
本当にそう!
こういう態度は、こういう態度をしてるから、事故を起こすんです。明らかに。これは明らかです。こういことをやって、原発を安全に、こんなことやって運転できるはずないんです。
マニュアルっていうのは膨大なんです。そのマニュアルを理解するのも大変なんだけど、みんな一生懸命運転員さん、勉強しながら必死でこうやって、それでも間違うことがある。
それを伏せて、情報伏せて、こういうことは開示しないってことをやることによって、情報を共有しないっていうのは、最悪ですよ。
これね、この体質を見ると、私は社内でもダメだと思いますよ。情報教育してないと思う。
私も東芝のメーカーに居ました。その時原子力の一番危険なのは、これなんです。
隣のところの情報が入ってこない。
設計するときに必要な、このところのパラメータだけ欲しい。ほかは要らないっていう考え方なんです。
そんなもので設計なんかできない。
設計っていうのは全体像が必要で、これがダメだったときはこうだっていって、設計していくんです。みんな。運転もそうなんです。
そうすると、技術というのは全体像が大事なんです。
その情報を開示しないということは、水から事故を招くと考えて間違いありません。
もし、もっと言うとですよ、もしこれが、
『核物質防護上、核というものはこういうものであるから、こういうふうにして情報をコントロールするのである。』
というのであれば、これははっきりと原爆、核というものと原発というものは同じだということになる。
つまり核物質、核は秘密にしなきゃいけない。原発も秘密にしなきゃいけない。
事故は起こるって言っているようなものです。そんなものは。
技術っていうのは、事故を起こさないようにするためには、全部共有するんです。いろんな情報、関係なさそうなことも。たとえば、原子炉を設計するときに、格納容器のことも配慮するし、電気系統はどうだ、そういうことも勉強するんです。そうしながらやって、こういうふうにならないようにして、事故に至らないように設計していくわけです。
その時にある情報を出さないということが、どういう意味を持つか?ということです。
これが、原子力の体質なんです!はっきり言って。
そんな人たちに原子力を任せられない。
本当にこれは声を大にして言いたい。
私自身その中にいたので、そのことがよく判るんです。
これは、技術ではありません。はっきりと!
このことを未だに東電は引きずっている。そう簡単に変わるとは思いませんけど、そういうことが、公的な枠組みの面でもそうだし、そういう運用、カルチャー、それを供給する原子力プラントを使う、運転する側の立場として、国民に対する姿勢。そのどれ一つをとってもダメです!
だから、私はこういうことをやるんだったら、全プラントを止めろ!と本当にそう思います。
これは、冗談じゃないんです。
地震は怖いです。地震が来たらどうなるか、それはこういことからいくと、ほかのことも関係します。スリーマイル島じゃないですけど、何かのきっかけで、ちょっと古いプラントがトラブルを起こして、それに人為的ミスが重なって、それに運悪くまた何か、例えば雷が落ちるとか、洪水があるとか、そういうことが重なる、そういうことで事故が起こるわけですよ。
今回痛いほど、それがわかったじゃないですか!
そのことを反省しなきゃいけないのに、こういうことを言って、このレベルで対応するということ自信が、これ本当にひどい話です。
もう一つ申し上げますと、これは厳しいことを申し上げますと、これはマスコミごと舐められています。はっきり言って。マスコミの方々。
これを見て、マスコミの方はどう思うんですかね?
こういうことをやっていいんですかね?
