京都市の原発事故認識を批判(3) 高橋千春さん
京都民報 2011年9月16日 09:30
 “大地震と若狭湾原発群事故の同時進行でも複合災害のリスクはかなり少ない”、“琵琶湖の放射性物質は大量の湖水で薄まる”―こんな見解を、京都市防災対策総点検委員会が「中間報告」でまとめていることが分かり、市民、専門家から「原発事故への認識を疑う」と批判の声があがっています。


避難者の願いに応えて
福島市から京都市に避難 高橋千春さん
 福島第1原発事故直後、2歳の子どもを連れ、妊娠8カ月の体で福島市を離れ、京都市へ避難してきました。6月に出産し、今は親子3人暮らしです。夫は、仕事があるため地元に残りました。

  自宅は原発事故直前、新築したばかり。住宅ローンや夫と別々の2重生活による経済的負担、一家離ればなれの精神的負担に、落ちこんでばかりいました。それでも、放射能から子どもの命を守りたいと避難生活を続けています。
 先日、京都市の「中間報告」のことを知りました。原発の安全神話は完全に崩れているのに、京都市内で地震が発生しても福井の原発事故が起こるリスクは少ないなどと書かれていて、驚きました。京都市は、福井原発から約60キロ。福島市と福島第1原発との距離とほぼ同じです。あの事故以来、福島市民が払った犠牲ははかり知れません。
 私たち避難者の願いは、一刻も早く原発の稼働を中止し、原発をなくすことです。京都市の「中間報告」は、原発稼働が前提です。行政は、市民の命を守る責務があります。勇気を持って脱原発を宣言してほしい、その上で、必要な対策を講じてほしいと思います。京都市へ避難してきた私たちの切実な願いです。

「中間報告」
 同総点検委員会は、東日本大震災・福島第1原発事故を受けて市防災計画を見直すため、行政関係者や学識経験者28人が参加して6月22日と8月29日の2回開催。第2回委員会で「中間報告」をまとめ、市に提出しました。
 中間報告は、「原子力発電所事故等に関する対応」について、「今後、京都市域で大規模地震が発生し、同時に若狭地域の原子力発電所で事故が起こって、福島第一原子力発電所で起こったような複合災害が起こるリスクはかなり少ないというのが、原子力の専門家の見方である」「琵琶湖の水の放射性物質による汚染に関しては、仮に琵琶湖方面へ放射性物質が飛散したとしても、琵琶湖の水量が非常に多いため、水中で希釈される」などとしています。(詳しくは「週刊しんぶん京都民報」2011年9月11日付→http://www.kyoto-minpo.net/shimen/index20110911.html

9月11日京都市中間報告


http://www.kyoto-minpo.net/archives/2011/09/16/post_8179.php#chu

【京都市の防災対策総点検 中間報告】
http://www.city.kyoto.lg.jp/shobo/cmsfiles/contents/0000106/106303/230829.pdf
※23ページから一部抜粋です。
5 原子力発電所事故等に関する対応
今回の福島第一原子力発電所事故に伴う京都市の対応等については,平成23年7月13日(水)に開催した京都市防災会議専門家会議において議題として取り上げられ(京都市),原子力関係専門家から意見等を伺った。
本案件については,今後も京都市防災会議専門家会議において,今後必要な対応等を含めて議論,検討が進められる予定であるが,放射性物質の飛散に関する市民の不安等も高いことから,この中間報告において,今後京都市が採るべき対応等について,次項に掲げる「京都市第3次地震被害想定」と併せ,概括的なとりまとめを行うこととした。
(1)福島第一原子力発電所事故の影響
・ 東日本大震災の発生以降,福島第一原子力発電所においては,津波の浸水により非常用電源が失われ,水素爆発による建屋損傷等により,放射性物質の放出や汚染水の流出等甚大な影響が生じるに至った。
・ こうした状況を受けて,当発電所の半径20km 圏内が災害対策基本法に基づく警戒区域に設定され,立入りが禁止されているほか,半径20km 圏外の一部区域でも,放射線積算量が20ミリシーベルトに達すると予想される地域が計画的避難区域等に指定され,住民が圏外に避難している。
・ この放射性物質の放出により,農産物,畜産物,水産物等から基準値を超える放射性ヨウ素や放射性セシウムが検出され,出荷制限等を余儀なくされているほか,日本全国で目に見えない放射能に対する不安が高まっている。
(2)今後京都市の採るべき対応
・ 京都市に近い原子力発電所としては,福井県に4箇所,計13基あり,このうち現在稼働中のものは4基である。
・ この発電所と京都市役所までの距離は60km ほどあるが,市域の久多,広河原の一部地域は,大飯発電所から30km 圏内にある(居住者なし)。
仮に若狭地域で原子力発電所の事故が起こった場合,緊急に避難すべき地域としては,京都府の「原子力発電所防災対策暫定計画」における対応と同様,EPZ(防災対策を重点的に実施すべき地域の範囲)としては20km を考えておけばいいと考えられる。
・ 今後,京都市域で大規模地震が発生し,同時に若狭地域の原子力発電所で事故が起こって,福島第一原子力発電所で起こったような複合災害が起こるリスクはかなり少ないというのが,原子力の専門家の見方である。
・ しかし,同時に,想定を超えるような事態が起こっても,そうした事態に備えて的確に対応できるような準備をしておく必要がある
・ 事故時の風況によっては放射性物質の飛散等に対する対応が必要となる場合も考えられ,また,そうでない場合でも,風評被害の発生が予想される。
これらのために京都市が採るべき対応としては,環境放射線,農産物,飲料水等のモニタリングをしっかりと行い,こうした情報を迅速かつ正確に市民に伝えるなど,不安を軽減するための取組を積極的に進めていくべきである。
環境放射線を継続的に測定するモニタリングポスト等を京都市北部に設置するなど,モニタリング体制を充実していく必要がある。
琵琶湖の水の放射性物質による汚染に関しては,仮に琵琶湖方面へ放射性物質が飛散したとしても,琵琶湖の水量が非常に多いため,水中で希釈される。さらに,水道原水の放射能測定を定期的に実施し,水道水として供給される前にろ過等の浄水処理を行っている。ただし,浄水処理により発生する汚泥への残留や淡水性魚類への蓄積等には注意を払う必要がある。
国,京都府,滋賀県等と連携し情報交換等を行うとともに,緊急時にはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)も含め,放射能に関する必要な情報を共有できる体制を整えていくべきである。
【抜粋以上】

