※この記事は、9月13日 【文字起こしUP】小出裕章氏と語る、続・原発『安全神話』溶融【その②】に関連しています。

<45:00頃~>
今までに出たセシウムでどんな汚染が生じたかということを少しずつ政府はデータを小出しにしてくるわけですけれども、比較的最近のデータが、こんなデータです。
セシウム137とセシウム134の合計で、どれだけ汚染をしたかということを色分けにしてこの地図に書きましたということです。

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そして、福島原子力発電所を中心として、円がいくつも書いてありますが、一番小さい円が半径20kmです。その外側が30㎞、60㎞があって、ここは120㎞だったかな?100㎞か120㎞ですがそういう円が書いてある。

そして、今現在、政府が避難の指示を出したという地域は、ここの黄色く塗ってある地域がそうです。避難の指示を出して、住民を避難所に押し込めた。避難所に押し込められた住民たちは、お年寄りを中心として次々と命を落とすというような地域が、この黄色いところを含めた赤いところですし、ここに取り残された家畜たちは、囲われたまま命を落とすということが起きているのが、こういうところです。
ただし、この青いところ、或いは、緑いろっぽいところ、こういうところがありますけれども、こういうところというのは、日本の法律、現在ある法律を適用すると、放射線の管理区域というところに指定しなければいけません。
放射線の管理区域というのは、
私のような非常に特殊な人間=放射線業務従事者というレッテルを貼られた特殊な人間だけが入っていい。
仕事のために入っていい。
そこに入ったが最後、水を飲んではいけない。
食べ物を食べてはいけない。
寝てはいけない。
という特殊なところですが、そういう特殊なところに指定しなければいけない地域というのが、ずっとこういう範囲に広がっているのだそうです。日本政府が言っています。
福島県のほぼ東半分です。福島県はここまでですけれども、東半分以上ですね。さらに宮城県の南部、或いは北部、牡鹿半島という女川があったところですけど、こういうところ、そして茨城県の北部、栃木県の北部一帯というものは、放射線の管理区域にしなければいけないというほどの汚染を受けていると、日本の政府が言っています。

「一体どうしてこんな汚染を受けたのか?」ということを群馬大学の人がこんな地図を作ってくれました。

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ここが福島の原発があるんですけれども、ある時に南西方向に風が吹いていて、その風で放射能が流された、そして南西方向に汚染を広げて、その汚染がずっと南に流れていって、茨城県、千葉県、或いは東京都の一部というところに汚染を落としたということになっています。
そして北西方向に、ある時に流れたものは、あるところで風向きが反転して、福島県の浜通りと言っている、両方山に挟まれた谷あいをずっと流れて栃木県或いは群馬県のほうに汚染を広げたというのですね。
そして、ある時に海沿いに出ていったものは、牡鹿半島をなめて、また内陸に拭き戻って宮城県の北部に汚染地域を作ったということを言っています。
そして、さっきも見ていただいたように、福島原発を中心に北西方向の一帯と、南西に伸びる一帯、こういうところが現在、強制避難をさせられています。これは、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故で、強制避難させられたレベルとほぼ同じですけれども、そういうところから、約10万人の人が避難させられています。琵琶湖の面積のほぼ2倍。琵琶湖ってかなり巨大な湖です。皆さんも多分よく行かれると思いますけど、そこが二つ分入ってしまうほどのところが、もう無人にしなければいけないという状態になっているわけですし、もし、さっき聞いていただいたように日本にある現在の法律を厳密に適用しようとすると、福島県全域に匹敵するくらいの土地というものを無人にして、放棄しなければいけないというくらいの汚染を受けています。

日本という国は、法治国家と言われています。
ですね?

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例えば私が法律を犯せば、私は警察に捕まって刑務所に入れられる。法律を破れば処罰を受ける、そういう国だと言われている。私が法律を破ると、国家が処罰する。
でも、それなら、法律を守るのは国家の最低限に義務だと私は思います。
日本というこの国には、国家が定めた法律がたくさんあります。その一つは、一般の人々には1年間に1mSv以上の被ばくをしてはいけないし、させてはいけないという法律があるのです。
ですから、皆さんだって1mSv以上被曝をしてはいけない。もし皆さんに1mSvの被曝をさせるような人間が居たら、そいつは処罰すると言ってきた。日本の政府は。
それから、私は放射線の管理区域というところで働きますが、放射線の管理区域から出るときには、1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて放射能に汚れたものを管理区域外に持ち出してはならないという法律もあったんです。
私は、だから放射線管理区域で仕事をして、完全管理区域からもし出ようとするなら、私の手すら、1平方メートル当たり1万ベクレルを超えて汚染していれば、私の手は外に出られない。つまり私自身が管理区域から出られない、そういう法律だったんです。