これは私なんかが手が出ない話ですけれども、私は技術者としていつも申し上げているように技術の話をする役割だと思ってますけど、これを見ると、技術の検討もできないんですよ!考えられない。これは是非、マスコミの方にこういうことはきちんとやっていただきたい。情報開示はなんでどうだ?ってこと。
もし核物質防護の問題だったら、それは勉強して「それはどうなんだ?」とはっきり追及してほしい。
そうしないとですね、核物質防護という、それも必要です。対テロ用ね、私は認めますよ。
ですけどね、必要最小限にしなきゃいけない。これは原子力基本法に書いてあるんですよ。原子力基本法に、
「核物質防護も必要だけれども、原子力は公開の原則があって、そうしないと安全上の問題もあるし、公開の民主、公開の原則があるんです。だからやたら閉じてはいけない」
と明記してるんですよ。
「公開の原則があるので、こういう公開をしないことは最小限に抑えること」
と明確に書いています。
これは東電はそれを証明する必要があります。
これははっきり出すことをしないかぎり、これは決して許されるものではない。
今日、いろんなことを言おうと思いましたけど、この一点に尽きます。このことは非常に重要です。
しかもですね、これは、先ほど申し上げたとおり、事故の当初から田中三彦さん主張してるんです。
単に冷却系統だけじゃなくて、配管の破断があったり、或いは私も思っているんですが、格納容器が機能喪失したり、そういうことが地震とかほかの要因があるんじゃないか?ということを気にしてるんです。
その組み合わせで起きてる可能性がある!
ですから、ここのところを究明しようとして、その一番最初の入口で、ICでこのレベルですよ?どう思われますか?皆さん?
『事故原因を本気で東電が究明しようとする気になっているかどうか。』
『自分たちはわかっているけど、出さないでいるのか。』
或いは、
『そのことも考えてないのか。単にこれは形式的に核物質防護上出せないから出さないと言っているのか。』
その辺のことは、わかりませんけれども、少なくとも言えることは、今回の事故に関して、まったく反省してないってことです!
平気でそういうことやります!これだと。
これは事故の時は、必ず事故調査委員会ができて、やるわけです。今、畑村委員会がやっています。これからやってもらえると思いますけど、話してみますけど、米国でスペースシャトルチャレンジャーの事故があった。それから7,8年後にコロンビア、同じ事故を起こしてる。同じように空中分解してるんです。形は違うけど似たような事故なんです。その時に、最初の事故の時に言っていたんです。事故調査委員会が
「NASAのこの体質では、絶対事故を起こす」
って言いきっていたんです。
それを事故調査報告書に書いているんです。
「このままでは必ず事故を起こす」
っていって、そのまま事故を起こしているんです。
今回、はっきり言っておきます。
『このままだったら絶対事故を起こします!』
そう言わざるを得ない。残念だけど。
それこそ恐ろしいです。
こういうような体質はそういうことにつながります。
というのを私は是非申し上げたい、というのが今日の私のお話です。
<28:30頃~>
質疑ですが割愛します。
【以上】
失礼します。
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【追記】9月17日
福島第1原発:東電黒塗り開示「事前了解得た」 幹部反論
2011年9月16日 22時48分 更新:9月17日 1時38分
東京電力が衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会に対し、福島第1原発の「事故時運転操作手順書」の大半を黒塗りして開示した問題で、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は16日の会見で、同特別委の川内博史委員長(当時)から「事前に了解を得ていた」と反論した。
東電は12日に開かれた特別委理事会に、手順書の一つの「シビアアクシデント(過酷事故)発生時の手順書」の表紙と目次の一部のみを開示。川内氏は12日会見し「これだけの事故を起こしておいて資料開示に応じないのは遺憾」と批判した。
これについて東電側は16日、「開示内容(が限定されること)については特別委側と9日に打ち合わせをし、川内氏の了解を得ていた」と説明。松本代理は「手順書には機器の具体的な操作方法が記載されており、公開されるとテロリストに悪用され、世界の原発の安全に支障が出る恐れがある」と述べ、従来の説明を繰り返した。
特別委は原子炉等規制法に基づき、経済産業相に手順書の開示命令を出すよう改めて請求している。【比嘉洋】
http://mainichi.jp/select/today/news/20110917k0000m040104000c.html
2011.09.17 19:27 ステラ
貴重な書き起こしありがとうございます!こんなことがまかり通ってしまったら、必ずまた事故は起きるでしょう。