※この記事は、9月13日 【文字起こしUP】小出裕章氏と語る、続・原発『安全神話』溶融【その⑤】の続きです。

(質問者⑦)すいません。手短に。
おとといまで福島県の5か所くらいを回ってコンサート等々をやってきました、芸人でございます。さっきの話を聞いていて、本当に矛盾を感じたのは、こっちからこっちへ飯館のほうに行った時もそうですけど、車で走って、こっちは作ってはダメといわれて、こっちは作っているんです。
「どこで線引くねん!?」
と本当に思いました。
それと、僕が聞きたいのは、私は今回ちょっと小心者なので、安物の計器を持っていきました。馬場製作所が作ったRAD、19800円の。それ「ピッピッ」てパルスしたら、それで計測するんですけど、向こうに行ったときに、飯館の泥縄というところで、偶然文科省の奴らが来てて、僕の計器は全然ダメ、とにかく「ピッピッ」言うんですけど、全然わかんないんです。で、文科省の奴が測ってたら、奴ってすいません。14.6マイクロシーベルト。で、怖くなって逃げました。

でね、僕聞きたいことは、そんなことで、僕の計器はもうたぶんダメだったと思うんですけど、関西で測るとものすごく反応するんですよ。だから、福島原発の放射能廃棄物じゃなくて、関西は、実はかなり前から汚染されてるんじゃないでしょうか。そういうデータ無いですか?
(小出氏)それは誤解です。はい。
もともと地球というこの惑星というのは、ものすごい地域差があるというそういう惑星です。例えば地震だって、日本人には当たり前だけれども、地球上はほとんど地震なんか無いですよ。地震があるのは太平洋、ぐるっと囲んでいるところ、あるいヒマラヤから地中海に抜けるところ、ほかは地震なんか無いというそういう惑星だし、地球上の大地のでき方というのも全部違っていて、日本列島の中でも、自然の放射性物質の濃度というのがものすごい違っていて、関東、或いは福島のあたりと、関西とを比べると、もともと関西は高いんです。それは、なぜかというと、関東地方は関東ロームというものでほとんど覆われているんですけど、関東ロームは、天然の放射性物質の含有量が低い。関西というのは六甲山もそうですけど、花崗岩というものでできていて、花崗岩というのは、もともとウラン・トリウムという放射性物質を大量に含んでいるというそういう岩なんです。
ですから、そういうところにいけば、お持ちになってる測定器が、バリバリと音を立てるというのは、もともと当たり前のことであって、ですから、福島の原発事故で放射能で関東地方が汚れてしまいました。被曝はいやだからといって、関西に逃げてきたりすると、余計自然の放射線で被曝をするという可能性も、実はあるんです。そういうものです。
(今井氏)いいですか。今の質問が悪いって言ってるんじゃなくて、いい質問なんですけど、今日はそういう議論じゃないので、せっかく議論がいい方向に向かってたので、ちょっともとに戻したいんですけど。今日のテーマで意見なり質問を出してください。
(質問者⑧)放射線治療に関連する者なんですけど、日々自然の放射線でもガン細胞って数千個できます。それは免疫力がくってくれているから、大丈夫なことになっているわけですよね。これから多分、水産物に猛烈に汚染も出てくると思うんです。この間家内と福島のものをおいしく食べました。
それで、免疫力ってすごく大事だと思うんですけれど、ですからあんまり食べるものを怖がるよりも、たばこの方がもっともっと酷いと思うんですけど、そうすると、一つ、そのこれからの水産物の濃縮汚染というのは、もっと酷くなって、それでも60禁も食べるべきかというあたり、一つよろしくお願いいたします。
(小出氏)水産物は多分これから、どんどん汚染が地域的に広がっていくと私は思います。
これは、どうなんだろう。あまり私も正しくないかもしれないけど、海というのは、昔から言っているように、海は広いな大きいなと、言っているように、かなり希釈効果があるだろうと思います。ですから、例えば、魚なんていうのは、回遊性の魚がたくさんいるわけですから、そういうものも広い海を泳ぎながら、かなり汚染を広げながら広がっていく。
だから、猛烈な、例えば陸で取れるような、キノコに猛烈な汚染が濃縮するとか、そういう形の汚染ではなくて、かなり広範に薄い汚染という形で出てくるんだろうと、海産物に関しては。
ただ、定住生物は別ですよ。例えばうにであるとか、アワビであるとか、或いは、海藻なんていうのは猛烈なものが出てくると思いますけれども、いわゆる魚というのは、薄い汚染が広範囲に出てくるだろうと思うし、それはやはり日本のような海洋国家は受け入れるしかないと思います。
その場合も、私の原則は、60禁、50禁の原則をあてはめるべきだと思っています。
そして、躊躇するのは、海藻。私が躊躇するのは海藻なんですけれども、階層は多分猛烈な汚染の海藻というのが、きっと今でもあると思います。
それはデータがなかなか公表されていないので、判らないんまま私たち食べてるかもしれないと思いますけれども、ものすごい濃度になって、キノコと匹敵するような濃度になっている海藻があるだろうと、私は思っていますし、正直言えば、福島県産の海藻とかいうのを食べて本当にいいのかな?というか、私自身が食べたいと思っているんですよ?私は。私は責任のある人間だと思っているから、食べたいと思うけれども、やはり放射能があらゆる意味で危険だということを、私は十分知っている人間ですので、躊躇するというのは、正直な気持ちです。