京都人として、どうしたらいいんでしょう。
恥ずかしいです。

ちょっと京都市に意見してみようと思います。

失礼します。
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【追記】
京都市に意見メールを出しました。行動記録として残しておきます。
京都市いつでもコール:
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000013160.html
【件名】
京都市の防災対策総点検 中間報告 【5 原子力発電所事故等に関する対応】について
【内容】
件名の件でお伺いいたします。
私は今、京都に住んではおりませんが、生まれ育った街の対応を見て、正直驚愕しております。
①原子力専門家の方にご意見を伺ったと書いてありますが、どなたでしょうか?お名前を公表されることを希望いたします。
②今回の福島第一原発事故を見て、本当にEPZ、20㎞圏内の避難で十分とお考えでしょうか?福島の何をご覧になっていますか?
③今後あのような事故が起こる確率が小さいということは、福島の事故がなぜ起こったのかを考えれば、「小さいから」といって無視できることですか?福島はそうやって起きた事故ではありませんか?
④琵琶湖の水が汚染されてしまえば、関西の水は終了です。
どんなに濾過されても、進んで水道水を飲む人はいなくなるでしょう。希釈されるし、濾過すれば大丈夫などとは言えないはずです。その時起こった事故がどのような放射性物質の汚染を広げるかは起こってみないとわからないのですから。

このような防災対応総点検をなされたこと、非常に残念に思っています。このような考え方では、たとえ関西電力と安全協定を結べたとしても、京都市民を守ってくれる行政をしてくれるのか、甚だ疑問です。
どうか納得のいくようなご説明を頂戴したく、よろしくお願い申し上げます。
【以上】

【京都市消防局からの返事】 9月26日
平成23年9月26日
消   防   局

(件名)防災対策総点検委員会中間報告について(整理番号96-01584)

(質問)防災対策総点検の報告に疑問があり,納得がいく説明がほしい。

(回答)
① 京都市防災会議専門委員会のメンバーは以下のとおりであり,消防局ホームページに掲載しております。
・消防局ホームページURL: 
http://www.city.kyoto.lg.jp/shobo/page/0000104461.html

・京都市防災会議専門委員
  (財)国際高等研究所フェロー 木下 冨雄氏,
  立命館大学理工学部教授 土岐憲三氏,
  (財)国際高等研究所所長 尾池 和夫氏,
  京都大学防災研究所教授 林  春男氏,
  立命館大学COE推進機構教授 鈴木祥之氏,
  京都大学名誉教授 井上 和也氏,
  京都大学大学院工学研究科教授 椎葉 充晴氏,
  京都大学防災研究所教授 千木良 雅弘氏

・特別委員
  京都大学名誉教授(原子炉工学)三島 嘉一郎氏,
  元近畿大学教授(放射線管理工学) 古賀 妙子氏

②・③
 原子力発電所事故直後の緊急的な対応は,20キロ圏内が中心となるということであり,20キロ圏外が安全であるという認識ではありません。風向・風速によっては,市域への影響も考慮する必要があるとの認識も有しており,本市では,想定を超えるような事態が発生しても,そうした事態に的確に対応できる準備をしておくという基本的な考えの下,現在,原子力発電所の事故対策について検討しているところです。


 琵琶湖の水の放射性物質による汚染に関しての報告書の記述についてですが,「放射能が地上に落ちた場合は,地表に積もりますが,琵琶湖に飛んできた場合は,水面に留まるのではなく,水と混じって希釈される。」と席上で専門委員が発言されたことについて記述しているものです。
  今後,琵琶湖への放射性物質の影響を含めて,福井県の原子力発電所において事故が起こった場合の被害想定等,科学的検証を加えて検討してまいります。
 

想定を超えるような事態が発生しても市民の皆様の安心・安全を守ることのできる防災体制を構築するとともに,今回頂戴した御意見も含め,市民の皆様の不安や疑問等を解消するため,今後とも防災対策の総点検を実施し,年内中に最終報告を取りまとめる予定としておりますので,何卒,御理解を賜りますようお願い致します。
【以上】