そういう法律があったんですが、今回の事故が起きて、今回の事故を起こした最大の犯罪者は、私は日本の国家だと思いますが、その国家が自分たちが定めたそういう法律を一切反故にしました。
「人々が1年間に1mSv以上被曝してもなんでもない」
と言い出したわけだし、
「1平方メートル当たり4万ベクレルを超えるような汚染があっても、そこに人々が住んでいい、子供を産んでもいい、そこで子供を育ててもいい」
というようなことを言い出している、そういう状態になってしまったわけです。
法律というものは、一切の意味を失ったという、そういう時代に3月11日からこの日本という国家が入ったわけです。

本当に私は3月11日を境にして、日本というこの国家が変わってしまったと思います。

人々が普通に生活する場所が、私がいやいや入る放射線管理区域よりも遥かに汚れているんです。今。
土地も食べ物も、がれきも、下水の汚泥も、全てが今までは放射性物質と呼ぶようなものに変わってしまっている。
皆さんは、まだ実感してないかもしれないけれども、すでに福島を中心としてそういう世界になってしまっているんです。

ですから、福島に住んでいる人たちは、大変なことだろうと私は思うし、これからは福島を中心として、今日のこれからの後半の議論の中心になるけれども、福島で取れる食べ物を含めて、そういうものが流通機構というものがあるわけですから、そこらじゅうに流通してくる。放射能で汚れた世界で私たち自身が生きるしかないという、そういう時代に入った。
そういう世界に変わったんだということを皆さんにも是非とも認識しておいてほしいと思います。

<54:15頃から>
そういう中で、福島の人たちは大変です。
どうやって考えていいのか、私自身もわかりません。今現在、放射線管理区域に指定しなければならない汚染地で、人々が住んでいる。子供を産んで、子供をそこで育てるということをやっているわけです。
始めに聞いていただいたように、被曝をするということは、あらゆる意味で危険を伴うわけですから、そこに住み続ければ健康の被害を受けます。避けられません。
なんとか私は、それを避けて逃げてほしいと思います。
でも、日本の国家は
「そんなこと勝手にしろ」
と言っているんですね。強制避難地域はちょっと違うかもしれない。避難所を用意して、そこに移させたわけだけれども、そうじゃない地域の人に関しては、
「知らないよ、自分たちで勝手にやれ」
と言っているわけで、逃げたくても逃げられない。普通の人々は。仕事も何も全部捨てて、とにかく逃げたいと思っている人は、もちろん居るわけで、逃げた人も実際に居ます。でも仕事を捨てて逃げたときには、生活が崩壊してしまいます。
仕事を捨てられないから、子供だけでも逃がそうといって、子供を逃がした家もあります。でもそうなると今度は、家族はバラバラになってしまう、家庭が崩壊してしまうことになるわけです。
避難をするときには、今度は生活が崩壊する、家庭が崩壊する。
一方では、体、物理的な生命体としては、被害を受けるわけだし、避難をしようとすれば、今度は心がつぶれてしまうという、本当にどっちにしていいかわからないという、そういう選択の前で、福島の人たちは苦しい選択を毎日強いられている、そういう状態になっています。

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本当にこういう被害を生じさせて、いったいその被害の大きさってどれだけなのか?と考えると、私にはよくわからない。
まずは広大な土地が失われます。
さっき今井さんが女川の町の写真を見せてくれて、私も行って、愕然としました。
私を育ててくれた、阿部宗悦さんという人が居た家も、跡形もない…。女川の町が何もないんです。私が借りて住んでいたアパートの当たりだって、そこまでが浸水して、さっき今井さんが見せてくれた写真ではまだ家は残っていたけれども、もう本当に女川の中心街は何もないという状態になっていて、私は呆然とそこに立ち尽くして戻ってきましたけれども、
「それでも!」
と思いました。
「この町は、必ず復興するんだ」と。
人々がそこに戻ってきて、家を建てて仕事をまた組み立てて、女川の町を復興すると思いましたし、むしろ確信しました。
「しかし」
と次に思った。
「福島原発周辺で、膨大な汚染を受けてしまったところは、もう復興できない。」
一見、綺麗ですよ。普通の家が建って、津波で襲われたわけでもなんでもない、地震でつぶれたわけでもない、家が建っているけれども、放射能は目で見えない。そういう目で見えない放射能で汚れているために、もうその町、その村はすべて捨てるしかない。
復興も何もできないで、失われてしまうというそういう土地が、少なくても今現在、琵琶湖の2倍というくらいの面積であるのです。