(今井氏)森さん、ちょっと待ってね。
あの、すいません。もう終了時間15分過ぎてるんです。それで、実は東京都から、遠いところから来られてるからおられるので、新幹線の時間もあるので、もう終わらないと新幹線が間に合わないんですね。
で、森さんに今簡潔の答えてもらってあと一人だけで、ちょっと終わらせてもらいます。ごめんなさい。いろいろな事情があるので。
(森氏)魚の件なんですけども、海藻と。たんぽぽ社というチェルノブイリの後ずっと食品を測ってこられた方がいらして、魚と海藻を測っています。
宝島のほうで発表ありましたので、また見ていただければと思うんですけれども、ブリとかでも、20ベクレルとか出てますし、意外と三陸のワカメは多分海流の関係だと思うんですけど、何回か測ってらっしゃるんですが、三陸のワカメは今のところ出てないとおっしゃっています。
(小出氏)私は三陸のワカメですでに検出しています。
(森氏)あー、そうですか!なるほど…。
参りましたね…。
<会場笑い>
(今井氏)参りましたって!<笑い>
じゃあ手が挙がってますから、一番最初に手を挙げた人から、ごめんなさい、許してください。簡潔にお願いします。
(質問者⑨)被曝量の容認のレベルの、容認できるレベルという話がありましたけど、お二人のお話を判断するのに、これだけ聞かせていただきたいんですけれど、1950年から1960年にかけて、世界中のあちこちで核実験がありましたよね。それで、先生は今地球全体が汚れているとおっしゃいました。この時に、どれだけの放射線が出てるのかというのは、当時数値として出ておりませんでしたけど、先ほどおっしゃったように、広島原爆と福島のを何倍ということで、あらわされましたが、その昔の核実験の、それはどれくらいの福島と比較したらどれくらいのものになるのでしょうか?
(小出氏)大気圏内の核実験というのが1950年代から60年代に大量に行われて、大気中に放射能をまき散らしたんですね。でもご存じだと思いますが、大気圏内の核実験というのは、米国の場合だったらネバダが中心だったわけだし、或いはビキニのあたりでやったりした。ソ連だったら、セミパラチンスクでやったり、中国だったら六合であったり、要するに北半球の温帯というところでほとんどやっているんです。そうすると地球の大気循環というのは、北半球なら北半球で回っている、南半球なら南半球で回っているし、温帯なら温帯でかなり回っているわけですね。ですから、汚染というのは北半球の温帯を中心にした汚染を受けた。南半球は比較的綺麗だったし、北半球でも北極のほうとか赤道の湿地帯はそんなに汚染を受けなかった。そういう意味でいうと、累積で、何十年物累積で1平方メートルあたり、多分1000ベクレルだと、そういうオーダーだったと思います。
長い時間をかけてですよ。
チェルノブイリの時は、日本に降ってきたのは、確か1平方メートル当たり100ベクレルくらいだったと思います。ですから、大気圏内核実験の汚染に比べれば、何十分の1かというレベルで、チェルノブイリの時は済んだんです。
それでも、日本中のたくさんの食べ物は汚れたという状況だった。
でも今は、さっきもちょっと聞いていただいたけれど、福島の周辺だと、1平方メートル当たり、何万、或いは何十万という、そういうレベルですでに汚れているとそういうことです。
(質問者⑨)それが今も続いているということですね。
(小出氏)これから何十年も続くのです。
(今井氏)じゃあもうこれで終わりますけど、ニコニコ動画からの質問もちょっと触れたんですけど、小出さんと森さん、最後に30秒づつくらい短く食に対しての全量検査はこれ、ニコ動からの質問です。
「食品に対する全量検査は現実的なことなのでしょうか?もしそれが可能だとすれば、今これを実施しないのはどのような理由からでしょうか?」
(小出氏)えー、全量検査は不可能だと思いますけれども、私は東電なんかつぶしてもいいので、東電には、東電の責任でやらせるべきだと思います。
汚染食品を買い取らせるために金を使わせるのではなく、どれだけ汚れているかということを調べるために、東電に金を使わせるということを私は求めたいし、倒産するまでそれをやらせたいと思います。
(今井氏)わかりました。時間が来ました。ごめんなさい。新幹線でこれから東京へ帰られる方、今すぐ退出したほうが…。
じゃああの、小出さんと森さん、ちょっと立っていただいて、どうもありがとうございました。ちょっと握手!
<会場拍手>
じゃあそんなことでどうもありがとうございました。
【以上】