その周辺にも放射線の管理区域にしなければいけない汚染を受けた土地があって、そこで今現在人々が住んでいる。たくさんの人が被曝を強いられているという状況。
そして、今日の後半のテーマですけれども、これから汚染した食べ物がどんどん出回ってきます。
『それをどうするのか?』
あらかじめ言っておきますけれども、私は放射能なんて決して食べたくはありません。どなたにも食べさせたくない。皆さんもそう思ってると思います。
そうなると、普通の感覚で言えば、放射能で汚れたものは要りませんというと思います。
そうなれば、福島の1次産業は崩壊します。
それに伴って、またたくさんの生活が崩壊するということになると思います。
そんな被害を一体どうやって補償するんですか?賠償するんですか?
戦争が起こって爆撃されて、破壊されたって、そこに戻ることができます。東京だって東京大空襲で焼け野原、広島だって長崎だって原爆で壊滅させられたけれど、それでも町はちゃんと復興できたんです。
しかし、今度はもう町自身が無くなってしまう。そういう被害の重さというのをどうやって考えたらいいか?
戦争だって怒らないような被害が、今現在起きているんです。

東京電力というのは、日本最大の会社です。
経済界に君臨してきた巨大な企業ですけれども、そんなものがいくら賠償しようと思ったって、賠償なんてできません。

ですから、今東京電力にどれだけの賠償責任を負わせようかといって、いろんな議論がありますけれども、私は議論をするまでもなく、「東電を倒産させろ」と思っています。
持てるモノ全てを吐き出させて、東電は倒産させるというのがいいと思います。東電の株券は紙くずになります。一番困るのは巨大銀行ですね。まあ銀行なんてどうでもいいと、まずは思う。でも、個人投資家という人たちも居て、東電の株券を持っていたんでしょうけど、そういう方々には気の毒だけれども、でもしょうがない。東電なんかを信用した責任を取って、株券タダになっても諦めてくれと、私はそこはしょうがないと思います。

でも、東電なんか、何回倒産しても贖いきれない被害が実は生じるんです。
日本の国家が倒産しても実は払い切れないくらいと実は私は思います。

ここに至ってなおかつ政治家とか経済界の人たちは、
「原子力を止めたら、電気代が高くなってしまう」
とかいうようなことを、どこまであほなのか?と私は思うけれども、そんな議論をしている人たちがいるんですね。
もうそれどころではないんだと。原子力をやってきたから、こんなことになってしまって、途方もない厄災を私たちはこれから背負っていかなければいけないということを、多くの人にちゃんと認識してほしいと私は思います。
あ、そうか。
今井さん、ここで辞めてもいいかな?
何時までやっていい?
(今井氏)どうぞ、お好きに。
(小出氏)えーっと、むしろ私は森さんと議論をするときに、その初めにでもこの後の話はしたい。どうしましょう?いいですか?それでも。はい。ではとりあえずここで切らせていただいて、後半の議論につなげたいと思います。


<01:02:00頃~>
(今井氏)じゃあ今日の対戦相手を。森さんどうぞ上がってください。
森さんも小出さんもこの後また使うんですよね。
(小出氏)私今からまたあるけど、どうしたらいいですか?
(今井氏)ちょっとそのまま座っていてください。いや、動かさなくていいです。じゃあ小出先生、とりあえず座ってください。
森さん真ん中へ来て。椅子もいらない。
(小出氏)森さん、これ(プロジェクター)使われる?
(今井氏)はい、使われます。
森啓太郎さんです。
東京から来ていただきました。今日の段取りを言いますね。皆さんお手元にプログラムがあると思うんですけど、まず、汚染された食品をどうするのか?食物をどうするのか?農作物をどうするのかについて、小出さんのほうからまず、最初5分くらい冒頭陳述というか、主張していただきます。で、それが終わったら、今度森さんのほうにしていただいて、その後、今度はパワーポイントを使わないで、椅子を並べて議論を展開すると。
では、引き続き小出さんのほうから。

【その④】に続きます。
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