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
Bochibochiの考えをここに書かせていただきます。
何度も申し上げてきましたが、Bochibochiが考えていることは、基本的に以下の通りです。
 ・国策として、子どもたちを即刻疎開させること。
 ・福島に人の住めない地域があることを認め、謝罪し、その地域の住民に補償を約束すること。
 ・その場所で焼却灰や汚泥などの汚染されたものを国が管理すること。
 ・食品の線量測定体制を早急に確立し、全ての食品に汚染数値を記載するようにすること。
【参考記事】
 ・7月23日 【追記あり】完全に間違った優先順位
 ・7月24日 福島県・長野県:汚泥・がれき処理に限界近づく【非人道的な状態】

 ・8月12日 食品安全委員会にパブリックコメントを送りました【生涯100mSvの件】

Bochibochiは、小出先生のおっしゃることもわかるし、森さんのおっしゃることも、とてもよく判りました。
思想的には、両者ともに大人として責任を取りたいという気持ち、よく判ります。
けれど、こうなってしまった以上、今までの生活ができなくなることの覚悟が必要です。

そもそも、この討論会をオンラインで配信し、公開でやっている意味を考えてください。
まだ汚染を受け入れる準備ができていない人が多いのではないでしょうか。
やっぱりこの配信も、 Bochibochiの目には『問題提起』として映ります。

もし、今政府が体制を整えて、食品全部にベクレル表示をしたとします。
そこで、あなたはそのベクレル表示がついた食品を買うことができますか?その準備ができていますか?
多くの方は、それを目の当たりにして「嫌だ、食べたくない!」と思われるのではないでしょうか。
小出先生はそうなったときに、それを拒否せず、できるだけ多くの大人に受け入れてほしいと願っていらっしゃるのではないでしょうか。
でも、Bochibochiは、それを人に強制することではないと思っています。
ですから、先生の主張は、「自分がその時どうするのか?」という問いかけとして受け取っています。(ちなみにBochibochiは、ある程度食べると思います。)
小出先生は、あまりに1次産業に対する思い入れがあるため、その1次産業の人々を守るために、大人全員が程度に応じた責任として、そういう食品を拒否せず受け入れていく準備が必要だと言っていらっしゃるように思います。Bochibochiもそう思います。まだ準備ができていない…。

小出先生は、『程度問題』として森さんの努力を切り捨てようとしました。
それは違うと思います。
人間として、危険なものを進んで選ぶ人は少ないし、その程度を減らすために努力をするのは、『人間の本能』だと思います。ですから、その点においては、小出先生の主張はかなり極論すぎると感じています。
1次産業の方々のためにも、政府や東電は、少しでも被曝量を下げるための努力は惜しまないでほしいと考えます。

そこでどうしても、高濃度汚染地域で1次産業をされている方々にしわ寄せが行ってしまい、今までの生活ができないことを目の当たりにさせられてしまいます。
Bochibochiもずっと5000ベクレルの田畑で農作業をされている農家の方の被曝を気にしてきました。(9月7日 農水相:除染実験結果を今月後半に発表へ・・・【除染をするなら・・・】)そんなところで作業をするなど、本当にあってはいけないことだと思ってきました。
政府の補償が中途半端であり、方針をはっきりと示さないために、農家の方々には、そのすべてを押し付けてしまっています。

だからこそ、やっぱりどこかで必ず線引きをしなければいけません。

できれば、それは今後の日本を考えると、より厳しいところで線引きするしかないと思っています。受け皿として、森さんがおっしゃっていたような代替地を用意できるなら、政府はどんどん進めてほしいですし、そこでの生活がうまくいくようなフォローアップもしていくべきだと思います。

小出先生は、1次産業の方の生活をできるだけ変えたくないとおっしゃっています。
そこに矛盾を感じます。
私たちも生活を変えるし、ある程度の汚染食品は受け入れる。
高濃度汚染地域の方々には、本当に申し訳ないけれども、その土地を離れていただいて、
「国の用意した代替地で続けるのか、農業をやめるか」
その選択をしてもらい、どちらを選んだとしても、そのためのバックアップを国としてやっていく。
国民はその費用のために納税する。
そういう形をイメージしています。

被曝の危険性や、測られる数値そのものの信ぴょう性、大人としての責任や、貧富の差。
全てが複合的に絡み合って、Bochibochiもまだ頭が整理できていません。状況が変わったり、いろんな方の意見を聞いて、また私自身の意見も変わっていくかもしれません。

第一優先の子供たちを守るため、食品の検査は必須事項です。
一刻もはやく実現させ、子供たちを守ると同時に、私たちがどう受け入れていくか、問われています。

失礼します。
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